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米空中給油機選定の最終RFP発出 [米空軍]

lynndonlycarter.jpg24日、リン国防副長官(写真中)、ドンリー空軍長官(同左)、カーター国防次官(同右:取得技術兵站担当)がそろって会見を行い、米空軍最大の調達案件、次期空中給油機選定の提案要求書(RFP)の最終正式版を発出すると発表しました。

老朽化で維持費高騰が問題のKC-135(写真中)の後継を選定するこのRFP(request for proposal)については、昨年9月25日に発出をお伝えしましたが、発出直後から企業側から質問や疑問点が多く出され、片方の企業群が提案しないと「脅し」を掛けるなど、10回以上に及ぶ素案を巡る質疑議論があった模様です。

KC-135.jpg本機種選定は、08年2月にノースロップグラマン・エアバスチームが一度契約を勝ち取りましたが、破れたボーイングからクレームがあり、やり直しになっていたものです。08年の結果でもめた後、2つの企業チームは「両者で半分づつ生産する」折衷案をアピールしたりしましたが、施設・整備機材・要員養成等で2倍の手間がかかるこのような提案を、ゲーツ長官が厳しく批判してきたところです。
(参考)「仕切直し 米次期空中給油機選定」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-26-2

また、08年7月に企業提案の再受付を再開した後の同年9月、ゲーツ長官が「ブッシュ政権と共に去る予定の私の任期中に、この議論を呼びそうな選定が終わらないことが確実になった今、このまま後任者に最終決定を申し送ることは出来ない」とし、選定中断を宣言した経緯もあります。

24日の会見では・・・
●案のやりとりを通じて出された約350のコメントに対応し、当初の10倍に及ぶ372の必須項目を盛り込み、230カ所の技術的変更を行った。
●全ての開発が固定価格開発契約に馴染むわけではないが、本機種選定は固定価格ケースを追求する。
●本日から75日後に提案受付を締め切り、受付締切後120日を掛けて提案の評価を行う。
最終選定結果の発表は9月中旬になる
●ノースロップグラマンとボーイングの両方が提案してくれることを期待している。

KC-Ximage.jpg残念ながら、これまでのRFP素案のやりとりの結果、昨年12月にノースロップ側は「要求が不公平だ」 として提案しない旨のレターを空軍に送付しており、ボーイングだけの提案になりそうです。(写真下は想像図)
その場合でも、国防省と空軍は淡々と提案が要求を満たしているかどうかの確認を進める旨、議会の軍事委員会でゲーツ国防長官が既に証言しています。

3兆2千億円のビックプロジェクトで、かつゲーツ長官の調達改革の試金石ですから、しっかりやってもらいたいですし、両企業群が提案してくれることを希望します。

(付録)
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
QDRにおける対中国の新作戦構想に関する部分(Holyland推定
   → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「Joint Air-Sea Battle Conceptは平成の黒船」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09

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