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嘉手納基地にユタ州からF-35追加ローテーション派遣 [米空軍]

【前座情報】
まんぐーすがチマチマと米軍嘉手納基地航空戦力の空白を指摘するので、米空軍が11月21日に、海空軍機33機を集めて戦力誇示Show Of Forceイベント「Elephant Walk」を実施しました

Kadena ElephantNov21.jpgKadena ElephantNov212.jpg米空軍の参加機
14 F-35s(米本土と三沢から)
10 F-15s(F-15C/DにE型含む)
Two HH-60G helicopters
One RC-135 Rivet Joint
One KC-135 tanker
One MQ-9 drone(鹿屋から)
One E-3 AWACS

米海軍の参加機
One P-8A Poseidon
Two E/A-18G Growlers
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【以下が本題のF-35ローテーション派遣機の追加】
昨年10月発表のF-15C/D段階撤退の穴埋め展開
アラスカから派遣中の別部隊のF-35に合流
展開機数は相変わらず非公表で、他の派遣機種も不明

F-35 Kadena Hill4.jpg11月20日、米空軍嘉手納基地の第18空軍が、昨年10月に段階的撤退開始を発表している48機のF-15C/D型の一時的ローテーション代替機として、ユタ州Hill空軍基地第4戦闘飛行隊所属のF-35戦闘機(機数非公開)が嘉手納基地に到着し、2023年3月から展開中のアラスカEielson空軍基地第356戦闘飛行隊F-35戦闘機(機数非公開)と合流したと発表しました

この戦闘機ローテーション派遣は、嘉手納基地に約40年間所在してきたF-15Cを「(2022年10月の空軍発表では)今後2年間で段階的に」米本土へ撤退&退役させるため、12月に第一弾として(写真から)推定8機のF-15を米本土に帰還させ、2023年10月時点報道では「少なくとも18機は嘉手納から撤退した模様」との状況を受けた対応です。

F-35 Kadena Hill3.jpgただ米空軍は、「ローテーション派遣は、米国政府がF-15Cの恒久後継機を決定し、完全運用態勢を確立するまで嘉手納基地で継続される。この派遣は、転換期にある戦略的に極めて緊要な位置にある基地で、戦闘機の空白が生じさせないためのものである」としつつも、「作戦運用と戦力配備に関わることであり、展開機数等については言及しない」との姿勢で、残置のF-15C/D機数とともに、派遣戦闘機機種や機数の全体像を秘匿しています

春には「F-22,35,16,15,15Eが勢ぞろい」と米空軍からアピールがあり、その後F-22とF-16の帰国発表があったものの、現時点で今年4月に展開してきたF-15Eや10月展開州空軍F-15Cの状況は報道ベースでも不明で、2つの米本土飛行隊からF-35が派遣されている事しかわかりません

まんぐーすの今後の予想は・・・
●(現時点で既にそうなっている可能性も高いが、)ローテーション派遣戦闘機の機種毎の派遣機数単位が、次第に最小単位の「2機」にまで縮小される
●最小単位での派遣がしばらく続いた後、忘れた頃にヒッソリと、「嘉手納F-15C/Dの後継機は配備しない。アジア太平洋地域に関わる有人無人の様々な戦力の総合力で代替する。Family of Systemでの対応だ」との説明ぶりに切り替えられる・・です

F-35 Kadena Hill2.jpgその心は、例えば2021年2月に当時の米空軍戦闘コマンド司令官(Mike Holmes大将)が米空軍主要幹部や軍需産業関係者を前に、「今の戦闘機の航続距離、搭載兵器、展開距離等は、欧州線域ではそのまま将来も通用するが、太平洋線域では距離の問題が克服できない」、「太平洋戦域では、次世代制空機(NGAD)検討において従来の戦闘機のような装備のニーズは必ずしも生まれない」と課題の本質を明確に述べたり、

関連ウォーゲームに何度も関与しているミッチェル研究所長のデプチューラ退役空軍中将が、嘉手納F-15C/D撤退開始発表時に「嘉手納は対中国有事の際、疑いなく数百の中国軍の精密誘導ミサイル攻撃を受けるので、嘉手納基地の航空機は危機が迫れば他基地に避難する可能性が高い」、「前方プレゼンス維持、同盟国への関与維持、ISR活動の必要性等から嘉手納を捨てることはないだろうが・・」と語っているように、

F-35 Kadena Hill.jpg軍事的合理性から考えて、嘉手納基地に戦闘機を配備しても「座して死を待つだけ」になるからです。

別の側面からの状況証拠として、グアム島への弾道&巡航ミサイル対処体制構築に米ミサイル防衛庁が全力対処している一方で、嘉手納基地や沖縄本島への追加防御投資がなされていない点もご紹介しておきます。

【ご参考:嘉手納F-15C/D撤退と代替機派遣の経緯
●2022年10月28日、約40年間展開してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表

●2022年11月4-5日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が嘉手納に展開
●2022年12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還

●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から16機のF-16が展開
●2023年3月28日、アラスカEielson基地第355戦闘飛行隊所属のF-35が展開
(この時点で、各機種の機数は不明ながらF-22やF-16も嘉手納に所在)

●2023年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開

●2023年10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開
●2023年11月20日、ユタ州Hill基地からF-35展開

嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「加州とルイジアナ州空軍F-15C到着」→https://holylandtokyo.com/2023/10/10/5113/
「F-15E展開、F-22とF-16が帰還」→https://holylandtokyo.com/2023/04/12/4511/
「空軍F-35が嘉手納基地に展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/

米空軍幹部やOB専門家の「極東で戦闘機無力発言」
「嘉手納からの米空軍F-15撤退を軍事的合理性から考える」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/  
「米軍F-35調達機数削減の予兆を指摘」→https://holylandtokyo.com/2023/07/18/4823/
「新空軍2トップはF-35調達数削減派」(米軍事メディア報道)→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/

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空軍長官が次期ICBM開発の苦悩&不安を語る [米空軍]

B-21と並び核抑止3本柱で失敗不可の開発案件も
老朽ミニットマンⅢ開発から半世紀でノウハウ散逸
「未知の未知」に次々遭遇:コスト増大懸念で決断に苦悩

Sentinel.jpg11月13日、Kendall空軍長官がシンクタンクCNACSで講演し、核抑止3本柱の2本を担う米空軍で、B-21爆撃機開発は10日に初飛行を終えてほぼ計画通りであるが、Minuteman IIIの後継ICBM開発(LGM-35A Sentinel開発)は、開発を進めるほど「未知の未知」に遭遇し、

前回のミニットマン開発から50年以上が経過して知見(各種設計図や製造ノウハウや技術者等)が失われ、450個のICBM格納サイロが広範な土地に分散配置されているなど、知れば知るほど「複雑で大きな課題」となっていると語り、不確かな部分が多数残され、コスト激増の恐れをはらんだ非常に決断が難しいプログラムになっていると苦悩を吐露しました

Kendall AFA5.jpgMinuteman IIIの後継ICBM(LGM-35A Sentinel)は、GBSD(Ground Based Strategic Deterrent)とも呼ばれてきましたが、この難しさやコスト問題から、戦略原潜後継検討を含めた「3本柱」後継開発検討時の約10年前から「ICBM廃止議論」がくすぶっていますが、2020年には米空軍がB-21開発と同じNorthrop Grumman社と契約し、2029年配備を目指してLGM-35A Sentinel開発を開始しています

ただ、米空軍ICBMは約400発が450個の地中サイロで運用されており、サイロは面積32000平方マイル(日本の中国四国地方を合わせた面積:イメージで縦横130㎞×640㎞)に分散配置されている状態で、多くの部品調達が不能になっているミニットマンミサイル後継開発だけでなく、同様に資料散逸のサイロと土地再開発調整、サイロと指揮所を結ぶ指揮統制システム開発&建設などなども含み、ざっくりと総額15兆円プロジェクトと言われてきましたが、

Sentinel2.jpg検討を進めれば進めるほど「未知の未知」が見つかり、米国防省での長年の勤務歴と剛腕で知られるKendall長官が、「Sentinel開発は、最も大きく複雑なプログラムで、恐らく米空軍が担った中である意味最も巨大なものであろう」と講演で表現しているほどです

例えば同空軍長官は、「開発を進め課題を理解するほど、より多くのコストが掛かることが判明し、その都度インパクトがどの程度になるか、計画の修正で対応可能かどうかをアセスメントしている状況だ」、「指揮統制装置もその一つで、幾つかの分野でコスト上昇は避けられない」と、「不確かさ」山盛りの状態に直面している様子を表現しています

Sentinel5.jpgもう一つ厄介な問題は、調達担当国防次官だったKendall氏が一端国防省の職から離れ、現職である空軍長官に就任するまでの間に、Northrop Grumman社とコンサルタント業務でかかわりがあったことから、米国の法律で、同社が絡む国防省プロジェクトの意思決定に距離を置くことが規定され、「剛腕」が十分発揮できない点です

2023年度予算案には、核抑止3本柱の近代化に34.4Bドル(5兆1000億円)が投入され、6.3Bドル(9500億円)をコロンビア級戦略原潜に、5Bドル(7500億円)をB-21ステルス爆撃機に、3.6Bドル(5400億円)を次期ICBM(GBSD)、4.8Bドル(7200億円)が核抑止指揮統制システムに投入されており、それぞれ各計画への支出は今後膨らみます

LGM-35A Sentinel概要紹介(約8分半)


米会計検査院GAOは6月発表のSentinel開発に関するレポートで、スタッフ不足・サプライチェーンの喪失混乱・ソフト開発の知見喪失等々を問題とし、少なくとも2029年完成は難しく、2030年中盤以降にずれ込むと指摘している模様です。戦略原潜・大型爆撃機・ICBMの「3本柱」を維持可能かどうかの議論は、必ず近い将来再燃すると思います

次期ICBM(GBSD)開発関連
「2023年予算案では」→https://holylandtokyo.com/2022/03/30/3066/
「次期ICBM中止なら爆撃機待機再開主張」→https://holylandtokyo.com/2021/04/23/114/
「米戦略軍司令官が延命論に怒り」→https://holylandtokyo.com/2021/01/21/303/
「提案要求書RFP発出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-18
「次期ICBM(GBSD)企業選定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27-1

米軍核兵器の惨状
「初のオーバーホール」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-15
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

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米空軍戦闘機が初めて民間機から空中給油受ける [米空軍]

「あくまで訓練への移動給油用」に民間給油機使用
空軍保有の空中給油機は実作戦で主に使用で住み分け
年初にE-3とRC-135に空軍として民間給油機初使用

Omega Air Refuel.jpg米空軍が11月9日、シンガポール空軍との共同演習(Commando Sling 23)のため、所属する韓国Osan基地からシンガポールへ移動する米空軍F-16戦闘機が、米空軍戦闘機として初めて民間空中給油会社のKDC-10給油機から11月6日に空中給油を受けたと発表し、空中給油中の写真を公開しました。

また同時に米空軍は、2023年年初の空軍戦闘コマンドACC演習の中で、E-3早期警戒管制機とRC-135電磁波情報収集機に対して、米空軍として初めて民間空中給油会社による空中給油を行ったと明らかにしました。

Omega Air Refuel2.jpgシンガポールへ移動する米空軍F-16に空中給油を行ったのは、バージニア州に拠点を置く「Omega Air Refueling社」との企業保有のKDC-10で、同社は既に2004年から給油事業を開始しており、米海軍とは2009年に契約締結済で、ネット上ではFA-18・E-2D・X-47(デモ開発された幻の空母艦載ステルス無人攻撃機)やオスプレイに給油する写真が確認できます

また「Omega社」は、米軍機以外にも豪州空軍やNATO諸国の軍用機に空中給油サービス実績のある企業だそうです。なおKDC-10との名称から推定すると、民航機DC-10を改良した給油機で、米空軍がまもなく退役させるKC-10と似た機体とその形状からも考えられます。

Omega Air Refuel4.jpg民間給油機による米空軍戦闘機への給油実施について太平洋空軍司令部のCurtis Holtman空輸任務担当中佐は、民間空中給油機で演習参加や訓練のために移動する空軍作戦機に空中給油することで、「空軍保有の空中給油機を、緊急事態対処など実際の作戦運用に投入したり、有事対処用に即応態勢待機につけるとの作戦コンセプトの実証(proof of concept)のため実施した」、「保有戦力の即応態勢を向上させる仕組みづくりの一貫である」と説明しています

Omega Air Refuel3.jpgなお同中佐は、シンガポール空軍との「Commando Sling 23」演習間に、米空軍F-15CとF-22にも民間給油機からの空中給油を計画していると明らかにしています。

また同中佐は、「Omega Air Refueling社」保有のKDC-10について、最大約25万ポンドの燃料を給油用に搭載でき、輸送機としても40名の乗客とパレット4個分の貨物を搭載可能で、最大搭載重量は10万ポンドだと(アピール)紹介しています
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以下の2019年12月の過去記事でご紹介しているように、同様から米空軍は同様の運用コンセプトで民間空中給油機の利用を検討しており、候補となる企業も「Omega社」以外に複数存在し、機首選定でKC-46のライバル機であったA330ベースの給油機を使用する企業も有料候補だったと報じられていたところです

Omega Air Refuel5.jpg不思議なのは、既に他軍種や同盟国への実績十分な空中給油企業が複数存在しながら、2023年に入るまで米空軍が民間給油機を使用しなかった点ですが、その辺りについてはまんぐーすは把握しておりません。KC-26の不具合対処がボーイングと米空軍間で揉めていた時期であり、コロナ感染期間でもあったことから、様々な大人の事情が重なったのが原因かもしれません。中国脅威を背景に、今後も民間会社利用を進めたい意向が、同中佐の発言に滲んでいますが。。。

2019年当時の検討状況
KC-46に機種選定で敗れたA330改修給油機活用も検討
多くの企業が空中給油サービスを提供中とか
「米空軍が空中給油民間委託を検討」→https://holylandtokyo.com/2019/12/16/2844/

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初飛行に成功!B-21ステルス爆撃機が90分間も [米空軍]

11月10日金曜日の早朝夜明け直後に
朝日の中を飛ぶ美しい映像や写真と共にご紹介!

B-21 FirstFlight70.jpg11月10日金曜日の早朝7時頃、日の出直後の静寂を破り、米空軍が約35年ぶりに開発中の大型ステルス爆撃機B-21が、カリフォルニア州のNorthrop Grumman社Palmdale工場内の米空軍施設を離陸し、F-16戦闘機のエスコート(チェイス)を受けつつ、同じ加州の新規開発装備品テストの「メッカ」であるEdwards空軍基地までの約90分間の初飛行を行いました

B-21 FirstFlightOr.jpgPalmdale工場とEdwards空軍基地の直線距離からすると、10分間程度の飛行で十分到達できるはずですが、一般の「航空交通ウォッチャー」運営のツイッター「Thenewarea51」が掲載の航跡図によると、飛行場への離着陸パターンを何回も繰り返したようなレーストラック航跡のほか、周辺空域を何回も旋回する様子が捉えられており、「単に離陸して浮き上がった」だけに留まらず、既にテスト飛行科目をいくつかこなしているように見受けられます

Palmdale工場離陸直後、高度500 feetでF-16がチェイス中
https://twitter.com/i/status/1722993343485866184

「RAIDR02」がB-21と推定されます
Edwards空軍基地で「touch and go」まで試験したかも!?
https://twitter.com/i/status/1723051680030134444 

民間人ウォッチャーSNS投稿を受け米空軍報道官は、
B-21 FirstFlight F16.jpg●B-21によるテスト飛行を実施した。B-21は無事着陸している
●この飛行テストは、米空軍試験センターと第412試験航空団内のB-21連合試験組織(Combined Test Force)により運営されており、米国や同盟国等への侵略や戦略的攻撃を抑止するために必要な、生存性を確保しつつ長距離飛行で敵防空網を突破可能な攻撃能力を獲得するための、一連の試験の極めて重要な第一歩である
(米空軍からは、公式な初飛行画像や映像の提供は無し)

Northrop Grumman社報道官は声明で、
B-21 FirstFlightFront.jpg●米空軍が確認発表したように、B-21爆撃機は試験飛行段階に入った。厳格に管理された飛行試験は、我が社と米空軍要員で構成されたB-21 Combined Test Forceにより実施され、今後デジタル設計技術の有効性を検証し、初期運用態勢IOC確立に向けた更なるステップに進むことになる

初飛行を報じる各種報道によれば
B-21 FirstFlightBelUP.jpg●2015年にNG社と米空軍が契約し、2016年に「B-21 Raider」との正式名称が決定された同爆撃機は、最初の部隊がサウスダコタ州のEllsworth空軍基地に編制されることになっている
●また同爆撃機の維持整備については、オクラホマ州のTinker空軍基地が担うことも明らかにされており、当初計画時からの「2020年代半ばに運用開始」に向けた各種試験や運用手順確立準備が今後行われる

B-21 FirstFlightWEPBy2.jpg●B-21は、昨年2022年12月に機体の初披露(限定角度からのお披露目)が行われ、2023年7月にpower on試験(機体に電源を投入しての試験)、9月には地上試験の一環としてengine runs(エンジン稼働試験)を開始、そして10月25日に地上滑走試験を開始したと発表があったばかり。
●2023年3月にKendall空軍長官が「2023年内に初飛行を行う」と語っていたが、米空軍報道官はあくまで「試験の進捗状況により決定する」との姿勢で、初飛行時期については一切言及していなかった

B-21 FirstFlightCAS.jpg●(機種選定時の2015年頃の要求値では、1機が$550 million(700億円)以内であったが、)現在の物価状況を加味すると、 1機が$700 million(1000億円)と見積もられている
●初飛行をとらえた民間人撮影映像からは、機体左側後方のエンジン排気部分上方から、長いケーブルが伸びている様子が確認できる。また離陸直後であるためか、高度500フィートでF-16のチェイスを受けつつ、車輪を出したまま飛行している
///////////////////////////////

B-21 FirstFlightSunRise.jpg一般的な米国人思考からすれば、「クリスマス休暇前に一山超えて、ゆったり気分で休みに入りたい」だったでしょうが、あっさりと「初飛行」を90分間も実施してしまいました。

「順調すぎて心配になる」典型的な血液型A型のまんぐーすですが、数少ない明るい話題を週明けにお届けできてうれしいです!!!

B-21関連記事
「Taxi Tests開始」→https://holylandtokyo.com/2023/10/30/5180/
「エンジン稼働試験開始&屋外写真」→https://holylandtokyo.com/2023/09/15/5041/
「最近power on試験実施」→https://holylandtokyo.com/2023/08/03/4911/
「豪州も購入検討した」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「B-21導入で米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「初披露のメディア扱い」→https://holylandtokyo.com/2022/12/14/4027/
「映像:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「10の視点で:NG社事前リリース」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/

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「死の天使」AC-130から105㎜砲取り外し検討 [米空軍]

約30機保有のAC-130のシンボルが除去検討対象に
本格紛争でのAC-130運用を米空軍が再検討中
小型巡航ミサイルやAESAレーダー搭載等を視野に

AC-130J.jpg11月7日付Defense-Newsが、匿名の空軍関係者など複数からの聞き取りを基に、米空軍特殊作戦軍(AFSOC)所属でベトナム戦争以降の不正規戦や対テロ戦で大活躍してきた約30機保有の地上攻撃機AC-130J(Ghostrider)から、同機のシンボル的存在である105㎜砲(105mm cannon)を取り除き、強固な敵防空網が予期される本格紛争対応を念頭に、小型巡航ミサイルやAESAレーダーやネットワーク機器等を搭載する検討が行われている様子を伝えています

公式には、米空軍は予算化して2025年までAC-130の「在り方」検討中で、105㎜砲の除去や機体改修は全く予算化されていないことから、早くても機体改修は2026年以降にしか実現しない状況ですが、匿名の空軍特殊作戦軍関係者はDefense-Newsの取材に「(105㎜砲除去は)ほとんど決定事項。既成事実として除去後の部内検討が行われている」と述べており、約30機全機が対象になるのかも含め不明ですが、同機が大きな転換点にあるのは間違いなさそうです

11月7日付Defense-News記事によれば
AC-130J3.jpg●ベトナム戦争から実戦投入され、最近ではイラクやアフガニスタンでの対テロ戦争で大活躍し、今でもシリアで不可欠な戦力となっているAC-130Jは、味方が航空優勢を確保した敵拠点上空に約3-4時間連続在空し、30㎜機関砲と105㎜砲の2つの主力兵器のほか、対戦車ミサイルや対地精密誘導兵器(AGM-176 Griffin, AGM-114 Hellfire, GBU-39 Small Diameter Bomb、GBU-69 Small Glide Munition)で地上部隊の活動を援護する近接航空支援任務に従事してきた
●米国が2022年NDSで対中国を中心とした大規模紛争対処に焦点を当てる中でも、引き続き中東やアフリカ地域において、AC-130Jの活躍の場はなくならないだろうと考える者も多い

AC-130J4.jpg●AC-130JはAC-130シリーズの4代目で、37機保有していた旧型AC-130(H型 Spectre, U型 Spooky、W型 Stinger II)の後継機として2016年から導入開始されたが、予算や空軍の戦い方の変化を受け、2022年に30機で調達を終了することが決定された。ただし、新型の105㎜砲開発と導入が、17機を対象として2022年1月に完了したばかりでもある
●匿名の関係者の話を総合すると、105㎜砲を除去した後に搭載を検討されているのは、弾種不明ながら敵脅威の少ない遠方から発射可能な小型巡航ミサイルと、敵地上部隊の動向を把握可能なAESAレーダー、更に今後の統合戦力として不可欠なネットワーク通信機器等も模様である

AC-130J2.jpg●ただし、AC-130は主力兵器の30㎜機関砲や105㎜砲を機体左側のみに配置し、左旋回を継続しながら敵地上戦力を連続監視して運用する特殊なバランスの機体構造となっており、重く、大きな容積を占める105㎜砲を除去すれば、機体の重心や強度バランスの根本的見直し改修が必要となることから、1機約230億円の機体の扱いは単純には決められない課題となっている
●過去には「レーザー兵器」搭載が検討され、2016年当時の特殊作戦軍司令官が「搭載試験用の特別クルーや機体を準備し、試験機材の受け入れ準備は万全だ」、「2020年には搭載完了し試験的な実戦投入も」とまで発言していたが、機体の振動でレーダービームの生成が困難で、十分な出力確保も容易でないことから、米空軍として航空機搭載レーザー兵器開発全体が「引き続き検討中」ながら、実質的には停止しているのが現実

AC-130Jの紹介YouTube映像(約14分半)

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米空軍は本検討を、特殊作戦軍司令官だったJim Slife空軍作戦部長を中心に進めていますが、Slife中将は次期空軍副参謀総長として議会承認待ちの状態で、引き続き本検討を空軍の真ん中から采配していく事になります。

AC-130H.jpgAC-130という特殊作戦機の話ですが、米空軍が直面している「将来の戦いをどう見積もり、どう空軍を変化させていくのか」に直結する課題の一つとしてご紹介しておきます。なおAC-130Jについては、約14分の少し長いですが分かり易い動画を添付しております。ご興味がある方はご覧ください

AC-130関連の記事
「AC-130用レーザー兵器が大きく遅延中」→https://holylandtokyo.com/2021/10/21/2332/
「20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
「映像交えAC-130を紹介」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06

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新たな米空軍トップが要望「既存方針&計画をやり通せ」 [米空軍]

過去3代の空軍参謀総長が練った指針や方針の実現目指す
「Follow Through:やりぬけ、行動に移せ」が合言葉
歴代トップの下で方針作成の実務家が具現化に挑む

Allvin13.jpg11月6日、2日に3か月半待たされてやっと第23代米空軍参謀総長就任の議会承認を得たDavid W. Allvin空軍大将(前副参謀総長)が、全ての米空軍勤務者に宛てた2ページのメッセージを発出し、過去3代の参謀総長が様々な検討や議論を経て定めた「21世紀の米空軍」を実現するための方針や指針やコンセプトを、「Follow Through:やりぬけ、行動に移せ、具現化せよ」との言葉を繰り返し用いて「実現」することを要望しました

Allvin14.jpgメッセージの中でAllvin新参謀総長は、脅威環境の変化や世界の技術革新が米軍に求める変化を「Speed, tempo, range, agility, flexibility, precise lethality, and resilience」だと端的に表現し、もちろん「将来の不確かさambiguity」はあるものの、変化要素は本質的に米空軍の得意分野であり、過去数年で米空軍が練ってきた方向性に沿って「Follow Through」し、現状から「Move Out:変化&前進」することが重要で、立ち止まって検討する時ではないと訴えています

そしてこの「Follow Through」こそが、2022年NDSが掲げた中国を中心とする本格的脅威や露イランNK等々の不安定要因に対応し、またイスラエル―ハマス戦争で顕在化した「地域紛争が様々な世界のアクターを巻き込んで大きな不安定要因となる」現実への対応力や抑止力を高める最善の道であると米空軍に向け訴えています

具体的に7つの「Follow Through」分野を揚げ、
Allvin12.jpg●空軍兵士や文民職員やその家族が望む相応しい変化を成し遂げ、彼らの忠誠や犠牲に値するものを提供する変革
「Operational Imperatives:任務遂行上不可欠な作戦能力要素」を実践可能な行動能力として実現獲得するため、各部隊が団結し、深い思慮の踏まえて効率的に取り組み

「Air Force Future Operating Concept:空軍将来作戦コンセプト」が意図する戦力投射を実現するため、前線展開部隊が迅速に有効な戦力発揮できるよう、各部隊が部隊間連携を含め、示された作戦行動パラダイムに適応
●現時点で未受領の将来装備や予期される新たな獲得能力や技能を織り込み、適切な部隊編成や規模等を適切に設計し実現

Allvin16.jpg●大国との本格紛争に最適化した組織部隊編成の導入。各種能力の「融合」が求められる。部隊指揮官によっては訓練、即応態勢維持、作戦遂行が焦点になり、支援能力や維持整備が焦点になる指揮官もあろうが、全員が紛争や抑止のため、訓練面、装備面、即応態勢面全てで配慮することを重視

●各兵士等のパフォーマンス最大化を目指した訓練面での変革。新技術導入による革新の効果を確認してきた一方で、兵士個々人の経験や技量や特性に応じた学習機会や、迅速かつ効率的なスキル付与手法にも着目
Allvin11.jpg●米空軍兵士が潜在的に持っている必ずしも明らかになっていない能力やスキルを、米空軍が抱える課題と結び付け解決に導く。空軍構成員が秘めている輝く部分を米空軍全体で活用可能な「エコシステム」の確立

---全般を通じ「Follow Through」実現のため、空軍内の規律や規範を維持しつつ、組織内のバリアを取り除き、組織の上下だけでなく横断的かつ全方向の連携で、組織の持つ潜在能力を最大発揮させたい
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抽象的な表現や形容詞が頻出する官僚組織文書ですが、ご覧の皆様には「行間を読んで」Allvin新米空軍参謀総長の課題をお察し頂けば・・・と存じます。

Allvin15.jpg特に「人材の確保や兵士個々の能力アップ」に関する事項が多く挙げられており、兵士の離職率が高まり、新戦力募集が厳しい中で、兵士や家族の勤務環境を整えるとともに、各兵士個々人の能力アップに向けた教育訓練の充実重視が目立っているように感じました

まんぐーすの注目点は以下です
●対中国の西太平洋で活躍の場がない(足の短い)F-35の調達予定機数をどのタイミングで削減するか
●高額(1機1000億円?)な次期制空機NGADと無人ウイングマンCCAをどのように取り込むのか
●主に対中国作戦念頭のACE構想具現化の限界(輸送力や展開場所確保)にどう対処するか
●B-21導入や次期ICBM(GBSD)やABMS開発導入のかじ取り

〇(米空軍に限らず米国防省全体として、)中国経済崩壊で中国軍まで崩壊した場合の「将来脅威」をどう設定するか

Allvin新米空軍参謀総長の関連
「やっと議会承認」→https://holylandtokyo.com/2023/11/06/5205/
「Allvin大将をご紹介」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/

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あと6年で無人ウイングマンCCAを実用化する試験準備 [米空軍]

単体新装備の試験でなく連携能力を試験するため
試験人員の養成からスタートと語る
運用可能なのか目途が立っているのか?

CCA NGAD2.jpg10月16日付米空軍協会web記事が、Kendall空軍長官が2030年までに(2020年代後半に)運用開始し、1000機から2000機の導入を想定と語っている無人ウイングマン機CCA(Collaborative Combat Aircraft)の性能確認や作戦運用試験を担当する「米空軍テストセンター」長の少将や担当部隊指揮官大佐にインタビューし、前例のない試験に臨む準備について紹介しています

CCAは、2024年度予算案の説明で空軍司令部作戦部長や計画部長が、3つの任務「shooters」「electronic warfare platforms」「sensor-carrying aircraft」遂行を期待する一方で、手頃な価格での迅速な導入を最優先にする観点から、米空軍側が要求性能を出し企業に提案させる流れとは異なり、手頃な価格範囲で企業側に何が出来ると問いかけて進める等、異例の方針を打ち出し「完成時期をどんどん前倒し中」のプロジェクトです。

CCA NGAD.jpgその背景には、対中国作戦を「煮詰めれば煮詰めるほど」、既存の航空アセットだけでは多量の敵目標に対処しきれず、また中国に強固に防御された空域での戦いで味方有人機に多くの損害が出るリスク認識が、今ごろになって急速に高まっている現実があるとまんぐーすは理解していますが、

CCAに関する最も大きな問題は、中国最前線にCCA発進基地を確保し展開させ、敵の基地攻撃を逃れて無事離陸させ、更に航続距離を確保(空中給油?)して任務を遂行させることが可能なのか?、有人機の展開拠点や維持整備体制確保も危うい中で、多量のCCAを作戦投入可能なのか?・・・にあるとまんぐーすはネチネチと申し上げてきた次第です。

Wigston.jpg本課題については更に、2022年7月にWigston英空軍参謀総長が「(CCAより遥かに小型の)無人機の群れ研究に手ごたえを感じている」と発表した際に、正直に「依然として、無人機の群れを攻撃対象となる敵防空網内に運搬&投入する能力開発は、現在も継続中」と認めており、小型無人機でも前線投入が困難な現実と併せ、再度ご紹介させていただきます。

「英空軍参謀総長:無人機の群れ前線投入が課題」
https://holylandtokyo.com/2022/07/28/3474/

そんな中ではありますが、今日の本題戻って、CCA受領後の米空軍試験担当である「米空軍テストセンター」幹部へのインタビュー記事から概要をご紹介します

CCA NGAD4.jpg●CCA受領後にどのような試験が求められるか、その試験はそのような組織編制で行うべきかについて検討を重ねているが、CCA受領後の試験には、前例のない様々な技術者や多方面の運用者の連携融合が求められることは間違いない。例えば、無人機運用を知る者、AIや自立化技術活用の専門家、またCCAが連携する戦闘機や作戦機運用の専門家との連携が不可欠だが、その融合が試験成功のカギとなる
●また試験を行う試験空域の運用法、各種制限、手順等も改めて見直しが必要で、CCA運用試験に関連する様々な部署と連携しつつ、同機体試験の具体的計画を検討している

XQ-58 Valkyrie.jpg●CCAに進む前段階として複数のプロジェクトが基礎研究として行われてきたが、各研究参加者はCCA試験の重要な人材であり、例えばSkyborg計画でXQ-58 Valkyrie開発に携わった関係者には、データベースインフラ構築面や戦闘機や作戦機部隊との連携試験での貢献を期待している
●またF-16改修無人機X-62Aを使用した空中戦闘機動や自立化無人機の戦術開発プロジェクト「VISTA:X-62A Variable In-flight Simulation Test Aircraft」関係者には、CCAの高度な自立運用能力試験への貢献を期待している

X-62A 2.jpg●更に、有人機と無人機のチーム運用検討に6機程度のF-16を活用して取り組んできた「VENOM project」(Viper Experimentation and Next-gen Operations Model)関係者には、センサーを活用した自立型航空機の更なる発展や、複数の航空機が関与する場面での試験状況確認面での貢献を期待している
●CCAは指揮統制改革面で、米空軍のABMSや統合レベルのJADC2におけるノード的な役割も期待されており、その方面での実戦的な環境での試験にも取り組む予定である
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XQ-58A 4.jpg記事の前半でも触れましたが、CCAを対中国作戦が行われる西太平洋地域の何処に展開し、どのように維持整備し、どのように作戦地域に投入するのか・・・との最もベーシックな疑問への回答が示されない限り、CCAが納入されても、性能確認や作戦運用確認試験の基礎計画さえ立案困難だと思うのですが・・・

16日付米空軍協会web記事は有能な「John A. Tirpak」編集長の筆によるものですが、有能な米軍事メディアの皆様には、是非この点を米空軍幹部に問いかけて頂きたいと思います。

無人ウイングマン機CCA関連
「AIアルゴリズム集大成試験」→https://holylandtokyo.com/2023/08/08/4922/
「2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「関連技術を23年から本格開発へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/

2024-25年に安価で小型の無人システムを海空中心に大量導入
Replicator構想を国防副長官がぶち上げも・・・
「同構想を慎重に補足説明」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
「同構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/

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米空軍横田基地部隊が緊急退避や被害対処訓練 [米空軍]

緊急離陸、誘導路離着陸、MQ-9移動支援
滑走路被害復旧、患者空輸、大量負傷者対処など
空自戦闘機の豪へのローテーション派遣検討の中

Beverly Morning3.jpg10月27日付米空軍協会web記事は、米空軍横田基地所属のC-130輸送機部隊(第374空輸航空団)が10月16日から実施した2024年度(10月から米国は次年度)最初の敵攻撃による被害対処演習「Beverly Morning 24-1」の様子を伝え、緊急離陸、不整地離着陸、MQ-9移動支援、滑走路被害復旧、患者空輸、大量負傷者対処など中国や北朝鮮からの攻撃を想定した取り組みを紹介しています

以前、沖縄の米空軍嘉手納基地での戦闘機等の緊急避難訓練や、米軍兵士家族を含めた沖縄緊急脱出の様子をお伝えしたことはありましたが、日本本土の東京近郊の米軍部隊が、本格的に敵攻撃を想定した緊急退避や被害普及や大量負傷者対処訓練を行っているが紹介されるのは、まんぐーすが知る限りでは初めてだと思いますので、日本国民や自衛隊関係者への注意喚起の意味を込めご紹介いたします

10月27日付米空軍協会web記事によれば
Beverly Morning4.jpg●「Beverly Morning」演習は、「敵からの圧力下でも、戦術航空輸送任務が遂行可能な様に準備するための演習である」(Andrew Roddan同輸送航空団司令官)

●演習で実施された主要な訓練
・緊急空中退避「Launch to Survive concept」の原則や手順確認訓練:
 敵からのミサイル攻撃警報が出たことを想定し、航空戦力を保全するため、事前に基地近傍所在を指示された兵士を中心として、部隊アセットや貴重品を基地外へ退避させる訓練。普段から緊急空中退避を想定して執っている準備態勢の検証も兼ね訓練
・・飛行場被害復旧
 敵攻撃による被害を修復して飛行場機能を継続維持する訓練

・通常滑走路でない「Foxtrot taxiway」使用の離発着訓練
Beverly Morning.jpg ACE構想の訓練も念頭に、通常滑走路被害時や施設不十分な飛行場展開を想定し、距離が短く、幅が狭く、標識表示灯が不十分な誘導路を使用した離発着訓練
・緊急患者空輸や大量被害者発生時対処訓練

・海自鹿屋基地拠点の米空軍MQ-9部隊の展開支援
 鹿屋基地所在のMQ-9部隊の沖縄嘉手納基地への移動支援(C-130輸送機派遣や貨物積み下ろし器材での支援)
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JASDF-Rote Dep.jpg在日米空軍の輸送機部隊が、敵攻撃に備えての避難訓練や被害発生時の対処訓練を行い、MQ-9の鹿屋から嘉手納へのISR強化展開支援訓練を行っているとの、「軍事的合理性」からすんなり理解できるニュースですが、同類のニュースとも考えられる、10月30日に朝日デジタルが配信した「空自戦闘機が豪州へのローテーション派遣検討」との記事もご紹介しておきます

●防衛省は、空自戦闘機を豪州空軍基地に一定期間派遣するローテーション展開の検討に入った。早ければ来年度にも段階的に開始の方針
●防衛省はローテ派遣の目的は訓練だとし、空自の戦闘機部隊が豪州の空軍基地に間借りする形を想定し、広い空域で効率的に共同訓練することが目的で、自衛隊の教育訓練を定めた防衛省設置法4条が法的根拠だと説明。

JASDF-Rote Dep3.jpg●派遣は年間数カ月程度を見込み、日本の防空に影響がない範囲でF35やF15、F2を数機程度ずつ派遣し、部隊を交代させつつ実施を想定。豪州展開先に空自機体が不在の間も整備員を残すことも検討。米軍は(兵士の負担軽減や展開先国民との摩擦回避のため、駐留形式でなくローテーション方式を)在日米軍基地を含む世界中の海外基地で繰り返している。

●自衛隊も、ソマリア沖海賊対処のため、海賊対処法に基づき、ジブチの拠点に陸自や海自部隊が展開しているが、海外での訓練を理由にしたケースはこれまでない。
●中国対処に、日豪は急速に安全保障協力を深めている。昨年1月には、共同訓練時の入国手続きを簡単にする「円滑化協定(RAA)」に署名。今月19日の日豪防衛相会談では、RAA活用の共同訓練活発化で一致した。このローテ展開も念頭と考えられる

(このローテ派遣&展開の狙いは様々でしょうが、空自の基地に配備していては、敵のミサイル攻撃で「座して死を待つ」「飛び上がれず戦力にならないまま戦い終了」を避けるため、豪州への退避も念頭にあるものと「軍事的合理性」の視点からまんぐーすは思います)

嘉手納基地からのF-15撤退を契機に
「極東の戦闘機は?軍事的合理性から考える」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「嘉手納で統合の航空機避難訓練」→https://holylandtokyo.com/2020/01/24/873/
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

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米空軍が新兵募集年齢上限を42歳に引き上げ [米空軍]

募集難受けこれまでの39歳から3歳引き上げ
米海軍の上限41歳を超え、空軍が最高齢許容へ

age limit2.jpg米空軍&宇宙軍の募集サービス局が、10月26日から新兵受け入れの年齢上限を従来の39歳から42歳に引き上げると発表し、同サービス局報道官が「42歳上限は米空軍と宇宙軍の正規兵(士官と下士官両方)募集に対して適用される」、「この変更は、より多くの米国人に米軍での勤務機会を提供するとの米国防省の大きな方針と合致するものである」と説明しました

また同報道官は「この募集年齢上限引き上げにより、現在の規定上の勤務年齢上限である62歳まで、20年間の勤務機会を提供するものである」とも表現しています。
なお、昨年11月には米海軍も募集年齢上限を引き上げ、39歳から41歳に引き上げていますが、米空軍の今回の引き上げは海軍の「41歳」を上回り「米軍内で最高」となりました

age limit5.jpg本件を報じる10月26日付Military.com記事は、米空軍の2023年度(2022年10月~23年9月まで)の新兵採用結果が公式に発表され、1999年以来24年ぶりに募集目標数を達成できず、未達成数は11%(目標26877名に対し、採用24100名で、不足2777名)にも上る深刻な結果となったことを受けた措置だろうと解説しています

2023年度の新兵募集の厳しさは米空軍だけでなく、米軍全体で非常に厳しい結果となっており、組織の規模から募集人数目標が小さい海兵隊と宇宙軍を除き、陸海空軍の全てが採用目標数を達成できませんでした

age limit6.jpg厳しい新兵募集の背景には、コロナ後の企業活動や社会活動活発化による社会全体での新人採用急増による人の奪い合い、更に、肥満、麻薬、身体&心理健康問題で対象人口の23%しか採用基準を満たせず、対象人口の1割未満しか米軍入隊に関心を持っていない対人接触をあまり好まない「Z世代」へのアピール不足等々が原因だと考えられています。

なお最近の調査では、米軍5軍を言える割合が5割以下との調査結果も出ており、かつて徴兵制を経験した世代が家族や社会に存在して軍経験の話を聞く機会が比較的得られた時代が終わり、軍の存在を身近に感じる機会が減少したことから生じる「忍び寄る社会と軍の遊離」がより深刻な課題だと言われています

age limit4.jpgただし、少なくとも米空軍に関しては、10月から始まった「2024年度」の新兵募集は回復傾向にあり、9月にKendall空軍長官も楽観的な見通しを示していましたが、26日に同報道官も「cautiously optimistic」との表現を用いつつ、「募集は回復傾向を見せており、空軍の目標レベルには達していないが、継続して応募が上昇傾向を示している」と語っています。

この2024年度の回復の背景には、「コロナ後」の社会全体での新規採用急増の落ち着きの他、米空軍が昨年から実施した募集条件の様々な緩和や優遇提供(肥満率や体脂肪率不合格者への一時的猶予、手や首への入れ墨許容範囲拡大、入隊学力試験への電卓持ち込み許容、マリファナ検査陽性者への再受験機会提供、合法移民への帰化手続き迅速化優遇提供、大学学費ローン返済支援)や、募集担当者への成果ボーナスや表彰制度充実などがあると言われています
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age limit Japan.jpg米空軍が昨年から実施している募集条件の様々な緩和や優遇提供が空軍に与える「負の影響」については様々な意見があり、米議会にも共和党を中心に根強い反対派が存在しますが、他に代替案が見つからず米軍全体で同様の方向に進んでいます

ちなみに我が自衛隊では、2018年に従来の「27歳未満」から「33歳未満」に引き上げています(令和5年夏発表の防衛白書P440より)。実際に米軍がどのような職種に30代後半や40代の人間を採用するのか興味深いところですが、サイバーや研究開発等の「特定分野の専門家の中途採用」が狙いではないかと推測します

age limit3.jpgなお米軍では、各階級に昇任できる人数上限が予算で定められ、各階級毎の上限年齢で上の階級に昇任できなければ継続勤務の道は閉ざされ退職しなければならず、上記の「勤務年齢上限である62歳」は軍人最高位の大将に昇任できたものの中でも一部にしか適用されないことにご留意ください

新兵募集難&離職者増への対応
「米空軍が24年ぶりに募集目標10%未達へ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/25/5035/
「新兵入隊学力試験に電卓持ち込み可へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/29/4976/
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/

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B-21が地上滑走テスト開始 [米空軍]

SNS上での噂を米空軍報道官が公式認定
「2023年内の初飛行(非公開)」に向け順調か!?

B-21 Raider1.jpeg10月25日、SNS上での監視グループや米軍事メディアの「噂」報道(細部は確認できないが、B-21らしき機体が過去2日間Northrop Grumman工場付近で動いている)を受け、「2023年内に初飛行を行う」とKendall空軍長官が言及しているB-21新型ステルス爆撃機がtaxi tests(地上滑走試験)を開始したと米空軍報道官が認めました。同日付米空軍協会web記事がその概要を報じています

B-21は、昨年2022年12月に機体の初披露(限定角度からのお披露目)が行われ、2023年7月にpower on試験(機体に電源を投入しての試験)、9月には地上試験の一環としてengine runs(エンジン稼働試験)を開始したと発表されており、

B-21 Raider3.jpg先輩ステルス爆撃機B-2が1988年の初披露から8か月後に初飛行を実施した例よりは少しゆったりですが、Kendall空軍長官が3月に語った「2023年内に初飛行を行う」予定に変更はないようです(あくまでも空軍関係者は初飛行は、試験の進捗状況により決定するとの姿勢ですが・・・)

地上滑走試験の開始は静止状態でのエンジン駆動試験が順調に進んだことを示し、今後の地上滑走試験では、まず低速での地上移動が円滑に実施できるかが確認され、次第に速度を上げて離陸速度までの地上移動に問題ないかを確認しますが、

YF-16.jpgB-21の様な翼と機体が一体となったflying wing形状機体では、速度を上げた地上滑走試験段階で計画外の「意図していない離陸」が起こらないよう注意が必要な様で、1974年1月にflying wing形状ではないものの研究用開発機体YF-16が高速滑走試験の途中で離陸してしまった例が教訓とされているようです

Northrop Grumman社は機体成熟度に自信を示し、
●同社航空部門担当社長は9月に、試験実施中の機体が本格生産型機体と同様なレベルに成熟したものであることを強調し、「初飛行を行う機体には各種データ収集用の計測器材が搭載されているが、試験終了後は試験用計測機材を取り外して部隊配備用機体として納入することが契約で規定されており、決して試験用や初飛行用だけを目的に開発技術者の手で特別に組み立てられた機体ではない」、
Warden4.jpg●「(初飛行準備を行っている機体は、)本格生産のための製造ラインと製造工具を用い、本格生産を担う現場作業員の手により、本格量産モデルと同様のミッションシステムを搭載し、ステルス塗装を施した、全ての面で本格量産機体と言える機体である」と米空軍協会総会で自信を持って説明

●また開発コストに関してもKathy Warden同社CEOが8月の四半期決算報告会見で、「B-21の初期低レート生産を含む契約は固定価格契約となっており、昨今の物価高騰を受け当面は我が社に利益が発生しない状況になっているが、国防省や米空軍に配慮いただき、約85億円のインフレ対処費を円滑な飛行試験に向け頂けることとなった」と優等生ぶりをアピール
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KC-46 RVS3.jpg「順調すぎて逆に心配になる」B-21開発で、心配性のまんぐーすは、同様に順風満帆だったKC-46A空中給油機開発が最終段階で悪夢(4年以上の遅れ)が見舞われた過去(今も未解決)が頭をよぎるのですが、ここは静かに「非公開で実施される初飛行」を待つことといたしましょう

どうでも良いのですが、前出のNorthrop Grumman社航空部門担当責任者は「Tom Jones」とのお名前で、1970年代を中心に活躍し、タモリがライブのDVDを持っているなど日本でも人気がある歌手(83歳)と同名ですが、代表曲の一つ「思い出のグリーン・グラス- Green, Green Grass Of Home (1966年)」のような、穏やかな気持ちにさせてくれる順調なB-21開発であることを心から祈っております

歌手Tom Jonesの「Green, Green Grass Of Home」


B-21関連記事
「エンジン稼働試験開始&屋外写真」→https://holylandtokyo.com/2023/09/15/5041/ 
「最近power on試験実施」→https://holylandtokyo.com/2023/08/03/4911/
「豪州も購入検討した」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「B-21導入で米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「初披露のメディア扱い」→https://holylandtokyo.com/2022/12/14/4027/
「映像:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「10の視点でご紹介:NG社事前リリース」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/

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5月の巨大台風で一等兵3名がグアム基地通信死守 [米空軍]

米空軍協会総会に招待され全米軍の賞賛浴びる
丸3日530リットルの漏水からハイテク通信機材守る
そんなに「柔な」施設だったの?との突っ込みは置いておき

Guam Mawar.jpg10月13日付米空軍協会web記事が、5月24日から26日にかけ、グアム島を米国基準5段階で2番目に大きい「Category 4 hurricane」状態で直撃し、気圧900HP・風速70m・降水量650㎜の暴風雨で同島やアンダーセン米空軍基地等に甚大な被害を与えた台風「Mawar」の中、アンダーセン基地通信の中核施設である「Mawar」を、上等兵3名が72時間にわたり漏水や浸水等から死守して賞賛されている様子を紹介しています

「data center」は、同基地内と島内関係施設、アジア太平洋軍担当エリアの各拠点、更に米本土国防省中枢や米国の気象庁に相当するNOAA等との通信を担う緊要な施設であり、「巨大台風の直撃とは言え、そんな重要な施設が簡単に台風の影響を受ける施設だったのか?」との素朴な疑問が一番に浮かびますが、とりあえずは上等兵3名の72時間にわたる格闘をご紹介しておきます

Guam Mawar9.jpg●ともに上等兵(Airman 1st Class)のReynold Boateng MirekuとUzziel ToroとNhat Kは、前日5月24日から接近していた台風「Mawar」が25日午前2時ごろに最接近時、暴風雨により基地「data center」の屋根の一部がはがれ雨漏りが始まり、雷鳴が鳴り響く中、各種通信やインターネットを支える電子機器やケーブルが「冷却され」「ぬれずに乾燥状態を保ち」「電源が落ちないように」懸命に取り組んでいた
●3名が担当箇所を決め土嚢やガムテープ等でドア等からの浸水防止対策を行い、屋根が損害を受けた箇所からの雨漏り水には、バケツやモップや最後は着用していたシャツまで用いて排水に努めた、その量は台風通過の26日までにドラム缶3杯分の530リットルにも達した

Guam Mawar2.jpg●予期せぬ出来事として、台風による強風に火災報知器が反応して警報ベルが鳴り続けたが、火災が発生していないことを確認後、意思疎通維持や耳の鼓膜保護の観点から警報スイッチをオフにし、30分毎に皆で施設内の火災チェックを行うことで警報装置の代替を行うこととした
●「data center」を死守するとの使命感が生み出したアドレナリンにより、3名は最初の48時間は一睡もせずに精密機器の状態をモニターし、排水に汗を流した。その後は交代で数時間の睡眠をとり、計72時間に及ぶ台風との戦いに勝利した

3名は9月に開催された米空軍幹部が勢ぞろいする米空軍協会の航空宇宙サーバー会議に招待され、JoAnne Bass米空軍最先任軍曹(アジア系女性)から会場でその奮闘ぶりを紹介され万雷の拍手を浴びたとのことですが、その一人であるMireku上等兵は当時を振り返り、「我々が学んだのはチームワークの重要性です」と語ったとのことです

13日付同web記事によると被害復旧状況は
Guam Mawar8.jpg●民航機用のグアム国際空港が1週間余り閉鎖された中、アンダーセン基地は台風の影響が収まった26日中には滑走路を使用可能な状態に普及させ、支援物資や人員の空輸機受け入れを可能にした。また基地内に甚大な被害が出た中でも、島内一般市民向けに水や食料等を数十万食分米軍兵士の手によって配分している
●台風通過から5が月経過し、アンダーセン基地内は電気も水も問題なく供給されているが、グアム島内全体では依然として一時的な停電や断水が断続的に発生しており、生活インフラで500か所が被害を受け、依然100か所以上で大規模修理が必要な状態が続いている

同基地の普及には約5500億円が必要との試算が提出されているが、国防省の「気候変動対処戦略:Climate Campaign Plan」の方針に沿い、単なる被害復旧だけでなく、将来の同種災害に備えたより強靭な基地づくりの方向性を具体的に検討している最中である。案の中には基地建物のドアや屋根の暴風雨対処能力の強化や電源ケーブルの地下化等々が出ているが、予算枠の話もあり、すんなりと全てが採用されるかは未知数である
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Guam Mawar6.jpg記事はアンダーセン基地や米海軍基地の被害状況について一切具体的に触れていませんが、基地内の運用態勢を表面上問題ないようにとりあえず整えたとしても、島内の生活インフラに甚大な被害が多数残っている段階では、例えばMDAが最優先課題として取り組む「2026年までにミサイル防衛体制整備」等にも大きな負の影響が出ていると認識すべきでしょう

そういえば、グアム島に爆撃機部隊が展開したとか、グアム島で大規模演習が行われたとの話を最近聞きませんねぇ・・・。そういえば米韓同盟70周年を記念する大規模なエアショーが10月17日から22日にソウル空軍基地で行われ、史上初めてB-52が韓国に「着陸」するほか、F-22, F-16, A-10, U-2, E-3, C-17, C-5, KC-135が地上展示されるとか、グアム島やアンダーセン基地は大丈夫なのでしょうか?

5月巨大台風「Mawar」がグアム直撃
「巨大台風でグアム米空軍基地に被害」→https://holylandtokyo.com/2023/05/29/4688/
米空軍の最先任軍曹はアジア系女性
「米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holylandtokyo.com/2020/06/22/628/

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60歳B-52のエンジン換装に並行しデジタル計器盤へ [米空軍]

3種類の試作デジタル計器盤を比較テスト中
エンジン&レーダー&通信ナビ換装に併せて検討
大規模改修を76機全てに対し2030年までに

B-52 digital gauges2.jpg10月10日付米空軍協会web記事が、平均機体年齢61歳となるB-52H爆撃機のエンジン換装を中心とした大規模近代化改修(B-52J、更にB-52Kへの改修改名)について取り上げ、主要な改修であるエンジンとレーダーと通信&ナビ装備の更新の陰に隠れて目立たない、デジタル計器盤の導入に先立つ試作品3種類の視認性チェックが行われている様子を紹介しています。

過去数年間にわたる激論を経て、2024年度予算で実施がようやく決断されたB-52H爆撃機76機の大規模近代化改修は、現在のT-33エンジンを、民航機用のロールスロイス製BR725エンジンをベースにしたF130エンジンに換装し、機体寿命のある2050年までオーバーホール修理不要かつ燃費3割アップをめざす改修を中心としたもので、

B-52 CERP3.jpgその他に、部品メーカー撤退で2030年には修理不能になるAPG-166レーダーを、FA-18搭載レーダーAPG-79派生型AESAレーダーに換装し、探知追尾、地上地図作成、電子戦能力に加え、維持整備負担を大幅に改善する計画を含んでいます。更に通信や航法器材の更新に加え、アナログ操縦席をデジタル表示に一変する「グラスコックピット化」も組み込まれた、総額約4500億円のプロジェクトとなっています

そんな中の試作デジタル計器盤のチェックを同記事は
●B-52の操縦席計器盤は、人間が使いやすい機材システムを追求する「human systems integration」の発想が全くなかった1940年代に設計されたもので、狭いコックピット内に、どのように計器類を詰め込むかを中心に設計されたもので、例えば8台のエンジンそれぞれの温度・回転数・油圧・燃料使用量等を表示する計器が30個以上並び、機長と副操縦種の席で計器配置が異なるなど、厄介な代物である
B-52 cockpit.jpg●デジタル計器盤の3種類の試作品が加州エドワーズ空軍基地のテストパイロットや機上エンジニアに提供され、より容易に効率的に機体状況を把握し、より任務遂行に頭脳を使えるようにするには、どの試作品のどの部分が最適か、また好ましくない表示手法が使われていないか等を評価している

●夜間の着陸や厳しい脅威環境での飛行時には、計器類を瞬時にクロスチェックして機体状況を把握する必要があるが、この計器盤デザインや表示要領設定により、読み取り時間を0.25~0.5秒短縮することの積み重ねが、任務全体に大きな影響を与えることをテストパイロットたちは身にしみて感じており、評価にも力が入っている
B-52 digital gauges.jpg●「グラスコックピット化」により、搭乗員の判断を助ける例えば理想的な数値を現状数値に重ねて追加表示したり、表示の色を変えて視認性をよくする効果が得られるが、一方でシステムが推奨する数値を鵜吞みにして過度に依存し、誤った計器示唆に従ってしまう「自動化バイアスautomation bias」や、様々なアラーム表示に慣れて真の危険察知が遅れる「アラーム疲れalarm fatigue」とのデジタル化特有の問題もあり、評価チームは細心の注意を払っている

●試作品評価チームはこれらの課題に関し、軍用エンジンは自動化に依存することが極めて少なく、民航機が時に利用する「自動スロットル」を導入していない点や、既に商用エンジンに組み込まれていたいくつかの表示アルゴリズムを、軍用機には不要だと削除したこと等、「自動化バイアス」や「アラーム疲れ」への対応に抜かりが無いことを強調している
B-52 CERP.jpg●またエンジン製造企業や機体改修担当のボーイング技術者と緊密に連携を図り、様々な新規搭載システムの状況把握と操縦上に必要な表示の在り方を日々議論しながら、3つの試作品の良い点を抽出して最善の操縦席をレイアウトしたいと評価チームは意気込んでい
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ウクライナや台湾海峡だけでなく、地中海東岸のイスラエルにも火の手が上がる厳しい国際情勢となっていますが、そんな中でも、老朽化機体の若返りに地道な努力を続ける現場の様子を取り上げることで、「元気の源」にしていただきたいと思い取り上げました

B-52.jpgそれにしても・・・、あれだけ周到に準備された大規模かつ多様な作戦で構成されたハマスによる奇襲攻撃が、こともあろうに「ヨムキプール」に行われるとは・・・。

「イスラエル情報機関は何をしていた?」、「ハマスは奇襲作戦の落としどころを考えているのか?」、「アブラハム合意を発端とするイスラエルと湾岸アラブ諸国との雪解けの流れはどうなるの?」等々、次から次へと素朴な疑問が湧いてきて、頭がくらくらしております

B-52関連の記事
「インドネシアにも2機展開」→https://holylandtokyo.com/2023/06/23/4785/
「極超音速兵器ARRW導入を断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「B-21導入による米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「重力投下核爆弾の任務除外」→https://holylandtokyo.com/2020/01/29/877/

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嘉手納F-15Cの一時代替に州空軍F-15C到着 [米空軍]

今年9月までに完全撤退との報道もあったが現状は謎
春にはF-22,35,16,15が勢ぞろいしたことも
所属F-15Cが何機残で、どの機種が何機派遣中かも不明

F-15C 159th.jpg10月4日付米空軍協会web記事は、2022年10月に機体の老朽化を理由に米空軍嘉手納基地から撤退&退役を発表した48機のF-15C型戦闘機の「暫定的なローテーション穴埋め展開」のために、加州とルイジアナ州の州空軍F-15C型戦闘機が10月3日に嘉手納基地に展開したと報じ、関連の米空軍部隊の声明等を紹介しています

この戦闘機ローテーション派遣は、2022年10月28日に突然米空軍が、嘉手納基地に約40年間所在してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表し、12月に第一弾として8機のF-15が米本土に帰還したことを受けた対応で、

F-15C 144th3.jpg2023年3月末までに、昨年11月からアラスカ所属のF-22、今年1月からドイツ米空軍所属F-16、3月末からアラスカ所属F-35が派遣、4月上旬からF-15Eが派遣されていますが、各機種の展開機数や撤収時期は良くわからず、今回州空軍F-15Cが展開した時点での嘉手納派遣機種や機数がどのような構成になっているのかは全く情報がありません

また今年3月末にF-35が初展開した際に、米太平洋空軍報道官は「4月以降にF-15の第2弾撤退が行われる」、「F-15帰還は、戦闘機プレゼンスに空白ギャップが生じないよう、十分な展開戦力が確保された後に行う」と述べていましたが、4日付記事は「嘉手納所属F-35Cは、48機のうち、少なくとも18機は嘉手納から撤退したようだ」と記述していますが、「第2弾撤退」がいつ行われたのか、まんぐーすは把握していません

F-15C 144th.jpg今回のF-15C展開に際しても太平洋空軍報道官は、「戦闘機のローテーション派遣は、米国政府によって撤退するF-15Cの後継機が決定され、完全運用態勢を確立するまで嘉手納基地で継続される。このローテーション派遣は、戦力の転換期にある戦略的に極めて緊要な位置にある基地で、「戦闘機の空白」が生じないようするためのものである」との声明を出していますが、

引き続き「作戦運用と戦力配備に関わることであり、展開機数等については言及しない」との米空軍の姿勢は一貫しており、米空軍と宇宙軍応援団である米空軍協会も、一時は「(2022年11月から2年間かけて段階的撤退との発表とは異なり、)2023年9月には撤退完了するのでは」と報じるなど、何がどうなるのかサッパリ見えない状態が続いています。

F-15C 144th2.jpg「へそ曲がり」なまんぐーすは、米ミサイル防衛庁MDAが最優先課題として取り組むグアム島とは対照的に、嘉手納基地の防空体制強化に全く新たな投資が無い状況や、嘉手納基地配備の戦闘機後継機の話題に米空軍幹部も軍事記者も全く言及しない状態から、

今年3月末のように複数の戦闘機機種が偶然重なって展開した際は多いに「戦闘機の空白は生じさせない!」姿勢をアピールしつつも、「作戦運用上の秘密」を理由に派遣戦闘機の機数を段階的に削減し、いつの間にか派遣機数を最低単位の「2機」にまで削減し、ある日コッソリと「嘉手納配備戦闘機の代替は、アジア太平洋地域に関わる有人無人の様々な戦力の総合力で代替する。Family of Systemでの対応だ」との説明ぶりに切り替えるのでは・・・と邪推しています

F-15C 159th2.jpg既に、F-35とF-15Eは「最低単位の2機ではないか?」とまんぐーすは邪推しています。断片的な写真からも・・・

なお、加州州空軍から今回展開のF-15Cは、元嘉手納所属のF-15Cだそうです・・・

F-15C撤退&退役と代替機ローテーション派遣の経緯
●2022年10月28日、約40年間展開してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表
●2022年11月4-5日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が嘉手納に展開
●2022年12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還

●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から16機のF-16が展開
●2023年3月28日、アラスカEielson基地第355戦闘飛行隊所属のF-35が展開
(この時点で、各機種の機数は不明ながらF-22やF-16も嘉手納に所在)

●同年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開

●2023年10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開

嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「F-15E展開、F-22とF-16が帰還」→https://holylandtokyo.com/2023/04/12/4511/
「空軍F-35が嘉手納基地に展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/

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湾岸戦争で活躍のJSTARS E-8Cが引退へ [米空軍]

最後の2機が11月末には完全引退へ
これも後継機なく多様なセンサーネットワークで対応
旅客機B707ベースの地上移動目標探知追尾機

E-8C Desert storm3.jpg10月2日付Defense-Newsが、残り2機となったJSTARS E-8Cが、ラストフライトなど最後の時を迎えつつある様子を伝えています。なおE-8C後継機計画は2019年に断念され、先日ご紹介した特殊情報収集機RC,WC-135シリーズと同様に、同アセットの脆弱性や維持整備費の削減等を理由に、衛星や地上センサーや多様なアセット情報のネットワーク融合情報で対応する方針となっています

E-8Cは胴体腹部に搭載した全長の長いセンサーで広範囲の地上移動目標を継続追尾し、その動きをリアルタイムで他の航空戦力や地上部隊と共有して、敵地上部隊の阻止や友軍相撃防止に活躍しました。

Desert storm.jpg同機の実戦デビューは衝撃的で、まだ機材の試験段階だった1991年に湾岸戦争に投入され、クウェートから砂漠の中を撤退するサダムフセインのイラク地上部隊の敗走状況をリアルタイムで把握&伝達し、米軍を中心とした多国籍軍戦闘爆撃機が攻撃したイラク地上部隊は、道路上に延々と列をなす破壊された残骸へと変わり果てました

その後も様々な場面で投入され、2014年や2022年にウクライナ国境付近を移動し終結するロシア軍の動向や、軍事以外でも麻薬組織の密輸行動対処にも力を発揮しました。また、2001年から18年間にわたり中東域に連続展開を行い、2019年に撤退するまで対テロ戦争の最前線で活躍しています

E-8C Desert storm.jpg16機製造されたE-8Cは2022年2月から退役を開始し、現在残る2機のうちの1機が9月21日に最後の任務飛行を行ったとのことですが、ドイツのRamstein空軍基地を離陸した当該機の任務については「南欧州を中心に任務を遂行した」とだけ公表され、細部は非公開となっています

E-8C Desert storm2.jpg残る別の1機は、11月の最終週にアリゾナ州Davis-Monthan空軍基地の退役航空機置き場に向け最後のフライトを行い、この時点でJSTARS E-8Cの完全退役となりますが、それまでの間も緊急の作戦命令に備え、乗員たちは技量維持飛行を続けるとのことです

2002年から2023年までの間に16機で積み上げた総飛行回数は14000ソーティーを超えたということですが、まんぐーすのような世代の人間には、とてもさみしい「JSTARS E-8C」とのお別れです

E-8C関連の記事
「中東地域から18年ぶり撤収」→https://holylandtokyo.com/2019/12/10/2840/

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米空軍が電動ヘリ初号機を受領し本格試験開始 [米空軍]

トヨタも約600億円出資のJoby Aviation社から
米空軍は他にも複数の企業と電動ヘリ(eVTOL)購入契約済
空軍研究所AFWERXチームの「Agility Prime」計画で

Joby Aviation.jpg9月25日、米空軍が4月に契約したJoby Aviation社から、6つの回転翼を持つ電動ヘリ(eVTOL)初号機を受領し、加州Edward空軍基地でお披露目されました。全米で初の「電動空中タクシー:electric air taxi」機体の「納入」だと同社CEOがアピールしています

米空軍が推進するACE(Agile Combat Employment concept)構想では、部隊の分散運用を追求しているため、米空軍の電動ヘリ導入プロジェクト「Agility Prime」計画(国防省DIUと米海兵隊も協力&出資)では、施設不十分な分散基地や被害を受けた施設での移動に使用したり、作戦準備や初期段階の物資人員輸送や、その静粛性で偵察任務も期待されている模様です。

Joby Aviation2.jpgそのほか、その静粛性から、従来型ヘリでは危険な特殊部隊員の侵入・帰還輸送や敵領域での救難救助のほか、Edward空軍基地周辺の試験場や演習場での人員移動用など、66項目の任務がアイディアとして米空軍プロジェクトチーム内では検討されているとのことです

なお、同機は上昇高度11000フィート、速度時速200マイル以上、行動半径100マイルの性能を持つとJoby Aviation社は説明しています

Joby Aviation3.jpg2024年初には2機目が納入されるJoby Aviation社の機体は、今後同社とNASAも空軍と協力して試験を行う計画で、NASAのテストパイロットは「各協力機関は異なった任務使用を念頭に異なった視点で同機を吟味していくが、重なる部分も多く、効率的に協力して試験を進める」と語っています

この他に米空軍は、4月にArcher Aviation社と別の6機の電動ヘリ購入契約を結んでおり、また9月にはBETA Technologies社と同社製電動ヘリ購入契約のほか、1時間以内での機体フル充電が可能な同社製急速充電設備の工事をフロリダ州Duke Field基地で開始しています

Archer Aviation.jpg電動ヘリ各種の空軍内試験を担当する第412試験航空団の司令官は、「航空世界の電動化は、疑いなく大きなエネルギー変革の一部分である。誇りをもって人類の将来のために試験に臨みたい」と語っています
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昨年時点では、米空軍の担当部署は、「まず空軍内の皆に電動ヘリを見てもらって、その特徴を肌で感じてもらうことが重要」と語っていましたが、今の米空軍内の雰囲気はどうなんでしょうか?

BETA Technologies.jpg2020年初にトヨタ自動車が同じJoby Aviation社に約600億円の投資を明らかにし、当時の豊田章男社長は「トヨタは、自動車事業に加え、今回、Jobyという力強いパートナーとともに、新たに“空”のモビリティ事業にチャレンジします」と言い切っており、

都市部の渋滞や環境負荷の低減、また過疎地域の輸送手段の確保など、様々な交通課題の解決に向け、電動ヘリ(eVTOL)の移動手段としての可能性追求に大きく踏み出しています

電動ヘリ導入検討「Agility Prime」計画の状況
「米空軍が電動ヘリeVTOL導入検討に始動」→https://holylandtokyo.com/2022/06/29/3370/
「電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/13/105/

米空軍の救難救助体制の再検討
「対中国救難救助検討は引き続き迷走中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「今ごろ大問題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/15/3463/
「米空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/

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