露VSウのサイバー戦風景とFedorov副首相 [サイバーと宇宙]
戦前のロシア側圧倒的有利の予想が今や・・・
31歳の副首相&デジタル大臣Mykhailo Fedorov氏が大活躍
ウ国側の組織化程度は不明も、国際義勇軍が奮闘の模様
3月21日付のYahooサイトが、ウクライナ戦争でのサイバー戦状況を解説するため、山田敏弘氏なるMIT出身のジャーナリスト47歳による「NEWSポストセブン」掲載記事を引用していますので、まんぐーすの勉強も兼ねご紹介させていただきます
山田敏弘氏は、ウクライナ軍による必死の抵抗が続く中、SNSを中心とした情報戦においてはウクライナがロシアを圧倒しており、それを指揮するミハイロ・フョードロフ副首相兼デジタル転換相(31歳)の初動対処など、その動向を紹介しています。
Mykhailo Fedorov(フョードロフ)とはどんな人物か
●1991年生まれで、ウクライナ南部の大学を卒業、デジタル系のサービスを提供する企業を立ち上げている。ゼレンスキー大統領の選挙戦でSNS関連を彼が仕切っていたこともあり、2019年に28歳の若さで副首相兼デジタル転換相に就任
●フョードロフ副首相が広く知られるようになったのは、露のウクライナ侵攻開始後の2月27日、「われわれはIT軍を立ち上げる。デジタル才能が必要だ」とツイートからだ。そして同副首相はウクライナのサイバー民兵たちを率いてサイバー攻撃を行うと同時に、世界の著名人に直接SNSでメッセージを送る。
イーロン・マスクに直談判・楽天にも
●例えば、イーロン・マスク。テスラ創業者のマスクは、「スターリンク」と呼ばれる衛星利用高速インターネットシステムを立ち上げている。このスターリンクを使うことできれば、従来のインターネット網がロシアに破壊されても、ウクライナでインターネットを継続利用できる。
●フョードロフはマスクにツイッターで「ウクライナにスターリンクを送ってほしい」と直談判し、マスクがそれに反応。「スターリンクのサービスをウクライナでスタートさせた。通信機器を送る」──そして48時間以内に、フョードロフはウクライナに届いた多量のスターリンクを写真で公開した。とんでもない時代である。
●更にフョードロフは、ロシアでビジネス展開する欧米企業トップに連絡し、ロシアビジネス停止を要請。要請に際しては公式文書を公開し、国際世論を後ろ盾にする手法を執った。
●例えば日本の楽天も無料通信アプリのViberのサービス停止を要請された。楽天は要請に応じなかったが、その代わりに、ウクライナに10億円を寄付することになり、資金は対ロシア戦に投入されている
更にSNS等を通じて様々な情報戦を
●さらにフョードロフは、無料メッセージングアプリであるTelegramチャンネルを開設し、チャンネル登録の30万人以上のハッカーやプログラマーなどにサイバー工作を実施するよう指示を出している。
●例えばTelegramで、ロシアに進出しているドイツ卸売店「メトロ」を撤退させる作戦を行ない、IT軍の兵士らに、同社のFacebookページに批判メッセージを送るよう英語の文面まで掲載している
●またある投稿では、ロシアのニュース機関のYouTubeチャンネルを凍結させるべく、YouTubeに「不適切なコンテンツ」であると通報する方法を指南している
●ツイッターでは、破壊された街の様子や、住民を助けるウクライナ兵の写真を掲載したり、世界に向けて現場の惨状を伝えている。フェイスブックでも同様の投稿が掲載されているが、それ以外にも、ロシアのプーチン大統領とショイグ国防相の電話の会話を盗聴したと思われる音声も公開されている。
●また、ロシア在住ロシア人にウクライナの実態を知らせるため、SMSや電子メール、無料通信アプリのメッセージをランダムにロシア人に送信し、直接、ロシア人にアクセスしようする試みも行われている。こうしたSNSの投稿などと合わせて、ウクライナがロシアに抵抗を続けるための資金の寄付も募っている。
義勇軍的なウクライナIT軍
●ウクライナには米軍のようなサイバー軍は存在しない。そこで、サイバー攻撃やネットでの反ロシア活動をできる「民兵」を募集したのである。実は、ウクライナは他国に比べてIT技術の高い人が多い。またこうしたSNS発進で世界中から寄付なども集まり、対ロシア情報戦が成立している様相になっている。
●ちなみに2014年にその精強さを「ハイブリッド戦」遂行能力で世界に見せつけたロシアサイバー部隊は、今回、ほとんど目立った活動をしていないように見える。その理由の一つは、ロシア侵攻数か月前の2021年10月に、米軍サイバー軍の関係者がウクライナ入りし、さまざまな対策を実施していたからだ
どんなサイバー「民兵」たちが動いているのか
●ウ紛争では多くのサイバー攻撃集団が立ち上がっている。有名なのは、「Anonymous」や「IT Army of Ukraine」。主な戦術は、ロシアの政府機関や団体などへのDDoS攻撃(大量のデータを送付でシステムダウン企図)や、ウェブサイトの改ざんである。
●「Anonymous」は、以前からハクティビスト(ハッカーとアクティビストを足した言葉)として知られるハッカーの集合体で、今回は、反ロシアの平和主義活動を行なっている。リーダーもおらず、各自が攻撃を行なう。ロシアの政府系機関や国営メディアを攻撃して、一瞬であるが、DDoS攻撃で公式サイトをダウンさせたと主張している。
●「IT Army of Ukraine」は、ツイッターなどで世界にメッセージを発信している。IT軍に参加したいハッカーたちはオンライン上のフォームに得意分野や経歴を記載して登録し、電力網や水供給システムなど重要インフラのセキュリティを担当したり、ウクライナ軍による偵察活動などを支援している。
●また、ある裕福なウ人が、ロシア政府機関のサイバー攻撃「脆弱性」通報を10万ドルで募集していたり、DDoS攻撃用のマルウェア提供している人もいる。ロシア国内の鉄道のチケットシステムを一時的に停止させた例も報告されている。
●海外を拠点とするベラルーシの「Belarusian Cyber Partisans」、フランスに拠点を置く「AgainstTheWest」、フィンランドの「NB65-Finland」、トルコの「Monarch Turkish Hacktivists」とのハクティビストが参加している
ロシア側のサイバー正規兵と「民兵」
●KGBはソ連崩壊後も事実上生き残り、主に国内担当のFSB(ロシア連邦保安庁)と、国外諜報担当のSVR(ロシア対外情報庁)として任務を続けている。こうした組織が政府系サイバー攻撃を担当。また、軍スパイ機関であるGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)もサイバー攻撃を実施している。
●更にウクライナ侵攻では、ロシアでもサイバー「民兵」が活発に動いている。有名なのは捏造記事や偽記事などをばら撒く「UNC1151(Ghostwriter)」で、ウクライナを貶めるために確認されている。ロシア拠点のランサムウェア攻撃を世界中で行なってきた「Conti」も参戦を宣言している(この「Conti」は最近、ウクライナ側からのサイバー攻撃を受けて、内部情報を暴露される失態が話題に)
●そのほか、「SandWorm」「Zatoichi」といった組織は偽情報などを拡散させる活動を、CoomingProject」はフランスに拠点を置き、「ロシア政府をサイバー攻撃するものは報復する」と表明している
●民間のこうした争いは紛争が長期化するにつれて、激化していく可能性がある。今後に注目したい。
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「サイバー民兵」と言われる人達は、政府間や国際機関の仲介による物理的戦闘の「停戦」や「休戦」や「終戦」や「講和」が成立し場合、その枠組みに従うのでしょうか?
とても収まらない気がしますし、表面上の「終戦」や「講和」が成立した後の油断をついて、更なる果実を求めてうごめく気がします
完全に関連インフラを破壊しつくすまで、延々と「仁義なき戦い」が続きそうで怖いです・・・
仁義なきサイバー戦争の一端
「サイバー傭兵の動向」→https://holylandtokyo.com/2020/08/05/515/
「ハイブリッド情報戦に備えて」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
「ドキュメント誘導工作」を読む→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
31歳の副首相&デジタル大臣Mykhailo Fedorov氏が大活躍
ウ国側の組織化程度は不明も、国際義勇軍が奮闘の模様
3月21日付のYahooサイトが、ウクライナ戦争でのサイバー戦状況を解説するため、山田敏弘氏なるMIT出身のジャーナリスト47歳による「NEWSポストセブン」掲載記事を引用していますので、まんぐーすの勉強も兼ねご紹介させていただきます
山田敏弘氏は、ウクライナ軍による必死の抵抗が続く中、SNSを中心とした情報戦においてはウクライナがロシアを圧倒しており、それを指揮するミハイロ・フョードロフ副首相兼デジタル転換相(31歳)の初動対処など、その動向を紹介しています。
Mykhailo Fedorov(フョードロフ)とはどんな人物か
●1991年生まれで、ウクライナ南部の大学を卒業、デジタル系のサービスを提供する企業を立ち上げている。ゼレンスキー大統領の選挙戦でSNS関連を彼が仕切っていたこともあり、2019年に28歳の若さで副首相兼デジタル転換相に就任
●フョードロフ副首相が広く知られるようになったのは、露のウクライナ侵攻開始後の2月27日、「われわれはIT軍を立ち上げる。デジタル才能が必要だ」とツイートからだ。そして同副首相はウクライナのサイバー民兵たちを率いてサイバー攻撃を行うと同時に、世界の著名人に直接SNSでメッセージを送る。
イーロン・マスクに直談判・楽天にも
●例えば、イーロン・マスク。テスラ創業者のマスクは、「スターリンク」と呼ばれる衛星利用高速インターネットシステムを立ち上げている。このスターリンクを使うことできれば、従来のインターネット網がロシアに破壊されても、ウクライナでインターネットを継続利用できる。
●フョードロフはマスクにツイッターで「ウクライナにスターリンクを送ってほしい」と直談判し、マスクがそれに反応。「スターリンクのサービスをウクライナでスタートさせた。通信機器を送る」──そして48時間以内に、フョードロフはウクライナに届いた多量のスターリンクを写真で公開した。とんでもない時代である。
●更にフョードロフは、ロシアでビジネス展開する欧米企業トップに連絡し、ロシアビジネス停止を要請。要請に際しては公式文書を公開し、国際世論を後ろ盾にする手法を執った。
●例えば日本の楽天も無料通信アプリのViberのサービス停止を要請された。楽天は要請に応じなかったが、その代わりに、ウクライナに10億円を寄付することになり、資金は対ロシア戦に投入されている
更にSNS等を通じて様々な情報戦を
●さらにフョードロフは、無料メッセージングアプリであるTelegramチャンネルを開設し、チャンネル登録の30万人以上のハッカーやプログラマーなどにサイバー工作を実施するよう指示を出している。
●例えばTelegramで、ロシアに進出しているドイツ卸売店「メトロ」を撤退させる作戦を行ない、IT軍の兵士らに、同社のFacebookページに批判メッセージを送るよう英語の文面まで掲載している
●またある投稿では、ロシアのニュース機関のYouTubeチャンネルを凍結させるべく、YouTubeに「不適切なコンテンツ」であると通報する方法を指南している
●ツイッターでは、破壊された街の様子や、住民を助けるウクライナ兵の写真を掲載したり、世界に向けて現場の惨状を伝えている。フェイスブックでも同様の投稿が掲載されているが、それ以外にも、ロシアのプーチン大統領とショイグ国防相の電話の会話を盗聴したと思われる音声も公開されている。
●また、ロシア在住ロシア人にウクライナの実態を知らせるため、SMSや電子メール、無料通信アプリのメッセージをランダムにロシア人に送信し、直接、ロシア人にアクセスしようする試みも行われている。こうしたSNSの投稿などと合わせて、ウクライナがロシアに抵抗を続けるための資金の寄付も募っている。
義勇軍的なウクライナIT軍
●ウクライナには米軍のようなサイバー軍は存在しない。そこで、サイバー攻撃やネットでの反ロシア活動をできる「民兵」を募集したのである。実は、ウクライナは他国に比べてIT技術の高い人が多い。またこうしたSNS発進で世界中から寄付なども集まり、対ロシア情報戦が成立している様相になっている。
●ちなみに2014年にその精強さを「ハイブリッド戦」遂行能力で世界に見せつけたロシアサイバー部隊は、今回、ほとんど目立った活動をしていないように見える。その理由の一つは、ロシア侵攻数か月前の2021年10月に、米軍サイバー軍の関係者がウクライナ入りし、さまざまな対策を実施していたからだ
どんなサイバー「民兵」たちが動いているのか
●ウ紛争では多くのサイバー攻撃集団が立ち上がっている。有名なのは、「Anonymous」や「IT Army of Ukraine」。主な戦術は、ロシアの政府機関や団体などへのDDoS攻撃(大量のデータを送付でシステムダウン企図)や、ウェブサイトの改ざんである。
●「Anonymous」は、以前からハクティビスト(ハッカーとアクティビストを足した言葉)として知られるハッカーの集合体で、今回は、反ロシアの平和主義活動を行なっている。リーダーもおらず、各自が攻撃を行なう。ロシアの政府系機関や国営メディアを攻撃して、一瞬であるが、DDoS攻撃で公式サイトをダウンさせたと主張している。
●「IT Army of Ukraine」は、ツイッターなどで世界にメッセージを発信している。IT軍に参加したいハッカーたちはオンライン上のフォームに得意分野や経歴を記載して登録し、電力網や水供給システムなど重要インフラのセキュリティを担当したり、ウクライナ軍による偵察活動などを支援している。
●また、ある裕福なウ人が、ロシア政府機関のサイバー攻撃「脆弱性」通報を10万ドルで募集していたり、DDoS攻撃用のマルウェア提供している人もいる。ロシア国内の鉄道のチケットシステムを一時的に停止させた例も報告されている。
●海外を拠点とするベラルーシの「Belarusian Cyber Partisans」、フランスに拠点を置く「AgainstTheWest」、フィンランドの「NB65-Finland」、トルコの「Monarch Turkish Hacktivists」とのハクティビストが参加している
ロシア側のサイバー正規兵と「民兵」
●KGBはソ連崩壊後も事実上生き残り、主に国内担当のFSB(ロシア連邦保安庁)と、国外諜報担当のSVR(ロシア対外情報庁)として任務を続けている。こうした組織が政府系サイバー攻撃を担当。また、軍スパイ機関であるGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)もサイバー攻撃を実施している。
●更にウクライナ侵攻では、ロシアでもサイバー「民兵」が活発に動いている。有名なのは捏造記事や偽記事などをばら撒く「UNC1151(Ghostwriter)」で、ウクライナを貶めるために確認されている。ロシア拠点のランサムウェア攻撃を世界中で行なってきた「Conti」も参戦を宣言している(この「Conti」は最近、ウクライナ側からのサイバー攻撃を受けて、内部情報を暴露される失態が話題に)
●そのほか、「SandWorm」「Zatoichi」といった組織は偽情報などを拡散させる活動を、CoomingProject」はフランスに拠点を置き、「ロシア政府をサイバー攻撃するものは報復する」と表明している
●民間のこうした争いは紛争が長期化するにつれて、激化していく可能性がある。今後に注目したい。
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「サイバー民兵」と言われる人達は、政府間や国際機関の仲介による物理的戦闘の「停戦」や「休戦」や「終戦」や「講和」が成立し場合、その枠組みに従うのでしょうか?
とても収まらない気がしますし、表面上の「終戦」や「講和」が成立した後の油断をついて、更なる果実を求めてうごめく気がします
完全に関連インフラを破壊しつくすまで、延々と「仁義なき戦い」が続きそうで怖いです・・・
仁義なきサイバー戦争の一端
「サイバー傭兵の動向」→https://holylandtokyo.com/2020/08/05/515/
「ハイブリッド情報戦に備えて」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
「ドキュメント誘導工作」を読む→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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