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NIFC-CA:米海軍航空部隊の対中国作戦構想 [Joint・統合参謀本部]

F-35Cformation.jpg23日付米海軍協会web記事が、(対中国)A2ADを見据えた米海軍航空部隊の新作戦コンセプト「NIFC-CA」(Naval Integrated Fire Control-Counter Air)について、担当のMike Manazir海軍少将による解説を交えて説明しています。

TTNTとの新ネットワークを柱に、F-35Cをセンサーやミサイル誘導母機として活用し、突破力を増した改造FA-18をシューターとし、艦載ステルス無人機UCLASSを空中給油機とシューターとして位置づけるコンセプトで、EA-18G電子戦機、E-2D早期警戒機、イージス艦や空母までをパッケージとした作戦構想は下図に示すとおりです

米空軍との協議は未着手な模様で、エアシーバトル構想との関係についても言及なしですが、海軍司令部で航空戦構想を担当とするManazir少将を中心にまとめられている模様で、先日ご紹介した最新のUCLASS構想とも合致しています

コンセプトの成熟度や「組織のお墨付き程度」、技術的裏づけがどの程度か不明ですが、日本にも影響大な感じがしますので、とりあえず「ざっくり」ご紹介します

NIFC-CA作戦コンセプトの概要
空母艦載機と空母とイージス艦だけで

Navy-Air-War2.jpgF-35Cは、ステルス性を生かして敵領域に深く侵入しISRデータを収集。この際、EA-18Gによる電子妨害の支援を受け、敵の脅威が低下する中を侵攻。また、FA-18が発射した誘導武器の終末誘導(目標変更も可能)も担う

EA-18Gは次世代の電子妨害装置や他の付加能力を搭載し、敵の低周波数早期警戒レーダーをスタンドオフ妨害して他機の侵攻を援護する

F/A-18E/Fは、可能な限り強固に防空された領域に侵攻し、スタンドオフ兵器を発射する。Manazir少将は「FA-18の侵攻能力に疑問を持つ者もいるが、それは正しくない。同機の将来搭載兵器が有効になる距離まで進出できるよう、ボーイング社と米海軍は機体に必要な措置を施している」と説明した

UCLASSは、ISR能力を保管し、搭載兵器で攻撃に参加するほか、F-35とFA-18に空中給油を行い活動範囲や時間延伸に貢献する

E-2Dは、空母艦載機が収集したデータの収集・分配を担い、先進データリンクTTNTの能力を最大限に活用し、必要時にはF-35のセンサー使用を封止させ、FA-18のセンサー搭載をも不要にさせる。FA-18発射の誘導兵器の中間誘導(目標変更も可能)も担う

空母は全てのデータを把握し、戦闘全体の指揮を執る。
イージス艦は自身が保有するSPY-1レーダー情報だけでなく、最前線のF-35やホーネットやUCLASSやE-2D等の情報を掌握し、空母群の防空を担う

●新データリンクTTNT
(tactical targeting network technology)
---過去約5年間の精力的な技術開発の結果生まれた新リンクで、多量のデータを遅延時間を最小に伝送可能。E-2Dが2機あれば全ての状況掌握が可能
---空母、イージス艦、E-2Ds、 EA-18Gsを結び、最終的にはUCLASSも含める。末端はLink-16や発展型のCMN-4リンクも使用する


ネットワーク脆弱性の克服
Manazir.jpg●Manazir少将はリンク依存から生じる脆弱性の問題を認識している。「リンクは我々のアキレス腱だと認識しており、リンク防護が最重要課題だと認識している。敵がリンクを見つけて妨害できないようする必要がある」と語っている
●更に同少将は、中国が衛星攻撃能力を誇示し、電子妨害やサイバー能力を保有することを承知している。しかし「地理的に広大なエリア全体に妨害を掛けることは非常に困難だ」と語った
●そして「敵の妨害効果を減殺する能力を兵器システムに組み込み、見通し線内ネットワークを確立する」と語っている

米海軍協会が聞き取った懸念の声
●NIFC-CAネットワークが大きくて全体を妨害することは困難でも、個々のシステムが受ける妨害の影響を過小評価しているのではないか。また一つの重要な部分が妨害を受ければ、全体えの影響が大ではないか
●全体状況が把握されすぎると、上級の指揮官による「細部にわたる詳細な管理や指示」の弊害が出るのではないか。
●空軍幹部はNIFC-CAコンセプトの素晴らしさを賞賛しつつも、米空軍と何の協議や協力に関する観点が無く、エアシーバトルとの関連について言及が無いことを懸念
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X-47BsTwo-ready.jpg2020年代の構想らしいNIFC-CAを支える技術がどこまで成熟しているのか承知していません。TTNTネットワークやFA-18の突破力強化策、F-35CのISR能力やUCLASSの空中給油能力等々です。

それら技術が実現するとしても、米海軍の航空作戦族の描く「理想の」コンセプトのような気がします。
中国のA2AD脅威を考える時、艦艇としても見た空母群の残存性、対潜水艦作戦の様相など、色々とクリアーしなければならない課題が多いと思います

それよりも何よりも、「F-35」を何とかして活用し、調達機数を確保しなければならない、との叫びが聞こえそうなコンセプトに思えて仕方がありません。「読者の声」には、これだとF-35Cの調達数は削減可能だ・・との意見もありましたが・・・

今後日本がこの構想に巻き込まれるか、自ら飛び込むかは不明ですが、F-35をセンサーとしても位置づける事で、機数確保の論理を強化するかもしれませんね。
でも根本の問題は日本の航空運用インフラが中国の各種脅威に極めて脆弱で、作戦初動で機能停止になる可能性が大なので、航空機が役に立たなくなる可能性が大なることです。

Manazir少将が艦載無人機を語る
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24

NIFC-CAに関連する米海軍の動向
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09

「海軍トップ:ステルスはあと10年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「なぜ8機EA-18Gが必要か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13
「E-2Dはステルス機探知可能!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
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