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UCLASSは空中給油機CBARSに大後退? [Joint・統合参謀本部]

追伸、カーター国防長官は2日午前ワシントンDCのEconomic Clubで2017年度予算案について講演しましたが、本件に関し言及しませんでした
http://www.defensenews.com/story/breaking-news/2016/02/02/carter-unveils-budget-details-pentagon-requests-5827b-funding/79686138/
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UCLASS構想は空中給油機で終わるのか?

UCLASS.jpgなんと1日付Defense-News記事は、2014年夏以降、要求性能を巡り米海軍と国防省と米議会を巻き込んで議論が紛糾しているUCLASS(空母艦載無人攻撃&偵察機)構想に関し、米国防省が「艦載空中給油機」として要求を固め、2日のカーター国防長官による2017年度予算案説明会見で発表すると報じています。

UCLASSは当初、空母から運用可能で、強固に防御された空域をステルス性で突破でき、攻撃とISR任務をはじめ多様な任務を遂行可能な、米海軍による将来戦力投射の中核兵器とのイメージが描かれ(専門家やシンクタンク)、当時CSBA研究員だった現Work副長官もその提唱者でした

また、UCLASSに必要な基礎技術を確立するデモ機として、Northrop Grumman社がX-47B開発を請け負い、2013年から14年にかけ、B-2爆撃機を小型化したような機体で空母離発着や甲板上の取り回し試験を成功裏に行い、空中給油(受油のみ)試験もクリアしていました

しかし米海軍内の予算制約と有人機操縦者の職域防衛から(軍事メディア情報http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01)、2014年に米海軍がまとめた要求性能は「ISR任務を中心とした軽攻撃無人機」に姿を変えて提出され、国防省がこれに待ったをかけ、今に至るまで「音沙汰なし」の状態が続いていました

1日付Defense-News記事によれば
X-47B Roosevelt.jpg●2014年夏後半から、米海軍と国防省と米議会を巻き込んで紛糾してきたUCLASS要求性能議論に関し、国防省としての結論が出る模様である。攻撃機でも偵察機でもなく、少しISR能力のある空中給油機である
その名はCBARS(Carrier-Based Aerial-Refueling System)で、2日にカーター国防長官が行う2017年度予算案(9日に議会へ提出)説明会見で明らかになる可能性がある

●本件に関し、複数の情報筋は「CBARS」について認め、全ての情報筋は攻撃能力については将来に先送りされたと語っている
●仮にそうだとしたら、UCLASSに突破力のある攻撃機能力付与を米海軍に指示し、2016年度のUCLASS予算に国防省要求の2.5倍の400億円以上を配分した米議会にとっては、受け入れられない提案だろう。

米議会は、「ふさわしい航続距離と搭載量と生存性を具備した攻撃作戦能力を備え、空母艦載機としての運用化可能な設計にすべき」と要望しており、空中給油能力については触れていない
●また国防省は(UCLASS要求性能議論が紛糾した)2014年夏以降、米軍全体でのISR能力分析と再評価を行っており、その結果はいまだ明らかになっていない

X-47B refuel.jpg空母艦載ステルス無人機に必要な基礎技術を確立するデモ機として、Northrop Grumman社がX-47B開発を請け負い、2013年から14年にかけ、空母離発着や甲板上の取り回し試験を成功裏に行い、2015年には空中給油(受油のみ)試験もクリアしている。UCLASSはこの技術を受け継ぐものと考えられている
米海軍は、様々なタイプの航空機に空中給油任務を負荷してきた。A-3, A-6 Intruder,S-3 VikingやF/A-18であり、給油任務の際には専用のポッドを装着し、攻撃任務の際には兵装に変えて使用していた

●仮にCBARSが実現すれば、空中給油用の初の空母艦載機となる。しかし、これまで空中給油任務だけのために高度な航空機を開発したことはなく、実現すれば極めて異例となる


UCLASSの代わりにF-35とFA-18に予算を
(1日付米海軍協会web記事より)
UCLASS1.jpg●1日付米海軍協会web記事は、米国防省は2017年度予算要求において、UCLASS計画をCBARSに変更し、F-35C型調達の加速とFA-18の追加購入に軸足を変更すると報じている
●この3点セットの動きは、米海軍の攻撃機不足(中東での酷使からFA-18損耗が激しい)に対応し、ステルス機をより速く空母艦載機に導入し、同時に空母艦載機に無人機導入の道を開くことを同時追求するための方針変更である

Work国防副長官が率いる「UAV strategic program review」の結果として、2017年度予算においてはF-35C型を15機、2018年度予算でFA-18を追加で14機購入する計画となっている模様
●また、F-35用の完成版ソフト「3F」の開発促進し、2018年8月の米海軍F-35初期運用体制確立を予定通り進めることも努力重点となる

CBARSに関しては、効率的な「wing-body-tail」形状が有力とみられるが、X-47Bで開発したコントロールシステムが利用可能なX-47Bのような「デルタ翼」形状の可能性もある
●米海軍にとってCBARS開発の重要部分は、機体の空母甲板上、離発着及び空母周辺でのコントロールシステムとなろう。
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UCLASS2.jpg国防省内での議論をどのように説明するのか、米議会との関係はどうなるのかF-35の犠牲になったのではないか? 将来への投資を犠牲にしたのでは?、2017年度予算で何を要求するのか、運用開始時期はいつ? 今後の日程は?・・・等々、様々な「?」が浮かぶ記事です。

日本時間の2日夜の時点ではここまでの情報しかありませんが、米国時間2日午前中に、大統領選挙の各党予備選挙の発表とぶつけてカーター長官が行う予算案説明に注目です!
気力があったら、どんでん返しがあったら、この記事に追記いたします

UCLASS関連の過去記事
「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1
「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12
「関連企業とRFP最終調整へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-19

「会計検査院が危惧」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-10
「X-47B空中受油に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-05
「なぜUCLASSが給油任務を?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02-1

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コメント 1

名無しA

負荷の大きい空中給油ミッションでスーパーホーネットのフレーム寿命が凄い勢いで削れてるので、
完成するまで何年かかるかわからない先進的な無人攻撃機よりも、
スーパーホーネットの負担を肩代わりできる、
すぐに完成できて実際に役に立つ無人空中給油機で、
今海軍に足りてない任務をさせつつ無人機の作戦運用の実績を重ねていこうという考えでしょう
後退というよりも堅実さをとった選択では

ステルス爆撃ミッション自体はF-35Cでもできるけども、
スーパーホーネットの代わりに空中給油できる機体は現在存在しませんので
by 名無しA (2016-02-05 14:40) 

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