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参院選と終戦の日を前に「戦争と平和」を考える [ふと考えること]

昨年8月の記事の再掲載です

オバマ大統領(当時)は「核なき世界」ビジョンでノーベル平和賞を受賞した際、2009年12月の受賞スピーチで「核なき世界」には一切触れず、冷徹な国際社会の現実を語り、そして地道な努力の重要性を訴えた・・・

Peace2.jpg最近、国政選挙の時期なると、ニュース番組を消したくなります。また毎年、広島や長崎に原爆が投下された日、そして終戦の日が近づくと日本のメディアから目をそむけたくなります

垂れ流される浅薄な平和一番メッセージや薄っぺらな戦争や軍事力批判、「平和」と叫べば平和になると言わんばかりの平和教信仰、そんな大人の作った作文を読まされる子供達・・・そんな洪水のような情報にさらされたくない思いでいっぱいになります

今日の日本の礎を築くため、尊い犠牲をはらわれた方々を思い、英霊に祈りを捧げるなら、冷徹な世界の情勢に目を向けつつ、以下でご紹介するスピーチが言う「人間の制度の漸進的な進化」への取り組みを誓うしかないでしょう
そんな思いで2010年正月の記事から取り上げます

以下は、2009年12月10日、オバマ大統領がノーベル平和賞の授与式で行ったスピーチの、まんぐーすの勝手なつまみ食いアウトラインです

より詳しくはこちらを(これも全文ではありません)
その1→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-31 
その2→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-01
その3→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-02

あくまでも個人的解釈の概要です。上記の詳しいバージョンを是非ご確認ください

obama nobel2.jpg●我々は厄介な真実を認めることから始めなければならない。我々は我々の生きている間に暴力的な紛争を根絶することはできないだろう
●わが国家を保護し、守ると誓った国家の元首として、私はガンジーやキングを模範としただけで、国家を導くことはできない。私はあるがままの世界に向き合っており、米国民に対する脅威を前に何もしないでいるわけにはいかない

●世界には悪が存在する。非暴力の運動はヒトラーの軍を止めることはできなかった。交渉はアルカイダの指導者にその武器を置くように説得できない。力が時には必要であるということはシニシズムへの呼びかけではない。それは歴史、人間の不完全さ、理性の限界の承認である
●戦争は平和の維持において果たす役割を持っているしかし今ひとつの真実、すなわち戦争はいかに正当であろうと、人間の悲劇を約束するものだということと共に理解しなければならない。だから我々の挑戦の一部は、すなわち戦争が時には必要であるが、戦争はあるレベルでは人間の愚かさの表現である、を両立させることにある

obama nobel3.jpg●ケネディー大統領が呼びかけた努力が必要なのだ。つまり「人間の本性における突然の革命にではなく、人間の制度の漸進的な進化に基礎を置くもっと実際的でもっと達成可能な平和に我々の焦点を合わせよう」。人間の制度の漸進的な進化がそれである。

●実際的な取り組み(3つの視点)
●公正で永続する平和を作る方法3つ
●今そこにある現代の紛争

●わたしはあきらめない
ガンディやキングが実践した非暴力はすべての状況において実際的あるいは可能でなかったかもしれない。しかし彼らが説示した愛、人間の進歩への基本的な信仰、それは常に我々の旅路で我々を導く北極星でなければならない
何故ならば、もし我々がそれを馬鹿げたこと、あるいはナイーブなことと捨てるならば、その時には我々は人間にとり何が最善なのかを見失う。我々は我々の可能性の感覚を失う。我々は我々の道徳的コンパスを失う

obama nobel4.jpg●彼らを模範に生きよう
今日、今どこかで、あるがままの世界で、兵士は自分が武力で圧倒されていることを知るが、それでも平和を保つためにしっかりと立っている
今日どこかで罰するかのような貧困に直面しつつも、母親はその子供に教える時間をとり、彼女の持つ数少ない貨幣をかき集め、その子を学校にやろうとしている。何故ならば彼女はこの残酷な世界にその子供の夢のための場所がまだあると信じているから

彼らの模範によって生きよう。明確な目で戦争があることを理解しつつ、まだ平和のために努力し得る。我々はそれをすることが出来る何故ならばそれが人間の進歩の物語であり、すべての世界の希望であり、この挑戦の時期において地上における我々の仕事でなければならないからである
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Peace.jpgオバマ大統領は、2009年4月にプラハで行った「核なき世界」演説でノーベル平和賞を授与されることになったのですが、受賞決定後に各方面から様々な意見が寄せられ、「核なき世界」論を夢物語として批判する声も多くありました

そんな中での授賞式スピーチは、冷徹に現実を見つめつつ、なお遠き道のりを目指す決意を格調高く訴え、受賞を巡る様々な声に思いを語るものとなっています。オバマ大統領の評価とは別に、素晴らしいスピーチだと思います

より詳しくはこちらを(これも全文ではありません)
その1→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-31 
その2→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-01
その3→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-02

受賞を謙遜する冒頭の言葉も好みです・・・
「世界には、正義を求めたために牢屋で殴打された人々、苦悩を和らげるために人道的組織で働く人々、その静かな勇気と共感の行為でシニカルな人をも動かす数多くの無名の人々がいる。これらの人々、一部の人と彼らが助けている人以外には知られていない人々、が私よりもずっとこの賞にふさわしいと考える人々に、私は異議を唱えることはできない。」

終戦の日に考える記事
「玉音放送を読む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-16-1
「未だ公式名称無き『先の大戦』」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-26
「歴史認識3つの首相談話」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-20
「靖国首相参拝3名の視点」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-07

上記3本のまとめ記事
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-14

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再びトランプ大統領がパレードもどきを発案 [ふと考えること]

独立記念日にリンカーンメモリアルを中心に
「Salute to America' parade」と呼ぶらしい
トランプ創設のイベントとして恒例化を目指すとか

Salute to America.jpg12日トランプ大統領は、7月4日の独立記念日に「アメリカに敬意を:Salute to America'」パレードを計画すると明らかにし昨年100億円規模の予算が必要との試算が出てとん挫した軍事パレードの代わりに、「大集会」のイメージに近いイベント構想を語りました

そもそもトランプ大統領は、シャンゼリゼ通りで毎年行われるフランス独立記念軍事パレードに2017年7月来賓として参加してその様子が気に入り帰国後ワシントンDCの目抜き通りであるPennsylvaniaアベニューでの軍事パレード検討(11月の退役軍人記念日に)を命じましたが、他の外交日程や経費問題で実現できず、別のチャンスを伺っていた模様です

昨年の軍事パレードは、「米軍に感謝の意を示したい」との大統領の趣旨説明を受け、国防省に検討が命じられましたが、今回は「アメリカに敬意を:Salute to America」とのテーマであり、担当は内務省(ここも長官不在で臨時長官が勤務中)になるようです

軍事パレードでも、「アメリカに敬意を大集会」でもそうですが、なんとなく自分を中心に「偉大なアメリカ」をお祝いしたい狙いが見え見えで、あんぐり口が開いてしまいそうなイベントですが、関連報道をご紹介いたします

13日付Military.com記事によれば
Salute to America3.jpg●12日、トランプ大統領はホワイトハウスで、7月4日かその当たりで、Salute to America' paradeといった名称の大きな集会実施を考えており、リンカーン記念堂を中心に行うことを一案に検討させていると明らかにした
●同大統領は、パレードとの言葉を使ったが「大きな集会のような感じだ」と表現し、「今後、伝統的に行われるイベントになる event to become a tradition」とも語った

●このイベントの担当はDavid Bernhardt臨時内務省長官で、「とてもわくわくした日になる could be a very exciting day」とも大統領は語った
●毎年、独立記念日には国立公園協会がワシントンモニュメント周辺で花火を行うことになっているが、この恒例イベントを無料で、「Salute to America」のボーナスイベントとして活用できるとも大統領は述べた

Salute to America2.jpg●しかし7月4日の独立記念日当日には、既に複数のイベントがワシントンDCで計画されており、これとの兼ね合いが悩ましいくなるだろう
Constitutionアベニューでのパレードなど多数のパレードイベント、例の花火の直前まで議会議事堂の庭で開催されTV中継されるコンサートなど、多くの人々が毎年この日にはDCを訪れる

●なおホワイトハウスは、このイベントの予算見積もりについては言及していない
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「Salute to America」とのイベント自体は、米国建国の精神を振り返りつつ、独立記念日を祝おうとの行事で、アメリカらしいパレードやコンサートが、星条旗が打ち振られる中で開催されるイメージの祝賀行事で、独立国として自然な行事です

Salute to America4.jpgでも、昨年11月に目論んだ軍事パレードが経費面で不評を買ったからか、花火については「a bonus will be fireworks at no extra charge」と言及する品の無さで、イベントの品を落としているような気がしてなりません。もし休日である独立記念日に動員される米軍兵士がいたら、白けた気分になるかもしれません・・・

いろんなタレントや歌手にも声がかかるのでしょうが、先日のスーパーボールのハーフタイムショー出演歌手を巡る騒ぎように、トランプ支持かどうかの「踏み絵」を踏まされ、周辺で反対集会が開催されるような米国分断を象徴するイベントにならないことを祈ります

少しは関連のある記事
「DCで軍事パレードをご希望」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-10-1
「宇宙軍創設を訴え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21
「戦地激励を避けるトランプ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-23

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マケイン議員の議席に元A-10女性飛行隊長が [ふと考えること]

暫定で2020年の選挙までだそうですが
これでA-10延命の声がますます大きくなるのか?

McSally2.jpg18日アリゾナ州知事が、8月に脳腫瘍でなくなったマケイン上院議員の議席に、米空軍で最初の女性戦闘タイプ航空機操縦者(A-10)で、大佐で退役して政界に転身したMartha McSally下院議員を指名すると発表しました。

米国の選挙区議員選出制度が日本と異なるので混乱しますが、マケイン議員死亡後の「マケイン議席」には、同じく知事の指名を受けたJon Kyl議員がついていましたが、 Kyl議員が2018年末で引退を申し出たため、後任者を再びアリゾナ州知事が指名したということです

ただ指名されたMartha McSally下院議員の任期は、マケイン議員の任期後半を努める議員の選挙が行われる2020年までで、2年間の暫定登板です

McSally2.jpgなおMcSally下院議員は、先の中間選挙で同州の別の上院議員枠を狙って出馬し、民主党議員に敗れており、本来ならば2015年1月から2期務めた下院議員職を失い、2019年1月から「ただの人」になる予定でした。

米空軍大佐であった42歳で早期退職し、シンクタンク勤務とKyl議員の安全保障補佐官を務めていた際に政治家を目指す決意を固め、2年後の2012年の下院議員選挙に出馬も僅差で敗れ、更に2年後の2014年10月の選挙で当選を果たした経緯があり、彼女を見込んだKyl議員が引いた道筋だったのかもしれません

女性初の戦闘飛行隊長でイラクやアフガンで活躍のMcSally議員
(各種報道からご紹介)
McSally.jpg米空軍士官学校卒でA-10操縦者として初の攻撃任務をイラクで遂行し、飛行隊長として率いた部隊がアフガン作戦で優秀部隊として空軍協会から表彰されたこともある。優秀な士官のみが入学を許されるAir War College卒でもある
●下院議員として下院軍事委員会に所属し、米空軍がF-35整備員確保等のためA-10の早期退役を持ち出した際には反対キャンペーンを打ち、早期退役案を取り上げさせた剛腕ぶりを発揮している

●また、McSally下院議員の選挙区は、2016年の大統領選挙でクリントン候補優位な結果が出た選挙区で、その中で共和党の議席を守った力や、今年の上院議員選挙で2%の僅差で敗れたものの、民主党に風が吹く中で検討したとの評価を陣営は出している
●一方、今年の上院議員選挙で民主党議員に敗れた戦いぶりや、故マケイン議員への言及表現がマケイン議員家族から非難を受ける事もあり、今回の上院議員指名には反対のアリゾナ州共和党員も少なくない
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McSally.jpg政治家の皆さんには様々な話題が付きまとうもので、Martha McSally下院議員の人物についてあれこれ述べる知識もありませんが、A-10攻撃機という戦闘機とは異なる現場密着のリスクの高い作戦機を乗りこなし、気性の粗そうなパイロットを飛行隊長として束ねて優れた成果を上げた人物であることに間違いありません

おとなしいまんぐーすなど、腰が引けてご挨拶だけでも大緊張しそうな女傑ですが、実際お会いしてみるとそうでもないのかもしれませんね・・・

A-10全廃大反対の際は、夫が元A-10パイロットだというAyotte上院議員とともに、「露骨すぎるやろ!」を思ったものですが、今後のご活躍にとりあえず期待いたしましょう

米空軍のA-10全廃案関連
「2名の女性議員が大反対」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22
「米陸軍は全廃容認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-29
「視界不良:A-10議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-07
「F-35整備員問題は何処へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-18
「米空軍:A-10はあくまで全廃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-15

関連の記事
「女性兵士の装具改善に時間必要」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-13
「今頃・・女性兵士にフィットした飛行服等に改良へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07
「女性初のF-35操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-08
「女性だけの編隊で攻撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-04

軍での女性を考える記事
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19

「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

「性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04
「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1

女性と徴兵制
「前線にも:イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「究極の平等:ノルウェー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「社会福祉選択肢もオーストリア」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22
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フォークランド戦争で尖閣有事を考える!? [ふと考えること]

かなりまんぐーすの解釈が入っています

フォークランド諸島.jpg11月14日付で防衛研究所webサイトが、同研究所戦史研究センター国際紛争史研究室の柳澤潤氏のブリーフィングメモ「フォークランド戦争における航空優勢」(4ページ)を掲載し、島嶼防衛を考える機会を提供してくれました。

もちろん同メモは「筆者の個人的な見解であり」、また決して尖閣諸島をはじめとする南西諸島が中国に占拠された際の奪還作戦を考えるための研究などとは一言も述べていませんが1982年にアルゼンチン沖の大西洋で起こった英国とアルゼンチンの戦いを、今更防衛研究所が取り上げる理由は「南西諸島における島嶼防衛」を意識してのことと考えるのが自然です

地図が示すように、フォークランド諸島は英本土から13000㎞、アルゼンチン航空基地から700㎞も離れた場所にあり、イギリスに占拠されてから150年周年の1982年に、アルゼンチン軍事政権が奪還を試みた紛争で、4月2日にアルゼンチンが奪還占領しましたが、6月14日に降伏して再び英国支配が戻った戦いです

柳澤.jpg島を占領して攻勢的立場で主導権を握ったアルゼンチンを中国に見立て、島奪還を目指して上陸部隊を送り、同部隊を守る防空的作戦の英国を日本に見立ててみる視点が一般的でしょうが、単純に例えられない相違もあるので、ぼんやりとご覧ください

筆者の柳沢氏は元航空自衛官(防衛大学28期生:50代後半)ですが、尖閣とか南西諸島との言葉を一切使用しない中で、苦心して今の防衛省に考察の論点を提供しようと試みていますので(邪推です)、その辺りを勝手に汲んで、表現等は勝手に同メモからアレンジして、ご紹介します

同ブリーフィングメモからまんぐーすが考察すると
フォークランド諸島2.jpg●英軍の政治的制約
英軍は政府方針として、アルゼンチン本土は攻撃しないことを命じており、英軍はアルゼンチン軍機の発進拠点攻撃ができなかった。実施する能力があったかどうかは別として。
教訓→このような政治レベルからの軍事作戦制約は、先進国側にありがち

●空中戦闘
5月1日から始まった本格紛争の初日に、英軍艦載機シーハリアーとアルゼンチン軍ミラージュ等の空中戦があったが、兵器の差や操縦者技量から英側が4撃墜。それ以降はアルゼンチン側は空中戦等を避ける。紛争期間中のアルゼンチン機の被害率は151出撃で19機撃墜の13%と高い
教訓→最初が肝心、兵器の質や搭乗員の技量が重要

●英爆撃機の1発命中
エグゾセ.jpg英軍ニムロッド爆撃機が5月1日に、フォークランドのアルゼンチン軍飛行場滑走路に1発爆撃し、直接被害はなかったが、アルゼンチン軍機はフォークランドから撤退し、大陸から遠距離作戦を余儀なくされた
教訓→実際の効果より、爆撃機の存在の心理的効果

●エグゾセ対艦ミサイルで英艦艇撃沈
安価なエグゾセ対艦ミサイルで英海軍駆逐艦シェフィールドが撃沈され、英空母2隻はエグゾセ射程外の遠方から作戦せざるを得なくなり、航空優勢獲得が極めて綱渡りになった。
教訓→艦艇の脆弱性顕在化、空中給油機能の重要性再認識。当時アルゼンチンは限定的給油受給能力あり。一方の英軍は本紛争間に急きょC-130とニムロッド爆撃機に空中給油能力を付加)

●アルゼンチン機が低空侵入で英の探知回避
A-4.jpg英軍が早期警戒機等を保有しないことを知るアルゼンチン機は、低空で侵攻してフォークランド島の英軍上陸部隊を急襲。シンプルな侵攻法だが効果大で、アルゼンチン軍機で最も攻撃成果を上げたのは最も旧式のA-4攻撃機だった

アルゼンチン軍は対艦攻撃時の爆弾信管の設定に不慣れで、多くの不発弾を生む結果となった。この不発弾がなければ英軍は敗北していた可能性が高いとも言われる
教訓→島嶼作戦は遠方での作戦となるが、低高度を含む航空状況の把握は不可欠。現代では巡航ミサイル対処を考える必要も

●紛争期間中にも装備改良
英国は遠方での作戦を支えるため、前述の空中給油機能付与のほか、紛争終了には間に合わなかったものの、シーキングヘリに早期警戒能力を付与して翌年には投入、紛争後も緊張の続く周辺地域の警戒にあたらせた
教訓→両軍とも想定しなかった地域での戦いであったが、状況に柔軟に対応して措置する能力が勝敗に大きな影響を与える
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シェフィールド2.jpg特に教訓部分は、同メモの内容からではなく、まんぐーすの勝手な解釈で書いていますので誤解なきようお願いいたします。

また紛争の流れ全体をご紹介するスペースがありませんので、ご興味のある方はブリーフィングメモを是非ご確認ください

このような戦史に関しては、ネット上でググると様々な情報を得られますが、軍事的な解釈については柳澤氏のような専門家の見方をきちんと確認したほうが良いと思います。

忘れてました! 時のサッチャー英国首相は、遥かかなたの島奪還作戦の戦費と犠牲を懸念して煮詰まらない議会に、「この場に男はいないのか!」と一喝し、13000㎞離れた島嶼奪還作戦を遂行したとの逸話が伝えられています

防衛研究所が平成22年~25年に実施の大規模研究プロジェクト
全12章の大作:「フォークランド戦争史」
http://www.nids.mod.go.jp/publication/falkland/index.html

防研のブリーフィングメモ
「トランプ政権の宇宙軍創設」→http://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary087.pdf
「自衛艦旗を巡る一考察」→http://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary089.pdf
「石津朋之氏の戦争の将来像」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24-2
「米軍リバランス」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-17

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大空に男性器:またやった今度は海兵隊 [ふと考えること]

昨年11月の米海軍EA-18Gに続き・・・
トップガン撮影のあの基地で
ネット情報で監視しているこのサイトはすごい!

T-6 marine.jpg10月23日、カリフォルニア州の米軍基地(Marine Corps Air Station Miramar)を飛び立った海兵隊のプロペラ初等練習機T-34Cが、「Salton Sea」という海面下にある湖の上を「男性器」を描くようなパターンで飛行したようだとツイッター上で拡散され、当該操縦者らが米海兵隊の調査を受けているようです

「東京の郊外より・・・」をご覧いただいている皆様の中には、ご記憶の方もいらっしゃるでしょう・・・。

昨年11月16日、米国北西部ワシントン州の青空に、近傍のWhidbey Island海軍航空基地を飛び立った空母艦載電子戦機EA-18Gが巨大な男性器を描いたところ、地元の多くの人が目撃し、スマホで撮影したと思われる写真や映像が拡散、地元テレビ局もすぐに取り上げ、あっという間に全米の話題になりました

数日後、米海軍が「無責任で未熟な行動」「全く受け入れられない海軍の中核となる価値観に反する行動」と海軍な操縦者の仕業であることを認め、不快な思いをした皆さんに謝罪すると公式に発表する事態になりました

まぁ・・・大半の人は面白がって、クリスマスシーズンだった当時、商魂たくましい地元企業が売り出した、その飛行パターンを形にしたクリスマスツリーの飾り(8ドル)を飾って「ネタ」にしていたようですから・・・

今回の事案を海兵隊第3航空団報道官は
T-34C.jpg●米海兵隊所属「Marine Fighter Attack Training Squadron 101」 所属のT-34Cが、ソルトン湖上空で、イレギュラーなパターンで男性器のような経路を飛行した
どのような背景で、何が行われたのかについて、事実を明らかにすべく調査が行われている
●海兵隊搭乗員は指揮系統の指示に従い、プロ意識と尊厳と威厳を保つ必要がある。海兵隊第3航空団の兵士は、高いレベルでプロの戦闘員として行動することを期待されている。名誉と勇気と任務遂行の意思を価値観の中核として

注目は指摘した「Aircraft Spots」
https://twitter.com/AircraftSpots 
T-34C pennis.jpg●軍用機の飛行情報を、ほぼリアルタイムでネット上で入手して(?)モニターしているらしく、その情報をツイッターで配信
●10月23日に、米空軍の次期空中給油機KC-46Aが、初めての海外派遣試験飛行で横田基地に飛行する位置情報を、地図上にプロットして発信するなどの活動
米軍のP-8、RC-135S Cobra Ball、MC-130、KC-135Rなどの特殊作戦機の動きをフォローして航跡図をアップ
日本付近の米軍機の活動情報アップが多い
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Aircraft Spots.jpg「Aircraft Spots」がどうやって飛行情報をフォローしているのかご説明できないのですが、世の中変化しています・・・

今回のT-34C初等練習機は、EA-18Gのように飛行機雲を引いていなかったはずですが、レーダー航跡をしつこくフォローしている人がいて発覚した事例です。世の中、悪いことできない監視社会になってきました

男性器を大空に描いた海軍操縦者が処分 https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-02-1

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在日米軍が空自救難隊員にメダル授与 [ふと考えること]

皆でほめてあげようよ!!!

Naha Rescue.jpg15日、在日米軍司令官兼ねて第5空軍司令官であるJerry Martinez空軍中将は、勤務地である横田基地からはるばる沖縄の航空自衛隊那覇基地に赴き、米空軍F-15C戦闘機から海上に脱出した米空軍パイロットを救出した航空自衛隊那覇救難隊員の功績で讃え、メダルを授与しました

今年の6月11日早朝6時30分ごろに発生した本事故の原因や、パイロットの階級氏名は明らかにされていませんが、通常訓練の途中で沖縄南方の海上に何らかの原因で緊急脱出した1名のF-15Cパイロットは大けがを負っていた模様で、空自の救難ヘリ隊員が応急措置をしつつ沖縄の米海軍病院に緊急搬送した模様です

一連の救難任務には、空自那覇救難隊の9名の隊員が参加していていたようですが、メダル授与式には3名のみが出席し、後の6名は日本各地で連続発生した地震や台風被害の災害派遣や支援任務で不在なため、後日メダルが渡されるとのことです

米空軍協会webサイトが報じました!
メダル授与式でMartinez司令官は
naha rescue2.jpg●(早朝の緊急事態に迅速に対応して見事に任務を完遂した)航空自衛隊那覇救難隊は献身的な姿勢、プロフェッショナル性、そして固い団結に満ちた部隊である。
●そして何よりも重要なのは、任務にあたって自らの危険を顧みず任務にまい進する隊員たちによって那覇救難隊が構成されていることである

那覇救難隊の作戦能力は、真に驚くほど高いレベルにある。そして構成員である隊員たちは、リスクがあっても、他者の安全と健康に最大限の関心を払える兵士ばかりである
そしてこの救出活動は、日米同盟がこれまで同様強固であることを示すものである
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6月のこの時点で、このF-15の事故は米軍航空機12番目の墜落事故でした。昨年あたりから、米軍全体で航空機事故が猛烈なペースで発生しており、それはそれで大きな問題で、機体の老朽化やパイロットの疲弊、米軍全体の実戦疲れなどが原因と指摘する者もいます

沖縄県知事ならずとも、沖縄メディアに言われるまでもなく、事故の多発は大きな問題であり、事故原因の解明と再発防止に全力を挙げてもらいたいものです。

naha rescue3.jpgでも、那覇救難隊の献身的な姿勢にも、是非スポットを当ててもらいたいものです。
あわせて、沖縄の島々で救急患者が発生した際、患者輸送に陸上自衛隊のヘリが大活躍していることもお知らせしておきます。

沖縄メディアが決して報じない沖縄の自衛隊員の地道な活動を、是非これを機会に知っていただきたいと思います


航空救難団のwebサイト
http://www.mod.go.jp/asdf/arw/index.html

ここ数年の空自航空救難部隊の災害派遣活動記録
http://www.mod.go.jp/asdf/arw/katsudoujisseki/index.html

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女性戦闘機パイロットに幸あれと願いつつ・・・ [ふと考えること]

「男女関係なく、後輩たちの手本となるパイロットになりたい」

松島美紗.jpg航空自衛隊は24日、松島美紗2等空尉(26)を女性で初めての戦闘機(F-15)パイロットに正式任命しました
松島2尉は横浜市の出身で、2014年に防衛大学校を卒業後、航空自衛隊の操縦者養成コースに進んでいました。2016年にパイロットのライセンスを取得するとF-15戦闘機操縦課程へ進み、同課程を修了したようです。

今後は宮崎県の新田原基地の第5航空団に配属され、より部隊作戦運用に直結する半年から1年間の実戦的訓練と資格審査を経て、中国機に対応するスクランブル発進なども行うF-15パイロットになるとのこと。活躍を大いに期待いたします

松島美紗2.jpg冒頭の言葉は、23日に 報道陣の取材に答えた松島2尉が、小学生のころに映画「トップガン」を見て以来、ずっと戦闘機のパイロットにあこがれていたと明かしつつ、将来の目標について聞かれた際に口にした言葉です。

初の女性の戦闘機パイロットとして、様々な形で注目され(既に恐らく空自内でも皆が大注目)、プレッシャーもある中で、人々の期待に応えられるよう努力し、自分を見てより多くの人がパイロットを目指すようになってほしいとの真摯なその思いに、大いに応援激励したいと素直に思います。

しかし併せて1990年代半ばから女性戦闘機パイロットを採用している米空軍の現実もこれを機に再確認し、本音と建前の乖離が著しい現代社会の実態を角度を変えて見る中で、松島美紗2等空尉の道のりが単純でないことにも思いをはせつつ彼女やその後に続く後輩の将来がより実り多いものになることを祈念したいと思います

2018年5月女性議員が米軍に訴えて
Murkowski2.jpg共和党のLisa Murkowski議員はマティス国防長官とダンフォード議長に対し、「女性兵士用の装具品提供が遅々として進んでいない」、「現時点では、米陸軍のみが女性兵士専用の大きさや形状の防弾チョキを導入しているが、それも前線派遣兵士にのみ提供され、陸軍入隊時の訓練や母基地での訓練時には使用できる数量が準備されていない」と現状を厳しく批判した

ダンフォード議長は質問に対し、「2016年に職種開放を開始した時点から、歴史的に女性を受け入れてこなかった職域での装具品が女性の体形等に適合していないことは問題として把握し、改善を図る必要性を感じていた」と答え、「全ての軍種で装具品の改善に着手しており、女性の様々な体型を考慮して取り組んでいるが、少し時間が必要だ。ただ全軍が本件に真摯に取り組んでいると申し上げる」と議会で述べた

●更に、米空軍でも女性パイロットの飛行服の改善に取り組んでいると付け加えたつつ、同時に「改善には時間が必要だとも把握している」と答えた

「今になって・・女性兵士にフィットした飛行服等に改良へ」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07

日本の女性戦闘機パイロット導入について
米空軍女性パイロットの反応
F-15J.jpg●(航空自衛隊幹部が米空軍女性戦闘機操縦者に意見聴取した際の発言) 「日本まで人寄せパンダのように女性を戦闘機に乗せて話題集めに走るの・・。馬鹿じゃないの? 女性に男性用のヘルメットやジャケットを無理やり着せ、フィットしないから女性用を作ってくれといっても、私の時代は実現しなかった。所詮広告塔だった」と激怒しながらまくしたてた・・・とか。

関連の記事
「女性兵士の装具改善に時間必要」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-13
「今頃・・女性兵士にフィットした飛行服等に改良へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07
「女性初のF-35操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-08
「女性だけの編隊で攻撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-04

軍での女性を考える記事
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19

「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

「性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04
「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1

女性と徴兵制
「前線にも:イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「究極の平等:ノルウェー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「社会福祉選択肢もオーストリア」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22

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平和教信仰から距離を置きたいあなたに [ふと考えること]

オバマ大統領(当時)は「核なき世界」ビジョンでノーベル平和賞を受賞した際、2009年12月の受賞スピーチで「核なき世界」には一切触れず、冷徹な国際社会の現実を語り、そして地道な努力の重要性を訴えた・・・

Peace2.jpg毎年、広島や長崎に原爆が投下された日、そして終戦の日が近づくと日本のメディアから目をそむけたくなります

垂れ流される浅薄な平和一番メッセージや薄っぺらな戦争や軍事力批判、「平和」と叫べば平和になると言わんばかりの平和教信仰、そんな大人の作った作文を読まされる子供達・・・そんな洪水のような情報にさらされたくない思いでいっぱいになります

今日の日本の礎を築くため、尊い犠牲をはらわれた方々を思い、英霊に祈りを捧げるなら、冷徹な世界の情勢に目を向けつつ、以下でご紹介するスピーチが言う「人間の制度の漸進的な進化」への取り組みを誓うしかないでしょう
そんな思いで2010年正月の記事から取り上げます

以下は、2009年12月10日、オバマ大統領がノーベル平和賞の授与式で行ったスピーチの、まんぐーすの勝手なつまみ食いアウトラインです

より詳しくはこちらを(これも全文ではありません)
その1→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-31 
その2→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-01
その3→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-02

あくまでも個人的解釈の概要です。上記の詳しいバージョンを是非ご確認ください

obama nobel2.jpg●我々は厄介な真実を認めることから始めなければならない。我々は我々の生きている間に暴力的な紛争を根絶することはできないだろう
●わが国家を保護し、守ると誓った国家の元首として、私はガンジーやキングを模範としただけで、国家を導くことはできない。私はあるがままの世界に向き合っており、米国民に対する脅威を前に何もしないでいるわけにはいかない

●世界には悪が存在する。非暴力の運動はヒトラーの軍を止めることはできなかった。交渉はアルカイダの指導者にその武器を置くように説得できない。力が時には必要であるということはシニシズムへの呼びかけではない。それは歴史、人間の不完全さ、理性の限界の承認である
●戦争は平和の維持において果たす役割を持っているしかし今ひとつの真実、すなわち戦争はいかに正当であろうと、人間の悲劇を約束するものだということと共に理解しなければならない。だから我々の挑戦の一部は、すなわち戦争が時には必要であるが、戦争はあるレベルでは人間の愚かさの表現である、を両立させることにある

obama nobel3.jpg●ケネディー大統領が呼びかけた努力が必要なのだ。つまり「人間の本性における突然の革命にではなく、人間の制度の漸進的な進化に基礎を置くもっと実際的でもっと達成可能な平和に我々の焦点を合わせよう」。人間の制度の漸進的な進化がそれである。

●実際的な取り組み(3つの視点)
●公正で永続する平和を作る方法3つ
●今そこにある現代の紛争

●わたしはあきらめない
ガンディやキングが実践した非暴力はすべての状況において実際的あるいは可能でなかったかもしれない。しかし彼らが説示した愛、人間の進歩への基本的な信仰、それは常に我々の旅路で我々を導く北極星でなければならない
何故ならば、もし我々がそれを馬鹿げたこと、あるいはナイーブなことと捨てるならば、その時には我々は人間にとり何が最善なのかを見失う。我々は我々の可能性の感覚を失う。我々は我々の道徳的コンパスを失う

obama nobel4.jpg●彼らを模範に生きよう
今日、今どこかで、あるがままの世界で、兵士は自分が武力で圧倒されていることを知るが、それでも平和を保つためにしっかりと立っている
今日どこかで罰するかのような貧困に直面しつつも、母親はその子供に教える時間をとり、彼女の持つ数少ない貨幣をかき集め、その子を学校にやろうとしている。何故ならば彼女はこの残酷な世界にその子供の夢のための場所がまだあると信じているから

彼らの模範によって生きよう。明確な目で戦争があることを理解しつつ、まだ平和のために努力し得る。我々はそれをすることが出来る何故ならばそれが人間の進歩の物語であり、すべての世界の希望であり、この挑戦の時期において地上における我々の仕事でなければならないからである
///////////////////////////////////////////////////

Peace.jpgオバマ大統領は、2009年4月にプラハで行った「核なき世界」演説でノーベル平和賞を授与されることになったのですが、受賞決定後に各方面から様々な意見が寄せられ、「核なき世界」論を夢物語として批判する声も多くありました

そんな中での授賞式スピーチは、冷徹に現実を見つめつつ、なお遠き道のりを目指す決意を格調高く訴え、受賞を巡る様々な声に思いを語るものとなっています。オバマ大統領の評価とは別に、素晴らしいスピーチだと思います

より詳しくはこちらを(これも全文ではありません)
その1→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-31 
その2→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-01
その3→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-02

受賞を謙遜する冒頭の言葉も好みです・・・
「世界には、正義を求めたために牢屋で殴打された人々、苦悩を和らげるために人道的組織で働く人々、その静かな勇気と共感の行為でシニカルな人をも動かす数多くの無名の人々がいる。これらの人々、一部の人と彼らが助けている人以外には知られていない人々、が私よりもずっとこの賞にふさわしいと考える人々に、私は異議を唱えることはできない。」

終戦の日に考える記事
「玉音放送を読む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-16-1
「未だ公式名称無き『先の大戦』」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-26
「歴史認識3つの首相談話」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-20
「靖国首相参拝3名の視点」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-07

上記3本のまとめ記事
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-14

8月20日までは、ブログの定期更新は致しません
お休みをいただきます・・・

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真珠湾の戦艦アリゾナ記念碑が無期限閉鎖 [ふと考えること]

あの真珠湾の慰霊施設が無期限の閉鎖

Arizona Memorial2.jpg5月31日付Defense-Newsによれば、ハワイ真珠湾に設けられた真珠湾攻撃をしのぶ慰霊施設「戦艦アリゾナメモリアル」に亀裂が見つかったことから、訪問客の安全に配慮して対策が完了するまで施設が閉鎖されました

同メモリアル(USS Arizona Memorial)は、日本の帝国海軍による真珠湾奇襲攻撃で撃沈された戦艦アリゾナが沈んでいる場所の海上に設置され、沿岸からボートで移動した訪問者が同施設から海面下に沈んだ戦艦の姿を伺うことが出来る施設で、犠牲になった兵士の慰霊碑も設けられています

今も沈んだ同戦艦から浮き上がってくる油が確認でき、歴史を生々しく感じることが出来る施設ですが、同メモリアルに向かう岸辺のボート乗り場近くに設けられた資料館では、真珠湾攻撃に至った日米の歴史や太平洋戦争の推移が関連の品と共に展示されています。

オバマ大統領と安倍首相の歴史的訪問地にもなった資料館ですが、その展示の開戦に至る経緯の解説ぶりは日米双方に中立で、米側があまりにも厳しい要求を突き付けて日本を開戦に追い込んだ様子にもきちんと触れています。

10年ほど前にまんぐーすが訪れた際も、ボート乗り場は長蛇の列となっており、講和条約が署名された戦艦ミズーリと共に、今も多くの内外の観光客や慰霊者が途切れることのない施設です。そんな施設を襲った突然の・・・

5月31日付Defense-News記事によれば
Arizona Memorial.jpg5月6日、いつものように慰霊訪問者を乗せたボートが沖合の「戦艦アリゾナメモリアル」に近づいたとき、ボート乗務員の一人が同メモリアルの外部に亀裂を発見した
●乗員たちが応急措置を施し、当該ボートの訪問客は施設への上陸を許されたが、その措置の数時間後に再び亀裂が現れ、自他が深刻な状況にあることが明らかになった

●確認の結果、訪問者がボートを乗り降りする桟橋と同メモリアルのつなぎ目に、複数の亀裂が見つかった。
●さらに内部の構造部位まで調べてみると、同メモリアルの構造材が桟橋を十分に支えていないことが明らかになった

●建築の専門家が対策を検討しているが、現時点では、どのような対策が必要で、どのくらいの期間がかかるかは判明していない
●同メモリアルを管理する担当者は、可能な限り早急に同メモリアルを再開したいと語っている。
/////////////////////////////////////////

Arizona Memorial3.jpg岸辺の資料館は影響なく開館しているようですが、海上に浮かぶような「戦艦アリゾナメモリアル」に到達できないとなれば、なんとも不完全燃焼感が残るため、訪問者は激減していると思われます

同メモリアルが建設されたのは1962年で、55年以上の時の流れを感じさせますが、毎年100万人以上の人々が訪れている施設ですので、是非早期再開を期待したいものです

また、あの資料館の開戦経緯の解説資料は、ぜひ日本でも活用して頂きたいものです。

「安倍オバマ真珠湾訪問」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28

日系人と442連隊
「イノウエ議員と442連隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-19
「映画公開と442部隊の魂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-03
「米軍トップが最敬礼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-04
「空軍輸送機にイノウエ議員の名を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-2

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やはり比大統領は日本をリスペクトか? [ふと考えること]

やっぱりフィリピン大統領は日本をリスペクトか?
出身地ダバオ市での慰安婦像発言に注目
日本の野党議員も見習ってほしい!

各種報道によれば
慰安婦像フィリ.jpg4月27日夜フィリピンの華人団体などが首都マニラに昨年12月に設置した、日本軍占領下(1942~45年)の慰安婦を象徴するという女性像が台座ごと撤去されたことが分かった。

29日、ドゥテルテ比大統領は、地元ダバオで「(設置は)政府の政策ではない」と、撤去に理解を示した。
一方で「私有地への設置は構わない。我々はそれに敬意を払う。表現の自由は大事だ」と語った。

この慰安婦を象徴する像に対しては、マニラの日本大使館がフィリピン政府に、女性像が唐突に設置された経緯などを明らかにするよう要求。1月にマニラを訪れた野田聖子総務相がドゥテルテ大統領に「遺憾」を表明し、河井克行衆院議員が同大統領に撤去を求めていた。

日本政府関係者によると、ドゥテルテ政権は「4月中の問題解決」を約束。撤去作業はマニラ市と公共事業道路省が実施し、女性像の再設置や移転は行われないとの連絡が撤去後、この関係者に入ったという。

Duterte.jpgマニラの日本大使館は、フィリピン政府から27日、女性像を撤去する事前連絡があったとしている。目撃者によると、同日夜にマニラ市職員と名乗る作業員が「下を通る水道管の修理だ」とし、ショベルカーで像を撤去。台座や記念碑板も一緒に持ち去った。

女性像が建てられていた現場は28日、穴があき、幅約2メートル、奥行き約10メートルの範囲が、フェンスやビニールシートで覆われていた。

こんな出来事を受け、ドゥテルテ大統領のルーツに迫る約1年半前の記事を振り返ります。

//////////////////2016年11月7日の記事////////////////////////
ドゥテルテは最初の特攻隊に敬意を表したのか
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-06

duterte-J.jpgドゥテルテとは今話題のフィリピン大統領で、米国に対する過激な発言や、中国の習近平と「ガムをかみながら握手」しつつ多額の援助を引き出した興味が尽きない指導者です。
一方で、日本に対する感情は極めて良好で、2013年には米国旅行を希望する家族を押し切り、家族旅行で日本を訪れて長野でのスキーや東京観光を楽しんだ人物でもあります

また、フィリピンでも最悪の犯罪発生率だったダバオの副市長と市長勤める中で、「東南アジアで最も平和な都市」を標榜するまでに治安を改善させた功績が国民に支持され大統領になった人物ですが、そのダバオ市長時代に私財を投じ太平洋戦争時に米国と戦い、フィリピンが米国から独立する基礎を作ってくれた日本人の墓地に記念碑を建ててくれた人物でもあります

duterte-J4.jpgダバオ市と日本人の関係は古く、戦前、貧しかった日本人が約2万人も職を求めてダバオに渡り、紙幣の原料でもあるマニラ麻を栽培して生活しました。この日本人の活動はダバオに産業を興し、ドゥテルテ大統領は日本人がダバオの発展に貢献してくれたと今回の来日で安倍首相に感謝しています。

その他、戦後日本が、フィリピン政府とミンダナオ反政府ゲリラとの橋渡し役を務めてくれたことも評価しているそうです。

更にドゥテルテ大統領は、2013年3月に発生した東日本大震災に際しダバオ市長として海外のどこの自治体よりも早く「震災で、住む家を失ってしまった方は、ダバオで何人でも引き受けます。避難所としてではなく、楽園となるよう市を挙げて歓迎します。ダバオ市で役に立つことがあれば何でもします」と表明してくれていたことが、今回の訪日にあわせて話題になりました

邪推:なぜ10月25日に来日したか?
duterte-J2.jpgドゥテルテ大統領は10月18日~21日に訪中し、20日には習近平首席とスーツ姿で会談したが、その後の合意文書調印式ではガムを噛みながら、しかも途中から居眠りする様子が放映されるなどの態度をしめした
中国主席は、積極的な投資を約束すると共に、欧米が人権侵害とみる麻薬撲滅対策に理解を示すなど、大盤振る舞いの姿勢で「雪解け」を演出したが、南シナ海問題で特に進展はなかった模様

●その後フィリピン大統領は一端帰国し、改めて25日から訪日を開始。到着後の夕食会は岸田外相がホストを勤め、「仕事の具体的話はしていない」とのコメントを残しているが、大いに盛り上がった様子が外交筋から伝えられている
ではなぜ直接中国から日本を訪問せず、一端帰国して25日から訪日したのか。ここでは多くのフィリピン人の心に今も残り、ドゥテルテ大統領が資材を投じて慰霊碑を建立してくれた日本兵の作戦に関係しているのでは・・・との仮設を立てて考えます

Sikisima.jpg1944年(昭和19年)10月25日、日本軍が最初の「特攻隊」を編制して出撃させたのがフィリピンであり、その「敷島隊」5名はフィリピン各地で名前が今も知られ、慰霊行事が今でも行われています
ドゥテルテ氏はダバオに私財で慰霊碑を建立した当初から、毎年娘を必ず連れて慰霊行事に参加していたようです。そして今回の訪日で、米国の植民地から解放してくれ、地元経済の基礎を作ってくれた日本軍と日本人に対する礼を天皇陛下に直接述べるため、10月25日を選んだののではないかと「邪推」しています

岸田外相との夕食会でも、安倍首相との首脳会談でも、ドゥテルテ大統領は祖国フィリピンを代表し、歴史的観点に立って日本への尊敬と感謝の思いを伝え、今後の関係を構築したいと述べたのではないかと推察しています
duterte-J3.jpg●日本政府が今の時代に、特攻隊の精神を讃える外国首脳の話をオープンに出来るはずはありませんが、一方で米国に対するものとは全く別次元の感情を日本に持つフィリピン指導者と、楽しい食事や話が日本首脳は出来たであろうと想像します

●中国への対処を考える上で、邪推したフィリピン大統領の日本への感情と米国への反発が、単純にプラスになるとは思いませんし、東京裁判史観に反する「特攻隊」の話題化が対中国の米国同盟にプラスであるはずもないでしょう
●それでも、東京裁判史観で縛られた現代日本人の日本軍への偏った視線が、アジアに広く残る日本軍への極めて高い評価に向く切っ掛けになればと思います

最近のフィリピン関連記事
「露とアジアの関係を2点から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-23
「東南アジア3か国が共同警戒へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-18
「比が米軍に南シナ海共同警戒中止を通告!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-08
「C-130が2機だけ展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-27
「比大統領南シナ海共同を拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15-1

「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03
「EA-18G電子戦攻撃機が展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-18
「国防長官が交代派遣発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16

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国防革新評議会:2025年にAIで中国に負ける [ふと考えること]

Schmidt.jpg1日、米国防革新評議会(DIB)の議長でグーグル幹部であるEric Schmidt氏(AlphabetのCEO)が、CNASのAI関連イベントで講演し、昨年国家AI戦略を発表して精力的に取り組む中国が、2025年には国家戦略もない米国を追い越し、2030年にはAIで世界を支配すると警告しました

そして戦略もなく国がばらばらにAIに取り組み、更に有能な海外の人材を移民規制法で排除している米国の現状を危機的だと訴えました。
また中国をいつまでも2流国だと考えていたら大きな間違いだと主張しました。

2日付C4ISNET記事によれば
artificial intel.jpg●ハイテクTI企業の代表格であるAlphabetのCEOで、グーグルの最高経営陣の一人である Schmidt氏は、もし米国が国家主導で精力を集中してAI分野に取り組まず、また移民政策を変更しなければ、米国は中国にAI分野で支配されると警告した
●そして、将来の商業分野と国防分野の両方を決定図けるであろうAIで後れを取りたくなかったら、米国は力を合わせて取り組まなければならないと訴えた

●具体的に同CEOは、昨年中国がAI国家戦略を発表したことを緊急事態警告だと認識すべきと語り、「事態は明白で、2020年までに中国は米国に追いつき、2025年には米国を追い越し、2030年には中国がAIで世界を支配する」と説明してその計画を解説し、「中国は計画通りに前進している」と述べた
●更に「国家戦略を発表した中国を2流国扱いしてはならない」、「中国にそんな人材はいない、そんなことはできないと考えているなら、完全に間違っている」と警鐘を鳴らした

artificial intel3.jpg●スプートニク・ショックともいえる時代にある米国の唯一の対策は、研究開発努力や資金をAIに集中することだとし、基礎研究投資の重要性を強調した。背景にはトランプ政権最初の予算編成で、AI関連予算を削減した経緯がある
●そして同CEOは「政府が私企業と共に、このAI技術が重要だと宣言する時だ。国家として共に行動することが求められている」と訴えた

●一方で Schmidt氏は、世界の優秀な頭脳の米国への入国を阻む移民政策が米国のアキレスけんになると警告し、「真に最高の頭脳を持った人々が、米国が入国を拒む国に存在し、彼らは他国でその能力を発揮するのだ。皆さんは優秀な彼らに米国で活躍してほしくないか?」と語り、
●「例えばイランには、世界最高峰のコンピュータ科学者がいるのだ。私は彼らに米国で活躍してほしいし、グーグルやAlphabetで働いてほしい。米国に入国できないなんて馬鹿げている」と訴えた
//////////////////////////////////////////////////////////

artificial intel2.jpgトランプ大統領が移民管理を厳しくすると打ち出した直後から、米ハイテク企業が先頭に立って反対運動を行っており、Eric Schmidt氏の主張はそんな背景があることを頭において見ていただきたいと思います

しかし、いろんな分野で、独裁国家が資源を集中し、反対派を押さえつけ、新しい分野で西側諸国を凌駕していく姿を目にする今日この頃です。
今後5年程度でAIで中国は米国に追いつくそうです。対日歴史問題に投入され、多量の歴史書き換えに利用されたりとか・・・悪い想像ばかりが頭に浮かびます・・・

技術革新の関連記事
「注目の将来技術分野を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-09-1
「DIUxとSCOの現在」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12
「液体アンテナ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-01

「米ハイテク企業に中国資金が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-25
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「DARPA長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11-1

「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

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SpaceX:失敗場面を集めた映像を明るく発信 [ふと考えること]

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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この明るさとたくましさを学びたい!
「宇宙飛行で世界中どこへでも30分」を打ち出した男の苦闘史

SpaceX.jpg9月14日、SpaceX社のCEOであるElon Musk氏が、ロケットブースター回収成功までの失敗場面を集めた約2分半の映像「How NOT to land an orbital rocket booster」を公開しました。

軽快な行進曲で知られる「マーチの父」スーザの行進曲「自由の鐘:The Liberty Bell」をBGMに、2013年の爆発シーンを皮切りに、陸上や海上への垂直着陸の失敗場面が、期待を裏切らない派手さで紹介されます

Elon Musk.jpgそして最後は、2015年に初めて陸上への着陸回収に成功した映像と、2016年に海上の無人プラットフォームに着陸成功した映像で閉められています。

つくづく・・・、この短期間に、これだけの失敗にめげず、画期的な1段目回収技術の獲得に成功した力量と執念に感心します。公的機関がやってたら、15年、いや絶対に途中で中止されていたと思います

映像「How NOT to land an orbital rocket booster」


現時点でSpaceX社は、16回の垂直着陸回収に成功しており、最近では9月7日に、これまで老舗ULAの「Atlas Vロケット」が担ってた極秘無人宇宙船「X-37B」の打ち上げを圧倒的価格優位で奪い取り、見事に成功させています(1段目回収にも成功)

X-37B 2017.jpgまた、回収した1段目の再利用も、既に数回成功させています

この映像が公開された同日、Elon Musk氏は、「(今は回収できていない)ロケット上部と貨物室部分を回収できれば、打ち上げコストは更に大幅に削減できる(drop by a factor of more than 100)」とツイートしており、その今後が期待されます

Space-X社の参入とULA
「偵察衛星打上げと1段目回収」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-02
「イスラエル通信衛星失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-06
「ロケットの着陸回収に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-25

「混迷の米衛星打ち上げ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「軍事衛星打上げにSpaceX参入承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27

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急速拡散中:米軍&米国内で話題の訓示「Get Out!」 [ふと考えること]

「スマホを手に取れ。私は真剣に言っている。そして私の言葉を映像で記録し、記憶にとどめ、活用してほしい。折に触れ思い出し、人々とシェアしてほしい。もし他者に尊厳と敬意をもって接することができないなら、出て行ってくれ(Get Out)」

silveria.jpg事件は、米空軍士官学校内に設けられた「Prep School」(17歳から22歳の約240名を約10か月間教育訓練する付属教育機関)の学生寮で起こりました

25日朝、学生への連絡用ホワイトボードの黒人生徒5名の欄に「go home n-----」(恐らくNegroとかNegger)と書き込まれているのが発見されたのです。

これを受け、空軍士官学校の校長(superintendent)であるJay Silveria空軍中将が、約4000名の全学生と教員職員を集めて28日に語った映像が、29日朝に米空軍によって公開され、政治家や著名人によってSNS等で広く拡散され、その極めてストレートな語り口が、今人種問題で揺れる米国社会で話題となっています

Jay Silveria空軍士官学校長の言葉(5分半)


順不同で校長の言葉をご紹介すると・・・
もし書き残された言葉に怒りを覚えたら、君たちは正しい立ち位置にいる、空軍人として怒りを覚えるだけでなく、人間として感じなければならない
Silveria3.jpgもし他者に尊厳と敬意をもって接することができないなら、出て行ってくれ(Get Out)。もし性別の違いから、人と尊厳と敬意をもって接することができないなら出て行ってくれ。どのような形でも他人の名誉を傷つけるようなら、出て行ってくれ

●スマホを手に取れ。私は真剣に言っている。そして私の言葉を映像で記録し、記憶にとどめ、活用してほしい。折に触れ思い出し、人々とシェアしてほしい。もし他者に尊厳と敬意をもって接することができないなら、出て行ってくれ
だれも我々のこの価値観に疑問を呈したり、ホワイトボードに書き込んだりすることはできないし、この価値観を我々から奪うことはできない
/////////////////////////////////////////////////////////////////

Silveria空軍士官学校長はこの夏に着任したばかりです
米空軍士官学校は、性犯罪やそれを扱う幹部の職務怠慢をはじめとして、様々な問題を抱えており、その数と深さは学生の数で上回る陸軍や海軍士官学校よりも深刻だといわれています。

Silveria2.jpgそんな中でのこの落書き。学校長としても看過できなかったのでしょう。
組織のトップに立つ人間として、「何か手を打たなければならない」との必死な思いが伝わる語り口とストレートな表現が、政治世界のゴタゴタにヘキヘキとした人々に響いたのでしょう

それにしても、「スマホを手に取れ。映像で記録し、シェアも・・・」とは時代の変化を感じます

米空軍士官学校の多様な問題
「性犯罪対処室が捜査対象に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04
「空軍士官学校の内通者が反旗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10-1

米空軍トップが衝撃の新年メッセージ
戦闘機操縦者支配への反発が顕在化
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

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自衛隊は急激な女性登用推進に耐えられるのか [ふと考えること]

昨今の女性議員バッシングの激しさに、
急激な女性活用政策への疲れを感じる今日この頃・・・

2017WP2.jpg2017年版「防衛白書」の発表は、当初8月1日を予定され、省内や国内外配布用の約2万部が完成していたようですが、7月28日に稲田大臣が突然辞任したことを受け、巻頭あいさつ写真入れ替え等の必要性から、8月中旬まで延期される難産でした。

白書の発表直前に大臣が突然交代した例は、2007年の久間章生大臣のケースがあったようで、その際は問題発言の引責辞任後に発行した白書に久間氏の巻頭言をそのまま掲載しており、防衛省は当初、稲田氏の巻頭言を載せる方針だった模様です。

しかし最終的に、今回は白書発表を遅らせてでも稲田氏の写真を差し替えることになっており、その理由について報道は、同省幹部による「政権、防衛省ともに心機一転を図りたい」との言葉を紹介しています。

そんな女難&生みの苦しみを経験した2017年版防衛白書を、今頃になってパラパラと見ています
いつもなら、中国軍事脅威の分析評価部分や、米国の国防政策に関する記述についてチマチマ文句を書き連ねるのですが、今年は冒頭「巻頭特集」28ページの1/3も割いて力が入っている、「輝き活躍する女性隊員」部分を考えたいと思います

女性の力を生かすことの重要性
2017WP.jpg少子化が進む日本社会で、官民の人材確保競争が激化する中で、人口の半分を占める人的戦力である女性を生かせない組織の生き残りは難しい
構成員の多様性が組織を強くするとの指摘は一つの真理であり、多様性を受け入れる過程における対応や組織の緊張感は、特に組織を鍛えるであろう

●国民を守る防衛省・自衛隊は、国民の半数を占める女性のことを理解し・対応することを必要としており、この事は平時の災害派遣などを通じ、組織で実感されている
国防政策を推進するには国民の理解が不可欠だが、国民の半数を占める女性にはどちらかと言えば馴染みの薄い話題。防衛省で女性の活躍する姿を取り上げ、女性国民の国防への関心を高めるアプローチは必要

女性を活躍を推進する難しさ
2017WP3.jpg約30年前、当時のサッチャー英首相は英国社会での女性の登用・活躍に関する日本の女性記者の質問に対し、「女性の能力を生かすことは間違いなく必要なことだが、現在の英国では、能力に関わらず、女性にポストを割り当てているようなところがあり残念だ」と語り、「能力ある人が、男女を問わず、力を発揮できる社会を目指すべき」と述べている
●作家の曽野綾子さんは「女性のアシスタント数名に仕事を手伝ってもらっているが、出産と育児に際しては仕事を辞めてもらっている。小規模な組織で、子供の病気等を理由に仕事を急に休まれては耐えられない」、「その代わり、育児が落ち着いた時点で、希望とタイミングが合えば仕事に復帰してもらっている」と、今の時代に発信が難しい本音をその著書で述べている

サイバーや電子戦や宇宙ドメインの重要性が増す時代に会っても、ある程度の体力や力が必要とされる前線や現場の仕事が戦力発揮の中核にある自衛隊では、女性がその部分の多くを担うことは困難で、兵站支援や事務系の業務に配属する比率が高くならざるを得ない
●その結果、兵站支援や事務系の職場で女性比率が高まり、出産育児休暇や女性特有の体調の波に伴う休暇により、女性職員の不在率が高くなり、残された職員に仕事のしわ寄せがきており、我慢できる限界に近付いているようにも漏れ聞こえてくる

●いろいろな施策が案出され、現場の負担を軽減する取り組みが行われているが、対外的なアピール効果とは異なり、現場での効果は極めて限定的である

昨今の女性議員バッシングに見る社会の疲れ
2017WP4.jpg国際社会における経済や金融の自由化が生んだとされる、競争の激化と格差の拡大が中流階級の不満を招き、保護主義を訴えるトランプ大統領を生み出したといわれるように、女性の急激な強制的積極的登用が、昨今の女性議員バッシングの背景にあるとは言えないか?
●つまり、現在社会では公に声に出しては決して言えない、女性の急激な登用が生む「ひずみ」への不満のはけ口が、昨今の過激な女性議員バッシングを生んでいるのではないか

●稲田前大臣に政治家として大臣としての資質や、事前の訓練が欠けていたことは明らかだったが、それを追及する野党女性議員のヒステリーに近い物言いや、一般女性のひときわ厳しい視線は、別の意味で女性政治家の成熟度や女性の怖さ(男性の視点だが)を考える契機となった。しかし、これは「ひずみ」とは別の議論
●ケース「今井」はどうでもよいが、ケース「山尾」では「ざまあみろ」「民進党死ね」と言いたいのがまんぐーすの本音ではあるが、ここでは「女性の急激な登用への社会の疲れとひずみ」への懸念を強調させていただきたい

ちょっと「踊り場」を設けては・・・
●防衛白書によれば、現在の女性自衛官比率が約6%で、これを10%まで伸ばすのが防衛省の目標の様であるが、あまり右肩上がりを急いで追及せず、グラフに「踊り場ができてもいいや」ぐらいのゆったり感が必要ではないか
●今受け入れた女性には、有能で皆が認める女性も多くいるようなので、それらの女性の成長を見守り生かす時間を少し設けてはどうか? また女性特有の不在期間への有効な対処策が確立されるまで、歩みを落とす気持ちの余裕が必要ではないか

2017WP5.jpg●三浦瑠璃女史が指摘するように、女性への育児休業等の制度の実現度合いには、大きな「官民格差」があり、官側が圧倒的に高い実現率を実態として示している。そして真面目な防衛省は、その職務の特殊性にもかかわらず、その厳格な指揮命令系統の中、官側の標準に追いつこうとしている。
●しかしこれを言い換えれば、「女性の急激な登用への組織の疲れとひずみ」を大きくため込んでいるのが官側組織であり、緊迫の度を深める国際情勢の中で多忙を極める防衛省・自衛隊だということ
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白書現物へのリンク(注意:80mb)
http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2017/pdf/H29_MDF_whitepaper.pdf

ケース「山尾」に、「ざまあみろ」「民進党死ね」などと口走っては品格が問われそうですが、言わないとストレスがたまりそうなので2回も書きました。

「本音」と「建前」を巧みに使い分けるのが日本社会の妙かもしれませんが、居酒屋で愚痴を発散する手法が衰退する中、ネット上で爆発しつつある本音に、トランプ現象に重なる怖さを感じる今日この頃です

そしてそのあたりの国民の雰囲気を察し、潜在的需要を掘り起こした「文春砲」に、あらためて感心する次第です

防衛白書の関連記事
「2014年版を斬る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-05
「25年度防衛白書を斬る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-09
「防衛白書官僚の心情代弁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-03-1
「1「防衛白書」5つの背信」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-12
「2「防衛白書」5つの背信」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-11

東アジア戦略概観の関連
「2017年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「2016年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-25
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13-1
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-10
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-03

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更新頻度の低下について [ふと考えること]

生活のため、働くことになりました。
頑張ろうとも思いましたが、毎日の更新は困難です。

少なくとも、土曜日曜祝日の更新はいたしません。
ご理解のうえ、引き続きご愛顧のほど、お願いいたします

まんぐーす
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