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米陸軍が評価中の様々な「ウ」の教訓 [Joint・統合参謀本部]

米陸軍協会総会で様々な検討状況を取材&紹介
航空戦力が活躍できなかった「ウ」の戦場ですが

ukraine war lesson2.jpg10月9日付Defense-Newsが、10月9日から開催された米陸軍協会総会の場で地上部隊担当Jen Judson記者が取材した、米陸軍が整理検討中の様々な「ウクライナの教訓」を取り上げ、「大砲」「戦車」「指揮所」「兵站」等の視点から紹介していますので、断片的ながらご紹介します

現在進行形のウクライナでの戦いで、まだまだ米陸軍も整理中の段階であり、また有人航空戦力の活躍の場がほとんどない環境で、かつ対中国のアジア太平洋地域とは全く異なる戦域状況ではありますが、陸軍長官や米陸軍参謀総長や将来戦闘コマンド司令官を始め、各専門分野を担当する高官の発言を基に構成されており、様々な示唆に富む内容ですのでご参考に供します(発言者名は省略しています。原文をご確認ください)

砲兵部隊は死活的に重要
artillery.jpg●「ウ」戦線で最も破壊力を提供しているのは通常兵器の砲兵部隊であり、砲兵部隊の精密攻撃が極めて重要であることを関係者は痛感している。これらを受け米陸軍は、2023年末までに「通常火力戦略」を新たに作成する準備を進めている
●「通常火力戦略」では、様々な現場部隊の教訓を基に、火砲のけん引式、自走式、車載型の利点や不利点、また推進薬の進歩により射程が伸びた砲弾特性を踏まえ、従来長射程砲が担ってきた分野を迫撃砲や榴弾砲で代替する等の検討や検証が行われている

●また「ウ」に提供された米国以外の国の火砲や砲弾の優秀さや優れた特性にも注目が集まっており、米陸軍が新規開発するより、外国製を輸入すべきではないかとの意見も強くなっている
●大砲への自動給弾装置など、前線兵士の負担軽減装備の重要性も再認識されている

戦車を巡る議論が活発化
tank damage.jpg●ロシア軍が開戦2か月間で400両以上の戦車を失ったことや、安価な無人機による戦車上空上方からの単純な攻撃による被害が極めて大きかったことから、大きくなりすぎて機動性に課題がある戦車に対する風当たりが強くなっている。これに対し陸軍長官は、まだ結論を出すのは尚早で、ドローンなど滞空型脅威への対策は可能だと語っている

●それでも米陸軍は、以前から進めていたM1戦車近代化改修計画を9月に破棄し、「ウ」の教訓も踏まえ、重くなり過ぎた車体の軽量化(機動性や回収の容易性)、最前線での維持整備負担の軽減、側方攻撃を意識した自己防御システムの再検討等を念頭に、新たな「M1E3」戦車追求に方向転換している
●「ウ」にまず31両のM1戦車が提供開始されているが、その前線での評価を米陸軍は注視している

機動性があり目立たない指揮所を求め
command posts.jpg●現在の戦場は、商用衛星、大小さまざまな無人機や電磁波センサーによって常時監視&偵察されており、従来の様な設営や撤収準備に半日も必要な前線指揮所では生き残れないことから、より小型で電磁波放出が少ない指揮所が求められている

●また、日進月歩の民生技術を迅速に取り入れるための「open architecture」仕様も不可欠である。最近の優れた例では、旅団戦闘チーム(BCT)の指揮機能をストライカー戦闘車両5台(35名)に集約し、市販のPCとタブレットをワイヤレス接続で活用して指揮統制機能を果たした部隊例が注目を集めている
●また通信途絶時や被害状況下での指揮統制活動を念頭に置いた準備にも、米陸軍は注目し、演習等で状況設定を増やしている

リモートによる維持整備支援が大幅拡大
remote mainte.jpg●「ウ」に大量に提供した兵器や装備品の維持整備をどうするかが当初大きな課題となったが、米陸軍がポーランド軍基地内の駐車場に設置した「リモート整備支援施設」から発信される、メールでの整備要領助言、録画映像での維持整備要領教育資料、ライブ映像でのリアルタイム支援の有効性が確認され、米軍提供装備だけでなく、欧州同盟国支援装備品にも同手法が幅広く導入された
●この手法はアジア太平洋戦域でも利用可能と考えられ、陸軍長官は「以前からそのようなアイディアは存在し、机上検討はあったが、実際に行ってノウハウを蓄積し、成果を上げた意義は極めて大きい」と高く評価している

より身近で手軽なドローン対処
counterdrone.jpg●米陸軍が5年前に作成した優先すべき近代化事業の多くはその方向性の正しさが確認されたが、新たな視点での気づきも見つかっている。防空&ミサイル防衛については、その重要性が対中国を意識して強調されてきたが、様々な脅威を念頭に重層的な防御システム構築の必要性が再認識され、柔軟に展開可能なパトリオット部隊の増強も加速しつつある

●小型ドローン対処も重要性が強く意識されてきた分野で、レーザーや電磁波利用の対処兵器開発や選定試験が行われているが、より現場に導入容易な、例えば既存の小銃に装着してすぐ使用可能な、AI活用のドローン照準用小型スコープなども「ウ」現場でニーズが高い事が確認されている
●また、前線に展開する全ての部隊が自己防御用に共通して装備するような、対ドローン兵器の提供も検討すべきとの声が上がっている
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ukraine war lesson.jpgそれぞれが断片的で検討中のものばかりですが、「大砲」「戦車」「指揮所」「兵站」「ドローン対処」の各分野で教訓とすべきある種の「エッセンス」を感じて頂けたと思います

また、別の観点から航空戦力に期待しにくい可能性がある西太平洋地域でも、参考になる点が多いようにあたらめて感じた次第です。ご参考になれば幸いです

2022年6月時点での・・・
「米陸軍首脳がウの教訓語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/01/3245/

様々な視点からウの教訓
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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18年ぶりに空軍から米軍人トップ誕生 [Joint・統合参謀本部]

黒人としてパウエル議長以来2人目のBrown空軍大将
「変化を加速せねば敗北する」との信念を統合世界へ

Brown Milley.jpg9月29日、2019年から米軍の統合参謀本部議長を務めたMark A. Milley陸軍大将の退役式典と、Charles Q. Brown Jr.空軍大将の同議長就任式が、バイデン大統領やオースチン国防長官出席のもと開催され、10月1日からBrown空軍参謀総長が米軍人最高位の統合参謀本部の議長として、米国大統領に軍事面での助言を行う責務を引き継ぐことになりました

Brown Milley2.jpgMilley陸軍大将は、当時のGoldfein空軍参謀総長が下馬評でダントツ候補No1だった中、トランプ大統領の好みによる「どんでん返し推薦」で2019年に同議長に就任したものの、2020年の大統領選挙のゴタゴタの中でトランプ大統領から敵視&公然と非難された不遇の議長ですが、退役式で「我々は特定の個人に宣誓して任務についているのではなく、米国憲法に宣誓し、米国の理念を守るため軍務に服している」と述べ気概を示しています

Brown milley5.jpgISISを崩壊に導く軍事作戦を成功に導いた米軍人トップであり、また一方でバイデン政権による突然のアフガニスタン作戦からの撤退と、それに起因するタリバン復活によるアフガニスタン大混乱を「戦略的失敗:strategic failure」と言い切る「歯に衣着せぬ」議長として知られ、任期最後までロシアのウクライナ侵略対応に紛争するなど「海外軍事危機と連続して向き合ってきた議長」と米メディアは伝えています

Brown milley4.jpg新議長に就任するBrown空軍大将は18年ぶりの空軍人議長となりますが、Milley氏とは対照的に「慎重な」姿勢と物言いで知られています。ただ強く熱い信念の持ち主で、末尾の過去記事にあるように、空軍トップ就任直前に、自らが黒人として軍内で感じてきた人種差別について発言したり、

「変化を加速せねば敗北する:Accelerate Change or Lose」との信念の下、Kendall空軍長官と一体となり、強力に現有装備の早期退役と戦力体系更新をセットで推進する姿勢は突出しており、29日の式典でも「私の信念は揺らいでいない」と、変革を追求する姿勢を静かに力強く強調しています

Brown Milley3.jpgなお、バイデン大統領は同式典で、「軍を指導者する者として、我々の決断がもたらす直接的影響と、世界の人々に与えるインパクトから、決して目をそらしてはならない」と語ったということです

ところで、某共和党議員による将官級軍人の人事案への抵抗で、引き続き米議会での軍人人事案承認が遅れており、Brown大将が空軍人トップを離れた後の後任人事は、David W. Allvin副参謀総長が引き続き代理として勤める状態が続いています

Brown太平洋空軍司令官の関連
「18年ぶり空軍から統参謀議長候補」→https://holylandtokyo.com/2023/05/09/4618/
「行動指針を小冊子で」→https://holylandtokyo.com/2020/09/02/471/
「Brown大将が次期空軍トップ候補に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-03
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

黒人としての空軍勤務経験を赤裸々に語る
「空軍へ来たれ!募集映像が話題」→https://holylandtokyo.com/2021/08/10/2087/
「Brown大将が人種問題を経験から語る」→https://holylandtokyo.com/2020/06/07/617/

次の空軍人トップはAllvin副参謀総長
「次の米空軍トップ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/

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米海兵隊が麻薬組織の知恵を生かして [Joint・統合参謀本部]

無人輸送艇で最前線にミサイル弾薬輸送を
「Naval Strike Missiles」2発搭載可な試験艇を
来年春の演習に投入してより実戦的な試験へ

marine Autonomous2.jpg9月7日付Defense-Newsは、米海兵隊が太平洋戦域での分散拠点への兵器弾薬輸送手段として、南米の麻薬犯罪組織が密輸に活用中で米国が取り締まりに苦慮している「発見されにくい無人水上艇」のアイディアを流用し、2発の「Naval Strike Missiles」を搭載可能な「Autonomous Low-Profile Vessels」を試験中で、来春の米陸軍演習にてより実戦的な環境での運用確認を実施予定だと報じています

この記事は9月6日の米海兵隊Karsten Heckl中将による記者懇談会の内容を紹介したもので、米軍全体で対中国作戦の大きな課題となっている、西太平洋の島々で分散運用を目指す米軍部隊への補給や兵站輸送のために、人命へのリスクと敵に発見されるリスクを下げる方策として検討が進んでいる手法です

marine Autonomous.jpgALPV(Autonomous Low-Profile Vessels)は、推進が4フィート(約1.2m)の浅瀬まで到達でき、それ以降は事前に展開している兵士が対応して2発の「Naval Strike Missiles」を陸揚げする仕組みで、基本的に低価格なALPVは「使い捨て(they’re almost expendable)」を想定されているようです。

Heckl中将は、来春に計画されている米陸軍演習「Project Convergence Capstone 4 event」にALPVを持ち込んで試験運用すると説明し、現在の2発搭載が適切なのか、より大きなタイプが効率的なのか等々を検討している段階で、どの程度の数量を導入すべきかも併せて今後見積もることになると記者団に語りました

Apalachicola.jpg更に同中将は、敵による厳しい防御環境での兵站輸送任務を遂行するため、積極的に自立型無人システムの導入を検討していると語り、現在の有人艦艇や水上艇から人間用の換気呼吸用システムを除去するだけで、大幅なコスト削減&効率性向上&単純化が可能になると語っています

ALPV以外の具体的例として、Austal USA社製の高速無人輸送艇「Apalachicola」を同中将は取り上げ、30日間連続で人間の関与なく運用可能で、実際には操作に関与しない人間を緊急事態用に同乗させ貨物を搭載した状態で、通常の海軍輸送船より早い速度45ノットで、既に1500nm(2700㎞)の自立運航を成功させてている、と説明しました
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Apalachicola2.jpg以下の過去記事でご紹介しているように、米海軍も無人艦艇の利用拡大に取り組んでおり、海兵隊との連携を深めて頂きたいところですが、2021年の米海軍「無人システム構想」が「言葉の遊びで中身がない」、「実施中の事項の説明ばかりで、具体的将来計画がない」、「最近の数々の米海軍研究開発の失敗事例との差が感じられない」等々、米議会や研究者から辛らつな言葉の集中砲火を浴びた後、どうなっているのか把握しておりません

兵站支援の輸送だけでなく、空母やイージス艦に代表される現在の主力戦闘システムの役割を担う側面からも、よりシンプル構造で低コスト、人命へのリスクが低い無人システムの活用に、米議会や世間の関心は向かっているということです。

米海軍の無人艦艇を巡る動向
「100隻規模の無人艇部隊を中東で」→ https://holylandtokyo.com/2023/01/06/4118/
「中東から西海岸までの航海に成功」→ https://holylandtokyo.com/2021/06/22/1908/ 
「無人システム構想が酷評受ける」→ https://holylandtokyo.com/2021/03/30/173/
「Sea Train:無人艦艇を電車のように連結し」→ https://holylandtokyo.com/2020/06/12/622/ 
 
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5世代機用のターゲットドローン開発再開 [Joint・統合参謀本部]

2020年の初飛行で墜落の「5GAT」を国防省と陸軍が再開
より高い要求の米空軍も支援し、停滞気味「NGAT」に活用か

5GAT Sierra.jpg9月7日付米空軍協会web記事が、米空軍と米陸軍がそれぞれ異なる要求性能を持ち、3~5年前から開発に着手したものの、事故や(恐らく)コンセプト&技術未成熟や(恐らく)予算制約などで開発が中断や停滞している「次世代無人標的機:Aerial Target」開発に関し、米国防省と陸軍が8月4日に民間企業と開発契約を結んで再スタートを切ったと報じ、空軍も協力していると紹介しています

経緯を振り返ると、まず米陸軍が「5GAT:5th Generation Aerial Target」プロジェクトを2017年に開始して「Sierra Technical Services社」と契約し、2020年には初飛行を迎えましたが同飛行での墜落事故で計画がとん挫し、2022年4月に企業募集から仕切り直しましたが、今年8月に再び「Sierra・・」と「Advanced Technology International Inc.」と契約発表するまで大きな動きはありませんでした

5GAT Sierra2.jpg8月の再契約に際し、陸軍と共にプロジェクトを推進する国防省は、「(2020年に初飛行で墜落した)当時の5GAT機体は、全体設計や機器の組み合わせは今振り返っても良くできており、今回の契約で機体の能力や価格妥当性が確認できれば、製造契約に進む方向だ」と明らかにしています

一方で米空軍は、中国のJ-20ステルス戦闘攻撃機やロシアのSu-57ステルス戦闘機を模擬する狙いで、国防省と陸軍が取り組む「5GAT」よりも高い要求性能を追求する「NGAT:Next Generation Aerial Target」計画を2021年に開始して企業にアイディアを募り、翌2022年には超音速飛行が可能な無人敵機の運用と整備までを委託可能な企業がないかを問いかけていたところです

5GAT Sierra3.jpgしかしその後は空軍NGATも動きが無く、2024年度予算案には具体的なNGAT予算は見当たらず、担当開発部署も「NGATは依然として調達前段階にある」と述べるにとどまっています。ただ「技術的リスクを見極め、搭載装備の適応性を見極める設計分析は継続されており、電子戦装備の適応などが検討されている」、「これら検討結果は、NGATコンセプト固めや次の段階の詳細設計やその後の試験内容にも使用される予定だ」と関連文書に記載されているようです

ただ5GAT関連で国防省報道官は、「5GAT計画は空軍のNGAT計画の道しるべの役割を果たすだろうし、5GAT計画は米空軍と連携を図りつつ進めている」と表現する一方で、「5GATは、NGAT計画のニーズを満たし、とって代わるようなものではない」と明確に述べており、J-20やSu-57を模擬する高性能な無人敵機を目指すNGATと、5GATには相当な性能差が存在する模様です

5GAT Fury.jpg話は戻って、8月に国防省と陸軍が契約した5GAT契約ですが、契約企業が「本プロジェクトの成果(であるプロトタイプ)は、必要な装備搭載など生産段階に移行するため、各個別の軍種に直接移管される(may be transitioned directly to the individual service branches)」と声明を出しており、複数軍種への提供が示唆されていますので、空軍も提供先に含まれているのでしょう

また8月の国防省&陸軍の契約対象となった2社以外に、米空軍研究所AFRLが「Blue Force Technologies社」と「仮設敵としての使用を想定した高性能ドローン」製造契約を2022年に結んで「Fury計画」を本格化していたところ、9月7日にソフト会社「Anduril」が「Blue社」を買収して同計画に大きな投資を行うと発表するなど、「ドローンAerial Target」分野は、急速な盛り上がりを見せています
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5GAT Fury2.jpg中国のJ-20やロシアのSu-57を模した高性能無人ドローンと、米空軍のF-35やNGADが空中戦訓練を行うつもりなのでしょうか? 

意味が全くないとは言いませんが、そこまで技術が成熟するなら、有人第5世代戦闘機や次世代戦闘機への投資を抑えて、「NGAT」をそのまま米軍の戦闘機や攻撃機として使用した方が早いような気がしますが・・・

仮設敵機部隊の話題
「米海軍が空軍F-16を仮設敵機に」→https://holylandtokyo.com/2021/06/17/1873/
「米空軍が19年ぶりに空対空戦闘競技会」→https://holylandtokyo.com/2023/06/12/4735/

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分散基地防空で米空軍と陸軍が協力深化中 [Joint・統合参謀本部]

空軍基地防空幹部が陸軍の小型対処兵器開発を高評価
空軍は電子戦・サイバー・エネルギー兵器等で防空に貢献
空軍の防空主担当は極超音速兵器や弾道ミサイル対処

Resilient Basing3.jpg8月29日、米空軍協会ミッチェル研究所でのイベントで、米空軍の基地防空体制整備を担当する幹部がパネル討議を行い、対中国の西太平洋での戦いに関し、米軍の各軍種が共通に抱える兵站支援問題で、過去例を見ない緊密&活発な軍種間協力で対策に取り組んでいるが、その一環で西太平洋の分散作戦拠点の防空強化についても、陸軍と空軍間で協力が強化されていると強調しています

前線基地防空の役割分担は、空軍が極超音速兵器や弾道&巡航ミサイル対処を発見段階からフォローし、陸軍がPatriotやTHAADで戦域防空を担う振り分けですが、PatriotやTHAADは保有数も限定的で、ACE構想(Agile Combat Employment)で展開先となる辺鄙な分散基地防空にまで手が回らないことから、陸軍が「追加的な積極防空能力の開発に当たっている:is developing additional capability and capacity for active air defense」と紹介し、

Resilient Basing4.jpg更に陸軍内での開発優先度が「最上位5項目に、下位の方だが入っている」ことや、PatriotやTHAADよりも小型でコスト面や輸送面で負担軽減を目指す優れた開発方向だと取り上げ、開発中の兵器について具体的には言及していないようですが、陸軍の取り組み姿勢を高く評価していると会場の空軍関係者や空軍担当メディアにアピールしています

また別の空軍担当開発官は、空軍も陸軍に依存しているだけでなく、米議会から陸空軍が協力して前進航空基地防衛に取り組むよう指示されることも受け、主に小型ドローンや巡航ミサイル対処を念頭に、「軽量・かさ張らない・持ち運びやすい」かつ「コスト負担が軽い」手段である電子戦やエネルギー兵器やサイバー手法を用いた対処技術の成熟に当たっており、陸軍との協力も一部では行っていると語っています
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同パネル討議の模様(約60分)


28日付米空軍協会web記事から、陸軍と空軍の協力面からご紹介を始めましたが、記事のタイトル「Collaborate on Air Defense That’s Smaller and Cheaper for the Indo-Pacific」が示すように、現状認識として「防空側が重いコスト負担を敵から強いられている」点を問題視し、「need to get on the right end of the cost curve」方向を目指す取り組みのアピールだと徐々に認識するに至りました

Resilient Basing.jpg「中国の経済と統治の崩壊」が驚くほどの速さで進む中、「中国国民の不満を逸らすため、海外に目を向けさせようとする中国指導部」に警戒は必要ですが、米国&同盟国側のコスト意識も重要です。もちろん、コストから必要な軍事力を考える前に、「惰性でなく、曇りのない目で」何が必要で有効なのかをしっかり見極めることから始めるべきですが・・・

こっちは大規模拠点グアムのミサイル防衛関連
「本格試験が来年に向け活発化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/22/4937/
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-21

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米陸軍がパトリオット防空ミサイル部隊増強へ [Joint・統合参謀本部]

現在の15個部隊から数不明ながら増強へ
採用難で人員確保が課題。他職域からの転職期待

Patriot missile2.jpg8月8日、米陸軍の宇宙&ミサイル防衛コマンド司令官が、アラバマ州で開催された「Space and Missile Defense Symposium」で記者団に対し、米陸軍保有のパトリオット防空ミサイル部隊への派遣需要が極めて高い事を米陸軍長官から陸軍参謀総長に至る全ての米陸軍首脳が認識しており、現在保有の15部隊からの増強方向で動いていると語りました。

現在の15個部隊から、既に追加で1個部隊増強する予算措置は完了しているようですが、米議会からも更に追加が必要なはずだから必要数を見積もるレポートを提出するよう、2023年度国防授権法で既に米陸軍は正式に命じられているところです。

Karbler 2.jpg同日の会見で同コマンド司令官のDaniel Karbler陸軍中将は、(予算措置が完了している+1個部隊増強に加え、)さらに何個部隊を増強する方向なのかについて具体的には言及せず、陸軍指導者に尋ねるべき質問だとかわしたようです

米陸軍の中でも、パトリオット防空ミサイル部隊は前線への派遣頻度が過去10年以上に渡り最も高い部隊で、更に、通常の陸軍部隊が設定されている6-9か月間派遣期間よりも長い派遣期間を命ぜられていることから、部隊所属兵器への負担の高さが問題となっています

Patriot missile.jpgこのため、新兵募集が厳しい米軍全体の中にあって、厳しい勤務環境が災いして、部隊増強を支える人員確保が年々難しくなっていることが、パトリオット装備増強のネックとなっている模様です

米陸軍は、パトリオット防空部隊に給与面でのインセンティブを提供したり、海外派遣期間に上限を設定して兵士への負担軽減に取り組み、新たな兵士確保や退職の防止に努めているようですが、今後は米陸軍兵士が勤務契約を延長するタイミング等で、他職域の兵士を防空ミサイル部隊要員に「転換」させる道にも注力する計画を持っているようです

また、防空兵器への需要急増の中にあって、海空海兵隊も合わせた統合枠組みでの防空能力強化や、同盟国の能力を融合することで、トータルの防空能力強化を図る方向にもより注力していくと同司令官は語ったようです
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PAC-3 5.jpg米陸軍をで言えば、歩兵や戦車部隊などの伝統的な「前線部隊」の規模を含め、トータルな人員の中で防空部隊に振り分ける比率を再検討してはどうかと思いますが、日本でパトリオット防空部隊を保有している航空自衛隊で考えれば、

脅威や兵器技術が激変する中にあっても、半世紀以上に渡り全く変化が無い「戦闘機部隊の10個態勢」も、メスを入れるべき対象と言えるでしょう・・・

パトリオットなど防空部隊関連
「欧州空の盾計画に中立億が続々」→https://holylandtokyo.com/2023/07/12/4828/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「グアム防衛をMDA長官が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/

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米陸軍戦闘車両への電子戦装備TLS搭載 [Joint・統合参謀本部]

旅団レベル用TLS-BCTと師団以上用TLS-EAB
ウクライナ教訓受け陸軍が全力で推進中
「Stryker」と「AMPV」へ搭載へ

TLS Stryker.jpg8月7日、米陸軍のDoug Bush技術開発調達担当次官補が記者団に対し、ウクライナでの教訓等々を受け、米陸軍が過去20年間の「テロとの戦い」で生じた電子戦空白時代を穴埋めするために、新たな電子戦装備の迅速導入に取り組んでいるとアピールしました

具体的には、陸軍部隊の重要装備である戦闘車両に、「cyber, electronic warfare and signals intelligence」の全てを総合的にカバーする電子戦装備を搭載する取り組みで、GD社製の「Stryker戦闘車両」とBAEシステム社製の「AMPV多用途車両:Armored Multi-Purpose Vehicle」がその対象となっており、ロッキード社が競争を勝ち抜いて2023年4月から本事業を担当しているようです

TLS Stryker 2.jpg搭載システムは、旅団規模以下で使用する小規模部隊用の「TLS-BCT:Terrestrial Layer System-Brigade Combat Team」システムと、師団や軍団レベル以上で使用する「TLS-EAB:Terrestrial Layer System-Echelons Above Brigade」で、ロッキードは約160億円規模の契約でまず「Stryker戦闘車両」の「TLS-BCT」から取り掛かっており、6月には「TLS-EAB」部門での企業選定にも勝利して具体的検討を深化させているようです

Armored Multi BAE.jpgBush担当次官補はこれら一連の電子戦事業について、「米陸軍は、過去20年間にわたり放置されてきた戦術的電子戦分野の、根本的な再構築のために再投資を行っている」と説明し、「ウクライナに提供できたのは限定的な数量の関連装備だが、露側のドローン攻撃対処等に極めて有効であることが実証されており、我々はこの戦訓から学ぶべきと考えている」とこの投資の重要性を強調しています
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「テロとの戦い」から対中国念頭の「本格紛争」準備へと切り替える中で浮上した「電子戦の空白」問題ですが、ウクライナ戦争を目の当たりにして米軍の危機感は、「ドローン対処」「地上戦闘」「情報収集」「指揮統制」等々の多様な分野で急速に高まったものと考えられます

Armored Multi BAE2.jpg日本もこの危機感を共有しているのでしょうか? 戦闘機を始めとした、航空機ばかりに投資し続けている航空自衛隊を見るにつけ、非パイロットである坂梨防衛部長でも「急には方向性を変えられない」日本の悪しき硬直性をしみじみと感じます

米陸軍の電子戦改革(道遠し)
「2027年までに前線電子戦部隊整備」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-04
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

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米海兵隊が「飛び石」沿岸偵察部隊MEU試行中 [Joint・統合参謀本部]

10日から17日まで夏休みを頂きます・・・

昨年11月から6月まで様々な試行を
30-50名が展開先で短期間センサー部隊
強襲揚陸艦や空母戦闘群とも試行演習を

13MEU5.jpg7月24日付Defense-Newsは、米海兵隊が将来部隊構想「Force Design 2030」実現に向け、米海軍の打撃部隊に西太平洋の最前線情報を収集&伝達する機動センサー部隊(MEU:Marine Expeditionary Unit)が、昨年11月から今年6月まで実験&試行運用を行った様子を紹介しています

機動センサー部隊(MEU:Marine Expeditionary Unit)は30-50名の単位で、西太平洋の島々や半島の沿岸部に航空機や小型艦艇等で隠密裏に展開し、数日から1週間程度の短期の展開間に、持ち込んだ各種センサーや無人機等で敵艦艇部隊の状況を収集し、米海軍打撃部隊や周辺友軍部隊に提供して、必要に応じ味方を誘導する部隊イメージです

13MEU.jpg昨年11月からの実験運用では、大佐が率いる第13MEUがアジア太平洋地域全般の様々な場所に様々な手段で展開し、2月にはMakin Island強襲揚陸艦率いる即応戦闘群ARGやニミッツ空母戦闘群とも連携して、空母艦載機を実際に飛ばしてMakin Islandが航空作戦指揮と行うパターンまで訓練した模様です

第13MEUは機動センサー部隊の運用構想(EAB作戦構想)「Expeditionary Advanced Base Operations concept」の検証を行ったと記事は説明しており、当該期間に具体的に行った実験運用試験の細部は不明ですが、「AI搭載無人機V-BATの活用」、「シンガポール派遣中の沿岸戦闘艦LCSとの複数回にわたる具体的作戦協議」、「同盟国関連部隊との調整」等々を行った模様です

13MEU2.jpg米海兵隊は、西太平洋の島々を構成する水深が浅いエリアでの作戦には、米海軍大型艦艇より小回りの利く海兵隊用の強襲揚陸艦や補給艦が適していると考えており、実際に強襲揚陸艦にF-35Bとオスプレイを各10機づつ搭載して既に運用実績を積んでいる点からも、海兵隊独自の自律性の高い運用が可能だとも考えている模様です

もちろん、より大きな打撃力を米統合部隊として発揮するため、長射程対艦ミサイルを操るNMESIS(Navy/Marine Corps Expeditionary Ship Interdiction System program)と一体化したセンサー部隊としての運用がMEUの目指すところですが、様々な状況に応じて柔軟に戦力発揮できることを海兵隊はアピールしています

13MEU4.jpg7か月間の実験&試行間に得られた教訓や課題について、現在保有の補給艦等では航空機可能スペースが不十分との記述がありますが、その他の具体的課題について記事は触れておらず、今後のMEU構想の動きも記載されていませんが、

間違いなく第一列島線上に陣取るであろう自衛隊との連携が重要となる運用コンセプトですので、今後の展開を注視したいと思います

米海兵隊関連の動向
「事前装備集積船を小型化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/07/03/4806/
「次期司令官は改革派」→https://holylandtokyo.com/2023/06/06/4711/
「沖縄海兵隊4千名転進先」→https://holylandtokyo.com/2023/02/01/4230/
「ハワイに新MLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「Stand-in Force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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アジア太平洋初の海兵隊MQ-9部隊が任務態勢確立 [Joint・統合参謀本部]

米海兵隊で2つ目のMQ-9部隊がハワイに
海兵隊の対中国の目玉、第3海兵沿岸旅団を支援

MQ-9 Marine3.jpg8月2日米海兵隊が、海兵隊2番目で、アジア太平洋では初のMQ-9運用部隊となる第3海兵無人機飛行隊(VMU-3:Marine Unmanned Aerial Vehicle Squadron 3,、愛称Phantoms)がハワイのKaneohe Bay海兵航空基地で初期運用態勢(IOC)を確立したと宣言しました

第3海兵無人機飛行隊(VMU-3)は、2008年からこれまで、RQ-7、ScanEagle、RQ-21Aなどの無人機の他、無人輸送用ヘリ・K-MAXの運用も担い、アフガニスタンでの実戦経験も豊富な部隊ですが、今年4月に最初のMQ-9を2機受領し、同年9月に初飛行を行い、その後訓練や人員の養成を行ってIOCを達成したとのことです

MQ-9 Marine.jpg米海兵隊におけるMQ-9運用部隊の先駆者は、アリゾナ州Yuma海兵隊航空基地のVMU-1ですが、VMU-3より1年早く初号機を受領しただけの「ほやほや部隊」で、VMU-1と3は、今後競い合ってその技量向上や戦果を追求していくと思われます

ハワイに創設されたVMU-3は、米海兵隊が対中国を想定し、同じくハワイの第3海兵旅団を2022年3月に改編して創設した3MLR(第3沿岸海兵旅団:3rd Marine Littoral Regiment)を支援することが主任務とされています。

MQ-9 Marine2.jpgこのVMU-3が支援する3MLRは、米海兵隊が対中国を想定して2021年12月発表の「A Concept for Stand-In Forces」に基づき、米海兵隊が新たに編成した「Stand-In」部隊であり、2023年9月の初期運用態勢確立IOCに向け、最後の準備を精力的に進めているところですが、準備の最後のピース「VMU-3」が無事収まった形となりました

米海兵隊無人機部隊を束ねる海兵飛行部隊群司令官のWilliam Heiken大佐は、「MQ-9部隊は、海兵隊の沿岸旅団における空中クォーターバックだ」と表現し、米海兵隊報道官は「多様な任務、すなわち、沿岸や国境監視、兵器移動追跡、禁輸措置行使、人道支援・被害復旧、平和維持支援、麻薬対処などの作戦を支援する」と説明しています
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MQ-9 Marine4.jpg米軍内の軍種は異なりますが、鹿児島県の海上自衛隊鹿屋基地内に設置された米空軍のMQ-9部隊との関係など、ハワイからの運用や今後の機動展開訓練先が気になります。

高度25000フィートまでの高さで、連続20時間以上の飛行が可能なMQ-9部隊の今後の活動具合に今後も注目して行きたいと思います

VMU-3が支援する新型海兵旅団3MLRの関連記事
「米比2+2で連携強化を大推進」→https://holylandtokyo.com/2023/04/20/4524/
「米海兵隊stand-in force構想実現に3MLRが準備中」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/

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30周年の米国州軍と諸外国協力 [Joint・統合参謀本部]

初耳のSPP(State Partnership Program)
100ヶ国以上と米軍の州軍が協力交流枠組み
地上部隊中心から空や宇宙協力に拡大中

SPP 30th6.jpg7月17日から18日にかけ、米軍の州軍(National Guard)が30年前に開始したSPP(State Partnership Program)の30周年記念集会が開催され、当初対ロシアを念頭に13か国の旧ソ連圏東欧諸国と米国各州の州軍の間て結ばれた軍事協力枠組みが、今や100ヶ国以上(活動中なのは88ヶ国と)にまで拡大したが、今後は対象国数の拡大ではなく、現存関係の「質や深さ」を追求していく方向が内外の参加者により確認された模様です

SPP 30th3.jpg本記念集会の様子を伝える7月18日付米空軍協会web記事は、全ての対象国とそれぞれの国とパートナー関係を持っている州軍の一覧表を掲載していますが、対象国には日本や英仏独など「G7」諸国は含まれない一方で、ブラジルやアルゼンチンなど地域の主要国、南アフリカを含むアフリカ諸国、中東から中南米諸国のほか、南シナ海を取り囲むPhilippines, Vietnam, Malaysia, Thailand, IndonesiaがSPP対象パートナー国となっています

SPP 30th.jpg「活動中なのは88ヶ国(88 active partnerships)」との表現で示される「アクティブでない国」の存在が気になるところではありますが、州軍司令部(National Guard Bureau)のWilliam Zana計画部長は、「これまでとは異なった関係の進化や進展を今後目にすることになろう」、「今我々はパートナー国空軍と州空軍の著しい関係発展を目にしており、この傾向は続いて行くだろう」と述べ、

更に宇宙ドメインでの協力が加速している様子について、「パートナー国からの、宇宙分野でより緊密に連携していきたいとのシグナル増加を目にしている」と語り、計1000名以上の州軍兵士が、宇宙分野任務で「6つの国:six states」に派遣されている現状にも触れています

SPP 30th5.jpgそして特に注目している地域として、ウクライナ戦争で緊張が高まっているSPP創設当時からの焦点である東欧諸国や、南シナ海を囲むPhilippines, Vietnam, Malaysia, Thailand, Indonesiaなどの国とのパートナー関係だと同計画部長(少将)は述べ、

あまり目立ってはいないが、SPP枠組みでウクライナと加州軍が連携関係にあったことが、今回のロシア侵略対応の基礎を支えたとして専門家の間で称賛されているともアピールしています

SPP 30th2.jpg当初からのパートナー国の一つルーマニアの参謀総長は、「SPPの更なる発展への努力が米国の対象エリアへの関与を示す戦略的メッセージとなる」とSPPの意義を表現し、米統合参謀本部計画部長のStephen Koehler海軍中将は、「スピードと総合運用性深化の更なる追及が、紛争抑止と有事の任務達成に大きく貢献する」とSPPへの期待を表現しています

課題についてウィスコンシン州空軍のPaul Knapp少将は予算の安定確保と予算年度期間の相違を上げ、パートナー国と予算年度の期間が異なり、訓練や交流の計画が立てづらい点や、昨今の予算圧縮の影響を受け長期的な関係強化計画が困難な点を同記念集会で指摘しています
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SPP 30th4.jpgSPP(State Partnership Program)との言葉と枠組みを初めて知りました。54州とワシントンDC等の州軍が、一つの州軍で複数の国とパートナー関係を持つことが普通にあるようで、州軍の力量も大したものです

州軍に取っての貴重な訓練機会だとも思いますし、パートナー国にとっても「肩ひじ張らずに付き合える」米軍なのかもしれません。実際の活動について全く把握&ご紹介できていませんが、機会があれば次の機会に・・・

州軍関連の記事
「州空軍中心に独で冷戦後最大の演習」→https://holylandtokyo.com/2023/05/01/4515/
「予備役兵の個人スキル把握の試み」→https://holylandtokyo.com/2023/03/29/4428/
「一般公道で離着陸&再発進準備訓練」→https://holylandtokyo.com/2022/07/12/3426/

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一応、米海軍が空母定期修理遅延の対策検討 [Joint・統合参謀本部]

最近では4年の修理が6年に延びる惨状
コロナで労働者散逸&サプライチェーン混乱で部品遅延
長期作戦行動で艦艇酷使で不具合続出の空母

Newport6.jpg7月6日付Defense-Newsが、米海軍担当コマンド報道官からの聞き取りを交え、空母の原子炉燃料交換を伴う空母寿命50年の中間に行う4年計画の大修理が、直近の事例(空母George Washington)で2年超過の6年もかかっている問題を取り上げ、造船所の能力低下やサプライチェーンの混乱、更に空母の長期作戦投入による船体疲労からくる修理箇所の増加等々の根深い問題を紹介しつつ、

調達リードタイムが長期間となる部品の計画備蓄や、大規模修理前の事前艦艇チェックを早期&入念に行って修理計画や物資調達をより早期かつ綿密に行うなどの対策、更に艦艇修理を期間を計画通りに進めることによる契約面でのインセンティブや、各修理フェーズ毎の計画の正確性をフィードバックする契約手法等に米海軍が取り組む様子を紹介しています

最近や近未来の空母大修理の状況

空母George Washington(当初2017年夏~2021年夏予定)
Newport5.jpg●現実には2023年5月23日に2年遅れで修理完了。遅延の背景には、コロナによる操業率低下、サプライチェーン混乱による部品入荷遅延、空母船体酷使からくる想定外修理箇所生起、コロナによる熟練作業員の早期退職等による現場技量低下にも関連する作業ミス手戻りなどあり
●米海軍全体では、新規潜水艦建造を遅らせてまで空母の修理を優先したが、それでも約2年の遅延

空母John C. Stennis(当初は2021年1月~2025年春予定
●造船所の能力限界から、空母Washington修理との重複を極力避けるため、修理開始を2021年5月まで遅らせ、終了を2025年8月に修正した計画で作業開始
Newport4.jpg●しかし結局空母Washingtonの修理が2年超過し、約24か月も空母Stennisと重複したことで造船所の対応が追い付かず、現時点で既に数か月の遅延が出ており、また推進装置に大きなトラブルが見つかったこともあり2025年8月終了計画は再検討を迫られている状況
●米海軍は本空母修理契約に際し、発生経費ベースの費用契約から、修理スケジュール遵守状況により評価するインセンティブ提供の考え方を含めた契約に変更している

空母Harry S. Truman(2025年5月~2029年春予定)
Newport3.jpg●この空母との契約については、空母Stennisの契約より更に契約方式を深化させ、作業段階ごとの契約や、困難な修理項目や確保に時間が必要な部品の必要性について早期に察知して計画に反映することへのインセンティブ等を含めることを米海軍が検討している
●また調達にリードタイムが長期間必要な大型バルブ、発電機関連部品、タービン関連部品などの交換履歴を分析し、将来需要予測をより精緻にして備蓄を増やす検討も行われている

空母Ronald Reagan(2029年から予定)
Newport2.jpg●定期修理に6年要した空母G Washingtonとの交代で2015年に横須賀に展開し、その後は海外派遣状態が続いている極めてまれな空母がReaganで、横須賀派遣の交代空母が派遣予定の2024年まで活動を継続すると、異例の9年間連続派遣運用を経た空母となる
●米本土配備の空母は、通常3年で訓練、実戦運用、修理のサイクルを回しており、その間に半年間以上のドック修理期間が組み込まれ、燃料交換時の大規模修理項目の削減につながっているが、このパターンを踏んでいない空母Ronald Reaganは、燃料交換修理に臨む前の事前点検で空母の状態確認が予定されているものの、本番修理は長期化が予期されている
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Newport.jpg空母だけでなく、一般艦艇や潜水艦の修理施設が労働者の質や数を維持できず、今の時代に若者を引き付ける職業でもないことから、労働力面での回復は難しい状況ですし、修理予算自体の確保も難しくなっているのが「何をやってもダメな米海軍」の現実でしょう。日本が米艦艇の修理を横須賀等で受け入れることで合意したようですが、どの程度の効果があるのか気になるところです

修理に計6年を要した空母Washingtonは、来年2024年横須賀に派遣され空母Ronald Reaganと交代する予定で、6年近くの空白を埋めるべく、同空母搭乗員は2022年夏から同空母で準備を開始していますが、同空母で海に出ていない期間が6年あるのは紛れもない事実です。例えその間に他の空母に臨時勤務し、必要な部署資格を維持してきたとは言え・・・・

米海軍の艦艇建造や修理能力が危機的状況
「耐震強度不足で4ドック使用停止」→https://holylandtokyo.com/2023/02/03/4234/
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holylandtokyo.com/2020/08/27/534/
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-16
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24

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女性大将が米海軍トップに就任へ!!! [Joint・統合参謀本部]

現在の海軍No2である女性Lisa Franchetti大将が
米4軍のトップに女性は初めて
国防長官は別の男性大将を6月に推薦したが・・・
その男性大将は太平洋軍司令官に推薦・・

Franchetti5.jpg7月21日、バイデン大統領が8月21日に退役する米海軍トップ(CNO:Chief of Naval Operations海軍作戦部長)Mike Gilday海軍大将の後任に、現在副CNOである女性のLisa Franchetti大将を推薦し、米議会の承認を得られれば米4軍で初の女性トップになることが明らかになりました(なお沿岸警備隊司令官には、2022年8月から女性のLinda Fagan大将が就任済)

6月14日付ブログ記事でご紹介していたように、春から6月上旬までは、女性のLisa Franchetti大将が次期米海軍トップの大本命だとメディアも専門家も一致して「うわさ」していたのですが、「情報駄々洩れ」状態が災いしたのか、女性への「ガラスの天井」が存在したのか、

Franchetti6.jpg6月13日になって突然、各種メディアが「オースチン国防長官は太平洋海軍司令官であるSamuel Paparo海軍大将を推薦した」と相次いで報じ、その後は米海軍関係者は「本件は大統領の専決事項である」の一点張りでコメントを避け続けていました。

米軍の高級幹部約250名の人事全体は、アラバマ州選出のTuberville上院議員が「妊娠中絶が禁止された州から、許可された州へ移動して手術を受ける女性兵士に、旅費と休暇を付与する制度」に強硬に反対して人事案審議をストップさせており、この膠着状態は4か月以上経過した現在も継続中で、米海軍トップ人事の件も皆忘れかけていたタイミングでの突然の発表でした

Franchetti4.jpg以下に再掲載する6月14日付の記事でご紹介したように、Franchetti大将は1964年生まれで、2回の空母戦闘群司令官や第6艦隊司令官、更に欧州アフリカ艦隊司令官を前線指揮官として勤め、統合参謀本部では重責J-5長経験者でもあり、副CNOを経て何ら問題ない順当な女性海軍トップ候補の誕生です

この米海軍トップ人事のドタバタは前回の交代時にも見られた減少で、今やお家芸レベルに達しています。なお、6月中旬から今まで「次の海軍トップ候補」だった太平洋海軍司令官であるSamuel Paparo海軍大将は、過去の流れに沿ってインドアジア太平洋軍司令官候補者に同時に推薦されています

Lisa Franchetti海軍大将の公式経歴
https://www.navy.mil/Leadership/Flag-Officer-Biographies/BioDisplay/Article/3148210/admiral-lisa-franchetti/

軍での女性を考える記事
「海兵遠征軍レベルの先任軍曹に」→https://holylandtokyo.com/2022/12/20/4072/
「米潜水艦の最先任軍曹に初の女性」→https://holylandtokyo.com/2022/09/02/3619/
「米海軍Blue Angelsに初の女性パイロット」→https://holylandtokyo.com/2022/07/21/3484/
「沿岸警備隊司令官に女性が」→https://holylandtokyo.com/2022/04/07/3112/
「初の女性空母艦長が出撃」→https://holylandtokyo.com/2022/01/07/2587/
「技術開発担当国防次官に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「初の女性月面着陸目指す」→https://holylandtokyo.com/2021/07/05/1935/
「黒人女性が初の海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「初の米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-20
「GAO指摘:女性の活用不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「初の歩兵師団長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-10
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「3軍長官が士官学校性暴力を討議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

 女性徴兵制度がある国
「前線にも:イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「究極の平等目指し:ノルウェー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「社会福祉業務選択肢もオーストリア」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22

/////// 以下は2023年6月14日掲載の記事です //////

現在の太平洋海軍司令官が海軍人トップへ
直前まで女性大将推薦で動いていたはずが
「最悪の人事情報管理」と関係者吐露

Paparo.jpg6月12日NBC News等米メディアが、2019年8月から米海軍トップのCNO(chief of naval operations)を勤め、今年8月21日退役が決定していMike Gilday海軍大将の後任に、オースチン国防長官が大統領に、現在の太平洋海軍司令官であるSamuel Paparo海軍大将を推薦したと報じました。

Franchett2.jpg先週から12日昼の段階では、現在の副CNOである女性Lisa Franchetti大将が初めて女性として4軍のトップになると様々なソースが報じ、実際米海軍や国防省内でもその方向でスタッフが動いていた事実が確認されていたようですが、海軍現役やOB幹部から「最悪の人事情報管理」だ・・・との声が上がるほど「情報だだ漏れ」状態だったようです

米海軍報道官や国防省は「それは大統領が決定する事項だ」とノーコメントを貫いているようで、厳密に言えば、国防長官の推薦を受け、最終的にバイデン大統領が米議会への推薦者を判断することになりますが、12日付Defense-Newsによれば、匿名の2名の関係海軍高官がPaparo海軍大将推薦を認めたようです

Paparo3.jpg太平洋海軍司令官ポストは、対中国作戦を海上・水中作戦を立案&実行する重要ポストですが、これまでは同ポストから一段上の太平洋軍司令官に就任するケースが多く、実際現在のインドアジア太平洋軍司令官(対中国作戦の大統領直属の指揮官)であるJohn Aquilino大将も、太平洋海軍司令官から就任しています

女性Franchetti大将も Paparo大将もともに1964年生まれで、共に空母戦闘群司令官やナンバー艦隊司令官(前者が第6艦隊、後者が第5艦隊)を勤め、前者が欧州アフリカ艦隊司令官、後者が中央軍&太平洋軍海軍司令官を務めた経歴を持ちますが、統合職では前者がJ-5経験者ですが、後者は主要な統合ポスト経験がありません。

Paparo2.jpgアジア太平洋に関しては、前者は在韓米海軍司令官経験のみで、後者は現在の太平洋海軍司令官で分があります。女性Franchetti大将も Paparo大将も、アナポリスの海軍士官学校出身「ではない」点では同じです

なぜ、直前に外野から見て「どんでん返し」になったのかは邪推しかありませんが、「最悪の人事情報管理」による女性トップ誕生との噂流布が国防省レベル以上で嫌われたか、中央軍&太平洋軍海軍司令官の経験がより重視されたのか・・・・もしれません

Franchett.jpgただ米海軍トップ人事のごたごたは現CNO就任時の4年前にもあり、米議会の承認も得て2019年8月1日にCNO就任が決定していた人物が、最終段階の「身辺調査」で不適切な過去が判明し、7月7日に辞任退役に追い込まれる事態が発生(下の過去記事参照)、

グダグダの装備品開発(空母、LCS等々)、艦艇の衝突事故や火災事故、ワイロ事件等々で「何をやってもダメな米海軍」と揶揄される中、米海軍人事全体が大混乱に陥り、本来なら別の大将の中から米海軍トップを選出するはずが候補者が見当たらず、中将の中から選出する「異例中の異例」な経緯をたどった記憶も生々しいところです

海軍トップは大統領の正式推薦まで予断を許さない雰囲気ですが、いずれにしても、統合参謀本部議長も含め、陸海空海兵隊のトップが全て同時に交代する夏の人事となりました。

Samuel Paparo海軍大将の公式経歴
祖父・父も米海軍勤務の筋金入りです
→ https://www.cpf.navy.mil/Leaders/Article/2628260/admiral-samuel-j-paparo/ 

4年前の米海軍トップ交代の大混乱
大本命が最終段階で過去の不始末でクビに
「異例:大将に適任者なく中将から」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-19
「Moran大将突然の辞任」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-09

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米軍がペルシャ湾やシリア緊迫にF-35派遣 [Joint・統合参謀本部]

シリアでのロシア軍機による威嚇や米軍上空飛行
ペルシャ湾でのイランによる民間タンカー拿捕未遂受け

USS McFaul.jpg7月17日、米中央軍は同軍担当エリアに、F-35戦闘機と追加のF-16戦闘機、更には追加のミサイル駆逐艦を派遣すると発表しました。今年の春以降にシリア上空で駐留米軍や米軍偵察機に対するロシア軍の威嚇飛行が活発化していることや、最近のペルシャ湾やホルムズ海峡でのイラン勢力による商用タンカーへの発砲などの事案を受けての戦力増強です

ペルシャ湾やホルムズ海峡周辺では、7月初めにイラン勢力が2隻の商用タンカーを拿捕しようと試み、内1隻のタンカーにはイラン勢力が発砲する事案が発生し、米海軍ミサイル駆逐艦USS McFaulが急行してタンカーを解放した事案が発生したばかりです

F-35 CENTCOM.jpgこのようなイランの行為に対しては、A-10攻撃機がまず海洋抑止任務に派遣され、次いでF-16戦闘機や米海軍P-8哨戒機派遣で戦力強化が図られ、追加でミサイル駆逐艦USS Thomas Hudnerも決定された模様です。

現在約900名の米軍兵士が展開しているシリアでは、7月に入り、無人偵察攻撃機MQ-9がロシア軍戦闘機にシリア西部上空で威嚇飛行されたり、シリア東部では米軍展開エリア上空を定期的にロシア戦闘機が飛行し、米軍有人機の500フィート以内にロシア戦闘機が接近するなど、ロシア軍による脅威が増しています

F-35 CENTCOM2.jpgこれらシリアでのロシア軍機の活発化を受け、6月に米軍はF-22を中東域に派遣していましたが、その帰国とタイミングに合わせるような形で、オースチン国防長官とMichael Kurilla中央軍司令官が協議してF-35派遣を決定したとのことです 

過去に遡ると、2019年に米軍無人偵察機RQ-4がイラク軍機に撃墜された事案もありましたが、シリアと対イラン正面のペルシャ湾方面の両方に目を光らせる意味を含んだF-35派遣だと国防省高官は記者団に背景を説明した模様です
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USS McFaul2.jpgしばらく中東の話題には触れていませんでしたが、ウクライナや対中国の話題に世界の目が向いている隙をつくように、世界では様々な勢力がうごめいています

ウクライナを巡る世界経済への悪影響、中国経済の「不動産バブル崩壊」による今後20年間は継続するであろう不良債権問題、これらを受けた欧米経済の加速的減速を受け、台湾正面だけでなく、世界各地に不穏な動きが拡大することを強く懸念しています

中東における動き
「サウジとイランが中国仲介で国交」→https://holylandtokyo.com/2023/04/21/4550/
「秋までに100隻規模の無人艇部隊を」→https://holylandtokyo.com/2023/01/06/4118/
「60か国がAI活用海洋演習実施中」→https://holylandtokyo.com/2022/02/14/2685/
「B-52が9か国戦闘機と編隊飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/04/06/3105/

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米海兵隊は次の事前装備集積船を小型化へ [Joint・統合参謀本部]

対中国の西太平洋での分散&機動運用に備え
大規模な輸送よりも日々の作戦を支える役割を
Force Design 2030の最新改定版で方向決定

MPS-X.jpg6月28日付Defense-Newsは、米海兵隊が西太平洋での対中国本格紛争に備え、3年半前作成の海兵隊将来構想「Force Design 2030」を5月にアップデートし、分散運用構想「Distributed Maritime Operations Concept」を支える装備品の海洋事前集積や輸送船のあり方見直しに着手したと伝えています

同日行われた海兵隊イベントで関係海兵隊幹部は具体的に、現在の海兵隊輸送の主力である「Large, Medium-Speed Roll-on/Roll-off ships」を、より小型で小規模な島々の港湾施設で利用可能なMPS(X)「next-generation maritime pre-positioning ship」に置き替えるため2030年前後の運用開始を目指し、

MPS-X2.jpgまた、最近まで将来の小型の補給艦「Next-Generation Logistics Ship」と呼称されていたものを、「Light Replenishment Oiler」として具体化し、2026年に調達フェーズに入る計画に着手していると語っています

米海兵隊は26日の週にハワイで関連の机上演習を実施し、西太平洋で日々の分散&機動作戦構想を兵站面で支える「Global Positioning Network」構想やMPS(X)の運用について検討した模様で、大型輸送&備蓄艦艇より、小回りが利き貧弱な港湾施設しかない分散運用先での部隊支援に、現在より小型の艦船が不可欠だと改めて確信した模様です

MPS-X3.jpg小回りが利き、小さな港湾施設でも利用可能なほかに、小型艦艇による小分け輸送は、敵の攻撃部隊の目標照準を困難にし、輸送任務成功確率向上に貢献するとも分析されており、今後1年以内にMPS(X)要求性能を固め、2030年前後に運用開始したいと関係者が28日に語った模様です

米海兵隊のMPS(X)担当者によれば、従来の「海洋事前集積船」のイメージと、前線部隊への日々作戦で必要な物資を直接輸送する海洋輸送力を併せ持ったアセットがMPS(X)だそうで、この辺りも我々傍観者に発想の転換を迫るものとも言えます

Light Replenish.jpgまんぐーすにとっては、MPS(X)や「Light Replenishment Oiler」は初めての言葉ですが、その狙いとすることは明確で当然であり、米海軍艦艇の稼働率低下で海兵隊の作戦運用が制約を受ける厳しい現状(スーダン脱出作戦での海兵隊派遣断念事例など)を打開すべく、スムーズな構想実現を期待したいと思います

米海兵隊関連の動向
「次期司令官は改革派」→https://holylandtokyo.com/2023/06/06/4711/
「沖縄海兵隊4千名転進先」→https://holylandtokyo.com/2023/02/01/4230/
「ハワイに新MLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「Stand-in Force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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米議会が国防省や陸空軍に無人機防御策レポート要求 [Joint・統合参謀本部]

分散や機動重視の作戦運用構想で展開先をどう防御するの?
来年2~3月期限で具体的な構想を要求

JCO high-power micro3.jpg6月13日付米空軍協会web記事は、米下院軍事委員会小委員会が2024年度予算関連法案の中で、米空軍が対中国を主に念頭に置く、航空戦力の小規模分散&機動展開構想ACE(Agile Combat Employment)でカギとなる、施設不十分な機動展開先飛行場の無人機脅威等からの防御体制(機動展開可能な防空システム計画、コスト見積もり、計画時程、想定装備調達や開発や運用に必要な判断事項など)を、2023年2月1日までに報告要求すると報じています

JCO2.jpgまた同記事は、米議会は米空軍だけでなく、来年3月1日期限で国防省に対しても、敵の無人機に対して、レーザーや電磁パルス兵器などのエネルギー兵器をどのように活用するのかに関する具体的な計画、例えば、他の防空兵器とのシステム一体化の検討状況、エネルギー兵器を使用した場合の周辺空域や人や社会インフラへの副次的な悪影響、兵士への教育訓練方針、調達規模や兵器維持に関する見積もり等々を要求しています

特に米陸軍に対して取り組みの遅れを厳しく指摘し、同様の期限で、統合の小型無人機対処検討チーム(JCO:Joint Counter-small Unmanned Systems Office)が検討&提案している対策案を、どのように取り入れる計画なのかを求め、「特に陸軍は、既に有効性が他軍種等で確認されているシステム導入にも、米特殊作戦軍と共に実戦環境で使用しているシステムにも、JCOが推奨システムにも、具体的に進む決定をしていない」と非難しています

Coyote Raytheon3.jpg既に「今そこにある危機」として脅威に直面している米中央軍のGuillot副司令官は具体的に、「高度150~300mを、速度15~30㎞で飛来する小型ドローンやその群れを、様々な防空システムを融合して、多層的に対処可能な防御態勢確立を求めている」、「複数でなく、1個スクリーンに脅威情報や対処状況がまとめて表示されるような仕組みを望んでいる」と訴え、

同じく中央軍のRenshaw作戦部長は、「Amazonで手りゅう弾や小型無人機が簡単に入手可能な今の時代は、誰もが見通し外の範囲を射程に収める攻撃力保有者になれる」と危機感を訴えています

THOR AFRL3.jpg米中央軍が直面するこのような課題は、対中国作戦を司る太平洋軍にも突き付けられた課題であり、グアム島のアンダーセン基地司令官等が不可欠な基地防空の重要性を訴え、また最近12名の多能力整備員チームで2機のF-35再発進準備に実験演習で挑戦した部隊指揮官も、敵の空からの脅威に対する守りの重要性を大前提として期待していたところです
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対中国作戦で米軍が分散&機動展開拠点として使用したい西太平洋の島々でも、米中央軍が直面しているような小型無人機の脅威を当然想定する必要があると思います。

solomon3.jpg既にソロモン諸島は中国治安部隊の駐留を可能にするような安保協定を中国と結び、インドネシアの米国への塩対応など、中国の西太平洋への浸透は、「南シナ海埋め立て要塞化」ほど目に見えないものの、「札束攻勢」で草の根レベルで根を張っていると考えるべきで、小型ドローン攻撃実施など簡単でしょう

沖縄はもちろんのこと、西日本の米軍や自衛隊基地も、当然のことながら「脅威下にある」と考えておくべきでしょう

西太平洋への中国の浸透
「インドネシアは米に塩対応」→https://holylandtokyo.com/2023/05/24/4640/
「ソロモン諸島と安保協定」→https://holylandtokyo.com/2022/04/11/3119/

THOR関連の記事
「電磁パルス兵器THOR群れ対処試験に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/05/26/4663/
「装備名Mjölnirで24年にプロトタイプ作成へ」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「マイクロ波で小型無人機の群れ無効化狙う」→https://holylandtokyo.com/2021/07/06/1942/

物理的破壊方式のCoyoteなど
「シリア拠点で実戦防御に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/02/06/4201/

米軍の小型無人機対処関連
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

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