SSブログ

米印海軍演習Malabarに海自正式参加で3カ国演習中 [Joint・統合参謀本部]

Malabar 20155.jpg1992年から実施されている伝統の米印海軍共同演習「Malabar」に今年から日本が正式恒久参加国として加わり、「3カ国共同演習:Malabar 2015」として現在インド沖合で実施されています。

過去に日本は同演習に招待参加国として参加したことはありましたが、中国からの強い反発やいろんな事に巻き込まれたくないインド側の慎重な姿勢も有り、なかなか演習に進展が見られませんでした。

しかし今年7月、なんとか日米印の3カ国海軍演習にすることで了解が取れました。ただ、豪州を含めることにインドは合意しなかったようです。

13日付Defense-News記事によれば
Malabar 20153.jpg12日から19日にかけ、インド沖合で、今年から日米印の3カ国海軍合同演習となった「Malabar 2015」が実施されている。演習での訓練では、対潜水艦作戦、対水上戦、防空戦を実施するとインド海軍幹部は語っている
日本は2007年に初めて招待参加国として同演習に参加したが、その後は日本や豪州の同演習参加に強く反発する中国の動きも有り、2014年に日本が同じく招待国として参加するまで、ほとんどが米印2カ国演習として実施されてきた

●今年は米海軍から、空母ルーズベルト、巡洋艦Normandy、LCS Forth Worth、攻撃原潜City of Corpus Christi、P-8A対潜哨戒機が参加している。
インド海軍からは、駆逐艦1隻とフリゲート艦2隻、ロシア製のキロ級潜水艦、P-8I対潜哨戒機等が参加し、日本からはあきづき級ミサイル護衛艦の「ふゆづき」のみが参加している。


「Diplomat」誌はインドの消極性に疑問を
Malabar 20154.jpg7月28日付「Diplomat」誌は、中国への懸念や巻き込まれたくないインドが「Malabar」拡大や多国間協力に消極的だが、中国海軍の行動&能力拡大やパキスタンの協力強化等の中で大丈夫か?、と懸念する分析記事を掲載しています。

●「Malabar」の拡大は、2007年5月に当時日本の首相になった安倍総理が提案したもので、関係国の議論を経て、2007年の同演習は米印に日豪シンガポールを加えた2万人規模の海軍演習となった
●この2007年演習は、まず冷戦時の米印関係が大きく変化したことを内外に示し、軍事面でも海軍演習に本格的な防空や対潜水艦作戦を組み込んだ意義あるものだった。しかし2007年以降、「Malabar」は多国間演習ではなくなった

インドは同盟やネットワークに引き込まれるのは避けてきたが、最近は対中国の仲間に引き込まれるのを避ける傾向を示している。海軍演習では、ブラジル、南ア、仏、英、インド洋諸国等の南シナ海問題と関係のない国との訓練を行い、中国から批判を受けない活動を行っている
インドはRIMPACや空軍のRed Flagには参加しているが中国からの反応はほとんど無い。しかし2007年演習「Malabar」は、マラッカ海峡周辺を意識する中国から厳しい反発を受け、その後の「Malabar」は米印演習が続いていた

Malabar 20152.jpg●その後インドは、米国が日本を「Malabar」に含めようとする動きを、機会があるごとに拒否した。そして2015年6月の日印豪対話で、豪州が同演習への参加希望を示しても消極的姿勢だった。
●「Malabar 2015」に日本含めることに合意したが、豪州の参加には反対した。インドは中国軍の活動活発化を受け、多国間演習に積極的であるべきでは無いのか

最近、中国のユアン級潜水艦がパキスタンのカラチ港に、補給艦を従えて寄港した。インドは当該潜水艦はおろか、補給艦も事前に把握することが出来なかった
●インドはここ数年で沿岸監視レーダー網の整備を進めているが、対潜水艦能力の欠如は明らかで、能力を持つ国々との協力は不可欠ではないのか

しかし、例えば米軍との協力強化については、兵站支援協力協定や通信相互運用協定など両軍関係強化に極めて重要だが、インド国内で反対に直面している
●インドはインド洋の安全保障が国の安全の中核である事を再認識し、脅威が決して無視出来ないレベルになりつつある事を直視し、積極的に行動すべきである
////////////////////////////////////////////////////

Malabar 2015.jpgインドは大国ですから、なかなか動きませんねぇ・・・。でも気長に取り組むことが必要なのでしょう。
しかし「Diplomat」誌の記事が確かなら、2007年5月の安倍首相による「Malabar多国化提案」は、先見性を備えた素晴らしい提案だったと言えましょう

インドから提案される米国防省との協力案件は、空母の国産化の手伝いやジェットエンジン開発で、なかなか難しそうな案件ですが、カーター国防長官は着実に進める決意を表明しています

世界経済が減速傾向にある中、中国もインドも難しい国内政治の舵取りを迫られるのでしょうが、日本は少しずつインドとの関係を深めていくのでしょう

それから・・・・海自艦艇の参加が1隻だけなのは、海上自衛隊がめちゃくちゃ多忙だからです! たぶん
極めて非常にとっても暇で、退官したばかりのOBの参院選の準備に忙しいと「噂の陸上自衛隊」とは大違いです

関連の「Diplomat」誌記事
(米国がインドに演習拡大を要求)
http://thediplomat.com/2015/07/us-official-calls-for-permanent-expansion-of-malabar-exercises-with-india/

米国とインドの軍事関係関連
「カーター長官インド訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-04
「米印の国防協力合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-26-1
「インド首相の米国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-30

「ヘーゲル長官の訪印」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-12
「米印関係ランクアップ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-01-1
「米軍がインド対応特別チームを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-16

「露製ステルス戦闘機インド輸出版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-14

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0