海兵隊司令官が生活習慣にも注意喚起 [Joint・統合参謀本部]
7日、米海兵隊司令官のRobert Neller大将が25項目に亘る「隊務運営指示」を発令し、各レベルの指揮官に対して「訓練の改善」「将来作戦戦略の策定」「インフラの維持整備」等々を指示したようですが、特により個人的な生活習慣(飲酒や余暇の過ごし方等)に踏み込んだ内容が含まれたことで注目を集めています
この「隊務運営指示」は「fragmentary order又はFRAGO」と呼ばれ、2015年末に就任したNeller海兵隊司令官にとっては2回目のFRAGOだそうです。
ですから、そんなに頻繁に発令される性格の命令ではなく、じっくり部隊全体を見渡して、節目節目で長期的な指針や要望事項を部下に示す役割を担う性格の命令です
なんと言っても日本とも関係が深い米海兵隊の隊務運営と、兵士の生身の姿を感じることが出来る今回のFRAGOですので、全文を確認したわけではありませんが米軍事メディアからつまみ食いで興味ある部分をご紹介します
7日付Military.com記事によれば
●7日にNeller海兵隊司令官が発令した司令官として2回目のFRAGOは25項目から構成されているが、より兵士の個人的生活習慣に言及している点で注目を集めている
●同司令官は2016年に亡くなった152名の海兵隊員に言及しつつ、戦闘行動での死者は僅かに1名で、自殺が35名、そしてその他の「不注意や乱暴な行為」に起因する事件や交通事故の犠牲者を悼んでいる
●Neller大将は「もっと上手くやれるのではないか。お互いに注意し合っていい仕事をしなければならない」と呼びかけている
●今月行ったインタビューでも、同司令官は防ぐことの出来る死亡事故が多発している現状を、部隊に対して注意喚起したいと訴えていた
●そして「海兵隊員の多くが所属する部署や大隊程度の範囲にしか視野が向いておらず、ストローの穴から世界を見るような狭い世界で暮らしているように危惧している」と表現し、「海兵隊員皆に、より大きな組織に属し、全員でその任務を遂行しているのだと言う事に思いを致して欲しい」とも語っていた
●具体的には、海兵隊員が関連する家庭内暴力、性的暴行、いじめ等、違法で暴力的な危険行為の多くが飲酒と関連していると、同司令官は指摘していた
●今時のFRAGOの中でも、同司令官は過度の飲酒や喫煙、更に食生活の乱れを「敵を利することになる」「自己虐待」だと断じ、「スマホなど電子デバイスを脇に置き、安楽椅子から離れ」、食事のバランスを考えて体重管理を行い、健康管理を再確認せよと記している
●司令官は、海兵隊がフィラデルフィアのバーで1775年に行われた議論から生まれた歴史や、酒を楽しみつつ部隊の団結をはかる海兵隊文化を承知しつつ、あえて過剰飲酒の問題をFRAGOで取り上げたのだ
●「我々の文化の一部だから、難しいことは判っている。しかし海兵隊員には、プロなんだろ、戦場に行くんだろうと言うべきだと考える。君の能力発揮を妨げるような事をするべきではないと言うべきだ」と司令官は語った
●ただし、具体的な飲酒量や制約を課す予定は無いとも同大将は述べ、自分自身に対し、その習慣が自らの成功を邪魔しているのではないか問いかけるよう促したいと語っている
余暇の過ごし方や勉学の勧めも
●同司令官は、司令官の推薦図書から少なくとも5冊以上は読むことや、より高い学位の取得を目指すよう部隊や兵士に呼びかけており、海兵隊の開発コマンドに、下士官に学士や同程度の学位や資格を取得させる計画を検討するよう命じている
●また同司令官は、現在はあまり人気が無い、一端軍務を離れてあらたな勉学や経験を積む「Career Intermission Program」を推奨している。更に、大きな海兵隊基地と地域の大学が協力し、下士官に学位取得や能力開発の機会を提供する取り組みにも着手している
●今回のFRAGOの最後の項目は、建設的な意味で「もっと楽しめ:Have more fun」と推奨している。兵舎で過ごすばかりでなく、サーフィンを始めるも良し、新しい語学を学ぶも良し、仲間や社会とのつながりを持ったり、地域の自然に親しんだりして余暇を過ごして欲しいと呼びかけている
●また、海兵隊の訓練の厳しさから逃げるのではなく、「仲間とぶつぶつ文句を言いながらも、笑い飛ばして取り組め。共に乗り越えた苦難は団結を強固にする。退役する時になって、一番思い出すのがこんな時の事なんだ」と兵士に示している
///////////////////////////////////////////////////
沖縄の基地反対派の皆さんから見れば、海兵隊員はとんでもない奴らだ・・・になるのかも知れませんが、全く持って人間臭いというか、万国共通というのか、程度の差はあれ指揮官やリーダーの悩みはいずこも同じというのか、社会の縮図というのか・・・色々と考えさせられる海兵隊司令官の指示(俺の思いを感じてくれ文書)でした。
152名の犠牲者の中で、「result of combat action」が「Only one」だとは、驚きの統計です。
でもなんと言っても、国防長官も副長官も、更に軍人トップの統合参謀本部議長までもが「海兵隊出身者」という、確率的にもあり得ない、偶然とは思えない現在の国防省の態勢です。
強面の代表格で、それらしい風貌のRobert Neller米海兵隊司令官に置かれましては、ますます士気高く頑張って頂きたいと思います!!!
Neller海兵隊司令官の関連
「基本的な防御手段を復習せよ」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23
この「隊務運営指示」は「fragmentary order又はFRAGO」と呼ばれ、2015年末に就任したNeller海兵隊司令官にとっては2回目のFRAGOだそうです。
ですから、そんなに頻繁に発令される性格の命令ではなく、じっくり部隊全体を見渡して、節目節目で長期的な指針や要望事項を部下に示す役割を担う性格の命令です
なんと言っても日本とも関係が深い米海兵隊の隊務運営と、兵士の生身の姿を感じることが出来る今回のFRAGOですので、全文を確認したわけではありませんが米軍事メディアからつまみ食いで興味ある部分をご紹介します
7日付Military.com記事によれば
●7日にNeller海兵隊司令官が発令した司令官として2回目のFRAGOは25項目から構成されているが、より兵士の個人的生活習慣に言及している点で注目を集めている
●同司令官は2016年に亡くなった152名の海兵隊員に言及しつつ、戦闘行動での死者は僅かに1名で、自殺が35名、そしてその他の「不注意や乱暴な行為」に起因する事件や交通事故の犠牲者を悼んでいる
●Neller大将は「もっと上手くやれるのではないか。お互いに注意し合っていい仕事をしなければならない」と呼びかけている
●今月行ったインタビューでも、同司令官は防ぐことの出来る死亡事故が多発している現状を、部隊に対して注意喚起したいと訴えていた
●そして「海兵隊員の多くが所属する部署や大隊程度の範囲にしか視野が向いておらず、ストローの穴から世界を見るような狭い世界で暮らしているように危惧している」と表現し、「海兵隊員皆に、より大きな組織に属し、全員でその任務を遂行しているのだと言う事に思いを致して欲しい」とも語っていた
●具体的には、海兵隊員が関連する家庭内暴力、性的暴行、いじめ等、違法で暴力的な危険行為の多くが飲酒と関連していると、同司令官は指摘していた
●今時のFRAGOの中でも、同司令官は過度の飲酒や喫煙、更に食生活の乱れを「敵を利することになる」「自己虐待」だと断じ、「スマホなど電子デバイスを脇に置き、安楽椅子から離れ」、食事のバランスを考えて体重管理を行い、健康管理を再確認せよと記している
●司令官は、海兵隊がフィラデルフィアのバーで1775年に行われた議論から生まれた歴史や、酒を楽しみつつ部隊の団結をはかる海兵隊文化を承知しつつ、あえて過剰飲酒の問題をFRAGOで取り上げたのだ
●「我々の文化の一部だから、難しいことは判っている。しかし海兵隊員には、プロなんだろ、戦場に行くんだろうと言うべきだと考える。君の能力発揮を妨げるような事をするべきではないと言うべきだ」と司令官は語った
●ただし、具体的な飲酒量や制約を課す予定は無いとも同大将は述べ、自分自身に対し、その習慣が自らの成功を邪魔しているのではないか問いかけるよう促したいと語っている
余暇の過ごし方や勉学の勧めも
●同司令官は、司令官の推薦図書から少なくとも5冊以上は読むことや、より高い学位の取得を目指すよう部隊や兵士に呼びかけており、海兵隊の開発コマンドに、下士官に学士や同程度の学位や資格を取得させる計画を検討するよう命じている
●また同司令官は、現在はあまり人気が無い、一端軍務を離れてあらたな勉学や経験を積む「Career Intermission Program」を推奨している。更に、大きな海兵隊基地と地域の大学が協力し、下士官に学位取得や能力開発の機会を提供する取り組みにも着手している
●今回のFRAGOの最後の項目は、建設的な意味で「もっと楽しめ:Have more fun」と推奨している。兵舎で過ごすばかりでなく、サーフィンを始めるも良し、新しい語学を学ぶも良し、仲間や社会とのつながりを持ったり、地域の自然に親しんだりして余暇を過ごして欲しいと呼びかけている
●また、海兵隊の訓練の厳しさから逃げるのではなく、「仲間とぶつぶつ文句を言いながらも、笑い飛ばして取り組め。共に乗り越えた苦難は団結を強固にする。退役する時になって、一番思い出すのがこんな時の事なんだ」と兵士に示している
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沖縄の基地反対派の皆さんから見れば、海兵隊員はとんでもない奴らだ・・・になるのかも知れませんが、全く持って人間臭いというか、万国共通というのか、程度の差はあれ指揮官やリーダーの悩みはいずこも同じというのか、社会の縮図というのか・・・色々と考えさせられる海兵隊司令官の指示(俺の思いを感じてくれ文書)でした。
152名の犠牲者の中で、「result of combat action」が「Only one」だとは、驚きの統計です。
でもなんと言っても、国防長官も副長官も、更に軍人トップの統合参謀本部議長までもが「海兵隊出身者」という、確率的にもあり得ない、偶然とは思えない現在の国防省の態勢です。
強面の代表格で、それらしい風貌のRobert Neller米海兵隊司令官に置かれましては、ますます士気高く頑張って頂きたいと思います!!!
Neller海兵隊司令官の関連
「基本的な防御手段を復習せよ」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23
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