米国防省AI研究開発は2020年に突破口を [米国防省高官]
2019年から予算倍増の勢いで成果を追求
具体的な研究対象のAI応用分野をあげて説明
8月30日、2018年6月に米国防省が設立した「JAIC:Joint Artificial Intelligence Center」のセンター長を務めるJack Shanahan中将が記者会見で、必要な人材や予算がある程度整う2020年度には、同センターとして初めて複数の「技術的なbreakthrough」を米軍にもたらすことが出来るだろうと楽観的に語り、実際に取り組んでいる具体的分野を紹介しました
2019年1月からセンター長を務めている同中将ですが、それ以前は、無人機等から大量に提供される映像情報(full-motion video)の分析にAI記述を導入する「Project Maven」の責任者として、ディープラーニング技術の活用をリードしていたということです
中国が膨大な資金と人材を投入し、併せて西側先進国やIT企業から最新AI技術を手段を選ばず入手する中、米国内には「負けつつある」との強烈な危機感があるようですが、同センター長は米議会で予算審議が行われている最中でもあるため、明るい未来を語っています
31日付C4ISRnetのweb記事によれば
●同センター長は、米国防省が大きな規模でAI技術を導入して既存技術と融合することを加速するため、人材確保や予算確保に努めていると述べ、単なる製品提供だけでなく、戦略計画、政策分析プランニング、情報分野などなどにも貢献していきたいと抱負を語った
●また、「昨年の今頃は、ほんの一握りの人のほかは、予算も恒久的に使用できる場所も無かったし、2019年度予算も今年の3月に入ってやっと使用可能な体制が整ったような状況だった」、「しかし今では、60名の研究員等や施設を確保し、既にいくつかのAI関連技術を国防省内に提供しつつある」と現在位置を説明した
●そして「まだ未確定ながら、しっかりとした2020年度予算要求も行うことが出来た」、「2019年度予算は約100億円であったが、2020年度予算には約290億円を要求した」、「2020年度予算はホワイトハウスにより230億円まで絞られ、現在議会では180億円から230億円の間で議論されている」と状況を語った
●ただ来年度の予算案に振れ幅がある中でも同センター長は、「米国防省内へのAI技術提供という点では、2020年がブレークスルーの年になるだろうと楽観視している」と明確に述べた
そして同センターが取り組むAI技術開発を挙げ、
●Predictive maintenance for the H-60ヘリ
●洪水と山火事を念頭にしたHADR
●Cyber sensemaking(焦点はevent detection, user activity monitoring network mapping)
●Information operations
●Intelligent business automation
上記の他にも、2020年度の優先事項として「AIによる maneuver and fires」を挙げ、戦闘行為に直結する
●operations intelligence fusion,
●joint all domain command and control,
●accelerated sensor to shooter timelines,
●autonomous and swarming systems,
●target development and operations center workflows.
●同センター長は、上記の中の2-3個のプロジェクトで、10月以降の半年のうちに何らかの進展が期待できると述べた。
●また「プロトタイプレベルやひらめきレベルのAI技術を、大きな規模で迅速に現場で生かせるようにするにはまだ長い道のりがあるが、急ぐ必要なあるという点で、私の問題認識は明確だ」とも強調した
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ドメイン融合を見据えた情報処理から指揮統制の迅速化、無人システムの制御、センサーからシューターへの情報分析・伝達の迅速化などに加え、異常気象がもたらす災害対処HADRにも応用が検討されているようです
それでも予算規模が300億円にも満たないとのこと・・・。大丈夫なんでしょうか?
間もなく退役するダンフォード統合参謀本部議長が、AI研究機関を中国に設けるグーグルに怒りを爆発させていましたが、そんな側面も含め、このお話だけでは、あまり喜べない気がするのですが・・・
「Dunford統参議長がグーグルに怒り」
→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-23
AI関連の記事
「人工知能シミュレータ提案を募集」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-26
「AI技術を昆虫に学べ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-1
「DARPAが新AIプロジェクトを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11-1
「中露がAI覇権を狙っている」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08
具体的な研究対象のAI応用分野をあげて説明
8月30日、2018年6月に米国防省が設立した「JAIC:Joint Artificial Intelligence Center」のセンター長を務めるJack Shanahan中将が記者会見で、必要な人材や予算がある程度整う2020年度には、同センターとして初めて複数の「技術的なbreakthrough」を米軍にもたらすことが出来るだろうと楽観的に語り、実際に取り組んでいる具体的分野を紹介しました
2019年1月からセンター長を務めている同中将ですが、それ以前は、無人機等から大量に提供される映像情報(full-motion video)の分析にAI記述を導入する「Project Maven」の責任者として、ディープラーニング技術の活用をリードしていたということです
中国が膨大な資金と人材を投入し、併せて西側先進国やIT企業から最新AI技術を手段を選ばず入手する中、米国内には「負けつつある」との強烈な危機感があるようですが、同センター長は米議会で予算審議が行われている最中でもあるため、明るい未来を語っています
31日付C4ISRnetのweb記事によれば
●同センター長は、米国防省が大きな規模でAI技術を導入して既存技術と融合することを加速するため、人材確保や予算確保に努めていると述べ、単なる製品提供だけでなく、戦略計画、政策分析プランニング、情報分野などなどにも貢献していきたいと抱負を語った
●また、「昨年の今頃は、ほんの一握りの人のほかは、予算も恒久的に使用できる場所も無かったし、2019年度予算も今年の3月に入ってやっと使用可能な体制が整ったような状況だった」、「しかし今では、60名の研究員等や施設を確保し、既にいくつかのAI関連技術を国防省内に提供しつつある」と現在位置を説明した
●そして「まだ未確定ながら、しっかりとした2020年度予算要求も行うことが出来た」、「2019年度予算は約100億円であったが、2020年度予算には約290億円を要求した」、「2020年度予算はホワイトハウスにより230億円まで絞られ、現在議会では180億円から230億円の間で議論されている」と状況を語った
●ただ来年度の予算案に振れ幅がある中でも同センター長は、「米国防省内へのAI技術提供という点では、2020年がブレークスルーの年になるだろうと楽観視している」と明確に述べた
そして同センターが取り組むAI技術開発を挙げ、
●Predictive maintenance for the H-60ヘリ
●洪水と山火事を念頭にしたHADR
●Cyber sensemaking(焦点はevent detection, user activity monitoring network mapping)
●Information operations
●Intelligent business automation
上記の他にも、2020年度の優先事項として「AIによる maneuver and fires」を挙げ、戦闘行為に直結する
●operations intelligence fusion,
●joint all domain command and control,
●accelerated sensor to shooter timelines,
●autonomous and swarming systems,
●target development and operations center workflows.
●同センター長は、上記の中の2-3個のプロジェクトで、10月以降の半年のうちに何らかの進展が期待できると述べた。
●また「プロトタイプレベルやひらめきレベルのAI技術を、大きな規模で迅速に現場で生かせるようにするにはまだ長い道のりがあるが、急ぐ必要なあるという点で、私の問題認識は明確だ」とも強調した
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ドメイン融合を見据えた情報処理から指揮統制の迅速化、無人システムの制御、センサーからシューターへの情報分析・伝達の迅速化などに加え、異常気象がもたらす災害対処HADRにも応用が検討されているようです
それでも予算規模が300億円にも満たないとのこと・・・。大丈夫なんでしょうか?
間もなく退役するダンフォード統合参謀本部議長が、AI研究機関を中国に設けるグーグルに怒りを爆発させていましたが、そんな側面も含め、このお話だけでは、あまり喜べない気がするのですが・・・
「Dunford統参議長がグーグルに怒り」
→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-23
AI関連の記事
「人工知能シミュレータ提案を募集」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-26
「AI技術を昆虫に学べ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-1
「DARPAが新AIプロジェクトを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11-1
「中露がAI覇権を狙っている」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08
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