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空軍用に海軍が電子戦機部隊を!? [Joint・統合参謀本部]

ここまで来れば統合も大したものです。
6日付AF-MagazineのDaily Reportが、米海軍が空軍のために、新型電子戦機EA-18Growler飛行隊を3つも立ち上げると報じています。

背景と経緯を少し・・・
EF-111.jpg●米空軍はステルス機や長射程精密誘導兵器の導入、また経費節減等々の理由から1990年代にエスコート又はスタンドオフ型電子戦機であったEF-111が引退、その後EB-52Hも退役し、その後専門の電子戦機を保有してこなかった
特殊作戦に重点を置いたEC-130は十数機保有しているが、同機は低列度紛争やCOIN作戦を念頭に置いた装備で、A2AD環境に投入できる残存性はない

●EF-111の引退以降、米空軍は海軍機であるEA-6B Prowler(4人乗り)に空軍電子戦担当士官EWOを登場させてもらって、又はEA-18 Growler(2人乗り)に依頼し、空軍が実施する作戦を行ってきた
●ただし、今後4人乗りのEA-6Bが引退してEA-18への機種更新が進むと、空軍EWOを同乗させて作戦に参加させられなくなる点への対処が課題となっている。

6日付Daily Report記事は・・
EA-6B.jpgEA-18G.jpg●Whidbey Island海軍航空基地(ワシントン州)に所在する空軍の小さな部隊がある。指揮官であるフィッシュバック空軍中佐が、米空軍唯一の戦術電子戦部隊である第390電子戦飛行隊について語ってくれた。
●同飛行隊は、海軍の電子戦機に空軍士官を同乗させてもらって空軍任務(引いては統合任務)を遂行する部隊だ

●かつては空軍操縦者も同飛行隊に所属していたが、2005年以降は電子戦士官EWOのみが所属している。現在同飛行隊には13人のEWOが所属し、同海軍基地に所在の6つの海軍飛行隊に搭乗して任務を遂行している
●しかし各地域戦闘コマンド司令官からの要請を受け、海軍は今般、3つのEA-18Growler飛行隊を空母用部隊ではなく地上基地派遣用として立ち上げることを決定した。
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EA-18G2.jpg空母11隻体制において、海軍は10個の空母搭載航空団を維持してきました。細部の知識がありませんが、恐らく海軍電子戦飛行隊も10個あると思います。Whidbey Island海軍航空基地に6個所在し、他に4個別の基地にあるのでしょう。

合計10個の飛行隊の3つを地上基地派遣用(land-based expeditionary units)するのか、追加で3個飛行隊を新設するのか、その当たりはこの記事からは不明です
無人デコイのMALDだけでは、前線指揮官は不満だったのでしょう。しかし・・・空軍はちょっと恥ずかしいですね。
何かご存じの方があればご教授下さい。

「窮乏の米空軍電子戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-29-1
「米海軍航空戦力の将来」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-26

「MALDが運用間近??」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-04-1
「続MALDをご存じ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-07-1
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米海空軍トップが連名でAir-Sea Battleやるぞ宣言!
「概要海空軍トップのASB論文」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
「抄訳海空軍トップのAS-Battle」http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19

過去の主要記事リスト(1100記事記念)を作成しました
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-25

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名無し

電子戦飛行隊(VAQ)に関して参考までに
現在海軍のVAQは15個飛行隊あります。(さらに海兵隊に4個)
マングースさんが言うように、その内10個が空母航空団用です。
そして転換訓練飛行隊と予備役飛行隊が1個ずつ、残り3個が空軍との統合運用飛行隊になります。
配備されている基地は、VAQ-141と呼ばれる飛行隊ががNAF ASTUGIに、予備役のVAQ-209がNAF Washington、残りすべてがNAS Whidbey Islandに配備されています。
海軍は当初、空軍との統合飛行隊にはEA-18Gを配備しない方針でしたが、現在はこれを変更して、統合飛行隊3個もEA-18Gを配備することにしています(現在統合飛行隊に指定されている飛行隊はすべてEA-18Gに機種改編済み)。それに合わせて調達数も当初の90機から114機まで増やされています。
今回の記事の3個飛行隊がこれを指しているのか(その場合は、かなり今更という感じがありますが)、新たに3個新編するのかは正直よく分かりませんね(^_^;)
量産機数としては、現状の1個飛行隊の定数5機、訓練飛行隊用(20機程度?)や予備機を考慮しても新たに新編できる数はあると思うのですが…
by 名無し (2012-07-10 10:16) 

regulus

はじめまして。日頃より拝読しております。
海軍電子戦飛行隊の状況ですが、仰るとおり10個空母航空団分の
飛行隊が存在し、その他に空軍との統合飛行隊が3個、
訓練・機体補充の飛行隊1個、予備役1個の計15個飛行隊があります。
その内、空母航空団用だった3個隊が2009~2011年頃にEA-18Gに
転換し、空軍との統合飛行隊に指定されました。
元記事の3個飛行隊とはこれらのことを差すもので、
新規飛行隊の立ち上げでは無いのではないかと思います。
(EA-6BからEA-18Gへの転換はその後他飛行隊でも進展中)

なお、15個飛行隊のうち、厚木に所在するVAQ-141、
並びに予備役のVAQ-209の他は、全てWhidbey Island所在です。
以上、専門誌や他サイト様の受け売りですが、
ご参考になりましたら幸いです。
by regulus (2012-07-13 16:07) 

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