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米軍被害復旧部隊を沖縄から追い出した日本 [米空軍]

最重要部隊を排除した「日米地位協定」

Silver Flag3.jpg22日、多くの日本人がクリスマス&年末休みモードに入り、誰も航空自衛隊webサイトなど見なくなるタイミングに見計らったように、既に12月8日に終了した日米共同の滑走路等の被害復旧訓練「Silver Flag」の様子を、航空自衛隊webサイトが公表しました

グアム島アンダーセン基地で行われた同演習には、航空自衛隊から28名が参加し、滑走路や配管の緊急補修訓練、応急タンク設置訓練、CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練などが行われた模様で、写真付きで空自webサイトが紹介しています

もちろん訓練は重要で「ご苦労様」な事ですが、恐らく訓練に参加した空自部隊の隊員は、「対処に必要な装備や資材は旧式のママで、基地施設は強靭化どころか老朽化対策さえ進まないのに、米軍の訓練に付き合わされても前進しようがない」「戦闘機関連だけに予算を付け、他分野を放置して置きながら、対外宣伝用の写真撮影用に訓練に参加させられても白ける」との声が聞かれるのでしょう

12月22日の目立たない広報記事
http://www.mod.go.jp/asdf/news/release/2016/1222/
11月25日の事前ピンナップ
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H28/1125.pdf

Silver Flag.jpg前座が長くなって恐縮ですが、今回の空自「Silver Flag」参加には一つ疑念があります。

・・・というのは、事前ピンナップで「航空自衛隊として昨年のオブザーバー参加に引き続き、初めての参加」と今回の参加を発表しておきながら、実は今年2月に約1週間に亘り「Silver Flag」に既に参加しており、事実と食い違うのです

なお、今年2月の参加は全くピンナップも事後広報もなく、同時期にグアム島で行われていた「Cope-North Guam演習」のピンナップにも関連訓練は全く触れられていません

グアムにおける日米豪共同訓練及び日米豪人道支援・災害救援共同訓練(通称:Cope-North Guam演習)の事前ピンナップ
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H27/0122.html

しかし米空軍webサイトはしっかり報道
http://www.af.mil/News/ArticleDisplay/tabid/223/Article/674215/first-partner-nation-silver-flag-concludes-at-andersen-afb.aspx

Silver Flag2.jpg●2月19日までの約1週間、米空軍、豪空軍、シンガポール空軍、韓国空軍、航空自衛隊が参加して「Silver Flag」を実施
●演習では、展開先の拠点整備訓練、基地機能維持訓練、敵攻撃被害の復旧訓練が計画され、専門職域毎に指揮統制、電気系統、発電機運用、滑走路被害復旧、緊急事態対処部門に分かれて訓練した

●演習後半には、CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練、航空機降着装置、飛行場灯火装置、高圧電源発電機や供給システムの訓練も行われた
●米空軍の参加兵士は「CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練の経験が全くない外国兵士に教育しろと言われて驚き戸惑ったが、直ぐに理解してくれ、教えたように行動してくれたことに感激した」と感想を語った

なぜ、11月から12月の「Silver Flag」参加を「初めての参加」と偽って発表したのか・・・多国籍訓練だからか、韓国が含まれていたからか、CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練が含まれていたからか、Cope-North Guam演習に含めるはずが失敗したのか、単にピンナップ準備を怠ったのか・・・謎です。

単に航空自衛隊を牛耳る戦闘機パイロットの関心が低かったので、無視されていたのかも知れませんが・・・


本題はここからです!!!
(2012年3月1日付Stars&Stripes沖縄版より)
http://okinawa.stripes.com/base-info/kadena-silver-flag-site-officially-stands-down-moves-guam#sthash.MzDYeWur.dpbs
Silver Flag4.jpgこの航空自衛隊の動きを調べる過程で「Silver Flag演習」を勉強していて判明したのですが、なんと、この「Silver Flag演習」を担当する優秀な米空軍の被害復旧部隊が、「日米地位協定」を理由に沖縄を去ることを余儀なくされていたのです。

中国が弾道・巡航ミサイルで、第一列島線上の米軍や自衛隊の作戦基盤基地を緒戦でたたきつぶそうとしていることは繰り返しご説明してきましたが、そんな攻撃への抑止力の重要な一部を担う戦闘機部隊よりも重要そうなこの部隊が、グアムへの移動を強いられていたのです

具体的には嘉手納基地に所在していた「554th RED HORSE Squadron」「security forces squadron」「36th Contingency Response Group」が、2012年2月21日に部隊閉鎖の憂き目に遭い、関連施設の整備も含めてグアムで完全復活するまで約4年が必要となったのです

理由はなぜか???それは「日米地位協定」が、在日米軍基地や演習場内で日米以外の国が訓練することを認めないからです。

Silver Flag5.jpg米軍は中国の脅威の変化を踏まえ、西太平洋の同盟国軍に対し、基地被害復旧訓練を嘉手納の施設を使用して実施したかったのですが、「日米地位協定」がそれを許さず、日本側の「脅威の変化」への理解も得られず、4年もの訓練の空白を生みつつ撤退を余儀なくされたのです

脆弱な嘉手納基地からグアムへ撤退したかったのかも知れませんが、いずれにしても、お金を払ってでも日本に残ってもらいたい部隊でした・・・。
「覆水盆に返らず」「後の祭り」状態なのですが、返す返す残念です・・・

英国空軍の戦闘機が三沢基地周辺で訓練することは認めておきながら、そんな部隊より遙かに重要な米軍部隊の活動を縛り、日本の国益を害するなんて・・・(涙)

「意味不明な日英戦闘機訓練」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-18

何のための地位協定なのか・・・軍属の範囲云々・・・だけでなく、本質的な部分も見直して欲しいですね・・・悲しい

中国の攻撃に備えて
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

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