米国防長官が第2のDIUx設置を発表 [カーター国防長官]
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また、DIUxを国防省の官僚機構を経ず、国防長官直轄にしての迅速な先端技術導入を促進すると決断し、関連人事配置にかなり大胆な采配を振るっています。
まんぐーすから見ると、国防省官僚の闇と改革派カーター長官の対決構図ですが、来年1月には新政権誕生で切える運命にあるカーター長官の頑張りを応援します
11日付米国防省web記事によれば
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●「F-16が装備していない一方で、民間のセスナ操縦者はiPADにアプリをダウンロードして簡単に利用しているのに・・・」と問題点を例示して語った
●そしてShah氏は、「このような民間技術を国防省内に導入する場合、前線に配備するまでに何年もかけ、多額の費用が必要となることが常であった」と述べ、このような課題を解決したいと意気込みを語った
●カーター国防長官は、新たな前線の要望と新たな技術を結び付け、具体化するのは人であり、それなくして技術は意味を持たないと述べ、人材の交流にも投資すると説明した
カーター長官は民間能力活用の意義を語り
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●既に彼らは退役軍人省と国防省のデータ共有を支援してくれ、次世代GPSの保全強化に関与してくれているチームもある
●また、性的襲撃(sexual assaults)の追跡システムの改善に当たってくれているグループは、国防省約300万人の出張事務を円滑にするため、民間クラウド技術の大規模導入に今月末から取り組んでくれる
●一般のハッカーに国防省システムの脆弱箇所を指摘してもらう試み「Hack the Pentagon」計画では、既に80個もの「バグ」が発見され、システム強化に生かすことが可能になっている
●今回、2つ目のDIUxを設置することになっているが、昨年DIUxを創設以来、その有効性がより明確になった。米国内には最新技術をリードする地域が多数あり、2つ目のDIUxを開設することとした
●これら施策のための予算として、来年度予算に約33億円を要求している。その中には、これまで国防省事業とは関係の薄かった企業の技術を生かすための予算も含まれている。この規模の予算は出発点に過ぎないが。
●DIUxは国防長官に直接報告する仕組みにしている。迅速な意思決定を重視することから、この任務に私が直接当たることにした
しかし11日付Defense-News記事は・・・
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●「国防省を強制的に先端技術企業と仕事させることにより、国防省自身の姿を鏡に映して見せる事が出来ると信じているし、組織の健康を保つために必要なことだ」
●「この試みは国防省に成功の道を示してくれるだけでなく、近道を教えてくれる。先端技術企業と如何に付き合っていくかとの視点と、最先端技術を国防省に迅速に取り込むという視点においてである」
●「シリコンバレーのやり方と技術を直接導入するためのDIUxだが、経験を基礎にこれを更に改善し、世界の情勢により機敏になるためDIUx 2.0.を開始する」
●「DIUxに命じ、国防省内にある迅速調達専門部署や研究開発部門との連携強化を図る」、「DIUxは迅速性が鍵となる調達執行を行わせ、企業ビジネスのスピードで仕事をさせる」
また現在のDIUx責任者を更迭し・・・
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●また指導的役割を果たす3名を紹介
退役軍人でソフト会社創設者
NSCや統合参謀本部議長の元補佐官
Google Xの元執行役員
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米国防省webサイトの記事と、Defense-News記事の温度差を強烈に感じます。
来年1月に新政権が誕生するまでにDIUxを軌道に乗せよう、官僚制の弊害から隔離しよう、成果を確実なものにしよう・・・とのカーター長官の強い思いが伝わってきます。
と同時に、カーター長官の発言を素直に報じない米国防省公式webサイトの「思惑」を図りかねます・・・。報道機関を前にした発言なのに・・・。
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議会からは、カーター長官が主導する先端技術迅速導入のための取り組みの有効性と要求予算額について疑問の声(33億円以外の、精子や卵子の冷凍保存などを含む人的支援施策予算全体への疑問)も上がっていますし、今後の予算審議で精査される可能性もあります
またCNASのレポートが指摘するように、ペンタゴンの官僚機構が、トップダウンの改革に追随できていない状況も聞こえてきます。
更には、大統領選挙を経て来年誕生する新政権の国防長官が、これら取り組みをどのように扱うかも「不透明感」に包まれています
でも・・・そんなことは最初から十分理解しつつ、昨年から全力で関連改革に取り組むカーター長官とWork副長官に対し、東京の郊外よりエールを送ります
技術優位確保の各種施策と課題
「CNASが課題を指摘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-02
「繊維素材開発の官民連合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-05
「人材確保・育成策第1弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「FlexTech Alliance創設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-31
「サイバー戦略事前説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-19
「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
「スタンフォード講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
次期政権に技術革新をどう引き継ぐか?
「Work副長官が仕込みを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
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