SSブログ

米海兵隊改革のシンボル:洋上目標ミサイル攻撃成功 [Joint・統合参謀本部]

NMESISで沿岸の無人車両から100nm離れた目標直撃
海兵隊司令官が成功を議会で報告し予算確保要請

NMESIS5.jpg4月29日、David Berger海兵隊司令官が米議会で、無人運用に改良された軽戦闘車両JLTVから発射された「naval strike missile」で、100nm沖合の海上目標攻撃試験に初めて成功したと証言し、2021年度予算で認められなかった本システム(海軍海兵機動型艦艇阻止システムNMESIS:Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)予算を2022年度予算で確保するよう要望しました

NMESISは、既に沿岸戦闘艦LCS等に搭載されている対艦対地ミサイルと、既に運用実績がある軽戦闘車両JLTVを組み合わせ、JLTVに同ミサイルを搭載し、無人運用を可能にするため「ROGUE:remotely operated ground unit for expeditionary」システムを搭載して無人ミサイル発射兵器に改良したもので、開発リスクを最小限に抑えたものです

発射試験は加州Point Mugu Sea Rangeの地上にNMESISを配置し、その沖合約100nmの洋上に設置した海上目標を攻撃する形で実施され、「naval strike missile」は仮設目標に直撃したということで

NMESIS2.jpg米海兵隊は過去20年間の対テロ作戦体制から、このNMESISや陸上発射型トマホーク巡航ミサイルを迅速に機敏に西太平洋の島々に展開させ、敵水上艦艇や輸送船を射程に収めることで対中統合作戦に貢献する方向に大改革を進めており、NMESIS試験の成功は大きなマイルストーンとなりました

一方で米議会は作戦コンセプト未成熟として、2021年度で米海兵隊が求めた地上発射型トマホーク50発導入予算約150億円を認めず、Davidson太平洋軍司令官が3月に議会で「中国抑止力を削ぐ判断だった」と2022年度予算での復活を強く要求していたところです

Berger海兵隊司令官は議会で、NMESISが既に実績のあるミサイルと戦闘車両の組み合わせでできており、開発リスクの少ない重要新装備だと強調して訴えており、米海兵隊大変革のカギを握る兵器として今後の予算確保が注目されます

4月29日付Military.com記事によれば
Berger2.jpg4月29日David Berger海兵隊司令官は米議会で、同試験におけるミサイル発射写真を議員に示しつつ、NMESIS の信頼性が高いことと対中国抑止に重要な装備であることを説明し、予算確保への協力を訴えた。なお同試験の成功は、前日の4月28日に「naval strike missile」製造のレイセオン社から発表されていた
Berger海兵隊司令官は試験成功を「海兵隊若手担当者と軽戦闘車両JLTV改修に取り組んだOshkosh Defense社の努力の賜物だ」と讃えアピールし、「JLTVの後部を改修してnaval strike missileを搭載し、更にROGUE fires vehicleとの無人運用車両改修に可能にした彼らの努力が成功の原動力だった」と紹介した

更に同司令官は、「これで我々はNMESISを米艦艇や沿岸地域に配備し、敵水上艦艇に脅威を与えることができ、海上交通路を開放することができる」、「このNMESISを有効に活用できる迅速な機動展開運用が我々の目指すべき方向である」と説明した
NMESIS3.jpgそして同司令官は、米海兵隊にとって2022年度予算で地上や艦艇配備の精密誘導火力を確保することが死活的に重要だと訴え、「海洋エリアをバリアに変え、敵の海上交通路を遮断し、我が交通路を確保することが目的だ」と述べた

同司令官はNMESISの信頼性について、「naval strike missileは既に沿岸戦闘艦に搭載され運用実績のある兵器であり、輸送や兵站ルート確保も含めて実証済みである。また搭載車両も運用実績があり信頼できるシステムである」と開発リスクや運用リスクを局限したシステムであることを強調した
/////////////////////////////////////////////////

NMESIS4.jpgBerger海兵隊司令官を中心に進められている海兵隊改革が成功するかどうかは「神のみぞ知る」世界ですが、歩兵中心で対テロ作戦を20年以上続けてきた組織が、またそれ以前は歩兵中心の着上陸作戦命で存在意義を見出してきた組織が、脇役だった「砲兵」を柱に組織改革を進める柔軟な姿勢を見せていることに感慨を覚えます

従来中心だった歩兵においても、単一兵器の専門職育成から、複数兵器を扱える多能兵士養成へと大きな改革が試行されており、米海軍や米空軍の硬直性を横目に、大変楽しみな組織力を発揮しています。注目したいです

米海兵隊の変革関連
「米海兵隊が歩兵の多兵器習熟を試行中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-27
「歩兵の多能兵士化を推進中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-27
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-05
「対潜水艦作戦にも」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-07
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-23
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。