新司令官に迫る米海兵隊の課題 [Joint・統合参謀本部]

現James Amos司令官等の下で、2010年から12年の間に副司令官を務め、統合参謀本部でも議長や副議長の補佐官を経験しているDunford大将の司令官就任に誰も疑問は無いようです。
一方、同大将がアフガン作戦を指揮している間に米国防省を襲った「強制削減」により、有能な海兵隊幹部を持ってしても問題の解決は容易ではなさそうです
記事は、アフガンから撤退しても世界で拡大する海兵隊需要や、装備品更新の難しさを紹介しています
17日付Defense-News記事によれば

●現在海兵隊は18.2万人体制に向け削減が進んでいるが、強制削減が実施されれば、911事案以前のレベルの17.4万人以下になる可能性がある
●注意が必要なのは、911事案以前には2700人を擁する海兵隊特殊作戦部隊は無かったし、「Special Purpose MAGTF(Marine air-ground task forces)」への需要もなかった点である
●1個SP-MAGTFは既にスペインに展開して米アフリカ軍で任務に就いているし、南部軍や中央軍にも派遣する新たな要求がある。これら新たな要求に、911事案以前の兵力数で対応する必要がある
●これ以外にホワイトハウスから海兵隊には、アフリカからタイに至る友好国への軍事的な助言・支援任務を行うよう要求が出ている。米国の友好国が安全保障問題に自身の手で対処できるようにして、米国の負担を軽減するためである
車両更新と保守的なDunford大将

●車両の更新近代化計画の一部は、Dunford大将がISAF司令官に就任後に決定されたもので、「強い保守」と見られる同大将がこれら計画を問題視する可能性もある
●一方で、海兵隊副司令官経験や多くの統合職経験から、「ワシントンDCの力学」を十分承知している人物であることも確かである。特に副司令官職は、海兵隊内の実務業務を取り仕切る役割であり、予算の流れやビジネス習慣にも精通しているはずである
新海兵隊戦略の遂行は?

●専門家は「海兵隊が大規模紛争で支配的役割を果たすとは期待していない記述であり、純粋に危機対処軍と自身を位置づけている」と解釈している
●現実を見れば、Amos現司令官が取り組み始めたように、イラクやアフガンから移動し、世界中により分散してより小さな単位で展開する方向にあるが、戦時予算は間もなくなくなる
●強制削減の一律適応が開始されれば、経費の掛かる世界中での展開を維持するのは難しくなるだろう。また派遣と母基地滞在期間の比率を、1対2で維持したい海兵隊首脳の思惑とは異なり、この比率見直しも避けられないのではないか
●予算が厳しくなる中、何を切るのか? SP-MAGTFか、ローテーション派遣か、又は沖縄での海兵隊プレゼンスか?
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イラク情勢もあり、アフリカもあり、アルカイダもある中、「第2の陸軍は要らない」とか言われて苦しい海兵隊ですが、脅威の変化を見極め、その役割を煮詰めて頂きたいと思います。
そうだ!・・・来年初のIOCを迎えるはずのF-35B型(垂直離着陸型)のお守りもよろしくお願いします。
「Expeditionary Force 21」の現物(約3.4MB)
→http://www.mccdc.marines.mil/Portals/172/Docs/MCCDC/EF21/EF21_USMC_Capstone_Concept.pdf#search='Expeditionary+Force+21'
10年ぶりの本格着上陸訓練
「海軍と海兵隊が本格訓練を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-11
海兵隊の存在意義を問う
「空母、戦闘機、着上陸に捕らわれている」→http://t.co/tyFxLrq
「海兵隊は生き残れるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-16-1
「海兵隊へ再び最後通牒」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16
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