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米軍がペルシャ湾やシリア緊迫にF-35派遣 [Joint・統合参謀本部]

シリアでのロシア軍機による威嚇や米軍上空飛行
ペルシャ湾でのイランによる民間タンカー拿捕未遂受け

USS McFaul.jpg7月17日、米中央軍は同軍担当エリアに、F-35戦闘機と追加のF-16戦闘機、更には追加のミサイル駆逐艦を派遣すると発表しました。今年の春以降にシリア上空で駐留米軍や米軍偵察機に対するロシア軍の威嚇飛行が活発化していることや、最近のペルシャ湾やホルムズ海峡でのイラン勢力による商用タンカーへの発砲などの事案を受けての戦力増強です

ペルシャ湾やホルムズ海峡周辺では、7月初めにイラン勢力が2隻の商用タンカーを拿捕しようと試み、内1隻のタンカーにはイラン勢力が発砲する事案が発生し、米海軍ミサイル駆逐艦USS McFaulが急行してタンカーを解放した事案が発生したばかりです

F-35 CENTCOM.jpgこのようなイランの行為に対しては、A-10攻撃機がまず海洋抑止任務に派遣され、次いでF-16戦闘機や米海軍P-8哨戒機派遣で戦力強化が図られ、追加でミサイル駆逐艦USS Thomas Hudnerも決定された模様です。

現在約900名の米軍兵士が展開しているシリアでは、7月に入り、無人偵察攻撃機MQ-9がロシア軍戦闘機にシリア西部上空で威嚇飛行されたり、シリア東部では米軍展開エリア上空を定期的にロシア戦闘機が飛行し、米軍有人機の500フィート以内にロシア戦闘機が接近するなど、ロシア軍による脅威が増しています

F-35 CENTCOM2.jpgこれらシリアでのロシア軍機の活発化を受け、6月に米軍はF-22を中東域に派遣していましたが、その帰国とタイミングに合わせるような形で、オースチン国防長官とMichael Kurilla中央軍司令官が協議してF-35派遣を決定したとのことです 

過去に遡ると、2019年に米軍無人偵察機RQ-4がイラク軍機に撃墜された事案もありましたが、シリアと対イラン正面のペルシャ湾方面の両方に目を光らせる意味を含んだF-35派遣だと国防省高官は記者団に背景を説明した模様です
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USS McFaul2.jpgしばらく中東の話題には触れていませんでしたが、ウクライナや対中国の話題に世界の目が向いている隙をつくように、世界では様々な勢力がうごめいています

ウクライナを巡る世界経済への悪影響、中国経済の「不動産バブル崩壊」による今後20年間は継続するであろう不良債権問題、これらを受けた欧米経済の加速的減速を受け、台湾正面だけでなく、世界各地に不穏な動きが拡大することを強く懸念しています

中東における動き
「サウジとイランが中国仲介で国交」→https://holylandtokyo.com/2023/04/21/4550/
「秋までに100隻規模の無人艇部隊を」→https://holylandtokyo.com/2023/01/06/4118/
「60か国がAI活用海洋演習実施中」→https://holylandtokyo.com/2022/02/14/2685/
「B-52が9か国戦闘機と編隊飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/04/06/3105/

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米海兵隊は次の事前装備集積船を小型化へ [Joint・統合参謀本部]

対中国の西太平洋での分散&機動運用に備え
大規模な輸送よりも日々の作戦を支える役割を
Force Design 2030の最新改定版で方向決定

MPS-X.jpg6月28日付Defense-Newsは、米海兵隊が西太平洋での対中国本格紛争に備え、3年半前作成の海兵隊将来構想「Force Design 2030」を5月にアップデートし、分散運用構想「Distributed Maritime Operations Concept」を支える装備品の海洋事前集積や輸送船のあり方見直しに着手したと伝えています

同日行われた海兵隊イベントで関係海兵隊幹部は具体的に、現在の海兵隊輸送の主力である「Large, Medium-Speed Roll-on/Roll-off ships」を、より小型で小規模な島々の港湾施設で利用可能なMPS(X)「next-generation maritime pre-positioning ship」に置き替えるため2030年前後の運用開始を目指し、

MPS-X2.jpgまた、最近まで将来の小型の補給艦「Next-Generation Logistics Ship」と呼称されていたものを、「Light Replenishment Oiler」として具体化し、2026年に調達フェーズに入る計画に着手していると語っています

米海兵隊は26日の週にハワイで関連の机上演習を実施し、西太平洋で日々の分散&機動作戦構想を兵站面で支える「Global Positioning Network」構想やMPS(X)の運用について検討した模様で、大型輸送&備蓄艦艇より、小回りが利き貧弱な港湾施設しかない分散運用先での部隊支援に、現在より小型の艦船が不可欠だと改めて確信した模様です

MPS-X3.jpg小回りが利き、小さな港湾施設でも利用可能なほかに、小型艦艇による小分け輸送は、敵の攻撃部隊の目標照準を困難にし、輸送任務成功確率向上に貢献するとも分析されており、今後1年以内にMPS(X)要求性能を固め、2030年前後に運用開始したいと関係者が28日に語った模様です

米海兵隊のMPS(X)担当者によれば、従来の「海洋事前集積船」のイメージと、前線部隊への日々作戦で必要な物資を直接輸送する海洋輸送力を併せ持ったアセットがMPS(X)だそうで、この辺りも我々傍観者に発想の転換を迫るものとも言えます

Light Replenish.jpgまんぐーすにとっては、MPS(X)や「Light Replenishment Oiler」は初めての言葉ですが、その狙いとすることは明確で当然であり、米海軍艦艇の稼働率低下で海兵隊の作戦運用が制約を受ける厳しい現状(スーダン脱出作戦での海兵隊派遣断念事例など)を打開すべく、スムーズな構想実現を期待したいと思います

米海兵隊関連の動向
「次期司令官は改革派」→https://holylandtokyo.com/2023/06/06/4711/
「沖縄海兵隊4千名転進先」→https://holylandtokyo.com/2023/02/01/4230/
「ハワイに新MLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「Stand-in Force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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米議会が国防省や陸空軍に無人機防御策レポート要求 [Joint・統合参謀本部]

分散や機動重視の作戦運用構想で展開先をどう防御するの?
来年2~3月期限で具体的な構想を要求

JCO high-power micro3.jpg6月13日付米空軍協会web記事は、米下院軍事委員会小委員会が2024年度予算関連法案の中で、米空軍が対中国を主に念頭に置く、航空戦力の小規模分散&機動展開構想ACE(Agile Combat Employment)でカギとなる、施設不十分な機動展開先飛行場の無人機脅威等からの防御体制(機動展開可能な防空システム計画、コスト見積もり、計画時程、想定装備調達や開発や運用に必要な判断事項など)を、2023年2月1日までに報告要求すると報じています

JCO2.jpgまた同記事は、米議会は米空軍だけでなく、来年3月1日期限で国防省に対しても、敵の無人機に対して、レーザーや電磁パルス兵器などのエネルギー兵器をどのように活用するのかに関する具体的な計画、例えば、他の防空兵器とのシステム一体化の検討状況、エネルギー兵器を使用した場合の周辺空域や人や社会インフラへの副次的な悪影響、兵士への教育訓練方針、調達規模や兵器維持に関する見積もり等々を要求しています

特に米陸軍に対して取り組みの遅れを厳しく指摘し、同様の期限で、統合の小型無人機対処検討チーム(JCO:Joint Counter-small Unmanned Systems Office)が検討&提案している対策案を、どのように取り入れる計画なのかを求め、「特に陸軍は、既に有効性が他軍種等で確認されているシステム導入にも、米特殊作戦軍と共に実戦環境で使用しているシステムにも、JCOが推奨システムにも、具体的に進む決定をしていない」と非難しています

Coyote Raytheon3.jpg既に「今そこにある危機」として脅威に直面している米中央軍のGuillot副司令官は具体的に、「高度150~300mを、速度15~30㎞で飛来する小型ドローンやその群れを、様々な防空システムを融合して、多層的に対処可能な防御態勢確立を求めている」、「複数でなく、1個スクリーンに脅威情報や対処状況がまとめて表示されるような仕組みを望んでいる」と訴え、

同じく中央軍のRenshaw作戦部長は、「Amazonで手りゅう弾や小型無人機が簡単に入手可能な今の時代は、誰もが見通し外の範囲を射程に収める攻撃力保有者になれる」と危機感を訴えています

THOR AFRL3.jpg米中央軍が直面するこのような課題は、対中国作戦を司る太平洋軍にも突き付けられた課題であり、グアム島のアンダーセン基地司令官等が不可欠な基地防空の重要性を訴え、また最近12名の多能力整備員チームで2機のF-35再発進準備に実験演習で挑戦した部隊指揮官も、敵の空からの脅威に対する守りの重要性を大前提として期待していたところです
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対中国作戦で米軍が分散&機動展開拠点として使用したい西太平洋の島々でも、米中央軍が直面しているような小型無人機の脅威を当然想定する必要があると思います。

solomon3.jpg既にソロモン諸島は中国治安部隊の駐留を可能にするような安保協定を中国と結び、インドネシアの米国への塩対応など、中国の西太平洋への浸透は、「南シナ海埋め立て要塞化」ほど目に見えないものの、「札束攻勢」で草の根レベルで根を張っていると考えるべきで、小型ドローン攻撃実施など簡単でしょう

沖縄はもちろんのこと、西日本の米軍や自衛隊基地も、当然のことながら「脅威下にある」と考えておくべきでしょう

西太平洋への中国の浸透
「インドネシアは米に塩対応」→https://holylandtokyo.com/2023/05/24/4640/
「ソロモン諸島と安保協定」→https://holylandtokyo.com/2022/04/11/3119/

THOR関連の記事
「電磁パルス兵器THOR群れ対処試験に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/05/26/4663/
「装備名Mjölnirで24年にプロトタイプ作成へ」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「マイクロ波で小型無人機の群れ無効化狙う」→https://holylandtokyo.com/2021/07/06/1942/

物理的破壊方式のCoyoteなど
「シリア拠点で実戦防御に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/02/06/4201/

米軍の小型無人機対処関連
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

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米陸軍トップ:ウクライナで露が制空権で優位に!? [Joint・統合参謀本部]

航空優勢は「どこも握っていない」と言いつつも
露の攻撃型ヘリや安価なドローンで「ウ」が苦戦と
西側提供の多様な防空兵器の連携運用が必要とも
ウ外相は「最大の問題は、ロシアが空を支配している事だ」と

McConville7.jpg6月23日、まもなく退役予定のMcConville米陸軍参謀総長が、ドイツで開催された33か国の欧州陸軍首脳が参加した会議後に記者会見を行い、ウクライナ軍の反転攻勢がロシア側の安価なドローンや攻撃ヘリによる航空攻撃で困難に直面していることを示唆し、西側から提供された多様な防空システムのセンサー情報や指揮統制を一元的に管理して運用することの重要性に言及しています

同日付米空軍協会web記事によれば、McConville米陸軍大将は、ウクライナ側もロシア側も戦場における「航空優勢」は握っていないと述べつつも、ロシア軍が投入している安価なイラン製ドローンによって、ウクライナ側の防空システムが飽和させられるようなことがあってはならないと表現し、防空ミサイルの弾薬不足が指摘される中で相当の危機感をにじませた模様です

Stinger SAM.jpg更にMcConville参謀総長は、6月から開始されているウクライナの反転攻勢が難航している背景として、ロシア軍の攻撃ヘリを主とする航空戦力が活動を活発化していることに警戒感を示した模様です

23日にはウクライナのDmytro Kuleba外相がBBCに対し、「地上戦においてわが軍が直面している最大の問題は、ロシアが空を支配している(dominance of Russia in the air)ことである」と語っており、McConville米陸軍参謀総長よりも明確に、 ロシア側に空の支配が握られつつある現状に言及しています

McConville3.jpg夏に退役予定のMcConville大将は前述のように「空の支配が一方に握られていない」としつつも、米軍として「各国がウクライナに提供した様々な防空システムが、センサー情報や指揮統制が融合して一元的に実施できるように、関係同盟国等と緊密に協議しつつ「Integrated Battle Command System」を導入しつつある」とも、現在の取り組みを説明しつつ、

更に対中国で注目を浴びているグアム島の防空体制強化にも導入が進められている米陸軍の防空システムについては特に問題があるわけではない、と強気の姿勢を崩す事はなかったようです。

なお同参謀総長は、この機をとらえて「HIMARS」の有効性を強調し、敵の兵站拠点や指揮統制司令部を攻撃することで、最前線の作戦を大いに支援出来ているとアピールし、米陸軍が対中国で取り組んでいる「遠方からの攻撃力強化」の正しさを主張しています
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Ukraine air defense.jpg最近のウクライナ大統領の会見では、ロシア側が配置した大量の地雷が、ウクライナ軍反転攻勢の大きな障害となっているとの説明がありましたが、西側提供の防空兵器の枯渇がじわじわとウクライナの防空能力を弱体化させ、ロシア軍の「航空優勢」確保と航空戦力投入機会を与えつつあるのかもしれません

攻撃ヘリの威力もそうですが、攻撃兵投入に至る前段階で、大量の安価な無人機投入により、ウクライナの防空兵器を消耗させる作戦が成果を上げつつあるのかもしれません。残念ながら・・・

ウクライナでの無人機脅威を考える
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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米海軍が8月導入のIT等技術支援対話型AI [Joint・統合参謀本部]

電話やテキスト文書で会話して手続きや問題解決支援
約190億円をかけGeneral Dynamics社IT部門が提供

Amelia.jpg6月13日付Defense-Newsは、米海軍が今年8月から運用開始を予定している、海軍勤務者に対する装備品故障対処、IT関連トラブル対処、種々手続き等々に関する問い合わせ対応等を行う、「Amelia」との女性水兵をイメージした名称の対話型AI(conversational artificial intelligence)準備状況を紹介しています

この対話がAIは、米海軍勤務中に兵士たちが直面するトラブル特定や解決法を効率的に提供する目的で、米海軍が2021年下旬にGeneral Dynamics社IT部門と約190億円で開発契約したもので、米海軍内に存在する約90か所の「ITヘルプデスク」を統合して一本化することと抱き合わせの背策です

Amelia2.jpg米海軍勤務者で所定の手続きや審査を経て「common access card」を取得した者なら誰でも、電話や文書と通じて「Amelia」利用可能になる予定で、同時に100万アクセスにも対応可能なサーバーを備えて、AI学習等で様々なノウハウを学習後に投入され、将来的には秘密情報も扱えるように順次発展拡大させる計画になっているようです

ただ単に、様々な質問への回答を記憶しているのではなく、質問者の語り口や質問文書表現から、質問者のAI対応への「不満度:frustration」を感じ取り改善に役立てたり、質問者の疑問に十分こたえられない場合には、人間に取り次ぐ機能も備えているようで、

Amelia4.jpg試験段階では質問の9割に「Amelia」が適切に対応し、人間のITヘルプデスク等が対応していた際に生じていた、電話待ちを我慢できずに質問をあきらめた「abandoned calls:捨て去られた質問者」を大幅に削減する成果を上げているようです
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兵士だけでなく、軍人家族にも利用が拡大され、転勤引っ越しに伴う様々な疑問に気楽に対応してくれるなどのサービス提供も可能になれば、兵士離職率抑制にも貢献できるのでは、・・・などと思いつきました

Amelia3.jpgその他、新兵の入隊教育への応用や各基地転入者への導入教育への活用など、対話型「AI」側から質問を投げかけて会話をスタートさせる、教育的活用にも可能性を感じました。多分、まんぐーすが思いつく遥か前から、そんな取り組みは始まっているのでしょうけど・・

ところで、このAmeliaイメージの女性合成画像、文化が出るな―――と感じております。

AI関連の記事
「AI無人機で空中戦」→https://holylandtokyo.com/2023/02/27/4326/
「AI生成の生物兵器を懸念」→https://holylandtokyo.com/2022/10/04/3671/
「データ無き場所の気象予報に」→https://holylandtokyo.com/2022/07/19/3385/
「海洋作戦に活用」→https://holylandtokyo.com/2022/02/14/2685/
「孤独な指揮官助ける」→https://holylandtokyo.com/2020/12/15/343/

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米軍が新兵募集難に合法移民に猛烈アプローチ [Joint・統合参謀本部]

新兵教育部隊入隊時に迅速帰化手続き開始し、
教育終了時に米国籍宣誓式典との特別制度導入
米陸軍は半年で2900名、ジャマイカ、メキシコ、ハイチ等から

legal immigrant6.jpg6月11日付Military.comは、新兵募集の目標達成が難しい状況にある陸空軍(海兵隊のみが目標達成見込み)が、合法的な移民が米軍に入隊することで、米国籍取得(帰化:naturalization)手続きを特別優遇で迅速化する特典を昨年末から開始したところ、中南米、アフリカ、アジア等出身者から「米国への愛国心を持つ」多数の入隊希望者が応募し、新兵確保に貢献していると報じています

例えば、2022年10月から同特典を開始した米陸軍は、制度開始前の半年で2200名だった採用数が、制度後の半年で2900名入隊に増加し、384名のジャマイカを筆頭に、メキシコ、ハイチ、Nepal, Nigeria, Ghana, Cameroon, Colombia Dominica等々からの入隊者を得ているとのことです

legal immigrant.jpg米空軍も2023年から同制度を導入し、最初の14名(Cameroon, Jamaica, Kenya, the Philippines, Russia、South Africa)が7週間の新兵教育訓練を終え、4月に帰化して米国籍を取得したということです

この制度を実現するため、陸空軍は緊密に米政府機関「U.S. Citizenship and Immigration Services」と連携を図り、セキュリティークリアランス調査の迅速化を可能にしましたが、多くの場合、本制度利用の新兵が「top secret」クリアランスが必要な職種に最初から配属されることは無く、最初の14名は医療や輸送関連職などに配置されたということです

legal immigrant3.jpgそれでも米空軍では今年5月中旬までに、同制度利用の合法移民100名が新兵教育訓練開始と同時に「帰化手続き」を開始し、既に40名が帰化完了しているとのことです

担当する米空軍募集事務局のEd Thomas少将は、英語能力やセキュリティークリアランス調査の壁はあるが、合法移民の中には「米国の役に立つ米国民になりたい」との純粋な愛国心を持つものが確実に相当程度存在し、米軍の募集難を解決するほどの数ではないが、貴重な人材であることに変わりはないとし、

legal immigrant2.jpg志のある合法移民の若者に同制度を知らせるため、多様なSNSで多様な言語の動画メッセージを発信したり、入隊済の多様な元国籍兵士をリクルーターとして活用する手法にも力を入れていると語っています

また同少将は、同制度で帰化した新人兵士が、その感激を語る場面に何度も立ち会ったことがあると振り返り、「米国のために尽くしたい」「努力して米軍で必要とされる人間になる」と純粋に目を輝かせる姿を、米空軍内のいろんな場所で語って、同制度をアピールしていると熱く語っています
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legal immigrant5.jpgこの制度で入隊した新兵を受け取った現場部隊の声を聞いてみたいところですが、米国民の米軍募集対象年齢人口の中で、犯罪歴や肥満や薬物使用や入れ墨等々の理由から、わずか2割の米国民しか米国の採用基準をクリアーできない厳しい現実を考えれば、合法移民グループは「宝の山」なのかもしれません

しかし、元国籍は多様ですねぇ・・・・。

新兵募集難&離職者増への対応
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/

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米輸送コマンド女性司令官が燃料輸送の大役を語る [Joint・統合参謀本部]

今年4月の大統領命で国防省機関から任務引き継ぐ
大部分の燃料輸送担う艦船確保に着手したばかり
陸空海兵隊の機動的新運用構想を支える重責

Van Ovost.jpg6月6日、米輸送コマンドの女性司令官Jacqueline Van Ovost空軍大将がブルッキングスで講演し、4月に大統領命で従来「Defense Logistics Agencyの Energy office」が担っていた米軍用燃料輸送任務を、アジア太平洋地域での困難な同任務遂行を念頭に、米輸送コマンドが新たに引き継ぐことになったと現状の取り組みを説明しました

米軍は対中国で、例えば米空軍はACE(Agile Combat Employment)構想により、ハブ基地を中心としつつも航空戦力を分散して敵攻撃からの被害を局限しつつ、敵の行動を混乱させる作戦を追求し、陸軍は長射程兵器の機敏な展開、海兵隊は対艦ミサイル部隊と偵察部隊の「(西太平洋の島々の)飛び石移動作戦」を構想しており、燃料に限らず有事の輸送要求は膨大なものが予期されています

Van Ovost3.jpgそんな中でも重要な燃料輸送に関し、ウクライナでの教訓を踏まえつつ、更にウクライナのように陸続きでない西太平洋の島々で繰り広げられるであろう対中国輸送大作戦に向け、やっと重い腰を米国政府としてあげて改革に着手するため、

今回国防省機関から統合の輸送コマンドに任務が移管されたわけですが、文民中心の平時の効率的燃料輸送仕切り組織から、有事の輸送を優先した「非常事態対処」に舵を切ったとも言えましょう

しかし問題は単純ではなく、同司令官によれば・・・
TRANSCOM2.jpg米輸送コマンドは艦艇500隻と輸送機500機を保有しているが、米軍が保有する輸送艦船「ローロー船」や米空軍空中給油機は1950年代調達アセット中心で老朽化が著しい状態
●燃料輸送の主力となるのは海上輸送だが、国防省は、有事必要時に商用タンカーを10隻徴用する「maritime tanker security program」に着手したが、西太平洋の第1列島線と第2列島線の間の島々に輸送するには、水深の浅い海域でも使用できる喫水の浅いタンカーなど多様な船舶を必要としている

(注:ハドソン研究所によれば、米国は外国船籍タンカーに過剰依存状態。大規模紛争支援には少なくとも80隻の米国籍タンカー船団が必要だが、実際には10隻確保を目指すプロジェクトが動き出した程度)
「輸送機による燃料輸送にも取り組むが」→https://holylandtokyo.com/2023/04/11/4490/

そんな中でも同司令官は
TRANSCOM.jpg●米輸送コマンドが培った指揮統制能力や計画能力、更には全世界に配置されている部隊を活用し、いつでもどこでも必要なものを届けられるよう取り組んでいく
●ACE構想を推進する米空軍は、2024年度予算案に燃料貯蔵施設など関連海外インフラ拡充予算を劇的に増加する案を議会に出しているが、わがコマンドは既に机上検討War Gameを米空軍と実施し、様々な検討の資としている
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TRANSCOM3.jpg西太平洋地域における対中国作戦の課題は様々に議論され、ウクライナ戦争を通じて改めて突きつけられた問題の大きさに皆で「たじろいでいる」状態ですが、作戦拠点の確保&防衛(分散基地含む)、弾薬確保、輸送力確保、救難救助体制の確立が、小手先ではどうしようもない巨大な壁となっているような気がします

米輸送コマンドの女性司令官Jacqueline Van Ovost空軍大将は、「多様性」を追求するバイデン政権により、Brown大将の後の空軍参謀総長に推薦される可能性もあるとの噂報道がありますが、対中国作戦における輸送問題という大問題に、現在は全力投球です

輸送能力の圧倒的不足
「輸送機による燃料輸送にも取り組むが」→https://holylandtokyo.com/2023/04/11/4490/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
「民間海空輸送力活用のための取組」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/

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米海軍トップも交代へ:再びドタバタの差し替え劇? [Joint・統合参謀本部]

現在の太平洋海軍司令官が海軍人トップへ
直前まで女性大将推薦で動いていたはずが
「最悪の人事情報管理」と関係者吐露

Paparo.jpg6月12日NBC News等米メディアが、2019年8月から米海軍トップのCNO(chief of naval operations)を勤め、今年8月21日退役が決定していMike Gilday海軍大将の後任に、オースチン国防長官が大統領に、現在の太平洋海軍司令官であるSamuel Paparo海軍大将を推薦したと報じました。

Franchett2.jpg先週から12日昼の段階では、現在の副CNOである女性Lisa Franchetti大将が初めて女性として4軍のトップになると様々なソースが報じ、実際米海軍や国防省内でもその方向でスタッフが動いていた事実が確認されていたようですが、海軍現役やOB幹部から「最悪の人事情報管理」だ・・・との声が上がるほど「情報だだ漏れ」状態だったようです

米海軍報道官や国防省は「それは大統領が決定する事項だ」とノーコメントを貫いているようで、厳密に言えば、国防長官の推薦を受け、最終的にバイデン大統領が米議会への推薦者を判断することになりますが、12日付Defense-Newsによれば、匿名の2名の関係海軍高官がPaparo海軍大将推薦を認めたようです

Paparo3.jpg太平洋海軍司令官ポストは、対中国作戦を海上・水中作戦を立案&実行する重要ポストですが、これまでは同ポストから一段上の太平洋軍司令官に就任するケースが多く、実際現在のインドアジア太平洋軍司令官(対中国作戦の大統領直属の指揮官)であるJohn Aquilino大将も、太平洋海軍司令官から就任しています

女性Franchetti大将も Paparo大将もともに1964年生まれで、共に空母戦闘群司令官やナンバー艦隊司令官(前者が第6艦隊、後者が第5艦隊)を勤め、前者が欧州アフリカ艦隊司令官、後者が中央軍&太平洋軍海軍司令官を務めた経歴を持ちますが、統合職では前者がJ-5経験者ですが、後者は主要な統合ポスト経験がありません。

Paparo2.jpgアジア太平洋に関しては、前者は在韓米海軍司令官経験のみで、後者は現在の太平洋海軍司令官で分があります。女性Franchetti大将も Paparo大将も、アナポリスの海軍士官学校出身「ではない」点では同じです

なぜ、直前に外野から見て「どんでん返し」になったのかは邪推しかありませんが、「最悪の人事情報管理」による女性トップ誕生との噂流布が国防省レベル以上で嫌われたか、中央軍&太平洋軍海軍司令官の経験がより重視されたのか・・・・もしれません

Franchett.jpgただ米海軍トップ人事のごたごたは現CNO就任時の4年前にもあり、米議会の承認も得て2019年8月1日にCNO就任が決定していた人物が、最終段階の「身辺調査」で不適切な過去が判明し、7月7日に辞任退役に追い込まれる事態が発生(下の過去記事参照)、

グダグダの装備品開発(空母、LCS等々)、艦艇の衝突事故や火災事故、ワイロ事件等々で「何をやってもダメな米海軍」と揶揄される中、米海軍人事全体が大混乱に陥り、本来なら別の大将の中から米海軍トップを選出するはずが候補者が見当たらず、中将の中から選出する「異例中の異例」な経緯をたどった記憶も生々しいところです

海軍トップは大統領の正式推薦まで予断を許さない雰囲気ですが、いずれにしても、統合参謀本部議長も含め、陸海空海兵隊のトップが全て同時に交代する夏の人事となりました。

Samuel Paparo海軍大将の公式経歴
祖父・父も米海軍勤務の筋金入りです
→ https://www.cpf.navy.mil/Leaders/Article/2628260/admiral-samuel-j-paparo/ 

4年前の米海軍トップ交代の大混乱
大本命が最終段階で過去の不始末でクビに
「異例:大将に適任者なく中将から」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-19
「Moran大将突然の辞任」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-09

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早くもファーストレディーとBrown大将夫人が家族ケアで協力へ [Joint・統合参謀本部]

バイデン夫人の「Joining Forces」とBrown夫人の「Five and Thrive」で
環境は異なれど、日本の自衛隊家族ケアの参考に

Brown.jpg5月29日付米空軍協会web記事は、次の米軍統合参謀本郡議長にバイデン大統領が推薦しているBrown空軍参謀総長とSharene Brown同夫人が、空軍参謀総長夫妻として米空軍人家族の福利厚生や生活の質改善のため取り組んできた2021年12月開始の「Five and Thrive」取り組みと、バイデン夫人が2021年4月から開始している軍人家族や退役軍人等支援の取り組み「Joining Forces「が、今後連携して全米軍を対象に推進される事になったと報じています

Brown空軍参謀総長が上院の承認を得て統合参謀本部議長に就任することを織り込み済の「先走った」お話ですが、Brown空軍大将を次期統合参謀本部議長に推薦すると、ホワイトハウスの庭で発表会見(5月25日)を行った際にバイデン大統領がスピーチで、

Brown3.jpg「シェレーン(Brown大将の夫人のファーストネーム)とCQ(Brown大将の愛称)は、米軍人とその家族の健康と福利厚生に献身的な貢献をしてきた真のパートナーです。私とJill(大統領夫人のファーストネーム)は、この課題についてより緊密にBrown夫妻と取り組んでいきたい」、

更に「もし軍人家族や退役軍人や軍人を支える人々に、彼らの繁栄・発展のために必要なものが提供されなければ、米軍の精強さを維持することは出来ない」、「Brown夫妻の「Five and Thrive」取り組みは軍人家族が影響を受けている大きな5つの問題に取り組むものであり、(志を同じくする)大統領夫人と次期議長夫人が協力を深めるのは自然なことである」と語って連携協力が発表されています

five and thrive.jpgBrown空軍参謀総長夫妻が空軍内で取り組む「Five and Thrive:5つの繁栄発展」の5つは、軍事家族が世界中を転勤しながら直面する課題「Childcare, Education, Healthcare, Housing, and Spouse Employment」の5分野を対象とし、末尾に紹介する専門webサイトでは、各分野ごとに最新の空軍の取り組みや軍人家族が利用できるサービス等を紹介しており、

更に月刊雑誌「Spouse Situation Report」を発行し、webサイトの情報をより身近な事例や具体的な家族を例に分かりやすく紹介する取り組みが行われているようです

Brown2.jpgSharene空軍参謀総長夫人は、2022年の米空軍協会航空宇宙サイバー会議にもBrown大将とともに登壇して家族ケアの重要性を扱うパネル討議を行っており、その中で「我々軍人家族がどこかに赴任した際、誰かが助けてくれるだろうとの思いがあれば、より心地よいし不安が少なくなるでしょう」と空軍各級指揮官や参加者に語っています

バイデン大統領は5月25日にBrown大将夫妻を紹介した際、「Brown夫妻は常に家族第一を念頭に将官勤務を含む軍人生活を送ってこられたが、制服を着ている軍人だけでなく、家族全体で国に奉仕していることをよく理解してこの問題に取り組んで来られた」とも語り、米軍家族の苦労や貢献が国の安全を支えていることに改めて敬意を表しています
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five and thrive2.jpgファーストレディーと軍事トップ夫人(候補)がタッグを組むやり方は如何にも米国式ですが、人材育成や組織活性化のため転勤が多い自衛官家族も似たような悩みを抱えていますので、以下の紹介するサイトの内容を参考にしていただき、様々なレベルで国防に携わる家族を支えていただきたいと考え、本記事をご紹介しました

米空軍の「Five and Thrive」取り組みwebサイト
https://www.fiveandthrive.org/

Jill Biden大統領夫人の「Joining Forces」webサイト
https://www.whitehouse.gov/joiningforces/ 

パイロットの子弟教育環境が定着率に影響
「コロナ沈静後のパイロット不足や争奪戦に備え」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「5年連続で米空軍はパイロット養成目標未達成」→https://holylandtokyo.com/2020/02/27/838/

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米海兵隊の次期司令官候補は改革推進派 [Joint・統合参謀本部]

現在の副司令官で現改革構想とりまとめ人物
改革案への山のような批判もろともせず今日まで
第1海兵師団長をいじめ問題で解任された辛酸も
陸軍・空軍に続き、海兵隊も軍人トップが夏交代へ

Smith5.jpg5月31日付でバイデン大統領が、現在のDavid Berger海兵隊司令官の後任候補として、米海兵隊副司令官で海兵隊改革構想「Force Design 2030」を実質的に取りまとめたEric Smith海兵隊大将を推薦しました

5月24日には米陸軍参謀総長James McConville大将の後任候補に、同様にNO2である陸軍副参謀総長のRandy George陸軍大将が推薦され、米空軍でも下馬評では現副参謀長長のAllvin大将が最有力とされており、トップの仕事を横で見て把握している「手堅い」No2を後任に押す流れがこの夏は顕著です

Smith.jpgSmith海兵隊大将は、Texas A&M大学卒業で1987年入隊の推定59歳で、歩兵士官としてキャリアを積んだ人物です

最近ではイラクへ2回とアフガニスタン1回の従軍経験を持ち、特にアフガニスタンでは死闘が繰り広げられた「Helmand province」で、自らが旅団を率いて戦っています

その際の経験を踏まえてか、海兵隊兵士が背負う最前線での責任が急激に増しており、その負担を軽減する必要があると、海兵隊の中や議会だけでなく、記者団にも熱弁することが最近増えていると関連報道は伝えています

Smith2.jpg一方で、第1海兵師団長を務めていた際には、部隊内の「いじめ問題:hazing」に関連しSmith少将(当時)のメールが暴露され、軍法会議で「いじめ問題:hazing」への管理責任を問われて2018年に師団長を解任された経歴も取っていますが、一度レールを外れながら現在の位置にいる点で、真の実力者との声もあるようです

Smith大将が今回海兵隊司令官に推薦された背景には、現在の海兵隊改革構想である「Force Design 2030」を、副参謀総長になる前のポスト「deputy commandant for combat development and integration」として実質的に取りまとめていた点があげられています

Smith3.jpg「Force Design 2030」は、従来海兵隊の中心であった戦車や大砲部隊を削減し、無人機や対艦ミサイルを中心に据えて沿岸から敵艦艇を攻撃して統合作戦に寄与する方向を打ち出し、海兵隊内部や海兵隊OBから激しい非難を受けましたが、現在のBerger海兵隊司令官とともに正面から批判非難に立ち向かい、

2022年の海兵隊関係者が一堂に会する恒例の会議では、「海兵隊の信念、戦いの精神、攻撃姿勢、空対地専門部隊、部隊内連携等々は何も変わっていない」、「もし海兵隊の基礎が変わったと考える者がいるなら、Parris Island(海兵隊の新兵教育部隊)に行って確かめてきてほしい」と熱く語ったことが、Smith大将の評価を高めたと報道されています
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Smith4.jpgいずれにしても、バイデン政権が米海兵隊の改革方針継続に「GO」を出したと広く米国では認識されており、沖縄海兵隊の実質削減と後退の動きは、このまま継続すると見るべきでしょう

依然として米軍高官人事は、「米本土での妊娠中絶を希望する女性兵士への旅費支給」に反対するTommy Tuberville上院議員(共和党)によって停滞が続いており、軍内外からブーイング状態が続いていますが、現在の米軍の対中国対処方向が維持される流れです

Eric Smith海兵隊大将の公式経歴
https://www.marines.mil/CM/Biographies/Bio-Display/Article/2478637/gen-eric-m-smith/

米海兵隊の改革
「沖縄海兵隊4千名転進先グアム基地設置式」→https://holylandtokyo.com/2023/02/01/4230/
「沖縄にMLR設置で日米合意」→https://holylandtokyo.com/2023/01/13/4148/
「ハワイで創設のMLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「MLRを日本にも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/726/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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次の米軍人トップ候補に黒人Brown空軍大将が [Joint・統合参謀本部]

Colin Powell氏に続き2人目の黒人統合参謀本部議長へ
空軍大将の同ポスト就任は承認されれば18年ぶり

Brown2.jpg5月4日頃からの各種メディア報道によれば、次の米軍人トップである統合参謀本部議長(現在はMark Milley陸軍大将)候補に、現在の米空軍参謀総長であるCharles Q. Brown Jr大将が推挙されたとのことです。

Brown大将が上院で承認されれば、1989年から93年(湾岸戦争時)に初の黒人として同ポストについたColin Powell陸軍大将(後の国務長官)に続く30年ぶり2人目の黒人議長となり、空軍大将としては2005年に退任したRichard Myers大将依頼18年ぶりの空軍からの米軍人トップとなります。なお同ポスト創設以来73年の歴史の中で、空軍大将はこれまでにわずか4人です

Brown.jpgBrown大将が太平洋空軍司令官から空軍参謀総長に推薦された際も、陸海空海兵隊トップに初の黒人就任だと大きな話題になり、今回も何かと話題になりそうですが、Brown大将の経歴を見れば、アジア太平洋のみならず、欧州アフリカと中東でも主要ポストを歴任した、現在の複雑な国際環境にふさわしい人物だとご理解いただけると思います

先ず欧州アフリカ地域では、ロシアによるクリミア侵略が始まった直後の2014年から、欧州&アフリカ米空軍司令部(@ドイツ)で戦略作戦部長(director of operations for strategic deterrence and nuclear integration)を務めており、イタリアのAviano基地で航空団司令官を務めた経験と併せ、露のウクライナ侵略がホットな情勢下で地域の細部にも精通しています

Brown nomination.jpg中東では2018年から20年に中東米空軍司令官(兼ねて中央軍JFACC)として、中東における対テロ作戦で陸海空海兵隊の全ての航空戦力運用を担当した経験に加え、中央軍副司令官として地域諸国との連携を含めた政軍関係の複雑な部分も経験した人材です

アジアでは、若きF-16パイロットとしての韓国Kunsan基地が初任地で、同基地航空団司令官も後に務めたほか、2020年春からの太平洋空軍司令官(兼ねてアジア太平洋軍JFACC)としての2年間で、北朝鮮情勢から中国、更には極東ロシア軍情勢まで、インド・アジア太平洋地域への見識を十分すぎるほど蓄えたと言えましょう

1962年生まれの61歳で、空軍士官学校ではなくテキサス工科大学出身ですが、大尉として米空軍参謀総長(早期辞職したFogelman大将)の副官室勤務を経験し、空軍大学のACSC(指揮幕僚コース)を優秀成績者として卒業し、大佐として空軍長官直属の特別検討チーム長を務めた経験を持つなど、早くから将来を嘱望されたパイロットであったことが伺えます

Carlisle UK.jpg米空軍トップに推薦された際もBrown大将を推薦する声が多く、日本でもおなじみのカーライル退役大将が「Brown大将は、厳しい仕事を部下に押し付けたり、他部署に責任を押し付けることは決してしなかった。静かな男だが、厳しい決断や困難な仕事から逃げることは決してなかった」、「本当に必要と思うことには徹底的にこだわり、厳しい予算審議でも、周到な準備を基に熱い情熱で議論に臨み、同時に最後に折り合うことにも潔かった」と評し、

James-House.jpgJames元空軍長官は、「ペンタゴンでの統合職勤務がないという人もいるが、難しい中東作戦遂行に際し、各軍種のみならず、米議会とのパイプ役としても精力的で信頼のおける働きぶりが印象的で、国防省の外でも評判の良い人材」だと人柄を推薦しています

その信念の強さを示すエピソードとして、黒人への警察の厳しい対応が社会的問題となっていた空軍トップ就任直前に、黒人である自身の空軍での体験を「白人の2倍努力しなければ認められなかった」等と赤裸々に語って映像を公開し、大きな話題となったこともありました。

Brown5.jpg空軍参謀総長就任後は、小冊子「変化を加速せよ。さもないと敗北する:Accelerate Change or Lose」を空軍内に配布して、対中国やロシアに向けた変化を急ぐ姿勢を示すと同時に、ACE構想普及を推進すると同時に、難しい国際情勢と軍事環境にあって「Airpower is the answer」との言葉を使って空軍の重要性を訴えるなど、信念の人であることで内外から評価の高い人物です

対中国や台湾有事が差し迫っていると危機感が高まる米国防省で、大平洋空軍司令官や空軍戦闘コマンド司令官へのアジア太平洋の経験豊富な「専門家」人事案が相次いで明らかになる中、米軍人トップの統合参謀本部議長にも対中国有識者が配置されることで、米軍の体制は対中国モードに突き進んでいます

次の米空軍参謀総長が誰になるかも気になりますが・・・

Brown太平洋空軍司令官の関連
「弾薬調達の効率性優先を変更」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CCAは多様な任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/
「KC-YとZはKC-46の改修型へ?」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「行動指針を小冊子で」→https://holylandtokyo.com/2020/09/02/471/
「Brown大将が次期空軍トップ候補に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-03
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

黒人としての空軍勤務経験を赤裸々に語る
「空軍へ来たれ!募集映像が話題」→https://holylandtokyo.com/2021/08/10/2087/
「Brown大将が人種問題を経験から語る」→https://holylandtokyo.com/2020/06/07/617/

2023年3月発表の米空軍新作戦コンセプト
Air Force Future Operating Concept (AFFOC)
https://www.airandspaceforces.com/browns-future-operating-concept-airpower-is-the-answer/

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米国大使館員の国外退避は米国民間人1.6万人置き去りで [Joint・統合参謀本部]

在スーダンの米国一般人約16000名は放置
100名の米軍特殊部隊がヘリ3機で70名の米大使館員を

MH-47 Sudan.jpgAP通信を引用した22日付MIlitary.comは、4月23日の日曜日に行われた在スーダン米国大使館員の国外避難は、スーダンに残る約1.6万人の米国一般人を置き去りにしたままの脱出作戦だったと報じています

在スーダンの米国大使館は、22日土曜日早朝に在スーダン米国民に対し、「首都ハルツームの不安定な状況や空港閉鎖のため、一般米国民の米国政府主導による退避を企てられる状況にはない」との緊急情報を発出していたとのことです

MH-47 Sudan2.jpg作戦は、3機のMH-47特殊作戦ヘリに分乗した約100名の米軍特殊作戦部隊兵が、スーダンの首都ハルツームにある米国大使館内のヘリポートに展開し、約70名の大使館員をヘリに収容し、着陸から1時間以内に再離陸して、隣国エチオピアの飛行場まで輸送したもので、作戦間に攻撃を受けたりけが人が出たとの情報は無い様です

記事によれば米国政府は、スーダン内で内戦状態にある2つの勢力の両方とコンタクトを取りつつ、米大使館員が国外退去するから攻撃等するなと最低限の連携を取りつつ、作戦を進めたようです

MH-47 Biden.jpgバイデン大統領は、作戦終了後直ちに米軍の行動に感謝する声明を発表し、同時には「私は米大使館員の類まれなる任務への貢献、それを支えた勇気とプロ意識、彼らが体現したスーダン国民との友情と絆を誇りに思う」と大使館員にメッセージを寄せ、Mark Milley米統合参謀本部議長は「大使館員を無事に国外脱出させた比類なき米軍兵士の技量に感謝する」と声明を出しています

更にバイデン大統領は、同国に残されている約1万6千名の米国一般人のスーダン国外退避を支援している専門チームからの情報を逐次受け、「(一般米国民のスーダン国外への避難を)可能な限り支援する(assist remaining Americans in Sudan “to the extent possible)」と述べています

MH-47 Sudan4.jpgしかし現実は厳しく、米国政府関係者は、残されている16000名の米国民の国外退避を支援する「大規模な作戦:a broader evacuation mission」は、情勢があまりにも厳しく実施不可能だ語ったと記事は紹介しています

米国務省のMolly Pheeアフリカ担当次官補は、スーダンの米国大使館を離陸したヘリ3機は、エチオピア政府の許可を得て、スーダンから場所非公表のエチオピア国内の飛行場にいったん着陸し、同飛行場で給油を受けたと明らかにし、他にジブチとサウジ政府の支援を得て実施した避難作戦だったと語ったようです

MH-47 Sudan3.jpg米国大使館員が米軍によって国外退避することは極めて珍しい事象で、2021年にアフガニスタンから米国民が緊急退避した以外は、ほとんどのケースで米大使館員は民間輸送手段でこれまでは任国から国外退避してきたとのことです

まぁ・・・米国政府として全力を尽くしたことは間違いありませんし、これ以上どうしようもなかった状況だったと思いますが、後々様々に議論されるであろう米国大使館員約70名のスーダン脱出作戦をご紹介しておきます

アフガニスタン緊急避難作戦
「米軍によるアフガン避難民輸送作戦」→https://holylandtokyo.com/2021/08/25/2158/ 
「C-17輸送機1機に823名も」→https://holylandtokyo.com/2021/08/22/2152/

アフガン避難関連
「約2万名のアフガン避難民が米軍基地に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/18/2606/
「米本土米軍基地にアフガン避難民5.3万人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-26
「アフガン語通訳1.8万人を特別移民認定へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-26
「タリバンに渡った米国製兵器」→https://holylandtokyo.com/2021/08/31/2175/

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豪州でのTalisman Sabreを過去最大の兵站演習に [Joint・統合参謀本部]

米豪主催で日韓インドネシアが参加
兵站を重点に従来の4倍規模の装備物資輸送
米軍兵站指揮所を始めて海外に設置
日本の補給拠点も有事用に再構築予定

Talisman Sabre 2023.jpg4月7日付Defense-Newsは、米陸軍が7月から豪州を中心に行う隔年実施の米豪共同陸軍演習「Talisman Sabre」を、対中国を想定した兵站(物資輸送・補給・維持整備)に特化した演習として計画しており、日韓インドネシアを巻き込み、装備物資輸送量が従来比4倍規模になる史上最大規模の兵站演習になろうと紹介しています

先日取り上げたように、米陸軍は大きな課題となっている対中国作戦の兵站支援問題や、ウクライナの教訓から兵站改革の必要性を痛感し、陸軍内に専門の改革チームCFT(cross-functional teams)を創設して、米本土から遠く、かつ厳しい戦いが予期される戦域での「contested logistics」戦略や実施計画を煮詰めると発表しているところです。

Talisman Sabre 2023 3.JPG米太平洋陸軍はその一環として、年間に複数回計画されている「Operation Pathways」演習を通じ、「兵站改革」に取り組むことになっており、特に昨年から力を入れているフィリピンでの同演習では、地域全体の兵站を支える「Theater Distribution Center」を設置して年間の同演習を支える体制を構築したり、フィリピン内複数拠点と連携して物資配分等する訓練をより複雑化して強化を予定しているようです

今年7月からの豪での「Talisman Sabre」演習は、これまで陸上作戦主体だったものを「兵站中心」に大きく変更して兵站重視を打ち出したもので、遅まきながらの感は否めませんが、米陸軍としての姿勢を良く反映しています。以下では今年の「Talisman Sabre」演習の特徴をご紹介します

Talisman Sabre 2023 2.jpg●米太平洋陸軍の演習の兵站司令部は、従来ハワイのオアフ島に置かれていたが、今回は初めて海外設置に挑戦して豪州東海岸中部ブリスベーンに置き、他軍種や豪州のメンバーも同居する全く新しい合同兵站センター形態で行う
●豪州内2か所の兵站活動拠点も、実戦を想定して分散した2か所(一つは豪北海岸のTownsville、もう一つは約2600㎞離れた東海岸北部のDarwin)に置き、西太平洋地域の広大な兵站支援を体感する場とする

Army Preposition S.jpg●経験のない17両のM1戦車輸送や400個もの備蓄パック輸送を含む輸送負荷を課し、事前備蓄品洋上保管船(Army Prepositioned Stock Afloat ship)や未整備な海岸に「映画プライベートライアン風に」上陸する着上陸輸送船(watercraft)、約400mの人工埠頭を活用する西太平洋の島々への物資輸送想定の訓練実施

●不整地海岸の上陸地点から兵站活動拠点Townsvilleまで、約160㎞を戦車部隊が自力で移動する訓練実施
●我の兵站活動全般に対する敵の妨害活動を付与し、兵站活動の強靭性や脆弱性を検証

●豪州の外来生物進入への厳しい姿勢に対応するため、例えば「マダラコウラナメクジ:leopard snail」が車両に付着して侵入しないよう、ハワイの施設で豪州へ持ち込む車両や装備の徹底的な洗浄を数か月かけて行っている
/////////////////////////////////////

army watercraft.jpg同記事は、どの演習での実施事項か、演習外での実施かは明確にしていませんが、日本に既に配備されている「配送センター:distribution center」の「再構築・改編:reconfigure」を、米陸軍が計画していると説明しています

また記事は、フィリピンでの活動拠点が昨年演習時の4か所から、今年は9か所に増強されるとも報じており、対中国でアジアの重要なピースであるフィリピンと米国の関係が改善&強化されつつあるのであれば、それは素晴らしいことだと思います。

兵站支援関連の記事
「兵站改革目指しCFT設置」→https://holylandtokyo.com/2023/04/10/4469/
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「改善提案最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
「ウへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/

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ロッキードがLRASMとJASSM増産ライン開設 [Joint・統合参謀本部]

LRASMとJASSMあわせ年500発製造体制から
年間1000発製造体制用の生産ラインオープンと
ただ海空軍の予算要求総計は2024年度118発

LRASM4.jpg4月3日付米空軍協会web記事が、対中国や台湾有事に最もニーズが高いのに備蓄量が不足している兵器の一つで、射程約1000㎞の空中発射型の兄弟巡航ミサイルLRASM(対艦攻撃用)とJASSM(対地攻撃用)に関し、製造企業ロッキード社が2番目の製造ラインを開設して従来の2倍の生産能力(2弾種併せて年間500発強の従来製造能力から、年間計1000発体制に)を確保しつつあると報じています

特に台湾有事に最もニーズが高いと言われているLRASMは、研究者によれば800-1000発少なくとも必要だと見積もられていますが、現保有量は200発程度で、過去2022年までの調達量は年間海空軍併せて38発、2023年は88発で、必要数に達するのに10年必要だと各方面から懸念の声が上がっていたところです

JASSM Rapid Dragon.jpgちなみに、米議会で議論が始まっている2024年度予算案では、ウクライナの教訓から弾薬の調達数が増加しており、LRASMを海軍が91発、空軍が27発の計118発要求しているとのことで、更に米空軍は年間調達量を4倍にして、2028年まで計380発を契約したいと求めている模様です

LRASMは1発が約4億円だそうですが、ロッキードのLRASM担当営業責任者は、4月3日に米海軍協会Sea-Air-Space会議で、「国防省から弊社に対し、製造能力を大増強しろとの強い要請があり対応した」、「米軍からの要請に応じて対応可能な生産能力確保に取り組んでおり、従来のアラバマ州Troyの工場に第2製造ラインを開設し、自動化推進や製造効率改良に努めている」と説明しています。

JASSM7.jpgまた、地上攻撃型のJASSMとも構造や部品の共通性が高く、同じ製造ラインで生産可能と言うことで、柔軟にLRASMとJASSMの生産増強要望に対応できるとも同責任者は語っています

更に同ロッキード責任者は、米軍がウクライナに提供して活躍している多連装ロケット発射機HIMARSに、LRASMを搭載して発射できるよう改良に取り組んでいるとも語り、機動性のあるHIMARSに搭載して発射機の残存性を確保しつつ、空対艦ミサイルのLRASMを地対艦ミサイルとして活用しようとしていることを明らかにしています

また、現在は空軍B-1爆撃機と海軍FA-18からのみ発射可能なLRASMを、F-35戦闘機や対潜哨戒機P-8から発射できるよう取り組んでいるとも語りました
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B-1からのLRASM発射と標的命中映像約1分


ロシアによるウクライナ侵略勃発後、元米太平洋軍作戦部長やCSIS研究レポート等々から、LRASM生産増や備蓄増が極めて重要だとお伝えしてきましたが、現在でもLRASMとJASSMあわせ年500発製造可能で、その製造能力が1000発に拡大との話を聞き、拍子抜けいたしました(本当なのか、よく確認する必要を感じております)

LRASM6.jpgただ実際には、CSISレポートによれば、空対艦ミサイルLRASM、空対地ミサイルJASSM、艦対艦ミサイルSM-6、対艦トマホークミサイル等の新規発注&製造には(原材料や部品の確保を含めて)20か月以上が必要であるとの指摘もあり、「(大規模紛争の場合)保有備蓄量は僅か1週間で底をつく程度」の現状への危機感は持ち続ける必要があるのでしょう

それにしても、1発が約4億円程度のLRASMを、どうして年間100発程度調達して備蓄しておく動きが無かったのでしょうか・・・戦闘機や空母が優先で、弾薬は2の次との慣習が根強く残っていることが問題です。それから、LRASMやJASSM以外の弾薬兵器が、このように簡単に増産できるとは限りませんのでご注意を

LRASM不足関連の記事
「CSISが台湾有事のWar-Game」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/

米空軍の弾薬関連予算
「2023年度予算案の各弾薬要求数」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-04-04

JASSM-ER関連記事
「高市議員のCHAMPはJASSM搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-11
「JASSMまだまだ射程延伸」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-15
「更なる射程延伸開発契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-09
「ポーランドに70発輸出承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30
「B-52をJASSM搭載に改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1

LRASM関連の記事
「LRASM開発状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17-1
「米軍は対艦ミサイル開発に力点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「ASB検討室の重視10項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-04
「LRASMの試験開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-23
「新対艦ミサイルLRASM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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米陸軍が対中国年頭に兵站改革チームCFT創設へ [Joint・統合参謀本部]

今頃感ありありですがcross-functional teamsを
2040年代を目指す遠大な・・・
自動化、事前備蓄、強靭化、ウクライナ教訓

contested logistics2.jpg3月29日付Defense-Newsが、米陸軍のFutures Commandと兵站コマンドが協力し、陸軍体制改革に取り組む「CFT:cross-functional teams」を対中国を念頭とした兵站(物資輸送・補給・維持整備)改革のために立ち上げ、米本土から遠く、かつ厳しい戦いが予期される戦域での「contested logistics」戦略や実施計画を煮詰めると報じています

このCFTは米陸軍Futures Command内に2018年に3分野(長射程精密攻撃火力Long-Range Precision Fires, 次世代戦闘車両Next-Generation Combat Vehicles and 将来垂直離陸型輸送ヘリFuture Vertical Lift)で編成されましたが、今回の兵站専用CFTは上記3分野以外で初のCFTとなる模様です

contested logistics4.jpg新CFTの細部は数か月後に発表するとFutures Command司令官のJames Rainey大将が28日に講演で語っていますが、兵站コマンドの関与を指示したWormuth陸軍長官は、従来のように敵の妨害なく自由に輸送活動が可能な環境に無い場所で、大規模な兵員や弾薬や装備輸送をどのように実現するかを検討する使命であり、「contested logistics」検討だと表現し、

Futures Command司令官は、「Top focus areas」として軍需産業界と協力し、輸送経路の安全性を改良向上し、輸送部隊の生存性や交戦能力を増強し、兵站物資の軽量化を図ることなどに言及しています

contested logistics5.jpg兵站コマンドで新CFT業務を所掌するMohan副司令官は、「2040年までに完全な改革を目指すもので、CFTはアジア太平洋戦域に焦点をあて戦略や実施計画を立案する。最も厳しい戦いが予期され、米本土から極めて遠く、海に隔てられている困難な環境での検討だ」と述べ、数週間後から複数の関連WarGameを開始すると語っています

更に米軍全体で分散運用を目指す観点から、地域諸国との関係を強化して小規模な展開拠点を新たに設置する努力を続けることや、併せてそれら拠点に弾薬や装備の事前集積を強化する考えをMohan副司令官は示しています

contested logistics3.jpg前線基地での装備や弾薬の事前備蓄について同副司令官は、ウクライナへの支援活動を通じて多くの教訓が得られ、敵の妨害がない場合の輸送能力把握に役立ったが、相手先の受け入れ態勢整度合いや保管設備はケースバイケースであり、事前備蓄と有事緊急輸送のバランスは場所により平時から慎重に見極めておく必要があることを強く感じたとコメントしています

更に、米陸軍の指揮統制システム改革(Project Convergence)と「contested logistics」を有機的に連携させ、必要な物資や装備の存在場所をリアルタイム把握とニーズ発生場所をAIも活用して結び付け、効率的な輸送計画作成や必要な機材の配分優先順位決定に活用して効率化を進めたいとMohan副司令官は語っています
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contested logistics.jpg2026年には中国による台湾への作戦が始まる恐れがあると太平洋軍司令官が危機感を表明する中、2040年に完成を目指す「contested logistics」検討を数か月後から具体的に進めるよ言われても、その時間感覚は大丈夫ですか? 新CFTプロジェクトの説明ぶりとしてはよく考えた方が良いのでは? とご忠告したくなるのは私だけでしょうか?

まぁ、現段階では細部が良くわからない取り組みですので、とりあえず・・・と言うことでご紹介しておきます

兵站支援関連の記事
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「米空軍改善提案の最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
「ウへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/

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