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B-1が海上目標攻撃でASB訓練!? [Air-Sea Battle Concept]

B-1-ship.jpg9月初旬、テキサス州のDyess基地所属のB-1爆撃機が、メキシコ湾に浮かべた小型船舶を目標に、各種精密誘導爆弾での攻撃実験を行いました。攻撃に成功した写真が公開されています。

B-1爆撃機は冷戦当時、ソ連の防空網を低空超音速ですり抜け、戦略的な目標攻撃を任務に登場した大型爆撃機ですが、過去10年間はイラクやアフガンで多様な対テロ戦目標攻撃に従事しました。
攻撃だけでなく、低空を高速で飛行することによって生ずる騒音等で相手を威嚇する「任務」を与えられたこともあったようです

国防予算の強制削減議論の中では、「全機廃棄」の候補機首にも上げられている「渦中」の爆撃機strong>ですが、対テロ戦で鍛えた地上目標への精密攻撃技術を、アジア太平洋や中東を想定した海上目標に適用し、その能力をアピールしたように見えます

18日付米空軍web記事によれば
B-1 1.jpg●9月4日、Dyess空軍基地の第337試験評価飛行隊所属のB-1爆撃機が、メキシコ湾に浮かべた遠隔操作の小型船舶に対し、6発の爆弾を投下した。爆弾には、500ポンドのGBU-54レーザー誘導爆弾、500ポンド及び2000ポンドのJDAM、レーザー誘導GBU-10(写真上)が含まれていた
●B-1は、目標の小型ボートを探知し、目標照準し、利用可能な現有爆弾で攻撃した。攻撃は全ての天候条件を想定して実施された

●同隊担当幹部は「過去10年にわたり地上目標を対象に磨いてきた技術が、海上目標にも生かすことが出来た」、「我が隊が持つ技術の有効性を確認し、更に高める絶好の機会となった」と語っている
●同隊のゴメス中佐は「本評価試験により、爆撃機クルーが海上目標を攻撃可能で有ることが確認できた。各地域コマンド司令官にB-1爆撃機が提供できる能力を知ってもらう機会となった」と評価している

B-1-ship2.jpg●同中佐は「将来の戦いが地上で起こるとは限らない。海上かもしれない。そこでB-1が必要時に任務を遂行できるかを評価したのだ。状況に応ずる事が出来るよう解法を見つけるのが試験評価隊の任務であり、これまでもそうしてきた」と語っている
●今後同部隊は、得られたデータを分析し、戦術や手順としてマニュアル化してB-1部隊に普及する

●このようなB-1爆撃機の取り組みは、地域コマンド司令官の任務を遂行する他軍種にも自信を与えることが出来る陸上であろうと海上であろうと。我々だけでは出来ないが、他と協力することにより、国家に大きく貢献できる。
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CSBAのASB提言レポートでは、海軍艦艇が他の任務で多忙が予想されるため、空軍爆撃機が海上交通阻止(中国への石油等輸送ルート)に重要な役割を果たすことが期待されていました。
あえて小型ボートに注目すれば、ホルムズ海峡に出没するイラン海軍の船舶も対象となり得るかもしれません。精密誘導兵器の試験ですから、小型目標が適当なのでしょうが・・・。

B-1.jpgいずれにしても、このタイミングでこの試験。アフガンからアジア太平洋へ、地上目標から海上目標への柔軟な切り替えが可能なことをアピールしたと見るべきでしょう。
脅威の変化に対応する前向きな動きでした。全廃されたら可哀想ですね・・・戦闘機を恨むんでしょうねぇ・・・

昨年のRIMPACで、A-10も艦艇攻撃に挑戦し、大型補給艦の撃沈に成功しています。同じ「崖っぷち族」、アピールに必死なんでしょうか?

「A-10が大型艦艇を撃沈!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25-1
「A-10やF-15やKC-10を犠牲に!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-16
「B-1爆撃機も全廃の対象?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-19-1
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ASB検討室幹部「装備や演習への取り込みを」 [Air-Sea Battle Concept]

Air Sea Battle.jpg23日付DODBuzzが、米国防省のASB(Air-Sea Battle)検討室をリードする海空軍大佐2名の発言を紹介しています。
特別新しい発言があったわけではありませんが、長い間ASBについて放置してきましたので、復習の意味もかね苦労しながらASB検討室をリードする大佐2名の話をご紹介します

ちなみに両名は、Phillip Dupree海軍大佐とJordan Thomas空軍大佐です(検索しても写真が見つかりません。新進気鋭の若手大佐なのでしょう)。

両大佐は「Military.com」のインタビューで
●我々が取り組んでいるのは、ASBコンセプトを装備品計画や訓練や机上演習や実験演習等々に組み込むことである。
ASBM DF-21D.jpg●例えば今年ネバダでの「Red Flag」演習で、海空両軍がこれまでになく良く連接された状態で訓練した。仮に自身のセンサーが敵の妨害を受けたら、頼れるセンサー数が減り、他軍種のセンサー情報を頼る必要があるからである

●我々は「A2AD」との言葉で表現されるような、弾道ミサイル、電波等妨害ジャミング、強力な対空防空網等を備えた「contested」な環境で敵と対峙することを想定してASBコンセプトを検討している
●このような環境では、ステルスや長距離攻撃、更にはハイテクで強靱なシステムが求められる

「進歩変化するRed Flag演習」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-20

ASBを戦術レベルで表現すると、以下3つの作戦となる
disrupt enemy C4ISR」
destroy A2/AD capabilities」
defeat the effects of weapons launched against U.S. forces」
●これら3部門それぞれにオプションを保持しなければならない。これは必要なときに必要な場所で(我が自由に行動できる)コリドーやポケットを作り出す事である

●例えば2011年に実施した実験では、艦艇や地上や潜水艦から発射された巡航ミサイル・トマホーク(Block IV)の飛行プログラムを、飛行中のF-22から変更する事を行った。
ステルス性を持つアセットは、A2AD環境に影響を与えられる。ステルス性の低いアセットに、コリドーやポケットを与えられるのだ

様々な思惑が取り巻くASB
ASBConcept.jpg●ASBは、緊縮予算の時代に高価な装備を議会に売り込むためのコンセプトだという人達もいる。また、陸軍と海兵隊は自分たちの出番が限られるASBに懐疑的で、陸軍はASB検討室に対抗するかのような「Office of Strategic Land Power」を設置した
●ASB検討室の大佐は、ASBは海空軍だけのモノではなく統合で遂行するコンセプトだと語り、陸軍の「OSLP」とも連携と取っていると語った

●一方で、Randy Forbes下院議員(下院軍事委員会の海上戦力・戦力投射小委員会の委員長)などはASB推進派で、予算削減の中でも必要な次世代装備を推進している
●またASBを提唱した中心人物の一人であるCSBAのKrepinevich理事長は、1920年代から30年代にかけて実施された対日戦の検討や「オレンジ計画」が、現在の空母戦略を洗練させたとして、ASBに関する各種演習を推奨している
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空母艦載無人偵察・攻撃機(UCLASS)が、「夢しぼんで」単なる艦艇周辺無人偵察機や艦載機版対テロ攻撃機に落ち着きそうな話を先日ご紹介(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21)しましたが、ウィネフェルド統合参謀本部副議長あたりが強力なリーダーシップで「ASB」関連装備を「整理」しているのかもしれません

そろそろ強制削減受け入れ覚悟を決め、本格的な取捨選択に乗り出すべきだと思います。1年以上(2年以上か?)足踏み状態が続いているような気がします

ASB検討室共同リーダーが語る
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-29

ASB批判に対し5つの視点で
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-17

海空軍トップ連名のASB論文概要
「2012年2月の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
「2013年5月の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-21
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激闘!?:エアシーバトル対オフショアコントロール [Air-Sea Battle Concept]

Okuyama2.jpg気鋭の地政学者である奥山真司氏が、自身のブログ(http://geopoli.exblog.jp/20889536/)とメールマガジン上で、最近National Interest誌上で行われている「エアシーバトルASB対オフショアコントロール論OC」の状況について分かりやすく解説されています

この論争は現在進行形で、8月21日にOC論提唱のハメス氏が反論を掲載したところですが、興味深いものの「夏バテ」でフォローする気力が萎えていたところでした。

まんぐーすは、自分で付けておきながら本記事のタイトルが不適切だと思います
そもそも、ASBとオフショアコントロール論は対比して議論するものではなく前者が軍の戦い方や装備品の方向性を提案するコンセプトであるのに対し、後者はそれらを包含するより大きな政策や戦略レベルの考え方を提示するものですから、両者の組み合わせや融合発展を議論してこそ意味があるからです。

okuyama3.jpg奥山氏は両者の議論を「戦略の階層がそのまま参考になるやり方での議論」と表現されていますが、恐らく同氏も、「戦略の階層」の中でASBとオフショアコントロール論が異なる階層に属していることを指摘しているのだと思います。

また、「向こうの議論というのは、まず極論を出して、それを中庸的なものに集約していくという傾向がありますよね」とのコメントが示すように、「無理やりな対立の構図」を理解しつつも、「大人の事情」から論戦が行われているような気がします

23日付奥山氏のメルマガによれば・・・
(ペンタゴンの対中戦略:「エアシーバトル」をめぐる熱い議論

ハメスの「オフショア・コントロール」という新しく提案された戦略ですが、簡単にいえば以下のようなポイントにまとめることができます。

1,エアシー・バトルは「戦略」じゃない、単なる「戦術」だ
2,だから俺(=ハメス)が新しい「戦略」を考えてやる!

3,「戦略」には「戦争をいかに終わらせるか」という理論も必要でしょ?
4,中国は核を持ってるから、いざ紛争になったとしても核戦争にしちゃいかんだろ
5,だからエスカレーションの誘発は禁止!中国の領空内には入りません

6,この戦略の狙いは、中国の海上貿易を阻止しながら同盟国の領土を守ること。
7,決戦は起こすな、経済消耗戦に持ち込んで「行き詰まり状態」にしよう!
8,最後には中国に「花」を持たせて勝利宣言させろ
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ところが最近になって、ハメスの新しい戦略の提案にたいする批判が出ました。

ハメスの論文にたいして、Elbridge Colbyという元CIA分析官が噛み付いたのです。
その批判論文は7月31日付の「エアシー・バトルを恐れるな」(Don’s Sweat AirSea Battle)というものでして、その内容をポイントごとにまとめると、
http://nationalinterest.org/commentary/dont-sweat-airsea-battle-8804

 1,経済成長が鈍化しつつある中国でもまだ軍備拡大は続く
 2,中国の狙いは自分たちがからむ地域の紛争に第三国である米国の介入を防ぐこと
 3,エアシーバトルの肝は、ハイテクで敵深くに侵入して相手のネットワークを叩くこと

 4,これに対する批判は多い。たとえば「そもそも米国は中国と戦えない」など。
 5,他の批判としては「そんなハイテクには金がかかり過ぎる」というもの。
 6,また、核戦争にエスカレートするという危険を指摘する人もいる。

 7,そのための代替案がハメスの「オフショア・コントロール
 8,しかしこの戦略の問題は二つある。一つはおそらく効かないこと
 9,もう一つは、うまくやればエアシーも核戦争にはエスカレートしないから
 10,たとえば遠距離での海上封鎖なら、中国はその対抗手段を考えるはず
 11,また封鎖にはロシアを含んだ多国との協力が必要

 12,感情的に盛り上がってるときに中国を海上封鎖だけで納得させられるか?
 13,たとえアメリカにとっては封鎖OKでも、同盟国にとっては?
 13,中国が本気になれば同盟国の持つ兵器も上回るはず。

 14,米中は互いに核戦争へのエスカレーションを絶対に防ぎたいと考えている
 15,とくに中国側はアメリカの核兵器の多さなどに警戒していることは注目。
 16,中国はアメリカが核を使用するとは想定しておらず、通常の防空システムを構築中。

 17,戦争を避けることばかり考えているのは良くない。平和が欲しければ戦争に備えよ
 18,この意味で、エアシー・バトルは進められるべきだ
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Okuyama.jpg結局のところは、「そんな都合のよい戦略なんかどうせ効かないのだから、 もっと激しく闘うエアシー・バトルでいいんじゃないの」というハメスに対する批判です。

ところがそれにたいする反論がハメスの方から(8月21日に)すぐ出てきました
(Offshore Control vs. AirSea Battle: Who Wins?)
http://nationalinterest.org/commentary/offshore-control-vs-airsea-battle-who-wins-8920

しかもこれは、まさに「戦略の階層」がそのまま参考になるやり方での議論なのです。
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まんぐーすは、8月21日のハメス反論を十分読んでいませんが、結言は以下です
手短に言うと、同盟国等を納得させられるような、具体的な議論が必要。
●このように希望するから、といった浮ついた主張ではなく、予算状況も考慮した戦力体系や訓練や装備の議論に向かうべき

おまけですが、奥山さん監訳:エドワード・ルトワックの『自滅する中国』(http://goo.gl/RDoyP2)、興味深い良い本です。

まんぐーすのOC論解説は
「オフショア・コントロールを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13
「ASB批判に5つの反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-17

岡崎研究所:ASBとOC論融合の勧め
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-09

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エアシーバトル検討室共同リーダーが語る [Air-Sea Battle Concept]

Air Sea Battle.jpg7月27日付Defense-Newsが、エアシーバトルを巡る種々の議論を紹介し、その中で国防省のエアシーバトル検討室(Air-Sea Battle office)をリードする2人の大佐の仕事ぶりを紹介しています。
エアシーバトルを巡る疑問や反対意見については、オフショア・コントロール論と絡めた小論を先日ご紹介しましたので省略し、本日は2011年8月に設置されたASB検討室を引っ張る海空軍大佐を取り上げます。

先日ご紹介のASBを巡る種々の議論
「ASBを5つの視点で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-17

各軍種司令部の戦力計画・政策部署から派遣されている17名から構成されるASB検討室ですが、特別な予算はなく、統合のチーム長(将軍クラス)が居るわけでもありません
従って、恐らく各所の組織防衛勢力から「白眼視」され、日々辛い思いで勤務していると思われ、「判官びいき」のまんぐーすとしては、その使命と役割を淡々と語る姿を紹介せざるを得ません

残念ながら、ネット上では2人の共同リーダーの写真や経歴が見つかりませんでした。その役割からして、将来を嘱望される「トップクラス」が配置されているモノと「推測」しますが、まだ若い大佐のでバイオがアップされていないのかもしれません。

もしどなたかお会いになったら、「まんぐーすが極東の最前線から応援している。東京に来るときは一報ほしい。ホッピーとモツ焼きで大歓迎する」とお伝えください!

ASB検討室の「Co-leads」は・・・
Philip Dupree海軍大佐とJordan Thomas空軍大佐
ASBConcept.jpg●我々は、各軍種の能力や研究開発状況にかなりのレベルまでアクセスすることができ、各軍種が何ができて何が出来ないかを掌握できる立場にある。最高レベルの情報に接することができている
●これらの情報を基に、ある軍種に対し「他軍種があなた方が必要としている能力や技術を持っていますよ。話し合ったらどうですか?」と提案することができ、間を取り持つのだ。

バージニア州ノーフォークには、海軍の艦艇軍司令部と空軍の戦闘コマンドの司令部が僅か12マイルの距離で存在するが、10年以上の対テロ戦の間はその距離が数千マイルにも感じられた。しかし今は違う。共に考えている。
●単にリンクでつないで担当の任務を別々に遂行するのではなく、訓練をどのように融合するか、将来のために何を共になすべきか等の視点で関係を持っている

●ご指摘のように、我々は各軍種の装備や能力のリストを作成している。しかしそれは仕事の過程の一部であり、軍種間で融合させるべき能力を考える一助に過ぎない
●我々は軍種間での会話が促進されるように行動している。そしてどのように各軍種の研究開発が行われ、どのように投資され、どのような戦力構成になり、どのような作戦計画が想定されているかの情報を提供して対話を促すのだ

RIMPAC2.jpg地域コマンド司令官とも話をする。我々の考えている戦略や作戦や兵力構成についてお伝えしている。ASBが提供しようとしているのは司令官のためのオプションであり、A2AD対処に求められるものである
10年後にASBの歴史を振り返るとすれば、それは対中国戦ではなく、購買リストでもなく、文化の変化であろうと思う。その変化を促すのが我々の任務である
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前海軍トップのラヘッド氏はASB検討室の仕事について
RougheadNAVY.jpg●「大変難しい仕事だ。本当に複雑だ。技術は日々変化し、財政環境も不確実だ。これらを複雑な地政学や戦略的環境下でまとめていこうとするのだから」と語っている

中国を刺激したくないこともあり、国防省高官も公の場であまりASBについて具体的に言及しません
そこでASB説明に関しては、検討室の共同リーダーであるPhilip Dupree海軍大佐とJordan Thomas空軍大佐が足で稼いでいるようです。ご検討を期待する共に、激務とストレスの中、ご自愛されんことを祈念しつつ・・・

再度、「まんぐーすが極東の最前線から応援している。東京に来るときは一報ほしい。ホッピーとモツ焼きで大歓迎する」と2人にお伝えください!
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話題は変わって、ASBの天敵を一人ご紹介
Etzioni.jpg上記記事が紹介しているジョージワシントン大学のAmitai Etzioni教授です。同氏の主張は日本の社民党や共産党の主張のようですが・・・

●弾道ミサイル(特に対艦弾道ミサイル)を阻止するため、ASBは中国本土攻撃を想定しているが、これは核戦争へのエスカレーションを招く危険な作戦計画である
●本来シビリアンが検討すべき戦略を、米軍が主導している点でも恐ろしい計画
●緊張を緩和すべき時に、火に油を注ぐがごとくのアイディアである

天敵への対処???
「海空軍トップがソフトなASBを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-21

上記の言いがかりを含むASBを巡る種々の議論については
「ASBを5つの視点で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-17

最新のエアシーバトル関連記事15本
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2301176212-1
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エアシーバトル批判に5つの視点(Five Myths)で:オフショア・コントロール論に反論 [Air-Sea Battle Concept]

RIMPAC2010.jpg15日付「War on the rock」サイトに、Bryan McGrath氏が「Five Myths about AirSea Battle」との小論を寄稿し、エアシーバトル(ASB)を取り巻く誤解や誤情報を嘆いて真の姿を訴えると共に、エアシーバトルを過激だと批判するT.X. Hammes氏の「オフショア・コントロール論:OC論」のいい加減さを批判しています

手前味噌ながらCSBAのASBレポートを発表翌日には日本で最初に紹介(2010年5月19日)し、その後もオフショア・バランシング論やオフショア・コントロール論がもてはやされる中でも、「チマチマ」とASB関連の米国防省や米軍の動きをフォローしてきたまんぐーすとしては、McGrath氏の主張に大いに共感する部分も多く、概要をご紹介する次第です

CSBAレポート一番乗り紹介記事
「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18

McGrath氏が如何なる人物かは不明(軍事コンサルタント企業FerryBridge Group LLCの経営者)ですが、Hammes氏を「血税で食わせてもらっている輩」と表現する辺り公務員ではなさそうですが、ASBやA2ADウォッチャーとして国防省のASB検討室にも通じ、同検討室の仕事ぶりをよく把握しています。

Andersen AFB2.jpg彼の問題意識は、ASBが正しく認識されておらず、誤解や誤情報や意図的な中傷に基づいて勝手に議論され、その結果として同盟国等や議会の軍理解者にも懸念を生み、陸軍や海兵隊からは反抗的な態度を示されるに至っている現状にあります。

そこでMcGrath氏は、ASBに関する「5つの疑問:Five Myths」に答える形で、相反する立場の人たちの「reconcile」を図ろうとしています

ただ同氏は明確に表現していませんが、このASBを巡る混乱の背景を単なる誤解ではなく、組織防衛や売名行為や諸外国勢力による反ASBプロパガンダにあると直感しており、決して正直にASBを説いているわけではなく、皮肉たっぷりに現状を描写し、難解な表現でFive Mythsに対応しています。

まんぐーすの英語力では正確な内容把握が困難な部分も多いのですが、雰囲気を「5つの疑問:Five Myths」へのMcGrath氏コメントを通じて感じて頂ければ・・と思います

Myth Number 1:ASBは海空軍の予算獲得策?
B-2Whiteman.jpg●過去10年以上の陸上での対テロ戦は、陸軍や海兵隊を中心にし、2軍種は大幅に拡大した。この戦いが収束に向かう中で、2軍種の縮小は当然である。一方で、陸軍と海兵隊の縮小は海空軍の自動的拡大を意味しないが、急速に拡大する中国やイラン軍事力の状況を見れば、海空軍力の再確認は極めて自然である

国防省のASB検討室は、決して海空のためにだけ働いているのではない。A2ADに対処するため、統合で如何に効率よく、重複を無くして作戦するかを必死で考え、日々の訓練やドクトリンに如何に組み込むかに取り組んでいる。各軍種の細部計画にまで入り込み、統合戦力発揮のための調整を行っている
●阻害されたように感じている地上部隊関係者はよく考えるべきだ。中国軍相手には、まず海空軍が道を開かねば地上部隊は運べないのだ。地上部隊関係者からの「中国との戦いは決して起こらないから、金の無駄」との意見には気分が悪くなる

Myth Number 2:ASBは中国との戦いを誘発する?
EnterpriseUSS.jpg●「(中国の主張そのままに)中国が経済力を付ければ、軍事力を近代化するのは自然。だからASBで過激に反応するのは地域を不安定化させる。中国との協力の道を探るべき」との主張がある
●端的に反論すれば、中国はASBが構想される以前から軍事力拡大を進めているのだ。ASBを止めたら、中国との戦いの可能性が低下するのか? 我々が退却することで、中国の安全に良いと考えるなら別だが。中国は西太平洋で共存することに興味はない。主張有るのみである

ASBを止め、地域同盟国の米国への信頼が揺らぐことは、中国の野望を強くするのではないか? 不安定化した同地域は中国をして軍事行動を誘発するのではないか? さもなければ地域の「フィンランド化」を容認するのか。我の撤退や縮小は、誤認識を招き、国益の主張や防御手段の確保は誤認識を防ぐ

Myth Number 3:ASBは戦略か?
●先週ある討論会で、高名な研究者が「ASB」と「封じ込め」を対比して議論していた。私は椅子から転げ落ちるかと思うほど驚いた。ASBは単に、軍事力を活用してA2AD下で行動の自由を確保するコンセプトで、限定的な軍事力使用の概念なのに、「封じ込め」といったスケールも目的も手段も異なる大きな概念と対比できるものではない
●教養のある高名な人物でさえ、巷にあふれる誤情報に踊らされている。その責任の一端は、ASB関連情報を適当に関連性無く流布させている国防省にもあるが・・・。

Myth Number 4:OC論は完全? 戦略不在批判に
Hammes-NDU.jpgOC論のHammes氏は、戦略を伴わないASBは時間と金とエネルギーの無駄だと言う。同氏は効果的な経済封鎖とエスカレーション管理で、中国との紛争を終結できるとの戦略を中心においている
●この考え方は大いに重要で、私も最上位で参考にしたい。しかし、彼はASBを(過激だとか核戦争を誘発するとか言って)厳しく批判するが、彼のOC論にはそれを支える軍事戦略がない。軍事戦略がないのに、海上封鎖アセットへの給油や弾薬補給を当然のこととしている。恐らく中国に知られたくないから、その戦術を隠しているのだと思うが

●Hammes氏は18ヶ月前にOC戦略を公表し、誰かがASBを上回るような軍事戦略を構想するのを待った。しかし誰も出来ていない。戦略無き作戦コンセプトは意味がないと同氏は言うが、敵のA2ADに対処する作戦コンセプトは、どのような戦略にも容易にフィットするものだ
●Hammes氏のアプローチは、A2AD対処能力構築を最低限に押さえ込むための戦略に見えるが、中国の反応を考察する際に理解不能な前提を置いている

NK-Bomb.jpg●彼は中国による核反撃を警戒しているが、ASBが中国本土の奥深くを必ず攻撃すると誤解しているのではないか? そのようなオプションを外すことで、核戦争への危機を低下させることが出来ると考えないのだろうか? 
●一方、経済封鎖により中国共産党の依って立つ経済成長神話が崩れ、彼が警戒する中国大陸攻撃と同様の反応を引き起こすとは全く考えないのだろうか? 

●更に言えば、私が最も懸念するのは、中国に対するのに私ならA2AD対処作戦と経済封鎖の両手段を組み合わせるが、彼のOC論アプローチによれば経済封鎖しかない点である。
●第一列島線は東シナ海~南シナ海までの膨大なエリアを取り囲んでおり、中国の増強を続けるA2AD能力に対処するのに「ASB無し」で可能とは考えられない。(まんぐーす注:列島線を構成する日本の立場からすれば、ASB無しでは日本はサンドバック状態の防波堤になる恐れ有り)

Myth Number Five:財政的にASBは不可能か?
●不可能ではないし、十分可能である。出来るかではなく、それを選択するかどうかである。ASBのロードマップによれば、毎年2兆5千億円が追加で必要になるが、不可能ではない
●2兆5千億円とは、2014年国防予算案53兆円の5%以下(4.6%)であり、国家予算の1.9%であり、GDPの0.16%にすぎないのだ
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cyberStuxnet.jpg読者のコメント欄には、最後の経費分析に関し異論続出ですが、見積もりの前提が無い状態では議論が困難です。ただし筆者はASB検討室に詳しいらしく、「毎年2兆5千億円でASBを」は何らかの根拠のある数字なのでしょう。

ASBとOC論との関係に関し、岡崎研究所が「経済制裁や封鎖を柱に、ASBを補助的手段に」との論を展開していましたが、財政面で準備段階から効率的に組み合わせられれば、被害を受けやすい日本としては良いアプローチだなと考えていたところです。
しかし大きな戦略論としてはあり得ても、その細部を考えるといろいろ難しいと言うことでしょう。

岡崎研究所の「経済制裁や封鎖を柱に、ASBを補助的手段に」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-09

Hammes氏は財政支出を抑える効能を全面に出して強調し、ここぞとばかりに持論の「OC論」を売り込み、McGrath氏は「実効性や細部の曖昧さに問題のある」OC論が、強制削減ムードの中で勢いを得るいい加減さに我慢できず、感情的に手厳しく・・・といった様相でしょうか。

組織防衛や研究業績宣伝が幅をきかせる様相は「だから面白い」側面もあるのですが、脅威の正面に立つ日本国民としては、程々にしてほしいところです
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F-35A NgtFt.jpgエアシーバトルがどのような形になろうとも、また仮にコンセプトとの位置づけが消滅しても、中国軍事力の近代化方向を踏まえれば、米海軍と空軍の対中国戦略が「遠方から」を基本とし、無人機や長距離ミサイルを組み合わせた方向にあることは間違いありません
また、「作戦面で打たれ強く、地理的に分散し、政治的に持続可能」との米軍体制の方向性は変えようもありません。

エアシーバトルが米軍内で合意できなければ、国防省や議会や政府の理解を得られなければ、上記の方向が各軍種バラバラに非効率な形で進められ、予算削減の中、中途半端にまだら模様で構築されるだけだけです。西太平洋地域の米同盟国にとっては大きなマイナス要素です。

いずれにしても、日本は日本として自身が真剣に枠組みにとらわれない議論を基に、新たな道を切り開いていく必要があるのですが・・・。

でも・・・防衛省は希望的観測?を捨てず!
米国は「米国の一部シンクタンク(注:恐らくCSBA)が主張する、遠方攻撃能力の強化と前方展開兵力の削減よりも、空母や地上発着の戦術航空機を中心とし、A2AD下で作戦上の抗たん性を高める多様なな措置を講じていく方向」(防研の研究者)
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-24

米海軍大学のヨシハラ教授等は日本への提案として、不正規な戦術には不正規な戦術で対応との考え方を提示しています。中国は大国ですから、小さな島国である日本が弱者としての立場を理解し、正規・不正規な手段を巧みに組み合わせる方向性を追求すべきとまんぐーすは考えますが・・

「ヨシハラ教授の来日講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29

ご参考:オフショア・コントロールの概要
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13

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エアシーバトル公式文書発表 [Air-Sea Battle Concept]

「2020年に予定する米軍の姿の内、約8割は今と同じである。今後獲得しようとする新たな能力は極めて重要だが、大部分の革新的な進歩は、今からの訓練、教育、人的戦力管理、そして指導力開発に掛かっている」

ASB official.jpg米国防省のエアシーバトル(ASB)検討室が、公開可能バージョンのASB文書を初公開しました。
「ASB Concept, version 9.0」の公表用要約だという文書は実質12ページ(なのに6MBも!)で、2013年度執行計画(Fiscal 2013 implementation plan)も3ページ含まれています。

表紙には「version 9.0」が5月12日付、「implementation plan」は昨年9月12日付と記載されています。「version 9.0」ということは、2011年後半に当時のパネッタ長官が承認してから、既に8回も非公開の改訂版が出されている模様です。

これは柔軟性を示すものなのか、進歩を示すものなのか、それとも各軍種の意見を取り入れて「骨抜き」や「曖昧な総花的」傾向が強まっていることを示すものなのか・・。はたまた、オフショア・コントロール論にすり寄るように、柔らかいASBの方向に変化しているのか??

ざっくり申しますと、昨年2月と今年5月に海空軍トップが連名で発表した2つの論文の内容をきちんと公式文書化したもの、と考えて良いと思います(流れは逆かもしれませんが)。つまり、この眠気を誘う公式文書を読もうとされる方は、2つの論文を事前にチェックした後、公式文書に挑戦される方が良いと思います。

更に手前味噌ながら、「ASB Concept」カテゴリーの過去記事を半年分くらい眺めていただいた後に、公式文書をご覧になることもおすすめします
なお、公開版公式文書へはAF-Magazine記事内のリンクからアクセスできます

海空軍トップが連名で発表した2つの論文概要
「2012年2月の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
「2013年5月の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-21

「ASB Concept」カテゴリーの過去記事
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2301176212-1

以下では、とりあえず文書発表を報ずるAF-Magazine記事をご紹介し、主要な章の第1印象をお伝えします。

6日付AF-Magazine記事の概要
ASB.jpg国防省関係者が長く言い続けてきた「公開バージョンのASBコンセプトを公表したい」との言葉が、今週初め、ペンタゴンにある小さなASB検討室によってやっと実現した。
●12ページの同公開文書は「ASBの目的は、単に作戦をよりJointで行うのではなく、全ドメインにおいて作戦優位を増し、軍の能力を向上させ、我の脆弱性を低減することにある」と述べている

●同文書は、A2AD脅威が突きつける課題を描写し、ASBがどのようなもので何を達成しようとしているのかを表現し、統合戦力育成にどのようにFitし、国防省がどのように遂行していくのかを示している。
ASBを全軍に定着させるための諸活動を示している。これには、訓練や教育、A2AD環境を組み込んだ演習、軍種横断的な戦法や手順の研究開発等が含まれる

全体の構成と概要(チラ見の印象)は
●INTRODUCTION
●ANTI-ACCESS/AREA DENIAL
ASB A2AD.jpg---A2ADの定義とA2ADの5つの特徴を説明。
---5つの特徴は、事前に警報等を発する余裕がない不意急襲、迅速かつ効果的な対応が求められる攻撃、米国及び同盟国領土も攻撃範囲、陸海空とサイバーと宇宙の全てのドメインが対象、全ドメインは関連があり一つも放棄できない、の5つ。

A2AD脅威をシナリオ風に分かりやすく表現したCSBAレポート
その1 http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28   
その2 http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1

●THE AIR-SEA BATTLE CONCEPT
---ASBはJoint Operational Access Concept (JOAC)を支えるコンセプトで、A2ADにどのように対処するかを描写したもの。対称及び非対称の両環境を考慮
---軍に求められる能力として、特に「networked forces」、「integrated forces」、「attack-in-depth」を強調する。
---上記能力を用いて、「disrupt」、「destroy」、「defeat adversary forces」を実行することを目指す

●ROLE IN JOINT FORCE DEVELOPMENT
ASB relation.jpg---統合戦力育成におけるASBの位置づけや役割を説明
---昨年2月発表の新国防戦略DSGや統合の上位コンセプトJOACとの関係、また並列関係にあるJoint Concept for Entry Operations (JCEO)との関係を説明
---広範な脅威を対称とするASBでは、単に装備や戦い方だけではなく、doctrine、organization、training、materiel、leadership、personnel、facilities (DOTMLPF)の分野全てでの一体となった取り組みが必要

A2ADとASB Concep及び本章については、昨年2月論文が詳しい
「2012年2月の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19

●IMPLEMENTATION
---ASBに関する2013年度執行計画の紹介部分
---執行計画の中身を11項目に分類し、その方向性を説明
---11項目には、厳しい環境を訓練や教育内容に反映、同様に演習に反映、下部コンセプトを作成、同盟国等とのコンセプトの共有と必要な能力造成、対A2ADのための試験や研究実施、統合全ドメイン指揮統制の試験実施、A2AD下での戦術・技術・手順開発、実戦的なシナリオでのASB演習実施、ASBに基づく統合の装備品調達、ASBや対A2ADをドクトリンに反映、各軍種の下部組織での関係強化

本章の具体的中身は本年5月の論文が詳しい
「2013年5月の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-21

●CONCLUSION
(本文書の最後の一文より・・・)統合計画で2020年に達成しようとしている米軍の姿の内、約8割は既に今保有しているもので占められている。
今後獲得しようとする新たな能力は極めて重要だが大部分の革新的な進歩は、今からの訓練、教育、人的戦力管理、そして指導力開発に掛かっている
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ASB 3D.jpgいい加減なご紹介で申し訳ありませんが、なんと言ってもASBに関する「初の公式文書」ですので、一度は目を通す必要があるのでしょう。

是非コーヒー3杯飲んでから挑戦してみてください。JOACよりは短く、少しは図表が入っているので、粘れるかもしれません・・・。

海空軍トップが連名で発表した2つの論文概要
「2012年2月の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
「2013年5月の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-21

「ASB Concept」カテゴリーの過去記事
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2301176212-1

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ソフトなエアシーバトル!?:米海空軍トップが再び連名論文 [Air-Sea Battle Concept]

ついに登場!「ゲーツ元長官語録100選」
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ロバート・ゲーツ語録より→全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
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Greenert.jpgGen. Welsh III.jpg16日付でForeign Policy誌のwebサイトに、米海軍と空軍トップによる連名論文「Breaking the Kill Chain」が掲載され、エアシーバトル(ASB)への取り組み状況をかなり具体的に説明しています。

米海軍と空軍トップは、昨年2月にも同誌に連名のASB論文を寄稿していますが、昨年の論文は「米軍内へのASB遂行宣言」のような位置づけの中身で、組織的抵抗や偏狭な軍種や職域の利益防衛は許さないとの主張が前面に出たものでした。

今回の論文は前回に比較し、大上段に振りかぶった堅い戦略環境分析は最小限にし、より淡々とより分かり易くASBの狙いと具体的施策の進行状況を説明するものとなっており、特にASBに「ソフト」なイメージを与えるよう軍種の融合やネットワーク重視を前面に出しています。
読みながらこのタイミングで論文を発表する狙いや必要性を考えたのですが、現時点で頭に浮かんだのは以下の3点です

RIMPAC2010-2.jpgASBを過激で金食い虫作戦だと見なして批判し、経済封鎖を前面に打ち出した「オフショア・コントロール」論が急速に広まる中、軍としての考えを発信する必要
●5月末を目途に進む国防省自身による戦略レビューSCMRを、作戦面で補足説明する必要
●議会や政策シンクタンクの中に根強くある、米軍は非効率に各軍種が好き勝手な高級装備品を未だに要求しているとの批判に反論する必要

以下の概要説明では、中国やイランの軍近代化によるA2ADに対処するASBの必要性や、予算状況が苦しい状況説明等の「前振り部分」は省略し、目新しい「表現」や「事実関係」に絞って「つまみ食い」説明します

昨年2月の論文を読んでからご覧になると、その違いが鮮明でおもしろいと思います
昨年2月の論文概要http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
2月の論文の詳細説明http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19

論文「Breaking the Kill Chain」の興味深いところ

脅威は費用対効果の高いA2AD
ASBM DF-21D.jpg●潜在敵が、「世界的な公共材」で誰の所有物でもないair, sea, cyberspace, and spaceへのアクセスを妨げて自由な使用を妨害するのに対し、この行為を粉砕するため、潜在敵のkill chains(敵の軍事行動の流れを寸断)するのがASBである
●隣国を威嚇するような国家がA2ADを指向するのは、費用対効果が高いからである。A2ADによるホルムズ海峡の閉鎖、サイバー面での国家遮断、米国やその同盟国による展開や反撃の阻止の脅しが、効率的に行えるからである

エアシーバトル(ASB)の特質を考える
2011年に国防長官が承認したASBコンセプトは、特定の一つの相手を想定しているのではない。例としては、イランの脅威が想定されるホルムズ海峡やアラビア湾、シリアが近代的な防空ミサイルを配備する東地中海等があり、韓国海軍艦艇を撃沈した北朝鮮もA2AD能力を誇示した点で想定対象といえる。(まんぐーす注:ワザと中国を外すところがカワイイ!

ASBConcept.jpg●ASBは軍事戦略ではない。襲撃や侵攻に関するものでもない。これはアクセスへの脅威を排除し、人道支援や被害復旧を含む連続した活動への道を確保するものである。(まんぐーす注:HA/DRを絡めるなんてステキ!
●通常の作戦は地域担当のコマンドが作成するが、同コンセプトは各軍種が戦闘コマンドに提供する戦力を組織し、教育訓練し、装備させる方針を示すものである

●ASBでは、アクセスへの脅威に対し、まず敵C4ISRを寸断し、次に敵の兵器発射母体を破壊し、最後に敵が放った兵器を破砕する。つまりkill chains(敵の軍事行動の流れを寸断)の考え方が基礎である。
●従ってASBでは、必ずしも内陸奥深くの敵施設を攻撃するわけではない。なぜなら、(そのような攻撃より)敵のC4ISRは脆弱で、次に敵の艦艇や航空機は撃破可能で、発射された兵器を欺瞞や邀撃できるからである。(まんぐーす注:オフショア・コントロール論への流し目が最高!

米軍はA2ADに対し対称な手法をとる必要はないミサイルをミサイルで邀撃したり、潜水艦で潜水艦を撃沈したりする必要は必ずしもなく、例えば、敵ミサイルを電子戦で無効化したり、敵偵察システムを電磁攻撃やサイバー攻撃で混乱させたり、経空脅威を潜水艦で対処するのだ。
●これこそがネットワーク化された融合攻撃であり、そのために編成され訓練された部隊が求められる

エアシーバトル部隊を構築する
KJ-2000.jpg●今でも定期的に海軍と空軍Top Gunメンバーは共に訓練しているが、ASBではこのような軍種間の協力をより推進し、例えば陸軍の防空部隊や海兵隊偵察部隊との協力を進めるため、軍種間のドクトリン融合を拡大する。
異なるドメイン間の単なる協力から融合へ、ASBを通じて進化しているである。このため、軍種間の各種手順共通化、予算の融通、軍種共同演習や机上検討を強化している。

データリンクは軍種融合作戦に緊要な前提装備である。ASB関連の投資は、軍種間のアセットを厳しい電磁妨害下でも結びつけるネットワークに向けられており、同時に妨害に強い波形変換技術や衛星通信の代替システム研究や、強靱で代替機能のある通信システムに向けられている。。(まんぐーす注:ソフトなASBをアピール!

●その成果の例として、潜水艦発射の巡航ミサイルの飛翔プログラムを、発射後にF-22から更新変更するテストがあり、また陸軍巡航ミサイル用のセンサーシステムを活用し、海軍艦艇防御用の艦対空ミサイルSM-6で、昨年9月、射程を延伸して敵巡航ミサイルを邀撃している。
●また2013年度ASB推進計画により、世界中にある海軍と空軍作戦センターの再編成(operational alignment)を通じ、通信ネットワークの改善を追求している

更なるエアシーバトル進展に向けて
3つの方針を掲げて継続的に推進する。3つとは「軍種の壁を除去compelling institutional change」,「ASBコンセプトを育成fostering conceptual alignment」,「4軍で調達を整理整頓promoting programmatic collaboration」である。

GreenertCNO.jpg●「軍種の壁を除去」では、ドメインを超えた作戦を追求し、長年蓄積されてきた軍種毎や機種毎の「やり方」を乗り越え、より融合した運用を目指す。ASB検討室(ASBO)を設置して4軍の兵士を配置、各軍種間の融合を促進するべく日々調整に当たっている。
●昨年12月には、ASBO主催の集中検討会が行われ、4軍と中央軍や太平洋軍の関係者等、約150名がASB推進に向けた協議や意見交換を行い大いなる成果を得た。

●「ASBコンセプト育成」では、ASBを根付かせるため各軍種が演習を行っている。例えば昨年は、3月に海兵隊がExpeditionary Warrior、6月に陸軍がUnified Quest、8月に海軍がNavy's Global、12月に空軍がUnified Engagementを実施し、他の軍種も参加している
●最後のUnified Engagement 12では、これらの集大成として海外10カ国以上からの参加者も含む、計300人が参加した机上演習が行われている

Welsh III1.jpg●「4軍で調達を整理整頓」では、ASBOが各軍種の諸計画や予算案を分析し、A2A対処の視点から不足箇所やや過剰部分に関する助言勧告を行っている。過去2年間の成果として、対長距離ステルスミサイルLRASM、海軍電子戦システム、戦闘機用新データリンクに投資が行われた
●逆に「軍種間の重複」の削減にも成果を上げている。2013年度予算では、無人偵察機Global Hawk、空軍戦闘機、海軍艦艇の要求削減を行った。ASBは、予算縮減の中で、米軍を融合させ能力を維持するために今後も使用される

●10年にわたる戦いが終焉を迎え、ソ連のような現実の敵がない中、軍は少しじっとしていろ(retrench)との声もある
●しかし米軍は、ドクトリン、訓練、投資分野で融合を進め、議会や国防長官室の協力も得て戦略を推進し、米国の行動の自由を確保し、その能力で侵略を抑止し、地域の安定を維持し、危機に対処し、同盟国等の安心を確保する
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CSBAのASBレポートに親しんだ皆様には、「なんとソフトなASB論文なんだ!」と驚かれたことでしょう

Waterdrop.jpgごもっともです。これまでのASBは、CPGS(通常兵器による世界即時攻撃)、長距離ステルス爆撃機(LRS-B)、長距離ステルスミサイル、艦載無人ステルス攻撃偵察機(UCLASS)、無人電子戦デコイ(MALD)、Resiliency強化の部隊分散、衛星や衛星通信の強靱化や代替確保、サイバー戦や宇宙戦への備えでしたから・・・

もちろん、最近漏れ聞こえてくる各種検討でも、上記装備はまだ生き残っているようですから、ASBが完全に変質した訳ではないでしょう。
するとこの論文は、ASBを「オブラートで3重巻き」するための論文でしょうか。

そんなことを考え、本論文の目的を冒頭の3点、「オフショア・コントロール対策」、「SCMR発表に備えた作戦面の補足説明」、「議会説明用に4軍団結をアピール」と推測しました。

陸軍の防空部隊に目をつけてますね! 陸軍に米国版A2AD任務の方向です!
ところで・・昨年12月の「Unified Engagement 12」に日本は参加したんでしょうか???

関連する過去記事
「オフショア・コントロールを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13
「カーター副長官がSCMRを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08-1
「SCMRの状況とシンクタンク対案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-20

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エアシーバトル?:統合の基地占領作戦 [Air-Sea Battle Concept]

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Jbase.jpg1日付米空軍webサイトが、4月25日にテキサスの飛行場で実施された航空基地占領作戦の訓練を紹介しています。陸海空軍が関与する統合作戦の訓練でしょうか? つまりエアシーバトルは海空軍だけではないですよとアピールする訓練でしょうか? 

海軍のFA-18戦闘爆撃機、空軍のB-1BとC-130(空挺隊員を投下するC-17を模擬)、更に航空機を誘導指示するJTAC(Joint Terminal Attack Controllers)も参加し、防空網を備えた敵航空基地を征圧し、落下傘部隊(この部分も模擬)が降下して占領するシナリオで訓練を行っています

米空軍web記事は訓練の様子を・・・
Jbase3.jpgJbase4.jpg●B-1B部隊の訓練を担当するネリス基地所属の第77飛行隊が中心となり、フォートワース海軍航空基地所属のFA-18も参加した訓練は、テキサス州Synderのウィンストン飛行場で行われた。
●同飛行場には我の脅威となる防空レーダーやAAA、地対空ミサイルを模擬する電子戦部隊が配備され、訓練を実戦的なものにした

まずB-1爆撃機がFA-18の援護を受け、敵防空兵器を攻撃して敵の抵抗を無効化し、輸送機が展開する地上部隊用の火砲や装備品を空中から投下した。FA-18は地上部隊の要請に応じてCAS(close air support)も実施し、爆撃機の負担を軽減した。
●その後、C-17を模した12機のC-130が約700名の陸軍レンジャー部隊と空軍JTAC要員を投下し、地上に展開したJTAC隊員はB-1Bと連携をとりながら地上に残った敵兵器を攻撃した。

●訓練を主催した幹部は「我々は実際に戦争で遂行するようなやり方を訓練する」と訓練の意義を説明し、「異なる航空機や他軍種の能力を相互に確認するすることで、他の任務を支援することが出来る」と語っている。
●また同幹部は「将来、米空軍は他軍種や他国軍と共に任務を遂行するだろう。従ってこのような訓練を通じて互いを良く知る必要がある」と語った。
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Jbase2.jpg海空軍が先に連携を深め、後に陸軍にも参加を呼びかけるのでしょうか? 
しかし今時、空てい部隊による敵地占領作戦がありえるのでしょうか? 思いっきり妄想すると、この訓練に自衛隊も参加して南西諸島奪還作戦につなげることも出来るのでしょうが、離島奪還などは陸上自衛隊の生き残り(組織防衛)手段と見るのが適当でしょうから考えすぎでしょう。

イラクやアフガンで錆付いた本格的作戦を思い出すための訓練かもしれませんし、エアシーバトル推進でへそを曲げている陸軍を巻き込む訓練で、米軍一体をアピールする狙いがあるのかもしれません。

最近のエアシーバトル関連記事
「エアシーバトルは不滅です」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-07
「黄昏のエアシーバトル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-03

「ヨシハラ教授の中国軍観」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-03-1
「オフショアコントロールを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13
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ロバート・ゲーツ語録
→如何に統合で進めるかが重要である。ここイラクやアフガンでは、米軍史上無かった統合運用が行われている。しかし調達面での統合が進んでいない。我々は統合で調達することがほとんど無い
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
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エアシーバトルは不滅です [Air-Sea Battle Concept]

本題の前に→謎の怪人が国防長官の首席補佐官へ
LippertDOD.jpg【ワシントン時事】ヘーゲル国防長官は19日、自身の次期首席補佐官にMark Lippertマーク・リッパート国防次官補(アジア・太平洋担当)を起用する人事を決めた。5月1日に就任の予定。国防省当局者が明らかにした。

リッパート氏はオバマ大統領の上院議員時代の政策スタッフや国家安全保障会議(NSC)首席補佐官などを経て、2012年4月に国防次官補に就いた。沖縄県の米軍普天間飛行場移設や海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイの同飛行場配備などに当たっており、日本の外務・防衛両省幹部とも近い(←知らないのは「まんぐーす」だけ・・みたいです)

「謎の人物・Mark Lippert氏」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-20
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「戦闘機の呪縛から離脱せよ!」
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
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ASB.jpg「黄昏のエアシーバトル」との記事を先日掲載したばかりですが、ちょっと斜に構えた論調だったので、再度基本を確認する必要性を感じていたところ、5日付DODBuzzがちょうど適当な記事を掲載してくれました。

継続中の軍事戦略再評価や強制削減への対応検討の中にあっても、エアシーバトル(ASB)は高い優先順位を保っており、同コンセプトの戦略再評価後の位置づけは未確定ながら、その重要性は変わりようが無いとの主張です。

長嶋茂雄氏の国民栄誉賞受賞もあり、ここは一つ「エアシーバトルは不滅です」とのタイトルで、国防省のエアシーバトル検討室や元祖提唱者CSBAのKrepinevich理事長などの意見に耳を傾けたいと思います

「黄昏のエアシーバトル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-03

国防省エアシーバトル(ASB)検討室は・・・
ASEANPlus.jpg●検討室は「A2AD環境において、統合戦力が何をなすべきか、何が必要かを定めたものがエアシーバトルであり、予算縮減の中にあっても、その実行が遅れることはあっても、そのコンセプトが示す考え方や行動方針の有効性に変化は無い」と声明を出している
●検討室の声明は「ASBは、ネットワーク化され、遠方から攻撃及び防御可能な統合戦力造成の中心的考え方である」とも述べている。また10年以上に及んだイラクやアフガンでの戦いからの転換を図るコンセプトだとも表現している

●ステルス性を備えた長距離爆撃機は、ASBの鍵となるアセットである。米空軍は次世代爆撃機を予算削減の中でも残そうとしている。ISRアセットもASBの鍵となる役割を期待されており、イラクやアフガンで地上部隊指揮官が無人機MQ-1やMQ-9のお世話になったことからも重要性は明らか
●ただ太平洋地域では、海軍や空軍はより長距離を高速で飛行できる無人機を艦艇の監視に使用することを想定している。

Yabu5.jpg●ASB検討室の海空軍大佐は陸軍協会の雑誌に投稿し、「ASBは決して地上戦力を排除するものではなく、むしろ地上戦力の活動環境を整える役割を果たすのだ」と説明している。
●更に「ASBを巡る最も問題となる誤認識は、海軍及び空軍戦力だけのためのコンセプトで、地上戦力を無視した考え方だとの誤解である。全く逆で、増大する(敵対者の)技術的脅威を前にして、ASBは米国と同盟国等の全ての軍種を必要欠くべからざるものとして役割を期待するものである」と訴えている。

ASBコンセプト提唱者が基本を訴える
(CSBAのKrepinevich理事長)
cyberStuxnet.jpgASBの目標は、安定の維持、侵略や小競り合いの抑止にある。各軍種がASBのようにチームを組むことは初めてのことではなく、70年代や80年代に欧州がソ連と対峙する際にも統合戦略が求められ、各軍種はバラバラに戦略立案しなかった
●ASBを考える時、中国を思い浮かべないことは難しいが、中国だけを対象としたわけではなく、軍事技術の拡散により弾道ミサイル、巡航ミサイルや高度な防空ミサイルなど、米軍戦力のアクセスを阻む能力を備えた対抗者を広く念頭においている

ケンドール調達担当国防次官
●軍事技術の拡散や発展により、センサーや妨害機材、無人機や精密誘導兵器が、より多くの国に容易入手できるものとなってきている
●この結果、米国が長く享受してきた軍事技術での独占優位態勢が、中国のような国を前にして揺らいできた
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ASBが統制の取れた形で実行に移されるかどうかは分かりませんが、A2AD環境において長距離ステルス攻撃力やISR能力やResiliency(強靭さ)が必要なのは明らかであり、サイバーや宇宙ドメイン脆弱性から被害状況下での作戦運用を想定するのは自明です。電子戦能力や対潜水艦能力の強化が求められるのも当然であり、小規模特殊部隊による攻撃とその被害を予期するのも極めて自然なことです

ASBM DF-21D2.jpgASBは生きるか死ぬかの問題ではなく上記背策や対処策が効率的に軍種横断的に進むか、それとも非効率に無駄にバラバラに進むかの違いだけです。二者択一ではなく程度や要領のよさの問題です。

わが国に当てはめれば、戦闘機を神棚に祭りあげ、非効率に無駄に組織の意識バラバラにA2AD環境に挑むか、戦闘機の神格化をやめ、軍事的合理性というテーブルに載せ平等な環境で議論するかどうかです。

もし「専守防衛だからしょうがないじゃん」とか「戦闘機以外にどうしろと言うんだ」といった開き直り理論(戦闘機命派の砦)を耳にしたら・・・、その時は時間の無駄だからその人との議論はやめましょう。
専守防衛が最後の砦と言う自己矛盾の人たちとは・・・

ASBの概要を理解する
「エアシーバトルのシナリオ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30
「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18

ASBの必要性を訴える
「概要海空軍トップのASB論文」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
「ASB担当将軍が訴える」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-23
「小論エアシーバトルの実行」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28
「エアシーバトル批判者に語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29

ASBの限界と代替案を提示
「オフショアコントロールを学ぶ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13

ASB関連記事
「Offshore Balancingの解説」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27
「統合ドクトリンJOAC等」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-29

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黄昏のエアシーバトル [Air-Sea Battle Concept]

AFM13Ap.jpg4月号のAF-Magazineがエアシーバトルの戦い:AirSea Battle’s Battle」との記事を掲載し、各軍種の縄張り争いや予算獲得競争により、エアシーバトル(ASB)の議論が理念からかけ離れた「泥試合」の様相を呈している様子を紹介しています。

陸軍と海兵隊がASBに対抗するようなコンセプトを発表したり、ASBを利用して装備品をねじ込もうとしたり、A2AD以外の脅威を強調したりする典型的な組織防衛運動が展開されており、ある意味「マイナスの期待」を裏切らないのですが、読むにつれ気が沈む内容です
また、統合参謀本部が発表したJOAC(Joint Operational Access Concept)が、総花的で何ら各軍種を統合する役割を果たせていないことも示唆されています

ASB関連の現場での訓練は・・・
ASEANPlus.jpg●ゲーツ及びパネッタ前国防長官等の下でコンセプト検討が進められてきたASBは、ペーパー上での検討から、前線でどのように遂行可能かを考える段階になっている
●しかし「クリスマスツリーに関係の薄い飾り物を付けようとする者」や、意図的又は無意識にASBを「誤認識:misperceptions」して否定的な姿勢を取るものが多数存在する
●国防省のASB検討室(大佐以下の20名程度で構成されている)の関係者や海空軍司令部の担当幹部たちは、内外からの「海空軍はASBに夢中になり過ぎ」との批判に対応しつつ、前線部隊との議論や検証訓練を行っている

●昨年11月、空軍の救助部隊が海軍第3艦隊と共同訓練を行い、敵脅威下での海上救助訓練を実施した
●本年2月、米海軍・海兵隊・空軍と英空軍が参加し、米東海岸で経空脅威下での海上進行作戦を多国籍環境にまで拡大して訓練した
●本年2月から3月中旬にかけてネリス空軍基地で実施されたRed Flag空軍演習に海軍航空部隊が参加し、ASBが機能するかを確認し、次のレベルへコンセプト検討を進める資を得た
●「A-10が艦艇攻撃訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25-1

●しかし海空軍間のすき間は依然大きく、潜水艦が浮上時に空軍無人機から情報を入手したり、イージス艦が空軍爆撃機に目標情報を提供するような作戦には、両軍を結ぶネットワークや間隙を埋める装備品、訓練や要領の設定が必要である。

国防省内のASB検討室の評価
gatesSTART2.jpg●複数の関係者によれば、ゲーツ前長官等は、統合参謀本部の官僚的なプロセス(JCIDS process)に乗せてASBが「でたらめ」になることを避けるため、小規模な検討室方式をとった
●50ページ以下にまとめられたASBコンセプト(非公開文書)は、JCIDS processから切り離して検討したことで成功裏に完成したと広く考えられている。

●一方で、ASB検討室は予算決定に関し権威を持たない大佐クラスの集まりであり、各軍種はそれぞれの論理で検討室と関与し、派遣した要員にそのラインで検討室勤務するようさせている。シュワルツ前空軍参謀総長は「ASB検討室の特徴は、統合職のボスが不在なことである」と表現している
●また既にそれぞれ8万人と2万人の兵員削減に直面している陸軍や海兵隊関係者は、海軍と空軍を中心に据えるASBに対する懐疑的な見方を隠そうともしない。

陸軍を中心とした動き
Odierno.jpg●陸軍と海兵隊は国防省内がA2AD対処議論に支配されていることに神経質になっており、今はASB検討室に代表者を送り込んでいる
陸軍は昨秋、地上兵力戦略検討室:Office of Strategic Land Power(OSLP)を特殊作戦軍と協力して立ち上げると発表し、陸軍参謀総長は「将来戦において、我々に必要な能力が何かを検討する」と主張している。海空軍は、OSLPがASB監視と対処をが役割としていると表現している
●OSLPはA2AD対処に関する陸軍の唯一の明確な対応だが、本年3月、陸軍と海兵隊は「アクセスの獲得と維持:Gaining and Maintaining Access(GAMA)」とのコンセプトを発表した。
●約20ページからなるGAMAには、アクセスの脅威となる陸上脅威の制圧と海洋チョークポイント周辺の陸上要衝確保等が将来必要になる等と記されている

不信感を隠さない海兵隊
AmosMarine.jpg●海兵隊は公の場でも慎重な姿勢を示している。例えば海兵隊の中将は「ASBが懐疑的なコンセプトだと表現するつもりはないが、戦略にはなっていない」と述べ、ASBは軍が注視すべき能力の一部だけを示しており、当初の狙い以外に活用してはならないと語っている。
●同海兵隊中将は「人々がASBを戦略と捉え、何のために何が必要かを決めるために用いるのではないかと懸念している」と語った
●また複数の海兵隊士官は、ASBに気乗りしない様子を表現し中国との核戦争に発展する恐れや、リビアやマリで発生した不正規戦を無視するものだと語った。

●ある(海兵隊)高級幹部は陸軍や海兵隊が度々持ち出す主張を繰り返し、ASBは海軍と空軍が大きなシェアと握ろうとするためのコンセプトだと呼んでいる
●陸軍と海兵隊幹部は、各軍種のトップが参加する国防省での会議では、我々の主張を通して予算を獲得するため戦い抜くと語っている

統合参謀本部の微妙な姿勢
dempsy3.jpg●統合参謀本部はJOAC(Joint Operational Access Concept)でASBもGAMAもカバーすると言っているが、JOACは単に統合参謀本部の存在を主張したに過ぎず、ASBに制限を加える結果になっていると考える者もいる
●JOAC作成時の担当海兵隊将軍は、「ASBの範囲を狭めようとする意図はなかった。我々はASB以外の分野をカバーするコンセプトの必要性も議論していた。沿岸戦闘や地上戦闘などである」と語っている

●ASBは特定の装備品と関連図付けて議論される傾向にあるが、もっと広範に海空軍が保有する能力を結びつけ、相互理解を深めて運用するコンセプトであると海空軍の担当将軍は説明している
●ASB推奨者は、「海空軍による海・空・宇宙やサイバー空間の制圧無くして、また海空軍が兵力を展開できなければ、どんな作戦コンセプトも形にならない」と説明する。
●海軍と空軍はASB実現のための必要装備品の長いリストを示しているが、どこまでが正しいのか、どのあたりまでが適当なのかは依然として疑問として残っている
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ASBM DF-21D2.jpgゲーツ元国防長官と言う強力な推進役を失い、ASBが漂流を始めています
中国やイランのように、各種弾道ミサイルや巡航ミサイル、強力な防空網、艦艇攻撃能力、サイバーや宇宙戦能力等々を保有した新たな脅威に対し、限られた予算の中で、海空軍を中心として緊密に連携して戦うコンセプトを考える「素朴な」ASBの原点が埋没しています

この記事は、賛成と反対陣営を対立軸で描き、読者を引き付けようスタンスで書かれており、その読み方は注意が必要です。
しかし予算削減の中、各軍種の組織防衛意識と変革を拒む軍人の本性丸出しの、ドロドロの愛憎劇が繰り広げられていることは事実でしょう。

かなり長い記事ですので、相当意訳してご紹介しました。いろんな事象が紹介されていますので、「軍人観察」にご興味のある方はご確認ください

ASBの概要を理解する
「エアシーバトルのシナリオ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30
「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18

ASBの必要性を訴える
「概要海空軍トップのASB論文」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
「ASB担当将軍が訴える」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-23
「小論エアシーバトルの実行」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28
「エアシーバトル批判者に語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29

ASBの限界と代替案を提示
「オフショアコントロールを学ぶ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13

ASB関連記事
「Offshore balancingの解説」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27
「統合ドクトリンJOAC等」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-29

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中国軍の権威ヨシハラ教授が語る [Air-Sea Battle Concept]

軍司令官が示す攻撃的な作戦を、習近平主席が「政治的に賢明な選択ではない」と拒否できるか分からない

Yoshihara.jpg3日付読売新聞が囲み記事「語る:対中戦略」の第3回目として、人民解放軍研究で注目を集める米海軍大学のトシ・ヨシハラ教授のインタビューを紹介しています
米国内でもその発言や分析が注目され、軍の研究にも参画している同教授が、中国軍への文民統制、エアシーバトルへの懸念、中国A2ADへの対処への助言等の視点から語っています

心配は、事もあろうに「U.S. Naval War College」を「米海軍戦争大学」と訳した読売新聞とワシントン支局・中島健太郎氏の本分野への見識です。
転勤されたばかりなんでしょうか? 大事な部分を聞き逃したり間違ったりしていませんように祈ります・・・

米海軍大学のヨシハラ教授は・・・
89年の天安門事件の後、共産党と軍の間で、「軍は政治にかかわらず、戦略の立案に集中する。党と政府は財源を軍に回す」との取り決めがあったとされている
軍に、兵器開発や軍事ドクトリン策定で自主権を与えたことになる。つまり、軍司令官が示す攻撃的な作戦に習近平主席が「政治的に賢明な選択ではない」と拒否できるか分からない

Yoshihara2.jpg中国のA2AD戦略は、弾道ミサイルや航空戦力(搭載の巡航ミサイル)で先制攻撃し、特定の航空基地を破壊して制空権を奪うもの。沖縄の嘉手納基地が最初のターゲットになるでしょう。
●海空軍による長距離攻撃を柱とするエアシーバトル(ASB)は、中国に適用すると紛争を拡大する要素がある

●それより効果的なのは、鉄骨とコンクリートを使い、航空機防護用の格納庫を作ったり、滑走路の迅速な修復を可能にする備えをすること。これは日米に共通
●また有事の際、米軍と自衛隊が出来るだけ多くの民間飛行場や港湾を使用できるよう法整備することも必要。拠点が増えれば、中国は攻撃先を迷い、リスク分散になる

●中国空母の「遼寧」は「超大国のシンボル」で、米国との1対1の戦闘で勝ち目はない。しかし南シナ海沿岸の相対的に弱い国に対しては、極めて有効な戦力になる
●中国が何でもできる「魔法の銃弾」を持っているわけではない。彼らの弱点を突く戦略で対処できる
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エアシーバトルの懸念を中国への過度な刺激(核戦争?)と結びつける辺りは、「オフショア・コントロール論(OC)」の考え方に近いとの印象を受けました。
やはりワシントンDCでは、OC論がASBを飲み込む形に向かっているのでしょうか・・

「オフショアコントロールを学ぶ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13

Yoshihara3.jpgいずれにしても、中国の弾道ミサイル等による先制攻撃を脅威とし、「鉄骨とコンクリート」によるResiliency(強靭さ)強化を訴える姿勢は、まんぐーすの姿勢の基礎であり、改めて意を強くした次第です。

そして冷静に「彼らの弱点を突く戦略」を訴えた締めの部分に「膝たたき」です。
ついでに「専守防衛」なんて冗談でしょ・・とか、「亡国のF-35」や戦闘機ばかりに投資していてはだめですよ、とか言ってくれると良かったのですが・・。
これは取材した記者の質問設定や答えの引き出し方の力量の問題でもありますが・・・。読売・中島健太郎君の奮起を期待する!

ヨシハラ教授関連の記事
「米海軍は日本から豪へ移動」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「Toshi Yoshihara博士の来日」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29

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オフショア・コントロールを学ぶ [Air-Sea Battle Concept]

T.X.Hammes.jpg防衛研究所と米国防大学の研究所 (INSS)は、戦略的に重要と思われる様々な問題をテレビ会議で議論する関係にあるようで、2月1日には「オフショア・コントロール」の提唱者T.X.ハメス(T.X.Hammes:元海兵隊大佐)上級研究員と議論が行われた模様です(NIDS NEWS:2013年3月号より)。

同会議でハメネス氏は、「Offshore Control:予期せぬ衝突に備えた軍事戦略」というテーマで、オバマ政権がアジア太平洋地域のリバランスを提唱するなか、軍事戦略として検討されるOffshore Control戦略の意義と戦略的利点として、以下5点を指摘したそうです。

抑止及び安心供与の度合を高める一方、急速なエスカレーションの可能性を低下させる、
②決定におけるタイムラインを伸ばす
③平時におけるコストを低下させる、
④米国の強みを生かすことができる、
貿易の再構築を可能とする・・・・・等が指摘されました。

ちなみに、ハメネス氏の「オフショア・コントロール」論文は2012年春号のInfinity Journalに掲載され、同年6月INSSの「STRATEGIC FORUM」にも掲載されています。
Offshore Control: A Proposed Strategy
http://www.ndu.edu/inss/docuploaded/SF%20278%20Hammes.pdf

防衛研究所が勉強を始めたと言うことは、米国防関係者の中で「オフショア・コントロール」がそれなりの地位を得た可能性を示唆していますので、ご紹介したいと思います。
なお、本日の「オフショア・コントロール」に関する説明は、26歳の安全保障研究者によるブログ「Till the end of history」の記述を借用しています。

ただし何時ものように適当なつまみ食いですので、ご興味のある方は以下でご確認を
その1→http://alfred-geopolitik.blogspot.jp/2012/04/blog-post_13.html
その2→http://alfred-geopolitik.blogspot.jp/2012/04/blog-post_15.html
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オフショア・コントロール(「OC」とする)とは

「OC」の概要イメージ・
T.X.Hammes3.jpgエアシーバトルASBについてハメス氏は、エスカレーションを招きやすい(北京の意思決定者の不確実性を高め核報復のリスクが高まる)、そして新たに高価な装備を調達する必要があり財政負担が重く持続可能でないと懐疑的
●OCでは、領土を守る意志のある国と組みながら中国の海上貿易を阻止する。また、決定的な軍事上の勝利よりも、手詰まりと停戦をもたらす。
●このため、中国本土のインフラへのダメージを極限しつつ経済的に消耗させる戦いを追求する。戦争終結は物理的破壊よりも経済面での摩耗(消耗?)を通じ達成することを狙う。

具体的な「OC」での行動
●具体的に「OC」では3つのD(deny、defend、dominate)を実施する
---deny第一列島線の内側で、中国の侵入できない排他的海上区域を、優勢な潜水艦、機雷と限られた数の航空戦力で設定する。侵入する中国艦艇を沈めることで達成する。

---defend:積極的に米国を支援する同盟国を守るためすべての軍事アセットを用いる海空軍は中国本土から離れたところに動かし、中国と遠方から戦わせる一方で、米国と同盟国が統合海空防御の一員としてその領域上で戦えるようにする。

---dominate:インドネシアの列島線に沿ったチョークポイントで遠距離海上封鎖を敷き、海空陸そして民間から借りたプラットフォームも利用し、海上交通阻止を行う

●以上により、戦争の穏健な帰結を迎える。核兵器がある以上、中国共産党の崩壊や降伏を目論み追い込むのは危険すぎる。ゆえに戦争終結のゴールは停戦し戦前の境界線・領土に戻ること。

「OC」の準備と訓練
最優先は同盟国の防衛強化。次に遠距離海上封鎖。それから排他的海上区域の設定。最後に第一列島線の外を支配して対中封鎖を締め付けるとともに同盟国への貿易の流れを確かにする。
●特に重要なのが平時の準備。この戦略は透明性が高いので、同盟国に説明し公開して全てを訓練演習できる。

穏健な戦争終結に向けて
T.X.Hammes2.jpg●OCでは、中国共産党に、かつてのインド、ソビエト、ヴェトナムとの紛争終結と同様の戦争終結模索を認める。つまり、中国が「敵に教訓を教えてやった」と宣言することを認める
中国本土の施設等への攻撃を禁じることで、エスカレーションの可能性を減らし、中国が前述の宣言をしやすいようにお膳立てし、戦争を終える。
●「OC」では決定的勝利を求めない。これは核大国相手の決定的勝利という概念が時代遅れだとの認識に基づいている。

「OC」はASBより優れている
●「OC」はASBより以下の点で優れている。まず、ASBは新技術を用いるため機密要素が大きく、敵国にも同盟国にも信頼度や透明性が低い。OCはその点オープンであり実行可能性も高く確証値が高い。従って抑止効果も高い
●またOCは、オーストラリアを除いた同盟国に駐留基地を必要とせず、同盟国への依存を減らせる点で利点が大きい。オーストラリアからマラッカ、スンダ、ロンボクの海峡を封鎖するのを支援する基地のみが必要だからです

同盟国等は、自国の海空領域で中国の攻撃から米軍が自身を防衛ことを容認しさえすればよい(defendの達成)。
●防御は地上基地からの防空と短距離の機雷と対機雷の能力を含む海防に大きく依拠するから、米国は平時、潜在的同盟国の同能力を向上させるため訓練を行う。

T.X.Hammes5.jpg●「OC」では、同盟国等に必要な戦力強化と連携向上を求めるが、米国が中国を攻撃する際の基地使用や、紛争の際の米側に加わることは求めないだろう
●繰り返しになるが、OCはASBと反対に、外交官や軍人に戦略と作戦のアプローチを対外的に説明することを許容するので、不確実性を引き下げることが出来る
●「OC」では中国の早期警戒・指揮管制システムが脅かされることなく、北京が余裕をもって判断できるようにする。逆にASBの求める攻撃は、中国に不十分な情報に基づいて性急な決定を迫るものです
////////////////////////////////////////////////

ご参考
奥山真司氏のオフショア・コントロール論早分かり解説では・・

1,エアシー・バトルは「戦略」じゃない、単なる「戦術」だ
2,だから俺(=ハメス)が新しい「戦略」を考えてやる!

3,「戦略」には「戦争をいかに終わらせるか」という理論も必要でしょ?
4,中国は核を持ってるから、いざ紛争になったとしても核戦争にしちゃいかんだろ
5,だからエスカレーションの誘発は禁止!中国の領空内には入りません

6,この戦略の狙いは、中国の海上貿易を阻止しながら同盟国の領土を守ること。
7,決戦は起こすな、経済消耗戦に持ち込んで「行き詰まり状態」にしよう!
8,最後には中国に「花」を持たせて勝利宣言させろ
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「オフショア・コントロール」論を概観してまず思うのは、日本はどうなるんだろうか?・・・との疑問です。
米軍は「一緒に戦ってくれなくても、基地を使用させてくれなくても構いません。日本は自分で守ってくれ。米軍は遠方から、又は第一列島線の一部戦力や機雷を中心に作戦するから・・」と言っているように聞こえます

obamachina.jpg防衛研究所の発表が、その辺りに触れていない点が気になります。はっきり言われたのかもしれません。米国はお金がないから、日本は自分で頑張ってくれ・・・と。

オバマ大統領チーム(ヘーゲル、ケリーを含む)の姿勢、強制削減による国防費の減額等々からすれば、「オフショア・コントロール」論が勢いを得てくる可能性はこれまでよりも高いと考えられます
全部ではないにしろ、その一部を借用しようとの気持ちになるかもしれませんね。

なにせ、防衛研究所のペーパーには
→「オバマ政権がアジア太平洋地域のリバランスを提唱するなか、軍事戦略として検討されるOffshore Control戦略の意義」と記述されていますから・・・

ハメス氏を引用した議論は岡崎氏も
対中戦略は経済を柱に、ASBは従に
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-09

ちなみに・・・より内向きなのが
「Offshore Balancingとは・・」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

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大綱の「動的防衛力」は本格有事を想定せず [Air-Sea Battle Concept]

RIMPAC2010-2.jpg昨年4月の話ですが、防衛省戦略計画室でも勤務する高橋杉雄氏(防衛研究所・主任研究官)が「同盟エアシーバトルに向けて:対A2ADの日米協力」との論文を、米シンクタンク「Project2049」の客員研究員の立場英文公開しています。

同盟エアシーバトル(Allied Air-Sea Battle)との言葉に釣られて読んでみると、びっくり仰天、現防衛大綱のキャッチフレーズである動的防衛力は平時から紛争初期のグレーゾーンまでに役立つが、本格紛争を想定していないとの書きぶりです

更に、最も大きな課題がResiliency(強靭さ)の強化だと指摘しつつ、これを将来の課題だと堂々と「告白」し、現防衛大綱で無視された課題だと明確に示唆しています
驚天動地とはこのこと。防衛計画大綱作成に直接関与し、米国との交渉にも関与すると言われる筆者が平時のみの「動的防衛力」やResiliency無視の防衛大綱の実態を激白しているのですから・・・

論文:対A2ADを日米協力で
同盟エアシーバトルに向けて
TakahashiS.jpg●アジア太平洋地域のパワーバランスは中国の軍事力拡大で急激に変化を続けている。本論は2010年防衛大綱における日本の役割と日米協力の将来について考えるもの
●また、2010年防衛大綱の考え方に沿って日本の戦略的考えを紹介し、次なるステップの同盟エアシーバトルに向けての提言を行う

●今後5~10年を考えると、2種類の戦略的課題が考えられる。第1に、中国による期を敏感にとらえた「creeping expansion in the East China Sea」であり、第2に中国が増強しつつあるA2AD能力を前面に打ち出したハイエンドの紛争対処である

第1の「creeping expansion」に対しては、防衛大綱が示した「動的防衛力」を背景とする自衛隊の動的活動と米軍の「static」なプレゼンスで対応する
DH-10.jpg第2の中国A2ADとの本格紛争は、日米両国にとって深刻な課題である。将来の中国軍脅威を考えれば、地上の前線基地や空母は大きな危険にさらされ、米軍の作戦は大きく制約を受ける
●中国軍によるA2ADを無効化するには、前方展開基地がよりResilient(強靭に)作られる必要がある

よりResiliencyを高めるため海と空ドメインは協力し、相互がシナジー効果を生むように緊密に連携しなければならない
●「同盟エアシーバトル」は日米防衛協力を推進するカギであり、海空両ドメインでの日米協力が戦力発揮をより効果的にする
●エアシーバトルの概念は未だ明確でないが、対A2AD手段は海空次元で構成されるべきである点は明確である。
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尖がっていると噂の高橋杉雄氏が、彼なりに「オブラート」に包んで主張したかったのは以下の3点だと思います。誠意を持って解釈させていただきました
1、防衛大綱の「動的防衛力」は、本格紛争を想定していない
2、同時に現大綱は、対中国A2ADで最も重要なResiliencyを無視している
3、更に現大綱は、海空を重視すべきなのに、陸自を削減せず放置している

ASBM DF-21D2.jpg突っ込んで高橋氏の心情を察すると、日本の国防政策は目先の中国との「小競り合い」脅威認識の域を出ておらず、本格紛争を全く無視している。
日米関係の強化も目先の小競り合い共同訓練のみが視野にあり、本格A2AD対処の話になれば、全くかみ合っていない(デカップリング状態だ)。何処か私大に空きポストはないですか?

4日前、同時期の高橋氏による別の論文(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-24)をご紹介しましたが、まんぐーすとは戦闘機削減部分を除き、ほぼ同類の方だったんですね!
昨日の記事と併せて見ていただくと、防衛省の姿勢がよく分かるのでご紹介しました。

エアシーバトル関連の最新の記事15本は
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2301176212-1

「脅威の変化を語らせて」
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08

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エアシーバトルの変質?:防衛省研究者が語る [Air-Sea Battle Concept]

hagelSworn.jpgヘーゲル新国防長官就任!

米国時間26日、上院での承認投票で58-41のスコアで承認されたChuck Hagel 氏は、同27日朝、国防長官に就任しました

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andersenGM.jpg東京財団の「アジアの安全保障」プロジェクトで、防衛研究所の高橋杉雄・主任研究官が米国の「リバランス」とアジア太平洋地域の安全保障との論文を発表しています。
オバマ再選直後の昨年11月に書かれたもののようですが、防衛省の対米交渉にも関与していると考えられる研究者の文章ですので読んでみました

アジア太平洋回帰が911以前への回帰、2013年度米国防予算には秘密計画が増大、「ヘッジ」分野ではスタンドオフ兵器よりも空母や地上発着の戦術航空機を中心としつつ、等々、気になる記述もありますので、つまみ食いでご紹介します

とんがっていると噂の高橋杉雄氏は
TakahashiS.jpgブッシュ政権は「中国が責任ある利害関係者」として台頭するように促す(シェイプ)とともに、そうならない可能性に備える(ヘッジ)」とする、「シェイプ・アンド・ヘッジ」を基本的な対中戦略として示していた 。しかし2009年以降の中国の動向から、「責任あるステークホルダー」を目指す政策が、少なくとも当面は実現困難であることが明らかになった

911直後に発表されたQDR2001と2012年1月に発表されたDSGとを比較すると、特にA2/AD能力への対処を重視していることと、アジアへのアクセスの重要性を強調している点において類似性を見出すことができる
●まず、A2/ADへの対処に関し、QDR2001第5章「21世紀に向けた米軍の変革」の記述は、現在読み返してみても、10年以上前に記述との古さを全く感じさせず、対艦弾道ミサイルの登場を除けば、現在における展開を的確に予測している。

ASEANPlus.jpg●QDR2001には、有名な「不安定の弧」の記述があり、「他の重要な地域と比べ、ベンガル湾から日本海に至る地域に対する米国の基地の密度やアクセスのインフラは希薄である」との問題意識が示され、新国防戦略DSGにおいても、「米国の経済および安全保障上の利益は・・・西太平洋および東アジアからインド洋および南アジアに広がる弧における展開と密接に関連している」との記述がある。
●そしてDSGには「米国はアジア太平洋地域に向けてリバランスをする必要がある」と記述されている。米国の現アジア戦略は、「アジアへの回帰」というよりも「911以前への回帰」として評価できる

秘密プログラムの増大
FY2013予算で目を引くのが、秘密プログラムの増大である。研究開発費と調達費における上位10項目に秘密プログラムが上位で存在している。秘密プログラムの中身は全く不明だが、これほど秘密プログラムが上位を占めるのは、少なくとも21世紀に入って初めてである。
かつて、F-117やB-2ステルス機が、秘密プログラム予算で開発されていたことを考えると、何らかの新たなコンセプトに基づく兵器の開発が進んでいる可能性が否定できない。
●A2/ADへの対処が現米国の重要かつ深刻な課題であることを考えると、こうした秘密プログラムがA2/AD能力への対抗を目的としてのものである可能性がないわけではない。

研究開発費予算の上位10項目              調達費予算の上位10項目
2013FY.jpg2013FY2.jpg









第2期オバマ政権での対中政策
carrier strike groups2.jpg●クリントン政権、ブッシュ政権とも、その在任中の対中政策には大きな振れ幅があった。同様の振れはオバマ政権においても起こ可能性があり、米中関係は「冷たい関係」が定着した形で展開していくというよりも、さまざまな揺らぎを見せていくと考えるべきであろう。
●オバマ政権でも継承されていると考えられる「シェイプ・アンド・ヘッジ」の軌道修正と「シェイプ」「ヘッジ」それぞれについての再定義が進められるであろう。

まず、「シェイプ」についていえば、中国は少なくとも米国が望むような形での「責任ある大国」として振舞う準備ができていないことも明らかとなった。それを前提とした上で、「シェイプ」を再定義していくことが求められているのである。

より明確に再定義が見て取れるのは、「ヘッジ」の文脈においてである。この文脈においては、A2/AD環境における抑止態勢の構築が急務となりつつある。
●米国の一部シンクタンクが主張するような、スタンドオフ攻撃能力の強化とそれに伴う前方展開兵力の削減という形をとるよりも、空母や地上発着の戦術航空機を中心としつつ、A2/AD環境下におけるそれらの作戦上のレジリエンシ―を高めるようなさまざまな措置を講じていく形をとることになろう。エアシーバトル概念が意味を持つとすれば、そうした文脈におけるものであると考えられる。

●アジア太平洋での軍事態勢の再構築は、3本柱「地理的なディストリビューション」「作戦的なレジリエンシ―」「政治的なサステイナビリティ」の3つを原則として進められるとされている 。今後も、空母や戦術航空機を中心とするならば、前方展開戦力の「作戦的なレジリエンシ―」を、A2/AD環境でどのように高めていくかが重要な戦略的な課題となる。
///////////////////////////////////////////////////////

Resiliency(レジリエンシ―:強靭さ)をA2/AD環境でどのように高めていくかが重要な戦略的な課題となる・・・との部分はまんぐーすも兼ねてより主張してきた点ですが、「スタンドオフ攻撃能力の強化とそれに伴う前方展開兵力の削減という形をとるよりも、空母や地上発着の戦術航空機を中心としつつ」の方向にあるとのご指摘にはちょっとため息です

「空母や地上発着の戦術航空機を中心」の対処自体が、Resiliency(レジリエンシ―:強靭さ)強化と相反する方向です。空母や戦闘機中心では、前方展開兵力削減ではなくとも、有事直前に「一斉に退避」する作戦となりかねません。

cyberwar.jpg予算の厳しさを盾に大幅な戦術変更が出来ず、F-35に足を引っ張られて硬直して動けず、又は各軍種の組織防衛に阻まれ、CSBA提案のエアシーバトルやゲーツ前長官が見据えていた方向は頓挫したとも取れる表現です

高橋氏は防衛省の「願い」を表現しているのかもしれませんが、日米間の戦術的「妥協点を探る」動き中国軍事脅威を無視したところで進むことを危惧します。
一般教書演説でリベラルな姿勢をより鮮明にしたオバマ大統領が、アジア重視の掛け声とは裏腹に、アジアへのディープな関与を避け、スタンドオフ兵器に頼る可能性は十二分にありますから・・・

増大している「秘密プログラム」の中に、スタンドオフ兵器(PGS?)やサイバー兵器や宇宙兵器等々が含まれているだろうことを願いつつ・・・

高橋杉雄氏の過去記事
「オバマ政権国防政策のハード・チョイス」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-07-31

「脅威の変化を語らせて」
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08

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エアシーバトルを空軍協会総会で語る [Air-Sea Battle Concept]

ASBはクリスマスツリーの飾りではない

2013AF-Vision.jpg20日からフロリダ州オーランドで、米空軍協会の冬総会(Warfare Symposium:22日まで)が開催されています。
米空軍主要幹部のほか、国防省高官や軍需産業関係者も集結し、米空軍の夢や課題を語っています。もちろん強制削減が目前に迫っていることもあり、明るい雰囲気ではありませんが・・・

本日は同総会で行われた「エアシーバトル(ASB)パネルディスカッション」より、海軍と空軍司令部の作戦責任者による「ASBはワシントンDCだけのものじゃない」等の発言をご紹介します
久々にASB関連の話を取り上げますが、ASBに対する強力な組織的抵抗が続いている様子が伺えます  (AF-Magazine-2月21日付記事

フィールズ空軍中将とグルームズ海軍少将は
(空軍作戦部長と海軍作戦課長?)
Fields.jpgASBは、決してワシントンDCで勤務する人達のペットではない。国防省の関係者は、コンセプトを部隊に説明し、ともにウォーゲームや演習等の活動に繋げている
異軍種間の協力やコンセプトに基づく戦力強化がASBの核であり、また従来からの課題に新しい手法で取り組むのがASB的思考である

●例えば、サイバー効果は戦略的チョークポイントにおいて敵のA2AD防御を和らげることができるかもしれない。
●また、第3者による攻撃も考えられる。例えば、空対空の戦闘場面で海上のイージス艦が電子妨害で支援したり、潜水艦の艦長が(空軍の)無人機情報を活用したりすることである

●我々はこれまでとは異なった世界にいる。(海空軍が)より相互協力的になる必要がある。
●ただし強制削減が大きな影響を与える可能性があり、訓練はおろか、飛べない航空機や港に係留した艦艇が増加する可能性がある。実際の訓練が出来なければ、頭を使った演習を考えることになる

更にASB懐疑派や反対派に
grooms.jpg海軍と空軍は、ASB批判者や国民(一般兵士?:general public)に対し、ASBコンセプトがどんなものかを説明し、間違った認識を正すキャンペーンを始めようとしている
●ASBに関しては、多くの誤情報が流れている。これは戦略ではなく、現実世界や地域コマンド司令官を除外して検討するものでもない。
●また同時に、クリスマスツリーの飾りものではなく、今世紀における海空軍の戦いの課題に対応し、A2ADを克服し、遠方に戦力投射するものでもある。
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思いっきり手短にASBを説明すれば、予算が厳しい中、未だ経験したことのないレベルにある中国の強力な軍事力に対抗するため、戦い方を見直すと同時に、陸海空海兵隊がバラバラに無駄に装備品を要求しないよう相互連携を徹底的に追求するコンセプトです。

Navy-Facility2.jpg自然な流れだと思うのですが、ゲーツ前国防長官のトップダウン的にスタートしたこと、各軍種の領域を侵す(重複部分の削減に含み)こと、ただでさえ強制削減で現場部隊が傷んでいる中での改革であること等から、強烈な組織的抵抗がある様子が伺えます

中国と戦う前に、軍内で戦う。70年前に我が国でもあったような。

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