証言「中国空軍と弾道ミサイル部隊の状況」 [中国要人・軍事]

証言内容が11ページのペーパーで公開されていますので、中国軍の抱える問題点や興味ある部分を中心にご紹介します
まんぐーすを含めてありがちな「一点集中の大騒ぎ」でなく、全般を体系的に落ち着いて解説した点で非常に優れた資料だと思いますので、中国空軍と弾道ミサイル部隊である第2砲兵に興味のある方には、是非お勧めのペーパーです
→http://www.airforcemag.com/testimony/Documents/2014/January%202014/013014fuell.pdf
証言「中国空軍とミサイル部隊近代化の傾向」

●中国空軍は本土防空を主任務としし、北京や上海や台湾正面での活動を中心に考えているようだが、台湾シナリオの際は相手の航空基地や指揮統制システム、巡航ミサイルや防空ミサイル基地等を攻撃して敵の反撃を封じる
●中国軍が台湾侵攻の際には、エアカバーや地上攻撃支援を行う。米軍のようなCASではなく、事前計画の阻止攻撃である。空挺部隊は空軍に従属する
●米軍による介入に対し、従来は先制攻撃による撃破が主流の考え方であったが、最近では自身の能力向上に自信を深めたのか、台湾作戦を主に考え、米軍については介入を抑止し、介入効果を極限するような手法に目が向いている模様
●しかし米軍の介入が明らかな際には、中国空軍と第2砲兵は米軍とその施設攻撃を命ぜられる。その攻撃は大量のアセットを動員するもので、よく計画し訓練して行われるだろうし、米軍や米政府機関へのサイバー攻撃を伴い、中国軍は攻撃の速度、攻撃範囲、技術的成熟度を示すことになる

●中国空軍は電子戦を重視しており、多くの作戦機がDRFM(digital radio frequency memory)妨害装置を備えている。この妨害装置は自動的に対象となる周波数を選定し、特定脅威に妨害を掛ける能力がある
●中国空軍の訓練は電子戦とシナリオに沿った基礎訓練になりがちで、実戦に即した近代戦能力を備えた操縦者育成に適していない。空軍指導部はこの欠点を認識し、対抗方式の自由な戦いの競技会を設け、能力向上に取り組んでいる
●また2010年からは、トルコやパキスタンに戦闘機部隊を派遣し共同訓練を行わせている。段階的にではあるが、これらを通じより近代的な訓練を追及している
第2砲兵(弾道ミサイル部隊)

●指揮統制システムの発展や統合訓練の推進機運を受け、中国空軍と第2砲兵は、事前準備した太平洋地域の固定目標を攻撃する「moderate level」の能力獲得していると見ている
●事前に計画した目標への攻撃に際しては、「Firepower Coordination Center」に派遣された、空軍と第2砲兵、陸海軍の連絡員が連携を図っている模様
●しかし、事前に計画の無かった「不意出現目標」への対処は、一部の場合を除き、第2砲兵と他軍種との連携は極めて困難だと思われる
海軍航空部隊と空軍の連携

●しかし、ダイナミックに変化する実際の場面では、海空軍協力の訓練が不足していることから、任務分担の有効性は低下することになる
中国の技術開発能力

●最大の課題は、大きなシステムを開発し管理する能力の模様で、改善は見られるものの「systems engineering」や「advance management techniques」に問題がある
人材の確保
●過去20年間の経済発展により、中国軍全体が人材確保に苦労している。特に良質な航空機搭乗員の確保に苦労しており、訓練課程の見直しや質の維持に努めている
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再度強調させていただくと、「中国軍は米軍と「system vs system」の戦いを挑んではおらず、相手の弱点や脆弱性を突いて我を有利に導こうとするシステマチックな戦いを追求している」のです。
西側の戦闘機パイロット族が夢見る「空中戦」は回避し、長距離ミサイルや電子戦やサイバー戦を巧みに使い、日米の脆弱な航空作戦基盤を初動で攻撃しようとしているのです
「海国防衛ジャーナル」による解説
→http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50720780.html
世界共通の中国軍事脅威観(日本を除く)をシナリオ風に
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30
始めてコメントします。
いつも、読ませてもらってます。
長篠の合戦が、初めに想像してしまいました。
ルールブックが違う相手との競争、バランスをとることが難しい。
日本国民として、相手に屈服しない力を常に研究は必要ですね。
by モクレン (2014-02-05 07:29)