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仏空軍が操縦者2層化管理へ [安全保障全般]

PC-21.jpg仏空軍参謀総長のDenis Mercier大将は、仏空軍は厳しい予算削減の中でも第一線パイロットの技量を維持するため、戦闘機で訓練飛行を十分出来るグループとそうでないグループに2層化して管理する方針であると語りました。

また十分戦闘機で訓練飛行できないグループの技量維持用に、飛行コストの安い新型練習機を導入の方針で検討を進めているとも明らかにしました。間もなく機種選定に入る模様です。
訓練不十分なグループも、いざ必要時には2~3ヶ月の集中回復訓練期間を経て技量を回復させ、実戦に投入する構想だそうで、欧州の他国とも考え方を共有しているとの説明もあり、今後の成り行きが注目されます

Mercier空軍参謀総長によれば・・・
French Air Chief of Staff Mercier.jpg●仏空軍(戦闘機)操縦者は年間180時間の飛行時間を必要としているが、予算削減で150時間しか確保できない状況にある。これでは最高の技量を維持できない」と述べ、「即応状態にある操縦者を確保するため、一部操縦者には即応態勢操縦者が獲得した航空優勢を維持する役割を担ってもらう。必要時に2~3ヶ月の集中回復訓練期間を経ることが前提になる
予算が問題なのだ。全員に最高の訓練をさせることが出来ない。実情に応じた対応が必要なのだ。訓練レベルが低い操縦者は作戦初動で展開することは無く、後に状態維持のために赴くことになる。この考え方は他の欧州諸国とも共有を図っており、関心を集めている。

Alpha Jets.jpg第2層の操縦者のため、新しい練習機を調達する必要がある。ラファールやMirage 2000Dの飛行時間が削減される分、似たような特性をもち、シュミレータを備え、老朽化したAlpha Jetの代替となるような機体を求めている
第2層の操縦者は、ラファールやMirage 2000Dで年間40時間飛行し、140時間を新しい練習機で訓練する構想を持っている。このためシュミレータ機能を備えたPC-21やHawk T2のような機体が必要になるのだ
2016年までに2層化システムを完成させたい。操縦者全体の飛行時間を低下させている今の状況を変えたいのだ。

パリ発15日付Defense-Newsは解説で
Hawk T2.jpg●仏国防白書によれば、仏軍は今後6年間かけて予算削減に対応するため戦力を削減することとなっており、戦闘機、輸送機、空中給油機等が削減対象になっているが、飛行時間削減もこの一環である
IISSの航空研究専門家は「2~3ヶ月の集中回復訓練がどこまで有効なのか疑問がある。一旦緩んだ気持ちの切り替えも課題になる。また操縦者の士気を考えるとリスクが大きい。民間航空会社へ人材が流失する可能性も高まるだろう」とコメントした

●退役米空軍少将は「予算の強制削減に直面している米空軍は、実態として仏空軍が目指す方式と似た形式を採用した常態下にある。次の実戦展開を控えた飛行部隊のみに十分な飛行時間を与え、他の分を削減しているからだ。飛行部隊に優先順位付けをするか、操縦者個人で分類するかの違いだけだ」と語った。

Super Tucano.jpg仏国防省は新練習機の機種選定準備を進めていると報道官は語っているが、提案要求書はまだ発出されていない。
17日から開幕するパリエアショー(Le Bourget air show)に、多くの候補機が展示されるのは偶然と考えにくい。
BAE Systems’ Hawk T2、 Beechcraft with the T-6、 the Embraer Super Tucano、そして PilatusのPC-21が展示される模様である。Alenia AermacchiのM-346は参加しないようだが、選定レースには参加する見込みである
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French Air Chief of Staff Mercier2.jpgこのように、戦闘機操縦者に関する資源配分について議論するのは良いことでしょう。少なくとも、仏空軍内に対し明確にすることが重要です。
日本人独特の「あうんの呼吸」は、脅威の変化や厳しい予算、福利厚生予算の削減の中で既に瓦解しています。「絆」との言葉が最も空しく響く我が空軍は、この動きをどのように捉えるのでしょうか?

それにしても、少なくともジェット練習機であるAlpha Jetの後継に、プロペラ機のPC-21(仏空軍の一押しらしい)やSuper Tucanoで大丈夫なんでしょうか?
維持費や整備費はプロペラ機が格段に安価でしょうが・・・。

「戦闘機の呪縛から離脱せよ!Ver.2」
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
戦闘機の機数を維持することだけに固執し、思考能力を失い、搭載装備やISRアセット等を無視し続けた結果、何も出来ない組織に成り下がった我が空軍へ
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