南極を巡る米中露の動きを垣間見る [安全保障全般]
南極条約で軍事利用は禁止されているが
科学調査の名目で各国が条約崩壊に備えた活動を
衛星通信の受信器設置が重要な意味を
22日付Military.comが米軍兵士4名による南極大陸での活動を取り上つつ、1961年の南極条約で大陸の軍事化や兵器の使用が禁じられている中で、豊富な資源など大きな可能性を秘めた未開の大陸で、軍人も含めた中露を含む諸国の活動が活発化している様子を紹介していますので、昨年10月のABC報道と併せてご紹介します
南極大陸に関しては、7か国が領有権を主張(豪州、アルゼンチン、チリ、仏、英、ノルウェー、NZ)しているようですが、1961年発効の南極条約で領有権を設定せず、以下のような活動の枠組みを設定しました
(ウィキペディア南極条約→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%A5%B5%E6%9D%A1%E7%B4%84)
・南極地域の平和的利用(軍事的利用の禁止)
・科学的調査の自由と国際協力
・南極地域における領土主権、請求権の凍結
・核爆発、放射性廃棄物の処分の禁止
・条約の遵守を確保するための監視員の設置
・南極地域に関する共通の利害関係のある事項についての協議の実施
・条約の原則および目的を促進するための措置を立案する会合の開催
軍事的利用の禁止(軍事化や兵器使用の禁止:bans militarization and weapons use)を定めていますが、軍人や装備の侵入を禁じてはおらず、軍人が科学調査を支援するとの目的で活動することを妨げるものではありません。
また議定書において経済的な資源の発掘や採掘は2048年まで一切が禁止されており、この効果が切れる2048年に再び議論することが少なくとも現時点で決まっているようで、少なくとも豪州やNZが現状維持を主張する一方で、中国やロシアは開発を主張しています。開発主張のメンツからしても、いつ抜け駆けが始まってもおかしくないですね・・・
米軍人4名のチームが通信インフラ試験に
●2018年12月、米州空軍の第263戦闘通信隊の下士官4名が2週間に渡り、「Operation Deep Freeze」作戦の一環として、衛星通信や衛星通信ネットワークの構成試験を行った
●参加した軍曹は「戦術衛星通信ターミナル装置を活用して、データ容量や密度を上げた戦闘通信が局所的や一時的に提供可能か、様々な試験を行った」と語っている
●また「極地の孤立した場所にSATCOMを設置して有効に活用できるかを確認し、同時に、2021年まで継続して通信を継続できる手法の検討も行っている」とも述べた
●試験が行われた拠点は、米国がMcMurdo Stationとして維持している施設の一部で、同基地はまた、軍兵士を含む国際協力チームが「National Science Foundation's Polar Program research」の名のもとに、毎年南極点探査を行っている拠点でもある
●米国のMcMurdo Stationには、南極の夏に当たる10月から2月の間に約1000名の関係者が滞在し、種々の活動を行っている。なお米軍人4名の試験結果については公表されていない
●他国も活動を活発化させており、中国とロシアも含まれている。
●例えば中国は、McMurdo Station北西の豪州が領有を主張している地域で活発化しており、こちらも通信ネットワークの改善試験を開始しているようである
●NZの専門家は「2020年までに中国やロシアのGPSシステムが米国と技術的に肩を並べることになる」と述べており、また南極大陸に設置される受信装置が、中国やロシアによる軍事活動の範囲を世界中に拡大するだろうと述べている
豪州発ABCニュースは昨年10月
●過去10年間で、特に中国とロシアは南極での活動を活発化(又は復活)させている。
●中国の活動のほとんどは豪州が領有権を主張しているエリアで行われ、豪州はその活動を把握している。
●中国は南極大陸に、3つの恒久基地と2つの簡易基地、そして3つの飛行場を維持している
●一方でロシアは、1820年に南極大陸を発見したと主張し、その後南極で長く活動している。一時は科学調査分野で世界のリーダーだったが、ソ連崩壊で資金が激減し、3つの基地を閉鎖した
●しかしロシアは最近、再び難局に投資を再開し、科学調査と衛星通信受信機に焦点を置いている
///////////////////////////////////////////////////////////
南極条約の正確な内容や、衛星通信に関する技術的な知識があれば、より突っ込んだ説明が可能でしょうが、知識不足で中途半端な説明になってしまいました
ご興味のある方は「南極」や「Antarctic Treaty」でググってください。
それから、豪州は約2200億円をかけ、新型の南極砕氷艦(a new Antarctic icebreaker)を調達するようです。
関連のwebリンク
ウィキペディア南極条約→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%A5%B5%E6%9D%A1%E7%B4%84
外務省の南極条約解説→https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/s_pole.html
各種百科事典の南極条約解説→https://kotobank.jp/word/%E5%8D%97%E6%A5%B5%E6%9D%A1%E7%B4%84-108763
ウィキペディア南極の領有権主張
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%A5%B5%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%A0%98%E6%9C%89%E6%A8%A9%E4%B8%BB%E5%BC%B5%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
科学調査の名目で各国が条約崩壊に備えた活動を
衛星通信の受信器設置が重要な意味を
22日付Military.comが米軍兵士4名による南極大陸での活動を取り上つつ、1961年の南極条約で大陸の軍事化や兵器の使用が禁じられている中で、豊富な資源など大きな可能性を秘めた未開の大陸で、軍人も含めた中露を含む諸国の活動が活発化している様子を紹介していますので、昨年10月のABC報道と併せてご紹介します
南極大陸に関しては、7か国が領有権を主張(豪州、アルゼンチン、チリ、仏、英、ノルウェー、NZ)しているようですが、1961年発効の南極条約で領有権を設定せず、以下のような活動の枠組みを設定しました
(ウィキペディア南極条約→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%A5%B5%E6%9D%A1%E7%B4%84)
・南極地域の平和的利用(軍事的利用の禁止)
・科学的調査の自由と国際協力
・南極地域における領土主権、請求権の凍結
・核爆発、放射性廃棄物の処分の禁止
・条約の遵守を確保するための監視員の設置
・南極地域に関する共通の利害関係のある事項についての協議の実施
・条約の原則および目的を促進するための措置を立案する会合の開催
軍事的利用の禁止(軍事化や兵器使用の禁止:bans militarization and weapons use)を定めていますが、軍人や装備の侵入を禁じてはおらず、軍人が科学調査を支援するとの目的で活動することを妨げるものではありません。
また議定書において経済的な資源の発掘や採掘は2048年まで一切が禁止されており、この効果が切れる2048年に再び議論することが少なくとも現時点で決まっているようで、少なくとも豪州やNZが現状維持を主張する一方で、中国やロシアは開発を主張しています。開発主張のメンツからしても、いつ抜け駆けが始まってもおかしくないですね・・・
米軍人4名のチームが通信インフラ試験に
●2018年12月、米州空軍の第263戦闘通信隊の下士官4名が2週間に渡り、「Operation Deep Freeze」作戦の一環として、衛星通信や衛星通信ネットワークの構成試験を行った
●参加した軍曹は「戦術衛星通信ターミナル装置を活用して、データ容量や密度を上げた戦闘通信が局所的や一時的に提供可能か、様々な試験を行った」と語っている
●また「極地の孤立した場所にSATCOMを設置して有効に活用できるかを確認し、同時に、2021年まで継続して通信を継続できる手法の検討も行っている」とも述べた
●試験が行われた拠点は、米国がMcMurdo Stationとして維持している施設の一部で、同基地はまた、軍兵士を含む国際協力チームが「National Science Foundation's Polar Program research」の名のもとに、毎年南極点探査を行っている拠点でもある
●米国のMcMurdo Stationには、南極の夏に当たる10月から2月の間に約1000名の関係者が滞在し、種々の活動を行っている。なお米軍人4名の試験結果については公表されていない
●他国も活動を活発化させており、中国とロシアも含まれている。
●例えば中国は、McMurdo Station北西の豪州が領有を主張している地域で活発化しており、こちらも通信ネットワークの改善試験を開始しているようである
●NZの専門家は「2020年までに中国やロシアのGPSシステムが米国と技術的に肩を並べることになる」と述べており、また南極大陸に設置される受信装置が、中国やロシアによる軍事活動の範囲を世界中に拡大するだろうと述べている
豪州発ABCニュースは昨年10月
●過去10年間で、特に中国とロシアは南極での活動を活発化(又は復活)させている。
●中国の活動のほとんどは豪州が領有権を主張しているエリアで行われ、豪州はその活動を把握している。
●中国は南極大陸に、3つの恒久基地と2つの簡易基地、そして3つの飛行場を維持している
●一方でロシアは、1820年に南極大陸を発見したと主張し、その後南極で長く活動している。一時は科学調査分野で世界のリーダーだったが、ソ連崩壊で資金が激減し、3つの基地を閉鎖した
●しかしロシアは最近、再び難局に投資を再開し、科学調査と衛星通信受信機に焦点を置いている
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南極条約の正確な内容や、衛星通信に関する技術的な知識があれば、より突っ込んだ説明が可能でしょうが、知識不足で中途半端な説明になってしまいました
ご興味のある方は「南極」や「Antarctic Treaty」でググってください。
それから、豪州は約2200億円をかけ、新型の南極砕氷艦(a new Antarctic icebreaker)を調達するようです。
関連のwebリンク
ウィキペディア南極条約→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%A5%B5%E6%9D%A1%E7%B4%84
外務省の南極条約解説→https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/s_pole.html
各種百科事典の南極条約解説→https://kotobank.jp/word/%E5%8D%97%E6%A5%B5%E6%9D%A1%E7%B4%84-108763
ウィキペディア南極の領有権主張
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%A5%B5%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%A0%98%E6%9C%89%E6%A8%A9%E4%B8%BB%E5%BC%B5%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
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