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追加:講演と会見:パネッタ長官のインド訪問 [パネッタ国防長官]

「インドとの関係強化の真の課題は、インド側に米側の意図が何かを納得してもらうこと」

6日、アジアツアー締めくくりの会見をパネッタ長官がニューデリーで行いました。米国防省web記事より
IndiaDM.jpg●(海兵隊が豪州北部で、LCSがシンガポールでそれぞれローテーション配備と同様に、)フィリピンでの米軍のローテーション配備を、フィリピン政府関係者と協議中
中国を孤立化させるための「囲い込み」政策ではないかと恐れる人がいるが、米国は「outreach(手を伸ばす、関係を結ぶ)」を行っているのだ。同盟国だけではなく、ロシアや中国とも関係を強化しようと考えている
同盟国等の能力強化のため協力しようとしており、「我々は提供することが出来ることを示さなければならない」

ベトナムでは、先方は米国技術の獲得や米艦艇のベトナム施設使用に興味を示してくれた。そして米国の支援を受け、ベトナム軍の能力向上を図ることに関心を示してくれた
インドとの関係強化は過去10年間で順調に拡大してきた。しかし「真の挑戦は、インド側に米側の意図が何かを納得してもらうことだと思う。そして今時の訪問はこの課題に関し、好ましい前進を成し遂げたと思う」

6日、長官はインドで最も伝統あるシンクタンクIDSAで講演し、主要なオピニオンリーダーに米国の新国防戦略の意義と米印関係の重要性について語りました
興味ある点を米国防省web記事より
IndiaThinkTank.jpgオバマ大統領が表現したように「インドとの関係は、21世紀を決定づけるパートナー関係の一つである」
インドとは価値観を多く共有し、また共に国際規範やルールを尊重する国家同士である。同時にインドは、130万人の現役兵と100万人の予備役を有する地域で有数の軍事力を持つ国である
●両国は対テロや海賊対処等で協力してきたが、私はこの協力関係をサイバーや宇宙空間での共通利益を守る秩序作りにも発展させたい。
●当地域では、米軍は成長を続けるインド海軍の支援を受け、平和なインド洋を保ちたいと考えている。米国は豪州に海兵隊を、シンガポールにLCSを、そして他にもローテーション配備を考えている

パキスタンは忘れてはならない地域のプレーヤーである。米印両国は共にパキスタンに関わっていかなければならない。南アジアの繁栄のため、時に極めて深いパキスタンとの見解の相違を乗り越えなければならない
米印両国は全ての面で合意が出来るわけではなく、また両国は共に国内政治において課題に直面しており、戦略的な目標への前進が困難な事もあろう。しかし多くの価値観を共有する両国は、継続して更に緊密に連携できると信じている

6日付「Defense News」は軍需取引について
6日、パネッタ長官はIDSAでの講演で、「米国は輸出管理法を改正し、武器輸出に関する様々な障害や官僚機構を是正しようと取り組んでいる。・・・インドとの軍需品取引をよりシンプルに迅速にするため、障害を取り除くような取り組みをカーター副長官に監督するよう命じた」、また「両国間の兵器製造関係を、単純な売り手買い手関係から、実質的な共同生産やハイテク分野の共同研究・開発に発展させていきたい」と述べている

一方のインド・アントニー国防相は「単純な売り手買い手関係から、技術移転を伴う関係への移行を希望し、自国産業の能力アップに繋がる関係にしたい」と述べ、食い違いを見せている
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IndiaCerem.jpgインドも大国です。国力もあり自信もあるのでしょう。米国に対しキチンと発言が出来るその覚悟は羨ましいです。「真の課題は、インド側に米側の意図が何かを納得してもらうこと」・・・核心を突くご発言でした

「両国は共に国内政治において課題に直面しており、戦略的な目標への前進が困難な事もあろう」・・とは、インドでも「ねじれ議会」なんでしょうか。AKB総選挙やオウム指名手配ニュースも結構ですが、米印関係は抑えるべきニュースだと思います。

「米印関係の状況」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-27
「パネッタ長官シャングリラ12」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-24
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IndiaSingh.jpg5日、パネッタ長官はインドに到着し、シン首相、メノン国家安全保障補佐官、及びアンソニー国防相と会談しています。

インドは、米国が1月発表した新国防戦略(DSG)で唯一具体的に国名を表記して関係強化の重要性を明示し、またパネッタ長官が一番訪問を希望していた国です。会談後、詳細な中身は明らかにされていませんが、関係者が協議の方向性を語っています

同行の国防省関係者は米印関係を、「話題に出来ない事項がないフルレンジの関係である」と表現し、アフガン支援から海上交通路の安全確保から兵器取引まで、「民主主義国としての価値観を共有できる」国同士の話し合いが出来る関係だと語っています。

そして米印軍事関係について「インドが、より広範なアジア地域で活動を活発化させるにつれ、米国とのパートナー関係が進展するのは極めて自然なこと」と大きな期待を寄せいています。

米国防省web記事は3つのテーマを重視と・・
第1に、シャングリラやベトナムでのメッセージと同じく、新国防戦略とそこに示されたアジア太平洋地域での「rebalancing」を説明
またその大前提として、価値観を共有する国として、法治主義、国際規範の遵守、航海の自由、経済的利益追求の自由権、紛争の平和的解決等々の原則を共有する事を確認

IndiaNSadviser.jpg第2に、インドが東と西アジアを繋ぐ地理的位置にあることから、インドとの関係強化が東アジアの繁栄と安全に価値があるだけでなく、アフガンや南アジアの平和と安全に広く意義があるとの位置づけで関係推進。

アフガン支援に関し、インドがここ10年で政治的経済的にそのアフガンでの役割を拡大しつつあることを歓迎。本件がインド・パキスタン関係を悪化させる危険はあるが、両国はアフガンの安定から利益を得る共通点を持っており、衝突に至るとは限らない

第3に、過去10年間で継続着実に強化されてきた米印のバイ軍事関係の更なる進展について。2011年に両国軍は50以上の活動を共に実施した。演習や訓練が更に大規模でより高いレベルに成るよう、また人材の交流が更に進展するよう協議する
●その他。米国製軍需品の大口購入者であるインドとの更なる関係強化。過去11年間で$8.5 billion相当の装備品をインドが米国から購入しており、将来もインドで軍装備近代化が進むことを念頭に協議を深化

5日付「Defense-News」は・・
過去10年、多様な理由によりインドはアフガンで活発な活動は行わなかった。徐々に経済投資は増加してきているがそれでも小規模で、アフガン軍の教育訓練分野では小さな規模の関与しかなかった
●米国防省は、アフガン軍や警察の教育訓練面でインドの関与拡大を期待している。
技術開発協力面では、既にスタートしているC-130輸送機部品の共同生産のような協力関係の拡大など、ハイテク分野での協力拡大を米側は期待している
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INdiaAPT.jpgインドとの関係強化で中国を抑えるのは当たり前で、米国は更にアフガンまでお願いするのでしょうか・・・。
パキスタンはインドがアフガンと関係を持つことを大変警戒しており、米国がインドにこのようなアプローチをすることで、米パ関係が益々難しくなるように思いますが・・・。米国は、パキスタンとの関係修復をもう諦めたのでしょうか

インドのシンクタンクIDSAで「新国防戦略の中でインドに期待するもの」を講演すると言われています。何か注目点があれば、この記事に追記します

「米印関係の状況」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-27
「パネッタ長官シャングリラ12」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-24
「カムラン湾歴史的訪問」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-04
「議長:アジアにもNATOを」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-01

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