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米海軍トップも交代へ:再びドタバタの差し替え劇? [Joint・統合参謀本部]

現在の太平洋海軍司令官が海軍人トップへ
直前まで女性大将推薦で動いていたはずが
「最悪の人事情報管理」と関係者吐露

Paparo.jpg6月12日NBC News等米メディアが、2019年8月から米海軍トップのCNO(chief of naval operations)を勤め、今年8月21日退役が決定していMike Gilday海軍大将の後任に、オースチン国防長官が大統領に、現在の太平洋海軍司令官であるSamuel Paparo海軍大将を推薦したと報じました。

Franchett2.jpg先週から12日昼の段階では、現在の副CNOである女性Lisa Franchetti大将が初めて女性として4軍のトップになると様々なソースが報じ、実際米海軍や国防省内でもその方向でスタッフが動いていた事実が確認されていたようですが、海軍現役やOB幹部から「最悪の人事情報管理」だ・・・との声が上がるほど「情報だだ漏れ」状態だったようです

米海軍報道官や国防省は「それは大統領が決定する事項だ」とノーコメントを貫いているようで、厳密に言えば、国防長官の推薦を受け、最終的にバイデン大統領が米議会への推薦者を判断することになりますが、12日付Defense-Newsによれば、匿名の2名の関係海軍高官がPaparo海軍大将推薦を認めたようです

Paparo3.jpg太平洋海軍司令官ポストは、対中国作戦を海上・水中作戦を立案&実行する重要ポストですが、これまでは同ポストから一段上の太平洋軍司令官に就任するケースが多く、実際現在のインドアジア太平洋軍司令官(対中国作戦の大統領直属の指揮官)であるJohn Aquilino大将も、太平洋海軍司令官から就任しています

女性Franchetti大将も Paparo大将もともに1964年生まれで、共に空母戦闘群司令官やナンバー艦隊司令官(前者が第6艦隊、後者が第5艦隊)を勤め、前者が欧州アフリカ艦隊司令官、後者が中央軍&太平洋軍海軍司令官を務めた経歴を持ちますが、統合職では前者がJ-5経験者ですが、後者は主要な統合ポスト経験がありません。

Paparo2.jpgアジア太平洋に関しては、前者は在韓米海軍司令官経験のみで、後者は現在の太平洋海軍司令官で分があります。女性Franchetti大将も Paparo大将も、アナポリスの海軍士官学校出身「ではない」点では同じです

なぜ、直前に外野から見て「どんでん返し」になったのかは邪推しかありませんが、「最悪の人事情報管理」による女性トップ誕生との噂流布が国防省レベル以上で嫌われたか、中央軍&太平洋軍海軍司令官の経験がより重視されたのか・・・・もしれません

Franchett.jpgただ米海軍トップ人事のごたごたは現CNO就任時の4年前にもあり、米議会の承認も得て2019年8月1日にCNO就任が決定していた人物が、最終段階の「身辺調査」で不適切な過去が判明し、7月7日に辞任退役に追い込まれる事態が発生(下の過去記事参照)、

グダグダの装備品開発(空母、LCS等々)、艦艇の衝突事故や火災事故、ワイロ事件等々で「何をやってもダメな米海軍」と揶揄される中、米海軍人事全体が大混乱に陥り、本来なら別の大将の中から米海軍トップを選出するはずが候補者が見当たらず、中将の中から選出する「異例中の異例」な経緯をたどった記憶も生々しいところです

海軍トップは大統領の正式推薦まで予断を許さない雰囲気ですが、いずれにしても、統合参謀本部議長も含め、陸海空海兵隊のトップが全て同時に交代する夏の人事となりました。

Samuel Paparo海軍大将の公式経歴
祖父・父も米海軍勤務の筋金入りです
→ https://www.cpf.navy.mil/Leaders/Article/2628260/admiral-samuel-j-paparo/ 

4年前の米海軍トップ交代の大混乱
大本命が最終段階で過去の不始末でクビに
「異例:大将に適任者なく中将から」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-19
「Moran大将突然の辞任」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-09

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早くもファーストレディーとBrown大将夫人が家族ケアで協力へ [Joint・統合参謀本部]

バイデン夫人の「Joining Forces」とBrown夫人の「Five and Thrive」で
環境は異なれど、日本の自衛隊家族ケアの参考に

Brown.jpg5月29日付米空軍協会web記事は、次の米軍統合参謀本郡議長にバイデン大統領が推薦しているBrown空軍参謀総長とSharene Brown同夫人が、空軍参謀総長夫妻として米空軍人家族の福利厚生や生活の質改善のため取り組んできた2021年12月開始の「Five and Thrive」取り組みと、バイデン夫人が2021年4月から開始している軍人家族や退役軍人等支援の取り組み「Joining Forces「が、今後連携して全米軍を対象に推進される事になったと報じています

Brown空軍参謀総長が上院の承認を得て統合参謀本部議長に就任することを織り込み済の「先走った」お話ですが、Brown空軍大将を次期統合参謀本部議長に推薦すると、ホワイトハウスの庭で発表会見(5月25日)を行った際にバイデン大統領がスピーチで、

Brown3.jpg「シェレーン(Brown大将の夫人のファーストネーム)とCQ(Brown大将の愛称)は、米軍人とその家族の健康と福利厚生に献身的な貢献をしてきた真のパートナーです。私とJill(大統領夫人のファーストネーム)は、この課題についてより緊密にBrown夫妻と取り組んでいきたい」、

更に「もし軍人家族や退役軍人や軍人を支える人々に、彼らの繁栄・発展のために必要なものが提供されなければ、米軍の精強さを維持することは出来ない」、「Brown夫妻の「Five and Thrive」取り組みは軍人家族が影響を受けている大きな5つの問題に取り組むものであり、(志を同じくする)大統領夫人と次期議長夫人が協力を深めるのは自然なことである」と語って連携協力が発表されています

five and thrive.jpgBrown空軍参謀総長夫妻が空軍内で取り組む「Five and Thrive:5つの繁栄発展」の5つは、軍事家族が世界中を転勤しながら直面する課題「Childcare, Education, Healthcare, Housing, and Spouse Employment」の5分野を対象とし、末尾に紹介する専門webサイトでは、各分野ごとに最新の空軍の取り組みや軍人家族が利用できるサービス等を紹介しており、

更に月刊雑誌「Spouse Situation Report」を発行し、webサイトの情報をより身近な事例や具体的な家族を例に分かりやすく紹介する取り組みが行われているようです

Brown2.jpgSharene空軍参謀総長夫人は、2022年の米空軍協会航空宇宙サイバー会議にもBrown大将とともに登壇して家族ケアの重要性を扱うパネル討議を行っており、その中で「我々軍人家族がどこかに赴任した際、誰かが助けてくれるだろうとの思いがあれば、より心地よいし不安が少なくなるでしょう」と空軍各級指揮官や参加者に語っています

バイデン大統領は5月25日にBrown大将夫妻を紹介した際、「Brown夫妻は常に家族第一を念頭に将官勤務を含む軍人生活を送ってこられたが、制服を着ている軍人だけでなく、家族全体で国に奉仕していることをよく理解してこの問題に取り組んで来られた」とも語り、米軍家族の苦労や貢献が国の安全を支えていることに改めて敬意を表しています
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five and thrive2.jpgファーストレディーと軍事トップ夫人(候補)がタッグを組むやり方は如何にも米国式ですが、人材育成や組織活性化のため転勤が多い自衛官家族も似たような悩みを抱えていますので、以下の紹介するサイトの内容を参考にしていただき、様々なレベルで国防に携わる家族を支えていただきたいと考え、本記事をご紹介しました

米空軍の「Five and Thrive」取り組みwebサイト
https://www.fiveandthrive.org/

Jill Biden大統領夫人の「Joining Forces」webサイト
https://www.whitehouse.gov/joiningforces/ 

パイロットの子弟教育環境が定着率に影響
「コロナ沈静後のパイロット不足や争奪戦に備え」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「5年連続で米空軍はパイロット養成目標未達成」→https://holylandtokyo.com/2020/02/27/838/

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米海兵隊の次期司令官候補は改革推進派 [Joint・統合参謀本部]

現在の副司令官で現改革構想とりまとめ人物
改革案への山のような批判もろともせず今日まで
第1海兵師団長をいじめ問題で解任された辛酸も
陸軍・空軍に続き、海兵隊も軍人トップが夏交代へ

Smith5.jpg5月31日付でバイデン大統領が、現在のDavid Berger海兵隊司令官の後任候補として、米海兵隊副司令官で海兵隊改革構想「Force Design 2030」を実質的に取りまとめたEric Smith海兵隊大将を推薦しました

5月24日には米陸軍参謀総長James McConville大将の後任候補に、同様にNO2である陸軍副参謀総長のRandy George陸軍大将が推薦され、米空軍でも下馬評では現副参謀長長のAllvin大将が最有力とされており、トップの仕事を横で見て把握している「手堅い」No2を後任に押す流れがこの夏は顕著です

Smith.jpgSmith海兵隊大将は、Texas A&M大学卒業で1987年入隊の推定59歳で、歩兵士官としてキャリアを積んだ人物です

最近ではイラクへ2回とアフガニスタン1回の従軍経験を持ち、特にアフガニスタンでは死闘が繰り広げられた「Helmand province」で、自らが旅団を率いて戦っています

その際の経験を踏まえてか、海兵隊兵士が背負う最前線での責任が急激に増しており、その負担を軽減する必要があると、海兵隊の中や議会だけでなく、記者団にも熱弁することが最近増えていると関連報道は伝えています

Smith2.jpg一方で、第1海兵師団長を務めていた際には、部隊内の「いじめ問題:hazing」に関連しSmith少将(当時)のメールが暴露され、軍法会議で「いじめ問題:hazing」への管理責任を問われて2018年に師団長を解任された経歴も取っていますが、一度レールを外れながら現在の位置にいる点で、真の実力者との声もあるようです

Smith大将が今回海兵隊司令官に推薦された背景には、現在の海兵隊改革構想である「Force Design 2030」を、副参謀総長になる前のポスト「deputy commandant for combat development and integration」として実質的に取りまとめていた点があげられています

Smith3.jpg「Force Design 2030」は、従来海兵隊の中心であった戦車や大砲部隊を削減し、無人機や対艦ミサイルを中心に据えて沿岸から敵艦艇を攻撃して統合作戦に寄与する方向を打ち出し、海兵隊内部や海兵隊OBから激しい非難を受けましたが、現在のBerger海兵隊司令官とともに正面から批判非難に立ち向かい、

2022年の海兵隊関係者が一堂に会する恒例の会議では、「海兵隊の信念、戦いの精神、攻撃姿勢、空対地専門部隊、部隊内連携等々は何も変わっていない」、「もし海兵隊の基礎が変わったと考える者がいるなら、Parris Island(海兵隊の新兵教育部隊)に行って確かめてきてほしい」と熱く語ったことが、Smith大将の評価を高めたと報道されています
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Smith4.jpgいずれにしても、バイデン政権が米海兵隊の改革方針継続に「GO」を出したと広く米国では認識されており、沖縄海兵隊の実質削減と後退の動きは、このまま継続すると見るべきでしょう

依然として米軍高官人事は、「米本土での妊娠中絶を希望する女性兵士への旅費支給」に反対するTommy Tuberville上院議員(共和党)によって停滞が続いており、軍内外からブーイング状態が続いていますが、現在の米軍の対中国対処方向が維持される流れです

Eric Smith海兵隊大将の公式経歴
https://www.marines.mil/CM/Biographies/Bio-Display/Article/2478637/gen-eric-m-smith/

米海兵隊の改革
「沖縄海兵隊4千名転進先グアム基地設置式」→https://holylandtokyo.com/2023/02/01/4230/
「沖縄にMLR設置で日米合意」→https://holylandtokyo.com/2023/01/13/4148/
「ハワイで創設のMLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「MLRを日本にも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/726/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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次の米軍人トップ候補に黒人Brown空軍大将が [Joint・統合参謀本部]

Colin Powell氏に続き2人目の黒人統合参謀本部議長へ
空軍大将の同ポスト就任は承認されれば18年ぶり

Brown2.jpg5月4日頃からの各種メディア報道によれば、次の米軍人トップである統合参謀本部議長(現在はMark Milley陸軍大将)候補に、現在の米空軍参謀総長であるCharles Q. Brown Jr大将が推挙されたとのことです。

Brown大将が上院で承認されれば、1989年から93年(湾岸戦争時)に初の黒人として同ポストについたColin Powell陸軍大将(後の国務長官)に続く30年ぶり2人目の黒人議長となり、空軍大将としては2005年に退任したRichard Myers大将依頼18年ぶりの空軍からの米軍人トップとなります。なお同ポスト創設以来73年の歴史の中で、空軍大将はこれまでにわずか4人です

Brown.jpgBrown大将が太平洋空軍司令官から空軍参謀総長に推薦された際も、陸海空海兵隊トップに初の黒人就任だと大きな話題になり、今回も何かと話題になりそうですが、Brown大将の経歴を見れば、アジア太平洋のみならず、欧州アフリカと中東でも主要ポストを歴任した、現在の複雑な国際環境にふさわしい人物だとご理解いただけると思います

先ず欧州アフリカ地域では、ロシアによるクリミア侵略が始まった直後の2014年から、欧州&アフリカ米空軍司令部(@ドイツ)で戦略作戦部長(director of operations for strategic deterrence and nuclear integration)を務めており、イタリアのAviano基地で航空団司令官を務めた経験と併せ、露のウクライナ侵略がホットな情勢下で地域の細部にも精通しています

Brown nomination.jpg中東では2018年から20年に中東米空軍司令官(兼ねて中央軍JFACC)として、中東における対テロ作戦で陸海空海兵隊の全ての航空戦力運用を担当した経験に加え、中央軍副司令官として地域諸国との連携を含めた政軍関係の複雑な部分も経験した人材です

アジアでは、若きF-16パイロットとしての韓国Kunsan基地が初任地で、同基地航空団司令官も後に務めたほか、2020年春からの太平洋空軍司令官(兼ねてアジア太平洋軍JFACC)としての2年間で、北朝鮮情勢から中国、更には極東ロシア軍情勢まで、インド・アジア太平洋地域への見識を十分すぎるほど蓄えたと言えましょう

1962年生まれの61歳で、空軍士官学校ではなくテキサス工科大学出身ですが、大尉として米空軍参謀総長(早期辞職したFogelman大将)の副官室勤務を経験し、空軍大学のACSC(指揮幕僚コース)を優秀成績者として卒業し、大佐として空軍長官直属の特別検討チーム長を務めた経験を持つなど、早くから将来を嘱望されたパイロットであったことが伺えます

Carlisle UK.jpg米空軍トップに推薦された際もBrown大将を推薦する声が多く、日本でもおなじみのカーライル退役大将が「Brown大将は、厳しい仕事を部下に押し付けたり、他部署に責任を押し付けることは決してしなかった。静かな男だが、厳しい決断や困難な仕事から逃げることは決してなかった」、「本当に必要と思うことには徹底的にこだわり、厳しい予算審議でも、周到な準備を基に熱い情熱で議論に臨み、同時に最後に折り合うことにも潔かった」と評し、

James-House.jpgJames元空軍長官は、「ペンタゴンでの統合職勤務がないという人もいるが、難しい中東作戦遂行に際し、各軍種のみならず、米議会とのパイプ役としても精力的で信頼のおける働きぶりが印象的で、国防省の外でも評判の良い人材」だと人柄を推薦しています

その信念の強さを示すエピソードとして、黒人への警察の厳しい対応が社会的問題となっていた空軍トップ就任直前に、黒人である自身の空軍での体験を「白人の2倍努力しなければ認められなかった」等と赤裸々に語って映像を公開し、大きな話題となったこともありました。

Brown5.jpg空軍参謀総長就任後は、小冊子「変化を加速せよ。さもないと敗北する:Accelerate Change or Lose」を空軍内に配布して、対中国やロシアに向けた変化を急ぐ姿勢を示すと同時に、ACE構想普及を推進すると同時に、難しい国際情勢と軍事環境にあって「Airpower is the answer」との言葉を使って空軍の重要性を訴えるなど、信念の人であることで内外から評価の高い人物です

対中国や台湾有事が差し迫っていると危機感が高まる米国防省で、大平洋空軍司令官や空軍戦闘コマンド司令官へのアジア太平洋の経験豊富な「専門家」人事案が相次いで明らかになる中、米軍人トップの統合参謀本部議長にも対中国有識者が配置されることで、米軍の体制は対中国モードに突き進んでいます

次の米空軍参謀総長が誰になるかも気になりますが・・・

Brown太平洋空軍司令官の関連
「弾薬調達の効率性優先を変更」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CCAは多様な任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/
「KC-YとZはKC-46の改修型へ?」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「行動指針を小冊子で」→https://holylandtokyo.com/2020/09/02/471/
「Brown大将が次期空軍トップ候補に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-03
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

黒人としての空軍勤務経験を赤裸々に語る
「空軍へ来たれ!募集映像が話題」→https://holylandtokyo.com/2021/08/10/2087/
「Brown大将が人種問題を経験から語る」→https://holylandtokyo.com/2020/06/07/617/

2023年3月発表の米空軍新作戦コンセプト
Air Force Future Operating Concept (AFFOC)
https://www.airandspaceforces.com/browns-future-operating-concept-airpower-is-the-answer/

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米国大使館員の国外退避は米国民間人1.6万人置き去りで [Joint・統合参謀本部]

在スーダンの米国一般人約16000名は放置
100名の米軍特殊部隊がヘリ3機で70名の米大使館員を

MH-47 Sudan.jpgAP通信を引用した22日付MIlitary.comは、4月23日の日曜日に行われた在スーダン米国大使館員の国外避難は、スーダンに残る約1.6万人の米国一般人を置き去りにしたままの脱出作戦だったと報じています

在スーダンの米国大使館は、22日土曜日早朝に在スーダン米国民に対し、「首都ハルツームの不安定な状況や空港閉鎖のため、一般米国民の米国政府主導による退避を企てられる状況にはない」との緊急情報を発出していたとのことです

MH-47 Sudan2.jpg作戦は、3機のMH-47特殊作戦ヘリに分乗した約100名の米軍特殊作戦部隊兵が、スーダンの首都ハルツームにある米国大使館内のヘリポートに展開し、約70名の大使館員をヘリに収容し、着陸から1時間以内に再離陸して、隣国エチオピアの飛行場まで輸送したもので、作戦間に攻撃を受けたりけが人が出たとの情報は無い様です

記事によれば米国政府は、スーダン内で内戦状態にある2つの勢力の両方とコンタクトを取りつつ、米大使館員が国外退去するから攻撃等するなと最低限の連携を取りつつ、作戦を進めたようです

MH-47 Biden.jpgバイデン大統領は、作戦終了後直ちに米軍の行動に感謝する声明を発表し、同時には「私は米大使館員の類まれなる任務への貢献、それを支えた勇気とプロ意識、彼らが体現したスーダン国民との友情と絆を誇りに思う」と大使館員にメッセージを寄せ、Mark Milley米統合参謀本部議長は「大使館員を無事に国外脱出させた比類なき米軍兵士の技量に感謝する」と声明を出しています

更にバイデン大統領は、同国に残されている約1万6千名の米国一般人のスーダン国外退避を支援している専門チームからの情報を逐次受け、「(一般米国民のスーダン国外への避難を)可能な限り支援する(assist remaining Americans in Sudan “to the extent possible)」と述べています

MH-47 Sudan4.jpgしかし現実は厳しく、米国政府関係者は、残されている16000名の米国民の国外退避を支援する「大規模な作戦:a broader evacuation mission」は、情勢があまりにも厳しく実施不可能だ語ったと記事は紹介しています

米国務省のMolly Pheeアフリカ担当次官補は、スーダンの米国大使館を離陸したヘリ3機は、エチオピア政府の許可を得て、スーダンから場所非公表のエチオピア国内の飛行場にいったん着陸し、同飛行場で給油を受けたと明らかにし、他にジブチとサウジ政府の支援を得て実施した避難作戦だったと語ったようです

MH-47 Sudan3.jpg米国大使館員が米軍によって国外退避することは極めて珍しい事象で、2021年にアフガニスタンから米国民が緊急退避した以外は、ほとんどのケースで米大使館員は民間輸送手段でこれまでは任国から国外退避してきたとのことです

まぁ・・・米国政府として全力を尽くしたことは間違いありませんし、これ以上どうしようもなかった状況だったと思いますが、後々様々に議論されるであろう米国大使館員約70名のスーダン脱出作戦をご紹介しておきます

アフガニスタン緊急避難作戦
「米軍によるアフガン避難民輸送作戦」→https://holylandtokyo.com/2021/08/25/2158/ 
「C-17輸送機1機に823名も」→https://holylandtokyo.com/2021/08/22/2152/

アフガン避難関連
「約2万名のアフガン避難民が米軍基地に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/18/2606/
「米本土米軍基地にアフガン避難民5.3万人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-26
「アフガン語通訳1.8万人を特別移民認定へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-26
「タリバンに渡った米国製兵器」→https://holylandtokyo.com/2021/08/31/2175/

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豪州でのTalisman Sabreを過去最大の兵站演習に [Joint・統合参謀本部]

米豪主催で日韓インドネシアが参加
兵站を重点に従来の4倍規模の装備物資輸送
米軍兵站指揮所を始めて海外に設置
日本の補給拠点も有事用に再構築予定

Talisman Sabre 2023.jpg4月7日付Defense-Newsは、米陸軍が7月から豪州を中心に行う隔年実施の米豪共同陸軍演習「Talisman Sabre」を、対中国を想定した兵站(物資輸送・補給・維持整備)に特化した演習として計画しており、日韓インドネシアを巻き込み、装備物資輸送量が従来比4倍規模になる史上最大規模の兵站演習になろうと紹介しています

先日取り上げたように、米陸軍は大きな課題となっている対中国作戦の兵站支援問題や、ウクライナの教訓から兵站改革の必要性を痛感し、陸軍内に専門の改革チームCFT(cross-functional teams)を創設して、米本土から遠く、かつ厳しい戦いが予期される戦域での「contested logistics」戦略や実施計画を煮詰めると発表しているところです。

Talisman Sabre 2023 3.JPG米太平洋陸軍はその一環として、年間に複数回計画されている「Operation Pathways」演習を通じ、「兵站改革」に取り組むことになっており、特に昨年から力を入れているフィリピンでの同演習では、地域全体の兵站を支える「Theater Distribution Center」を設置して年間の同演習を支える体制を構築したり、フィリピン内複数拠点と連携して物資配分等する訓練をより複雑化して強化を予定しているようです

今年7月からの豪での「Talisman Sabre」演習は、これまで陸上作戦主体だったものを「兵站中心」に大きく変更して兵站重視を打ち出したもので、遅まきながらの感は否めませんが、米陸軍としての姿勢を良く反映しています。以下では今年の「Talisman Sabre」演習の特徴をご紹介します

Talisman Sabre 2023 2.jpg●米太平洋陸軍の演習の兵站司令部は、従来ハワイのオアフ島に置かれていたが、今回は初めて海外設置に挑戦して豪州東海岸中部ブリスベーンに置き、他軍種や豪州のメンバーも同居する全く新しい合同兵站センター形態で行う
●豪州内2か所の兵站活動拠点も、実戦を想定して分散した2か所(一つは豪北海岸のTownsville、もう一つは約2600㎞離れた東海岸北部のDarwin)に置き、西太平洋地域の広大な兵站支援を体感する場とする

Army Preposition S.jpg●経験のない17両のM1戦車輸送や400個もの備蓄パック輸送を含む輸送負荷を課し、事前備蓄品洋上保管船(Army Prepositioned Stock Afloat ship)や未整備な海岸に「映画プライベートライアン風に」上陸する着上陸輸送船(watercraft)、約400mの人工埠頭を活用する西太平洋の島々への物資輸送想定の訓練実施

●不整地海岸の上陸地点から兵站活動拠点Townsvilleまで、約160㎞を戦車部隊が自力で移動する訓練実施
●我の兵站活動全般に対する敵の妨害活動を付与し、兵站活動の強靭性や脆弱性を検証

●豪州の外来生物進入への厳しい姿勢に対応するため、例えば「マダラコウラナメクジ:leopard snail」が車両に付着して侵入しないよう、ハワイの施設で豪州へ持ち込む車両や装備の徹底的な洗浄を数か月かけて行っている
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army watercraft.jpg同記事は、どの演習での実施事項か、演習外での実施かは明確にしていませんが、日本に既に配備されている「配送センター:distribution center」の「再構築・改編:reconfigure」を、米陸軍が計画していると説明しています

また記事は、フィリピンでの活動拠点が昨年演習時の4か所から、今年は9か所に増強されるとも報じており、対中国でアジアの重要なピースであるフィリピンと米国の関係が改善&強化されつつあるのであれば、それは素晴らしいことだと思います。

兵站支援関連の記事
「兵站改革目指しCFT設置」→https://holylandtokyo.com/2023/04/10/4469/
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「改善提案最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
「ウへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/

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ロッキードがLRASMとJASSM増産ライン開設 [Joint・統合参謀本部]

LRASMとJASSMあわせ年500発製造体制から
年間1000発製造体制用の生産ラインオープンと
ただ海空軍の予算要求総計は2024年度118発

LRASM4.jpg4月3日付米空軍協会web記事が、対中国や台湾有事に最もニーズが高いのに備蓄量が不足している兵器の一つで、射程約1000㎞の空中発射型の兄弟巡航ミサイルLRASM(対艦攻撃用)とJASSM(対地攻撃用)に関し、製造企業ロッキード社が2番目の製造ラインを開設して従来の2倍の生産能力(2弾種併せて年間500発強の従来製造能力から、年間計1000発体制に)を確保しつつあると報じています

特に台湾有事に最もニーズが高いと言われているLRASMは、研究者によれば800-1000発少なくとも必要だと見積もられていますが、現保有量は200発程度で、過去2022年までの調達量は年間海空軍併せて38発、2023年は88発で、必要数に達するのに10年必要だと各方面から懸念の声が上がっていたところです

JASSM Rapid Dragon.jpgちなみに、米議会で議論が始まっている2024年度予算案では、ウクライナの教訓から弾薬の調達数が増加しており、LRASMを海軍が91発、空軍が27発の計118発要求しているとのことで、更に米空軍は年間調達量を4倍にして、2028年まで計380発を契約したいと求めている模様です

LRASMは1発が約4億円だそうですが、ロッキードのLRASM担当営業責任者は、4月3日に米海軍協会Sea-Air-Space会議で、「国防省から弊社に対し、製造能力を大増強しろとの強い要請があり対応した」、「米軍からの要請に応じて対応可能な生産能力確保に取り組んでおり、従来のアラバマ州Troyの工場に第2製造ラインを開設し、自動化推進や製造効率改良に努めている」と説明しています。

JASSM7.jpgまた、地上攻撃型のJASSMとも構造や部品の共通性が高く、同じ製造ラインで生産可能と言うことで、柔軟にLRASMとJASSMの生産増強要望に対応できるとも同責任者は語っています

更に同ロッキード責任者は、米軍がウクライナに提供して活躍している多連装ロケット発射機HIMARSに、LRASMを搭載して発射できるよう改良に取り組んでいるとも語り、機動性のあるHIMARSに搭載して発射機の残存性を確保しつつ、空対艦ミサイルのLRASMを地対艦ミサイルとして活用しようとしていることを明らかにしています

また、現在は空軍B-1爆撃機と海軍FA-18からのみ発射可能なLRASMを、F-35戦闘機や対潜哨戒機P-8から発射できるよう取り組んでいるとも語りました
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B-1からのLRASM発射と標的命中映像約1分


ロシアによるウクライナ侵略勃発後、元米太平洋軍作戦部長やCSIS研究レポート等々から、LRASM生産増や備蓄増が極めて重要だとお伝えしてきましたが、現在でもLRASMとJASSMあわせ年500発製造可能で、その製造能力が1000発に拡大との話を聞き、拍子抜けいたしました(本当なのか、よく確認する必要を感じております)

LRASM6.jpgただ実際には、CSISレポートによれば、空対艦ミサイルLRASM、空対地ミサイルJASSM、艦対艦ミサイルSM-6、対艦トマホークミサイル等の新規発注&製造には(原材料や部品の確保を含めて)20か月以上が必要であるとの指摘もあり、「(大規模紛争の場合)保有備蓄量は僅か1週間で底をつく程度」の現状への危機感は持ち続ける必要があるのでしょう

それにしても、1発が約4億円程度のLRASMを、どうして年間100発程度調達して備蓄しておく動きが無かったのでしょうか・・・戦闘機や空母が優先で、弾薬は2の次との慣習が根強く残っていることが問題です。それから、LRASMやJASSM以外の弾薬兵器が、このように簡単に増産できるとは限りませんのでご注意を

LRASM不足関連の記事
「CSISが台湾有事のWar-Game」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/

米空軍の弾薬関連予算
「2023年度予算案の各弾薬要求数」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-04-04

JASSM-ER関連記事
「高市議員のCHAMPはJASSM搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-11
「JASSMまだまだ射程延伸」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-15
「更なる射程延伸開発契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-09
「ポーランドに70発輸出承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30
「B-52をJASSM搭載に改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1

LRASM関連の記事
「LRASM開発状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17-1
「米軍は対艦ミサイル開発に力点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「ASB検討室の重視10項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-04
「LRASMの試験開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-23
「新対艦ミサイルLRASM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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米陸軍が対中国年頭に兵站改革チームCFT創設へ [Joint・統合参謀本部]

今頃感ありありですがcross-functional teamsを
2040年代を目指す遠大な・・・
自動化、事前備蓄、強靭化、ウクライナ教訓

contested logistics2.jpg3月29日付Defense-Newsが、米陸軍のFutures Commandと兵站コマンドが協力し、陸軍体制改革に取り組む「CFT:cross-functional teams」を対中国を念頭とした兵站(物資輸送・補給・維持整備)改革のために立ち上げ、米本土から遠く、かつ厳しい戦いが予期される戦域での「contested logistics」戦略や実施計画を煮詰めると報じています

このCFTは米陸軍Futures Command内に2018年に3分野(長射程精密攻撃火力Long-Range Precision Fires, 次世代戦闘車両Next-Generation Combat Vehicles and 将来垂直離陸型輸送ヘリFuture Vertical Lift)で編成されましたが、今回の兵站専用CFTは上記3分野以外で初のCFTとなる模様です

contested logistics4.jpg新CFTの細部は数か月後に発表するとFutures Command司令官のJames Rainey大将が28日に講演で語っていますが、兵站コマンドの関与を指示したWormuth陸軍長官は、従来のように敵の妨害なく自由に輸送活動が可能な環境に無い場所で、大規模な兵員や弾薬や装備輸送をどのように実現するかを検討する使命であり、「contested logistics」検討だと表現し、

Futures Command司令官は、「Top focus areas」として軍需産業界と協力し、輸送経路の安全性を改良向上し、輸送部隊の生存性や交戦能力を増強し、兵站物資の軽量化を図ることなどに言及しています

contested logistics5.jpg兵站コマンドで新CFT業務を所掌するMohan副司令官は、「2040年までに完全な改革を目指すもので、CFTはアジア太平洋戦域に焦点をあて戦略や実施計画を立案する。最も厳しい戦いが予期され、米本土から極めて遠く、海に隔てられている困難な環境での検討だ」と述べ、数週間後から複数の関連WarGameを開始すると語っています

更に米軍全体で分散運用を目指す観点から、地域諸国との関係を強化して小規模な展開拠点を新たに設置する努力を続けることや、併せてそれら拠点に弾薬や装備の事前集積を強化する考えをMohan副司令官は示しています

contested logistics3.jpg前線基地での装備や弾薬の事前備蓄について同副司令官は、ウクライナへの支援活動を通じて多くの教訓が得られ、敵の妨害がない場合の輸送能力把握に役立ったが、相手先の受け入れ態勢整度合いや保管設備はケースバイケースであり、事前備蓄と有事緊急輸送のバランスは場所により平時から慎重に見極めておく必要があることを強く感じたとコメントしています

更に、米陸軍の指揮統制システム改革(Project Convergence)と「contested logistics」を有機的に連携させ、必要な物資や装備の存在場所をリアルタイム把握とニーズ発生場所をAIも活用して結び付け、効率的な輸送計画作成や必要な機材の配分優先順位決定に活用して効率化を進めたいとMohan副司令官は語っています
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contested logistics.jpg2026年には中国による台湾への作戦が始まる恐れがあると太平洋軍司令官が危機感を表明する中、2040年に完成を目指す「contested logistics」検討を数か月後から具体的に進めるよ言われても、その時間感覚は大丈夫ですか? 新CFTプロジェクトの説明ぶりとしてはよく考えた方が良いのでは? とご忠告したくなるのは私だけでしょうか?

まぁ、現段階では細部が良くわからない取り組みですので、とりあえず・・・と言うことでご紹介しておきます

兵站支援関連の記事
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「米空軍改善提案の最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
「ウへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/

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イージス艦Arleigh Burke級1番艦の5年延命決定 [Joint・統合参謀本部]

71隻保有のDDG-51イージス艦を個別に精査し延命へ
「DDG Modernization program」計画の一環で
次期LSC(large surface combatant)の見通しが暗い中

Arleigh Burke2.jpg3月14日米海軍大西洋水上艦隊司令部は、アーレイバーク級駆逐艦(DDG51:通称イージス艦)の1番艦で、就航1991年の駆逐艦「Arleigh Burke」の船体状況を精査し、「DDG Modernization program」計画の対象とすることを決定したと発表しました。これにより従来2026年には耐用年数の35年を迎え退役予定だった同艦艇を、40歳となる2031年まで延命して使用することになりました

アーレイバーク級駆逐艦(DDG51)は現在71隻が建造され、大西洋水上艦隊司令官(Brendan McLane中将)が「DDG51は史上最高の水上艦艇だ」、「米海軍水上艦艇部隊の屋台骨だ」と呼ぶ空母戦闘群の中核戦力で、現在も11隻が建造中で、全体では18隻の追加建造が契約済の「現役バリバリ」戦力です

Arleigh Burke5.jpg米海軍は2020年に、「DDG Modernization program」を71隻全ての同級イージス艦に適用する計画を見直し、個々の艦艇の状況を確認して判断する方針転換を決定していますが、1番艦で最高齢の「Arleigh Burke」がそのチェックを通過したということです

同近代化プログラムでは、艦艇船体の5年延命だけでなく、最新の長射程兵器の搭載や艦艇防御力の向上も予定されており、もちろん今後建造する全てのDDG51にも搭載予定の内容だそうです

Arleigh Burke4.jpgただ、アーレイバーク級駆逐艦(DDG51)は米海軍の大型水上艦(LSC:large surface combatant)を構成する艦首の中で唯一好調な艦艇で、ステルス駆逐艦として期待されたZumwalt級DDG1000は、開発遅延とコスト超過の末にわずか3隻で建造が中断されています。

また2020年から検討開始した次期イージス艦DDG(X)は、現有イージスシステムをまずはそのまま活用して開発リスクを避けつつ、将来の拡張性余地を最大限にした新しい船体設計を念頭に、将来艦艇に求められる電子戦能力強化やエネルギー兵器搭載を見据えた発電能力強化や、より大型の攻防ミサイルを搭載するためのスペース確保を狙った新たな船体(Hul)設計に重点を置くと言われ、

Arleigh Burke3.jpg米海軍は具体的に、多くのより大型で飛翔速度が速く射程が長いミサイル、艦艇の全周をカバー可能なエネルギー防御兵器、電子戦装備、各種センサー、コンピュータシステム等を将来柔軟に増強したいと考えているようですが、造船産業基盤の弱体化やコロナの影響で、現有艦艇や潜水艦の定期修理も大幅遅延状況であり、予算的にも明るい材料が皆無の現状と言われています。

新型空母フォード級の1番艦もトラブル続きで運用開始が遅れに遅れ中で、AUKUSで合意した豪州への攻撃原潜5隻提供も「現在の造船産業状況で本当に可能なの? 米海軍のバージニア級攻撃原潜でさえ建造が大幅遅延なのに・・(年間2隻計画が実態は1.2隻)」と各方面から「?」の声が上がる中、唯一順調そうに見えるアーレイバーク級駆逐艦(DDG51)1番艦の延命&近代化改修決定の話題でした

Arleigh Burke級イージス艦関連の記事
「3大近代化事業を一つに絞れ」→https://holylandtokyo.com/2021/06/11/1898/
「新型無人機対処レーザー兵器搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-23
「後継イージス艦検討開始5年で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-14
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holylandtokyo.com/2020/01/14/865/

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米海軍が駆逐艦Zumwaltへの極超音速兵器契約 [Joint・統合参謀本部]

併せて米陸軍用の追加ミサイルと発射機も契約
2025年末に艦艇側受け入れ改修終了予定
その後に同ミサイルと艦艇の融合試験開始へ

CPS4.jpg2月17日、米海軍とロッキード社は、米海軍のZumwalt級ステルス駆逐艦に極超音速兵器を搭載する契約を約1600億円で結んだと発表しました。また同時に、基本的に米海軍用と同じミサイルで米陸軍用タイプのミサイルと発射機を追加で、米陸軍に提供する契約も約2900億円で結んだと公表しました

米海軍と陸軍は発射機が異なるものの、同じ基本構造の極超音速兵器をロッキード社と開発し、米海軍はこの極超音速兵器をCPS(Conventional Prompt Strike)と呼び、米陸軍はLRHW(Long Range Hypersonic Weapon)と呼んでいますが、米陸軍は今年あと2回の試験を行った後、今年中にワシントン州の部隊に初度配備する計画になっているところです。

CPS3.jpg米海軍はCPSをZumwalt級ステルス駆逐艦に搭載すべく、既にIngalls Shipbuilding社と契約し、同駆逐艦の米海軍で一般的なMk 41垂直発射管を大幅改修し、従来ミサイルより大型のCPSを収納できるようロッキード社が開発する発射機を収納する改修作業を計画しており、この発射管改修が終了する2025年末から、ロッキード社開発のCPSやCSP管制装置と艦艇の融合試験を開始する計画を持っているようです

米国防省はこの契約に関し、艦艇への搭載改修設計、システム融合、調達に長時間必要な材料の調達、ミサイル製造に必要な特殊治具や装置の準備も含まれると説明しているようです

ロッキード社は契約発表にあたり、「陸海軍と協力して実施してきたこのミサイル開発を通じ、極超音速攻撃能力の発展に引き続き寄与していく」「既に初期設計作業を開始している」と声明を出しています
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CPS2.jpg米海軍幹部は2021年時点では、同兵器の米海軍艦艇への搭載は2025年頃で、攻撃型原潜への搭載は2028年以降と言及していましたが、その予定から数年遅れで進んでいるイメージです

米議会の試算によれば、米陸軍用のLRHWは1発50億円以上と推定されており、使い道を絞り込んで配備段数等を算定しないと予算的に持たないと思います。とりあえず契約締結に関する事実関係をご紹介しておきます

米陸軍と海軍の極超音速兵器開発
「陸軍はあと2回試験」→https://holylandtokyo.com/2023/01/17/4107/
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「米陸軍が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「最近の状況整理&2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27

米空軍は慎重に
「バカ高い極超音速兵器:米議会が試算」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
「高価な極超音速兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/

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フォード級空母はEMALSと着艦フック信頼性がカギ [Joint・統合参謀本部]

国防省試験評価部(DOT&E)が年次評価レポート
異なる評価基準で海軍と試験評価部で言い分異なる

DOT&E Ford5.jpg米国防省試験評価部(DOT&E)が今年1月発表の2022年年次レポートで、当初計画から6年遅れで暫定的とも言える作戦任務航海を昨年秋行った米海軍の新型空母フォード級1番艦について、新規導入した電磁式カタパルト(EMALS)や着艦フック等の信頼性の低さから、2024年末(2024年9月末)までに完了予定の運用試験(operational testing)終了が危ういと厳しい評価を下しています

DOT&E Ford4.jpg一方の3日付Defense-News記事によれば米海軍は、2022年8月から9月の大西洋運航時に出た関連トラブルで、任務航海を中止して運用開始評価チェックをクリアできなかったトラブルはあったが、その後必要な部品の交換等を行って同年10月から11月の間は故障は発生しても短時間で修復できており、問題なく任務を継続遂行できており今後の計画に問題ないと主張しています

このフォード級空母は、沿岸戦闘艦LCSやステルス駆逐艦DDG-100、更に価格が高騰している次期戦略原潜コロンビア級などと共に、「何をやってもダメな米海軍」と揶揄される象徴的な主力装備品で、大型艦艇のミサイル攻撃への脆弱性が問題視される中にあって、従来のニミッツ級空母価格の2倍(1隻1兆7000億円:艦載機を除く)でも物議を醸しているものです

DOT&E Ford3.jpg更に当初書計画から6年遅れでも、未だに地域コマンド司令官の指揮下で運用できず、運用開始と言えども米海軍の管理下で、緊張感の薄い大西洋で2022年秋に3か月間限定の任務航海に入ったところ、鳴り物入り新規装備の電磁カタパルトや「jet blast deflector:離陸時のジェット排気遮蔽版」不具合で任務中止&帰港となり、すこぶる評判の良くない状態にあります

国防省試験評価部(DOT&E)は年次報告書で、「昨年秋の航海で、部品の錆から、4つある全てのjet blast deflectorが正常に作動しないなど、引き続きカタパルトや着艦フック信頼性を含め、艦載機の離発着数や運用効率に負の影響を与えている」と厳しく現状を評価し、

DOT&E 2023.jpg「空母運用に緊要なサブシステム信頼性が、引き続き2024年末(2024年9月末)までに完了予定の運用試験(operational testing)終了に関する主要なリスクとなっている」と年次レポートに記載して、電磁カタパルトEMALSと着艦フックの故障回数や故障からの平均回復時間が基準を満たさず、昨年9月には各数値が低下傾向を示していること等を問題視しています

そして試験評価部(DOT&E)は、米海軍は今後も継続してこれら重要サブシステムの信頼性改善に注目し、より良い部品の入手に努めるべき、と年次報告書で要求しているところです

DOT&E Ford.jpg一方で米海軍は、10月以降は問題ないと主張し、秋の教訓は2番艦以降の設計建造に教訓として生かすと説明し、更に試験評価部(DOT&E)は故障発生回数で評価しているが、米海軍は稼働時間率で評価してさほど問題ないと反論するなど、双方の見解には隔たりがあります
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国防省試験評価部(DOT&E)は、米議会が国防省のでたらめな装備品プロジェクト管理を監視するために設けた部署で、国防省や米軍に遠慮することなく、厳しい指摘を行うことで知られた組織です。

DOT&E Ford2.jpg米海軍は、懸念されているサブシステムは直近で98%の稼働時間率を記録していると説明していますが、大事な昨年秋の航海で、艦載機運用に欠かせない「jet blast deflector:離陸時のジェット排気遮蔽版」が、「関連部品のサビで4基すべてに不具合」との情けない状態では、誰も安心させることはできないでしょう・・・。

同空母は、2023年末または2024年上旬から、本来の姿である地域コマンド指揮下で任務行動に投入予定だそうですが、そのころまでには「真の状態」が明らかになるでしょう

試験評価部(DOT&E)の年次報告書412ページ
(国防省の全ての開発プロジェクト等を評価)
https://www.dote.osd.mil/Portals/97/pub/reports/FY2022/FY22DOTEAnnualReport.pdf

フォード級空母関連の記事
「初任務航海は米海軍の監督下で」→https://holylandtokyo.com/2022/03/04/2692/
「6年遅れ空母フォード不具合修復完了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-26
「新型空母フォードの計画責任者更迭」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-08
「お披露目演習でEMALS故障」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-12
「空母フォード:3年遅れで米海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-03
「米海軍真っ青?トランプ「EMALSはだめ」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「空母を値切って砕氷艦を!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

空母の存在意義を巡る議論
「対中国専従空母の厳しさ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-15
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇案!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「半年かけて空母の将来像を至急検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-12
「レーザー兵器搭載に自信」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-05
「国防次官が空母1隻とミサイル2000発の効果比較」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-20

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バカ高い極超音速兵器:議会が推定価格試算 [Joint・統合参謀本部]

空軍用空中発射型1発19億円!
陸軍用地上発射型は1発53億円!
空中発射対地巡航ミサイルJASSM-ERが2億円弱で
地上発射弾道ミサイルは終末機動型でも33億円

HyperSonicW Cost CBO.jpg2月1日付米空軍協会web記事が、米議会予算室(CBO:Congressional Budget Office)が公開情報のみを使用して推測した、極超音速兵器単価や20年を想定した維持費含む総経費を報じ、あくまで「概算」とは言え、例えば空中発射型を同射程距離の対地攻撃用巡航ミサイルとの比較で価格約10倍と見積るなど、改めてその「バカ高さ」が話題となっています

LRHW3.jpg米議会予算室(CBO)は、空軍用空中発射型(爆撃機搭載用の射程約1000㎞のARRW:Air-Launched Rapid Response Weapon)と陸軍用地上発射型(射程3000㎞のLRHW:Long-Range Hypersonic Weapon)のコストを推計し、

空中発射型については同射程距離の空中発射運航ミサイルJASSM-ERと比較し、地上発射型については終末機動能力を持った中距離弾道ミサイル価格を推計して比較しています

それぞれの性能や特徴比較は後回しにしてまず単純比較
●空軍用空中発射型(射程1000㎞級)について
・爆撃機搭載用の極超音速兵器ARRW
1発19億円、20年で総経費6900億円(300発製造で)
 (100発のみ製造だと1発23億円)
・戦闘機クラス搭載用HACMは未成熟で推計不能
・対地巡航ミサイルJASSM-ERは1発2億円弱

●陸軍用地上発射型(射程3000㎞級)について
・LRHW, Long-Range Hypersonic Weapon
1発53億円、20年で総経費2.3兆円(300発製造で)
・中射程弾道ミサイルMaRVs機能付き
 1発33億円、20年で総経費1.7兆円(300発製造で)

コストで単純比較できない各兵器の特徴や課題
ARRW.jpg●同じ極超音速兵器でも、陸軍地上発射型は移動式でも安全な発射場所確保が必要だが、空軍爆撃機は射程距離が短く攻撃目標に接近する必要があるが、任意の場所(空中)から攻撃発射可能

●空中発射型の中では、同程度の射程でも対地巡航ミサイルJASSM-ERは飛翔速度が1/10程度と非常に遅い。一方の極超音速兵器ARRWは15-30分以内に価値の高い敵目標を攻撃可能であることから、開戦初期段階で有効と考えられる
●地上発射型では、終末機動能力があっても弾道予測がある程度可能な弾道ミサイルより、大気圏内を機動性を持って高速移動する極超音速兵器LRHWの方が生存性が高く攻撃成功確率が高い

LRHW4.jpeg●ただし、空中発射でも地上発射型でも、極超音速兵器の抱える根本的な問題、つまり「飛翔時の大気との摩擦熱(約1650度C)」から精密な搭載電子回路や空力操縦系統をどう守るかについての課題を克服することが大前提となる
●2019年以来、米国防省は既に約1兆1千億円を極超音速兵器開発に投入し、2023-27年に間に追加で約1兆7千億円を技術開発につぎ込む計画になっている(この金額には陸軍と空軍用の同兵器製造コスト2600億円は含まれていない。なお海軍はまだ同兵器予算要求を決定していない)
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Kendall 7.jpg米国防省が極超音速兵器を「最優先事項」として取り組む姿勢を打ち出す一方で、Kendall空軍長官は以前から繰り返し以下を主張しています

●極超音速兵器は近い将来価格低下の可能性は低く、私は同兵器を保有しても「比較的小規模」と考える。無論価格低下に空軍も取り組む。しかし高価であり、費用対効果等々から慎重に投資を検討しなければならない
●同兵器は有効な手段だが、米空軍が要攻撃目標を攻撃する唯一の手段ではなく、低速度でも巡航ミサイルは安価であり、ステルス性や敵防空網妨害との組み合わで有効であり、総合的に将来兵器体系を考える必要がある

HAWC.jpg●米国を遠ざけたい中国と、中国抑止用に同兵器を考えている米国とでは、同兵器の位置づけは異なり、中国と同様に米国が追求する必要は必ずしもない。米国は多数の移動目標に対処する必要があり、少なくとも初期型の同兵器は固定目標に適している点も注意を要する

極超音速兵器に搭載可能な弾頭重量(恐らく大きくはない)も勘案すれば、少しはKendall空軍長官の気持ちがわかった気がします。それから「飛翔時の大気との摩擦熱(約1650度C)」克服については、未解決なんですねぇ・

極超音速兵器開発に注目が集まる中でも、この亜音速の大ベテラン兵器トマホークの新型「Block V」が米軍内で存在感を保ち、SM-6やNaval Strike Missileと共に今後も重要な役割を果たすと考えられる理由を、5つの視点から考察https://holylandtokyo.com/2020/12/23/349/

米軍の極超音速兵器開発
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
「米潜水艦配備は2028年以降」→https://holylandtokyo.com/2021/11/26/2450/
「陸軍部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holylandtokyo.com/2021/10/18/2342/
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holylandtokyo.com/2021/09/30/2281/
「米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/08/30/2169/
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holylandtokyo.com/2021/07/30/2037/
「豪州とも協力」→https://holylandtokyo.com/2020/12/10/340/
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holylandtokyo.com/2020/11/04/378/
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holylandtokyo.com/2020/10/16/434/
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holylandtokyo.com/2020/08/21/530/
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

米空軍と国防省の同兵器開発の対立
「米空軍が戦闘機搭載型HAWC契約」→https://holylandtokyo.com/2022/12/27/4090/
「3回連続ARRW成功」→https://holylandtokyo.com/2022/12/16/4061/
「空軍:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「国防次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/

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シリア米軍拠点への無人機襲撃をCoyoteで撃墜 [Joint・統合参謀本部]

最新の無人機対処兵器Coyoteで2機撃墜
3機の自爆無人機の1機は着弾し2名負傷
映像で無人機対処システムCoyoteとC-RAMをご紹介

Coyote Raytheon3.jpg1月20日、シリア東部のイランやヨルダンとの国境に近い米軍拠点Al Tanfに出所不明の自爆型無人機3機が来襲し、うち2機を最近配備された無人機迎撃システムCoyote(Raytheon)で迎撃に成功したが、1機は同拠点内に着弾し、米軍が教育訓練を行っているシリア人2名が負傷したと米国防高官が明らかにしました

米中央軍は、3機の自爆無人機を誰が操作していたのかや、米軍拠点Al Tanfを防御していた米軍部隊がどのように対処したのか説明するのには時間が必要との立場ですが、国防省高官によれば、同襲撃に関する事前情報やウォーニングは全く無かった模様です

Al Tanf4.jpgAl Tanf拠点は米軍主導で2016年に設置された、イラクとヨルダンとシリア3か国国境の近傍にある対ISIS作戦の最前線拠点で、シリア領内のイスラム過激派を支援するイランがその設置に強く反対している軍事施設です。

この拠点付近はイラン製無人機による攻撃を以前から受けており、2017年6月にはイラン製Shahed-129無人機が米空軍F-15発射の空対空ミサイルAIM-120で迎撃されましたが、迎撃前に爆弾1発が米軍に協力するシリア人勢力に投下される事案が発生し、同事案と同時期に更にもう1機のイラン製無人機がF-15に撃墜される事案が発生しています

Coyote Raytheon4.jpgAl Tanf拠点事態も2022年8月15日にイラン支援の武装勢力の襲撃を受け、同月後半に米国が報復作戦を実施したほか、今年2023年1月18日にも同地域でIS地域指導者を捕獲する作戦が遂行されたばかりで、米中央軍はシリアに駐留する約900名とイラク駐留約2500名が中東の安定にしっかり関与して行くと声明を出しているところです

Coyote Raytheon2.jpg今回迎撃に成功した米陸軍運用の「Coyote」は、もともとRaytheon Technologiesが開発した発射管から打ち出される形式の無人機システムでしたが、2018年に陸軍がこれを改良して無人迎撃兵器として使用することを決定し、シーカーや弾頭を射出型無人機に付加した形態での試験に2021年成功して昨年配備されたものです

下でご紹介しているYouTube映像が示すように、「Coyote」は敵無人機に直接命中するのではなく「近接爆発」で相手を無効化するシステムで、地上固定配備型や車両搭載型があり、共に無人機捜索追尾レーダーと一体運用される仕組みになっています

記事で紹介のCoyote無人機迎撃システム


ロシアがイランから緊急輸入し、ウクライナのエネルギー関連施設やウクライナ国民の生活インフラを無差別攻撃して大きな脅威となっている無人機兵器の例が示すように、安価で対処が難しい無人機兵器はますます脅威度を高めており、同兵器への対処法確立は全ての国にとって喫緊の課題です

でも、どの対処法も高コストで「敵の思うつぼ」ですねぇ・・・

本日は20日に活躍した「Coyote」以外にもう一つ、艦艇近接防空用のCIWSを改良したC-RAM(Counter-Rocket, Artillery, Mortar)ガンシステムの映像もご紹介しておきます

C-RAM(Counter-Rocket, Artillery, Mortar)ガン
(30秒くらいから発射映像)


無人機対処にレーザーや電磁波
「対処用のエネルギー兵器動向」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

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泣き面に蜂:耐震強度不足で米海軍の4ドック使用停止 [Joint・統合参謀本部]

アジア太平洋戦力を支える西海岸の潜水艦修理拠点で
昨年10月の調査で判明し、約100名の専門家動員し対応検討へ
当面影響ないと説明も、潜水艦修理は2倍の待ち行列中

Puget Sound3.jpg1月27日、米海軍が主に潜水艦の定期修理を行う西海岸北部ワシントン州の4つのドライドックで耐震強度不足が見つかり、緊急措置は行ったものの、同日から無期限で同ドックの使用を停止し、米国防省や米海軍や関連企業の専門家約100名のチームによる対策検討を行うと明らかにしました。

これまでも定期的に耐震強度調査は行われてきたとのことですが、地震の発生頻度が高い西海岸施設に対し、新たな大地震想定を盛り込んだモデル分析を新技術も導入して行ったところ、これまで気づかなかった「ドライドックの設計や構築に直接関連する懸念」が見つかり、

Trident Refit.jpg「地震によるドライドックの崩壊により、ドック内の潜水艦や労働者や海軍兵士に危険が及ぶ可能性」や「周辺地域社会の安全や環境への影響」が懸念されるとの指摘が、調査を行ったWSP USA社から昨年10月の調査報告書で明らかにされたとのことです。関係者は「直ちに大きなリスクがあるわけではないが、長期的な視点に立って予防的な措置行う」と強調しているようですが・・・

具体的には、攻撃原潜や空母の修理するPuget Sound Naval Shipyardの4-6ドックと、BangorのTrident Refit Facilityにある戦略原潜用のドック一つに懸念事項が見つかったとのことです。

Puget Sound2.jpg現時点で修理中の潜水艦はなく、当面の使用予定もなかったと米海軍は説明していますが、米海軍全体では現時点で長期計画の2倍の18隻もの潜水艦が整備中か整備待ちの状態にあり、戦力全体の老朽化と修理施設の疲弊が問題となっていたところに降ってわいた「泣き面に蜂」的な事案です

関係者は、上層部の理解&支援を得て2023年度予算から関連費用を捻出し、国防省・海軍・関連企業の専門家約100名からなるチームが今週編成され、どのような対策をどのような計画で実施し、そのコストがどれほどかを検討することになるが、「現時点で結果を推測するのは時期尚早だ」とコメントしています

Trident Refit2.jpgまた海軍関係者は、同施設の残ったドックや埠頭で可能な修理作業を行うことにより、当面は従業員規模を縮小したり、修理計画を修正する必要はないと説明し、現在別ドックで実施中のオハイオ級巡航ミサイル原潜修理にも影響はないと強調していますが、専門家チームの調査や検討を通じ、長期的な影響が見極められるだろうと微妙な説明ぶりにもなっています
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ドライドックが全体で何個あるのか把握しておらず、4個の活動停止の影響を邪推することもできませんが、計画想定の2倍の潜水艦が修理中か修理待ち行列の現状で、調査結果判明から10週間後に100名規模のチームで対応検討開始ともなれば、ただ事ではなさそう・・・と考えるのが自然でしょう

Puget Sound5.jpg2年半前時点で「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」状態で、その後のコロナや原材料の高騰で、米海軍の艦艇建造やメンテ部署は更なる混乱と混迷度を深めていると何度も報じられており、アジア太平洋の海軍戦力維持に直結するであろう、西海岸北部ワシントン州の4つのドライドック運用停止の今後が気になるところです

米海軍の艦艇建造や修理能力が危機的状況
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holylandtokyo.com/2020/08/27/534/
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-16
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24

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沖縄海兵隊4000名の転進先グアム基地設置式 [Joint・統合参謀本部]

日本の防衛副大臣は「沖縄の負担軽減策」と挨拶し
米国防省は「太平洋に分散」と説明
2024年から沖縄からグアムへ転進開始へ
総額1兆円の移転費用の3700億円を日本負担

Camp Blaz4.jpg1月26日、沖縄海兵隊約4000名が「転進」する予定のグアム島米海兵隊基地「Camp Blaz」の設置式典が行われ、海兵隊にとって70年ぶりの新基地開設でもあることから、Berger海兵隊司令官が参加したほか、日本の木村防衛大臣政務官や吉川外務副大臣も式典に列席して挨拶しています

米海兵隊4000名の沖縄からグアムへの「転進」は、2006年に日米間で合意された在日米軍再編計画で大枠が合意され、転進先として2012年にグアムが米側により決定されていたもので、設置式自体は2020年に計画されていましたが、コロナの影響で延期され、2023年開催となったと報じられています

Camp Blaz2.jpgなおグアム島の米海兵隊拠点は、1899年に初めて設置され、1941年に日本軍によって占領されましたが1944年に海兵隊を中核とした米軍が奪還し、太平洋戦争後に海兵隊Campとして再開し、1992年にいったん閉鎖され現在に至っていたようで、再開にあったての新名称「Camp Blaz」は、グアム原住民チャモロ族出身で初めて将官に昇進したVicente Tomas Garrido Blaz海兵隊准将(退役後に下院議員も務める)にちなんで命名されたとのことです

米国防省副報道官は同基地に約5000名が駐留予定だと説明しましたが、これまでの日米合意から沖縄海兵隊からは約4000名が同基地に転身することになっています。2020年から工事が開始されているようですが、兵舎など基地施設の建設は今も続いており、また日本の各種報道機関は、2024年から兵士の移動が開始されると報じています

Camp Blaz3.JPGまた米側報道発表では、この基地開設や部隊移転に必要な経費約1兆円のうち、約3700億円が日本側負担で実施されることを強調しています

1月11日に開催された「日米2+2」で、在沖縄海兵隊で3200名規模の「第12海兵旅団」を縮小しつつも、対中国作戦により適合した2000名弱規模の「第12海兵沿岸旅団:MLR:Marine littoral regiment」に2025年までに改編で合意した件と関連の動きですが、

Camp Blaz.JPG同時に米海兵隊が歩兵や戦車等の重装備から、対中国を意識した敵艦艇や敵上陸部隊を攻撃する軽快な部隊編成を目指し、対艦ミサイル部隊や防空部隊やISR部隊を中核に据えた部隊編成に改革を進める一環でもあります。

いずれにしても、対中国の真正面の極めて脆弱な沖縄本島駐留米軍を削減し、豪州を含む西太平洋全体での分散運用を追求する「軍事的合理性追求」の米軍と、日本側の未だに「沖縄の負担軽減」との大義名分を持ち出さなければならない立場との奇妙な調和を見せつけられた「Camp Blaz」開設式となりました

米海兵隊の主力海兵旅団の改革
「沖縄にMLR設置で合意」→https://holylandtokyo.com/2023/01/13/4148/
「ハワイで創設のMLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「MLRを日本にも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/726/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/

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