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米陸軍は何を?:国防省ASB室閉鎖の中で [Air-Sea Battle Concept]

Marine-okinawa.jpg24日付Defense-Newsは、先日ご紹介した米国防省エアシーバトル室閉鎖と統合参謀本部J-7への業務移管に関連し、米陸軍がどのような動きを見せているか報じています

「エアシーバトル室」から「除け者」にされた腹いせに、海兵隊や特殊部隊コマンドと結託して独自のコンセプト検討を立ち上げたり、海兵隊に嫌がられながら海兵隊の「まね」をしたり・・の様子が皮肉っぽく紹介されています

A2AD対処を念頭に、中国大陸やイランへ、一定規模の米陸軍を派遣することを本当に想定しているのでしょうか? そうだとしたら方向性を誤っている、又は生き残りのため理屈をこねまわしすぎ、頭が正常に機能していないと考えざるを得ません

24日付Defense-News記事によれば・・・
ASB-LCAC.jpg●J-7での業務に備え、エアシーバトル室のモリス海軍大佐は各地域コマンド司令官の抱える特有な脅威や課題を議論し始め、4軍すべての意見を反映した前線部隊からの提案を成果に取り込もうとしている
●上記の動きとは別に、陸軍と海兵隊と特殊作戦コマンドは、「Joint Concept for Integrated Campaigning」とのコンセプトとりまとめに着手し始めている。

●エアシーバトル議論に地上部隊の役割が欠如していると訴えていた陸軍は、海兵隊や特殊作戦コマンドと「Strategic Landpower Task Force」との考えをまとめて対抗姿勢を見せていた
●統合参謀本部J-7のシュルツ氏は、「陸軍は机上演習で領域拒否ADに焦点を当てていたが、これまでの検討は接近拒否A2対応に注目してきた」と語っている

●米陸軍が毎年行う机上演習「Unified Quest war game」ではここ数年、いかに強固に防御された領域に強行突入するかに重点を置いて演習が計画されており、機動旅団を敵後方に空中投下して敵側面を突き、敵のミサイル攻撃下でも海岸線を確保する想定になっていた
●22日にもOdierno陸軍参謀総長は、陸軍が既に統合突破作戦の訓練を開始しているスピーチし、「8月には、海空軍のほか、海兵隊や特殊作戦コマンドとともに、加州の演習場で突破作戦訓練(early entry operation)を計画している。世界中どこへでも地上部隊を確実に派遣するための訓練だ」と語っている

ASB-apache.jpg●23日、アジア太平洋地域を担当する米陸軍第1軍団のランザ中将は、「陸軍単独で戦うことは、もはや考えられない」、「予算が横ばい以下の現状では、統合での戦いがこれまで以上に避けられない」と記者団に語っている
一方で米陸軍が、海兵隊のように陸軍ヘリを海軍艦艇に着陸させ、海兵隊が取り組んできた友好国とのパートナーシップ強化活動に陸軍を動員し始めていても、ランザ中将は「陸軍は海兵隊になるつもりはない」と主張している

●同中将は「パートナーシップ構築は将来のアクセスにつながる」、「地域への関与政策は、地域に安定と安全保障をもたらす」と(原則論を)述べ、当該国の基地使用への道を開くとも述べた
●ランザ中将の第1軍団は多機能を保有しており、火力、航空力、土木力、民生支援力、軍警察力を通じ、米国の地域での立場を強化し、多様な事象に対処できる
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Air Sea Battle.jpg2010年QDR作成過程で、「エアシーバトル:ASB」を先日国防省を引退したアンドリュー・マーシャル氏から提案され採用したゲーツ国防長官(当時)は、「将来、大規模な地上部隊をアジアや中東に派遣しようとする国防長官が現れたら、頭の検査を受けさせるべきだ」との考えの持ち主でした

つまり、ASBコンセプトの原型では、現在米陸軍が机上演習で行ったり、Odierno陸軍参謀総長が訓練中と語ったような「米陸軍の任務」は期待されていません

ヘーゲル国防長官やCSBAやCNASが想定しているのは、米陸軍が攻防両方のミサイル部隊となり、中国軍のようなA2AD能力を米軍内で構成することです。地形を生かして攻撃ミサイルの生存性を確保し、粘り強く抑止力&攻撃力を維持し、防空ミサイルで粘り強くResiliencyを維持できる陸軍です

この記事を見る限り、米陸軍は組織防衛作戦に勝利を収めつつあり、「エアシーバトル」は小さく小さくなってしまいそうな気がします。

関連の記事
「エアシーバトル検討室閉鎖」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-22
「対中国軍で日本版A2ADを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18

「陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-30
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

ゲーツ国防長官(当時)の叫び
「ゲーツ語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

ゲーツ語録「100選」の中から
次の本格紛争には主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべきアジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1

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