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CNAS:国防長官は改革を内部に浸透すべき [カーター国防長官]

CNAS-report.jpg4月29日付Defense-NewsがCNAS発表のレポート(28日公開)を紹介しカーター国防長官が進める技術革新や関連の企業連携に関し、ワシントンDC以外の組織との関係構築は良いスタートだが、肝心の国防省内への説明や意識改革が不十分で、このままでは改革全体が懸念されるとしています

改革に積極的なリーダーが登場した「お役所」の姿を絵に描いたような米国防省の状況を懸念するレポートで、さもありなんと思いますが、米軍事力の技術優位確保は国際社会の安定上欠かせない要素ですので、改革成功を祈念しつつ、同報告書が指摘する現状問題点の一側面をご紹介します

4月29日付Defense-News記事によれば
●4月28日CNAS公表のレポート「12 Months In – 8 Months Left: An Update on Defense Innovation」は、国防長官就任1年が経過(残り8ヶ月)したカーター長官が重点施策として進める企業と連携した技術革新について、彼が批判的に「the five sided box」と呼ぶ国防省内部への理解浸透が必要不可欠だと指摘している
CNAS3.jpg同レポートの筆者(Ben FitzGeraldとLoren DeJonge Schulman:CNASで国家安全保障技術の担当部門長)は、シリコンバレーのハイテク企業などとの連携確立で良い仕事をしたが、内部組織や文化が革新の障害となるペンタゴン内への考え方の取り込みが問題となっていると述べている

●約15ページのレポートは、「今やペンタゴン内外で革新innovationとの言葉がやたらと飛び交い、注目も集めているが、関連する多くの議論と実際の成果との反比例関係が広く知られている」と批判的に現状を見ている
●実際、多くの国防省幹部が国防長官の後を追うように西海岸を頻繁に訪問しているが、何の結果も導きだしておらず、「橋を作る前に燃やしてしまっている」と不満を内部に生んでいると筆者は語っている

●特にカーター長官は、調達や技術開発関連担当者が新技術導入に積極的になるよう働きかけ、民間企業の開発部門で好まれる「fail fast concept」の国防省内への浸透を進めている
●国防省の高官たちも口々にこのアイディアを賞賛するが、失敗が代償を伴わず、議会や職場での非難を受けないとの証拠を見たことも見せたことも無い

●筆者のFitzGerald氏は「カーター長官は、計画通り行かなくても、途中で中断になっても、中止を余儀なくされても、挑戦した関係者が報われる事例を示す必要がある」と訴えている
●また同氏は、カーター長官の取り組みが、伝統的な軍需産業界の技術革新や新技術導入意欲を、国防長官が評価していないとの認識を関係者に生む結果になっていると問題視している

●FitzGerald氏の主張を端的に述べると、「カーター長官よ、取り組みの焦点をペンタゴン内部に転換し、国防省の中核にその考え方を如何に植えつけるかを検討すべきだ」である
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CNASの関連webサイト
http://www.cnas.org/an-update-on-carters-innovation-agenda#.VyaQ161f2wk

CNAS1.jpgいかにも外部の「卓上専門家」が、斜に構えて批判を展開しているようなレポートで、あまり好みではありませんが、信頼度の高いCNASの報告書ですのでご紹介しました。
こんな側面もあるのでしょうし、カーター長官が交代した後、このモメンタムがどれだけ維持されるかには当然「???」な部分もあります。

繰り返しになりますが・・・批判を浴びつつも、何か始めなければ、独裁的性格を持つ国が拡散する軍事技術を用い、軍事面で米国やその同盟国に追いつくことは避けがたい状況です
何とか折り合えるならば、日本を含め、西側諸国が協力し、民生部門への波及も狙える技術革新を起こしたいものです

2日にWork副長官が講演したように、種々の取り組みが次期政権にも引き継がれるような「仕組み」や根回しが行われているようです。
あとはCNASレポートが指摘したペンタゴンの官僚機構克服だけになるのでしょうか・・・

次期政権に技術革新をどう引き継ぐか?
「Work副長官が仕込みを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

カーター長官の技術革新への取り組み
「繊維素材開発の官民連合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-05
「人材確保・育成策第1弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「FlexTech Alliance創設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-31

「サイバー戦略事前説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-19
「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
「スタンフォード講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

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6月までにモスル奪還戦力を確保する [カーター国防長官]

ISIL.jpg先週4月26日から28日にかけ、米国防省高官や米軍幹部から、対ISILに対する作戦強化を巡る発言が相次ぎました。

ライス大統領補佐官が対ISIL作戦ばかりを空軍士官学校で語り、国防長官が次期空軍トップ人選で対ISIL作戦への対応を重視したと伝えられる中ですので、フォローしておきます

モスルとラッカの分断やサイバー戦の強化など、色々な作戦について語っていますので・・・

27日カーター国防長官は
ISIL2.jpg●上院の国防予算関連委員会で証言したカーター国防長官は、6月6日開始のラマダンまでに、南北両方からイラク軍部隊をモスル周辺に集結させたいと語った
●また対ISIL作戦のWarren報道官は、モスルと南部をつなぐルートを遮断し、モスルを孤立させたいとの作戦目的をを会見で明らかにした

カーター長官はまた、モスルとラッカを切り離し、効率的に患部を半分にし、ラッカに兵力を集中してISによるラッカ支配を突き崩したい意向を示した
●同長官は、サイバーコマンドにシリア国内でのISの通信手段を遮断するよう命じていると語った

28日は上院軍事委員会でも
●カーター長官は上院軍事委員会でも、最近サイバーコマンドに対し、同コマンドの初の本格紛争における戦闘行動任務を命じたと明らかにした。
●そして同初作戦がバーチャル世界でのISILの孤立化を図るもので、空爆による孤立化作戦と並行して進めているとも説明した

Dunford.jpg●長官はサイバーコマンドの作戦目的を、ISILの指揮系統を遮断し、資金移動を阻止し、住民の弾圧や監督を防ぎ、外部支持者の獲得を抑えるためのものである説明している
●ダンフォード統合参謀本部議長は、物理的な地上での作戦を補完するもので、特に外部への支持訴えを焦点にISIL孤立化を進めつつあると証言した

●情報担当の副司令官によれば、1年前には毎月1500~2000名がシリアやイラク外から流入していたが、最近では200名程度の流入に止まっており、更にISILを離れる者も増えている模様である
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対ISILの戦いの実相を理解するのは日本からでは難しいのでしょうが、ISILへの流入が減り、脱出者が増えているなら結構なことです
軍事的にも、電子戦機の投入や多国籍攻撃機の増強など、「戦力のピーク」作りが進んでいるようで結構なことです。

でも、米軍事メディアに、アジア太平洋の話題がほとんど登場しなくなって久しい気がします。

対ISIL関連の記事
「ライス補佐官が対IS強調」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-19
「次期米空軍トップは対ISで選定か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-14
「対IS作戦強化の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-21

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米フィリピン国防相協議の結果 [カーター国防長官]

米国防省報道官「将来は最新戦闘機(F-22)を派遣する」

PhilippinDM2.jpg14日、インドに続きフィリピンを訪問しているカーター国防長官は、比首脳との会談後に共同記者会見を行い、南シナ海の共同海上パトロールの継続実施、米比共同演習に参加したA-10等航空アセットの継続滞在、米軍指揮統制組織の現地での立ち上げと比軍との訓練を発表しました

また15日にペンタゴンで国防省報道官は、A-10等の継続展開に続くローテーション派遣に、「最新戦闘機(F-22)を派遣する」と述べました

2014年に結ばれたEDCA(Enhanced Defense Cooperation Agreement)に基づき、2年越しで米軍が派遣できる5つの基地が3月にやっと決まったばかりで、細部要領が未定で、5月に比大統領選挙がある「フワフワ感漂う」米比関係ですが、なにやら積極的な動きもあるようです。出来ることから何でもやる・・・でしょうか

A-10やヘリが南シナ海で何が出来るのか不明ですが、今後の成り行きに注目です

14日共同記者会見トランスクリプトより
(カーター国防長官の発言)
PhilippinDM.jpg第1に、3月に米比が共同で南シナ海で海上パトロールを行った。これは今年1月の「2+2」で決定したものである。このような海上パトロールを今後も継続し、相互運用性を向上させ、フィリピン海軍の能力向上を図り、地域の海洋安全保障と安全確保に貢献する

第2に、米比共同演習「Balikatan」に参加した航空機や乗員がクラーク空軍基地にしばらく止まる。そして継続的に(ローテーション派遣を)行う
●最初の派遣部隊となるのは、演習に参加していたA-10攻撃機5機、HH-60Gヘリが3機、そして1機のMC-130H(緊急脱出や救出作戦が得意)となる。
●これらを運用整備する200名の空軍兵士も現地に止まり、南シナ海上空を含む運用を行って、海上パトロールを補完する

●第3に、共同演習のため設置されていた米軍人からなる指揮統制の拠点(command-and-control node)を維持し、米比共同の指揮統制を引き続き訓練して地域の協力的活動をサポートする
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15日には、空母ステニスの艦上で「アジア太平洋リバランス」に関する「Next Step」について語ったようです。
それについては後日に・・・

米比関係の関連記事
「基地交渉進展も課題山積」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-24
「フィリピンへの軍事援助再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-24
「米海兵隊員に殺人容疑」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-16
「駐比対テロ米軍部隊撤退へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-29-1

「比が米軍受け入れ合意へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-10
「米空軍のアジア戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04
「比への米軍展開拡大協議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-16
「比大頭領が空軍再建宣言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-02

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米国防長官の訪印直後に印国防相が訪中へ [カーター国防長官]

IndianPM.jpg12日、インドを訪問したカーター長官は、インド首相や国防相と会談し、軍の後方支援協力の覚書を「数ヶ月後」に結ぶことで内容を大筋合意したと発表しました。
また、昨年6月に合意した「DTTI:国防技術交易イニシアチブ」に基づく、幾つかの新しい装備品開発協力にも合意した模様です。

一方で、インド国防相は18日から中国を訪問を計画し、国境紛争を抱えながらも印中の関係改善も模索しており、米国との協力強化は対中国のためではないと懸命に説明するようです

米印国防相は昨年12月にもワシントンで集中的な協議を行っており、軍事面での協力を模索していますが、インド側から米国への技術提供要求が激しく、引き続き一筋縄では行かないようです

カーター長官の訪印を産経新聞は
IndianDM.jpg●カーター国防長官は12日、パリカル国防相と会談し、両国が燃料補給など後方支援協力の覚書を結ぶことで原則合意した。印国防省が13日、産経新聞に明らかにしたところでは、米軍がインド側の基地を使う場合は人道支援に限られ、兵士の入国は認めない
●インドは2004年のインド洋大津波で被害を受けた際、米国の支援の申し出を受け入れなかった。今回の合意は米国との協力関係を強化することになる。

●インド国防省によれば、インドが基地使用を認めるのは、約1年前にネパールで起きた大地震のような災害時を想定し、具体的な可否の判断はインド側に委ねられる。両国は、約2カ月後の覚書署名を目指す
米印両国は、南シナ海の軍事拠点化を進める中国を念頭に、日本も含め連携を強めてきた。今回の合意もその一環だが、「非同盟」を基本としてきたインドとしては、日米同盟に深入りして領土問題で対立する中国を刺激するのは避けたい考えで、戦時の基地使用には応じない方針だ
●また両国は共同声明で、より進んだ海上訓練を実施するとし、南シナ海の安全保障の重要性を再確認した。

13日付米国防省web記事は
IndianMT.jpg●インド国防相は、インドは他のどの国よりも多くの演習を米軍と行っていると述べ、カーター国防長官は、米国は西に手を伸ばし、インドは東に手を伸ばして「戦略的な握手を行った」と表現した

●また6月の訪印で合意した「DTTI:国防技術交易イニシアチブ」の枠組みで、新たに2つの共同開発事業を開始することで合意したと述べ、「デジタルHMD」と「生物兵器探知システム」を紹介した
●既にDTTIの枠組みでは、空母の設計や運用に関する作業グループが活動しているが、これら4つのプロジェクトの経費約47億円を両国で折半することで話が進みつつある
(注:DTTIでインド側が要求しているのは、ジェットエンジンの共同開発や電磁式カタパルトEMALSらしいですが、その部分については何も米国防省記事は触れていません

14日付Defense-Newsは印国防相の訪中について
●インド国防省関係者は、米印軍事協力の強化が、対中国を念頭に置いたものでないことを説明するのに苦労している
●インド在住の研究者は「インド政府は中国に対し、インドが米国の手先となって中国のインド洋等でのプレゼンス拡大に対処することはないと説明しなければならない」と語っている
●また別の専門家は「インドは今後も継続して、米国との協力関係を強調するようなことはないだろうが、中国の拡大主義的な野望を前にして、日米印の3カ国協力のような実質的な協力を行うだろう」と分析している

IndianNV.jpg●2014年に就任したモディ首相は、中国との関係改善に取り組み、国境紛争問題の解決を協議しているが、何の成果も得られず、今後の見通しも明るくない
●モディ首相は、国境問題を他の分野と切り離し、可能な分野で中国との協力強化を進めたいと考えている
●両国の国境紛争について専門家は、両国とも経済協力を重視しており、国境を巡る戦争は両国の選択肢ではないと考えるが、現在の国境を巡る枠組みBDCAは、解決でなく紛争拡大を防止する程度の役割しかないとコメントしている
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産経の記事を見て、米国防省web記事を見ると、同じ会談を紹介したものとは思えない温度差ですが、なかなかインドは難しい国です
インドは大きな国で、世界最大の民主主義国家ですが、、極めて複雑な国でもあります。ですから色んな事に時間が必要です

米国のインドへのアプローチは、本ブログを開始してから延々と続いていますが、前進と停滞と後退を繰り返し、少しは進んでいるような気がします。
長い目で見て、淡々と続けていくことが今の段階に最も必要なことなのでしょう。日本も同じだと思いますが

米インド関係に関する記事
「DCでJエンジンやカタパルト議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-12
「やっと3カ国 Malabar」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-14
「カーター長官インド訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-04
「米印の国防協力合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-26-1

「インド首相の米国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-30
「ヘーゲル長官の訪印」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-12
「米印関係ランクアップ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-01-1
「米軍がインド対応特別チームを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08

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米国防省の「Goldwater Nichols法」改正案 [カーター国防長官]

CSIS GN.jpg5日、カーター国防長官がCSISで講演し、米国防省と統合参謀本部等の役割や位置づけを1986年に定めた「Goldwater Nichols法」の改正案の概要を明らかにしました。

統合運用の形を整え、軍人と文民の役割を明確に規定した議員立法の同法は、湾岸戦争以降の米軍の戦いに大きな役割を果たしたと高い評価を受けていますが、さすがに成立後30年が経過し、脅威や時代ニーズの変化に応じた改正が必要だと、カーター長官は提案の背景を説明しています

しかしカーター長官の頭には、国防省が考えるより「大きな変化」を求めるマケイン上院議員を筆頭とする議会軍事委員会の動きがあり、なんとか米国防省や米軍が受け入れられる程度の改革に収めたいとの思いがあります

米国防省が好まない提案を多く含むが、議会と国防省がともに理解できる改革も多く含む」と表現される議会側の提案は5週間以内に出るようですが、本日は取りあえず米国防省側の提案をご紹介します

5日付Defense-News記事によれば
Goldwater-Nichols.jpg●カーター長官は「冷戦時代や単一脅威を想定すればよい時代とは異なり、過去25年間で安全保障環境は劇的に変化した。重要な組織枠組みに対し、その精神と意図を受け継ぎながら、実践的な更新を考える時である」と述べ、5つの視点から改革案の概要を説明した

第1に、統合参謀本部議長の役割の明確化である。現在ダンフォード大将が勤める職は、大統領や国防長官に対する軍人最高位のアドバイザーとして、全軍の状況を把握し、国家安全保障に関する必要な助言を文民指導者に提供する役割を担う
●しかし今日の世界では、その職責や任務はそのような狭い定義ではないはずだ。毎日のように、米軍部隊の配置やどの様な任務を与えるかを議長と議論しているし、皆が議長に期待し、議長が既に遂行している役割を明確に規定すべきだと考える

第2は、装備品や物資調達に関する改革である。昨年議会が国防省に調達改革を検討するよう指示した事も受け、各軍種の長官がより大きい権限を持つ事に焦点を置いて改革したい
●現在35名で構成される「国防調達評議会:Defense Acquisition Board」の役割を最精査し、意志決定に至る階層を削減し、官僚的障害を乗り越え、浮いたスタッフを有効に活用したい

第3に、地域戦闘コマンドの統合が話題となっているが、複雑でそれぞれに独特の特徴を持つ紛争が進行中の中で、そのような統合は意味がないと考える
●地域コマンドを統合して同盟国や友好国との関係に負の影響を与えるよりも、各地域コマンドの兵站や情報や作戦計画機能を効率的に融合し、能力を失うことなく無駄な重複を無くした

CSIS GN2.jpg第4に、「US Cyber Command」の位置づけや役割の変更を考えるべきと述べ、サイバーコマンドを「full combatant command」に格上げすることを示唆した
●対ISIL作戦でサイバーコマンドは初めて実戦に投入されており、その機能の重要性を日々目にしている
●同時に、現在大将ポストとなっている職で、中将ポストで十分なポストがあるのではないかと精査している

最後に、統合職ポストを一定期間経験することが軍人の昇任や上級職への条件となっているが、その条件が狭くて厳格すぎることが課題となっている
●そこで、職務自体が統合の色彩が強い作戦運用、情報、輸送、戦力保全、統合調達などの職の経験を「統合職経験」と見直す方向を考えている
●また、「統合職」勤務の要求期間を3年から2年に短縮する事も提案している

議会側の動きや対応
●カーター長官はCSIS講演の最後に、同法律の改正は国防省の安全保障任務遂行を害するような方向であってはならないと(議会への)警鐘を発した
●同時に長官は、マケイン上院議員(上院軍事委員長)や議会有力メンバーと、本件について話し合う機会を複数回持ったと明らかにし、マケイン議員も良い協議が出来たと語っている

McCain3.jpgマケイン議員は、サイバーコマンドの格上げや統合参謀本部議長の役割強化など国防省と同じ部分もあるが、「更に深く改革を進め」、国防省が望まない内容も考えていると語っている
●「米国防省が好まない提案を多く含むが、議会と国防省がともに理解できる改革も多く含む」とマケイン議員は表現した
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地域戦闘コマンドの整理統合や大将ポストの削減、調達改革に絡む権限の委譲やスタッフの削減などなど・・・この辺りが議会側の提案でしょうか。

現在の上下院軍事委員会のメンバーは、近年まれに見る素晴らしい構成」だと、前CSBA理事長のクレパノヴィチ氏が日本公演で語っていました。
でも、欧州と中東、中国と北朝鮮など、複数正面で複雑な緊張に直面している米軍ですので、円満でスムーズな改革案とりまとめを期待いたしましょう

CSISでのスピーチ
http://www.defense.gov/News/Speeches/Speech-View/Article/713736/remarks-on-goldwater-nichols-at-30-an-agenda-for-updating-center-for-strategic

GN法改正関連の記事
「国防省がGN法改正検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-05
「国防長官が同法改正に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03
「統合参謀本部の削減検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-16

地域コマンドの再編に関する記事
「地域コマンド改革私案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-24
「情報筋:コマンド再編案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-12

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米国防省が音頭で繊維素材開発の民間連合発足 [カーター国防長官]

fiber2.jpg1日、カーター国防長官は、89もの民間企業や大学や研究機関やベンチャーキャピタル等で構成されるハイテク新繊維素材を研究開発する連合体の発足を発表しました。
MITで講演したカーター長官は、同連合体「Advanced Functional Fabrics of America」を、関連分野で技術を要する選ばれた企業等で編制されたグループだと紹介しています

色々な応用可能性に言及していますが、その応用分野は限りないと語り、今後企業等連合のシナジー効果が生み出すであろう様々な装備や兵器に期待を寄せると同時に、参加した企業等が自社の製品等に生かすことで「win-win」な関係を構築したいと考えているようです

1日付米国防省web記事によれば
fiber3.jpg●カーター長官は本コンソーシアムが生み出すものを、「画期的な繊維や織物で、柔軟な集積回路やLED、太陽発電素子、各種センサーや様々な能力を織り込む事で、見たり、聞いたり、感じたり、通信したり、エネルギーを蓄積したり、温度管理したり、体調をモニターしたり、色を変えたり等々が可能なものである」と語った

●この連合体には、国防省が約85億円を出資するほか、公的機関や私的機関から約270億円の資金が提供される
●カーター長官は、この繊維や布が膨大な潜在能力を秘めていると語り、パラシュートに織り込む事で使用者の生死に関わるパラシュートの傷や破れを探知したり、戦闘服に織り込む事で化学・生物兵器の探知機能を持たせる可能性もあると語った

●また、戦闘服に戦場負傷者の体調モニター機能を持たせて必要な医療品を判別させることや、テントの素材に熱を保存や生成する機能を織り込み、暖房用燃料を節約することも想定されるとも述べた
●更に靴下程度の重さの靴や、新繊維素材を壁や床や構築物、耐熱性の超軽量防火服なども考えられ、民生での「wearables」分野への応用も考えられる

●カーター長官は、多様な脅威に対処し、技術優位を確保するため、積極的に技術革新に投資していると述べ、「ロボット技術、バイオテクノロジー、サイバー防御、電子戦、極超音速エンジン等に更なる発展を期している」と語った
fiber4.jpg●国防省はまた、人材がペンタゴンに出入りしやすい環境作りに取り組んでいる。長官は「米国の心ある有能な人材が国防任務に貢献でき、軍事技術と民生技術が相互に作用しあって全体の技術革新に繋がる生態系がより発展するように」と望みを述べた

国防省はこのコンソーシアムとは別に、「Boston」「Silicon Valley」「Austin」「Seattle」等をハブとする、民間企業等との技術革新パートナーシップを構築しつつある
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いろいろな技術優位確保策が同時並行的に進められており、頭の整理が出来ない状況ではありますが・・・

関連の記事
「人材確保・育成策第1弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「FlexTech Alliance創設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-31
「サイバー戦略事前説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-19

「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
「スタンフォード講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

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Goldwater-Nichols法改正の動き加速へ [カーター国防長官]

Force of the Future.jpg4日、カーター国防長官は、米国防省や米軍の機構や役割を定めた1986年制定の通称「Goldwater-Nichols法」の改正案を、数週間で段階的に明らかにすると語りました。

「Goldwater-Nichols法」は各軍種が別々にそれぞれ大統領に直結して勢力争いをしていた形を整理し、国防長官や統合参謀本部議長、各軍種長官やメジャーコマンドの指揮系統や役割等々を定め、統合運用の推進や各種業務の一元管理を推進した評価の高い「議員主導の法律」ですが、さすがに30年が経過して見直しが必要になってきているようです

本件に関しては米議会も問題意識を持って見直し検討を行っており、米国防省としては先手を打って改正主導的に進めたい意向があるようです
本日はカーター長官の発言だけでなく、有力議員や専門家の同法改革に関する意見も併せて、4日付Defense-News記事でご紹介します

4日カーター国防長官は
Hack the Pen3.jpg数週間後に「Goldwater-Nichols法」の改正案を明らかにすると語った。そして、「全てを同時に発表するわけではなく、検討が終了したものから明らかにして進めていく」、「発表は段階的に少しづつ(will be released piecemeal)になろう」「議会に法律改正をお願いするものもあるし、法改正が不要なものもあるだろう」と表現した

●更に、細部には言及しなかったが、30年間で最も大きく変化したものの典型的な例としてサイバードメインの出現に触れ、国防省のサイバー能力に関する改正が含まれることを示唆した。
●また「調達業務の仕組みに関しては、例えば、各軍種がより調達業務に関与する方式を私は強く支持する(strongly in favor of that)」と述べた。

上院&下院軍事委員長は
Thornberry4.jpgThornberry下院軍事委員長は「オバマ政権を含む共通認識として、米国防省がtoo top-heavy状態だと感じている」、「(国防長官府や統合参謀本部)をどのように削減していくかの具体的案は現時点でないが、昨年も少しは前進し、より前線に資源を投入することが出来た」と述べている
マケイン上院軍事委員長も本問題意識を共有しており、同法が意図せず結果的に、各部署の責任転嫁や時代遅れの官僚仕事を生んでいると見ており、急速に変化する中国やロシアやイランや北朝鮮や過激派の動きに追随できていないと指摘している

McCain3.jpg●Thornberry軍事委員長はF-35の開発遅延と予算超過問題を教訓に調達改革を訴えており、官僚制の悪弊を打破することを究極の目的に法改正を検討しており、こちらも数週間以内に発表する意向である
●マケイン上院軍事委員長は更に、地域コマンドにも問題意識を持っており、アフリカコマンド司令部(現在はドイツに所在)の移転問題や、南北アメリカコマンドの統合問題を指摘した

同法制に関与した専門家は
同法が制定された当時の上院軍事委員会スタッフである退役海兵隊少将のArnold Punaro氏は、偏狭な組織利益誘導を図る各軍種に対抗する権限を国防長官府に与え、シビリアンコントロールを確実に知ることが同法の狙いだったと述べ、
Goldwater-Nichols.jpg●更に統合参謀本部議長に大統領への軍事的助言に関するより強い任務を与え、大統領から地域コマンド司令官への指揮の流れを整えたと説明した

●Punaro氏は同法改正に関する軍事委員会で、膨れあがる国防長官府や統合参謀本部スタッフを削減して部隊に充当したり、統合参謀本部議長と副議長の任期を4年に延長し、その独立性と業務継続性を強化すべきと主張した。また、調達業務を各軍種に(国防長官府等から)移管するよう提案した。
●なお、装備の要求、予算編成、調達に関しては、各軍種の長官がどのような権限の移管を望むかを、3月中に議会に報告することになっている
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1986年に「Goldwater-Nichols法」が議論された当時は、議会と国防省が真っ向対決の様相だったようですが、少なくともカーター国防長官やダンフォード議長は「open-mind」で同法改革の動きに対応していると記事は報じています

Goldwater-Nichols2.jpg特に、装備品調達に関する各軍種の役割や権限強化(国防長官府の役割・権限削減)を、国防長官が強く支持している点が注目されます。これはカーター長官が副長官や調達担当国防次官の経験から、国防省の調達問題を熟知しているからだと思います

大統領選挙の年に、この検討がどの程度進むのか不明ですが、にぎやかな春になりそうです

関連の記事
「国防長官が同法改正に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03
「統合参謀本部の削減検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-16

地域コマンドの再編に関する記事
「地域コマンド改革私案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-24
「情報筋:コマンド再編案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-12
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海兵隊へ:将来のハイエンド紛争に備えよ [カーター国防長官]

Miramar.jpg3日、ミラマー海兵隊航空基地を訪問したカーター国防長官は、2017年度予算案の海兵隊関連部分を兵士らに説明し、即応戦力の穂先である海兵隊航空装備の維持整備に重点投資するとともに、将来のフルスペクトラム紛争への備えが重要だと強調しました

今まさに必死で取り組んでいる対ISILやアフガン問題の重要性にもしっかり触れていますが、長官が言いたいのは対中国や対ロシアを想定した将来の戦いだ、との思いがにじみ出ているスピーチです
将来の戦いへの備え部分を中心にご紹介します

なおMiramar基地は、1986年の映画「トップガン」で舞台となった際は海軍航空基地でしたが、基地の再編集約(BRAC)を経て、1999年から海兵隊のみの航空基地になっているようです

4日付米国防省webのトランスクリプトより
Miramar2.jpg我々は変革点に立っている。対ISIL等のCOINの戦いで、先陣を切って海兵隊が厳しい任務に取り組んでくれているが、そして同時に、海兵隊の皆が将来想定される戦いに備えができるよう取り組んでいる
中国やロシアを含む国々は多額の軍事投資を行っており、米国に絡んでくるようなことになれば後悔するぞと理解させ、そのような事を考えないようにしなければならない
海兵隊には「full spectrum能力」を備えてほしいし、そのための投資を行い、変化をもたらそうとしていることを理解してほしいと思う

●もちろん今現在の戦いに関し、その中核で心臓として機能する海兵隊の「readiness」を維持する取り組みにも力を入れている
クルーの練度、機体稼働率、維持整備経費を向上させるための施策を2017年度予算案に盛り込んでいる。維持整備費で言えば、F-18のスペア部品の確保や工廠整備費の増額である。ここにいる皆が、高齢のF-18の維持整備に大変苦労していることへの対策である

●また根本的対策として、2日には海兵隊のF-35B調達を加速する計画であることも明らかにした。この基地で、みんなの努力で最初にIOCを達成したF-35の調達加速である
更に、CH-53Kやその他の装備の更新や新規調達にも投資を行う計画である。

念押しで「full spectrum対処」を
Miramar3.jpg●皆には、今の戦いの態勢確保にも努力していることを知ってほしい。そしてまた、より重要なのだが、「full spectrum対処」の訓練が重要なのだ
今現在の戦いから将来の戦いまで、つまり依然として勝利が必要な比較的ローエンドなものからハイエンドの戦いまでに備える、「combined arms:統合又は総合戦」訓練が必要だ

この様な訓練は「29 Palms:Marine Corps Air Ground Combat Center」で行われるのだろうが、国防省がこのような訓練を海兵隊は完全にできるよう予算案を編成したことを知ってほしい
●我々は長い間、イラクやアフガンでの戦いに備えCOINを主に取り組んできたが、より広範なニーズにこたえるための変革に取り組んでいる。「wider spectrum」な「combined arms training」に海兵隊が取り組みことを望んでいる
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同じくカリフォルニアの「29 Palms」演習場には、「Marine Corps Air Ground Combat Center」が設置され、より本格的な「full spectrum」訓練が行われるようです。
細部を承知していませんが、カーター長官の気持ちはよく伝わってきます

4日、ネリス空軍基地を訪問した際にもカーター長官は、2017年度予算を演習訓練や訓練場への投資強化を開始する年にすると述べ、ハイエンド紛争への備えの重要性を説いています

Top Gun.jpg対ISIL作戦や能力構築支援で引っ張りだこの米海兵隊が、どの程度「29 Palms」での「full spectrum」訓練に集中できるのか不明ですが、変革の時にしたいとの思いは強いようです。
日本に展開中の海兵隊の皆様に聞いてみたいものです

余談ですが、映画「トップガン」の続編が、トムクルーズの主演で製作されるようです。有人機VS無人機の戦いも含まれるとか・・・時代に流れを感じさせる設定ですが、単純に「しみじみしながら」楽しめそうです

2017年度米国防予算の関連記事
「カーター長官の概要アピール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03
「UCLASSからCBARSへ変身」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02
「米空軍F-35調達を削減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-04

「精密誘導兵器に重点を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-04-1
「A-10退役要求は先送りへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22
「小型無人機の群れで戦いを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

米国防省の2017年度予算案特設webページ
http://www.defense.gov/News/Special-Reports/0217_budget

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改良トマホークや改良対艦SM-6等に投資へ [カーター国防長官]

Tomahawk.jpg3日付Defense-News記事は、米国防省が2017年度予算で移動目標対処能力を付加したトマホーク巡航ミサイルや、対艦能力を付加したSM-6艦艇防空ミサイルへの投資を重視していると報じています

カーター国防長官は2日のワシントンDCでの講演で、対ISIL作戦で急速に消費している誘導兵器を補充するため、2017年度予算に$1.8 billionで4.5万発の精密誘導兵器を獲得すると説明していましたが、将来への投資部分も含めた中身の一部が報道されているようです

そのほかにも、長距離対艦巡航ミサイルLRASMや、射程延伸型の先進対レーダー誘導ミサイルAARGM-ERにも、従来計画より追加投資がなされるようです

3日付Defense-News記事によれば
SM-6.jpg●2日に加州のChina Lak海軍航空基地を訪問したカーター国防長官は、今後5年間でトマホーク巡航ミサイルを4千発購入する計画だと明らかにした
●また3日には、艦艇防空用のSM-6ミサイルを今後5年間で650発購入し、更にそれを対艦用にも活用できるよう改修するため$2.9 billionを投資すると述べました

昨年、トマホークを製造するレイセオン社は、同弾頭のシーカー等を改良して移動目標対処を可能にしたと発表し、移動目標艦艇目標の攻撃テストに成功していた
●カーター長官は、「攻撃可能目標を拡大し、陸上の固定目標だけから、移動する対艦用にも使用可能にして対艦オプションを多様化を追求し続ける」と語った。なお、移動目標用への改修には、1発約1.3億円のトマホークに、1発約3000億円が必要と見積もられている

LRASM.jpg●他にも、今後5年間で、長距離対艦巡航ミサイルLRASMには約1200億円、射程延伸型の先進対レーダー誘導ミサイルAARGM-ERにも約500億円を「追加で」投資すると国防長官は述べた

●更に国防省幹部は、国防長官が強調していた誘導兵器についてDefense Newsに対し、防空ミサイルであったSM-6を、その速度や機動性を生かして対艦ミサイルに活用する改修に成功したと語った
●同幹部は「わがイージス艦が搭載している防空ミサイルを、対艦任務にも活用するアイディアは、まさに長官が訴えていた発想の転換であり、革新的発想で比類なき能力を海軍に提供する取り組みである」と表現した
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Tomahawk Block IV.jpg世界中で生まれている最新の技術やアイディアをより迅速に取り込んで、より遠方から、より敵に防御や対処コスト負担を・・・との発想の具現化が見て取れます。結構なことです。

我々は改めて、この発想の背景にある「脅威の変化の見積もり」を正直に見つめる必要があります。そこでは、戦闘機の空中戦で始まる航空優勢獲得の争いは本流ではありません
数少ない作戦基盤に対する弾道ミサイルや巡航ミサイルの大量同時発射、サイバーや宇宙戦での奇襲が中心になることが、膨大な中国軍事戦略研究を踏まえて想定されています


SM-6 1.jpgThird Offset Strategy(第3の相殺戦略)でも同時侵攻ミサイル対処の指揮統制にAI(人工知能)を活用、レーザーや電磁レールガンによる同時侵攻ミサイル要撃、目まぐるしく変化するサイバー戦や宇宙戦の状況掌握と対処へのAIの活用、誘導兵器が飛び交う将来戦場での人間支援ハイテク技術、従来アセットの組み合わせや連携で新たな能力創出活用等々が検討されています

これら根本にある「脅威の変化」に対する真摯な姿勢無くして、正しい状況判断はできません

トマホーク関連の記事
「移動目標テスト成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-12
「高密度情報をミサイルへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04-2
「貫通力と識別力向上へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-15

SM-6関連の記事
「弾道ミサイル迎撃に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27

Third Offset Strategy解説
「神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09

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カーター長官が2017年度予算案をアピール [カーター国防長官]

2017Budget.jpg2日、カーター国防長官がEconomic Club of Washingtonで9日提出予定の2017年度予算案の概要についてアピールし、「5つの考慮要因」や関心事業への予算配分、更には注目の技術開発等について語りました。

一方で、アピール点以外の「Trade-Offs:削減どころ」については積極的に語らず、主催者の質問に「やんわり」と沿岸戦闘艦LCSやフォード級空母等について答えるにとどまっています。

また、先日事前リーク情報が軍事メディアを飛びかったUCLASSからCBARSへの変更については言及無く、F-35調達計画についても特段の言及がなかった模様です

2日付Defense-News記事によれば

予算案編成上で考慮した「five key factors」
●大国ロシアと中国の伸長(←これで2つにカウントか?)
●米国やアジア太平洋の同盟国等への北朝鮮の脅威
イランの湾岸諸国へのよくない影響
●進行中のISILとの戦い

●カーター長官は、現在と将来の戦い両方に対処し備える必要があり、そのように予算案を編成したと説明
●更にロシアや中国は先進の競争者(competitors)であり、彼らが挑発的行為に出た際にに耐えがたいコストを負わせる能力を持つことで、そのような行為を思いとどまらせ、又は後悔させなければならないと表現

具体的な数字で説明した内容
2017Budget3.jpgISILとの戦いには、昨年比5割増しの$7.5 billionを。この金額とは別に(対ISILで消耗の激しい)精密誘導兵器の購入に$1.8 billionを当て、4.5万発以上の誘導兵器を調達
アフガン治安には「full funding」とのみ言及し細部は不明

●2年間にわたり米空軍と議論してきたA-10攻撃機の引退は、後継機となるF-35Aの配備が進む2022年以降に延期し、次期政権に判断をゆだねる
今後5年間でバージニア級攻撃原潜を9隻を$40 billion以上で購入を計画し、まず2017年度は$8.1 billion投入

サイバー戦関連には、今後5年間で$35 billion以上の投資を計画し、まず2017年度は$7 billionを投入
宇宙分野に関して具体的数字はなかったが、2016年度($5 billion)以上と言及

2017Budget5.jpg欧州諸国の支援ERI(European Reassurance Imitative)の経費は、2016年度予算から4倍以上増の$3.4 billion
2年連続で研究開発費を増加させ、2017年度は$71.4 billionを要求
官僚機構や司令部経費(overhead)を、今後5年間で$8 billion以上削減し、前線能力発揮に投入を誓う

●長官自身が副長官時に設置した、国防省と情報機関と民間企業に敵を困惑させるような新しい画期的能力を提供するSCO(Strategic Capabilities Office)の取り組みを紹介した
・スマホカメラのような小型センサーを目標照準の精度向上にキットとして開発し、SDBなど多様な爆弾等に適用
群れを成す自動無人機。アラスカやイラクで実験を開始しているジェット機から散布するような高速飛行する小型無人機や、実際の島や人工島で周辺の海で艦隊防御や偵察に利用するネットワーク化された自動無人ボート

・海軍駆逐艦や陸軍の自走砲装備する5インチ「電磁レールガン」は、従来の兵器をミサイル防衛兵器に変換。先月試験に成功
無人機化した空軍の旧式航空機を「空飛ぶ弾薬庫:arsenal plane」として活用し、全てのタイプの通常兵器を発射使用可能にし、第5世代機とネットワーク連接してセンサーや目標照準機として活用既存システムの組み合わせで新能力の獲得

「Trade-Offs:削減どころ」関連部分
2017Budget2.jpg●他の予算確保のためにトータルの調達機数削減が話題になっているF-35については言及がなくUCLASSのCBARSへの変更についても言及がなかった
●削減関連にはほとんど言及を避けた講演だったが、米海軍が反対するであろう沿岸戦闘艦LCSの削減については「ハイエンド脅威の抑止と撃破のための広範な予算取組の一環」として言及があった

●カーター長官は、米海軍の総艦艇数を308隻に増強する計画に触れつつ、(ハイエンド脅威に脆弱なLCS削減について)海軍とともにベストなバランスを検討していると語った
●また主催者である「Economic Club」David Rubenstein氏からのフォード級空母に関する質問には、「関与や統制が不十分(undisciplined)なプログラムであり、過去15年間の開発の経緯は正当化できない。空母の購入は継続するが、これまでのやり方ではない方法で行う」と表現した

●またGoldwater-Nichols法の見直しに関して、「過去数か月間、法律改正に向けた見直しを行っており、今後提出される改正提案を吟味して決断することになろう」と語り、米議会も検討している課題に、国防省自らも先行して取り組んでいることを明らかにした
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2017Budget4.jpg今後、9日の議会への予算案提出を挟んで、様々に2017年度予算案について様々な情報や分析が飛び交うものと思います。
特に上記で言う「Trade-Offs:削減どころ」については、様々に語られるのでしょう。

対ISILの戦いや、ウクライナや欧州での対ロシア支える経費を、「なんちゃってアジア太平洋リバランス」や将来に備えた経費を「広く浅くスライス」してねん出するのではとの予想記事も出ていますが、どうなることやら。

空や海の「群れ小型無人機」、サイバーや宇宙、潜水艦、「空飛ぶ弾薬庫」、「impose unacceptable costs」、「人工の島」、「電磁レールガン」、LCS削減などなど・・中国(ロシアも)を意識した言葉やアピールが飛び交っていますが、「five key factors」で対中国を最初に語るあたりが、口先介入」に見えるのは老眼のせいでしょうか・・・

カーター長官の講演原稿
http://www.defense.gov/News/Speeches/Speech-View/Article/648466/remarks-prev%20iewing-the-fy-2017-defense-budget 

米国防省2017年度予算特設webページ
http://www.defense.gov/News/Special-Reports/0216_budget

2017年度予算案の関連記事
「UCLASSからCBARSへ後退?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02
「A-10全廃案を取り下げへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22
「下院軍事委員長が重点を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-14

「ハリス司令官講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-28
「Offset Strategy解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-28

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米国防長官が「force of the future」に追加策 [カーター国防長官]

family.jpg28日、カーター国防長官が会見し、就任直後から取り組んでいる人的施策改善検討「force of the future」に関する追加施策を発表し、産休の延長、基地内託児所の時間延長、同一勤務地での連続勤務の柔軟化、体外受精を含む出産支援などについて言及しました。

これまでの「force of the future」検討では、産業界や大学との人材交流、長期休暇制度等による一般大学での勉学支支援、インターン制度の拡充による有能人材確保等々の施策や、2016年から開始の「女性兵士への例外なき全職種開放」が発表されていました

今回の発表は、「家族への支援」や「家族の生活の質」の改善を目指したもので、精子や卵子の保存や、体外受精(IVF)支援まで含んでおり、かなり突っ込んだ内容となっています。
諸外国軍の体制にも、影響が及ぶかも知れません

米国防省「force of the future」特設webページ
http://www.defense.gov/News/Special-Reports/0315_Force-of-the-Future

28日付米国防省web記事によれば
Reagan.jpg●カーター長官は、軍人家族を支援し、継続勤務率を改善し、将来の米軍を強化するため、産休日数の増加などの施策を発表した
●一連の施策に関しカーター長官は、有能な人材を引き寄せて継続勤務してもらうと同時に、国のために、我が身を捧げ勇敢に戦いに臨む米軍兵士達に相応しい雇用主となるため、国防省や米軍を「family-friendly」にするための取り組みの一環でだと説明した
●そして「我々の考えはシンプルであり、米軍兵士たちが、国のための任務に精励することと、家族を持ち支えていくことの2つのバランスを取ることを可能にしたいのである」と語った

産休期間を2倍に
有給の産休期間をこれまでの2倍の12週間とし、「米国防省を本分野でのトップレベルの機関にし、軍人家族の意思決定に大きな影響を与える」とも長官は表現した
●ただし、米海軍が昨年産休をより長い18週間としていることに関しては、30日間以内に妊娠が明らかになった場合は、引き続き18週間を認めると説明した
●また、50人以上の女性が勤務する国防省施設には必ず「mothers’ room」を設けることを指示し、更に父親が取得できる育休を現在の10日間から14日間に延ばす法整備進めることを表明した

軍施設内の保育施設充実
軍施設内の保育施設に補助金を出して運営を支援する。「保育サービスの提供を通じ、兵士たちが任務を継続できるよう支援し、家族を支えることと任務の両立を支える」と長官は語った
●軍施設内の保育時間と、両親の勤務時間の整合が取れず、基地外の保育施設を利用する軍人家族も多いことから、米軍全体で保育施設の開設時間を14時間に拡大する

同基地での延長勤務を柔軟に
Reagan5.jpg●同一勤務地に様々な家族関係の理由で継続して勤務を希望する場合、例えば、身内の近傍で勤務したい、特別な治療を要する子供のため特定医療機関の傍で勤務したい、子供が高校を卒業するまで勤務場所変更を避けたい等々の希望を持つ兵士の処遇について長官は言及した
●このような場合、所属部隊が許容できるならば、「(当該兵士が)負荷的な義務を負うことを条件に:in exchange for an additional service obligation」、部隊指揮官は当該兵士が当該勤務地に継続勤務することに関し、適切な措置を取る権限を与えられる、と長官は述べた

家族計画に柔軟性を付与するため
●米軍は、将来子供を持てなくなるような犠牲を強いられる可能性のある厳しい任務遂行を、兵士に要求している。これらを考慮に入れ、国防省は現役の操縦者が精子や卵子を冷凍保存する費用を負担する
●また国防省は、現在6か所で行っている体外受精(IVF)のような技術の利用経費補助を、多くの兵士が利用できるようにする方法を検討する。
●これらの施策は、家族を編成するに際してのより高い柔軟性を与え、兵士たちの将来に自信を持たせるためのものであると長官は説明した
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Les&Gay month.jpg産休に関しては、米海軍と海兵隊の兵士には「期間短縮」になります
数日前、James空軍長官が、国防省がそうしなくても空軍は3倍増の18週間にしたいと語っていましたが、どうなるのでしょうか?

それにしても、「精子や卵子を冷凍保存」とは、さすがと言えばさすがですねぇ・・・

本年元旦から効力発揮の「全職域を女性に開放」や、今回の「産休期間の2倍増」や「同一基地継続勤務に柔軟性」などは、前線部隊指揮官が単純に受け入れることが難しい話であり、いろいろなこぼれ話があるかもしれません

カーター国防長官の会見トランスクリプト
http://www.defense.gov/News/News-Transcripts/Transcript-View/Article/645952/department-of-defense-press-briefing-by-secretary-carter-on-force-of-the-future

「force of the future」関連記事
「全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「企業等との連携や魅力化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「施策への思いを長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

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後半:米国防省の2015年10大ニュースを考える [カーター国防長官]

2015 Review.jpg米国防省webサイトが「2015 Year In Review」との特設サイトをオープンし、順序を着けるように番号を付けて10大ニュースを振り返っています

「10大ニュース」に短いコメントを付け、国防長官等の発言を引用する簡単な構成ですが、これを「肴に」、ザックリと昨年を振り返りたいと思います。

一般の読者に皆様には、「Force of the Future」や「Multiyear Budget Deal」や「Tech Outreach」は日本のメディアで取り上げられることが無く、聞き慣れない事項かと思いますが、米国防省的にはとても重要で、同盟国としても頭に置いておく必要がありますので、可能な限り触れてみたいと思います

後半の本日ご紹介は第1位から第5位
1. The Fight Against ISIL
2. Force of the Future
3. Asia-Pacific Rebalance
4. Multiyear Budget Deal
5. European Security

第5位:European Security
米国防省web表現
ロシアによるウクライナやシリアにおける不安定化行動は、2015年の米国防省幹部の大きな懸念の一つであった。これへの対応として、米軍はNATO諸国と「Operation Atlantic Resolve」との一連の演習を数多く行った。また「Trident Juncture演習」は過去10年で最大規模の演習となった
→またカーター長官は、欧州を歴訪して米軍の即応部隊プレゼンスを表明し、NATOとの結束を確認しつつサイバー戦への取り組みを促し関連演習への参加を促した。

「黒海NATO演習と露軍反応」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-03
「欧州に米陸軍整備拠点を増設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-10
「欧州に米陸軍が事前集積」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-16
「対露はVJTF(高即応統合部隊)で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-26

ロシア軍は強力
2015 Review2.jpg---ロシア軍の対シリア戦を分析し、ロシア製レーザー誘導爆弾やGPS誘導爆弾の初使用や、カスピ海艦隊からの巡航ミサイルの発射等、「失われた90年代の遅れ」をロシア空軍が取り戻しつつあり、能力回復ぶりをアピールしたとの分析あり
---米軍が支援するウクライナ軍を通じた情報等から、ロシア軍の電子戦能力を評価し「露軍が出来る1/10の妨害も米軍は出来ない」、「最大の問題は、米軍が数十年も指揮通信が低下した状態で戦ったことがないことだ。妨害を受けた際、どうして良いか判っていない」と現状を厳しく認識

---カーター長官は11月、「最も困惑させられるのは、核保有国の国家指導者に期待される、核兵器の使用に関する戦略的安定性や規範に対するコミットメントに疑問が生じていることだ」と述べ、プーチンが核兵器の使用をちらつかせる発言を警戒
---プーチンは米国の中東正面での動きが緩慢なことを見逃さず、トルコと対立を強め、反面でイラン(高性能SAM売却を推進)、シリア、イラク(大統領と会談し対IS支援・武器提供を約束)、ギリシャにも接近して、中東での勢力を急激に拡大中

「長官の中露対処策講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-13
「露軍は鉄の壁arc of steelを構築中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-07
「露軍の電子戦力は米より強力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「米軍がロシア最新軍事技術分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02 

第4位:Multiyear Budget Deal
米国防省web表現
arizona-asia2.jpg強制削減の可能性の危機に直面して4年目、国防省は危機がもたらす不透明さと不確かさとの戦いに2015年を通じて対応した。
→2016年度予算として、国防省は「$534.3 billion」と「$51 billion」の海外緊急事態予算を要望した。10月末、議会と政府は、今後2年間の強制削減凍結と暫定予算で合意し、2016年度予算として「$580 billion」とすることにした

「強制削減を巡る攻防」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-27

2年間の暫定合意の意味
---強制削減がたった2年間だけ回避さられホッとする声が関係者から聞かれるが、F-35、次期爆撃機、空中給油機、戦略原潜、空母や艦艇建造、練習機、救難ヘリ、4世代機延命&改修等々、装備品の老朽化更新は待ったなしで、従来の「枠」に収まらないのは自明
---2年間だけの「暫定措置」で、長期的な研究開発や将来装備への投資額を見積もれない長期計画だ不可能な現状に変化なし。勇ましい「Third Offset Strategy」や「シリコンバレーとの協力」にも水を差しかねない現状に変化なし

「人材確保・育成策第1弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「Offset Strategy講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15

第3位:Asia-Pacific Rebalance
米国防省web表現
→カーター長官が12か国以上を訪問し、急激に変化する地域情勢や中国や北朝鮮からの脅威について議論。5月にハリス太平洋軍司令官が就任(母親が日本人

リバランスに関する米側の発言等
Reagan5.jpg---最新の装備や兵器はまず一番に当地域に配備されるし、将来、米海軍艦艇の6割は同地域配備となる。また海兵隊は豪州でのローテーション配備を開始しているし、米比は、軍事協力関係の強化に向けた協議を続けている。
---日韓豪比との同盟強化の他に、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナムとの新しい関係強化を含む、南&東南アジアとの関係強化を図る。ASEANやインドとの関係も重要
---前方展開戦力については「当地域の海兵隊については、より分散したモデルを追求し、沖縄に集中したプレゼンスを削減し、豪州、グアム、ハワイ、日本本土に再配置を進めている」と

---海軍は、計画通り4隻の沿岸戦闘艦LCSをシンガポールでローテーション配備するが、現在の2隻態勢を2017年までに4隻態勢にする
---米陸軍は今年の春後半に、旅団戦闘チームが朝鮮半島で初めてのローテーション展開を開始
---地域への精密誘導兵器への投資や、サイバーや宇宙空間での行動の自由を確保する取り組みも

「長官の「中露対処策」講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-13
「2015年アジア安全保障会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-28
「訪日直前のアジア政策講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-07
「国防省3人組が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-16

2015年にアジア太平洋リバランスに進展は?
TPP3.jpg---確認できません。欧州や中東で忙しく、西太平洋での取り組みに手が回らないのでしょう。日本が「安保法制」を通したのは数少ない成果かも知れません
---フィリピンでは米軍のアクセス拡大が裁判に持ち込まれて難航し、ベトナムやインドネシアやシンガポールでも画期的な成果があったとは言い難い現状でしょう
---インドとは長期的な視点で、モディ新政権と協議を開始したのでしょうが、インド側からの要望が空母やジェットエンジンの共同開発や設計ではハードルが高いと言わざるを得ません

アジア安全保障会議での国防長官発言
中身に進化がないことをご確認ください
「2015年カーター演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-28
「2014年ヘーゲル演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27
「2013年ヘーゲル演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-31
「2012年パネッタ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25

「インド国防相と会談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-12
「シンガポール国防相と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-09
「長官のベトナム訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-02 

第2位:Force of the Future
米国防省web表現
Force of the Future.jpg2月17日にカーター長官が就任して、これを最優先事項の一つに掲げた。そして3月に初の国内部隊視察の途中で母校の高校に立ち寄り、米国の優秀な若者を米軍や国防省に引き付けるアイディアを語る
→4月には関係部署に本取り組みに関する現制度の見直しや改革案の作成を命じ、11月18日に「改革第1弾」を発表。若者へのインターンシップ魅力化や拡大、リクルート担当幹部の配置、退役後サポートの改革等々が含まれる

「人材確保・育成策第1弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19

第1位:The Fight Against ISIL
米国防省web表現
Carter-first4.jpg10月にカーター長官は対IS戦略を提示穏健派対ISシリア軍事勢力やヨルダンを支援し、ISILの拠点である「Raqqa」に圧力アンバール州の「Ramadi」奪還を目指すイラク軍を支援、米軍は機会をとらえてより活発にISIL指導者攻撃を行う
イラクとクルド軍が、ISILにより圧力をかけられるよう、「specialized expeditionary targeting force」の派遣を計画する
→11月に発生したパリでのテロ事件を受け、同盟国等に対ISIL策強化を促す

「オバマ:シリア政策に変更無し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-17
「ゲーツのシリア対処案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-18
「ペトレイアスのシリア対処案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23
 
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最後は「息切れ」になりましたが、ざっと見ると2015年はこんな具合でした。

より民間研究者の視点で2015年の世界を見ると、以下のような視点が浮き上がってきます。米国防省の公式見解を見るうえでのご参考にどうぞ!

奥山真司氏のブログより
「グローバルなトレンド5つ」→http://geopoli.exblog.jp/25198136/
---中国の減速
---3つの災難(温暖化、テロ、政治事情で発生の移民難民)
---BRICsという神話の崩壊
---敗者に注意せよ(中国でなくロシアが不安を)
---ゲームを変えたもの(原油価格の下落

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前半:米国防省の2015年10大ニュースを考える [カーター国防長官]

2015 Review2.jpg米国防省webサイトが「2015 Year In Review」との特設サイトをオープンし、順序を着けるように番号を付けて10大ニュースを振り返っています。

「10大ニュース」に短いコメントを付け、国防長官等の発言を引用する簡単な構成ですが、これを「肴に」、ザックリと昨年を振り返りたいと思います

一般の読者に皆様には、「Force of the Future」や「Multiyear Budget Deal」や「Tech Outreach」は日本のメディアで取り上げられることが無く、聞き慣れない事項かと思いますが、米国防省的にはとても重要で、同盟国としても頭に置いておく必要がありますので、可能な限り触れてみたいと思います

まず、いわゆる「10大ニュース」のリストですが
1. The Fight Against ISIL
2. Force of the Future
3. Asia-Pacific Rebalance
4. Multiyear Budget Deal
5. European Security

6. Tech Outreach
7. Afghanistan Mission
8. Women in Service
9. Welcoming New Chiefs
10. DoD Disaster Response

第10位:DoD Disaster Response
米国防省web表現
→4月に発生した1万人の死者を出したネパールでの大地震を受け、「救援の手」作戦を実施。5月12日には、救援ヘリの事故で6名の米海兵隊員と2名のネパール軍人が死亡したが、ネパール軍も懸命の捜索に加わり、その勇気、自己犠牲、ネパール救援への貢献を讃えた
Christmas Drop.jpg航空自衛隊がXマスプレゼント投下に参加
---12月5日から約1週間、航空自衛隊のC-130輸送機がミクロネシア、パラオ、北マリアナへのいわゆる「クリスマスプレゼント投下」に参加。日米豪の共同訓練との目的だが、マスコミの突っ込みがなかったのがちょっと不思議
---航空自衛隊webサイトのトップページの「トピック」に、12月17日付発表「ミクロネシア連邦等における日米豪人道支援・災害救援共同訓練について」としてリンクが張られているが、リンク先が消去されたのかアクセス不能になっている

航空自衛隊webサイト
http://www.mod.go.jp/asdf/
当該プレスリリースのURL:なぜかリンク不能
http://www.mod.go.jp/asdf/news/release/2015/ocd/Etau/ 
米空軍関連web記事
http://www.yokota.af.mil/news/story.asp?id=123464991

第9位:Welcoming New Chiefs
Dunford2.jpg2月にカーター長官が就任し、9月末にはDunford統合参謀本部議長(海兵隊大将)が、副議長にSelva空軍大将(輸送機操縦者)が就任。空軍を除く3軍のトップも交代
●Dunford議長が就任直前の議会証言で、F-35調達総機数について再精査する必要があると発言し物議をかもし、新海軍トップRichardson海軍大将も議長に協力すると発言をフォロー

「統参謀議長が削減に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-11
「新議長の情勢認識」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-10
「新海軍トップ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-25
「海軍内では信頼薄い!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-14

第8位:Women in Service
米国防省web表現
woman open.jpg→12月、2016年1月から「例外なく」全ての職域を女性にも開放をするとカーター長官が発表。2015年中でも、陸軍レンジャー学校を女性3名が卒業、海軍潜水艦に女性下士官38名を配置のニュースも
→女性兵士や文民女性を支える「Lean In Circles」システムを導入。
ゲイやレズに関する「言わない、聞かない原則廃止」の影響調査を開始を指示。同時に主要幹部や指揮官に対する「多様性(受け入れ&理解促進)ブリーフィング」を制度化

●「一応:米軍全職種を女性に開放」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
---最後まで残っていた陸軍のレンジャーや戦車兵、海軍のSEALS、海兵隊歩兵、空軍の救命救助員、特殊部隊等の体力的に厳しく、極限状態でチームとしての機能発揮が求められる職域も開放
---ただ、「例外なく女性に開放」は3年に及ぶ検討の末の結論で言葉通り間違いないのですが、職域基準をクリアした者のみが対象で、結果の平等ではなく機会の平等であり、強制的な女性枠は無く、部隊全体の効率性も念頭に、他国軍との共同にも配慮等々の「運用指針」を併せて発表し、4軍指揮官(特に最後まで反対していた海兵隊とDunford議長)の「言いたいこと」に配慮した「全開放」

第7位:Afghanistan Mission
米国防省web表現
10月にオバマ大統領が、2016年中は現兵力9800名を維持すると発表し、引き続き2つの任務、アフガン軍の訓練を行い、対アルカイダの対テロ作戦を支援すると表明
→John F. Campbell在アフガン米軍司令官は「危険に満ちた地域で過激派の再興に対処するため、またアフガン側との長期的な戦略的関係を構築するための能力を与える大統領の決断である」と(大人の)表現

第6位:Tech Outreach
米国防省web表現
Hybrid electr.jpg→米国防省のハイテク強化は2015年の最重要目標の一つであった。4月にシリコンバレーを訪問した長官は、同地域の最新技術を取り込む機関「DIUx」設置を発表し、スタンフォード大学ではサイバー戦略を語って国防省ネットの防御が最重要任務だと述べた
→8月には薄い膜のような曲げられ装着可能なセンサーをイメージした「hybrid electronics」開発のための企業との連合体を創設を発表。更に11月には企業派遣で国防省の人材育成を促進する計画の拡大を発表

「人材確保・育成策第1弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「FlexTech Alliance創設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-31
「サイバー戦略事前説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-19
「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
「スタンフォード講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

技術開発担当次官によれば問題認識は
---「国防省の装備は、特に電子装備やIT分野で、民間製品より遙かに長い開発期間が掛かっている」、「国防省が10年以上と多額の投資をして中断した通信機器開発の最中、一般社会ではスマートフォンが遙かに早く普及している」
KendallDOD.jpg---「国防省はより効率的に必要で有効な民生技術を見いだして装備品に適応しなければならない」、「我々の相手は既にそうしている」
---「競争不足・欠如」が問題である。また「データリンクでは真の競争導入に苦慮している」と具体例を挙げて問題点を指摘
---コスト見積もりをより精緻に行い、計画通りに進んだ開発計画にインセンティブを与え、要求性能を決定する過程で情報分析部署と調達部署の連携強化をすすめる

技術優位追求の方向「Third Offset Strategy」解説by副長官
脅威対処の方向性は、艦艇対艦艇や、戦闘機対戦闘機との視点では敵と差が付けられないとの問題認識から、正面対決から「Offset」し、優れた人的資源や頭脳融合により、従来とは異なる側面から技術的優位を確保して「圧倒的優位」を確保し、通常戦力抑止を確立

「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09
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2015 Review.jpg第6位のTech Outreachhaは第2位のForce of the Future(将来を見据えた人材確保・育成策)とも密接に関わりがあり、11月18日のGeorge Washington大学での講演で第1弾を発表した「人材確保・育成策」では、技術優位の確保のための人材について力を入れています

また技術優位策では「第3のOffset Strategy」の方向性や重点項目が明らかにされ、今後の動向が注目されます。ちょっと長くなりましたので、第1位から5位は後半の明日ご紹介します
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より民間研究者の視点で2015年の世界を見ると、以下のような視点が浮き上がってきます。米国防省の公式見解を見るうえでのご参考にどうぞ!

奥山真司氏のブログより
「グローバルなトレンド5つ」→http://geopoli.exblog.jp/25198136/
---中国の減速
---3つの災難(温暖化、テロ、政治事情で発生の難民)
---BRICsという神話の崩壊
---敗者に注意せよ(中国でなくロシアが不安を)
---ゲームを変えたもの(原油価格の下落

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米海軍と予算バトル:国防長官がLCS削減と航空機増を指示 [カーター国防長官]

Reagan.jpg14日、カーター国防長官が米海軍の2017年度予算要求案に対し変更指示を発出し沿岸戦闘艦LCSの調達総量や調達ペース削減を命じる一方で、F-35やFA-18や艦対空ミサイルSM-6の追加調達、更に攻撃原潜の能力向上開発の推進等を指示しています

大統領選挙を来年に控え、ホワイトハウスの意向や議会勢力も絡んで、今後様々な形での紆余曲折が予想される2017年度予算(2016年10月以降の予算)ですが、ドロドロ予算争いの現場の「実況中継」を16日付Defense-News記事を参考に試みます

まぁ、沿岸戦闘艦LCSに関しては、能力不足だから装備を強化しろと言われたり、金が無いから削減しろと言われたり、でも総艦艇数増強の目標を維持すると言われたり・・担当者の苦労が忍ばれます

16日付Defense-News記事によれば
LCSIndep2.JPG●14日付のカーター長官から海軍長官当ての文書は、沿岸戦闘艦LCSの調達総数を52隻から40隻に削減し、更に毎年3隻ペースの調達計画を、2017年度予算から5年間は「1-1-1-1-2」に削減するよう求めている
●削減対象となったLCSは、2014年に当時のヘーゲル長官が、戦闘能力や防御能力不足を理由に強化を命じたLCSである。異例の2タイプ同時建造となっているLCSだが、2年前にも国防省と米海軍で削減を巡る激論があったが、この際は能力向上を図ることでヘーゲル長官が妥協した経緯がある

●カーター長官は文書で、LCS削減の代わりに、F-35購入数増、FA-18の追加継続購入、4世代機の改修、E-2DやMQ-4追加購入、電子戦機材の改修、P-8改修、空対空ミサイルの購入、艦対空ミサイルSM-6追加購入、バージニア級攻撃原潜の能力向上研究開発(VPM)等々に予算を振り向けるよう指示している
●なおLCSにはLockheed Martin製の「3,300-ton Freedom級」とAustal USA製の「2,800-ton Independence級」があり、現在6隻が就航、14隻が建造段階で、別の6隻が契約段階にある

現在の米海軍保有艦艇数は272隻で、「WW1以降最低」と米海軍が訴えており、2020年代には308隻態勢に増強することが計画されているが、増強計画の中核となるLCS削減の影響を海軍は懸念し反対している
●米海軍は、航空機の製造数変更は比較的容易だが、艦艇建造数削減は建造インフラへの影響が大きく、将来20年間に影響を与えることになると国防省に警告しているようである

LCS-Cut.jpg●同文書には記載は無いが、大型ステルス艦DDG 1000の3隻目建造を中止することも国防省内では検討されている模様
●また、国防省も米海軍も要求していないが、ホワイトハウスはオハイオ級戦略原潜の後継検討に2500億円以上を追加する動きを見せており、艦艇建造予算を圧迫すると見られるが、どこから財源を工面するのか不明である

航空機調達増に関する部分
●国防長官の文書は、対IS作戦需要を踏まえて2018年でのFA-18追加購入を指示しているが、2014年でFA-18調達を終了する計画だった米海軍は、現時点で2017年度のFA-18購入予算を計上していない
●FA-18製造のボーイングは、12月16日に2016年度予算で12機の追加が議会で承認された事を喜んでいるが2017年はFMS契約成立を待ち望んでいる
クウェートが少なくとも28機の購入希望を持っているが、湾岸諸国へのFMS手続きが停滞しており、その動向をボーイングは注視している

LCS削減案を巡る政治家の動向
LCS-2ship3.jpg●LCSの開発経緯やその能力を批判してきたマケイン上院議員は、国防省内の検討段階で有り、メディア報道に現時点で言及は避けたいとしながらも、国防省が戦略的に戦力構成を考えての動きである事を希望すると語った
●下院軍事委員会メンバーでJackie Speier民主党議員は、カーター国防長官の選択を高く評価し、その構想自体に疑問が生じていたLCS計画を正す判断だと歓迎した

●一方で「Independence級」の造船所を持つアラバマ州選出の共和党Bradley Byrne下院議員は、「米海軍が世界中で危機に対処して居る中で、無能で弱いオバマ政権が我が戦力弱体化の判断を下した。間違ってはならない。米国のための警告の鐘が鳴り響いているのに」と訴えた

14日付のカーター国防長官指示文書
http://ec.militarytimes.com/static/pdfs/OSD-Carter-memo-to-Mabus-151214-cut-LCS.pdf
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今後クリスマス休暇を挟み、年明けから本格化する「2017年度予算バトル」の一端をご紹介しました。

記事はある国防省関係者のコメントを引用し、「正しい答えも間違った答えも無い。我々は不幸な環境に置かれているのだ。艦艇数も増強しなければいけないし、他の分野での戦闘能力向上も図らねばならないのだ」と表現しています
work12.jpg
まんぐーすは、カーター国防長官とWork副長官コンビを決断を尊重したいと思います。様々なしがらみがある中で、懸命にあるべき方向を目指す姿勢を感じるからです

まぁ、2種類のLCS候補を競わせて機種選定を行い、両方採用にした時点で道を誤ったとも言えますし・・・。海上自衛隊の方のご意見も伺いたいと思います

沿岸戦闘艦LCS関連の記事
「LCS調達隻数を巡る激論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-20
「LCS批判に反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23
「F-35化する沿岸戦闘艦LCS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-09

「星国防相がLCS配備検討を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-10
「LCS機種選定泥沼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-24
「次世代の米艦艇LCS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-31

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米インド国防相がJエンジンやカタパルト議論 [カーター国防長官]

India-DM.jpg9日と10日、3回にわたってカーター国防長官は訪米中のインドManohar Parrikar国防相と会談し、6月の訪印で合意した「DTTI:国防技術交易イニシアチブ」の具体的中身や、対テロや共同演習で協力を深めることを話し合った模様です

また10日、インド国防相としては初めて米空母に乗艦して訓練を視察し、その後これまたハワイを印国防相として初訪問して太平洋軍幹部との意見交換が予定されています

ただ、米国防省web記事が「対テロや共同演習で協力深化」を中心にぼんやりと交流推進を紹介しているのに対し、10日付Defense-Newsはインド側が米側に技術提供を強く求める事を会談の中心に据えたと報じており、双方の視線にまだまだズレがある両国関係が伺えます。「日暮れて道遠し」でしょうか・・・

10日付Defense-Newsによれば
インド国防省関係者は、今回の会談での両国協力の最重要議題はジェットエンジン開発協力であったと語った。インドは仏製Rafaleクラスの国産戦闘機(AMCA)開発を計画しており、その為のエンジンを必要としている
もう一つの重要議題は、インド国産空母への搭載をインド側が検討している「電磁式カタパルト:EMALS」に関する協力であったと同インド関係者は語った

India-DM2.jpg●米印両国は、6月のカーター長官訪印時に署名されたDTTI(India-US Defense Technology and Trade Initiative)枠組みでエンジン開発とEMALS協力に関する議論を既に始めている。
ジェットエンジンに関しては既に3回の協議を、空母に関しては4回の協議を行ったと、インド国防省関係者は語った

●現在インドが保有する空母は「スキージャンプ式」だが、中露が保有していない高性能のEMALS技術を入手できれば、空母からの航空機運用をより柔軟に活発に実施可能となる
●一方で、長い冷戦期間を含む長期間別々な道を歩んできた両国の軍需開発部門が、共同開発や共同生産を容易に出来るはずはなく、より軽易な開発対象からDTTIを始めるべきとのインド専門家も意見もある

10日の共同会見を米国防省web記事は
カーター長官は会見で、米国とインドは世界の安全保障の「アンカー」となると語り、両国間の国防協力が発展強化されたと国防相会談の成果を表現した
●DTTI枠組みに基づく技術協力協議についてカーター長官は、「インド国防相とジェットエンジンや空母設計に関する進捗状況について議論し、両国が関心を持つ別の分野についても意見交換した」と語った

India-DM3.jpg●カーター長官は、インド軍の「Malabar」や「RIMPAC」へ演習への参加の重要性を議論し、8年ぶりの「Red Flag演習」への参加も両国関係強化の成果として取り上げた
●カーター長官は、Parrikar印国防相がハワイの太平洋軍司令部を印国防相として初訪問し、共有する利害と価値を確認するとも表現した

インド国防相は「テロは世界中に拡散しており、包括的な対応が求められている。皆が協力して対処する必要がある」、「偉大な2つの民主主義国は、更に国防協力を深化拡大する必要がある」と語った
●同日午後、両国防相は空母アイゼンハワーに乗艦し、飛行訓練の様子を視察した。インド国防相の米空母訪問は初めて。カーター長官は海洋安全保障分野での協力拡大も進めたいと語った
///////////////////////////////////////////////////

インドは大きな国で、世界最大の民主主義国家ですが、、極めて複雑な国でもあります。ですから色んな事に時間が必要ですし、中国に関する脅威認識にも米印間にも温度差があります

米国のインドへのアプローチは、本ブログを開始してから延々と続いていますが、前進と停滞と後退を繰り返し、少しは進んでいるような気がします。
ディナーがはいる国防相会談は珍しいです。米側の力の入れようが伺えます

長い目で見て、淡々と続けていくことが今の段階に最も必要なことなのでしょう。日本も同じだと思いますが
でも、インドで「新幹線」建設に従事される日本技術者の皆様の苦労は、大変なものになると思います。何と言っても、健康維持だけでも容易でない国ですから・・・

米インド関係に関する記事
「やっと3カ国 Malabar」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-14
「カーター長官インド訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-04
「米印の国防協力合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-26-1

「インド首相の米国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-30
「ヘーゲル長官の訪印」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-12
「米印関係ランクアップ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-01-1
「米軍がインド対応特別チームを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-16

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