やっぱり危ういPACAF司令官:E-7ほしい発言 [米空軍]
翌日には空軍参謀総長が時期尚早と即否定
米軍内の不協和音が聞こえてきます・・・残念
2月24日、Kenneth Wilsbach太平洋空軍司令官が記者団に、現有のE-3早期警戒管制機は老朽化が進んで稼働率が低下していることから、豪州やトルコや韓国が運用しているE-7早期警戒管制機を後継機として早期に導入したいと突然訴えましたが、翌日Brown空軍参謀総長が「E-7だと決めつけるのは早計だ」ときっぱり否定しました
Wilsbach太平洋空軍司令官はペンタゴン勤務経験がないままに、つまり「DC」の力学を知らずに「大将」になった人物で、Brown大将の後任として昨年夏から太平洋空軍司令官に就任していますが、就任当初から「中国に備えておけば、ロシアや北朝鮮やイラン等への対処は可能」とか、「米空軍はF-22導入から約5年間、その能力を十分使いこなせなかった」とか、その立場からすると「本音すぎる」発言で「危うさ」を感じさせる人物でした
今回の「E-7をすぐに欲しい」発言も、E-3の現状からすれば、また対中国航空作戦司令官としての立場からすれば、米空軍内の会議ならあり得る意見提示でしょうが、米空軍が公式には2035年まで使用予定との立場をとっている中、いきなり記者団の前で「E-7」と決めつけて訴えるのは異常であり、黒人として初の空軍トップになったBrown参謀総長へ、露骨に反旗を翻したとも受け取られています
Brown参謀総長は最近、地域コマンド等の反対を覚悟のうえで、新型の「5世代機マイナス」を開発製造するとぶち上げ、「今変えなければ勝てない」との信念で改革の道まっしぐらですが、早くも身近な中国最前戦の部隊指揮官からジャブを繰り出された形になりました
話題のE-7 Wedgetail早期警戒管制機は、B-737旅客機をベースに豪州空軍用に開発され、2009年から納入されていますが、その後トルコや韓国も採用し、更に英国も5機発注して2023年から受領予定となっている機体で、2018年にBrown大将も太平洋空軍司令官時代に体験搭乗しています
一方で米空軍が現在31機保有するE-3は、B-707旅客機をベースに1971年から84年の間に製造された機体ですが、米会計検査院GAOは2020年報告書で、「必要な部品調達などの維持整備の難しさから、2011年から19年の間、必要な稼働率を満たしていない」と評価しているところです
26日付Defense-News記事によれば
●24日、Wilsbach太平洋空軍司令官は米空軍協会主催の「Aerospace Warfare Symposium」で記者団に、「現実は、E-3の最近の信頼性度合いから、早急に新たな代替を必要としている。E-3は離陸するのがどんどん困難になっている」、「最新のE-7を早急に導入すべき」と語った
●そして更に、将来的には次期制空機NGADや同機搭載兵器の導入を推進すべきと述べ、航空優勢無くしては進歩した将来の敵とは対峙できないと訴えた。
●しかし翌日の25日、同じ場で記者団と懇談したBrown空軍参謀総長は明確に、「どのような選択肢があるか見極めたい。E-7 Wedgetail早期警戒管制機のファンがいることは承知しているが、決定するのは時期尚早だ。もう少し時間をかけて検討する必要がある」と語った
●またBrown大将は、自ら体験搭乗した経験があるE-7について「能力のある機体だ」と表現しつつ、「E-3の稼働率やその維持経費の状況から、対応する必要がある。しかし何をすべきかはまだ未定で、E-7は一つの選択肢だが、唯一の選択肢ではない」と語った
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改めてWilsbach太平洋空軍司令官の次期制空機NGADを絡めた発言を眺めてみると、2月17日にBrown参謀総長が反対を覚悟のうえで表明した「戦闘機世代間構成の分析検討開始」や「5世代機マイナス」の新規開発への露骨な反発発言であることが伺えます
米軍を取り巻く予算状況や、平時から有事までの幅広い任務を考えると、ハイ&ローミックスの戦力構成を追求せざるを得ないことや、全ての要求に対応できないことを踏まえて改革を目指すBrown参謀総長と、狭い視野で現場の主張をメディアに訴える「立場をわきまえない大将」の印象がぬぐえません
こんな時だからこそ、ペンタゴンと前線部隊が一体感を持って前進して頂きたいのですが・・・
「戦闘機世代機構成と5世代機マイナスの検討開始宣言」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-19
ペンタゴン勤務がない異例の大将
日本ハワイ中東アラスカ韓国のみの飛行5000時間の男
「F-35はF-35らしく使用せよ:F-22の失敗に学べ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-29
「Wilsbach太平洋空軍司令官の紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-16
米軍内の不協和音が聞こえてきます・・・残念
2月24日、Kenneth Wilsbach太平洋空軍司令官が記者団に、現有のE-3早期警戒管制機は老朽化が進んで稼働率が低下していることから、豪州やトルコや韓国が運用しているE-7早期警戒管制機を後継機として早期に導入したいと突然訴えましたが、翌日Brown空軍参謀総長が「E-7だと決めつけるのは早計だ」ときっぱり否定しました
Wilsbach太平洋空軍司令官はペンタゴン勤務経験がないままに、つまり「DC」の力学を知らずに「大将」になった人物で、Brown大将の後任として昨年夏から太平洋空軍司令官に就任していますが、就任当初から「中国に備えておけば、ロシアや北朝鮮やイラン等への対処は可能」とか、「米空軍はF-22導入から約5年間、その能力を十分使いこなせなかった」とか、その立場からすると「本音すぎる」発言で「危うさ」を感じさせる人物でした
今回の「E-7をすぐに欲しい」発言も、E-3の現状からすれば、また対中国航空作戦司令官としての立場からすれば、米空軍内の会議ならあり得る意見提示でしょうが、米空軍が公式には2035年まで使用予定との立場をとっている中、いきなり記者団の前で「E-7」と決めつけて訴えるのは異常であり、黒人として初の空軍トップになったBrown参謀総長へ、露骨に反旗を翻したとも受け取られています
Brown参謀総長は最近、地域コマンド等の反対を覚悟のうえで、新型の「5世代機マイナス」を開発製造するとぶち上げ、「今変えなければ勝てない」との信念で改革の道まっしぐらですが、早くも身近な中国最前戦の部隊指揮官からジャブを繰り出された形になりました
話題のE-7 Wedgetail早期警戒管制機は、B-737旅客機をベースに豪州空軍用に開発され、2009年から納入されていますが、その後トルコや韓国も採用し、更に英国も5機発注して2023年から受領予定となっている機体で、2018年にBrown大将も太平洋空軍司令官時代に体験搭乗しています
一方で米空軍が現在31機保有するE-3は、B-707旅客機をベースに1971年から84年の間に製造された機体ですが、米会計検査院GAOは2020年報告書で、「必要な部品調達などの維持整備の難しさから、2011年から19年の間、必要な稼働率を満たしていない」と評価しているところです
26日付Defense-News記事によれば
●24日、Wilsbach太平洋空軍司令官は米空軍協会主催の「Aerospace Warfare Symposium」で記者団に、「現実は、E-3の最近の信頼性度合いから、早急に新たな代替を必要としている。E-3は離陸するのがどんどん困難になっている」、「最新のE-7を早急に導入すべき」と語った
●そして更に、将来的には次期制空機NGADや同機搭載兵器の導入を推進すべきと述べ、航空優勢無くしては進歩した将来の敵とは対峙できないと訴えた。
●しかし翌日の25日、同じ場で記者団と懇談したBrown空軍参謀総長は明確に、「どのような選択肢があるか見極めたい。E-7 Wedgetail早期警戒管制機のファンがいることは承知しているが、決定するのは時期尚早だ。もう少し時間をかけて検討する必要がある」と語った
●またBrown大将は、自ら体験搭乗した経験があるE-7について「能力のある機体だ」と表現しつつ、「E-3の稼働率やその維持経費の状況から、対応する必要がある。しかし何をすべきかはまだ未定で、E-7は一つの選択肢だが、唯一の選択肢ではない」と語った
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改めてWilsbach太平洋空軍司令官の次期制空機NGADを絡めた発言を眺めてみると、2月17日にBrown参謀総長が反対を覚悟のうえで表明した「戦闘機世代間構成の分析検討開始」や「5世代機マイナス」の新規開発への露骨な反発発言であることが伺えます
米軍を取り巻く予算状況や、平時から有事までの幅広い任務を考えると、ハイ&ローミックスの戦力構成を追求せざるを得ないことや、全ての要求に対応できないことを踏まえて改革を目指すBrown参謀総長と、狭い視野で現場の主張をメディアに訴える「立場をわきまえない大将」の印象がぬぐえません
こんな時だからこそ、ペンタゴンと前線部隊が一体感を持って前進して頂きたいのですが・・・
「戦闘機世代機構成と5世代機マイナスの検討開始宣言」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-19
ペンタゴン勤務がない異例の大将
日本ハワイ中東アラスカ韓国のみの飛行5000時間の男
「F-35はF-35らしく使用せよ:F-22の失敗に学べ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-29
「Wilsbach太平洋空軍司令官の紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-16
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