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米国防省が豪州と極超音速兵器で共同生産見据え合意 [米国防省高官]

豪州は2か国目で、ノルウェーが最初
豪州とは過去15年間基礎研究で協力してきたとか

Kratsios.jpg11月30日、米国防省のMichael Kratsios技術開発担当次官が、豪州と極超音速兵器のプロトタイプ迅速作成と将来の量産体制確立を念頭に置いた「SCIFiRE」(南十字星飛行研究実験:The Southern Cross Integrated Flight Research Experiment)に合意したと発表しました

このような極超音速兵器技術のプロトタイプ開発国際協力プロジェクトの取り組み(U.S.-run Allied Prototyping Initiative)は昨年米国防省が打ち出したものですが、1番に手を挙げたのがノルウェーの「固体燃料ラムジェット」共同開発で、今回の豪州との合意は2番目との事です

ARRW.jpg米国の陸海空軍は、極超音速兵器に関して共通部分を共同開発し、それぞれの搭載兵器や運用法に応じ、個別にランチャー等の開発にあたっており、陸2023年、海2023年、空2022年配備を目指してそれぞれが精力的に取り組んでいます

なお、米空軍は以下の2種類に取り組み中とのことです
「Mayhem」→air-breathing Hypersonic Attack Cruise Missile(ARRWより大きく、多様な弾頭を搭載可能)
「ARRW」→Air-Launched Rapid-Response Weapon 

以下では、細部不明ながら2番目の極超音速兵器の開発国際協力合意に達した豪州との取り組みについて、断片的にご紹介しておきます

11月30日付米空軍協会web記事によれば
Collins.JPG米空軍の計画リーダーであるHeath A. Collins准将は、「SCIFiRE:南十字星飛行研究実験」取り組みでは、米豪が協力して極超音速兵器のフルサイズ長射程プロトタイプを作成し、実戦的な飛行デモで検証すると計画を説明している
国防省によれば豪州との今回の合意は、「将来可能性のある極超音速兵器共同生産を追求する取り組みでもある。過去15年あまり、HIFiRE(Hypersonic International Flight Research Experimentation)との枠組みで同兵器開発で協力してきた両国の成果をてこにして取り組む」もので

「SCIFiRE:南十字星飛行研究実験」には、米空軍、米海軍、豪空軍、豪国防科学技術グループが協力して取り組む
Mayhem.jpg米国防省の研究開発担当次官室の下で運用されている「Allied Prototyping Initiative」は、世界中の軍事技術基盤を結んで迅速に最新技術を装備化する取り組みで、国際協力の重要性を説いている国家防衛戦略NDSに沿ったものである

Mel Hupfeld豪空軍参謀総長は合意に関し、「豪州の国防技術科学者と、米空軍をはじめ米国防省全体の最新の知見を持ち寄って、最新最高の成果を両空軍チームに提供したい」と述べている
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「Allied Prototyping Initiative」が極超音速兵器のみを対象として始まっているのか、他の分野にも展開されているのか把握していませんが、「人工知能AI」や「無人機の群れ」関連を含め、今になって「大学との連携強化」とか「民間企業との連携強化」とかを打ち出す動きが広がっています

もちろん必要なことで、日本の「学術会議」のようなお寒い組織との戦いレベルからすると格段の違いなのですが、中国が国内のみならず「千人計画」なるもので国外にも触手を伸ばしている現状からすれば、極めて厳しい状況を言わざるを得ません。しかしこれが現実です・・・

日本もガッチリかかわっていきたいところですが・・・

米軍の極超音速兵器開発
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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国防省政治任用ポストの4割が議会未承認のまま [米国防省高官]

平均未承認空席期間は1980年代以降で最長
8つの次官級ポストの内、5つが議会未承認

Undersecretary6.jpg20日付Defense-Newsは、米国防省の政治任用ポスト60個の内、4割の24ポストが米議会の承認を得ない臨時代理又は代行者(acting or performing-the-duties-of capacity)で占められる異常な状態のまま、来年1月の政権交代を迎えるだろうと紹介しています

人選や議会承認にレーガン政権時代以降40年間で最長の時間を要している理由として記事は、辞任者や更迭が多いこと以外にも、政権が指名する候補者の質が低く承認審議が難航していることや、政権自体が議会承認を重視せず臨時の状態を気にしていないこと、が背景にあるとの専門家意見を紹介しています

Undersecretary2.jpg議会未承認24ポストの中には、議会承認待ちの様々な段階にあるポストが「11個」あるようですが、米議会の年末までの稼働日数や他の優先課題等を考えれば、これ以上正式承認者が出る可能はなく、実質2か月足らずの任期のために承認を進める意欲をだれも持ち合わせていないのが現状だそうで

専門家は、臨時や代行者がいて業務を進められる部分はあるが、大きな課題になるほど、政府機関内や米議会との調整に「議会承認を受けた」立場が「見えない力」として必要であり、また文民重要ポストに未承認者が多いことで、軍人(統合参謀本部)の発言力が強くなりシビリアンコントロール上の懸念も出てくると教科書的な問題点を指摘しています

Undersecretary.JPG実態として「多数の未承認ポスト」の影響を理解していませんが、なし崩し的に組織制度が変わることには不安があるので、次期政権では解消されるでしょうが、未承認ポスト24個と解説記事の概要をご紹介しておきます

なお、国防省の本部(国防長官室)には、大きく6つの部署(政策、人的戦力管理、調達&兵站、研究開発、情報、改革Reform)があり、それぞれのトップに次官が指名され、監察官(Inspector General)や会見監査(Comptroller)と合わせて8つの次官級ポストがあり、その5つが未承認状態です。また陸海海軍省も次官補レベルまで政治任用のようで未承認ポストがあります

60ある政治任用ポストで未承認の24個は

国防長官
政策
Undersecretary of Defense for Policy
Deputy Undersecretary of Defense for Policy
Assistant Secretary of Defense for Legislative Affairs
Assistant Secretary of Defense for Space Policy
Assistant Secretary of Defense for Readiness
Assistant Secretary of Defense for Indo‐Pacific Security Affairs
Assistant Secretary of Defense for International Security Affairs
Assistant Secretary of Defense for Nuclear, Chemical, and Biological Defense Programs
Assistant Secretary of Defense for Special Operations and Low Intensity Conflict
Director of Cost Assessment and Program Evaluation

人的戦力管理
Deputy Undersecretary of Defense for Personnel and Readiness
Assistant Secretary of Defense for Manpower and Reserve Affairs

調達&兵站
未承認なし
研究開発
Undersecretary of Defense for Research and Engineering
Deputy Undersecretary of Defense for Research and Engineering

情報
Undersecretary of Defense for Intelligence and Security
Deputy Undersecretary of Defense for Intelligence and Security
改革
未承認なし

監察官や会見監査官
Inspector General of the department
Undersecretary of Defense (Comptroller)
Deputy Undersecretary of Defense ‐ Comptroller

陸海空軍省
Undersecretary of the Navy
Undersecretary of the Air Force
Assistant Secretary of the Air Force for Space Acquisition and Integration
General Counsel of the Army(米陸軍法務官)

20日付Defense-News記事によれば
Undersecretary3.jpg人選と承認に要した議会審議時間を見てみると、オバマ政権時代には平均で、人選に5か月、承認手続きに2か月だったが、トランプ政権ではそれぞれ、7.5か月と3.5か月要しており、トランプ政権の時間はレーガン政権以降で最長となっている
これを次官級ポストに絞って見てみると、トランプ政権は人選と承認で合計約6か月と、オバマ時代の2倍の時間を要している

人選が終わって議会承認を申請している段階にあるケースが11ポストあり、11月16日に申請された国際安全保障担当次官補ポストから、3月に申請されて承認の見込みがないものまで、様々な段階のものがあるが、今後政権交代まで米議会で承認審議が行われる見込みはない

このような状態になっている理由について政治任用者を審議する上院軍事委員会のTim Kaine議員(民主党・バージニア州)は、「様々な理由がある。政権側が更迭するケースや辞職者が多いことに加え、後任候補者が共和党優位の上院でも承認を躊躇するレベルであることも影響している」と述べ
Undersecretary4.jpgまた「トランプ大統領が上院の審議にさらされる承認手続きを好まず、臨時や代理で良しと考えるタイプの人物で、戦略的な業務が多い国防省ポストに関してはこの傾向が強い」ともコメントしており、臨時の政策担当次官である反イスラム姿勢が顕著なAnthony Tata氏の承認手続きが夏にとん挫したままでも、継続して「臨時」で職務を継続している例を挙げている

共和党系のシンクタンクAEIのMackenzie Eaglen女史はこの現状に関し、「大きな官僚組織であるペンタゴンは、ある程度の空席状態には対応してきた」と述べる一方で、正式な承認手続きを経た官僚でないと乗り越えられない重要な政策調整の「見えないゴールポスト:invisible goal posts」が障害物として厳然と存在する」と指摘している
また文民統制の観点から、承認を得ない国防省官僚が増えることで、ペンタゴン内での文民官僚の影響力が低下し、文民と軍人の力関係のバランスが変化することに関する懸念に触れ、次期政権ではこれ以上議会承認手続きを経ない臨時官僚が増えることに警鐘を鳴らしている
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Undersecretary5.jpg「見えないゴールポスト」や「文民統制」の視点での懸念はあるのでしょうが、政策担当次官との国防省No3ポストに加え、研究開発や情報担当次官のポストでも臨時や代理で回っている(らしい)現実から、議会承認を軽視する方向にならないか注視する必要があるのでしょう

トランプ大統領がツイートを多用したことで、バイデン氏のツイートが少ないと評価する人が出てくるくらい従来の「常識」を変えたトランプ政権ですから、後の人は色々大変そうです

バイデン政権の国防長官最有力候補フロノイ女史の思考
「必要な国防政策を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-12
「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
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ミラー臨時長官が特殊作戦軍を4軍と同格扱いに [米国防省高官]

特殊作戦担当次官補に長官への直接報告を指示
陸海空軍長官と同等の扱いに

Miller8.jpg18日、Christoper Miller臨時国防長官が米軍特殊作戦部隊の「母基地」との位置づけにあるノースカロライナ州の米陸軍Fort Braggを初の部隊訪問として訪れ、米軍の特殊作戦担当高官が国防長官に直接報告するように指示したと明らかにし、具体的にはEzra Cohen-Watnick特殊作戦軍担当次官補(臨時)が、政策担当次官を介することなく直接報告できるように仕組みを変更しました

Miller6.jpg国防長官への直接報告は、陸軍、海軍、空軍の各長官に認められているものですが、Cohen-Watnick次官補に同等の権利を与えることで、米軍の重要な役割を担いながら現場の意見や不満が中央に届いていないとの特殊作戦軍関係者の不満に、その道のプロである臨時長官として「いの一番に」答えたということでしょう

この扱いが一時的なものか、恒常的なものになるのか位置づけがよくわかりませんし、予算とか行政運用面での変化があるとも考えにくいのですが、アフガンとイラクの米軍兵士削減を発表した翌日に、この発表を同基地の米陸軍特殊作戦部隊記念碑の前で行った模様で、約2か月間の短期間に賭けるミラー臨時長官の思いが詰まった動きの様なのでご紹介しておきます

18日付Military.com記事によれば
Miller5.jpg18日ミラー臨時長官は、長官として初の部隊訪問先として選んだFort BraggのArmy Special Operations Command Memorial Plazaの前で、「私は特殊作戦担当の文官職員に対し、国防長官に直接報告するよう指示した。初めて陸海空軍長官と同等に扱うことにしたのだ」、「この改革は、国防省と米軍の機敏性を改善し、意思決定を円滑にし、より迅速に現場指揮官と陸海空海兵隊の関連兵士たちを支えるためである」と説明した
また「トランプ大統領の支持を得て、米国特殊作戦軍の新たな歴史を開き、改革の分岐点とする。今ここから、我々はより強固な文民監督のもと、重要な特殊作戦を擁護し支援していく」と指示の背景を説明し、この動きは2017年国防授権法で認められたものだと述べた

また同臨時長官は、特殊作戦軍の地位向上は、16日に示した同長官の3つの目標(アフガン及びイラクでの戦いの終結、対中露を重視する国家防衛戦略NDSの継続遂行、transnational threats対応の加速)と、方向を同じくするものだとも述べ、1987年に特殊作戦コマンドが編成されて以来の関係者の不満に対応するものだと説明した
Cohen-Watnick.JPG更に同長官は、ここ最近の国防省内の人事の動きや同長官の取り組みが反発を生んでいることに触れつつも、トルーマン大統領の言葉「ワシントンDCで友人を得たければ、犬を飼え」を引用し、気にしない姿勢を示唆した

具体的に陸海空軍長官並みの直接報告権を与えられるのは、Ezra Cohen-Watnick特殊作戦&低列度紛争担当次官補で、上司である政策担当次官を通じてではなく、直接報告することが認められることになる
Cohen-Watnick次官補は、「臨時長官の指示は、60年前に当時のケネディー大統領が予言していた特殊作戦の地位や重要性向上のビジョンを、トランプ大統領の下で具体化したものだ」と表現している
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特殊作戦担当次官補が陸海空軍長官と同等の直接報告権を得たことが、どれほどの影響があるのか理解できていませんが、来年1月20日までの短期間で、特殊作戦部隊重視で突っ走ろうとの姿勢はよくわかりました

Miller7.jpg「ワシントンDCで友人を得たければ、犬を飼え:If you want a friend in Washington, buy a dog」は直訳的に解釈すれば、様々な人々の思いが交錯する政治の町ワシントンDCで、人間の友人を得ることは難しいから、犬でも飼って話相手にした方が良い・・・との言葉ですが、何をやっても反対する人はいるのだから、自分の信じる道を進ませてもらう・・とのミラー長官の決意表明と受け取っておきましょう

「トランプ大統領の支持を得て」との言葉が複数回使用されており、今のトランク氏の状況からすると心配ではありますが、自らがアフガンなど中東で特殊作戦に従軍した元大佐の決意ですので、その成り行きを見守りましょう・・・

話題のEzra Cohen-Watnick次官補は、エスパー長官更迭を受け辞任した情報担当次官の臨時後任に指名されたはずなのですが、その辺りの関係はよくわかりません

対テロ専門家の臨時国防長官をご紹介
「臨時国防長官Christopher Miller氏はどんな人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-10
「16日に3つの目標を全国防省宛てに明示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-18
「アフガンとイラク派遣兵力削減指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-17

バイデン政権の国防長官最有力候補フロノイ女史の思考
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Miller臨時国防長官が3つの目標を示す [米国防省高官]

13日の全国防省&米軍宛メモの補足文書の位置づけで
16日に「私の目標:my goals」を示す

miller1116.jpg16日、Christopher C. Miller臨時国防長官が13日発信の全国防省&米軍勤務員宛就任メッセージに続き、勤務に当たり国防長官として目標とする点を「より絞り込んで正確に: more finite and precise statement」伝えるための文書を、再び国防省と米軍勤務者全員に向け発信し、3つの具体的優先事項を明らかにしました

17日にアフガニスタンやイラク派遣米軍を政権交代直前の1月15日までに相当数削減する事を記者会見で公式表明し、全世界にその姿を初披露した同臨時長官ですが、その前日に著名なアメリカンフットボール監督の言葉を引用しつつ、3つの「目標」を達成するため、各人が持ち場でそれぞれの仕事・任務を果たすことを期待すると呼びかけています

3つの目標と臨時長官の思い
現在の戦いを、責任ある形で終わらせ、米国民の安全を確保する
引き続き2018年国家防衛戦略NDS遂行に努め、特に将来の戦略環境に対応しつつ、大国間の紛争(great power competition)への備えに焦点を当てて取り組む
米国政府が全政権を挙げて取り組む「transnational threats」対処に、国防省としてよりスピード感をもって取り組む

この明確な目標に向かって前進するにあたり、私が良く思い浮かべるシンプルだが力強いフットボールコーチBill Belichick氏の言葉「Do your job」を紹介しておく

我々はチームであり、この言葉を心に刻んでもらいたい
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「Transnational Threats」とは、非国家組織による、テロ、組織的国際犯罪、大量破壊兵器の入手などに代表される、特定国家がもたらす脅威とは異なる種類の現代的脅威で、交通や通信技術の発達と普及を受け大きな脅威となり、携帯電話や電子メールやインターネットの発達普及により世界中に拡散しつつある脅威(ブリタニカ百科事典)・・・です

Belichick.jpgBill Belichick氏は、現在ニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチで、ヘッドコーチとして6回のスーパーボウルを制覇している名将です。4年間で3回優勝を果たしたヘッドコーチは彼だけ。また、ニューヨーク・ジャイアンツ守備コーチとしても2度のスーパーボウル優勝に貢献しています

アメフトのような複雑な戦略・戦術を繰り出すのでしょうか・・・・。対テロとTransnational Threatsの間に、great power competitionが挟まれている構図のようです。今後2か月間は・・・

16日の臨時長官メモ現物
https://www.airforcemag.com/app/uploads/2020/11/MESSAGE_TO_THE_DEPARTMENT_ACTING_SECRETARY_MILLERS-GOALS_OSD010972_20_FOD_FINAL1.pdf

対テロ一筋の臨時国防長官をご紹介
「臨時国防長官Christopher Miller氏はどんな人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-10
「アフガンとイラク派遣兵力削減指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-17

バイデン政権の予想
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バイデン政権の国防長官最有力候補
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トランプ大統領アフガンとイラク派遣兵力削減指示へ [米国防省高官]

11月17日、Miller臨時国防長官が正式に発表しました!
https://www.military.com/daily-news/2020/11/17/trump-makes-it-official-troop-reductions-iraq-afghanistan.html
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大統領交代直前の1月15日期限で
対テロ専門家の臨時国防長官指名はこのため!?
イラン攻撃が話題な中ですが・・・

Trump8.jpg16日付Military.comが、トランプ政権が来年1月15日までにアフガニスタンとイラク駐留米軍兵力数を、それぞれ現在のアフガン約5000名を2500名に、イラク約3000名を2500名に削減する大統領指示を準備しているとの政府高官の発言を紹介しています

トランプ大統領はこれまで、2020年末までにアフガンとイラクから全ての米軍兵士を撤退させると主張してきましたが、さすがに国防省など各所からの反対意見が強く、上記レベルの削減に落ち着く模様だと報じられています

Miller.jpg更迭されたエスパー前長官の後任に指名された「対テロ専門家」のChristopher Miller臨時国防長官も、職務開始直後の13日に国防省全職員宛てメモで、中東での米軍の戦いの終了を考えることの重要性を強調しており、来年1月20日のバイデン政権スタートまでの期間で、臨時国防長官が重点として取り組む方向が明らかになってきたような気がします

現場を担当する米軍司令官は兵力削減に反対で、早急な米軍削減発表が現地勢力との交渉を不利にするとの懸念の声も聞こえる中、先の週末には関連米軍指導者たちにトランプ政権の方針が伝えられた模様です

米軍削減指示の具体的内容については細部を検討中とのことですが、米国はクリスマス休暇返上で、様々な動きがありそうな雰囲気です

16日付Military.com記事によれば
この兵力削減が期限までに実行されれば、バイデン政権誕生の5日前に完了することになる。ただこの発表にあまり驚きはなく、エスパー前長官の更迭や後任者人事からこの動きを予想していた関係者も少なくない
バイデン氏は選挙期間中、兵力撤退について具体的なことは述べず、対テロに焦点を当てた幾らかの兵力のみを残すべきと述べており、「米国は長引く戦いを憂いており、戦いを状況に応じ終わらせねばならない。その際、米本土が二度と攻撃を受けないよう確実にすることが必要」とぼんやり表現している

Miller4.jpg一方Miller臨時国防長官は、職務開始直後の13日に国防省全職員宛てメモで、「我々は過去の戦略的過ちを繰り返さないよう、終わりを見据えて戦わねばならない。全ての戦いは終わらせねばならない」、「戦いは長く犠牲は膨大で、私を含め皆が懸念している。終結には妥協と協力が不可欠である。我々はこの課題に全力で対応してきたが、今や国に帰る時だ」と述べている
トランプ政権の姿勢は安定せず、10月7日に大統領が「少数の精鋭部隊を残し、クリスマスまでに派遣兵士を帰還させる」とツイートしたが、O’Brien大統領補佐官はこのツイートに関する記者団の質問に対し「大統領は希望を述べたに過ぎない」と説明したが、併せて「アフガン派遣兵士を2500名まで削減する方向だ」と述べが、その時点で米軍や国防省は何も話を聞かされておらず、現場が大いに混乱した経緯がある

McKenzie.jpgFrank McKenzie中央軍司令官などは、早急な兵力削減発表や実施は、タリバンと現アフガン政権や関係勢力代表たちとの話し合いに水を差すことや、イスラム国勢力掃討に影響すると難色を示してきたところである。また兵力削減は、共に行動してきた同盟国等と慎重に協議する必要があると訴えてきたところである
米軍幹部はまた、アフガン現地には米国に持ち帰るべき大量の重要で非公開の装備が持ち込まれており、その撤収には相当の時間が必要と主張してきた

McKenzie司令官などは兵力削減加速に反対姿勢であったが、政府高官によれば、対テロ作戦継続に必要な戦力を残し、緊要な装備品の引き上げには余裕を与える前提で、兵力削減を受け入れたと言われている
タリバン側はアフガン軍への激しい攻撃を毎日のように行っており、タリバンとアフガン政府との協議は、カタールで1か月間以上断続的に行われているが、ほとんど進捗がない状況と伝えられている
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McKenzie2.jpgアフガニスタンやイラクの情勢をほとんどフォローしておりませんが、Miller臨時国防長官は約2か月の任期で、この問題に重点的に取り組むということです。対イランとの噂もありますが・・

現場の兵士が危険にさらされることがないよう、また中東の一般市民に犠牲者が出ないことを祈るばかりです

対テロ一筋の臨時国防長官をご紹介
「臨時国防長官Christopher Miller氏はどんな人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-10

バイデン政権の予想
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バイデン政権の国防長官最有力候補
初の女性長官誕生か:フロノイ女史の思考
「必要な国防政策を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-12
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極超音速兵器開発も今頃学会に技術情報収集 [米国防省高官]

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国防省が今後5年間毎年20億投資
大学を束ね技術情報収集Consortium設立へ
同兵器の推進装置や飛翔体素材に新たな知見を求め

Hypersonic3.jpg10月26日、米国防省が極超音速兵器の開発促進のため、技術を持つ約10大学からなるコンソーシアムを立ち上げ、毎年約20億円を投入して同兵器の推進装置や機体素材等に関する最新技術情報の提供を受ける仕組みを立ち上げると明らかにし、テキサスA&M大学教授にまとめ役をお願いすると発表しました

国防省の担当幹部は、文献によれば中国の極超音速兵器開発では、中国の学生が同兵器開発の風洞試験からプロトタイプ飛行試験まで、全ての段階に関与して開発を進めている点を指摘し、研究の最前線からの技術情報の迅速な製造現場や軍需産業への提供が重要だと訴えています

hypersonic5.jpg先日、米空軍が優先研究対象の一つとする「兵器や無人機の群れ制御」に関し、研究の行き詰まりから、米空軍が産業界や学会から情報提供を求める動きにかじを切ったとお伝えしましたが、国防省が陸海空軍を挙げて取り組む最優先プロジェクトである極超音速兵器においても同じ動きになりました

中国やロシアが先行すると言われ、ロシアが試験成功をプーチン大統領の誕生日に報告し、対抗するかのように米陸軍長官が「3月の試験では誤差6インチで着弾した」とアピールする極超音速兵器開発の動きをご紹介しておきます

10月27日付Defense-News記事によれば
Hypersonic4.jpg26日米国防省は、極小音速兵器の開発に関する大学との協力関係を強化するため、Texas A&M大学の航空工学教授で極超音速飛翔体研究所の所長であるRodney Bowersox教授をリーダーとする、全米約10の大学を束ねるコンソーシアムを今秋に立ち上げ、今後約5年間活動すると発表した
担当する国防省のGillian Bussey統合極超音速移行室長は、「国防省は極超音速兵器に相当の投資を行ってきた。しかし、試験の中で最新技術を対象兵器に投入する必要のある分野がありながら、新鮮な先進研究の「血」が健全に製造現場や軍需産業に流入していない」と語り、大学研究機関で生まれつつある最新技術活用の重要性を訴えている

このコンソーシアムは国防省や他の関係政府機関の直属となり、大学の研究機関と軍需産業界を結び付ける役割を果たす。Bussey室長は「コンソーシアムは、極超音速飛翔体を開発して飛ばすことが目的(The gold standard)だ」と表現している
この秋に立ち上がるコンソーシアムは、例えば海軍研究所(極超音速兵器を担当)が特定した問題に関し、極秘や管理された軍事秘密であっても関与して解決策を検討する

Hypersonic22.jpgコンソーシアムに参加する専門家(A board of experts)は以下の大学から参加する。MIT、ミネソタ大学、イリノイ大学、アリゾナ大学、テネシー大学、モルガン州立大学、カリフォルニア工科大学、ジョージア工科大学、パデュー大学
国防省は2021年度予算案で、極超音速兵器開発に3300億円を要求している
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新兵器に対する「必死さ」が伝わってくるのですが、中国の例を出してまで説明する必要があったのかは「?」です。「必死さ」より、「焦り」や「遅れ」や「壁」を感じさせるコンソーシアム設立発表です。

ロシアや中国の「出来栄え」がどれほどなのか情報を持ち合わせませんが、「なりふり構わぬ」必死さが功を奏することを祈念いたします

日本の「学術会議」の皆様に、本件に関するご所見を伺いたいところです

中国の極超音速兵器開発
「中国空軍H-6Nに空中発射極超音速兵器搭載か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14

ロシアの極超音速兵器
「露が対艦極超音速兵器試験に成功か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08
「ロシア第3の超超音速兵器3M22 Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11

米軍の極超音速兵器開発
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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レアアース確保に米国が大統領令:中国依存脱却へ [米国防省高官]

米国政府全体で国内採掘処理活性化や備蓄に資金投入へ
国防省も米議会と予算枠や戦略巡り議論

rare earth3.jpg9月30日、トランプ大統領がレアアース(希土類)確保に関する大統領令を発出し、幅広い産業製品から軍事装備に欠かせないレアアースの世界市場を中国が牛耳っている危機的な状況に警鐘を鳴らし、米国政府を挙げて米国内採掘処理を活性化させ備蓄を増やすとともに、中国産の輸入を抑える関税などの措置検討に入りました

これを受け、重要な装備・兵器(ミサイル、弾薬、極超音速兵器、電子機器の放射線防護から携帯電話まで多様な装備)に不可欠なレアアース17種類を重要素材と指定している米国防省も、1日にLord調達担当次官が上院軍事委員会で、レアアース確保備蓄に向けた戦略作成や柔軟な予算運用が可能となるよう議会の協力を求めました

rare earth2.jpg大統領令は「極めて重要な鉱物資源を、敵対的な国からの輸入に過度に依存している現在の状況は、米国の安全保障、外交、経済に対する尋常でない極めて大きな脅威である」と表現し、トランプ政権が指定している35種類の鉱物資源を、貴重でありその確保が危うくなる可能性が高いと危機感を表しています

実際、米国はレアアースの80%を中国から直接輸入しており、残りの部分にも第3国経由で中国産を輸入している鉱物が含まれているなど、米中対立が激化し緊張感が高まる中、予断を許さない綱渡り状態が続いているようですが、以下では米議会でのLord次官の発言をご紹介します

1日付Defense-News記事によればLord次官の議会で
Lord.jpg米国のレアアース確保戦略には、米議会による法的根拠設定と予算配分措置を伴って、特定レアアースの国家備蓄推進、新たな促進政策と規制緩和による米国内のレアアース処理施設の再立ち上げ、関連の処理技術や代替品の研究開発を推進する等の必要があり、米議会の支援が欠かせない
短期的には、国内埋蔵レアアースの採掘量増加、緊要なレアアースの国家備蓄増量推進、更に代替資源の探求研究が考えられる

米国は貴重な国防関連のレアアース備蓄を拡大する途上にある。コロナ感染の結果、米国民は重要な物資や製品の調達先を選ぶ重要性に気づくことができた
昨日発出された大統領令を根拠とし、関係政府機関との連携を図り、これまで既に進んでいる国家備蓄の更なる増強と種類拡大に向かう

rare earth.jpg来月もう一度米議会にお邪魔し、具体的にどのような支援を議会にお願いするかを説明したい

レアアース確保に関し米国防省は議会に対し、レアアースを使用する兵器の購入予算の増加と、極超音速兵器予算への上限規制の撤廃を要望し、また予算使用の裁量枠拡大を願い出ている
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米国の国内レアアース採掘処理が廃れたのは、中国埋蔵量が膨大で価格競争で太刀打ちできないからだと思うのですが、米国内処理施設再興や採掘増加対策で、どれだけ中国産の穴を埋められるのか「?」です

代替品もそう簡単に見つかるような気がしませんし、それこそ国際協力で中国に対抗したい分野でしょう。日本の海底資源開発も貢献できるかもしれません

基礎知識不足ですが、重要な米国の動きですのでご紹介しておきます

「中国がレアアース輸出規制へ」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-06

米中関係を考える記事
「CSBA対中国戦略レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「2019年アジア安全保障会議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1
「グーグルからAI技術流出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-23

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米国防省「新たな統合作戦コンセプト」を年末までに [米国防省高官]

エスパー長官肝いりで年末までに
前線と後方の線引きをなくすが合言葉

Hyten New Concept.jpeg14日付Defense-Newsが、米国防省がエスパー国防長官の肝いりで年末完成マストで精力的に取り組む「新たな統合作戦コンセプト:a new joint war-fighting concept」作成について取り上げ、将来の予算編成にも直結するコンセプトについて、John Hyten統合参謀副議長とVictorino Mercado戦略計画担当次官補の言葉を紹介しています

Hyten副議長が「私が軍人として経験した全てと相反するコンセプト」、「前線と後方の区別をなくす」と語れば、Mercado次官補は「過去4軍を束ねるような作戦コンセプトは一度も存在しなかった」、「(策定中の統合コンセプトは)各コマンドの見積もりを束ね今後の投資を形作るもの」と述べるなど、米軍の装備や作戦運用を予算制約がある中でも大きく変革しようとの意気込みを感じさせてくれます

Hyten New Concept2.jpegただ、完成したコンセプトを公にするかについては、広く変化を知らしめることのメリットと、中国やロシア等に知られることのデメリットの釣り合いをよく考えて今後検討されるだろうと述べるにとどまっており、想像をたくましくするしかないような気配もしますが、「同盟国」も巻き込むような話しぶりもありますので、日本で最近話題の「敵地攻撃(策源地攻撃)」との関係も邪推しながらご紹介します

14日付Defense-News記事によれば
12日、ハドソン研究所での講演でJohn Hyten統合参謀副議長は「新たな統合作戦コンセプト」について、「私が軍人キャリアで行ってきた全てと全く異なる方向性のコンセプトで、一番大きな違いは、従来存在した前線と後方を区別するような境界線がなくなることだ」と表現し、数10年続いてきた伝統的な考え方を捨て去ることを要求する考え方だと述べた
Hyten.jpg従来のコンセプトについて副議長は、「ここまでが作戦エリアで、前線ラインがここで、陸軍がここで、空軍はここで作戦すると区分して考えてきた」、「ラインを引いて地域を分割して全ての作戦を計画してきた」と説明した

しかし新コンセプトについて同大将は、今後の強固に防御され地域においては「地域を区分してきたラインが消え去る」と表現し、今後作戦に参加する全ての部隊は、統一された指揮統制を受けつつ、自ら自身を防御しつつ、同時に敵奥地を遠方攻撃(deep-strike)でき、敵をくぎ付けにする必要があるとし、「海軍部隊も、空軍部隊も、海兵隊部隊もだ」と述べた
に副議長は、同盟国もそうであるべきと述べ、多国籍編成は同盟国等も一体となって融合して行動できることで可能となるとし、このためには開発中の統合全ドメイン指揮統制能力の獲得が必要になるとも説明した

Mercado.jpegHyten副議長の講演に先立ち、13日にVictorino Mercado戦略計画担当次官補は記者団に対し、「これまで米軍は各軍種が別々のコンセプトを持って戦っていたようなもので、4軍が一体となって戦うようなことは一度もなかった」とまで表現し、新たな作戦コンセプトが画期的なものであることを強調した
そして同次官補は新作戦コンセプトについて、我々の将来投資のいくつかを直接司り、各コマンドのレビューや米海軍の艦艇建造計画等も結び付けることになると述べ、指揮統制も、兵站要領も、ある程度共通のものを新コンセプトで規定し、ギャップを埋めるものだとし、今存在すればよかったのに・・・ともつぶやいた

同副議長も同次官補も、エスパー長官が設定した年末までの新コンセプト完成に自信を見せたが、国防省が完成した新コンセプトの詳細を公開するかに関する質問に対して同次官補は、「新コンセプトを広く共有すべきとの観点はあるが、作戦上の秘密として扱うべきとの観点も踏まえ、慎重に発言すべきと考える」と対応した
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9 月末までにまとめる米軍部隊の世界的再編検討と並行して、年末までの「新たな統合作戦コンセプト:a new joint war-fighting concept」検討が進められてきたものと推測します

Hyten2.jpgた、同盟国にも「自身を守りつつ、敵奥地を遠方攻撃(deep-strike)」を求める方向の影響を受け、最近日本でも「敵地攻撃(策源地攻撃)」という議論が突然吹きあがってきたと邪推いたします

米大統領が、米政権が、変わっても方向性は変わらないのか気になりますが、エスパー長官の決意は固いようです。

米国防省が実施中の「世界的な米軍再編」検討の一環で、ドイツ駐留米軍削減が発表され、在韓米軍削減検討も進む
「ドイツ駐留米軍削減が発表」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「在韓米軍削減検討も進む」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-22

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8企業がAI空中戦でF-16パイロットに挑む [米国防省高官]

速報「AlphaDogfight Trials」
人間操縦者とAI操縦者によるバーチャル空中戦対決の結果

F-16想定のシミュレーター対決(Gun攻撃のみ)
AI側は8企業チームの総合評価で最強の「Heron Systems社」
人間はWeapon School卒業直後の州空軍操縦者「Banger」2千時間以上の経験
5回「Basic fighter maneuver」シナリオで対決
5-0でAI側の圧勝で終了!

対決後の人間操縦者コメント「米空軍が通常の訓練で安全上から設けている、敵側との高度差500フィートやGun攻撃時のAOA(angle of attack)制限にAI側はとらわれていなかった。最初の対決でこの点に気づき、2回目以降は私もより攻撃的に行動し、生存時間を徐々に伸ばすことができた。AI操縦者は判断が人間よりも格段に早く、その差も出たように感じた」と述べている

詳しくは20日付米空軍協会やC4ISRnet記事をご覧ください
https://www.airforcemag.com/artificial-intelligence-easily-beats-human-fighter-pilot-in-darpa-trial/
https://www.c4isrnet.com/artificial-intelligence/2020/08/21/ai-algorithm-defeats-human-fighter-pilot-in-simulated-dogfight/

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実際には8企業の勝者のみがF-16パイロットに挑戦
8月18-20日にバーチャル環境で

AlphaDogfight.jpeg米国防省最上位の研究機関であるDARPAが3年計画(2023年春頃まで)で進めている、人工知能AIを作戦機に搭載して空中戦に活用し、人間操縦者をより大局的な判断やAI搭載無人機の「指揮統制」に従事させようとするACEプロジェクト(Air Combat Evolution)の一環として、先進AIが人間操縦者とバーチャル空間で空中戦対決を試みる「AlphaDogfight Trials」を、8月18-20日の間に開催するとDARPAが発表しました

当初は、7月末にラスベガスで開催された「AFWERX」との米空軍技術展示商談会で決勝戦を披露する予定だったようですが、コロナの影響で上記期間にオンライン開催されることになったようです

AlphaDogfight2.jpeg「AlphaDogfight Trials」ついては後程ご説明するとして、2019年5月に発表されたDARPAのACEプロジェクトについて復習しておくと・・・・
--- 空中戦を中心とした航空作戦全般にAIを導入し、操縦者負担を軽減して他の大局的な判断に集中させることを狙いとし、更に有人機と無人機の連携を、様々なシナリオ下で可能にする技術開発にも重点を置く
--- 空中戦シナリオを、異機種、多数機、作戦レベルの多様なシナリオへ広げ、これらの過程で、人工知能による自動化への人間の信頼感を高めることを大きな狙いとする
--- 目指すところは、一人の操縦者が複数の自律的に行動可能なAI無人機を従え、より大きな作戦を遂行可能なミッションシステム指揮官となることを可能にすること

--- ACEは以下の4つの技術分野があり、複数の企業が担当
---- 第1に、空中戦アルゴリズムを構築
---- 第2に、操縦者と無人機の間の信頼感構築と信頼度測定
---- 第3に、第1,2、4分野の進捗具合を把握し規模を拡大
---- 第4に、実際の有人機と無人機での融合(integrate)でデモ飛行 

AlphaDogfight3.jpegDARPAのACEプロジェクトのほかにも、米空軍研究所AFRLが既存の戦闘機にAIを搭載し、2021年に人間が操縦する戦闘機と空中戦を行うプロジェクトを進めており、プロジェクトの成果については「多数進行中の他のAI活用システム」に融合・統合されて利用されることになっているようです

いずれのプロジェクトも、「人間操縦者をAIにサポートさせたら素晴らしい」とか、米空軍が優先推進する「Skyborg:無人ウイングマン構想」に生かすとか、空中だけでなく地上の維持整備にもAIを生かすなど、人間の領域を冒さないよう表現して「戦闘機族」を刺激しない、AI科学者たちの「心遣い」が感じられる今日この頃です

そんな「心遣い」と「やさしさ」に包まれた、「AlphaDogfight Trials」(囲碁のAlpha碁をまねた?)の計画をご紹介いたします

7日付C4isrnet記事によれば
F-16 RefuelAFG.jpg●7日、DARPAが発表した「AlphaDogfight Trials」計画によれば、8月18-20日の間に昨年選ばれた8つの企業のAIチームがバーチャル空間で優劣を競い、優勝AIチームが決勝戦で人間のパイロットとバーチャル空間で空中戦対決を行うことになる
昨年選ばれた8社は、Aurora Flight Sciences, EpiSys Science, Georgia Tech Research Institute, Heron Systems, Lockheed Martin, Perspecta Labs, PhysicsAI and SoarTechの8社であるが、昨年の企業選定から1年余りの期間で、AI空中戦に関して目覚ましい進歩を遂げているとDARPAは説明してい

まず「AlphaDogfight Trials」の第1ラウンドでは、Johns Hopkins 大学応用物理研究室が開発した5種類のAIシステムと8チームが個別に戦い各企業の出来栄えを基礎評価し、第2ラウンドでは8チームが総当たり戦で優劣を決める
第3ラウンドは、総当たり戦の上位4チームがトーナメント方式で戦い、勝者が決勝戦で人間操縦のF-16と戦うことになる

F-16.jpg当初の計画では、7月末にラスベガスで開催された「AFWERX」で決勝戦を披露する予定だったが、この計画では近傍に所在するネリス空軍基地の「Air Force Weapons School」から操縦者を招いて対決してもらう計画だったが、8月20日の決勝戦で誰が人間側の操縦をするかは不明
DARPAは「AlphaDogfight Trials」のオンライン観戦が可能だとし、米空軍のみならず、海軍海兵隊戦闘機操縦者や、米軍指導者やAI研究者の観戦登録を呼びかけている
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米軍以外の人間が観戦できるのか不明ですが、夏休み明けには刺激的なイベントになりそうです

DARPAが掲げる本プロジェクトの目的には、「人工知能AIに対する人間の信頼感を高めることを大きな狙いとする」と掲げられており、「人間の壁」が大きいことが感じられます

AlphaDogfight4.jpegAIへの人間の信頼感が向上していかない大きな理由の一つに、なぜAIが「なぜ」その結論に至ったかの「思考過程」を説明してくれない(できない・解析できない)点にある、とよく言われます。ビジネスや医療の分野にも進出が進むAIですが、そのあたりの突破にも期待したいところです

無人機空中戦の検討プロジェクト
「無人機含む空中戦を支えるAI開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-19
「米空軍研究所AFRLは2021年に実機で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-05

米空軍の計画
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3

豪州とボーイングの取り組み
「試験初号機を披露」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-05-1
「豪州とボーイングが共同で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-2

無人ウイングマンの位置づけ
「日米が協力すべき4分野」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18
「戦闘機族ボスがNGADを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

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米国防省:中国製部品排除に時間的猶予を [米国防省高官]

8月13日からの規制第2弾を9月末まで延期
軍需産業界は法執行の1年程度延期を要望

Section 889.jpeg14日付Defense-Newsは、米国が2018年国防権限法(NDAA)第889項で定めた、今年8月13日が期限の「特定中国企業5社の製品を使っている企業は米国政府との取引を禁止」との条項に関しその執行を9月末まで延期すると国防省に伝えたと報じました

2018年の国防権限法(NDAA)第889項(Section 889 of the 2019 National Defense Authorization Act)は、中国への情報や技術流出を防止するために、中国への警戒感を強めている米議会が超党派の賛成で可決してトランプ大統領が2018年8月13日に署名して成立している法律で、排除される「特定中国企業5社」は、通信機器大手「ファーウェイ」や「ZTE」、監視カメラメーカー「ハイクビジョン」や「ダーファテクノロジー」、無線通信「ハイテラ」の5社です

Section 889 2.jpeg2018年の国防権限法(NDAA)第889項は2段階で上記企業製品の排除を求めており、2019年8月に「第1弾」として上記5社からの「製品やサービスの政府(直接)調達」を禁じ、今年8月13日からは「第2弾」として、「中国5社の製品などを使う一般企業からの政府調達」を禁じています

しかし上記5社の製品はすでに広く米国企業が使用しており、多くの階層下請け企業から構成される軍需産業界を考えるとき、Lord調達担当次官が議会で「例えば第7次下請け企業が、(国防省契約と関連のない仕事で)駐車場の監視カメラに特定5社のカメラを使っていた場合までを調べ、その下請け企業をサプライヤーにしている主要軍需産業との関係を無効にするような法規制の遂行には猶予が必要だ」と訴えたように、実効性の点で問題があるようです

14日付Defense-News記事によれば
Ratcliffe.jpegDefense Newsが入手した政府内の「memo」によれば、米国防省は政府機関全体からファーウェイ製等の製品や部品を排除する法律の執行に関し、時間的猶予を与えられた模様である
本来であれば今年8月13日から効力を発する2018年国防権限法(NDAA)第889項の「中国企業5社からの製品やサービスの政府調達禁止」について、9月30日まで猶予された模様である

国家情報長官DNIであるJohn Ratcliffe氏から、Lord調達担当次官あてに出されたmemoは、「米軍が戦争を抑止し、米国の安全保障を守る米国防省の任務遂行のためのサービスや物品の調達が、2018年国防権限法(NDAA)第889項の遂行と同等に、国家安全保障の利害に直結するものだと理解する」と述べ、
Lord次官に対し、同法律執行に関する現実のリスクとリスク緩和対策、調達禁止製品に関する代替品調達の計画状況について情報提供するようにmemoは求めている

Lord2.jpg第889項の規定により、国防省関係機関には、自ら関連中国企業の製品を使用していないと証明できない企業とは契約変更や締結ができない状況で困惑が広がっていたところ、この「執行猶予」は一時的な安らぎにはなろう
しかしそれ以前に、コロナ対応の軍需産業支援「追加」策が政党間の争いに巻き込まれてとん挫している中、国防省や軍需産業関係者からは、「まずコロナ対策に集中すべきだ」、「現実的に迅速な実行不可能(far-reaching)なルール強制には、1年程度の猶予期間が必要だ」との声が各所から上がっている
//////////////////////////////////////////////////

これが米国軍需産業の現実だということでしょう少なくとも2年前には米議会で可決され、トランプ大統領が署名していた法律ですから、色々努力もなされてきたのでしょうが、世界のサプライチェーンから中国製部品を排除することが如何に困難なことかを改めて示しています

最近も同様の中国企業排除の大統領指示が次々に出ていますが、実行に移すには相当な労力が必要だということです。ただ中国の姿勢を考えるとき、中国製品排除は必要なことでしょうから、皆で協力して取り組むことが必要だということでしょう

今回の国防省への「執行猶予」で気を緩めることなく、日本企業にも中国製品排除に取り組んでいただきたいものです

偽部品関連の記事
「米国防省の兵站&調達次官が改革」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-29-1
「偽部品識別にDNAを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-24
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10

危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26

米国の武器輸出管理の緩和問題
「Lord次官:半年以内に武器輸出制限を緩和したい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06

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Lord次官:半年以内に武器輸出制限を緩和したい [米国防省高官]

あくまで「hope to」で実現可能性は未知数
最新兵器の輸出緩和に踏み込めるか、技術保護と利益のはざま?

Lord2.jpg16日、Lord調達担当国防次官が講演し、米国製兵器の輸出規制を今後半年以内に見直し、米国が諸外国にとって引き続き最新兵器の提供国であり続けるよう取り組みたいと「熱く」語りました。

背景には、米国が技術漏洩への懸念や人道的配慮などから兵器輸出を自己規制する中、またMTCRのような兵器技術拡散防止枠組みに縛られている間に、中国がコピー兵器を遠慮容赦なく中東や第3諸国(古い)と呼ばれる米国の友好国に売り込んでいる現実があり、同時に米国防予算が頭打ちの中、米産業界から国内市場がこの状況では軍需部門を維持できないと泣きつかれている現状があります

この問題は国家予算を絞り始めたオバマ政権時代から顕在化し、トランプ政権になってからの2018年には、「輸出手続きの迅速化」や「最新技術でない兵器の規制緩和」などが行われてきましたが、Lord次官は最新兵器についても、先端技術の保護措置を講じつつ輸出を可能にし、厳しさを増す軍需産業の商売を助けたいとの意向のようです

16日付Defense-News記事によれば
Lord4.jpg共和党系のReagan Foundationで講演したLord次官は、「(兵器の)輸出制限に、最近数か月熱くなって(passionate)取り組んでいる」、「今後6か月以内に、特に輸出可能な兵器技術の範囲をよりオープンにして拡大したいと強く希望している」と語った
そして「我々が兵器技術を向上させている一方で、輸出可能な範囲を拡大していないことで、兵器輸出の国際市場において競争力を失いつつあることを懸念している」、「典型的な例として、これまで顧客であり、将来においても有望な顧客であったはずの中東諸国が、中国やロシアから兵器を輸入し始めており、インドもその方向に向かいつつある」と強い懸念を示した

この兵器輸出制限改革は以前から何度も議論されてきた話題で、2018年にトランプ政権が新たな方針を示した際も、「戦略的に考える必要がある」とLord次官の講演での発言と同様の言葉を使用し、21種類の弾薬やミサイル、複数の技術範囲について政府の許可なしで輸出可能とした経緯がある
weapon sale2.jpgしかし、当時新たに許可された品目は、既に米国が技術を独占したものではなく、広く一般市場に流通し始めていたもので、輸出許可しなければ米国産業の市場を狭める恐れのある兵器や装備品であった。Lord次官は今回、従来の範囲では不十分だと考えているようだ

一方で同次官は、「焦点を絞った議論を続けている。多くの最新兵器は最新技術や最新データを搭載しており、我々はそれら最新技術が輸出した兵器から簡単に取り出されないように細心の注意を払う必要がある」と課題を語っている
更に同次官は、カナダ、英国、豪州を含めて米国軍需産業基盤と見なす「NTIB:National Technology and Industrial Base」との枠組みの関係強化も追求したいと述べ、より軽易に産業基盤として協力できる体制にしたいと意欲を示した
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剛腕で名の知れた同次官でさえ「hope to」との表現で語っているように、実現可能性については未知数で、コロナで混乱する世界経済の中で様々なプレーヤーがうごめく中、すんなりと事が進む雰囲気ではないようです

Lord3.jpgMTCRに縛られ、一定規模以上の無人機がミサイルとみなされ輸出自粛を迫られている様子や、輸出した先で民間人被害を発生させるとの人道上の懸念から輸出に踏み出せない西側諸国と、何の縛りも心の痛みも感じない中国やロシア・・・

「良貨は悪貨に駆逐される」との言葉を思い出しました。でもこの間SNS上で、「世界から羨望や憧れの念を持たれない国が、覇権国になった例はない」との言葉を目にし、そうであってほしいと願う次第です

米国の武器輸出管理の緩和問題
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出方針は期待外れ?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「違法?サウジに緊急武器輸出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-25

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グリフィン前技術開発次官の後任は若干33歳 [米国防省高官]

ホワイトハウスのCTOとして昨年8月から勤務
トランプ大統領への大口資金支援者の元部下

Kratsios3.jpg13日、直属の部下を引き連れて退任したGriffin技術開発担当国防次官の後任として、ホワイトハウスで「Chief Technology Officer」を昨年8月から努めていた若干33歳の元ベンチャーキャピタル幹部Michael J. K. Kratsios氏が、10日付で「臨時次官」に就任したと米国防省が発表しました

なお、Griffin前次官が引き連れて辞任したLisa Porter前次官補の後任には、同次官室の「No3」の位置づけだったMark J. Lewis氏が、同じく10日付で「臨時」扱いで就任しています。なおMark J. Lewis氏の前職名は「director of defense research and engineering for modernization」です

Kratsios2.jpg前任のGriffin前次官がNASA長官など政府機関の経験豊富で、物理博士号のほか、工学やMBAなど5つの修士号保持者であった一方で、Kratsios臨時次官はプリンストン大学で政治学学士を収めた後、細部は不明ながら、トランプ大統領の選挙を支援した「PayPal」共同創設者であるベンチャー資本家Peter Thiel氏の側近を務めた後、昨年ホワイトハウス入りしたばかりの33歳です

ホワイトハウスwebサイトでは、Kratsios氏の職務について「トランプ政権の優先課題と先進技術開発を結びつけること」と記されているようですが、各種報道では、無人機を米国内空域で飛行させるための諸政策についてFAA連邦航空局と調整に当たっていた等と説明されています

よくわからない新進気鋭の人物ですので、各種報道からMichael J. K. Kratsios臨時次官についてご紹介いたします

13日付米空軍協会web記事等によれば
Kratsios5.jpg米国防省報道官はKratsios臨時次官について、「上院の承認が必要なホワイトハウスの政治任用ポストで、人工知能、量子コンピュータ、自動走行自動車、商用ドローン、STEM教育、先進製造技術等の国家政策立案に携わっていた」と紹介し
最近では「American AI Initiativeを統括し、国家量子計算機調整オフィスを立ち上げ、はコロナ対策高性能計算機コンソーシアム発足にも従事してきた」とホワイトハウスでの業績を紹介した

同報道官は国防省と関係の深い分野として、「大統領が推進している5Gや国家的ブロードバンド普及にも尽力し、臨時次官として継続してそれらの業務を国防省の立場から司ることになる」とを紹介している
エスパー国防長官は、「我々は新たな技術を見極めて開発を進める経験を持ち、広範な産業界と勤務津に連携して事業を推進できる人材を探してきた」とのコメントを出し、Kratsios臨時次官に期待を示した

ホワイトハウスでCTO(Chief Technology Officer)に就くまでは、大統領技術担当副補佐官補佐として勤務していたが、CTO就任時には上院の承認を得ており、今回「臨時」次官には議会の承認は不要である
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Kratsios4.jpgアメリカ的なドラスティックな人事ですが、国防省報道官がKratsios臨時次官の過去の業績を語れば語るほど、「いくらなんでもそれは盛り過ぎ・・・」と言いたくなります

国防省という極めて硬直的な組織において、この若手抜擢が吉と出るのか凶と出るのか・・・。前後任とも「Michael」がファーストネームの一貫性に期待する次第です

対中国や対ロシアの軍事技術開発のカギを握る人物です。プリンストン大学出身の優秀な頭脳に期待いたしましょう

ちなみに、前次官と直属の部下は「Logiq Inc」との会社を立ち上げたようです

ホワイトハウス掲載のKratsios氏経歴
https://www.whitehouse.gov/people/michael-kratsios/

国防省のプレスリリース
https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/2271633/dod-names-acting-under-secretary-of-defense-for-research-and-engineering/

Griffin前次官の関連記事
「部下を引き連れ辞任発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-24
「超超音速兵器対処は同盟国協力が鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-09
「空母1隻とミサイル2000発とどっちがお得?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-20
「5G民間企業に軍演習場開放も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-14
「F-35にミサイル防衛兵器を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-01-19-1
「日本に探知追尾レーダー配備?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-24
「超超音速兵器対処に宇宙センサーを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-1

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技術開発担当次官が部下を引き連れ辞任へ [米国防省高官]

7月10日付で退任し、民間企業のオファーに乗るとか
優秀な改革者だが各所で衝突を繰り返す
日本のイージスアショア撤退とも関係かも・・・

Griffin.jpg23日付Defense-Newsが、中国やロシアとの軍事技術開発競争を米国防省でけん引するはずのMichael Griffin技術開発担当国防次官が、直属の部下であるLisa Porter次官補を引き連れ、民間企業に移籍するため7月10日に離任すると報じました

Michael Griffin次官は、調達兵站と技術開発担当国防次官が分離した2018年2月に、初の技術開発担当次官に就任した人物で、NASA長官や民間企業幹部も経験した「革新的な思想家:innovative thinker」として迎えられましたが、反面その強烈な個性で、国防省内や米政府、更に議会との対立も絶えなかったようです

同次官の考え方が素晴らしすぎて、周りがついていけなかったのか、あまりに発想が突飛で組織に馴染まなかったのか細部はよくわかりませんが、ミサイル防衛庁MDAや宇宙開発庁SDAを配下に従え、弾道ミサイル防衛や超超音速兵器対処の先陣に立っており、関連するレーザー兵器を含むエネルギー兵器、イージスアショア、宇宙配備センサー、迎撃兵器Kill Vehicleなどを巡って様々に話題を提供してきた人物です

Porter DOD.jpg就任時の挨拶で「私は直属上司である国防長官と副長官に対してのみ報告等の義務を負う」と述べ、米議会から批判を浴びたり、Wilson前空軍長官との激しい対立がメディアに暴露されたり、部下のやっている事業と全く食い違った政策を突然打ち出したり・・・とメディア的には話題豊富な人物でした

過去にまんぐーすが取り上げた中では、空母1隻と同価格のミサイル2000発を比較して超超音速兵器の導入を訴えたり試験電波発射が容易な軍演習場を5G民間企業に貸し出したいとして米軍と対立したり、専門家が疑問視するF-35へのミサイル防衛兵器搭載を主張したり・・・等々の「Innovative thinker」ぶりをご紹介してきました

日本との関係では中国の超超音速兵器(Hypersonic Weapon)対処を最優先事項と同次官が訴え、同盟国の協力が極めて重要として日本に探知追尾センサーの配備調整を始めていると述べていたこと等を踏まえ、河野防衛大臣がイージスアショア導入停止を発表した際は、超超音速兵器対処への優先対処へ方針転換か?、とツイッターで邪推情報をまんぐーすから発信させていただいたところです(思い付き邪推ツイートだったのに、ものすごい反響でビックリ!)。

いずれにしても、Griffin次官が同部署の筆頭部下を引き連れ辞任することで、米国防省の技術開発政策推進への影響は避けられず、同次官の下で国防省内外と対立して混乱してきたであろう各種政策の交通整理を含め、暑い夏になりそうです

23日付Defense-News記事によれば
Griffin2.jpg辞任を決意したGriffin次官が部下全員に送ったレターには、「民間企業からオファーがあり、私とPorter次官補は、その申し出を受けることを決断しました。過去数年間に渡り、素晴らしいチームを率いて仕事ができたことをうれしく思っています。皆さんのハードワークと貢献、その高い能力と誠実な仕事ぶりに心から感謝します。皆さんの増々もご活躍とご発展を祈念いたします」と記されている

5月20日のスピーチでGriffin次官は、「皆さんもご存知のように、政治任用者は政権のお陰で勤務できており、その勤務がいつまで続くかは誰にもわからない」と今回の辞任を示唆するような発言を行っており、そのころからペンタゴンを去る日が近いのではと噂されていた

Griffin次官とPorter次官補は、国防省の主要幹部で先週辞表を提出した3番目と4番目の人物で、他の2名は、Elaine McCusker国防省臨時監察官と Kathryn Wheelbarger国際安全保障問題担当次官補代理である
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Griffin3.jpgGriffin次官に特に注目していたわけではありませんが、Griffin次官関連の過去記事を改めて見直し、先日の日本のイージスアショア計画停止(撤退)発表を考える時、いろんな意味で今後の影響が懸念されます

自ら連れてきた直近の部下も引き連れ、中露との軍事技術優位を争う先頭に立っているはずの人物が、予算審議が佳境を迎えるこのタイミングで民間企業に転身とは、アメリカ的ではありますが、アメリカだけのことでは済まないと思います

転職先が、中国資本のタップリ入った企業でないことを祈るばかりです。また、国防省幹部の辞任ラッシュが、落ちつくことを願うばかりです

Griffin技術担当次官関連の記事
「超超音速兵器対処は同盟国協力が鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-09
「空母1隻とミサイル2000発とどっちがお得?」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-20
「5G民間企業に軍演習場開放も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-14
「F-35にミサイル防衛兵器を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-01-19-1
「日本に探知追尾レーダー配備?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-24
「超超音速兵器対処に宇宙センサーを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-1

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Sea Train:無人艦艇を電車のように連結し海洋移動 [米国防省高官]

無人艦艇を大波から守り長距離移動させる手法
DARPAが約3年かけで開発実証へ

Sea Train.jpg1日付C4isrnetが、DARPAが募集をかけて具体的な企業選定に入っている「Sea Train」構想について取り上げ、来年度から約3年をかけて開発&試験をおこなうコンセプトの概要を紹介しています

米海軍と海兵隊は、従来の高価多機能少数の大型艦艇重視から、低価格機能絞り多数の小中(無人含む)艦艇体制へと変革を目指す方向にあり、それら損耗しても全体にダメージが少ない小中艦艇に偵察や電子戦や攻撃を担わせて、強固な防衛網を築く中国に対処しようと考えています

例えばCSBAの提案には、平時のグレーゾーン任務遂行時には少数の人員を搭載し、微妙な任務を大型艦艇より費用対効果良く遂行し、有事には無人で運用し、有人艦艇の前方で前述のリスクの高い任務を遂行するイメージが描かれています。エスパー長官もインタビューでこの考えを語ったことがありま

Unmanned Ship.jpgそこで課題となるのが、このような小中小型無人艦艇の遠方移動で、考え出されたのが無人艦艇を列車のように連ねて一列で大洋を移動するコンセプトです

イメージは、米本土沿岸の別々の港を出港した無人艦艇4隻が、沖合4マイルほどの海上で自動的に一列に並ぶ体形に集合し、事前プログラム通りに自動で一列に連結され、約6500マイル先の東南アジアへの航海に出発する。アジア方面に到達したら、連結が解除され、各艦艇はそれぞれに異なる任務遂行地まで無人で移動し、任務終了後、再び連結して帰還する・・・といった感じで

連結してつながっていると攻撃されやすいのでは・・・と心配になりますが、防御は別として、小中艦艇は太平洋の荒波に弱く、連結により大波にも耐えることができ、また「列車」に燃料補給艦を含めることで限定された燃料搭載能力を補完できるメリットがあるようで

1日付C4isrnet記事によれば
Nuss.jpgDARPAの同プログラム責任者であるAndrew Nuss氏は、2月に「Sea Train」構想への挑戦企業を募集したところ、具体的な数は言えないが大きな反響を得て募集が集まり、年度末(9月末)までには選定結果を発表したいと述べた
選定後は、前半の18か月を開発段階、後半の18か月を技術試験段階とし、最終的には、大洋の環境下でデモ試験(model testing)を行うことを目指しており、DARPAとしてはその後、米海軍が採用してくれることを期待している

DARPAはこのプログラムで、中型の無人艦艇(全長12~50m)に焦点を絞って開発&試験を行うが、プログラム全体を通じて得られた教訓は、大型または小型艦艇の場合にも活用される
Nuss氏は、「このユニークなプログラムを通して、開発リスクの低減に着意していく。海軍や海兵隊に一連の提案ができるように仕上げ、これら艦艇の遠方展開に際し、より遠方に、給油寄港なしで可能な手法を確立したい」と抱負を語っている
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Sea Hunter3.jpg対象となる艦艇の「連接」は、「connecting the vessels — physically or in a formation」との表現になっており、列車のように連結器でガッチリ組み合わせる方法だけでなく、物理的につながらず、接近して隊形を組んで・・・のパターンもありそうです

記事が紹介する「想定シナリオ」では、艦艇列車の目的方面は「Southeast Asia」となっており、色々突っ込みどころがありそうですが、「輸送機からパレタイズした弾薬&ミサイルを投下」と同様に、対中国を想定し、あらゆる可能性や方法を模索するたくましい努力の一環です

無人艦艇導入は待ったなしの雰囲気です。以下の過去記事でご確認ください

米海軍と海兵隊を巡る動き
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇案!?」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「無人潜水艦を多数導入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-03
「米海軍が半年で空母再検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-12
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「5年計画で新型大型艦艇設計」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-14
「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-13

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再び中国資本の米軍需産業への接近警戒 [米国防省高官]

3月25日の会見に続き弱小軍需企業への接近警戒
「中国」との国名は出さずに覆面中国資本を警戒

Lord.jpg4月30日、辣腕のEllen Lord調達担当国防次官がネット上での講演で、資本の実態を隠した敵対国企業(shell companies)が、コロナ感染の影響で資金繰りが厳しくなっている重要な軍用装備を支える小規模な米企業に接近する事例が急増していると、3月25日の緊急会見に続き再び警鐘を鳴らし、関係当局と連携して監視を強化していると語りました

コロナウイルス関連で、トランプ大統領が欧州主要国と連携して中国を批判し訴える構えを強めていますが、同次官は敵対国企業(shell companies)の具体的国名には一切言及せず、しかし「私自身の最大の懸念事項」と表現し、目を光らせていることを強調し、その抑止効果を狙っているようです

3月末の会見をご紹介した際には、米ベンチャーキャピタル資本家の「中国はたぶんこの不況に乗じ、触手を伸ばそうとするだろう」、「現在の米国内での、その日暮らしの資金流通状況からすると、受注が先細り傾向にある小規模事業者は、中国資本にとって格好のターゲットとなるだろう」、「手をこまねいて見ているしかないだろう:we’ll only have ourselves to blame」との言葉を紹介しましたが、米政府側に特段の新対策があるような気配はなく、コロナの早期終息を願うばかりです・・・

1日付Military.com記事によれば
China-USA.jpgLord国防次官は、「我々は、敵対国の本当の資本の出どころを隠した企業(shell companies)が、米国企業にアプローチする様子を多数確認しており、大変懸念している」とTV会議の席で述べた
それら隠れ蓑企業が狙いを定めている米企業の中には、米海軍や米空軍装備品の緊要な部品を製造していながら、今次のコロナ感染関連で資金繰りに苦しんでいる企業が含まれており、苦境に付け込んだ悪意ある外国投資金のアクセスを許しかねない事態となっている、と同次官は説明した

同次官は、敵対的な資本が浸透を試みている米企業の中には、小規模で多量の部品や製品を納入しているわけではないが、その部品等がないと米海軍や空軍の航空機や主要装備に支障をきたす重要な企業が含まれている点が大きな問題だと改めて指摘し、軍需産業基盤の脆弱な企業系列への浸透が最大の懸念事項だと語った
Lord2.jpg●そして米議会と協力してCFIUS(Committee on Foreign Investment in the United States)による疑わしい資本への監視を強化し、米国防省の軍需産業政策推進に協力してもらっていると、同次官は説明した。CFIUSは国家安全保障に関する分野への外国資本の接近監視・ブロック機能を果たしている。

同次官は「中国」との具体的国名は出さなかったが、中国による米国の知的財産権侵害の企てについて以前から警告しており、2019年5月の記者会見では「中国はますます経済的な手段を用いて、我々が努力して開発し獲得した利益を奪取しようとしている。特に国家安全保障にかかわる技術を保有する企業への投資によって経営に浸透する手段が目立つ」と訴えていた
4月30日のTV会議でも、「我々は、極めて注意深く敵対国が以前から仕掛けている経済戦争に対処しなければならない」と発言し、主要な軍需産業に対し、下請け企業ながら重要なパートを担っているサプライチェーン企業に対し、早め早めに資金を流すよう要請していると述べている
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CFIUS.jpgこの問題は、警戒心が薄く、安全保障感覚の低い日本のような社会ではより大きな問題のような気がしますがどうなんでしょうか? コロナ対策における日本の中国への配慮具合からしても、零細な日本の中小企業の状況が懸念されます

武漢研究所からのウイルス漏洩説や、感染拡大初期段階(継続的にでしょうが・・・)における感染状況の隠蔽など、中国に対する国際社会の風当たりが強くなる雰囲気はありますが、コロナ後の経済V字回復をもくろむ諸国にとって中国市場の魅力は捨てがたく、どこまで大きな流れとなるのかも注目したいところです・・・

「米国防次官:混乱に乗じた中国資本の浸透警戒」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26

米国軍需産業の分析レポートなど
「2019年版 米国防省軍需産業レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05

米国防省のコロナ対策や影響
「3月18日以降の変化:随時更新」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-19

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

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https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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