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去りゆく海軍トップが語る [Air-Sea Battle Concept]

Adm.Roughead.jpg18日付「Defense News」が、9月23日で退役する米海軍制服のトップであるラヘッド海軍作戦部長(Adm. Gary Roughead)へのインタビュー記事(15日に実施)を掲載しました。
最後になるであろうインタビューですので慎重な姿勢が見えますが、海軍が他の軍種に比べて装備品取得の面で良い状態にあることを認めています
そしてその背景がAir-Sea Battleであろうことも・・・。

Q:何がもっとも今訴えたいことか?
A:如何に海軍が今行われている地上での戦いに参画しているかである。今現在中央軍隷下で、約12000人の海軍人が地上で戦いに参加している。これは海兵隊よりも多い数である。このほかに約4万人が故郷を離れた海外で勤務している。
12000人の勤務には、危険な爆発物処理に当たる者もいる。また施設部隊はベトナム戦争時よりも多忙な日々を送っている。

Adm.Roughead2.jpgQ:装備品調達はどうか
A:海軍の航空戦力は他軍種に比べてもっとも充実した状態にあるのではないか。EA-18G Growlerは飛行性能、高性能、高度さにおいて素晴らしいし、F/A-18 E and FやE-2D Hawkeye、P-8Aや F-35も生産段階に入っている。
艦艇でもLCS(Littoral Combat Ship)は2カ所で順調に生産されているし、潜水艦も良いし、水陸両用LPD 17も順調である。このように順調なのは海軍だけではないか

Q:Air-Sea Battleにおける海空軍の協力関係はどうか
A:私はAir-Sea Battleの販売員ではないが、極めて有意義なコンセプトである。anti-access環境に焦点を当てて考えることが出来るし、装備品調達だけでなく、訓練の方向性や研究開発の方向性、更には情報収集分析のあるべき方向性を示してくれ、海軍と空軍を以前よりも戦闘システム等でずっと密接にさせてくれる。

Adm. Roughead4.jpgA:厳しい予算環境ではAir-Sea Battleが一層その存在感を増している。もしこのコンセプトが無く予算削減が行われたなら、我々は別々に削減を行っていたはず。Air-Sea Battleの価値はいよいよ増している。

予算はAir-Sea Battleを基礎に組まれている。誰の目にも明らかなように、もし効率性や有用性を追求すれば、装備品の調達を統合の観点から行い、不要な重複を避ける必要がある。無論必要な重複もあるが。

Q:重複が必要な分野とは?、また不必要な重複とは?
A:重複が必要なのは兵器システムにもあろうが、典型的なのはネットワークである。共にこれを失っては何も出来なくなる。
A:不必要な重複には例えば、Global Hawk/BAMS(Broad Area Maritime Surveillance)の例がある。同じような機体を海空軍が同時に使用するに当たって、整備部門や教育部門が重複する必要はないし、発進基地も別々を追求する必要はない

Q:空母の建造を遅らせたり、中止することを検討しているか?
A:私は遅延や購入取りやめについて取り組んではいない。また細部について話すつもりはない。建造コストや軍需産業基盤など多様な要素が絡む話である。空母Gerald Fordの建造現場は素晴らしかった。定期的に空母建造については種々の検討がなされるであろう。

Adm. Roughead3.jpgQ:中央軍が空母2隻を中東湾岸地域に要望し、あなたは今年春、7割要求を満たすことが2年間は可能と答えている。その後はどうなるのか?
A:その時の安全保障環境が見えない状態でコメントすることは出来ない。4割の艦船が出航展開する状態は海軍にとって厳しい。整備や訓練、anti-access対応をどう考えるかにもよる。何を重視するかである。

Q:LCSの配備に関しシンガポールと協定は出来たか?
A:我々はその場所からLCSを運用したいとの構想を持っており、特に太平洋地域への展開を望んでいる。そのことで時間的に南東アジアへの展開を確保でき、西太平洋での態勢を強化できる。シンガポールで既に我々は実績を積んでおり、兵站支援面でも問題ない。2014年より早く、戦闘能力を備えた上で西太平洋地域にLCSを配備できるのではないか。
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Greenert.jpg結果的に、Air-Sea Battleや統合や予算削減が、海軍に有利に、そして空軍に不利に作用している様子が感じられます。
強固なanti-access防衛網を構築する中国相手には、脆弱な陸上固定の空軍基地より海上海中アセットが有効とのシンプルな理由や、空軍装備品の更新サイクルのタイミングが悪く、予算削減の時期に重なったとも言えましょう。
写真左は、後任のAdm. Jonathan Greenertです。だいぶん雰囲気の異なる潜水艦乗りです。

「Air-Sea Battleの起源」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24-1
「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「米海軍航空戦力の将来後編」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27

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