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6年ぶり米海軍情報局が中国海軍報告書 [中国要人・軍事]

PLAN ONI.jpg4月9日、米海軍情報局ONI(Office of Naval Intelligence)が2009年以来6年ぶりに、中国海軍に関する総合的な分析レポート「The PLA Navy: New Capabilities and Missions for the 21st Century」を発表しました

49ページのレポート(図表が多く重い:約23MB)は5つの章から構成されており、それぞれ「海軍戦略と任務」、「中国海軍装備と近代化>」、「訓練、演習、統合作戦」、「中国海軍組織と指導者」、「海軍、海警、その他の機関---海洋における主張と安全保障」となっています

中国海軍の権威である米海軍大学エリクソン教授は本レポートを高く評価し、「断片的なデータばかりが横行し、分析やインテリジェンスが少ないこの分野の穴を埋める仕事」、「時系列のデータを丁寧に整理」、「主要幹部の名簿が画期的」等々と賞賛し、概要を紹介しています

同教授は主要新事実として3点を
AndrewEricksonUSNWC.jpg中国海軍と沿岸警備隊に当る海警は、急速な艦艇建造により、旧式の艦艇を最新型に更新している。中国海軍は特定分野で艦艇増加を図っているが、海警は2012年以降の僅かな期間に25%も艦船数を増加している
●中国の沿岸警備隊(海警)の保有艦艇数は、日本、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピンの総艦艇数よりも多くなった
●中国が開発した新型超音速対艦ミサイルYJ-18について公式に言及。この新ミサイルを前例の無いレベルの脅威として捉え、注目するよう呼びかけ

「海国防衛ジャーナル」は本報告書のレポートについて
YJ-18は発射後、マッハ0.8で約180km巡航し、それからマッハ2.5~3で約40km飛翔して目標を攻撃052D型駆逐艦のほか、宋級と元級通常潜、商級原潜へYJ-18が搭載されていると記載。「エリクソン教授はYJ-18に対する防衛は極めて難しいと述べています」と紹介
●本報告書は、中国海軍の凄まじい拡大ペースを実感できるだけでなく、現在の海軍力、2020年までの展望が端的にまとめられています。訓練、演習、統合作戦の項も興味深いですね。他には、機雷を5万基保有していることも確認されています

21日付米海軍協会web記事は
YJ-18.jpg対艦弾道ミサイルDF-21Dに注目が集まっているが、これへの対応は難しくないとの見方の専門家は多い。一方で、増強発展を続ける対艦巡航ミサイルへの警戒感は強い
●CSBA研究員であるBryan Clarkのように「高度化する対艦巡航ミサイルが脅威で、潜水艦から発射されるものは対艦弾道ミサイルより脅威だ」と指摘するものは多く、ONI報告書が指摘した超音速対艦ミサイルYJ-18などその筆頭である。

●また研究者は、配備が始まっている沿岸戦闘艦LCSはミサイル対処能力が不十分であり、タンカーや輸送艦の護衛さえも十分に出来ない可能性が高く、これがミサイル巡洋艦や駆逐艦への負担を更に大きくすると懸念している
●2012年に米海軍が行った見積もり(FSA)では88隻のミサイル巡洋艦や駆逐艦が必要としているが、このような中国の対艦ミサイルの発達と増強を受け、2020年代の脅威に対応するため、今では100隻以上が必要考えていることを海軍協会は入手している

YJ-18-2.jpg●この考えによれば、現在空母攻撃群に5隻配備しているミサイル巡洋艦や駆逐艦を、7~8隻必要だと想定している。しかし、近年の予算状況を考えれば、25%もの艦艇増強は非現実的であろう
●現実には、近年の米海軍予算はこれらへの対応が不十分であり、初期のイージス艦の近代化は限定的であり、防空とミサイル防衛の両方に有効な新システム「Baseline 9」イージスシステムへの更新も対象を限定している状況である

BMD対応可能な艦艇への現場指揮官からの要求は現在33隻だが、将来は70隻に拡大すると予想されているが、この近代化ペースでは要求を満たせない

Clark-CSBA.jpg●このような現状に対し、CSBAのClark研究員は「SM-3を数発搭載しても大差はないのだから、空母攻撃群を防御するようなミサイルや攻撃的なミサイルを搭載したほうが効果的ではないか」と主張している

●同研究員によれば、1発分のSM-3搭載スペースで、4発の最新対艦ミサイルを搭載できる。「Distributed lethality」と呼ばれる本コンセプトは注目を集め、米海軍情報部も考慮対称にしている模様
http://csbaonline.org/about/people/bclark/
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中途半端な紹介記事になりましたが、6年ぶりの米海軍情報局ONI報告書は重要な資料のようです。脅威だけでなく、弱点を指摘する記述もあるようです
エリクソン教授のwebサイト記事や米海軍協会web記事をご参考に、ご興味のある方はのぞいて下さい。

「Distributed lethality」のことは良く理解してませんが、「NIFC-CA」や「トマホーク巡航ミサイルの移動目標対処改良」と組み合わせ、色々検討されているようです。
このあたりに関しても、CSBAのClark研究員が活発に発信していますのでご確認下さい

関連の記事
「NIFC-CA構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「トマホークで移動目標対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-12
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27

CSBAのClark研究員
http://csbaonline.org/about/people/bclark/

米海軍大学エリクソン教授の報告書評価
http://www.andrewerickson.com/2015/04/navy-intel-charts-chinese-sea-change-office-of-naval-intelligence-releases-first-unclassified-plan-report-in-six-years/

海国防衛ジャーナル
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/



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