書籍「中国人のやる気はこうして引き出せ」 [中国要人・軍事]
中国に関する本は山のように出版されており、様々な視点から玉石混交の論点を提示しています。高度成長に陰りが見え始めた昨今は、中国社会や権力構造の内面を紹介して「限界論」を説くものや、歴史や中華思想の「真実を暴く」的なものが増えてきているような気がします
本日ご紹介するのは、昨年11月に出版された企業の中国進出を描いたもので、中国の小売業界にも大きな影響を与えたイトーヨーカ堂の奮闘苦悩を、初代の現地指揮官として10年以上現地で奮闘した塙昭彦氏が語る本です。
まんぐーすがご紹介することにした理由は
●「日本人ここにあり」を示したお話であり、重い話だが読後感スッキリ●下手な先入観や学者的視点でなく、臨場感と現場の息遣いがすごい
●中国や華僑経済の凄さ、中国人の優秀さを実感して紹介している
●事例やエピソード満載で、本当の真剣勝負が感じられる
先日NHKの番組「トップランナー」が、著者の部下だった人が日中問題の中で奮闘する様子を紹介していました。1店舗当たりの売り上げで中国1位を獲得したヨーカ堂の戦いは今も続いており、そのスピード感が今の日本には見られない「凄さ」を感じさせてくれました。
「中国人に任せる現地化」を進める部下育成や、企業文化の底流に流れる塙氏の考え方を凝縮した1冊です
紹介したい個所や具体例はたくさんありますが、それは読んでのお楽しみとして、本日は6章構成で約50個ある小項目のタイトルのいくつかを、目次からご紹介します。
●「取りあえず中国に」などの考えなら、進出はやめなさい●商人としては中国が大先輩。骨を埋めるほどの覚悟で
●中国のことは大体分かる、という日本人を信用しない
●通訳では中国人に通じないと思え。日本語から注意しないと
●騙される人は、騙されるべくして、騙されている
●日本人幹部は、驚くほど中国人から見られていることを知らない
●面接でうそを言うのは平気。礼儀が全くできていない
●一度やめた人材は再採用しない。戻すなら2ランク下げて
●飲みミニケーションは通用しない。
いろんな読み方があるでしょうが、読者コメントにもあるように「著者の凄さにしばし驚嘆し」、しばらくの後、ここに描かれている中国人が軍隊を形成したら、どんな組織になるのか？ どんな行動を執るのか？・・・等々、いろいろ考えさせられました。
読者の中には、歴史認識問題や尖閣問題を中国内でどのように扱ったかに関心を持つ方もいるでしょうが、本書はその点に触れていません。触れることは、後進に譲った組織に迷惑をかけるからかもしれません。先ほど紹介したNHK番組では、昨年の反日デモで店舗が大きな被害を受けた様子も紹介していました。でも著者や会社のこれまでの手法を見れば、今事態への対処も想像できるような気がします。もちろんそれで生き残れるかは分かりませんが・・。
本書の内容が仮に歴史になったとしても、読んで面白い本だと思います。
「中国人のやる気はこうして引き出せ」
単行本（ソフトカバー） 塙 昭彦 (はなわ・あきひこ著) 272ページ
ダイヤモンド社より2012年11月16日出版 1680円
書籍のご紹介記事
「7分間の奇跡：新幹線清掃チーム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11-1
「イスラエル起業大国の秘密」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20
「証明完了ポアンカレ予想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-24
「長谷部誠：心を整える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-01
「究極のインテリジェンス教科書」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-22
「婚活したらすごかった」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-30
「５１歳の左遷から始まった」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-22
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「戦闘機の呪縛から離脱せよ！Ver.2」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
日本で戦闘機に投資することが如何に非効率で無駄か、如何に日本の抑止力向上に貢献していないか、そして如何に自衛隊や国防全体を歪めているかを考える議論のたたき台を！
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