西側専門家仰天:DF-26も空母キラーと中国説明 [中国要人・軍事]
衝撃!:第2列島線まで射程内のDF-26をASBMだと中国が宣言
3日、予定通り中国の軍事パレードが実施されました。平和の神様が暴風や大雨をもたらしてくれるのでは・・・と日本人らしい「元寇撃退よ再び」願望を持っていましたが、これ以上ない晴天だったようです。
日本メディアによる通り一遍の報道は全く触れていませんが、欧米の軍事専門家の目の色が変わったのが、中距離弾道ミサイルDF-26の説明アナウンスで「対艦攻撃ミサイルASBMで中型から大型艦艇を攻撃する」との紹介があった時でした。
4日の日本の報道は、ASBMのDF-21Dが初公式披露で、「グアムキラー」のDF-26もパレードに参加したと紹介していますが、DF-26(射程がDF-21Dの約2倍)に「グアムキラー」だけで無く「空母キラー」との性格が加わったことで、中国A2ADが第一列島線から第2列島線まで拡大されたと著名中国軍ウォッチャーも「たまげた」状態となっています
もちろん、中国側パレード関係者が参列者に「パレードの参加する装備は全部国産」と言い切り、世界が周知のJ-11B(Su-27のコピー)、J-15(Su-33のコピー)、J-10(イスラエル製ラビのコピー)の存在を無視した態度であることから、説明アナウンスは今後吟味されるでしょうが、意図を持って発表された「大サプライズ」であったことは間違いないでしょう
また、中国軍に遠方移動目標の「ターゲティング:目標照準」能力が備わっているかも疑問として依然残っていますが、中国側の主張を無視し、DF-26を意識しないで空母等が活動する事は難しくなる可能性もあります
3日付Defense-News記事によれば
●3日の軍事パレードは、第2砲兵が運用する多様な弾道ミサイルの初めての「展示室」となった。そのラインアップは極めて強烈な印象を与えた。各弾道ミサイルを車列を先導するのは、同部隊の指導者レベルで参謀総長や副司令官、主任技術者等々の主要幹部だった
●参加した弾道ミサイルは6種類で、ICBMではDF-5BとDF-31A、短射程のDF-15B、中射程のDF-16、元祖ASBMのDF-21D、そしてDF-21Dの2倍の射程を持つグアムまでカバーするDF-26です。
●中国弾道ミサイルの専門家である「Project 2049」のMark Stokes氏は、「(パレードに参加した)6つの弾道ミサイル部隊は、新型ミサイルを配備されたばかりの(評価の高い)部隊だったようだ」と分析している
第2世代のASBM?:DF-26
●西側専門家を仰天させたのは、DF-26登場時、説明アナウンスが「対艦弾道ミサイル」と紹介し、更に「中型や大型艦艇を攻撃出来る」と詳細な説明まで行ったことだ
●Richard Fisher氏は、DF-26は第2列島線までをカバーする空母キラーの第2世代だと表現し、「米軍側が第1列島線でのA2ADにも十分対応出来ていない段階である事を考えれば、極めて重大なことである」と語り、米側がA2AD対処競争で中国に遅れていると述べた。
●Hans Kristensen氏は「DF-26をグアムキラーとだけ理解していた我々の誤りかも知れない。DF-26は通常弾頭でグアムを攻撃出来る点で、使用の敷居の低い新兵器である。しかし説明が本当なら、また中国に遠方のターゲティング能力があれば、DF-21D対艦弾道ミサイルの約2倍の射程を手に入れたことになる」と語っている
●更に同氏は、紹介アナウンスの真偽について「米軍のBMDへの将来の努力程度が判断材料になろう」、「16台の移動式発車機がパレードに登場したDF-26は運用体制にあると考えられる」とも述べた
●中国海軍専門家のAndrew Erickson氏は「中国の対艦弾道ミサイルが2つになった可能性がある」と自身のwebサイトに記載した。
●一方で同氏は「中国はDF-26を移動目標で使用するターゲティングで十分な進歩を遂げていない」とも述べ、空中発射や艦艇発射の対艦巡航ミサイルが現時点では有効な兵器だろうとの見方も示した
●パレードには、超音速対艦巡航ミサイルであるDF-10AとYL-12が参加していた。Erickson氏は「中国は恐らく、台湾事態に対処するに十分なDF-10Aと発射母機や艦艇を取りそろえている」とも述べている
●パレードに飛来した最新爆撃機H-6Kは、6発のYJ-12対艦巡航ミサイルを搭載可能で有り、中国の攻撃潜水艦3機種(Song, Yuan and Shang-class)に最新の超音速対艦巡航ミサイルYJ-18を搭載すると中国は示唆している
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本日引用した4名の専門家は、所属先の紹介を省略しましたが、全員が中国軍の専門家として著名でよく知られた人物であることを付言しておきます。
上記記事は別の部分で、1995年7月と1996年3月の台湾総統選挙等を巡って発生した米中台湾の緊迫時、中国は米国が派遣した空母2隻を前に「沈黙」させられた「臥薪嘗胆」の思いを大きな契機とし、空母キラーASBMの開発に中国は注力してたと説明しています
また中国は米軍の弱点として、西太平洋地域に作戦拠点となる基地が少なく、物資補給が困難で、作戦面ではネットやデータリンク等の通信に大きく依存している点を見逃しませんでした。
それが現在の中国軍の弾道&巡航ミサイル重視、パレードでは確認出来ないサイバー戦や電子戦、宇宙戦重視の姿勢に繋がっており、米国防省が毎年まとめる議会提出レポート「中国の軍事力」のサマリー冒頭部分にそれが指摘されています
「対艦弾道ミサイルは脅威か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-02
米軍も分かっていながら組織のしがらみで中国対処をドラスティックに変更出来ない状況ですが、日本は実態として、この様な「脅威の変化」を全く無視しています。戦闘機だけに投資はその典型です
そんなことに気付くきっかけになれば、中国軍事パレードも役に立つのですが・・・・
「海国防衛ジャーナル」が関連弾道ミサイルを詳細に解説
→http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50754011.html
米国防省の「中国の軍事力」レポート2015版
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
90ページもの報告書ですが、そのサマリーが冒頭で強調する中国軍の目標は「短期間で地域の高列度紛争に勝利すること」→日本の防衛白書が絶対書かない真実がここに!
普通に国防のことを考えるため
「脅威の本質を見極めよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
「世界共通の中国軍事脅威観」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
3日、予定通り中国の軍事パレードが実施されました。平和の神様が暴風や大雨をもたらしてくれるのでは・・・と日本人らしい「元寇撃退よ再び」願望を持っていましたが、これ以上ない晴天だったようです。
日本メディアによる通り一遍の報道は全く触れていませんが、欧米の軍事専門家の目の色が変わったのが、中距離弾道ミサイルDF-26の説明アナウンスで「対艦攻撃ミサイルASBMで中型から大型艦艇を攻撃する」との紹介があった時でした。
4日の日本の報道は、ASBMのDF-21Dが初公式披露で、「グアムキラー」のDF-26もパレードに参加したと紹介していますが、DF-26(射程がDF-21Dの約2倍)に「グアムキラー」だけで無く「空母キラー」との性格が加わったことで、中国A2ADが第一列島線から第2列島線まで拡大されたと著名中国軍ウォッチャーも「たまげた」状態となっています
もちろん、中国側パレード関係者が参列者に「パレードの参加する装備は全部国産」と言い切り、世界が周知のJ-11B(Su-27のコピー)、J-15(Su-33のコピー)、J-10(イスラエル製ラビのコピー)の存在を無視した態度であることから、説明アナウンスは今後吟味されるでしょうが、意図を持って発表された「大サプライズ」であったことは間違いないでしょう
また、中国軍に遠方移動目標の「ターゲティング:目標照準」能力が備わっているかも疑問として依然残っていますが、中国側の主張を無視し、DF-26を意識しないで空母等が活動する事は難しくなる可能性もあります
3日付Defense-News記事によれば
●3日の軍事パレードは、第2砲兵が運用する多様な弾道ミサイルの初めての「展示室」となった。そのラインアップは極めて強烈な印象を与えた。各弾道ミサイルを車列を先導するのは、同部隊の指導者レベルで参謀総長や副司令官、主任技術者等々の主要幹部だった
●参加した弾道ミサイルは6種類で、ICBMではDF-5BとDF-31A、短射程のDF-15B、中射程のDF-16、元祖ASBMのDF-21D、そしてDF-21Dの2倍の射程を持つグアムまでカバーするDF-26です。
●中国弾道ミサイルの専門家である「Project 2049」のMark Stokes氏は、「(パレードに参加した)6つの弾道ミサイル部隊は、新型ミサイルを配備されたばかりの(評価の高い)部隊だったようだ」と分析している
第2世代のASBM?:DF-26
●西側専門家を仰天させたのは、DF-26登場時、説明アナウンスが「対艦弾道ミサイル」と紹介し、更に「中型や大型艦艇を攻撃出来る」と詳細な説明まで行ったことだ
●Richard Fisher氏は、DF-26は第2列島線までをカバーする空母キラーの第2世代だと表現し、「米軍側が第1列島線でのA2ADにも十分対応出来ていない段階である事を考えれば、極めて重大なことである」と語り、米側がA2AD対処競争で中国に遅れていると述べた。
●Hans Kristensen氏は「DF-26をグアムキラーとだけ理解していた我々の誤りかも知れない。DF-26は通常弾頭でグアムを攻撃出来る点で、使用の敷居の低い新兵器である。しかし説明が本当なら、また中国に遠方のターゲティング能力があれば、DF-21D対艦弾道ミサイルの約2倍の射程を手に入れたことになる」と語っている
●更に同氏は、紹介アナウンスの真偽について「米軍のBMDへの将来の努力程度が判断材料になろう」、「16台の移動式発車機がパレードに登場したDF-26は運用体制にあると考えられる」とも述べた
●中国海軍専門家のAndrew Erickson氏は「中国の対艦弾道ミサイルが2つになった可能性がある」と自身のwebサイトに記載した。
●一方で同氏は「中国はDF-26を移動目標で使用するターゲティングで十分な進歩を遂げていない」とも述べ、空中発射や艦艇発射の対艦巡航ミサイルが現時点では有効な兵器だろうとの見方も示した
●パレードには、超音速対艦巡航ミサイルであるDF-10AとYL-12が参加していた。Erickson氏は「中国は恐らく、台湾事態に対処するに十分なDF-10Aと発射母機や艦艇を取りそろえている」とも述べている
●パレードに飛来した最新爆撃機H-6Kは、6発のYJ-12対艦巡航ミサイルを搭載可能で有り、中国の攻撃潜水艦3機種(Song, Yuan and Shang-class)に最新の超音速対艦巡航ミサイルYJ-18を搭載すると中国は示唆している
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本日引用した4名の専門家は、所属先の紹介を省略しましたが、全員が中国軍の専門家として著名でよく知られた人物であることを付言しておきます。
上記記事は別の部分で、1995年7月と1996年3月の台湾総統選挙等を巡って発生した米中台湾の緊迫時、中国は米国が派遣した空母2隻を前に「沈黙」させられた「臥薪嘗胆」の思いを大きな契機とし、空母キラーASBMの開発に中国は注力してたと説明しています
また中国は米軍の弱点として、西太平洋地域に作戦拠点となる基地が少なく、物資補給が困難で、作戦面ではネットやデータリンク等の通信に大きく依存している点を見逃しませんでした。
それが現在の中国軍の弾道&巡航ミサイル重視、パレードでは確認出来ないサイバー戦や電子戦、宇宙戦重視の姿勢に繋がっており、米国防省が毎年まとめる議会提出レポート「中国の軍事力」のサマリー冒頭部分にそれが指摘されています
「対艦弾道ミサイルは脅威か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-02
米軍も分かっていながら組織のしがらみで中国対処をドラスティックに変更出来ない状況ですが、日本は実態として、この様な「脅威の変化」を全く無視しています。戦闘機だけに投資はその典型です
そんなことに気付くきっかけになれば、中国軍事パレードも役に立つのですが・・・・
「海国防衛ジャーナル」が関連弾道ミサイルを詳細に解説
→http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50754011.html
米国防省の「中国の軍事力」レポート2015版
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
90ページもの報告書ですが、そのサマリーが冒頭で強調する中国軍の目標は「短期間で地域の高列度紛争に勝利すること」→日本の防衛白書が絶対書かない真実がここに!
普通に国防のことを考えるため
「脅威の本質を見極めよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
「世界共通の中国軍事脅威観」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
2015-09-05 05:00
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