SSブログ

米国防省がシリコンバレーとの関係強化へ [カーター国防長官]

Stanford.jpg23日、カーター国防長官はシリコンバレーを訪問し、スタンフォード大学で講演して4年ぶりの新サイバー戦略発表を宣言すると共に、シリコンバレーとの連携強化チーム「Unit X」の設置を発表しました。

先日、担当次官補の「事前説明」を紹介した新サイバー戦略関連については、以前の記事に気が向いたら追記することとし、「Unit X」に関する長官の発言を中心にご紹介することと致します

なお、カーター長官は同大学で講演した後、「Facebook本社」と有力ベンチャーキャピタルを訪問し、IT分野の技術革新の状況や国防省へのイノベーション精神の抽入に向けた意見交換を行っています
全ては、民間で日進月歩の技術を迅速に軍事技術に導入し、厳しくなる予算状況の中で効率的に米軍の技術優位を維持確保しようとの一貫した取り組みの一つです

国防省とSilicon Valley連携に「Unit X」
(23日付Defense-Newsによれば)
Stanford3.jpg●カーター長官は、国防省とシリコンバレー文化の協力は、技術開発と将来の脅威に備える意味で双方の利益になると訴えた。そして関係強化を促進するため、長官は公式に米国防省内に「Defense Innovation Unit X」を設置すると発表した。

●長官は「この種の初の試みであるUnitは、優秀な現役米軍人と国防省職員、更に予備役からも最高の技術素養を持った人材で構成される」、「同Unitは、両者の関係を強化して新たなものを生み出す。新たな革新的技術や可能性のある技術の発掘を助け、国防省とシリコンバレーとの架け橋の役割を果たす」と説明した
●更に長官は、情報の流れは双方向であり、同Unitは国防省に技術情報を提供することを主に期待されるが、同時にシリコンバレーの起業組織に国防省との契約を勝ち取るヒントを与える役割も果たすと語った

●また長官は、企業側に国防省との業務に際して「知的財産:intellectual property」に関する懸念があることを指摘し、「企業側に知的財産権を国防省に提供するよう強要することはない」、「国防省は過去の長い歴史の中で、企業が保有する知的財産を保護してきた実績がある」、「企業の知的財産権を尊重し理解する」と重ねて説明した

●そして長官は、「国防省にはスタートアップ企業や小規模企業の創造性や革新精神が必要だ。そしてそのためには、Silicon Valleyの皆さんの知的財産権を守ることが必要だと承知している」と語った
●更に長官は、国防省の鈍重(snail-paced)な官僚仕事の迅速化を約束し、「国防省の鈍重な官僚仕事により、革新的なアイディアや能力を失いたくないし、そうでないと起業集団とは協力していけないと思っている」と語った

匿名の国防省官僚は本件に関連し
Stanford4.jpg●細部はまだ検討中だが、Silicon Valleyから6マイルほど離れた「Moffett Federal Airfield」に同Unitが設置されるのではないか。5月には開設されるらしい

●この計画に加え、米国防省は「Corporate Fellows program:企業派遣員プログラム」の拡大を計画している。このプログラムは、主要な一般企業に15名程度の国防省職員を1年間派遣して経験をつませるものだが、これまでのところ国防省指導層が期待するほどの成果は上がっていない
●国防省はこの派遣プログラムを2年に拡大し、1年目の企業派遣はそのままで、2年目に関連の国防省部署に配置して企業で得た知見を業務に反映させる方式での「拡大」を考えている

●スタンフォード大学での講演の後、長官はFacebokkのCOOであるCheryl Sandberg氏と会談し、更に主要ベンチャーキャピタルの「Andreessen Horowitz」を訪問した
●国防長官と同行幹部は、最新の技術動向を資本家や企業トップから聞き、シリコンバレーとの関係強化の方策について意見を聞いた
//////////////////////////////////////

carter-Dec.4.jpgサイバー対策も含め、この手の仕事は従来副長官が担当してきたのですが、カーター長官は自らSilicon Valleyに乗り込み、てこ入れに乗り出しました。
しかし「道遠し」の印象はいなめません。シリコンバレーでは最近、「IT」だけでなく「ものづくり」分野でも「起業:スタートアップ」が盛んで、ロボット企業の創設やM&Aが盛んだそうです。

しかしそれら勢いのある企業にとって、国防省の「ひも付き資金」は「縛りが大きい」と人気がなく、国防省の技術導入が迅速に進まないのが現状のようです。
カーター長官自身が指摘する「鈍重(snail-paced)な官僚仕事」と対極をなすのがシリコンバレーとも言えますから、「水と油を混ぜる」ような取り組みです。お手並み拝見と致しましょう

「Googleが国防省資金回避」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-27

新サイバー戦略は国防省特設webで
http://www.defense.gov/home/features/2015/0415_cyber-strategy/
国防次官補の「事前説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-19

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0