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新時代に向け異例人事の米空軍新ACC司令官が就任 [米空軍]

HOLMES4.JPG10日、米空軍最大のコマンドで戦闘機など主要戦力約1300機と10万人を擁する戦闘コマンド(ACC:Air Combat Command )の新しい司令官に、空軍司令部の戦略計画部長だったJames M. Holmes 中将が大将に昇進して就任しました。

このACC司令官は、上記の人員装備のほか、有事に予備役を5万人と航空機700機を動員して指揮する任務もあり、「戦闘機族のボス」の異名を持つポストです(・・・でした)

「・・・でした」とご紹介したのはまんぐーすの勝手な解釈ですが、従来の戦闘機操縦者の最上位者を「上がりポスト」に「すえる」感覚からの離脱を表明するかのような人事だからです

これは前任のカーライル大将が、単に「ボス」としてではなく、人格見識とも優れた人物として、同ポストを2014年10月から3.5年も異例の長期間務めたあたりから序章が始まっていた傾向ですが、Holmes 新司令官の経歴等からも伺えます

推定59歳での大将昇任は遅く、またACC司令官が昇任したての大将が就任するのも異例です。つまり、米空軍の変革期に当たり、「名誉ポスト」のような扱いではなく、真に適任者を就任させたのだと思います

Holmes 新司令官の経歴等
Holmes6.jpg1981年にテネシー大学を卒業(電子工学:防大25期相当)して米空軍に入隊。F-15操縦者としてファイターウェポンコース等を経験し、教官操縦者としても活躍。飛行時間は4000時間で、戦闘飛行時間も500時間を超える
大佐あたりまでの経歴は、海軍大学の上級コースを履修した以外、ほとんど一貫して戦闘機部隊かその運用を司る司令部勤務。海外勤務も、戦闘機操縦者のポストで中尉くらいで嘉手納、中佐くらいでドイツぐらい

大佐の後半くらいから、空軍司令部の作戦立案特別チーム「Checkmateチーフ」を務めた以降、太平洋空軍司令部や空軍司令部で「Strategic Plans, Programs」や「Operations, Plans and Requirements」の仕事が連続し、
●その合間に、アフガン派遣航空団の指揮官、国防省での中東関連補佐官、教育訓練コマンドの副司令官を経験
●ACC司令官の直前は、「Strategic Plans and Requirements」の最上位ポストである米空軍司令部の部長(Deputy Chief of Staff )でした。
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Holmes-ACC3.jpg米空軍は2017年に次期制空機の要求性能を固める方向であり、これには「第3の相殺戦略」の流れで検討されている新たな戦い方や技術導入がカギとなります。

このように変革期にある米軍と米空軍の重要ポストは、変革への意欲と理解がある人物をすえるのがWork副長官やSelva統合参謀本部副議長の姿勢であり、その方向性を具現化したのが今回の人事だと思います

Holmes 新司令官は、過去10年間、米空軍の長期戦略や長期装備品調達計画に一貫して取り組んできた人物で、その合間に部隊指揮官や国防省勤務を挟んだような経歴の持ち主で、米空軍の新たな体制への変革を、現場指揮官として推進する役割を命ぜられたと考えるべきでしょう。
同様の人事は、宇宙コマンド司令官についているレイモンド大将にも見られます

ご年齢からすると勤務期間は長くないのかもしれませんが、その老練老獪なご表情そのままに、組織防衛や職域防衛に走る戦闘機操縦者等を操っていただきたいと思います

Carlisle-FB2.jpgなお、これまでACC司令官だったカーラール大将は同日夜に退任式を行い、5月1日の正式退役日を前に、表舞台から去りました。

太平洋空軍司令官時に日本との関係強化に尽力した功績から、日本が異例の叙勲(旭日大綬章)を授与したカーラーイル将軍に感謝です


Holmes 新司令官の公式経歴
http://www.af.mil/AboutUs/Biographies/Display/tabid/225/Article/1108488/general-james-m-holmes.aspx

新体制への布石関連
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「統合参謀本部副議長が改革を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-27
「Holmes中将らが候補に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-09

次期制空を考える取り組み
「PCA検討はこの方向で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

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