あと6年で無人ウイングマンCCAを実用化する試験準備 [米空軍]
単体新装備の試験でなく連携能力を試験するため
試験人員の養成からスタートと語る
運用可能なのか目途が立っているのか?
10月16日付米空軍協会web記事が、Kendall空軍長官が2030年までに(2020年代後半に)運用開始し、1000機から2000機の導入を想定と語っている無人ウイングマン機CCA(Collaborative Combat Aircraft)の性能確認や作戦運用試験を担当する「米空軍テストセンター」長の少将や担当部隊指揮官大佐にインタビューし、前例のない試験に臨む準備について紹介しています
CCAは、2024年度予算案の説明で空軍司令部作戦部長や計画部長が、3つの任務「shooters」「electronic warfare platforms」「sensor-carrying aircraft」遂行を期待する一方で、手頃な価格での迅速な導入を最優先にする観点から、米空軍側が要求性能を出し企業に提案させる流れとは異なり、手頃な価格範囲で企業側に何が出来ると問いかけて進める等、異例の方針を打ち出し「完成時期をどんどん前倒し中」のプロジェクトです。
その背景には、対中国作戦を「煮詰めれば煮詰めるほど」、既存の航空アセットだけでは多量の敵目標に対処しきれず、また中国に強固に防御された空域での戦いで味方有人機に多くの損害が出るリスク認識が、今ごろになって急速に高まっている現実があるとまんぐーすは理解していますが、
CCAに関する最も大きな問題は、中国最前線にCCA発進基地を確保し展開させ、敵の基地攻撃を逃れて無事離陸させ、更に航続距離を確保(空中給油?)して任務を遂行させることが可能なのか?、有人機の展開拠点や維持整備体制確保も危うい中で、多量のCCAを作戦投入可能なのか?・・・にあるとまんぐーすはネチネチと申し上げてきた次第です。
本課題については更に、2022年7月にWigston英空軍参謀総長が「(CCAより遥かに小型の)無人機の群れ研究に手ごたえを感じている」と発表した際に、正直に「依然として、無人機の群れを攻撃対象となる敵防空網内に運搬&投入する能力開発は、現在も継続中」と認めており、小型無人機でも前線投入が困難な現実と併せ、再度ご紹介させていただきます。
「英空軍参謀総長:無人機の群れ前線投入が課題」
→https://holylandtokyo.com/2022/07/28/3474/
そんな中ではありますが、今日の本題戻って、CCA受領後の米空軍試験担当である「米空軍テストセンター」幹部へのインタビュー記事から概要をご紹介します
●CCA受領後にどのような試験が求められるか、その試験はそのような組織編制で行うべきかについて検討を重ねているが、CCA受領後の試験には、前例のない様々な技術者や多方面の運用者の連携融合が求められることは間違いない。例えば、無人機運用を知る者、AIや自立化技術活用の専門家、またCCAが連携する戦闘機や作戦機運用の専門家との連携が不可欠だが、その融合が試験成功のカギとなる
●また試験を行う試験空域の運用法、各種制限、手順等も改めて見直しが必要で、CCA運用試験に関連する様々な部署と連携しつつ、同機体試験の具体的計画を検討している
●CCAに進む前段階として複数のプロジェクトが基礎研究として行われてきたが、各研究参加者はCCA試験の重要な人材であり、例えばSkyborg計画でXQ-58 Valkyrie開発に携わった関係者には、データベースインフラ構築面や戦闘機や作戦機部隊との連携試験での貢献を期待している
●またF-16改修無人機X-62Aを使用した空中戦闘機動や自立化無人機の戦術開発プロジェクト「VISTA:X-62A Variable In-flight Simulation Test Aircraft」関係者には、CCAの高度な自立運用能力試験への貢献を期待している
●更に、有人機と無人機のチーム運用検討に6機程度のF-16を活用して取り組んできた「VENOM project」(Viper Experimentation and Next-gen Operations Model)関係者には、センサーを活用した自立型航空機の更なる発展や、複数の航空機が関与する場面での試験状況確認面での貢献を期待している
●CCAは指揮統制改革面で、米空軍のABMSや統合レベルのJADC2におけるノード的な役割も期待されており、その方面での実戦的な環境での試験にも取り組む予定である
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記事の前半でも触れましたが、CCAを対中国作戦が行われる西太平洋地域の何処に展開し、どのように維持整備し、どのように作戦地域に投入するのか・・・との最もベーシックな疑問への回答が示されない限り、CCAが納入されても、性能確認や作戦運用確認試験の基礎計画さえ立案困難だと思うのですが・・・
16日付米空軍協会web記事は有能な「John A. Tirpak」編集長の筆によるものですが、有能な米軍事メディアの皆様には、是非この点を米空軍幹部に問いかけて頂きたいと思います。
無人ウイングマン機CCA関連
「AIアルゴリズム集大成試験」→https://holylandtokyo.com/2023/08/08/4922/
「2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「関連技術を23年から本格開発へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
2024-25年に安価で小型の無人システムを海空中心に大量導入
Replicator構想を国防副長官がぶち上げも・・・
「同構想を慎重に補足説明」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
「同構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
試験人員の養成からスタートと語る
運用可能なのか目途が立っているのか?
10月16日付米空軍協会web記事が、Kendall空軍長官が2030年までに(2020年代後半に)運用開始し、1000機から2000機の導入を想定と語っている無人ウイングマン機CCA(Collaborative Combat Aircraft)の性能確認や作戦運用試験を担当する「米空軍テストセンター」長の少将や担当部隊指揮官大佐にインタビューし、前例のない試験に臨む準備について紹介しています
CCAは、2024年度予算案の説明で空軍司令部作戦部長や計画部長が、3つの任務「shooters」「electronic warfare platforms」「sensor-carrying aircraft」遂行を期待する一方で、手頃な価格での迅速な導入を最優先にする観点から、米空軍側が要求性能を出し企業に提案させる流れとは異なり、手頃な価格範囲で企業側に何が出来ると問いかけて進める等、異例の方針を打ち出し「完成時期をどんどん前倒し中」のプロジェクトです。
その背景には、対中国作戦を「煮詰めれば煮詰めるほど」、既存の航空アセットだけでは多量の敵目標に対処しきれず、また中国に強固に防御された空域での戦いで味方有人機に多くの損害が出るリスク認識が、今ごろになって急速に高まっている現実があるとまんぐーすは理解していますが、
CCAに関する最も大きな問題は、中国最前線にCCA発進基地を確保し展開させ、敵の基地攻撃を逃れて無事離陸させ、更に航続距離を確保(空中給油?)して任務を遂行させることが可能なのか?、有人機の展開拠点や維持整備体制確保も危うい中で、多量のCCAを作戦投入可能なのか?・・・にあるとまんぐーすはネチネチと申し上げてきた次第です。
本課題については更に、2022年7月にWigston英空軍参謀総長が「(CCAより遥かに小型の)無人機の群れ研究に手ごたえを感じている」と発表した際に、正直に「依然として、無人機の群れを攻撃対象となる敵防空網内に運搬&投入する能力開発は、現在も継続中」と認めており、小型無人機でも前線投入が困難な現実と併せ、再度ご紹介させていただきます。
「英空軍参謀総長:無人機の群れ前線投入が課題」
→https://holylandtokyo.com/2022/07/28/3474/
そんな中ではありますが、今日の本題戻って、CCA受領後の米空軍試験担当である「米空軍テストセンター」幹部へのインタビュー記事から概要をご紹介します
●CCA受領後にどのような試験が求められるか、その試験はそのような組織編制で行うべきかについて検討を重ねているが、CCA受領後の試験には、前例のない様々な技術者や多方面の運用者の連携融合が求められることは間違いない。例えば、無人機運用を知る者、AIや自立化技術活用の専門家、またCCAが連携する戦闘機や作戦機運用の専門家との連携が不可欠だが、その融合が試験成功のカギとなる
●また試験を行う試験空域の運用法、各種制限、手順等も改めて見直しが必要で、CCA運用試験に関連する様々な部署と連携しつつ、同機体試験の具体的計画を検討している
●CCAに進む前段階として複数のプロジェクトが基礎研究として行われてきたが、各研究参加者はCCA試験の重要な人材であり、例えばSkyborg計画でXQ-58 Valkyrie開発に携わった関係者には、データベースインフラ構築面や戦闘機や作戦機部隊との連携試験での貢献を期待している
●またF-16改修無人機X-62Aを使用した空中戦闘機動や自立化無人機の戦術開発プロジェクト「VISTA:X-62A Variable In-flight Simulation Test Aircraft」関係者には、CCAの高度な自立運用能力試験への貢献を期待している
●更に、有人機と無人機のチーム運用検討に6機程度のF-16を活用して取り組んできた「VENOM project」(Viper Experimentation and Next-gen Operations Model)関係者には、センサーを活用した自立型航空機の更なる発展や、複数の航空機が関与する場面での試験状況確認面での貢献を期待している
●CCAは指揮統制改革面で、米空軍のABMSや統合レベルのJADC2におけるノード的な役割も期待されており、その方面での実戦的な環境での試験にも取り組む予定である
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記事の前半でも触れましたが、CCAを対中国作戦が行われる西太平洋地域の何処に展開し、どのように維持整備し、どのように作戦地域に投入するのか・・・との最もベーシックな疑問への回答が示されない限り、CCAが納入されても、性能確認や作戦運用確認試験の基礎計画さえ立案困難だと思うのですが・・・
16日付米空軍協会web記事は有能な「John A. Tirpak」編集長の筆によるものですが、有能な米軍事メディアの皆様には、是非この点を米空軍幹部に問いかけて頂きたいと思います。
無人ウイングマン機CCA関連
「AIアルゴリズム集大成試験」→https://holylandtokyo.com/2023/08/08/4922/
「2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「関連技術を23年から本格開発へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
2024-25年に安価で小型の無人システムを海空中心に大量導入
Replicator構想を国防副長官がぶち上げも・・・
「同構想を慎重に補足説明」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
「同構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
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