米国防省が航空輸送可能なミニ原発配備へ [米国防省高官]
僻地基地での使用を想定し、数か月で企業選定
2025年にデモ運用開始を目指し
C-17輸送機に搭載可能で1-5メガワット発電目指す
1960-70年代の失敗を教訓に
敵攻撃への脆弱性懸念の反対予期も
4月13日米国防省戦略能力開発室(SCO:Strategic Capabilities Office)が、人里離れた僻地基地で使用するC-17輸送機で空輸可能なミニ原発を開発し、2025年にはデモ運用を開始すると発表しました。
ミニ原発は重量40トンで、輸送機の貨物室に搭載可能なコンテナに収まるサイズに設計され、1-5メガワットの発電が可能ながら3年間は燃料補給が不要なものを想定しているとのことです。
今後数か月以内に2つの候補企業「BWXT Advanced Technologies」と「X-energy」から一つを選び、SCOによる環境影響評価を行い、2024年にテスト評価、2025年にデモ運用開始を計画しています。
4月15日付Defense-Newsからは、具体的な初号機の配備場所が決まっているのか、ミニ原発用の新型核燃料開発が行われている「Idaho国立研究所」でデモするのか、環境影響評価の結果によってアラスカやグアムやDiego Garciなど11の候補地から選ぶのか不明確ですが、過去の構想にあった「展開先の前線基地」での使用ではなく、「不便な僻地基地」で使用するとの説明ぶりになっています
米軍のミニ原発への取り組みは、以下のように冷戦時に一度ピークを迎えていますが、「信頼性が低く高コスト」であったことや、敵から攻撃を受けた際の放射能汚染が懸念され、計画は頓挫しています
Army Nuclear Power Program(1954 ~ 1977)
●8つの右原発が製造され、5基がワイオミング州、グリーンランド、南極、パナマ運河地域で4-12年運用(1962-1977年)された。
●上記場所に設置運用される前の1961年に、「Idaho国立研究所」で3名が死亡するメルトダウン事故を起こしている
以下では4月15日付Defense-News記事から、「Project Pele」担当責任者と反対派研究者の主張を簡単にご紹介しておきます
「Project Pele」担当責任者Jeff Waksman博士
●「Project Pele」で使用される技術は、軍用だけでなく商用利用にも活用できる画期的な技術である。1970年代当時より安全性が向上した「3構造低濃縮ウラン」燃料を使用した「高温ガス炉」方式で計画している
●核燃料は直径1㎜以下の小さなカプセル梱包された形状に準備され、小さな単位で防御された形で使用される。
●従来の重油仕様の発電機は、燃料輸送や発電施設維持補修に多くの兵站支援が必要だったが、ミニ原発は3年間燃料補給が不要である
●冷戦期の経験、2010年頃からの基礎研究、更に2019年年度からの関連投資で必要な要素技術は格段に成熟しており、2025年のデモ運用開始は十分に可能である
反対論者のテキサス大学Alan J. Kuperman教授らは
●敵攻撃に脆弱なミニ原発への反発を避けるため、「展開先の前線基地」配備構想を引っ込め、「不便な僻地基地」での使用を打ち出しているが、技術的ハードルが高く高コストの航空機輸送可能な設計を行うなど、有事に「展開先の前線基地」配備を狙ったものであることは明らかで、敵攻撃を受ける危険なプロジェクトだ
●小型カプセル化した核燃料は、攻撃を受けた場合周辺に飛散し、放射能汚染を拡散させることになる
●2019年度に約50億円、2020年度の85億円規模の投資を国防省は行っているが、未だにしっかりした設計は完成しておらず、実際の部品準備も未着手な中、2025年に運用開始とは極めてリスクが高い無謀な計画だ
ちなみに、2018年米陸軍研究レポートで配備候補11か所とは
• Thule, Greenland
• Kwajalein Atoll
• Guantanamo Bay, Cuba
• Diego Garcia
• Guam
• Ascension Island
• Fort Buchanan, Puerto Rico
• Bagram Air Base, Afghanistan
• Camp Buehring, Kuwait
• Fort Greely, Alaska
• Lajes Field, Azores
/////////////////////////////////////////////////
米国防省と反対派の主張のどちらに分があるのか判断できませんが、大型の原子力発電所とは異なり、ミニ原発は敵の攻撃の目標になりそうな気がするので懸念の声があるのは理解できます
一方で、米軍が進める気候変動対策や陸軍の電動戦闘車両導入、前線への兵站輸送の負担軽減などなどを考えると、ミニ原発の魅力は捨てがたく、研究は止められないのでしょう。
展開候補地に日本は入っていませんが、グアムが含まれるぐらいですから、硫黄島や第2列島線上には可能性がありそうですのでフォローしておきましょう。ちなみに「Project Pele」の「Pele」は、ハワイの火山や炎の神様からとった名前だそうです
ミニ原発関連の記事
「ミニ原発反対論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-16
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
「米陸軍が前線での電力消費増に対応戦略検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-04-13
「国防省の気候変動対策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-08
「米国防省は電気自動車&ハイブリット車導入推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-10
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-23-1
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2025年にデモ運用開始を目指し
C-17輸送機に搭載可能で1-5メガワット発電目指す
1960-70年代の失敗を教訓に
敵攻撃への脆弱性懸念の反対予期も

ミニ原発は重量40トンで、輸送機の貨物室に搭載可能なコンテナに収まるサイズに設計され、1-5メガワットの発電が可能ながら3年間は燃料補給が不要なものを想定しているとのことです。

4月15日付Defense-Newsからは、具体的な初号機の配備場所が決まっているのか、ミニ原発用の新型核燃料開発が行われている「Idaho国立研究所」でデモするのか、環境影響評価の結果によってアラスカやグアムやDiego Garciなど11の候補地から選ぶのか不明確ですが、過去の構想にあった「展開先の前線基地」での使用ではなく、「不便な僻地基地」で使用するとの説明ぶりになっています

Army Nuclear Power Program(1954 ~ 1977)
●8つの右原発が製造され、5基がワイオミング州、グリーンランド、南極、パナマ運河地域で4-12年運用(1962-1977年)された。
●上記場所に設置運用される前の1961年に、「Idaho国立研究所」で3名が死亡するメルトダウン事故を起こしている
以下では4月15日付Defense-News記事から、「Project Pele」担当責任者と反対派研究者の主張を簡単にご紹介しておきます
「Project Pele」担当責任者Jeff Waksman博士

●核燃料は直径1㎜以下の小さなカプセル梱包された形状に準備され、小さな単位で防御された形で使用される。
●従来の重油仕様の発電機は、燃料輸送や発電施設維持補修に多くの兵站支援が必要だったが、ミニ原発は3年間燃料補給が不要である
●冷戦期の経験、2010年頃からの基礎研究、更に2019年年度からの関連投資で必要な要素技術は格段に成熟しており、2025年のデモ運用開始は十分に可能である
反対論者のテキサス大学Alan J. Kuperman教授らは

●小型カプセル化した核燃料は、攻撃を受けた場合周辺に飛散し、放射能汚染を拡散させることになる
●2019年度に約50億円、2020年度の85億円規模の投資を国防省は行っているが、未だにしっかりした設計は完成しておらず、実際の部品準備も未着手な中、2025年に運用開始とは極めてリスクが高い無謀な計画だ
ちなみに、2018年米陸軍研究レポートで配備候補11か所とは
• Thule, Greenland
• Kwajalein Atoll
• Guantanamo Bay, Cuba
• Diego Garcia
• Guam
• Ascension Island
• Fort Buchanan, Puerto Rico
• Bagram Air Base, Afghanistan
• Camp Buehring, Kuwait
• Fort Greely, Alaska
• Lajes Field, Azores
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一方で、米軍が進める気候変動対策や陸軍の電動戦闘車両導入、前線への兵站輸送の負担軽減などなどを考えると、ミニ原発の魅力は捨てがたく、研究は止められないのでしょう。
展開候補地に日本は入っていませんが、グアムが含まれるぐらいですから、硫黄島や第2列島線上には可能性がありそうですのでフォローしておきましょう。ちなみに「Project Pele」の「Pele」は、ハワイの火山や炎の神様からとった名前だそうです
ミニ原発関連の記事
「ミニ原発反対論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-16
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2023年度国防予算案は4%増だが大荒れの予感 [米国防省高官]
22年度より4%増も、ウクライナ危機の物価上昇考慮間に合わず
共和党は予算額773Bドルを875Bにまで増額要求
米議会は2022年も753Bを782Bに増額させた実績あり
3月28日、米国政府が2023年度予算案(2022年10月~23年9月カバー)を公表し、前年予算案から約4%増の773Bドルを要求しました。
バイデン大統領は同予算案公表に合わせ、「安全保障関連予算の歴史の中で、史上最大の投資計画の一つとなる」とその額をアピールし、ホワイトハウス高官も「2022年と23年の予算の伸び合計は9.8%となり、必要な軍事能力強化と維持のための予算額を確保した」とその妥当性を強調しています
しかし、以前から中国等対処を念頭に最低でも前年比5%の国防費増額を求めてきた共和党議員を中心に「不十分だ」「適切でない」との声が既に上がっており、昨年2022年度予算案753Bを米議会の力で782Bに増額させた実績を踏まえ、今年は875Bドルを目指すとの声が共和党議員から聞こえています
予算案773Bドルの予算案に対し、「875Bドルを目指す」とは少し飛躍が過ぎるとのご意見もありましょうが、この予算案は実質的に今年1月末には既に固まっており、その後のウクライナ危機によるエネルギーや各種原材料費高騰など物価上昇分が全く考慮されていない額であり、国防省幹部も「実質購買力は低下している」「最近の物価上昇への対応は今後の検討課題」と素直に認めているところです
28日付Defense-News記事から全般概要を見ると
●軍種別の伸び率は海空宇宙を重視
陸軍と海兵隊の伸び率1.7%、
海軍は4.8% 空軍は3.4% 宇宙軍はなんと35.4%
●研究開発費は過去最大の9.5%伸び確保
極超音速兵器開発に4.7Bドル(5600億円)、マイクロ電子と5Gに3.3Bドル(4000億円)、バイオテクノロジーに1.3Bドル(1500億円)
●米議会の選挙区への配慮で難航の旧式装備早期退役
旧式装備早期退役で2.7Bドル(3250億円)を他分野へ再投資
米空軍が140機を早期退役計画、100機のMQ-9を他の政府機関へ移管
米海軍は艦艇24隻を退役(巡洋艦5隻、LCSを9隻、潜水艦2隻、うちLCSなど16隻は早期退役)
●欧州抑止イニシィアティブに6.2Bドル(7450億円) ウクライナにはこのうち360億円
●核抑止3本柱の近代化に34.4Bドル(4兆2000億円)
6.3Bドル(7500億円)をコロンビア級戦略原潜に、5Bドル(6000億円)をB-21ステルス爆撃機に、3.6Bドル(4300億円)を次期ICBM(GBSD)、4.8Bドル(5200億円)を核抑止指揮統制システムに
●サプライチェーン強化に
3.3Bドルをマイクロ電子関連に、0.6Bドルを極超音速兵器とエネルギー兵器関連に、0.25Bドルを稀少材料に65億円を溶接や鍛造部門に、52億円をバッテリーや電源貯蔵に
28日付米空軍協会web記事で空軍関連では
●Kendall空軍長官は「2023年度予算案はtransformationalな予算案だ」「小出しの変化では脅威の変化に対応できない」と述べる中で、「研究開発費が大幅増額となっているが、これは他の分野で大幅カットを受け入れざるを得ないことを意味する。2024年度予算案では、より一層厳しい選択を行うことになる」と表現している。
●更に同長官は、「輸送力についてはおおむね固まっているが、transformationは戦術戦力やglobal strike分野に焦点を当てて行う」とも語っている。他の空軍幹部も「深遠なtransformational changesとなる2024年度予算のプレリュードとなる23年度予算案」と語っている
●研究開発費は前年度比で20%増、調達経費は15%増、作戦運用&維持整備費は4%増、
●航空機の早期退役や他への移管は約240機。 33機のBlock 20 model で近代化改修に経費がかさむF-22を含む。なおF-22の残りの機体には約400億円の近代化改修費が予算化されている
●240機を削減(早期退役140機とMQ-9を100機他機関へ移管)と、新規導入82機で、全体でプラスマイナスで158機減少。早期退役には大部分のE-3 AWACSとE-8 J STARSを含む
(ちなみに、2022年度予算では最終的に、要求した早期退役201機のうち、42機のA-10以外は退役が議会で認められている)
●F-35については、2022年に48機が、2023年予算では33機に大幅減少。ロッキード社のBlock 4成熟待ちが理由。同長官は総調達数1763機に依然コミットしていると最近発言も
●F-15EX購入は、22年度12機から23年度は24機に倍増。NGADとB-21用の無人機ウイングマン関連は150億円、NGADは2000億円でF-35Aにも約1200億円、
●極超音速兵器は戦闘機用HACMと爆撃機用ARRWに計680億円
///////////////////////////////////////////////
あくまでも「米国防省がまとめた予算案」です。
また、これからウクライナ問題で安全保障環境が激変する中、ウクライナ問題発生前に固まった予算案が、議席数が伯仲する米議会で議論されるわけです。大変です
国防予算関連の最近の記事
「F-35調達機数は減少へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「海軍は3大近代化から1つに絞れ」→https://holylandtokyo.com/2021/06/11/1898/
「空軍の戦闘機構想」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「陸軍は2023年で変わる」→https://holylandtokyo.com/2020/09/11/478/
「海兵隊は対中国で戦車部隊廃止へ」→https://holylandtokyo.com/2020/03/26/790/
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共和党は予算額773Bドルを875Bにまで増額要求
米議会は2022年も753Bを782Bに増額させた実績あり

バイデン大統領は同予算案公表に合わせ、「安全保障関連予算の歴史の中で、史上最大の投資計画の一つとなる」とその額をアピールし、ホワイトハウス高官も「2022年と23年の予算の伸び合計は9.8%となり、必要な軍事能力強化と維持のための予算額を確保した」とその妥当性を強調しています

予算案773Bドルの予算案に対し、「875Bドルを目指す」とは少し飛躍が過ぎるとのご意見もありましょうが、この予算案は実質的に今年1月末には既に固まっており、その後のウクライナ危機によるエネルギーや各種原材料費高騰など物価上昇分が全く考慮されていない額であり、国防省幹部も「実質購買力は低下している」「最近の物価上昇への対応は今後の検討課題」と素直に認めているところです
28日付Defense-News記事から全般概要を見ると

陸軍と海兵隊の伸び率1.7%、
海軍は4.8% 空軍は3.4% 宇宙軍はなんと35.4%
●研究開発費は過去最大の9.5%伸び確保
極超音速兵器開発に4.7Bドル(5600億円)、マイクロ電子と5Gに3.3Bドル(4000億円)、バイオテクノロジーに1.3Bドル(1500億円)
●米議会の選挙区への配慮で難航の旧式装備早期退役
旧式装備早期退役で2.7Bドル(3250億円)を他分野へ再投資
米空軍が140機を早期退役計画、100機のMQ-9を他の政府機関へ移管
米海軍は艦艇24隻を退役(巡洋艦5隻、LCSを9隻、潜水艦2隻、うちLCSなど16隻は早期退役)
●欧州抑止イニシィアティブに6.2Bドル(7450億円) ウクライナにはこのうち360億円

6.3Bドル(7500億円)をコロンビア級戦略原潜に、5Bドル(6000億円)をB-21ステルス爆撃機に、3.6Bドル(4300億円)を次期ICBM(GBSD)、4.8Bドル(5200億円)を核抑止指揮統制システムに
●サプライチェーン強化に
3.3Bドルをマイクロ電子関連に、0.6Bドルを極超音速兵器とエネルギー兵器関連に、0.25Bドルを稀少材料に65億円を溶接や鍛造部門に、52億円をバッテリーや電源貯蔵に
28日付米空軍協会web記事で空軍関連では
●更に同長官は、「輸送力についてはおおむね固まっているが、transformationは戦術戦力やglobal strike分野に焦点を当てて行う」とも語っている。他の空軍幹部も「深遠なtransformational changesとなる2024年度予算のプレリュードとなる23年度予算案」と語っている
●研究開発費は前年度比で20%増、調達経費は15%増、作戦運用&維持整備費は4%増、

●240機を削減(早期退役140機とMQ-9を100機他機関へ移管)と、新規導入82機で、全体でプラスマイナスで158機減少。早期退役には大部分のE-3 AWACSとE-8 J STARSを含む
(ちなみに、2022年度予算では最終的に、要求した早期退役201機のうち、42機のA-10以外は退役が議会で認められている)

●F-15EX購入は、22年度12機から23年度は24機に倍増。NGADとB-21用の無人機ウイングマン関連は150億円、NGADは2000億円でF-35Aにも約1200億円、
●極超音速兵器は戦闘機用HACMと爆撃機用ARRWに計680億円
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あくまでも「米国防省がまとめた予算案」です。
また、これからウクライナ問題で安全保障環境が激変する中、ウクライナ問題発生前に固まった予算案が、議席数が伯仲する米議会で議論されるわけです。大変です
国防予算関連の最近の記事
「F-35調達機数は減少へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「海軍は3大近代化から1つに絞れ」→https://holylandtokyo.com/2021/06/11/1898/
「空軍の戦闘機構想」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「陸軍は2023年で変わる」→https://holylandtokyo.com/2020/09/11/478/
「海兵隊は対中国で戦車部隊廃止へ」→https://holylandtokyo.com/2020/03/26/790/
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国防省が空軍に極超音速兵器開発の改善提言 [米国防省高官]
国防省作戦試験評価局(DOT&E)のレポートで
2021年の空軍ARRW試験が3回とも失敗
3回のうち2回はB-52から分離もできずの惨状に
1月27日、米国防省の作戦試験評価局(DOT&E:DOD’s Office of the Director of Operational Test & Evaluation)が報告書を発表し、開発試験の失敗が続く米空軍の空中発射型の極超音速兵器(AGM-183A:ARRW:Air-launched Rapid Response Weapon)に対し、比較的順調な陸海軍の極超音速兵器開発に学べと提言しました
中国やロシアに後れを取っている極超音速兵器開発については、国防省が最重要兵器開発の一つとして推進しており、19日にも技術開発担当次官補が「アクセル全開で取り組む。陸軍と海軍は今年フルスケールの飛行試験に臨む好ましい状況にある」と述べる一方で、空軍の状況には一切触れずに物議をかもしていました
一方の空軍は、同じ19日にKendall空軍長官が「極超音速兵器は重要だが中国にとっての重要性と米国にとっての重要性は異なる。何が費用対効果で優れているかを熟考して兵器体系を考える必要がある」と述べ、これまで米国防省の一貫した方針だった「何が何でも極超音速兵器実現」モードをけん制する発言して国防省内での対立を匂わせていたところです
米空軍は2タイプの極著音速兵器に取り組み中
●ARRW→B-52搭載をイメージ。ロケットで加速され自ら推進力を持たず射程が長くないたARRM(Air-launched Rapid-Response Weapon:AGM-183A)
●HACM→戦闘機クラス搭載をイメージ。推進装置を持ち射程の長いHACM(Hypersonic Attack Cruise Missile)2021年9月に3度目の試験で基礎試験成功
懸念されている2021年空軍ARRW試験の様子
●4月:AGM-183Aが発射母機B-52から分離せず、試験不成立
本来2020年末に予定されていた試験。原因は非公表も、現場技術者の直前点検チャックリストの確認漏れや、作業員による誤った制御部分の締め付けなど、「単純な凡ミス」と報じられている
●7月:発射母機B-52から分離したが、推進装置に点火せず
4月の試験失敗原因が解消されたことは確認できたが、米空軍は今も失敗原因を調査中
●12月:再び発射母機B-52から分離せず
1月28日付米空軍協会web記事によれば
●作戦試験評価局(DOT&E)レポートは、米空軍が掲げている「2022年末までにARRWの生産に入る」とのスケジュール変更までは求めていないが、キャプティブ弾試験の段階でフィンコントロールシステムの再設計必要が明らかになったり、
●現場技術者の「単純な凡ミス」で試験が1回無駄になっている現状を踏まえ、以下のような提言を行っている
●作戦試験評価局(DOT&E)からの提言
・国防長官室や(極著音速開発が比較的順調な)陸海軍の関係部署と緊密に連携を取り、ベストプラクティスを学び、試験関連インフラや試験データ管理・分析手法、更にはモデリング法やシミュレーション法をを参考にせよ
・現在使用している全てのモデリングやシミュレーション手法の有効性を再確認せよ
・敵からの厳しいサーバー攻撃を想定した環境でのARRWの有効性検証を実施せよ
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米空軍のARRW開発責任者のCollins准将は2021年9月、2021年末までに(B-52から分離したが点火しなかった)試験失敗の原因が究明できれば、2022年末からの兵器製造開始予定に変更はない、と語っていましたが、米空軍が何か言う前に国防省内部から「意見」されてしまいました
Kendall空軍長官が主張する、「米軍にとっての極超音速兵器の意義」や「費用対効果検討を踏まえた最適な兵器ミックスの検討」は重要な視点ですが、空軍ARRWの現状は、作戦試験評価局(DOT&E)からの提言にも「一理」ある状況でしょう
ただ、米陸軍は車両搭載型で2023年頃の導入を、米海軍は艦艇発射型を2023年、潜水艦発射型は2024年予定を断念して2028年に導入する目標を掲げていますが、どれも楽観できるものではありません。今後も米国防省の苦闘は続くと考えられます
米軍の極超音速兵器開発
「技術担当次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-23
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-21
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
2021年の空軍ARRW試験が3回とも失敗
3回のうち2回はB-52から分離もできずの惨状に

中国やロシアに後れを取っている極超音速兵器開発については、国防省が最重要兵器開発の一つとして推進しており、19日にも技術開発担当次官補が「アクセル全開で取り組む。陸軍と海軍は今年フルスケールの飛行試験に臨む好ましい状況にある」と述べる一方で、空軍の状況には一切触れずに物議をかもしていました

米空軍は2タイプの極著音速兵器に取り組み中

●HACM→戦闘機クラス搭載をイメージ。推進装置を持ち射程の長いHACM(Hypersonic Attack Cruise Missile)2021年9月に3度目の試験で基礎試験成功
懸念されている2021年空軍ARRW試験の様子
●4月:AGM-183Aが発射母機B-52から分離せず、試験不成立
本来2020年末に予定されていた試験。原因は非公表も、現場技術者の直前点検チャックリストの確認漏れや、作業員による誤った制御部分の締め付けなど、「単純な凡ミス」と報じられている
●7月:発射母機B-52から分離したが、推進装置に点火せず
4月の試験失敗原因が解消されたことは確認できたが、米空軍は今も失敗原因を調査中
●12月:再び発射母機B-52から分離せず
1月28日付米空軍協会web記事によれば

●現場技術者の「単純な凡ミス」で試験が1回無駄になっている現状を踏まえ、以下のような提言を行っている
●作戦試験評価局(DOT&E)からの提言

・現在使用している全てのモデリングやシミュレーション手法の有効性を再確認せよ
・敵からの厳しいサーバー攻撃を想定した環境でのARRWの有効性検証を実施せよ
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米空軍のARRW開発責任者のCollins准将は2021年9月、2021年末までに(B-52から分離したが点火しなかった)試験失敗の原因が究明できれば、2022年末からの兵器製造開始予定に変更はない、と語っていましたが、米空軍が何か言う前に国防省内部から「意見」されてしまいました

ただ、米陸軍は車両搭載型で2023年頃の導入を、米海軍は艦艇発射型を2023年、潜水艦発射型は2024年予定を断念して2028年に導入する目標を掲げていますが、どれも楽観できるものではありません。今後も米国防省の苦闘は続くと考えられます
米軍の極超音速兵器開発
「技術担当次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-23
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-21
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
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技術開発担当女性国防次官が優先事項を語る [米国防省高官]
祖父が台湾空軍副司令官だった女性です
陸軍省での技術&兵站担当次官補を経て
米空軍科学諮問委員会の委員長経験も
空軍との極超音速兵器等を巡る対立も匂わせ
1月19日、昨年7月就任のHeidi Shyu技術開発担当国防次官が講演で技術開発優先事項について語り、オースチン国防長官から「強固に防御されたエリア:contested regions」での作戦遂行能力強化を求められており、人工知能AIや自律的システム、それを支える指揮統制ネットワーク、極超音速兵器やレーザー、量子技術や5Gに続く6G・7G新規格等の対象分野を上げています
一方で、国防省開発体制の問題点を示唆するように、スターアップ等の最新技術を取り込む仕組みが乱立して投資効果確認が難しくなっている点や、国防省内研究機関の施設老朽化問題に対する取り組みの必要性にも触れつつ、また新空軍長官が率いる米空軍との関係が技術開発分野で微妙な雰囲気になることを示唆するような発言もあり、優先事項より気になる内容となっています
Heidi Shyu次官は1953年台湾生まれで、祖父が台湾空軍副司令官との家系で、米国で工学系の大学や大学院を卒業後、軍需産業であるヒューズ、グラマン等を経てレイセオン社で技術者として長く勤務した後、2000年から2010年の間に米空軍科学諮問委員を務め、その間副委員長や委員長を5年間も経験しています
国防省での勤務は、2011年から16年の間に陸軍省の兵站&技術開発担当次官補として経験しており、技術開発担当の国防次官としては、国防省の技術開発事業全般を取り仕切り、DARPA、MDA、SDA宇宙開発庁、DIU(Defense Innovation Unit)等の開発機関を監督することになります
20日付米空軍協会web記事によれば同次官は講演で
●(19日のPotomac Officer’s Clubでの講演で、)オースチン国防長官が「contested regionsやhighly defended areas」で戦う手段追求を重視していることを受け、技術開発で重視する事項をまとめる最終段階にある
●AI、自立化システム、ネットワーク強化や極超音速兵器やmicroelectronics分野が含まれるが、既に市場にある技術・製品を最大限に活用し、効率的に迅速に必要なものを前線に届ける姿勢で臨みたい
●米議会からは半導体製品の7割をアジアからの輸入に依存している点を問題として強く指摘されており、商務省や半導体企業と連携して半導体産業の国内回帰に取り組みたい
●また、複雑化する国防システムを前線兵士が効率的に使いこなせるよう、短時間で兵器やシステムに習熟可能な装備品開発や、システムと兵士のインターフェイス改善にも注力したい
個別開発分野について同次官は
●極超音速兵器開発は開発推進と停滞を繰り返して進んできたが、国防長官も高い関心を持っており、今後はアクセル全開で取り組む。陸軍と海軍は今年フルスケールの飛行試験に臨む好ましい状況にある(同兵器の費用対効果から、19日に慎重姿勢を空軍長官表明した米空軍の空中発射型開発には言及せず、会場が微妙な雰囲気に)
●レーザー開発でも、30年の長きにわたる取り組みを経て、陸軍と海軍では攻撃的活用にも本格的に踏み込みつつある(ここでも米空軍について語らず、微妙な雰囲気に)
●量子技術活用については、量子コンピュータ分野に研究者2000名動員の中国に対し、米国は100社が参入して取り組んでおり、目を離さず取り組む。量子通信や量子センサーにも関心を持っている
●通信技術分野では、世界の動きに追随するような形ではなく、5Gに続く次世代の6G・7Gを国防省が率先して切り開いていくような形に関心を持っている。5G通信による軍レーダーや高度計への干渉が問題にならないよう、確実な対応を行う。
●Hicks国防副長官から指示を受け、国防省や各軍種の研究開発インフラの課題や問題点を取りまとめており、1月末にはご説明したい。課題解決には約6000億円の投資が必要と見積もっているが、民間企業、産業界、大学や学界との関係強化を生かしつつ、研究開発インフラのギャップ改善に取り組みたい
●小規模企業やスタートアップ企業から最新技術を取り入れて技術開発を促進する取り組みは、20以上にのぼる国防省内の担当組織(AFWERX, SOFWERX, and the Army’s Rapid Capabilities and Critical Technologies Office.)の存在もあり、投資効果の確認が難しくなりつつある。多様な組織の任務や役割を再確認&整理し、対象企業との連携連絡手段を整備し、更に契約メカニズムもはっきりさせてアイディアが形になるよう、強力に管理していく
●各軍種毎の能力不足分析ではなく、統合レベルでの地域戦闘コマンドの能力不足分野を特定するため、200もの課題から約30の重要テーマに絞り込み、これを各地域に関連する4つのシナリオに落とし込んで分析を進める。「Rapid Defense Experimentation Reserve」との検討枠組みで、2023年度から段階的に取り組みたい
/////////////////////////////////////////////////
冒頭で申し上げたように、優先事項そのものよりも、米空軍との不協和音や、優先事項から伺える現状の問題点が興味深いところです。
また、これら分野を統括する国防次官に、100%中国・台湾系の血が流れる女性が就任していることにも注目したいと思います。現場視察の様子を紹介するお写真をご紹介していますが、現場に飛び込んでいくタイプの方のようです。
情報共有と漏洩防止のはざまで
「外国製ドローン購入規制」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-14
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-05-1
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-25
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26
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陸軍省での技術&兵站担当次官補を経て
米空軍科学諮問委員会の委員長経験も
空軍との極超音速兵器等を巡る対立も匂わせ

一方で、国防省開発体制の問題点を示唆するように、スターアップ等の最新技術を取り込む仕組みが乱立して投資効果確認が難しくなっている点や、国防省内研究機関の施設老朽化問題に対する取り組みの必要性にも触れつつ、また新空軍長官が率いる米空軍との関係が技術開発分野で微妙な雰囲気になることを示唆するような発言もあり、優先事項より気になる内容となっています
国防省での勤務は、2011年から16年の間に陸軍省の兵站&技術開発担当次官補として経験しており、技術開発担当の国防次官としては、国防省の技術開発事業全般を取り仕切り、DARPA、MDA、SDA宇宙開発庁、DIU(Defense Innovation Unit)等の開発機関を監督することになります
20日付米空軍協会web記事によれば同次官は講演で

●AI、自立化システム、ネットワーク強化や極超音速兵器やmicroelectronics分野が含まれるが、既に市場にある技術・製品を最大限に活用し、効率的に迅速に必要なものを前線に届ける姿勢で臨みたい
●米議会からは半導体製品の7割をアジアからの輸入に依存している点を問題として強く指摘されており、商務省や半導体企業と連携して半導体産業の国内回帰に取り組みたい
●また、複雑化する国防システムを前線兵士が効率的に使いこなせるよう、短時間で兵器やシステムに習熟可能な装備品開発や、システムと兵士のインターフェイス改善にも注力したい
個別開発分野について同次官は

●レーザー開発でも、30年の長きにわたる取り組みを経て、陸軍と海軍では攻撃的活用にも本格的に踏み込みつつある(ここでも米空軍について語らず、微妙な雰囲気に)
●量子技術活用については、量子コンピュータ分野に研究者2000名動員の中国に対し、米国は100社が参入して取り組んでおり、目を離さず取り組む。量子通信や量子センサーにも関心を持っている

●Hicks国防副長官から指示を受け、国防省や各軍種の研究開発インフラの課題や問題点を取りまとめており、1月末にはご説明したい。課題解決には約6000億円の投資が必要と見積もっているが、民間企業、産業界、大学や学界との関係強化を生かしつつ、研究開発インフラのギャップ改善に取り組みたい

●各軍種毎の能力不足分析ではなく、統合レベルでの地域戦闘コマンドの能力不足分野を特定するため、200もの課題から約30の重要テーマに絞り込み、これを各地域に関連する4つのシナリオに落とし込んで分析を進める。「Rapid Defense Experimentation Reserve」との検討枠組みで、2023年度から段階的に取り組みたい
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また、これら分野を統括する国防次官に、100%中国・台湾系の血が流れる女性が就任していることにも注目したいと思います。現場視察の様子を紹介するお写真をご紹介していますが、現場に飛び込んでいくタイプの方のようです。
情報共有と漏洩防止のはざまで
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「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
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米国防省の調達担当次官候補に元空軍調達次官 [米国防省高官]
国防省高官の議会承認進捗は、
承認済22、承認待ち22、候補未定13
調達担当次官の直属部下(副次官or次官代理)も未定
11月30日、ホワイトハウスが米国防省の調達担当次官候補に、元米空軍省調達担当次官であるWilliam LaPlante氏を推挙すると発表しました。
同氏の議会承認に関し米軍事メディアは全く問題ないと予想していますが、具体的な議会内手続きは年明け2022年初頭になると報じています
前任のLord国防省調達担当次官はトランプ政権と同時に退任しており、約9か月間同ポストが空席で「臨時代理」者が職務を代行していますが、海軍長官と並んで、政治任用者が未決定な重要空白ポストととして各方面から早期の人材充当が求められているところです
William LaPlante氏は2014年初めから2015年末まで空軍省調達担当次官を務め、今や数少ない順調な開発状況にあるB-21次期爆撃機の契約をまとめた功績で国防関係者や議会での評価が高く、同時期に国防省調達次官を務めていたKendall現空軍長官とも良好な関係だと言われています
空軍省調達担当次官を務めていた前後は、技術研究開発企業で国家予算が多く投入されているMitre社の国家安全保障事業担当の副社長や重役を務め、現在は工学系非営利企業のDraper Laboratory社の会長兼CEOを務める傍ら、「National Defense Industrial Association」や「Naval Research Advisory Committee」等々のボードメンバーを務めています
またLaPlante氏はもともとJohns Hopkins大学の学部長を勤めた経験もある理論物理学者で、、Mitre社ではBMD分析部長なども歴任しており、学問分野を極めつつ、現場の開発案件や行政経験もある実力者です
LaPlante氏が議会承認された場合、調達担当次官として担う課題は大きく、F-35維持費高騰問題やシステム成熟、米海軍の規模拡大、核戦力の近代化、本格紛争に備えた能力を提供する軍事産業基盤との協力体制強化、ソフトウェア調達改革などなどで、重責であることは間違いありません
米議会も含め、LaPlante氏への信頼が厚いことに期待し、2022年早々の議会承認と同ポストでのご活躍を祈念したいと思います
同氏が役員である企業webサイトでの紹介
→https://aerospace.org/person/honorable-william-laplante
→https://www.iafastro.org/biographie/william-a-laplante.html
米空軍調達担当次官当時のLaPlante氏関連記事
「LaPlante氏の退任会見」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-11-25
「次期爆撃機選定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-10-01
「F-35の急激増産が課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-10-1
「2023年は装備計画が大集中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-07-14
「軍需産業と計画段階から意思疎通」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-02-17
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承認済22、承認待ち22、候補未定13
調達担当次官の直属部下(副次官or次官代理)も未定

同氏の議会承認に関し米軍事メディアは全く問題ないと予想していますが、具体的な議会内手続きは年明け2022年初頭になると報じています
前任のLord国防省調達担当次官はトランプ政権と同時に退任しており、約9か月間同ポストが空席で「臨時代理」者が職務を代行していますが、海軍長官と並んで、政治任用者が未決定な重要空白ポストととして各方面から早期の人材充当が求められているところです

空軍省調達担当次官を務めていた前後は、技術研究開発企業で国家予算が多く投入されているMitre社の国家安全保障事業担当の副社長や重役を務め、現在は工学系非営利企業のDraper Laboratory社の会長兼CEOを務める傍ら、「National Defense Industrial Association」や「Naval Research Advisory Committee」等々のボードメンバーを務めています

LaPlante氏が議会承認された場合、調達担当次官として担う課題は大きく、F-35維持費高騰問題やシステム成熟、米海軍の規模拡大、核戦力の近代化、本格紛争に備えた能力を提供する軍事産業基盤との協力体制強化、ソフトウェア調達改革などなどで、重責であることは間違いありません
米議会も含め、LaPlante氏への信頼が厚いことに期待し、2022年早々の議会承認と同ポストでのご活躍を祈念したいと思います
同氏が役員である企業webサイトでの紹介
→https://aerospace.org/person/honorable-william-laplante
→https://www.iafastro.org/biographie/william-a-laplante.html
米空軍調達担当次官当時のLaPlante氏関連記事
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無人機X-61をC-130輸送機が空中発進&回収成功 [米国防省高官]
X-61 Gremlins Air Vehiclesとの全長4mの多用途無人機
飛行中のC-130輸送機がマジックハンドでつかみ取る
11月5日、米国防省最高位の研究開発機関DARPAが、C-130の翼下から発進した多用途無人機X-61 Gremlins Air Vehiclesを、同じC-130輸送機のマジックハンドで飛翔中に回収することに成功したと発表しました
このX-61 Gremlinsは、2016年から第1段階デモ開発が始まり、2018年に第3段階開発プログラムを開始したターボファン推進の無人機で、光学センサーや赤外線カメラ、電子戦装備や兵器など多様な装備兵器を搭載可能で、最高速度マック0.6、航続距離560㎞の性能を有すると言われています
また、既存の航空機の兵器搭載ポイントに装着輸送&発進可能に設計されており、半自立飛行が可能で有人母機や地上管制施設1か所から同時に8機をコントロールできることから、「無人機の群れ」として行動する技術開発実証を狙っているようです
X-61の概要
・全長4.2m、Wingspan 3.5m、幅高さ各約50cm、重さ680㎏
以下のYouTube映像でご覧いただけるように、X-61は自立飛行でC-130に近接して編隊飛行し、マジックハンドで回収されやすい位置を維持して飛行しており、DARPAが発表声明で述べたように「長年に渡るハードワークの成果」と思われます
X-61のC-130による空中回収
5日付米空軍協会web記事によれば
●DARPAのX-61責任者Paul Calhoun中佐は、「回収実験により、安全で信頼に足る空中回収技術を証明できた」、「回収した機体を修復し、24時間以内に再飛行させることが可能なことも実証した」と試験飛行を説明し、
●「空中発進可能な自立型無人機が空中回収可能となれば、劇的に無人機の活動距離が延伸でき、その可能性が広がる」とその意義を語った
●5機製造されたX-61は、2021年1月に初めての飛行試験を行ってデータリンクや飛行性能など無人機としての基本性能を確認した以降、電気系統の故障等により2機を失っているが、現有3機で試験開発を継続し、30分以内に4機を空中回収可能なことを実証することは可能だとDARPAは説明している
///////////////////////////////////////////
米国防省の無人機開発について久々にご紹介したような気がしますが、無人機開発の動き全体がどうなっているのかさっぱり表に出てきません。無人機からの防御については色々話が出ていますが・・・
無人機の群れ関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-30
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
無人機ウイングマン構想
「頭脳ACSを2機種目で試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-02
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-06
「多用途ドローン投下試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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飛行中のC-130輸送機がマジックハンドでつかみ取る

このX-61 Gremlinsは、2016年から第1段階デモ開発が始まり、2018年に第3段階開発プログラムを開始したターボファン推進の無人機で、光学センサーや赤外線カメラ、電子戦装備や兵器など多様な装備兵器を搭載可能で、最高速度マック0.6、航続距離560㎞の性能を有すると言われています

X-61の概要
・全長4.2m、Wingspan 3.5m、幅高さ各約50cm、重さ680㎏
以下のYouTube映像でご覧いただけるように、X-61は自立飛行でC-130に近接して編隊飛行し、マジックハンドで回収されやすい位置を維持して飛行しており、DARPAが発表声明で述べたように「長年に渡るハードワークの成果」と思われます
X-61のC-130による空中回収
5日付米空軍協会web記事によれば
●DARPAのX-61責任者Paul Calhoun中佐は、「回収実験により、安全で信頼に足る空中回収技術を証明できた」、「回収した機体を修復し、24時間以内に再飛行させることが可能なことも実証した」と試験飛行を説明し、

●5機製造されたX-61は、2021年1月に初めての飛行試験を行ってデータリンクや飛行性能など無人機としての基本性能を確認した以降、電気系統の故障等により2機を失っているが、現有3機で試験開発を継続し、30分以内に4機を空中回収可能なことを実証することは可能だとDARPAは説明している
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米国防省の無人機開発について久々にご紹介したような気がしますが、無人機開発の動き全体がどうなっているのかさっぱり表に出てきません。無人機からの防御については色々話が出ていますが・・・
無人機の群れ関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-30
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
無人機ウイングマン構想
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「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-06
「多用途ドローン投下試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
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「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
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国防副長官がハイブリッドや電気自動車の導入推進と [米国防省高官]
戦術車両はまずハイブリッド車へ
基地内使用の非戦闘車両は直接電気自動車へ
ただ、カギとなるバッテリー生産の2/3が中国とのジレンマ
11月8日、Hicks国防副長官が講演で、バイデン政権の温室効果ガス削減方針に沿って、政府機関で最大の化石燃料使用組織である国防省は、ハイブリット車や電気自動車の導入を積極的に進めると語り、17万両の基地内利用非戦闘車両は電気自動車に、戦術車両はまずハイブリッド車化を目指すと語りました
米政府機関の中で最大の車両保有組織は米国郵政サービスだそうですが、化石燃料使用量はダントツで国防省がトップで、原因は燃費の良くないHumveeのような戦術車両を陸軍だけで24万両以上も保有しているからです。
オバマ政権時にも化石燃料消費削減への取り組みがあり、特に当時のMabus海軍長官は熱心で、2009年に発表したプランでは、2020年までに海軍と海兵隊の化石燃料消費量を5割削減するとの高い目標を掲げ、トウモロコシや動物の脂肪や排泄物から代替燃料を得る計画をぶち上げました
しかし、その後の原油価格の下落や代替燃料確保の困難から計画は行き詰まり、オバマ政権の終わりと共に計画は消えてしまいました。
Hicks副長官のハイブリッド車や電気自動車導入促進は、オバマ政権当時の動きと重なるイメージがありますが、当時と同様にその実現は容易ではありません。
9日付Military.comは記事はHicks副長官構想の課題として、ハイブリッド車や電気自動車導入のカギを握るリチウムイオン電池の2/3を中国が供給している点や、戦場での電力供給手法の確立を上げていますが、どちらも重い課題で、米国産業界など民間の知恵も動員して取り組みたいと副長官は語っていますが「道遠し」の印象です
9日付Military.com記事によれば
●Hicks副長官は電気自動車導入メリットを、「電気自動車は静かで、熱発生量が少なく赤外線で捉えにくい一方で、信じられないレベルのトルクを確保できる。また車両の構成部品が少なく済むことから、車両維持整備のための兵站負担を軽減することが可能になる」と強調した
●同時に副長官は、このように電気自動車導入は軍事力拡大に寄与するが、民間企業の力を借りないと乗り越えられないハードルにも直面していると認めつつ、最先端の国防技術開発と自動車業界の技術革新が国防省プラン実現の鍵だと訴えた
●例えば米陸軍は、将来戦場での電力供給網を確保するため「new micro-grid technology」開発に取り組んでおり、米国自動車業界でもGMは2035年までにガソリン車を廃止するなど、ハイブリッド車や電気自動車への動きが業界全体で加速しており、そのような動きに期待している
●ただし、ここで重要なリチウムイオン電池は2つの問題を抱えている。一つは中国が世界の生産量の2/3を占めており、米国の計画はこのままだと中国に依存しなければならない点と、同電池が廃棄時に毒物になり環境に悪影響を与える可能性がある点である
●米国は同電池の生産量を固めるための施策を打ち始めているが、中国が10年に渡る莫大な投資で獲得した地位を超えることは容易ではない
●副長官は「市場にシグナルを送り、必要なプロセスが進むようにすることが必要だ」、「国防省としても国家安全保障の点からその重要性を訴え、米国で産業界を含めた動きが加速するように取り組んでいく」と語った
////////////////////////////////////////////
このような改革構想発表の際は、「・・・initiative」とか「・・・vision」との名称やキャッチフレーズが飛び出したりするのですが、少なくとも記事にはそのような言葉は出てきません
ところで、トヨタ自動車の豊田社長が訴えていた、電気自動車導入には電力を確保する必要があり、単純に温室効果ガス削減にはつながらない・・・との正論に、米国防省はどのように答えてくれるのでしょうか?
「熱発生量が少なく赤外線で捉えにくく、車両の構成部品が少なく済むことから、車両維持整備のための兵站負担を軽減することが可能」・・・とのメリットで突っ走るのでしょうか?
電気自動車導入など関連記事
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-23-1
「米国防省が気候変動対処構想CAP(Climate Adaptation Plan)発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-08
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
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基地内使用の非戦闘車両は直接電気自動車へ
ただ、カギとなるバッテリー生産の2/3が中国とのジレンマ

米政府機関の中で最大の車両保有組織は米国郵政サービスだそうですが、化石燃料使用量はダントツで国防省がトップで、原因は燃費の良くないHumveeのような戦術車両を陸軍だけで24万両以上も保有しているからです。

しかし、その後の原油価格の下落や代替燃料確保の困難から計画は行き詰まり、オバマ政権の終わりと共に計画は消えてしまいました。

9日付Military.comは記事はHicks副長官構想の課題として、ハイブリッド車や電気自動車導入のカギを握るリチウムイオン電池の2/3を中国が供給している点や、戦場での電力供給手法の確立を上げていますが、どちらも重い課題で、米国産業界など民間の知恵も動員して取り組みたいと副長官は語っていますが「道遠し」の印象です
9日付Military.com記事によれば

●同時に副長官は、このように電気自動車導入は軍事力拡大に寄与するが、民間企業の力を借りないと乗り越えられないハードルにも直面していると認めつつ、最先端の国防技術開発と自動車業界の技術革新が国防省プラン実現の鍵だと訴えた
●例えば米陸軍は、将来戦場での電力供給網を確保するため「new micro-grid technology」開発に取り組んでおり、米国自動車業界でもGMは2035年までにガソリン車を廃止するなど、ハイブリッド車や電気自動車への動きが業界全体で加速しており、そのような動きに期待している

●米国は同電池の生産量を固めるための施策を打ち始めているが、中国が10年に渡る莫大な投資で獲得した地位を超えることは容易ではない
●副長官は「市場にシグナルを送り、必要なプロセスが進むようにすることが必要だ」、「国防省としても国家安全保障の点からその重要性を訴え、米国で産業界を含めた動きが加速するように取り組んでいく」と語った
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ところで、トヨタ自動車の豊田社長が訴えていた、電気自動車導入には電力を確保する必要があり、単純に温室効果ガス削減にはつながらない・・・との正論に、米国防省はどのように答えてくれるのでしょうか?
「熱発生量が少なく赤外線で捉えにくく、車両の構成部品が少なく済むことから、車両維持整備のための兵站負担を軽減することが可能」・・・とのメリットで突っ走るのでしょうか?
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米国防省がアフガン人が写る画像映像記録公開停止 [米国防省高官]
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12万枚以上の写真と1.7万本の映像を当面の間
米国に協力したアフガニスタン人をタリバンから守るため
11月1日、米国防省のJohn Kirby報道官が会見で、米国に協力したアフガニスタン人をタリバンから守るため、米国防省や米軍の活動を画像&映像で公開しているDVIDS(Defense Visual Information Distribution Service)で当面の間、アフガニスタン人が写った写真や映像を公開しない措置をとると明らかにしました
膨大な画像や映像から、関連画像や映像を非公開にする作業はアフガニスタンがタリバンの手に落ちた8月中から開始され、2か月以上を経た今も継続していると同報道官は語っており、過去約20年間の記録から、既に12万枚以上の写真と1.7万本の映像を非公開にしたと説明しています
あくまでも当面の間の「非公開」であり、適当なタイミングで再び公開する予定で、あくまでも非公開措置であり削除するわけではないと同報道官は強調していますが、数年で再び公開されるとも考えにくく、軍の展開と撤収に伴う難しい問題の一つとして記憶にとどめるべく、ご紹介しておきます
1日付米空軍協会記事によればKirby報道官は会見で
●私は、過去20年間の戦いを通じて蓄積されてきた、(米国を支援した)個人やその家族が特定されるような画像や映像を、当面の間、非公開にするよう指示した。私の提案であるこの措置は、NSCや今もアフガン人の国外脱出を手助けしている国務省と相談の上で実施している
●膨大な労力を要するこの作業は、8月から9月にかけて行われたアフガニスタン人の国外避難作戦の間も静かに進められていたが、2か月以上経過した今も続いている
●我々は、タリバンが(米国活動を支援したアフガニスタンの人々を)親戚や家族を含めて見つけ出すことを懸念している。
●これまでのところ、タリバンがDVIDSを使用して、アフガニスタン人を特定したり標的にする特別の情報や兆候は察知していないが、このような懸念は明らかであり、非公開のする判断に躊躇はない
●私はこの非公開措置が正しい判断であると信じており、我々はこの措置をお世話になったアフガニスタン人へのリスペクトと注意深さから実施している
●非公開にした画像や映像が消去されることはない。再び公開する適当な時期が来たら再公開する
///////////////////////////////////////////
Defense Visual Information Distribution Service
→https://www.dvidshub.net/
いろんな意味で、海外で軍隊が活動することの深い意味とその後々への影響を考えさせられます。
アフガン避難民関連の記事
「米本土米軍基地にアフガン避難民5.3万人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-26
「アフガン避難者輸送作戦最初の10日」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-24
「C-17輸送機1機に823名も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-22
「アフガン語通訳1.8万人を特別移民認定へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-26
「タリバンに渡った米国製兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-30
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12万枚以上の写真と1.7万本の映像を当面の間
米国に協力したアフガニスタン人をタリバンから守るため

膨大な画像や映像から、関連画像や映像を非公開にする作業はアフガニスタンがタリバンの手に落ちた8月中から開始され、2か月以上を経た今も継続していると同報道官は語っており、過去約20年間の記録から、既に12万枚以上の写真と1.7万本の映像を非公開にしたと説明しています

1日付米空軍協会記事によればKirby報道官は会見で
●私は、過去20年間の戦いを通じて蓄積されてきた、(米国を支援した)個人やその家族が特定されるような画像や映像を、当面の間、非公開にするよう指示した。私の提案であるこの措置は、NSCや今もアフガン人の国外脱出を手助けしている国務省と相談の上で実施している

●我々は、タリバンが(米国活動を支援したアフガニスタンの人々を)親戚や家族を含めて見つけ出すことを懸念している。
●これまでのところ、タリバンがDVIDSを使用して、アフガニスタン人を特定したり標的にする特別の情報や兆候は察知していないが、このような懸念は明らかであり、非公開のする判断に躊躇はない

●非公開にした画像や映像が消去されることはない。再び公開する適当な時期が来たら再公開する
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米国防省の兵器輸出責任者が怒りの辞任 [米国防省高官]
バイデン政権の「人道主義」で輸出手続き停滞
中東に中国が無人機猛烈輸出の中で米はお手上げ状態
トランプ合意のUAEへのF-35やサウジへの精密誘導兵器輸出も
13日、米国防省で武器輸出を取り仕切るDSCA(Defense Security Cooperation Agency)トップのHeidi Grant長官が、勤務15か月で辞任を表明(正式離職は11月7日)し、発表前日の講演で、バイデン政権の武器輸出への消極姿勢を非難する発言をしていたことから、怒りの辞任との見方が世界で報じられています
Heidi Grant長官は、昨年春から文民として初めてDSCA長官職に就任しましたが、その前に30年近く空軍省で勤務し、空軍関連装備の輸出や国家間協力を担当していた同分野のスペシャリストで、世界中に人脈がある人物として知られた方です
米国は、トランプ政権時に「人道主義」を前面に出したオバマ政権時の方針を大きく転換し、武器輸出に積極的な姿勢を見せ、イスラエルを説得してUAEへのF-35輸出交渉を進め、「MTCR(ミサイル技術管理レジーム)」解釈変更による攻撃型無人機輸出への道を進んでいました
しかしバイデン政権は、発足当初こそ中国やトルコ等による中東などへの無人機輸出攻勢や、イランの軍事脅威を意識し、武器輸出に関するトランプ政権の方向性を維持する姿勢と報じられたものの、その後は全く動きがなく、UAEへのF-35輸出やMTCR解釈に関しても、全く動きがみられない状況が続いています
米国の武器輸出に慎重な勢力は、イエメン等の紛争地域で民間人が犠牲になる恐れや地域の軍事バランスを不安定化させる懸念、軍事技術の海外流出を懸念材料としていますが、Grant長官は、米国が進出しなければ他の競争者が進出するだけだ・・・と、中国等がその穴を埋めるだけだと警鐘を鳴らし続けていたところでした
13日付Defense-News記事によれば
●退任発表前日の12日、Heidi Grant長官は米陸軍協会総会で武器輸出に関するパネル討議に登壇し、米国が中東諸国などに無人機を売却しない姿勢を保っていることで、中国による無人機輸出を許すことになっていると不満を述べている
●同長官は「米国が無人機をそれらの国に提供し、使用法を訓練し、相互運用性を高め、当該地域で存在感を示して長期的な友好関係を構築するチャンスがあったのに・・・・こんな状態だから」と講演で悔しさをにじませた
●また同長官は、地域の軍事バランスを崩さないことや機微な軍事技術の流出を避けるためとの理由で武器輸出に反対する勢力に対し、戦略的競争環境は既に変化しており、従来の考え方を変えるべきだとと述べた
●そして「我々が出ていかなければ、戦略的敵対者がその空白を埋めるだけだ。技術流失のリスクより、そのリスクの方が大きいのではないか?」と疑問を呈した
●バイデン政権の初期、バイデン政権がトランプ政権の武器輸出緩和姿勢を概ね引き継ぐとの観測報道も見られたが、8月にはロイターが、バイデン政権が議会に、人権を重視する立場から兵器輸出方針全体を見直すと説明したと報じている。この件についての続報はないが。
●バイデン政権は、トランプ政権が合意したUAEへの約2兆5000億円のF-35輸出や、サウジへの約8500億円の精密誘導兵器輸出を無期限停止にしたままである
●ちなみに、DSCA報道官は「長官は以前から辞任のタイミングを検討しており、DSCAが組織改編して新たな態勢への変革を実施したタイミングで辞任を判断したものだ」と、前日の講演での発言との関係を否定している
///////////////////////////////////////////////
まんぐーすはGrant長官支持派で、中国に空白を埋められるぐらいなら、米国が進出すべきだ・・・と考えますが、単純すぎるでしょうか?
Heidi Grant女史の辞任の真の理由をご本人は語っていませんが、11月7日以降のご発言に期待いたしましょう
なお14日、ボーイング社はGrant女史を11月8日付で、同社の「defense, space and government services sales teams」担当副社長として迎えると発表しています。手ごわそうです
中国無人機が中東で増殖中
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2
中東へ初のF-35輸出はUAEか
「バイデン就任直前に輸出契約か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-11
「イスラエルがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「米大統領:UAEへのF-35輸出は個人的にはOK」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18
米国の武器輸出管理の緩和問題
「半年以内に武器輸出制限を緩和したい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCR解釈変更で無人機輸出へ?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-25
「国防次官:半年で武器輸出規制緩和へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「肩透かし無人機輸出緩和」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出規制の見直し開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04
Heidi Grant女史:空軍省時代のご活躍
「同盟国等へ:米軍の弾薬を今後頼りにするな」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-11-21-1
「米空軍幹部が企業に海外売り込み助言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-02-27
「欧州とISRや空中給油や空輸で協力模索」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-04-02
「陸軍国が航空戦力強化に関心」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-09-28
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中東に中国が無人機猛烈輸出の中で米はお手上げ状態
トランプ合意のUAEへのF-35やサウジへの精密誘導兵器輸出も

Heidi Grant長官は、昨年春から文民として初めてDSCA長官職に就任しましたが、その前に30年近く空軍省で勤務し、空軍関連装備の輸出や国家間協力を担当していた同分野のスペシャリストで、世界中に人脈がある人物として知られた方です
米国は、トランプ政権時に「人道主義」を前面に出したオバマ政権時の方針を大きく転換し、武器輸出に積極的な姿勢を見せ、イスラエルを説得してUAEへのF-35輸出交渉を進め、「MTCR(ミサイル技術管理レジーム)」解釈変更による攻撃型無人機輸出への道を進んでいました

米国の武器輸出に慎重な勢力は、イエメン等の紛争地域で民間人が犠牲になる恐れや地域の軍事バランスを不安定化させる懸念、軍事技術の海外流出を懸念材料としていますが、Grant長官は、米国が進出しなければ他の競争者が進出するだけだ・・・と、中国等がその穴を埋めるだけだと警鐘を鳴らし続けていたところでした
13日付Defense-News記事によれば

●同長官は「米国が無人機をそれらの国に提供し、使用法を訓練し、相互運用性を高め、当該地域で存在感を示して長期的な友好関係を構築するチャンスがあったのに・・・・こんな状態だから」と講演で悔しさをにじませた

●そして「我々が出ていかなければ、戦略的敵対者がその空白を埋めるだけだ。技術流失のリスクより、そのリスクの方が大きいのではないか?」と疑問を呈した
●バイデン政権の初期、バイデン政権がトランプ政権の武器輸出緩和姿勢を概ね引き継ぐとの観測報道も見られたが、8月にはロイターが、バイデン政権が議会に、人権を重視する立場から兵器輸出方針全体を見直すと説明したと報じている。この件についての続報はないが。

●ちなみに、DSCA報道官は「長官は以前から辞任のタイミングを検討しており、DSCAが組織改編して新たな態勢への変革を実施したタイミングで辞任を判断したものだ」と、前日の講演での発言との関係を否定している
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まんぐーすはGrant長官支持派で、中国に空白を埋められるぐらいなら、米国が進出すべきだ・・・と考えますが、単純すぎるでしょうか?

なお14日、ボーイング社はGrant女史を11月8日付で、同社の「defense, space and government services sales teams」担当副社長として迎えると発表しています。手ごわそうです
中国無人機が中東で増殖中
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Heidi Grant女史:空軍省時代のご活躍
「同盟国等へ:米軍の弾薬を今後頼りにするな」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-11-21-1
「米空軍幹部が企業に海外売り込み助言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-02-27
「欧州とISRや空中給油や空輸で協力模索」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-04-02
「陸軍国が航空戦力強化に関心」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-09-28
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米国防省が外国製ドローン購入ガイダンス示す [米国防省高官]
情報漏洩につながる中国製排除狙い
噂のDa Jiang Innovations (DJI)などが対象か
10日、Kathleen Hicks国防副長官が、市場で販売されている市販ドローンを米軍や国防省関係機関が購入する際の「Guidance」を定めたと発表し、これにより米国安全保障の脅威となるドローン購入を防止し、同時に日進月歩で技術革新が進む無害で有用な市販ドローン活用を促進することができると説明しました
「Guidance」が具体的に何を示しているのかは公表されていませんが、米軍や国防省機関が市販のドローンを購入する際は、国防省CIO(chief information officer)と調達担当国防次官の承認を得ることが定められているようです
このガイダンス制定の背景には、2019年に国土安全保障省が、中国企業Da Jiang Innovations (DJI)製造の小型drawを使用すると、関連運用データが中国側に送信される恐れがあると警告し、内務省がDJI製ドローン中止を決定した経緯があるようです
米国防省報道官は、過去にドローン関連で情報漏洩が発生したかどうかについて言及を避けたようですが、新ガイダンスにより外国製ドローン購入が厳格に規定されると語っています
13日付米空軍協会web記事によれば
●10日の国防省発表は、国防省組織がどの企業製のドローンを購入可能かについて管理することで、市販の全てのサイズのドローン購入を容易にするとともに、市販ドローン使用により中国のような国への情報漏洩につながらないようにするものだと新ガイダンスを説明している
●新ガイダンスは同時に、国防省によって規制されない安全な市販ドローン購入をより自由かつ容易にするため、国防省機関による購入手続きを明確にするものだと国防省は説明している
●国防副長官は、2020年度国防授権法が定めた中国製ドローンへの規制を求めた指示に沿って新ガイダンスを定めた
●今年7月23日に国防省は、中国DJI製のドローンが国家安全保障上の脅威になると明らかにし、「DJI製を含む小型ドローンの脅威を除去することは、国防省機関すべてにとっての最優先事項だ」との声明を出していたところである
●13日、Jessica Maxwell国防省報道官は、「国防省は機微な情報を守るため必要なアクションを執った。このガイドラインは国防省の市販ドローン購入をより明確に規定するものとなる」、「同時に民間企業の技術革新成果を有効に活用するための規定でもある」とコメントしている
●なおトランプ前大統領は最後の大統領令の一つで、中国製電子部品やソフトがもたらすリスクを背景として米国製ドローン購入促進を指示しており、今回発表のガイダンスはこの大統領令に沿ったものだとも報道官は説明した
//////////////////////////////////////////////////
10日付米国防省の発表
→https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/2770897/department-guidance-on-procurement-and-operation-of-dod-unmanned-aircraft-syste/
日本の経産省や国交省、もちろん防衛省にも注意していただきたいと思います
情報共有と漏洩防止のはざまで
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-05-1
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-25
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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噂のDa Jiang Innovations (DJI)などが対象か

「Guidance」が具体的に何を示しているのかは公表されていませんが、米軍や国防省機関が市販のドローンを購入する際は、国防省CIO(chief information officer)と調達担当国防次官の承認を得ることが定められているようです

米国防省報道官は、過去にドローン関連で情報漏洩が発生したかどうかについて言及を避けたようですが、新ガイダンスにより外国製ドローン購入が厳格に規定されると語っています
13日付米空軍協会web記事によれば

●新ガイダンスは同時に、国防省によって規制されない安全な市販ドローン購入をより自由かつ容易にするため、国防省機関による購入手続きを明確にするものだと国防省は説明している

●今年7月23日に国防省は、中国DJI製のドローンが国家安全保障上の脅威になると明らかにし、「DJI製を含む小型ドローンの脅威を除去することは、国防省機関すべてにとっての最優先事項だ」との声明を出していたところである

●なおトランプ前大統領は最後の大統領令の一つで、中国製電子部品やソフトがもたらすリスクを背景として米国製ドローン購入促進を指示しており、今回発表のガイダンスはこの大統領令に沿ったものだとも報道官は説明した
//////////////////////////////////////////////////
10日付米国防省の発表
→https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/2770897/department-guidance-on-procurement-and-operation-of-dod-unmanned-aircraft-syste/
日本の経産省や国交省、もちろん防衛省にも注意していただきたいと思います
情報共有と漏洩防止のはざまで
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-05-1
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-25
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
米空軍省のソフト開発責任者が怒りの辞任 [米国防省高官]
元は著名なIT&サイバー&ソフト開発若手企業家
頭の固い変化に追随不能な指導者だらけ
IT無知な少佐&中佐クラスの人事配置に怒り心頭
官僚的な縦割り行政とエゴだらけの意思決定&不作為
3年間の不満をSNS上でぶちまけ辞職
2日、2018年5月から米空軍省のソフト開発責任者CSO(chief software officer)を務めた35歳(推定)のフランス人Nicolas M. Chaillan氏が、米空軍や国防省のソフト開発やIT事業に関する理解の無さをネット上にぶちまけ、辞任しました
Chaillan氏はわずか15歳でソフト開発企業を立ち上げ、これまでに12ものソフト関連事業を起こしたフランスでは著名なIT&サイバー&ソフト開発企業家で、ソフト開発者としても最近8年間だけでも澄明なソフトを150本作製し、500企業で採用されているその道のプロです
そんな華々しいご経歴の新進気鋭の若手ですが、どのような経緯か不明ながら米国政府機関に縁があったようで、国土安全保障省でサイバー特別補佐官を2016年10月から1年半を務め、2018年8月からは空軍省勤務と並行して国防省国防長官室でクラウド&ソフト開発特別補佐官を務めていました(おそらく国防省も同時に辞任したと推測)
ご本人によれば、「米国防省のような巨大組織で成果を上げられれば、世界のどんな組織でも変えられる」との「青雲の志」をもって乗り込んでこられたのでしょうが、残念な結果となってしまいました
フランスの民間で華々しい実績を上げた若手が、巨大官僚組織である米国防省や空軍省に来れば、フラストレーションがたまるのも当たり前ですし、自らのアイディアを聞き入れない組織への不満も募るでしょう。そんな怒りが爆発状態でのSNS上への暴露ですから慎重にみる必要がありますが、「さもありなん」な内容ですので、ご参考まで紹介します
理解力も能力もあったWill Roper前調達担当空軍次官補やその関係者が政権交代と共にペンタゴンを去り、ますます動きにくくなったのでしょう・・・・。残念です
2日付米空軍協会web記事によれば
Chaillan氏の功績
●Will Roper調達担当空軍次官補、Lauren Barrett Knausenberger空軍省CIO、Preston Dunlap主任IT組織改革等のIT技術に見識のある空軍省指導層と共に空軍省のIt改革に尽力し、また国防省のクラウド&ソフト開発特別補佐官として、ソフト開発を迅速化する「DevSecOps Initiative」を推進した
●この「DevSecOps Initiative」はソフト作成を分割し、ソフトの定期的反復改善を推奨する方式で、従来の方式と比較して「Windows XT PCとWindows 10 PCほどの差がある」と言われている
●またソフト改革による戦力増強事例として、老朽機であるU-2偵察機に飛行中でも新ソフトを導入可能なシステムを導入し、大きな話題を呼んだ
そんなChaillan氏は辞任理由をSNS上で
●縦割り行政の非効率や官僚制の鈍重さにいらだっていたが、宇宙軍が空軍から分離することで、ますます縦割りのサイロが増えることになり、大きな誤判断だと感じている
●ITやサイバーの見識がない少佐や中佐クラスを、お決まりの人事ローテーションで日進月歩のITやサイバー分野に配置することを止めるべきだ。飛行訓練を受けていない士官をパイロットとして部隊配置しないだろう。この問題はそれほど大きな障害となっている
●米軍の指導層の、IT技術やIT関連投資への反応の無さや関心の無さは、私の辞任を早めることになった大きな理由の一つである。過去3年間に渡り必要な改革に向けた疲れる戦いを続けてきたが、ペンタゴン内のITチーム編成を変える力は私にはなかった。
●より悪いことに、国防省の規模が大きいことを言い訳に改革案を非難する者、、組織防衛のエゴや個人の栄達のため反対する者、国防でなく各軍種の利益を優先するものなど、投資の無駄を考えない者に多数遭遇することとなった
●辞任の直接の引き金となったのは、国防省や統合参謀本部が最優先事業だと公言し、私にCSOとして4か月との短期間で取りまとめるよう命じたMVP(Minimum Viable Product)について、私が現場ニーズを短期間で吸い上げ、プロジェクトにまとめる過程を承知していながら、2022年度予算案で「予算配分ゼロ」にした決定である
●国防省は約10万ものソフト開発を進めている地球上最大のソフト依存組織である。ただそこでは、10万のソフト開発が相互連携や協力がほとんど皆無な縦割り体制で行われており、無駄な重複が多数存在する。開発の多様性の利益を主張する者がいるが、ほとんどの場合、偏狭な組織防衛が背景にあるのが現状である
●私は、20年後の米国の子供たちが、世界で圧倒的な人口や開発力を有する中国に対抗するチャンスを失って茫然と立ちすくむ将来を恐れている。中国のハードワークな人口と対抗するには、より賢明で効率的で前向きな姿勢で機敏さと改革志向な態勢である必要があるのに。米国は時代に先んじリードする立場になければならないのに。後塵を拝することは許されないのに。
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Chaillan氏による怒りの投稿
「It is time to say Goodbye!」
→https://www.linkedin.com/pulse/time-say-goodbye-nicolas-m-chaillan/
Chaillan氏の華々しいご経歴
(急いでみないと消去されますよ)
→https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/1926281/nicolas-m-chaillan/
恐らくWill Roper前調達担当空軍次官補がChaillan氏を呼んできたんじゃないかと思いますが、米空軍や国防省が最優先課題としているJADC2の中心的担当者が辞任したということなのでしょう。
最近JADC2やABMS関連のニュースがないなぁ・・・と思っていたのですが、Chaillan氏の動きも背景にあったのかなぁ・・・と懸念しています。
米国防省クラウド事業がドロ沼
「将来戦の鍵クラウド事業出直し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-09
老朽機U-2をソフト改修で刷新試行
「U-2にAIセンサー操作員搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-17
全ドメイン指揮統制JADC2演習関連
「理解容易な2事業から開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-29
「国防副長官がAIDA開始発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-23
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
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頭の固い変化に追随不能な指導者だらけ
IT無知な少佐&中佐クラスの人事配置に怒り心頭
官僚的な縦割り行政とエゴだらけの意思決定&不作為
3年間の不満をSNS上でぶちまけ辞職

Chaillan氏はわずか15歳でソフト開発企業を立ち上げ、これまでに12ものソフト関連事業を起こしたフランスでは著名なIT&サイバー&ソフト開発企業家で、ソフト開発者としても最近8年間だけでも澄明なソフトを150本作製し、500企業で採用されているその道のプロです
そんな華々しいご経歴の新進気鋭の若手ですが、どのような経緯か不明ながら米国政府機関に縁があったようで、国土安全保障省でサイバー特別補佐官を2016年10月から1年半を務め、2018年8月からは空軍省勤務と並行して国防省国防長官室でクラウド&ソフト開発特別補佐官を務めていました(おそらく国防省も同時に辞任したと推測)
フランスの民間で華々しい実績を上げた若手が、巨大官僚組織である米国防省や空軍省に来れば、フラストレーションがたまるのも当たり前ですし、自らのアイディアを聞き入れない組織への不満も募るでしょう。そんな怒りが爆発状態でのSNS上への暴露ですから慎重にみる必要がありますが、「さもありなん」な内容ですので、ご参考まで紹介します
理解力も能力もあったWill Roper前調達担当空軍次官補やその関係者が政権交代と共にペンタゴンを去り、ますます動きにくくなったのでしょう・・・・。残念です
2日付米空軍協会web記事によれば
Chaillan氏の功績
●この「DevSecOps Initiative」はソフト作成を分割し、ソフトの定期的反復改善を推奨する方式で、従来の方式と比較して「Windows XT PCとWindows 10 PCほどの差がある」と言われている
●またソフト改革による戦力増強事例として、老朽機であるU-2偵察機に飛行中でも新ソフトを導入可能なシステムを導入し、大きな話題を呼んだ
そんなChaillan氏は辞任理由をSNS上で

●ITやサイバーの見識がない少佐や中佐クラスを、お決まりの人事ローテーションで日進月歩のITやサイバー分野に配置することを止めるべきだ。飛行訓練を受けていない士官をパイロットとして部隊配置しないだろう。この問題はそれほど大きな障害となっている
●米軍の指導層の、IT技術やIT関連投資への反応の無さや関心の無さは、私の辞任を早めることになった大きな理由の一つである。過去3年間に渡り必要な改革に向けた疲れる戦いを続けてきたが、ペンタゴン内のITチーム編成を変える力は私にはなかった。
●より悪いことに、国防省の規模が大きいことを言い訳に改革案を非難する者、、組織防衛のエゴや個人の栄達のため反対する者、国防でなく各軍種の利益を優先するものなど、投資の無駄を考えない者に多数遭遇することとなった

●国防省は約10万ものソフト開発を進めている地球上最大のソフト依存組織である。ただそこでは、10万のソフト開発が相互連携や協力がほとんど皆無な縦割り体制で行われており、無駄な重複が多数存在する。開発の多様性の利益を主張する者がいるが、ほとんどの場合、偏狭な組織防衛が背景にあるのが現状である
●私は、20年後の米国の子供たちが、世界で圧倒的な人口や開発力を有する中国に対抗するチャンスを失って茫然と立ちすくむ将来を恐れている。中国のハードワークな人口と対抗するには、より賢明で効率的で前向きな姿勢で機敏さと改革志向な態勢である必要があるのに。米国は時代に先んじリードする立場になければならないのに。後塵を拝することは許されないのに。
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Chaillan氏による怒りの投稿
「It is time to say Goodbye!」
→https://www.linkedin.com/pulse/time-say-goodbye-nicolas-m-chaillan/
Chaillan氏の華々しいご経歴
(急いでみないと消去されますよ)
→https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/1926281/nicolas-m-chaillan/
恐らくWill Roper前調達担当空軍次官補がChaillan氏を呼んできたんじゃないかと思いますが、米空軍や国防省が最優先課題としているJADC2の中心的担当者が辞任したということなのでしょう。
最近JADC2やABMS関連のニュースがないなぁ・・・と思っていたのですが、Chaillan氏の動きも背景にあったのかなぁ・・・と懸念しています。
米国防省クラウド事業がドロ沼
「将来戦の鍵クラウド事業出直し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-09
老朽機U-2をソフト改修で刷新試行
「U-2にAIセンサー操作員搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-17
全ドメイン指揮統制JADC2演習関連
「理解容易な2事業から開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-29
「国防副長官がAIDA開始発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-23
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
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「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
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イージスアショアは分散&機動展開可能型へ? [米国防省高官]
ポーランドでの2号機事業行き詰まりを受け
グアム配備に向けMDAが分散&機動展開型を模索か?
20日付Defense-Newsは、ポーランドで建設中のAegis Ashoreの2号機が、工事の複雑さからとん挫状態にあり、運用開始予定から3年経過しても完成見込みが立たない状況にあることや、固定式ミサイル防衛システムが持つ脆弱性問題を勘案し、グアム配備装備を「分散&機動展開可能型」にする検討がなされていると関係者の話から報じています
Aegis Ashoreの1号機は2016年からルーマニアのDeveseluで運用開始していますが、2018年に運用開始予定だったポーランドRedzikowo配備の2号機は、95%完成していると言われながら、構造の複雑さから地元建設業者では対応不可な部分があるようで、専門家が細部を吟味中ながら、早くても完成は2022年にずれ込む見込みとなっているようです
また、中国やロシアとの本格紛争を想定すれば、地上固定型ミサイル防衛施設が脆弱だとの議論も今頃になって持ち上がり、グアムへのミサイル防衛装備配備計画を煮詰めるタイミングとも重なり、現在のレーダー装置と指揮統制&ミサイル発射装置の2か所分散固定形態から、レーダー、発射機、指揮統制装置の分散配備&機動展開可能形態追求の話が持ち上がっているようです
Aegis Ashore施設の複雑さは、耐震構造やEMP効果対処構造と言ったところから生じているようで、日本のAegis Ashore計画が「ちゃぶ台返し」になった背景との関連も勘繰りたくなりますが、とりあえず記事をご紹介しておきます
20日付Defense-News記事によれば
●ミサイル防衛庁MDA長官のJon Hill海軍中将はSpace and Missile Defense Symposiumで、ポーランドで入札により工事を請け負った企業が、システムを支える代替の指揮統制、電源、暖冷房等に関する契約履行にに苦労しており、MDAの担当責任者が現地で状況確認を行っていると説明した
●同長官はまた、同担当責任者が現地から戻るまで、今後のポーランド事業の方向性について何も語れないが、稼働中のルーマニアと建設中のポーランドの案件からMDAは多くを学び、将来のAegis Ashoreを恒久的な施設として建設すべきか、短期的な仮設施設で将来の移動を想定した形態にすべきかを決める必要があると述べた
●更に同長官は、機動性を持たせれば、地震への耐久性やEMP攻撃対処性能をそれほど考える必要はなく、恒久施設の複雑性の課題を軽減できることから、移動可能な形態にAegis Ashoreを戻すことを提唱したいと述べた
●そしてAegis Ashoreは元々、米国で製造したものを現地に輸送して組み立てており、基本的にモジュラー構成になっているとしたが、一方で、Aegis Ashoreをどのように展開して構築するかは国防省の決定事項だとし、MDAの権限ではないと語った
●また同長官は、固定配備装備の脆弱性にも結び付け、Aegis Ashoreを現状よりも分散し、センサーとミサイル発射機と指揮統制装置を別々に分散配置することの有効性も主張した
●分散配備に関してはCSISのTom Karako研究員も以前から主張しており、中国やロシアと対峙することを考えれば、各パーツの分散や機動性確保、装備の欺瞞隠蔽はミサイル防衛装備の具備すべき基本要素だとしている
●またKarako氏は、2018年のNDSでも、2019年のMDRでも戦力分散の重要性を指摘しているが、航空&ミサイル防衛装備に関しては直接的な言及を避けていると問題点を指摘している
●いま話題のグアム島ミサイル防衛の検討は、分散及び機動展開性の追求度合いが試されると同研究員は見ている。なお、MDAはグアムのミサイル防衛計画を公表していないが、議会報告用の構想案をまとめ、2023年度予算案に盛り込む方向で、国防省内でMDA案の検討が行われている
//////////////////////////////////////////
中国やロシアによる弾道ミサイルや極超音速兵器の急速な開発・性能向上・配備を目の当たりにし、「ミサイル防衛」の有効性と費用対効果を、もう一度立ち止まって考える必要に迫られているのではないでしょうか。
これは米国防省やMDAだけの課題ではなく、日本にとってより深刻な課題です
以下の過去記事の、専門家による「日本への提言」もご参考にご覧ください
イージスアショアやPDI関連の記事
「太平洋軍司令官が追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03
「同司令官がグアムミサイル防衛要望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-23
「上下院軍事委員長が対中国抑止PDI推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-29
「イージスアショア撤退の日本に提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-28
「1年前の太平洋軍要望事項」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-29
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
グアム配備に向けMDAが分散&機動展開型を模索か?

Aegis Ashoreの1号機は2016年からルーマニアのDeveseluで運用開始していますが、2018年に運用開始予定だったポーランドRedzikowo配備の2号機は、95%完成していると言われながら、構造の複雑さから地元建設業者では対応不可な部分があるようで、専門家が細部を吟味中ながら、早くても完成は2022年にずれ込む見込みとなっているようです

Aegis Ashore施設の複雑さは、耐震構造やEMP効果対処構造と言ったところから生じているようで、日本のAegis Ashore計画が「ちゃぶ台返し」になった背景との関連も勘繰りたくなりますが、とりあえず記事をご紹介しておきます
20日付Defense-News記事によれば

●同長官はまた、同担当責任者が現地から戻るまで、今後のポーランド事業の方向性について何も語れないが、稼働中のルーマニアと建設中のポーランドの案件からMDAは多くを学び、将来のAegis Ashoreを恒久的な施設として建設すべきか、短期的な仮設施設で将来の移動を想定した形態にすべきかを決める必要があると述べた
●更に同長官は、機動性を持たせれば、地震への耐久性やEMP攻撃対処性能をそれほど考える必要はなく、恒久施設の複雑性の課題を軽減できることから、移動可能な形態にAegis Ashoreを戻すことを提唱したいと述べた
●そしてAegis Ashoreは元々、米国で製造したものを現地に輸送して組み立てており、基本的にモジュラー構成になっているとしたが、一方で、Aegis Ashoreをどのように展開して構築するかは国防省の決定事項だとし、MDAの権限ではないと語った

●分散配備に関してはCSISのTom Karako研究員も以前から主張しており、中国やロシアと対峙することを考えれば、各パーツの分散や機動性確保、装備の欺瞞隠蔽はミサイル防衛装備の具備すべき基本要素だとしている
●またKarako氏は、2018年のNDSでも、2019年のMDRでも戦力分散の重要性を指摘しているが、航空&ミサイル防衛装備に関しては直接的な言及を避けていると問題点を指摘している
●いま話題のグアム島ミサイル防衛の検討は、分散及び機動展開性の追求度合いが試されると同研究員は見ている。なお、MDAはグアムのミサイル防衛計画を公表していないが、議会報告用の構想案をまとめ、2023年度予算案に盛り込む方向で、国防省内でMDA案の検討が行われている
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これは米国防省やMDAだけの課題ではなく、日本にとってより深刻な課題です
以下の過去記事の、専門家による「日本への提言」もご参考にご覧ください
イージスアショアやPDI関連の記事
「太平洋軍司令官が追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03
「同司令官がグアムミサイル防衛要望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-23
「上下院軍事委員長が対中国抑止PDI推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-29
「イージスアショア撤退の日本に提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-28
「1年前の太平洋軍要望事項」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-29
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将来戦の鍵クラウド事業出直し:米国防省のJEDI [米国防省高官]
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国防省&米軍データの8割を管理する1兆円事業のドロ沼
Microsoftとアマゾンの法廷闘争で業者選定混迷
2025年までは2社とも採用方向で新事業として出直し
対中国の柱であるJADC2やAIDAやABMSを直撃中
7日付米各種報道は、米軍作戦活動を含む全データの8割を扱う国防省の一大クラウドサービス事業で、企業選定を2017年から開始していた1兆円強規模の「JEDI:Joint Enterprise Defense Infrastructure」に関し、マイクロソフトを選択した国防省決定に不服なアマゾンからの訴訟で事業がとん挫状態にあることから、両社合意の上で国防省がJEDIを白紙に戻し、新事業「JWCC:Joint Warfighter Cloud Capability」として再整理し、2社とも参画する方向で仕切りなおすと報じました
国防省は、形式的に2社の他にも参加を募り、条件を満たせば3社以上の協力体制で事業を進めるとしていますが、企業選定に2社以外で参戦していた「オラクル」や、他の新規企業が手を上げるかは微妙でなようです。
2019年10月の国防省決定で勝者になったはずのマクロソフトが、白紙撤回&仕切り直しに応じた背景には、下馬評ではアマゾン(Amazon Web Services)有利と言われていたのに、Jeff Bezos前アマゾンCEOと時のトランプ大統領が公開の場で口論するなど関係が悪化していたため、「政権による恣意的な選定への介入」が、公然と報じられていることがあるようです
ただ、2社体制(+αの可能性あり)の寝技決着であり、国防省も長くこのまま国防省クラウドを運用すれは批判を免れないことから、「非常に重要な事業であり、これ以上の遅れは受け入れがたい(実際その通り)」、「2025年には、以後の契約について完全オープンな態勢で企業選定する」と言い訳して、両社採用の折衷案で突き進むようです
7日更新C4ISRnet記事等から経緯の概要は
●2017年にJEDIの業者選定開始。1兆円事業を巡り、要求性能や選定の流れ説明の段階から、マイクロソフト、アマゾン、オラクルが激しいつばぜり合いで、選定手続きがしばしば中断延期
●2019年10月、国防省がマイクロソフト選択を発表も、即日アマゾンはトランプ大統領による介入で選定がゆがめられたと法廷闘争へ
●2020年、裁判所は国防省と勝者のマイクロソフトに、JEDI事業の停止を命令
●2021年初、裁判所はアマゾンの訴えを却下することはせず、長期にわたる法廷闘争になると明らかに
今後の新事業JWCCの進め方
●2021年10月、提案要求を2社に提示し、対応可能との返事があれば2社は採用へ。
●同時に、産業界にも問いかけ、条件を満たす企業があれば、2022年4月に参加企業を最終発表
米国防省発表で報道官は
●(2019年10月の決定から時間が経過し、)要求したJEDIのスペックが、もはや国防省のクラウド要求を満たさなくなったことから、能力を有すると判断した2社と仕切り直して代替案を追求する。
●仮に第3の企業が条件を満たせば、その企業にも参画してもらう可能性がある
マイクロソフトのToni Townes-Whitley社長は
●わが社は前進することに切り替えた。前線の兵士たちは、重要だが満たされていないニーズを抱えており、クラウドやAI技術を待ち望んでいる
●我々は、国防省が前進するためのサポートを何時でも行える体制で臨んでいく
アマゾン(AWS)報道官は決定を讃え
●我々は国防省の決断に同意する。不幸にも、以前の決定は外部からの影響力を受けたもので、正しい事実に基づかない決定であった。我々はこれから、最高の品質を最高の価格で提供することに、これまで以上に取り組んでいく
/////////////////////////////////////////////
真偽のほどはわかりませんが、「Trump interference」が諸悪の根源である可能性は否定できません。
ただ、残念ながら、米国の安全保障を支える根幹システムの選定にまで、税金をほとんど納めていないGAFAMの利権争いが影響を与えている側面もありましょう
ITとクラウドの話になると、腰が引けてしまうまんぐーすですが、ドロドロが透けて見える本事案にため息しか出ません。JADC2もABMSも何度も取り上げた重要事業で、AIDA(Artificial Intelligence and Data Accelerator)も始まったばかりなのに・・・
将来戦に向けた指揮統制改革:JADC2、AIDA、ABMS関連
「国防副長官がAIDA開始発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-23
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
米海軍と海兵隊は我が道なのか
「米海軍の戦術ネットワークProject Overmatch」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-15
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「陸軍と海兵隊F-35が情報共有演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-13
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国防省&米軍データの8割を管理する1兆円事業のドロ沼
Microsoftとアマゾンの法廷闘争で業者選定混迷
2025年までは2社とも採用方向で新事業として出直し
対中国の柱であるJADC2やAIDAやABMSを直撃中

国防省は、形式的に2社の他にも参加を募り、条件を満たせば3社以上の協力体制で事業を進めるとしていますが、企業選定に2社以外で参戦していた「オラクル」や、他の新規企業が手を上げるかは微妙でなようです。

ただ、2社体制(+αの可能性あり)の寝技決着であり、国防省も長くこのまま国防省クラウドを運用すれは批判を免れないことから、「非常に重要な事業であり、これ以上の遅れは受け入れがたい(実際その通り)」、「2025年には、以後の契約について完全オープンな態勢で企業選定する」と言い訳して、両社採用の折衷案で突き進むようです
7日更新C4ISRnet記事等から経緯の概要は

●2019年10月、国防省がマイクロソフト選択を発表も、即日アマゾンはトランプ大統領による介入で選定がゆがめられたと法廷闘争へ
●2020年、裁判所は国防省と勝者のマイクロソフトに、JEDI事業の停止を命令
●2021年初、裁判所はアマゾンの訴えを却下することはせず、長期にわたる法廷闘争になると明らかに
今後の新事業JWCCの進め方
●2021年10月、提案要求を2社に提示し、対応可能との返事があれば2社は採用へ。
●同時に、産業界にも問いかけ、条件を満たす企業があれば、2022年4月に参加企業を最終発表
米国防省発表で報道官は

●仮に第3の企業が条件を満たせば、その企業にも参画してもらう可能性がある
マイクロソフトのToni Townes-Whitley社長は
●わが社は前進することに切り替えた。前線の兵士たちは、重要だが満たされていないニーズを抱えており、クラウドやAI技術を待ち望んでいる
●我々は、国防省が前進するためのサポートを何時でも行える体制で臨んでいく
アマゾン(AWS)報道官は決定を讃え
●我々は国防省の決断に同意する。不幸にも、以前の決定は外部からの影響力を受けたもので、正しい事実に基づかない決定であった。我々はこれから、最高の品質を最高の価格で提供することに、これまで以上に取り組んでいく
/////////////////////////////////////////////

ただ、残念ながら、米国の安全保障を支える根幹システムの選定にまで、税金をほとんど納めていないGAFAMの利権争いが影響を与えている側面もありましょう
ITとクラウドの話になると、腰が引けてしまうまんぐーすですが、ドロドロが透けて見える本事案にため息しか出ません。JADC2もABMSも何度も取り上げた重要事業で、AIDA(Artificial Intelligence and Data Accelerator)も始まったばかりなのに・・・
将来戦に向けた指揮統制改革:JADC2、AIDA、ABMS関連
「国防副長官がAIDA開始発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-23
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
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米海軍と海兵隊は我が道なのか
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地域戦闘コマンドにJADC2を段階展開へ [米国防省高官]
国防副長官がAIDAイニシアチブを発表
各地に専門チームを派遣し、演習等を通じ煮詰める
具体的日程や細部については非公開も
6月22日、Kathleen Hicks国防副長官が国防省AI Symposiumで、人工知能AIやデータ融合により作戦運用&意思決定支援を狙うJADC2構想推進のため、各地域戦闘コマンドに施策促進チームを派遣し、各コマンドの演習や訓練を同構想の沿って支援し、その教訓を束ねて全米軍にフィードバックするAIDAイニシアチブ(Artificial Intelligence and Data Acceleration Initiative)を開始すると語りました
これまでJADC2(Joint All-Domain Command and Control)は、各軍種司令部が主導(陸は「Project Convergence」、海は「Project Overmatch、空は「ABMS」として)して各軍種内で取り組んできましたが、それを統合作戦組織である地域コマンドに展開する点で、ついに本丸に国防省自身が動き始めたということです
作戦運用の根幹や最新データ技術やAI技術に関わることですので、具体的な内容には触れていませんが、最近オースチン国防長官が国防省の「JADC2戦略(非公開)」を承認したようで、同戦略に沿って動き始めたということでしょう。
ただし、統合参謀本部でJADC2を担当するJ-6のDennis Crall中将は本件に関し別の場で、国防省としてJADC2実現のために「何が不足しているか」を精査するギャップ分析を開始したと語り、「全ての必要な技術要素を活用しても、我々が目指すJADC2を遂行するには、なすべきことが長いリストとなって残されている」と表現し、先行きが容易ではないことを示唆しています
22日付C4ISRnet記事によればHicks国防副長官は
●AIを活用したデータ重視のJADC2構想を迅速に前進させるため、各地域コマンドに専門チームを派遣し、大量のデータを融合し、その中から必要なものを各級指揮官から前線兵士にまで迅速に提供するネットワーク確立させるAIDAイニシアチブを推進する
●派遣された専門チームは、各地域コマンドにJADC2構想実現のひな型や実施要領を提供し、各コマンドが実施する演習や訓練を通じて、データ収集や収集データのAI分析を意思決定に有効活用できるようになるまで支援でし、そこでの教訓やノウハウを収集して国防省に持ち帰る
●国防省は各地域コマンドでのJADC2実施上の教訓やノウハウを集積し、特定コマンドの教訓を他コマンドにも生かせるよう情報共有を図る
●また、各コマンドのJADC2構想関連演習や訓練の状況をいち早く入手し、特定コマンドで検証できなかったJADC2構想の部分を他コマンドの演習や訓練で検証させるなど、全コマンドを巻き込む形でコンセプトの成熟に取り組む
●そして、究極的には、リアルタイムでセンサー等のデータ融合が可能で、そのデータに基づいて必要な指揮統制事項が自動的に提示され、更に情報システムに必要なISR指示提案ができるようなプラットフォームを生み出したい
//////////////////////////////////////////
事柄の性質上、AIDAイニシアチブの具体的な日程や中身は非公開とされているようですが、各軍種が進めている陸の「Project Convergence」、海の「Project Overmatch、空の「ABMS」との関係が気になります
また、J-6のDennis Crall中将が「なすべきことが長いリストとなって残されている」と発言している点に関し、文民サイドによる取り組みアピール先行に対する「チクリ」が含まれているような気がしないでもありません。
しばらく様子を見守りましょう。いつもですけど・・・
全ドメイン指揮統制連接実験演習:ABMS関連
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
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米海軍と海兵隊は我が道なのか
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実は米陸軍と空軍の2年計画は画期的だった
「米陸軍と空軍がJADC2コンセプト共同開発にゆるく合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-06
遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
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各地に専門チームを派遣し、演習等を通じ煮詰める
具体的日程や細部については非公開も

これまでJADC2(Joint All-Domain Command and Control)は、各軍種司令部が主導(陸は「Project Convergence」、海は「Project Overmatch、空は「ABMS」として)して各軍種内で取り組んできましたが、それを統合作戦組織である地域コマンドに展開する点で、ついに本丸に国防省自身が動き始めたということです

ただし、統合参謀本部でJADC2を担当するJ-6のDennis Crall中将は本件に関し別の場で、国防省としてJADC2実現のために「何が不足しているか」を精査するギャップ分析を開始したと語り、「全ての必要な技術要素を活用しても、我々が目指すJADC2を遂行するには、なすべきことが長いリストとなって残されている」と表現し、先行きが容易ではないことを示唆しています
22日付C4ISRnet記事によればHicks国防副長官は

●派遣された専門チームは、各地域コマンドにJADC2構想実現のひな型や実施要領を提供し、各コマンドが実施する演習や訓練を通じて、データ収集や収集データのAI分析を意思決定に有効活用できるようになるまで支援でし、そこでの教訓やノウハウを収集して国防省に持ち帰る

●また、各コマンドのJADC2構想関連演習や訓練の状況をいち早く入手し、特定コマンドで検証できなかったJADC2構想の部分を他コマンドの演習や訓練で検証させるなど、全コマンドを巻き込む形でコンセプトの成熟に取り組む
●そして、究極的には、リアルタイムでセンサー等のデータ融合が可能で、そのデータに基づいて必要な指揮統制事項が自動的に提示され、更に情報システムに必要なISR指示提案ができるようなプラットフォームを生み出したい
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海軍長官候補にキューバ移民の元イージス艦艦長 [米国防省高官]
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1歳でキューバから両親と共にNY移住し
海軍士官学校卒業後、22年間優秀な米海軍士官として勤務
退役後は海軍関連コンサル会社CEOとして実績
同企業が「2020 Small Business Success Story」賞受賞
ヒスパニックを代表する100名にも選出
StimsonセンターのBoardメンバーも
11日、バイデン政権が海軍長官候補として上記のような経歴を持ち、海軍でも実業界でも実績のある60歳のキューバ移民のCarlos Del Toro氏を推挙しました。上院下院共にこの指名を歓迎しており、早めれば6月中にも新海軍長官が誕生するかもしれません
海軍長官ポストは、オバマ政権間はRay Mabus氏が8年間連続で務めましたが、トランプ政権4年間では、艦艇事故や空母でのコロナ大発生事案等もあり交代が相次ぎ、議会承認を得た長官が2名と臨時長官3名激しく後退する状態が続いていました
最近の米海軍は、装備品開発では予算超過と開発期間超過、ついでに期待の性能発揮ができないケースが沿岸戦闘艦LCSやフォード級空母で連続し、部隊運用でも艦艇の衝突や火災事故が頻発、艦艇修理も補給処の根深い問題と予算不足で遅延が頻発、更にはシンガポール港湾業者による海軍士官へのワイロ事件などもあり、「何をやらしてもダメな米海軍」とのレッテルを議会や専門家から貼られる厳しい状況です。
ついでに言えば、米海軍人トップの選考でも、ダントツの本命で期待の星と言われた人物が、就任直前に不適切な業務処理で候補から外れ退役となり、予想外の人物が現在の海軍人トップを務めているなど、負の話題が山積み状態です
そんな中ですが、単にバイデン政権が好きな多様性を理由のヒスパニック系押しとの理由だけでなく、米海軍士官としても、実業界での仕事ぶりでも立派な方のようですので、以下でご紹介しておきます
11日付Defense-News等によればCarlos Del Toro氏は
●1961年キューバのハバナ生まれの60歳で、1歳の時にマンハッタンに両親とともに移住。
●1983年、海軍士官学校を電子工学の学位を取得して卒業し、水上艦艇担当士官のキャリアを開始。湾岸戦争に艦艇士官として参戦
●中佐として、当時最新のイージス艦(Bulkeley)艦長を命じられ、進水、艤装、運用試験・実用試験全てを指揮しつつ、任務就航を果たす。同時に同イージス艦は女性を初めて受け入れる艦艇に指定され、艦内の様々な課題を整理解決して最初の道を開く
●ペンタゴンでは国防長官室の事業評価分析部長補佐として、また米議会では予算管理部署の部長補佐として、更にホワイトハウスでは米海軍担当の法令戦略問題士官や研究員として勤務した経験を持つ
●米海軍で22年間勤務後、中佐を最後に退役し、艦艇建造や人工知能やサイバーや宇宙関連の事業提案やコンサルを行う「SBG Technology Solutions」を設立、その後17年間CEOや社長として経営の一線で活躍している
●海軍退役後の活躍はヒスパニック系のローモデルとして広く知られ、同企業が「2020 Small Business Success Story」賞受賞するほか、ヒスパニックを代表する100名にも選出されたり等、多くの役職を務めており、日本の安保関係者が多くお世話になっているStimsonセンターのBoardメンバーも務めている
●米海軍大学で国家安全保障修士号、ジョージタウン大学で法学修士、奥様とお子様4名、お孫さん1名
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陸軍長官には女性で国防省の政策担当次官経験者のChristine Wormuthが既に議会承認を得ており、空軍長官も元調達&技術開発担当国防次官であるFrank Kendallが上院の最終投票を待つばかりの段階にあります
バイデン新政権誕生から約6か月、これまで政治任用者の承認でゴタゴタした話は聞きませんので、円滑に承認手順が進んでも各軍種長官が決まるまでに半年かかるということです。民主主義も大変です
米海軍の課題&問題の一端
「3大近代化事業から1つを選べ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-09
「第1艦隊復活を検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-20
「F-35搭載用強襲揚陸艦火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15
「コロナで艦長と海軍長官更迭の空母」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-27
「空母や艦艇修理の3/4が遅延」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-22
「空母フォード責任者更迭」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-08
「NGADの検討進まず」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-17
「米海軍トップ確定者が急きょ辞退退役へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-09
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1歳でキューバから両親と共にNY移住し
海軍士官学校卒業後、22年間優秀な米海軍士官として勤務
退役後は海軍関連コンサル会社CEOとして実績
同企業が「2020 Small Business Success Story」賞受賞
ヒスパニックを代表する100名にも選出
StimsonセンターのBoardメンバーも

海軍長官ポストは、オバマ政権間はRay Mabus氏が8年間連続で務めましたが、トランプ政権4年間では、艦艇事故や空母でのコロナ大発生事案等もあり交代が相次ぎ、議会承認を得た長官が2名と臨時長官3名激しく後退する状態が続いていました

ついでに言えば、米海軍人トップの選考でも、ダントツの本命で期待の星と言われた人物が、就任直前に不適切な業務処理で候補から外れ退役となり、予想外の人物が現在の海軍人トップを務めているなど、負の話題が山積み状態です
そんな中ですが、単にバイデン政権が好きな多様性を理由のヒスパニック系押しとの理由だけでなく、米海軍士官としても、実業界での仕事ぶりでも立派な方のようですので、以下でご紹介しておきます
11日付Defense-News等によればCarlos Del Toro氏は

●1983年、海軍士官学校を電子工学の学位を取得して卒業し、水上艦艇担当士官のキャリアを開始。湾岸戦争に艦艇士官として参戦
●中佐として、当時最新のイージス艦(Bulkeley)艦長を命じられ、進水、艤装、運用試験・実用試験全てを指揮しつつ、任務就航を果たす。同時に同イージス艦は女性を初めて受け入れる艦艇に指定され、艦内の様々な課題を整理解決して最初の道を開く
●ペンタゴンでは国防長官室の事業評価分析部長補佐として、また米議会では予算管理部署の部長補佐として、更にホワイトハウスでは米海軍担当の法令戦略問題士官や研究員として勤務した経験を持つ

●海軍退役後の活躍はヒスパニック系のローモデルとして広く知られ、同企業が「2020 Small Business Success Story」賞受賞するほか、ヒスパニックを代表する100名にも選出されたり等、多くの役職を務めており、日本の安保関係者が多くお世話になっているStimsonセンターのBoardメンバーも務めている
●米海軍大学で国家安全保障修士号、ジョージタウン大学で法学修士、奥様とお子様4名、お孫さん1名
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バイデン新政権誕生から約6か月、これまで政治任用者の承認でゴタゴタした話は聞きませんので、円滑に承認手順が進んでも各軍種長官が決まるまでに半年かかるということです。民主主義も大変です
米海軍の課題&問題の一端
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