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転勤族に装備開発が可能か [米国防省高官]

「・・the department doesn't exist to be efficient but effective, but the two are not mutually exclusive.」
国防省は、効率的であろうとはせず効果的であろうとしている。しかしその2つは排他的ではない

bayerDBB.jpg米国防省の組織や業務要領を、外部有識者の立場から評価分析して国防長官に報告する国防業務委員会(Defense Business Board)の設立を提言し、ゲーツ長官の依頼で初代委員長を務め、3年半の委員長勤務を終えて1月19日に交代したばかりのバイヤー氏(Michael Bayer:経営コンサルタント)へのインタビュー記事31日付「Defense News」に掲載されました。

10年に及ぶ2つの戦争に忙殺され、国防省の他の業務分野にチェックが及ばず、組織の肥大化と浪費が加速した様子を語っています
なお、同様の各種委員会が十分な成果を出せない中で、同委員会の仕事ぶりはホワイトハウスでも注目を集め、副大統領が大統領への助言を求めたと言われています。
ご意見もありましょうが・・・その言葉には聞くに値する部分がある思います

バイヤー氏が見た国防省は・・・
●他の委員会と比べて成功した理由は、我々の仕事に求められる特別な能力を備えたメンバーのみを厳選してそろえたからであろう。

●10年に及ぶ戦争により、国防省全体の20%の活動に95%の注目が集まっている。その結果、残りの80%の業務には監査の目が向けられていない
bayerDBB3.jpg●例えば、戦闘コマンド内に戦闘に従事しないスタッフが急増殖している。これら非戦闘スタッフの多くは中佐レベルで、その経費は一人当たり現場兵士の3人分に相当している。これらは結果的に、よく認識されない中で戦闘経費を犠牲にすることになっている。
委員会が提案したJFCOMの廃止も同様の分析に基づくものである。JFCOMはそれまで他で行っていた任務を吸い上げ、過去4年間に67000人から83000人に増加している。このような組織は他部隊に影響ない形で削減することが可能である。

装備品の取得に焦点が当たりすぎている。国防省の支出の2/3は医療費と人件費であり、この部分も今後の焦点になるべきである。
●戦闘能力の部分は厳しく査定されているが、仕事の量(スタッフの量)については厳密な管理が成されていない
制服組は文民の2倍のコストが必要で、外部委託業者は文民職員より更に必要経費が低い。最悪のケースはこの3カテゴリー全ての増員で、中でも外部委託業者の増加が急激に進んできた。
●志願制に移行した以降も、兵士が文民でも可能な非戦闘業務を実施しており、コスト高騰の原因となっている。

bayerDBB2.jpg●国防省は大きすぎて変革できないと言われているが、それは全くの誤りである。確かに予算の削減を経験したことのない指導部が約5世代続いたが、ここ数十年民間部門が経験してきた経費削減を、軍指導部に教育すればよい。
●戦闘部門に直接影響しない分野ではタフな選択をしなければならない。基地外に住むものが増える中で維持される、基地内居住者のみを対象とした学校システム、大規模商業施設な発達する中でも維持されているカミサリー(基地内のショッピング施設)なども前線の戦闘に直接影響がない要議論対象であろう。

●新規装備の開発取得分野で、3年ごとに部隊や学校や司令部を転勤する軍幹部が要求性能を検討しているが、これは適当だろうか。本当に適任者がその任に当たっているのだろうか
●このように技術進歩が早く高度化している世界で、民間企業にはその分野で数十年の経験を有している者がいるのに・・・。
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バイヤー氏の意見を聞いて、財務省から出た「自衛官の中でも、戦闘に従事しない職域は給与体系を別にすべき」との案を思い出しました。財務省は勉強しているのかも知れません・・この辺りの検討経緯を・・・。

日本の場合は、それ以前に海空に比して、規模が並外れて大きい陸にまず手を付けるべきと考えますが・・・バイヤー氏の意見を聞いてみたいものです。
しかし・・同氏は引き続き国防科学委員会(Defense Science Board)と海軍作戦部長補佐委員会(Chief of Naval Operations' Advisory Panel)のメンバーとして米国防に関与していくようです。

(経費縮減関連)
「14兆円精査案で政府議会と」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-07
「兵士と将来に9兆円捻出」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29
「11万人削減案を長官へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-26
「国防省コストカット」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1

「ゲーツの取得開発改革指針」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1
「ゲーツ改革のまとめ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17

「ゲーツ長官が国防省にも宣戦布告」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
「アイゼンハワー・ライブラリ演説」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11

おまけ
「読売も社説:陸自削減を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-21
「国防より組織防衛」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-16

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