SSブログ

相変わらず「骨抜き」の2014年防衛白書 [安全保障全般]

2014 Hakusyo.jpg5日、2014年版の防衛白書が閣議で了承され公開されました。
正午のNHKニュースで紹介され、早速、午後1時頃に防衛省webサイトを覗いたところ、「平成26年度防衛白書 NEW !」と目立つ「リンク」が張られていました。

しかしクリックしたところ、何と現れたのは「平成25年度防衛白書」の紹介ページ・・・
何回かトライしたモノの、「26年度版」には到達できず、20分後にやっと到達できました! 恐らく、正午から約80分間の間、防衛省の電話はパンク状態になったのでは? とお察し申し上げます。

中身については、相変わらず「骨抜き」です
本日は「中国」の軍事力に関する部分を取り上げますが、相変わらず「幹」が欠損した状態の」ままで、「枝葉」の記述だけが更に充実した感があります。
装備の充実や訓練や活動の活発化をフォローしていますが、「幹」に当たる「中国軍は何をしようとしているのか?」や「どんな作戦を意図しているのか?」について、ほとんど触れない状態です

米国防省の議会提出レポート「中国の軍事力」も、今年はロープロファイルでしたが、それでもポイントは押さえています。「地域の高列度紛争を戦い、短期間で勝利を」です
そしてそのために、弾道・巡航ミサイル、宇宙戦・サイバー戦等々に力を入れているわけです。対比してご紹介します
更に言えば、米太平洋軍幹部は更に突っ込んで発言しています。

まず、中国軍事力の本質に関し2014年白書は
DF-21D.jpg●中国の軍事力強化においては、台湾問題への対処、具体的には台湾の独立および外国軍隊による台湾の独立支援を阻止する能力の向上が、最優先の課題として念頭に置かれている。
●さらに、近年では、台湾問題への対処以外の任務のための能力の獲得にも積極的に取り組んでいる

●中国は継続的に高い水準で国防費を増加させ、核・ミサイル戦力や海・空軍を中心とした軍事力を広範かつ急速に強化しており、その一環として、いわゆる「A2/AD」能力の強化に取り組んでいるとみられる。
●(別の章の脚注で:http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2014/pc/2014/html/n1020000.html)A2/ADに用いられる兵器としては、たとえば、弾道ミサイル、巡航ミサイル、対衛星兵器、防空システム、潜水艦、機雷などがあげられる

●また、統合作戦能力の向上、戦力を遠方に展開させる能力の強化、実戦に即した訓練の実施、情報化された軍隊の運用を担うための高い能力を持つ人材の育成および獲得、国内の防衛産業基盤の向上に努めている

一方、米国防省「2014中国の軍事力」レポート
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
(同レポートを紹介する米国防省web記事)
2014-China-report.jpg中国人民解放軍PLAの主任務は、地域の高列度紛争を戦い、短期間で勝利を収められるよう(to fight and win short-duration, high-intensity regional contingencies)にその能力を高めることである
●中国は引き続き台湾海峡での潜在的紛争に備えており、その際は米国の介入を抑止し破砕することが含まれている
●一方でPLAは、台湾緊急事態以外の潜在的事態、南や東シナ海での事態を含む有事にも重点を置いている

●中国海軍は、フィリピン海(比の東方海域)で史上最大の艦隊演習を実施した。
●またPLAは、一連の統合演習を9月と10月に実施し、PLA陸海空軍の大規模機動を伴い、中国大陸の南東沿岸で実施した

更に2月、米太平洋海軍情報部長は講演で
●分析の結果、中国軍は東シナ海地域で自衛隊を短期の激しい戦い(a short sharp war)で撃破し、尖閣諸島あるいは琉球列島南部を占領する新たな任務を与えられたとの結論に達した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-21
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

2014QDR-.jpg更にイライラさせるのは、「米国」の国防政策に関する説明で、今や誰も言及しなくなった、またはその存在を語るだけで空しさがこみ上げる、2012年1月オバマ大統領発表の「国防戦略指針」と2014年QDRを中心に紹介している点です

防衛省の「白書官僚」の皆様はご存じでしょう
5月末の陸軍士官学校での国防政策演説、オバマ大統領が「アジア太平洋リバランス」について一切言及しなかったことを
現在の国際情勢や予算状況では、リバランスが「絵に描いた餅」だと米軍高官が各所で「ぽろり」と発言していることも・・・

まんぐーすは、2014年QDRを「セピア色のQDR」とご紹介しましたが、現実問題を直視せず、過去の「国防戦略指針」をなぞったような中身に、「もうQDRなど必要ない」や「作り直せ」との声が各所から挙がった事を・・。ああ空しい。

関連の記事
「衝撃:オバマ陸軍士官学校演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-01
「セピア色の2014年QDR」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-06
米国防省「2014中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「太平洋海軍情報部長がついに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-21

過去の防衛白書関連記事
「25年度防衛白書を斬る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-09
「防衛白書官僚の心情代弁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-03-1
「(2/2)「防衛白書」5つの背信」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-12
「(1/2)「防衛白書」5つの背信」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-11

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0