米は台湾に最新F-16を売却するか? [安全保障全般]

クリントン国務長官が、共和党のCornyn上院議員に伝えたようです。なおCornyn上院議員は、政府にF-16売却を認めさせるため、国務副長官へのWilliam Burns氏の登用について反対しており、今後の駆け引きが注目されています。
米国から台湾への武器供与の状況は
●2006年から継続して、米国は台湾からのF-16C/D売却要求を拒んできた。この約6500億円に上る商談を、中国は「レッドライン」と呼んで牽制してきたところである。
●昨年、米国は改めて台湾から約3500億円規模の売却要求を受けたが、中国からの圧力もあり決断を伸ばしてきた。
●2007年以来、米国は台湾に約1兆3000億円規模の武器売却を行ってきたが、2010年1月に約5千億の売却を行った際は、中国が経済制裁をちらつかせ、軍事交流を中断した。
予想される米側の姿勢は・・・

●一端中断された軍事交流再開の道のりは極めて険しかった。先日のマレンの統合参謀本部議長の訪問もまさに形式的な第一歩だった。
●また米国政府が決断を発表する予定の10月1日は、中国の7月4日のようなモノで、今後予定される外交日程、すなわち8月のバイデン副大統領訪中、11月の中国主席のハワイ訪問、この冬予定の習近平の訪米からしても、米国が最新F-16を売却するとは考えにくい。
台湾当局者は・・
●台湾の副国防大臣は「最新F-16の提供が世界のおわりを意味するわけではなく、中国はもう30年以上に渡り、全ての武器売却をレッドラインだと言い続けている」と牽制
●同副大臣は、台湾が自国防衛の権利を有すると述べ、併せて「electromagnetic pulse (EMP) weapon」の研究についても認めた。また「米国は重要な情報収集を失う可能性がある」との表現も用いた。

●台湾空軍は、国産戦闘機IDFを126機、56機の Mirage 2000s、 146機の F-16A/Bs、そして約60機のF-5E/F Tigersを保有しているが、ミラージュとF-5は整備上の問題から引退の方向にある。
●最新F-16の売却が認められなければ、国産IDFの能力向上を図る計画があるようだが、中国戦闘機とのギャップを埋めるのは難しい。
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台湾のことを考えると心が痛みます・・・東日本大震災であれほど多額の義捐金を送ってくれた国、近くて親日の国、アイドル文化を共有する国・・・。でも大陸に位置する傍若無人な大国の前に、なすすべなく・・・。
現実は冷酷です。
台湾を巡るさまざま
「米は台湾に最新F-16売却するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-23
「台湾空軍の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-14
「米中軍事対話と台湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-11
「台湾民進党の反撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-18-1
「パラグアイは台湾の味方」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-28
「中国がASBM基地建設?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-07
米国の対中国軍事戦略検討過程
「有事直前嘉手納から撤退?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13 「Air-Sea Battleの状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1 「Air-Sea Battleの起源」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24-1 「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
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