レポート:宇宙軍は衛星のSM&L(機動とロジ)重視を [サイバーと宇宙]
衛星のSM&L:Space Mobility and Logistics
機動:衛星能力を維持しつつ宇宙での位置を変える
ロジ:機能点検、修理、給油、機能増強など
1月5日Aerospace Corporationが米宇宙軍への政策提言レポートを発表し、宇宙軍も重要性を当初から理解しているものの、技術的な壁等から実質未着手の「衛星のSM&L:Space Mobility and Logistics」分野、つまり「衛星や宇宙船に機動性を持たせ、状況対応力や強靭性を高める」ための軌道上の衛星の機動性確保(つまり移動用燃料補給)や衛星への補給支援(軌道上での点検、修理、給油、能力向上)に、民間活用と民間サービス応用導入と軍独自投資開発等の複数アプローチを選択して取り組むべきと提言しています
「衛星のSM&L」は、宇宙軍が2020年6月発表の最初の文書「Spaceopower」でも、核となる5つの重要分野の一つと記述しているテーマですが、打ち上げ重量の制約の中で技術的ハードルも高く、宇宙軍創設から現在までの数年間は「運用部隊も運用部隊も関連取得計画もなかったし、機会もなかった」と認める状況にある分野だと、「Enabling a New Space Paradigm: Harnessing Space Mobility and Logistics」とのレポートは表現しています。
衛星や宇宙船に機動性を持たせ、状況対応力や強靭性を高めるに必要不可欠な要素の「衛星のSM&L」ですが、現在の衛星は限定的な推進燃料しか搭載されておらず、かつ燃料補給を受ける設計にもなっていないため、慎重な推進燃料使用を心がけているようですが、衛星が搭載する高価な機材が機能しているのに、推進燃料を使い果たして軌道上に浮かんでいるだけの状態になるのが大部分のもようです
もちろん推進燃料の搭載量を増やす検討もあったようですが、打ち上げ重量制約の範囲で、厳しい宇宙環境に耐える主任務機材の信頼性を確保するために重量がかさみ、燃料搭載量は抑えざるを得なかったのが現在の状況です
「SM&L」の「SM:Space Mobility」に直結する推進燃料補給以外にも、「SM&L」の「L:Logistics」に該当する衛星への補給支援(軌道上での点検、部品確保、修理、能力向上)も取り残された重要課題であり、同レポートは「SM&L」の課題を以下の6つに整理し議論しています
なお、「Materiel Logistics」は「衛星等の維持に必要な部品等を宇宙空間に事前集積&保管すること」、「Client Augmentation」は「軌道上の衛星のアップグレードと修理」、「Active Debris Mitigation」は「デブリを破棄するために軌道変更すること」と説明されています
• Inspection
• Orbit Modification
• Materiel Logistics
• Refueling
• Client Augmentation
• Active Debris Mitigation
レポート執筆者はこの「SM&L」改善を通じて「衛星や宇宙船に機動性を持たせ、状況対応力や強靭性を高める」ために、上記6つの各項目の特性や民間市場での自律的発展可能性を踏まえ、4つのアプローチ(参加Participant, 既存サービス調整導入Customized, テナント参加Anchor Tenant, and 自立開発運用Owner)を米宇宙軍は選択して取り組むべきと提言しています
6日付米空軍協会web記事のまとめによれば、6項目の最初の4項目については、民間衛星での需要もあることから、民間企業が進める技術開発とサービスから、打ち上げ能力、宇宙での事前配置されたリソースとデポなど、資材ロジスティクス能力を活用でき、また衛星ライフサイクルのさまざまな段階で衛星軌道を変更することが可能だと同レポートは分析しています
一方で、デブリの軽減とクライアント増強 (軌道上衛星の能力向上や修理) には、そのような機能開発や展開に、宇宙軍による多くの特設投資が必要になる場合もあると主張し、いずれにしても、米宇宙軍を21世紀の戦略環境にふさわしい宇宙戦闘部隊に発展させるには、「SM&L」検討&導入が不可欠だと同レポートの筆者3名は訴えています
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Aerospace Corporationの同レポート紹介webページ
→https://csps.aerospace.org/papers/enabling-new-space-paradigm-harnessing-space-mobility-and-logistics
引き続き、宇宙ドメインについては基礎知識不足を「露呈しぱなっし」のまんぐーすですが、「SM&L」との用語など、小さなことからコツコツと学んでいきたいと思います。
末尾に紹介しております、ブログ「東京の郊外より」支援の会へのサポートについても、年初に当たり改めてご検討をお願い申し上げます
衛星に機動性を求める米国防省の取り組み
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
衛星の延命や機動性付与技術
「衛星用の熱核推進システム推奨」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「衛星延命に企業と連携」→https://holylandtokyo.com/2021/11/10/2350/
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/
「米国防省が国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
機動:衛星能力を維持しつつ宇宙での位置を変える
ロジ:機能点検、修理、給油、機能増強など
1月5日Aerospace Corporationが米宇宙軍への政策提言レポートを発表し、宇宙軍も重要性を当初から理解しているものの、技術的な壁等から実質未着手の「衛星のSM&L:Space Mobility and Logistics」分野、つまり「衛星や宇宙船に機動性を持たせ、状況対応力や強靭性を高める」ための軌道上の衛星の機動性確保(つまり移動用燃料補給)や衛星への補給支援(軌道上での点検、修理、給油、能力向上)に、民間活用と民間サービス応用導入と軍独自投資開発等の複数アプローチを選択して取り組むべきと提言しています
「衛星のSM&L」は、宇宙軍が2020年6月発表の最初の文書「Spaceopower」でも、核となる5つの重要分野の一つと記述しているテーマですが、打ち上げ重量の制約の中で技術的ハードルも高く、宇宙軍創設から現在までの数年間は「運用部隊も運用部隊も関連取得計画もなかったし、機会もなかった」と認める状況にある分野だと、「Enabling a New Space Paradigm: Harnessing Space Mobility and Logistics」とのレポートは表現しています。
衛星や宇宙船に機動性を持たせ、状況対応力や強靭性を高めるに必要不可欠な要素の「衛星のSM&L」ですが、現在の衛星は限定的な推進燃料しか搭載されておらず、かつ燃料補給を受ける設計にもなっていないため、慎重な推進燃料使用を心がけているようですが、衛星が搭載する高価な機材が機能しているのに、推進燃料を使い果たして軌道上に浮かんでいるだけの状態になるのが大部分のもようです
もちろん推進燃料の搭載量を増やす検討もあったようですが、打ち上げ重量制約の範囲で、厳しい宇宙環境に耐える主任務機材の信頼性を確保するために重量がかさみ、燃料搭載量は抑えざるを得なかったのが現在の状況です
「SM&L」の「SM:Space Mobility」に直結する推進燃料補給以外にも、「SM&L」の「L:Logistics」に該当する衛星への補給支援(軌道上での点検、部品確保、修理、能力向上)も取り残された重要課題であり、同レポートは「SM&L」の課題を以下の6つに整理し議論しています
なお、「Materiel Logistics」は「衛星等の維持に必要な部品等を宇宙空間に事前集積&保管すること」、「Client Augmentation」は「軌道上の衛星のアップグレードと修理」、「Active Debris Mitigation」は「デブリを破棄するために軌道変更すること」と説明されています
• Inspection
• Orbit Modification
• Materiel Logistics
• Refueling
• Client Augmentation
• Active Debris Mitigation
レポート執筆者はこの「SM&L」改善を通じて「衛星や宇宙船に機動性を持たせ、状況対応力や強靭性を高める」ために、上記6つの各項目の特性や民間市場での自律的発展可能性を踏まえ、4つのアプローチ(参加Participant, 既存サービス調整導入Customized, テナント参加Anchor Tenant, and 自立開発運用Owner)を米宇宙軍は選択して取り組むべきと提言しています
6日付米空軍協会web記事のまとめによれば、6項目の最初の4項目については、民間衛星での需要もあることから、民間企業が進める技術開発とサービスから、打ち上げ能力、宇宙での事前配置されたリソースとデポなど、資材ロジスティクス能力を活用でき、また衛星ライフサイクルのさまざまな段階で衛星軌道を変更することが可能だと同レポートは分析しています
一方で、デブリの軽減とクライアント増強 (軌道上衛星の能力向上や修理) には、そのような機能開発や展開に、宇宙軍による多くの特設投資が必要になる場合もあると主張し、いずれにしても、米宇宙軍を21世紀の戦略環境にふさわしい宇宙戦闘部隊に発展させるには、「SM&L」検討&導入が不可欠だと同レポートの筆者3名は訴えています
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Aerospace Corporationの同レポート紹介webページ
→https://csps.aerospace.org/papers/enabling-new-space-paradigm-harnessing-space-mobility-and-logistics
引き続き、宇宙ドメインについては基礎知識不足を「露呈しぱなっし」のまんぐーすですが、「SM&L」との用語など、小さなことからコツコツと学んでいきたいと思います。
末尾に紹介しております、ブログ「東京の郊外より」支援の会へのサポートについても、年初に当たり改めてご検討をお願い申し上げます
衛星に機動性を求める米国防省の取り組み
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
衛星の延命や機動性付与技術
「衛星用の熱核推進システム推奨」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「衛星延命に企業と連携」→https://holylandtokyo.com/2021/11/10/2350/
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/
「米国防省が国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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