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カナダ暫定FA-18購入でF-35議論当面回避か [亡国のF-35]

カナダのイケメン新首相:なかなかの策士か

Trudeau.jpg6日付Defense-Newsは、F-35導入反対を掲げて誕生したカナダの新政権(Liberal Party:自由党)が、前政権(保守党:Conservative Party)が決定していた65機のF-35購入決定を不適切だとしつつ、一方で国防やNATO任務を果たす戦闘機不足に対処するため、暫定当面の措置(interim basis)として、FA-18(CF-18)の追加購入を検討していると報じています

6日付カナダ紙「The National Post」の報道を紹介したもので、カナダ国防省とFA-18製造のボーイングが既に協議を行っており、カナダ側が企業提案に「大いに乗り気」だと報じているようです

もちろんカナダ国防省もボーイングも何も認めていませんが、国防の必要性からFA-18緊急調達が必要だとすることで新たな機種選定を含むF-35議論を先送りでき、新政権の公約も守れる巧妙な「策」である事は間違いありません

また関連でカナダ新首相は7日議会で、「前政権が残したデタラメを正すのが役割」と発言し、大きく報道されています

まず6日付Defense-News記事は
Trudeau2.jpg●F-35購入撤回を掲げて誕生したトルドー新首相だが、F-35を除いて新戦闘機を選定し直すことは法的な係争につながりかねず、またカナダ空軍がF-35を望んでいることからも、単純な問題ではない
●ただし、6日のカナダ「The National Post」紙が報じたFA-18の暫定調達案は、次期戦闘機選定問題を2020年代後半まで先送りできる可能性も有り、公約を守りつつ、老朽化が進む同空軍CF-18問題にも対応可能な策である

●カナダのHarjit Sajjan国防相は先週、CANSEC国防展示会で「カナダはNATOや北米防空コマンドへのコミットメントを果たすため、作戦可能な戦闘機機数を確保する必要がある」と述べ、「2020年代には戦闘機の機数不足が予想されているが、現実化することは受け入れがたい」と伏線を張るような発言をしている
●軍需産業関係者によれば、最近ボーイングはカナダに対し、FA-18の「暫定調達」計画を提示し、カナダ側から極めて良い感触を得た模様である

8日付Defense-News記事は
Trudeau4.jpg●カナダ紙が報じた新政権によるFA-18暫定購入計画は、7日のカナダ議会に嵐を起こした。トルドー新首相は報道には直接触れず、「前政権が残したデタラメを正すのが役割」と発言した
●また同首相は「前政権は過去10年間、カナダとカナダ軍に必要とされる装備を提供する機会を逃し続けてきた」、「能力発揮にはほど遠いある航空機(F-35)に固執してきた」と議会で述べ、F-35購入計画を厳しく非難した

●前政権の国防省高官は、新首相は公正でオープンな機種選定を掲げて当選した経緯もあり、F-35を当初から除外して他機種(FA-18、タイフーン、グリペン)から選ぶことできないと指摘している。F-35が除外されれば、当然ロッキード社も黙ってはいないだろう
●しかし、国家安全保障上のニーズを確保するための「暫定で当面の措置:interim basis」と説明すれば、選定を経ずに既存の機種の最新版を購入可能だとの見積もりがある

●また新政権は、カナダ空軍戦闘機は北米防衛が第一任務であり、ステルス性を備えた第一撃能力は不要だとの考え方である
カナダ政府がボーイングと暫定購入を協議したとされる機数は不明で、ボーイングは本件に関する質問には回答がなくロッキードも本件に関してはカナダ政府と接触していないとコメントしている
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F-18.jpg伊勢志摩サミットのため、各国首脳の中では日本に一番乗りし、そのイケメンぶりとラフな格好で吉野の山の散策(奥様と手をつないで)を楽しむ様子で、日本での女性人気急上昇のJustin Trudeau首相ですが、「F-18暫定購入作戦」が本当だとすれば、かなりの「策士」です

米海軍もFA-18の追加購入に動いて生産ライン維持が決まったタイミングでもあり、単なるF-35拒否ではない米国対策として、「なるほど!」と納得のアイディアです。
そう遠くない将来に、F-35の単価は加速度的に上昇するでしょうから、そのタイミングで選定話を持ち出せば「F-35排除」は十分可能でしょう。

米国の圧力に屈するかと思われたカナダ新政権ですが、粘り腰を発揮しています・・・
日本の戦闘機命派への対応に、何とか活用できないですかねぇ・・・この手法・・・

カナダとF-35
「新政権もF-35になびく?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-24
「カナダにF-35反対首相」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-22

「亡国のF-35」問題を概観する記事
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「民間団体が辛辣なF-35現状評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-20

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