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新装備でFA-18も空母着艦精度大幅アップへ [Joint・統合参謀本部]

「魔法のじゅうたん」がFA-18とEA-18Gにも

FA-18EF.jpg8日付Defense-Techが、新しく空母艦載機FA-18とEA-18Gに導入された着艦誘導装置「PLM」が素晴らしく着陸精度を5割向上させていると現場の驚嘆と喜びの声を伝えています。

同種の着艦誘導装置を当初から組み込まれているF-35C型機の着艦精度は、昨年8月時点で米海軍航空部隊司令官が、「100回着艦して失敗が一度も無い。100回のうち80回が理想的着艦」と表現するほどで、空母艦載機の運用を大きく変える可能性まで示唆されていた素晴らしさでした

現時点で「PLM」搭載のFA-18とEA-18Gが搭載されているのは、現在任務展開中の「George H. W. Bush」と話題の「Carl Vinson」だけのようですが、米海軍は2019年には全てのFA-18とEA-18Gに搭載する計画のようです

まだ改善の余地もあるようですが、操縦者が諸手を挙げて歓迎し、空母艦載機パイロットの資格要件や空中給油機需要を大きく変える可能性のある新技術の最新状況をご紹介します

8日付Defense-Tech記事によれば
FA-18-Bush.jpg●このMAGIC CARPET技術(Maritime Augmented Guidance with Integrated Controls for Carrier Approach and Recovery Precision Enabling Technologies)は、F-35C型機では「Delta Flight Path」と呼ばれていたが、FA-18とEA-18Gでは「PLM:Precision Landing Modes」と呼ばれている
●PLMを搭載したFA-18とEA-18Gは、共に1月から海上任務に就いている中東派遣の空母「George H. W. Bush」と、朝鮮半島周辺に所在する空母「Carl Vinson」に搭載されている

●これら主力のニミッツ級空母は、通常滑走路の1/10の長さの着陸甲板しかなく、特に夜間の着艦は大変難しいが、エンジン出力の調整と精密な機体コントロールを同時に行うところに難しさがある
PLMはエンジン出力調整操作の必要性を削減し、この代わりにフラップで下降ペースを(自動)調整するする事で、操縦者の手動操縦の負担を軽減する

●空母Bushの空母航空団司令官James McCall大佐は、空母に着艦寸前でエンジン出力を下げて下降レートを早めると、機体の操作が難しくなり、やり直しがより困難になるジレンマにパイロットは苦労してきたと語り、
●同航空団の訓練幹部は、PLMの導入で着艦の正確性が「ロケット打ち上げ並みに急上昇している」と語り、理想の着艦が繰り返されることで、3本ある着艦ワイヤーの2番目ばかりが摩耗して交換頻度が上がっていると説明してくれた。

今後の課題と取材陣の印象
FA-18EF3.jpg●昨年8月に米海軍航空部隊司令官が、同種の装置が設計段階から搭載されているF-35Cの着艦精度を、「空母甲板の同じ箇所ばかりが着艦で摩耗する」ので修理に追われていると嬉しい悲鳴で紹介していたが、空母Bushでも着艦精度は5割も向上している
2019年に全ての米海軍FA-18とEA-18GにPLMが搭載される予定である事から、今回の経験をMcCall大佐は他の艦載機航空団司令官と共有し、ノウハウの蓄積に努力している。

●ただしMcCall大佐は、現PLMの唯一の欠点として、システムの完全2重化(full redundancy)が図られておらず、システムに故障が発生した際に操縦者が手動着陸を迫られる確率がまだ高いことを指摘し、そのため若い操縦者に完全な手動着陸技術を要求する必要がある点を上げた
●そして同大佐は、早急にPLMのシステム完全2重化を実現し、操縦者の資格要件を緩和したいと語った

●前出の訓練幹部は、同航空団の操縦者の中でPLMを好まないのはPLM使用経験が少ない1名だけで着艦技量を競ったノスタルジアに浸るモノはおらず、着艦の安全と容易性を確保し、作戦任務に集中できる環境を与えてくれる同装置を最高だと語った
一方で、取材陣が5月3日と4日に空母Bushで確認した中でも、PLMを使用しながら着艦に失敗してやり直す場面を見ており、PLMが安全な着艦を保障してくれるモノではないとも感じられた
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FA-18EF2.jpg昨年8月にF-35C型機の着陸精度をご紹介した際は、「本装置導入により空母艦載機の着艦ミスが減少すれば、緊急用に空中で待機している空中給油機を削減することが出来、結果として作戦機の搭載を増加できる可能性がある」と期待効果を説明しました

そして具体的には、航空部隊司令官の「現在は空母に、6機から8機の空中給油機仕様のFA-18等を搭載しているが、この機数を削減できれば、攻撃機の搭載機数を柔軟に増やすことが可能だ。例えば、電子戦機EA-18Gや早期警戒機E-2Dの増加も考えられる」と夢を語っています

この装置で夜間着艦訓練NLPの回数が減れば、厚木などの騒音問題も軽減が期待できますし、操縦者養成短縮できそうで操縦者不足に悩む米海軍には朗報ですし、何よりも安全面での改善向上は前線部隊にとって素晴らしいことです。

ただ最後の一文「PLMが安全な着艦を保障してくれるモノではない」には要注意です。人間の慢心や注意散漫があっては、安全は確保できませんから・・。

「F-35Cの着陸精度が素晴らしい」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22

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