SSブログ

北極海を巡る多国籍な軍の取り組み [Joint・統合参謀本部]

27日のNHKニュースが、北極海経由の物資輸送量が過去2年間で10倍になったと報じていましたが、温暖化による氷の減少が急激過ぎ、沿岸国も種々の対応を早急に迫られているようです。

StavridisArctic.jpg26日付国防省web記事は北極海沿岸国の軍トップが一堂に会する会合(Northern European Chiefs of Defense meeting)がヘルシンキで先週開催され、人類最後のフロンティアの一つである北極海が重要な議題になったと伝えています。

本日は、米代表として会議に参加した米欧州コマンド司令官兼ねてNATO最高司令官のスタブリディス海軍大将の話をご紹介します

スタブリディス司令官は北極海について・・・
Stavridis.jpg北極海が遠く離れた僻地であった時代は氷の消滅と共に過去のものになりつつあり、海上交通の発展は肯定的な面と否定的な面を同時にこの地域にもたらしている
●北極海で我々は、商用交通や科学的調査の増加だけでなく、非国家団体による不法物質の取引や悪意に満ちた貨物の移動、更には冒険心に満ちた旅行者の増加にも直面するだろう

●要するに、北極海で人や物資の移動が増加すれば、油の流出や船舶事故等の人災が増加し、結果として我々の対応や救助活動が求められるということになる
北極海を「軍事化」する視点から見ることを警告したい。我々に今求められているのは、当地域でのリスクや懸念や多様な出来事に対し、各種機関や関係国横断的なパートナーシップで対処することである
●我々は新たに開けてきた北極海を、冷戦時代のような対立ゾーンではなく、協力ゾーンにしていかなければならない。

Stavridis2.jpg●先月、沿岸8カ国(Canada, Denmark, the Faroe Islands, Greenland, Iceland, Norway, Russiaと米国)が参加し、北極協議会の捜索救助訓練(Arctic Council’s Search and Rescue Exercise 2012)が実施され、関係国の航空機、ヘリ、艦艇が悪天候の中での活動能力向上を図った
●昨年8月には、米露ノルウェーがNorthern Eagle演習をバレンツ海で行い、艦艇、ヘリ、航空機を動員して海賊対処訓練を行っている。同演習の最終段階では、ロシアが指揮を執って米露ノルウェーの艦艇3隻が行動した

米国は、北極海沿いに長い海岸線を持つ「北極海国家」である。米国は引き続き関与を続けていく
///////////////////////////////////////////////////

冒頭でご紹介したNHKニュースでは、輸送物資の大部分はアジア・オセアニア地域から欧州へ向かう原材料資源だそうです。
中国からの輸出品も増加傾向とか・・・。スエズ運河経由の2/3の時間で欧州へ輸送可能なのがポイントだそうです

Arctic.jpg本年3月、以下の記事で北米コマンド司令官が語る「北極海対処方針」をご紹介しました。まずカナダとの協力関係を強化し、同時に米国内の他省庁の機関等とも連携を図る、との方向性が中心でしたが、米軍内では北極海をどこが主に担当するのでしょうか? 分割するんでしょうか?

「北極海を巡る米軍動向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-20

「脅威の変化を語らせて」http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
Twitterもよろしく→https://twitter.com/Mongoose2011

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0