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進水間近?:中国第3の空母の新たな衛星写真 [中国要人・軍事]

米メディアが5月31日撮影衛星写真で報道
「間もなく進水」と報道もCSISは慎重な姿勢

Type 003 5.jpgAP通信やWSJ紙が、5月31日に撮影された商用衛星写真で中国第3の空母「Type 003」を紹介し、甲板上の建造機材などが整理撤収されつつあり、建造ドックに注水が始まっている様子などから、間もなく「進水」では・・・と報じているようです

4月には中国海軍が同空母プロモーション映像を公開してお披露目が近いことを示唆し、5月31日付中国国営英字紙「環球時報:Global Times」が、「間もなく進水するだろう」との同空母紹介記事を掲載したことからも、「Type 003」に新たな動きがありそうだと関心が集まっています

Type 003 2.jpg同空母は2018年から、上海北東部の「Jiangnan Shipyard:江南造船(集団)有限責任公司」で建造が進められており、2020年9月にカバーが外されて建造状況が衛星写真等で確認可能となり、1番艦「遼寧」や2番艦「山東」が装備しないカタパルト、それも米空母でもフォード級で初実現する「電磁カタパルト」を搭載する模様だと分析され、これにより艦載機の行動半径や搭載兵器量が大幅にアップすると注目されてきました

米国防省はこの「Type 003」について、様々な海上試験や艦載機を含めた運用訓練等の必要があり、また中国が空母開発において極めて慎重に技術確認を進めながら取り組んできた経緯があることから、運用開始は早くても2024年以降になるだろうと見積もっています

Type 003 4.jpg特にカタパルト(しかも射出パワーを調整しやすい電磁カタパルト)の運用は新たな作戦運用上の現場課題で、戦闘機クラスだけでなく、米海軍が実施している固定翼機(早期警戒機E-2Dなど)のカタパルト使用を中国が考えているのであれば、時間をかけた運用要領確立と技能普及が必要と考えられます

ただ、米一般メディアが建造ドックに注水が始まっている様子から「間もなく進水」等と報道している一方で、6月2日付CSIS「COMMENTARY」は、「建造中の空母周辺をよく見ると、はしごや足場、乾ドックを区切るケーソンも相当量残っており、ドックに海水を満たすだけでも、まだまだやるべき仕事は残されている」と分析しているようです
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中国空母の2番艦(国産空母の第1号)である「山東」は、2019年12月に就航し、様々な訓練や、南シナ海や台湾周回などで示威活動を行っているようですが、色々トラブルが発生しているとも伝えられています

Type 003 6.jpgまた4番艦と5番艦は原子力空母とする構想があったようですが、中国経済の停滞と予算不足により2020年に当面見送りとされ、空母6隻体制を目指す方向も凍結された模様です

米海軍の空母がそうであるように、精密誘導兵器が発達して拡散する世界において、中国空母が有事にどのような役割を期待されているのか、実行可能性があるのか中国関係者に聞いてみたいところですが、しばらくは「生暖かく」見守りたいと思います

CSISの関連分析webページ(6月2日付)
https://www.csis.org/analysis/china-gears-launch-its-third-aircraft-carrier

第3の空母関連の記事
「第3の空母の建造状況」→https://holylandtokyo.com/2021/06/15/1907/
「電磁カタパルト搭載か?」→https://holylandtokyo.com/2020/09/23/485/

中国の軍事動向関連
「新型巡航ミサイル潜水艦か」→https://holylandtokyo.com/2022/05/19/3254/
「山東省に日本向けBMDレーダー」→https://holylandtokyo.com/2022/04/20/3160/
「J-20ステルス機と新艦載機」→https://holylandtokyo.com/2021/11/02/2394/

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MDA長官がグアム防衛について再び語る [米国防省高官]

中国から2500nmに位置する重要作戦拠点のミサイル防衛
弾道・巡航ミサイルそして極超音速兵器から守るには
狭いグアム島の限られた土地への配備に苦労

THAAD3.jpg5月23日、米ミサイル防衛庁MDAのJon A. Hill長官(海軍中将)がCSISで講演し、2026年までの運用開始が至上命題で、米太平洋軍ほか各方面からの早期実現求める声が高まるグアム島ミサイル防衛体制整備について語っていますので、3月末の2023年度予算案説明時の関連説明を、補足説明する形でご紹介いたします

繰り返してご説明するまでもなく、中国大陸から約2500nmの距離で中国の弾道ミサイル射程内に入っているグアム島は、米軍の対中国作戦の起点となる西太平洋の数少ない作戦基盤であり、海軍艦艇・潜水艦への弾薬補給や修理施設、空軍作戦機の一大発進基地&燃料弾薬補給施設、海兵隊の拠点などなど、重要な役割を担っています。

Hill2.jpgそして中国は当然のごとく、弾道ミサイルのみならず、大型爆撃機搭載の巡航ミサイルや極超音速兵器を開発配備し、更に最近では巡航ミサイル搭載の原子力潜水艦まで建造しているのではないかと報道されているところです

以下では、3月末の2023年度予算案説明時のMDA長官や関係幹部発言と並列表記して、CSIS講演の概要をご紹介いたします。発言内容に齟齬があるわけではなく、補完関係にあると考えたので併記形式といたしました

5月25日付米空軍協会web記事によれば
(●は3月末の予算説明、→→は5月23日のCSIS講演内容)
●2023年度予算案でグアムMD用に約660億円を要求し、多層なミサイル防衛体制構築のための配備装備や配備場所の調査検討、レーダーや兵器用部品調達費用に使用する
●現状のMDシステムは北朝鮮からの弾道ミサイル対処能力はあるが、中国からのミサイルを含む脅威は日進月歩の勢いで変化している

Guam MD3.jpg→→グアム島の防衛は、米国本土のミサイル防衛に続き2番目に重要な任務と考えている。グアム島は、弾道&巡航ミサイルや極超音速兵器から防御可能な態勢とはなっておらず、グアム島を360度全周警戒するセンサーと迎撃用ミサイルシステム、そして指揮統制センターを整備する計画を2023年度予算で推進する。
→→最も重要なのは、米空軍が多くのセンサー情報を持っているが、宇宙、地上、海上配備の様々なセンサー情報を集約し、指揮官が一目で状況把握できる指揮統制システム構築で、最も難しい部分だと考えている

●ルーマニアやポーランド配備のAegis Ashoreのような固定システムだけではなく、分散型システムを検討しており、移動式ランチャー活用にも関心を持っている
→→敵もグアム島の米軍施設攻撃を狙っており、搭載迎撃ミサイル数が減り兵站負担が増すことになっても、迎撃兵器は車両搭載移動型を導入することに決定したように、指揮統制センターも移動可能型にできないか検討している

Aegis FMS.jpg●米海軍のSM-3やSM-6、PAC-3、そして現有のTHAADの組み合わせを基本とするが、米陸軍が2023年に配備予定の「Mid-Range Capability missile」などの将来装備も、可能になったタイミングで組み入れることも検討する
●上述の各迎撃用ミサイルシステムは指揮統制システムとして米陸軍の「Integrated Battle Command System」で連接されるが、「イージスシステムの火器管制能力」も活用する。現時点では、弾道ミサイルと極超音速兵器対処に取り組んでいるが、その後にPAC-3の持つ優れた巡航ミサイル対処能力を米陸軍C2システムを通して融合させる

→→2013年から配備&運用しているTHAADに加え、パトリオットPCA-3を地上配備を完了することで、グアム島ミサイル防衛用に周辺海域でローテーション待機するイージス艦を3-4隻を開放することができる
→→イージス艦の指揮統制&火器管制装置は、艦艇搭載のSM-3 やSM-6など迎撃兵器以外に、弾道ミサイルや極超音速兵器防衛の指揮統制を強化することができる

Guam MD.jpg●課題は、グアム島でミサイル防衛システムに使用可能な土地が限られていること
→→シカゴ市ほどの面積のグアム島では、多くの場所が観光資源等として保護地域となっており、利用可能な面積は27%しかなく、陸海空軍海兵隊間で土地の確保競争になっている
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グアム島は、かつて日本からの観光&買い物ツアーが盛んでしたが、今や中国団体ツアーが島を席巻して日本人は遠ざかり、更には中国人女性がグアム島で出産して子供に米国籍を取得させようとして問題化している、との報道をコロナ前に見たことがあります

PAC-3 5.jpgグアム島には原住民の皆さんの聖地が多く存在して土地利用が容易でない面もありますが、観光用景観確保で軍事使用や開発を規制しているのであれば、中国人のために規制しているとも言えなくもなく、極めて皮肉な状態になっています

グアム島ミサイル防衛が極めて重要なら、日本列島のミサイル防衛も重要なはずですが、くれぐれも日本の皆様には、ミサイル防衛の限界も理解していただく必要があると思います。迎撃できる範囲や迎撃ミサイルの数には限界があり、攻撃兵器の価格と比較し、その防御には数十倍・数百倍のコストが必要なことも、忘れてはなりません

MDA長官が3月末に同テーマで語った内容
「グアムMD整備の状況と困難を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/

関連の記事
「イージスアショアは分散&機動展開可能型へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-21
「太平洋軍司令官がグアムミサイル防衛一押し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-23
「上下院軍事委員長が対中国抑止PDI推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-29
「太平洋軍が今年も追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03

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空軍長官:KC-46の固定価格契約は誤りだった [米空軍]

「支払経費固定」で提案のリスク評価努力を怠った
無理して見積価格を下げる業者を厳しく見極めると
ボーイングとの契約が失敗だったと言わんばかりの率直さ

KC-46 RVS.jpg6月1日、Kendall空軍長官がヘリテージ財団での講演で、要求性能を満たせず大幅に遅れているKC-46空中給油機開発について、ボーイングとの契約を固定価格契約にしたことで国防省側に予算超過負担の恐れが無くなり、ボーイング提案の開発リスクを十分把握しようとしなかったことが現状の原因で、当時の調達担当国防次官として責任を負うべき立場にある、とあまりにも率直に語りました

Kendall SASC.jpg同長官は当時の状況について、「ボーイングはエアバス社との熾烈な契約獲得競争の中にあり、理想的な開発シナリオを描いて問題のRVSも開発リスクが少ないと売り込んだ」とボーイングを非難しつつも、「予算超過負担の無い固定価格契約をボーイングが受け入れたこともあり、アグレッシブに企業提案を精査することを怠った」、「特に問題の無い開発案件だと思い込んだ」、「固定価格契約の5条件を満たすと判断してしまった」等と講演で吐露しています

『ご参考』国防次官当時2012年に定めた固定価格契約を判断する5つの条件
・米軍や国防省側の要求事項が明確
・関連技術が成熟しており、技術リスクが低い
・サプライヤーが信頼に足る能力を保持
・契約相手が予期せぬコスト超過に耐えうること
・企業側の事業継続意欲があること

Kendall4.jpgそして同長官は、「仮に固定価格契約でなく、コスト加算型契約だったなら、企業提案をより細かく精査して現在の状況を避けられたと思う」、「企業側がリスクを受ける前提だからと、企業側に任せすぎてしまった」、「私は結果に対し、責めを負わなければならない」と述べています

この講演発言を報じた2日付米空軍協会web記事は、kendall長官は今後、事業や開発案件が良く理解された問題なさそうなものでも、企業の提案内容や主張、低価格入札に対し、より懐疑的な視線を持って精査することになる、と説明しています

Calhoun Boeing.jpg一方のボーイング側はCEO・David Calhoun氏が4月、(前任者による無理した低価格入札により)KC-46で約6500億円の損失を出し、T-7A練習機とVC-25B大統領専用機をあわせて約1200億円を失う苦境にある現状に鑑み、無理をした低価格入札による契約獲得戦略を再検討していると語っているところです
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これだけ率直に公の場で話をして、ボーイングとの関係が大丈夫なのか・・・と余計な心配をしてしまいますが、ボーイングも米軍も、体面を機にしてられない「火の車」状態なんでしょう。でもドロ沼機種選定で敗れたエアバス社が訴える恐れはないのでしょうか?

KC-46 RVS2.jpgところで、この空軍長官によるヘリテージ財団講演を3回にわたってご紹介してきましたが、空軍長官が作戦運用やウクライナ対処に直接関与する立場に無いとはいえ、ウクライナ情勢に足を取られ、対中国態勢整備に支障があってはならない、予算を死守しなければならないとの切迫感を感じます

もちろん国家戦略レベルを考える政策担当部署や対外関係部署は立場が違いましょうが、米軍にとってはウクライナ問題は「邪魔でしょうがない」お話なんでしょう

追伸・・・
6月2日米輸送コマンドは、KC-46が同コマンド担当の空中給油対象機の97%に空中給油が可能になったと発表し、様々な理由により給油認可が下りていないのは以下の5機種のみだと明らかにしました
→A-10攻撃機、B-2ステルス爆撃機、CV-22オスプレイ特殊作戦機、E-4空中指揮機、MC-130H特殊作戦支援空中給油機

他のKendall長官ヘリテージ講演紹介記事
「NGADはEMD phaseに入った」→https://holylandtokyo.com/2022/06/03/3315/
「空中給油機の必要ミニマム機数を削減希望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-06-02-1

最近のKC-46関連記事
「RVS改修案に合意」→https://holylandtokyo.com/2022/04/27/3181/
「恒久対策は今も未定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-11
「50機目受領も恒久対策未定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-11
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/

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次期制空機NGADは「EMD phase」に入った [米空軍]

EMD phase:Engineering and Manufacturing Development phase
「2020年代末には能力を獲得できるだろう」
2015年に「X-plane program」としてスタート

NGAD9.jpg6月1日、Heritage財団で講演したKendall空軍長官が次期制空機NGAD開発について、2015年に極秘開発計画「X-plane program」としてスタートし、つい最近になってEMD phaseに入ったと述べました。

「EMD phase」とは、新装備の基礎的な材料素材研究や開発、基礎技術の確認やリスク評価を終えた後、本格的生産に入る前段階の設計及び具体的開発段階を指すもので、基礎的な材料検討や基礎技術確認を基礎に正式な開発計画を決定する「Milestone B」承認を得た後のフェーズとのことで、本格生産に向けた具体的検討に入ったということです。(詳しくは→(https://acqnotes.com/acqnote/acquisitions/emd-phase 

Kendall 7.jpgKendall空軍長官は、「EMD phase」の前段階の「基礎的な材料検討や基礎技術確認フェーズ」を、自身が開発&調達担当国防次官時代の2015年に「X-plane program」として開始したと振り返り、更に通常は開始から約7年で初期運用態勢ICOに達するが、(約7年の開発期間開始のカウントは)「2015年からではなく、ちょうど今始まったぐらいだ」と説明しました

同長官は次期制空機NGADの予想価格について、4月末の下院で「1機数百億円:several hundred million」だと推計を証言し、調達機数等からすると(F-35を超える)史上最大の航空機開発プログラムになると巷で話題になったところですが、2023年度予算案には、調査開発試験費用を含む約3000億円が要求されているようです

NGAD6.jpgその他1日の講演で同長官は、兼ねてからの持論を「リスクがある程度低い開発案件は、デモ試験やプロトタイプ確認フェーズを省略し、多少のリスクを冒しても、迅速に前線に提供すべく早く生産フェーズに入れるようにしたい」と訴え、特に有人機(5世代以降の戦闘機やB-21次期爆撃機)に随伴する無人作戦機を例に「緊急性を要する」と同講演で主張しています
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2020年9月14日、当時のRoper次官補が細部に一切言及せず、「デモ機が初飛行済」と明らかにして大騒ぎになりましたが、次期制空機NGADは、「兵器搭載量や航続距離重視」や「family of systemsを構成する1構成要素として運用」等の断片的な空軍幹部のコメントがある程度で、引き続き秘密のベールに包まれています

Kendall air.jpgさすがに「おたく」のまんぐーすも、「X-plane program」として開始された2015年当時に次期制空機NGADを取り上げた記事はアップしていませんが、以下にPCA(Penetrating Counter Air)と呼称されていた当時からの過去記事を改めて掲載させていただきます。掲載漏れもあると思いますが、各記事にも当時の関連記事を載せていますので、お好きな方はそちらもご参考に

NGAD関連記事
「次期制空機NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
「NGADの無人随伴機開発は」→https://holylandtokyo.com/2022/03/24/2938/
「NGADに発言相次ぐ」→https://holylandtokyo.com/2021/11/11/2376/
「戦闘機族ボスが少し語る」→https://holylandtokyo.com/2021/09/16/2211/
「戦闘機族ボスがNGADへの危機感」→https://holylandtokyo.com/2021/03/05/154/
「SCIF使用困難で戦闘機開発危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-12
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holylandtokyo.com/2020/09/17/482/
「戦闘機族ボス:中国正面で戦闘機のニーズは?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05
「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「制空のため新型エンジン開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-02-1
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

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米軍宇宙プログラムの情報開示基準を再検討中 [サイバーと宇宙]

米国防省や宇宙軍が前向きなのか微妙です
相手を抑止するために我の能力開示はある程度必要も
サイバーと並び宇宙ドメインでの抑止は難しい課題

Plumb.jpg5月11日、米上院軍事委員会の小委員会でJohn Plumb宇宙政策担当国防次官補が証言し、2022年国防授権法で求められている宇宙関連事業に関する「公開or非公開」区分の見直し等について、確認作業が終了して現状の秘密区分は「probably appropriately classified」と官僚とは思えないいい加減な表現で説明し、「公開or非公開」区分基準見直しについては議会と共に検討を進めたいと述べています

Plumb次官補の証言ぶりからは前向きな姿勢をあまり感じませんが、米宇宙軍トップのJay Raymond大将は昨年3月、「宇宙軍の主任務は、紛争が宇宙から始まったり、宇宙に拡散することを抑止することだ」と語り、「敵との意思疎通が重要だ」、「全てを秘密にして非公開にしていては、我の抑止力を制限することになる」とナショナルプレスクラブで説明しています

Space Force.jpgそしてその2か月後の2021年5月には、従来秘密計画として非公開だった「宇宙配備の地上移動目標探知追尾アセット配備計画」の存在を同大将が公開して注目を浴びています。(同計画は現時点で未実現)

また、宇宙軍と他の米政府宇宙機関は、能力向上計画や脅威動向に関する情報公開増に協力して取り組んでいると言われているようでもあります

一方でPlumb次官補は、我の宇宙能力強化プログラムの公開基準と、敵からの脅威に関するインテリジェンス情報の公開基準は異なったプロセスであるべきだと議会で証言し、「敵脅威情報の公開基準についても絶えず再検討が必要であり、我々も取り組んでいるが、我々は我のインテリジェンス活動全般への利点と欠点を慎重に見極め、万事に対応する必要がある」と議員たちに説明しています

Fischer2.jpg同小委員会の主要メンバーで(先日は空軍が今後5年間で1000機航空機削減を計画していると誤情報を基に空軍幹部に迫っていた)共和党のDeb Fischer議員は、国民には可能な限り情報公開すべきで、「国民や国のシステムが情報を入手する機会を妨げてはならない」と、引き続き国防省や軍に、2022年国防授権法で規定の事項履行を求めていく姿勢を示しています
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米宇宙軍トップのJay Raymond大将と、議会証言したPlumb次官補には温度差が感じられるようにも見えますが、ご紹介したRaymond大将の発言や行動は1年前のものであり、Plumb次官補の議会証言は今年の5月11日のものである点に注意が必要です。

Raymond.jpg新たに急速に注目を集め始め、抑止への影響が読みにくいサイバーや宇宙ドメインに関することですから、個々の事業や政策や敵の脅威行動に応じ、様々な角度から慎重に検討する必要がある問題だと思いますし、緊密な意思疎通が図られていると思います

特にウクライナ関連では、米国は宇宙からがっつり状況を把握して「ウ国」に提供しているでしょうが、ロシアへの刺激を避けるため公開することには慎重だと推測いたします

最近の宇宙関連記事
「宇宙状況把握のため衛星を地上観測から宇宙観測用へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/22/2825/
「7か国で宇宙作戦ビジョン制定」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
「ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「熱核推進システムを応援」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「同盟国から協力申し出急増中」→https://holylandtokyo.com/2021/08/04/2064/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
「衛星延命に企業と連携」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-17
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/

ロシアの宇宙活動
「衛星破壊兵器でデブリばらまく」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/
「ロシア衛星が謎の物体射出」→https://holylandtokyo.com/2020/07/30/584/
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holylandtokyo.com/2020/04/22/732/

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米陸軍首脳がウクライナの教訓を語る [Joint・統合参謀本部]

長射程兵器とインテル活動の統合レベル連携
無人機活用と対処兵器の開発導入
同盟国等との大規模な機動を伴う演習
歩兵と戦車&装甲車部隊の連携で対戦車兵器対処
米陸軍予算要求に役立つ部分を強調した感もあるが

Wormuth7.jpg5月12日、Christine Wormuth陸軍長官とJames McConville陸軍参謀総長が下院軍事委員会でウクライナの教訓と米陸軍能力向上策について証言し、冒頭で取り上げたテーマを中心に米陸軍がウクライナから学んで対処すべき事項について説明しています

我々が目にする報道からも断片的な話は聞こえてきていますが、数百キロにわたるウクライナ東部戦線の全体像をメディアがどこまで把握して描けているかは疑問で、このような形で軍首脳が議会で行う証言は貴重な情報源だと思います

以下では、米軍事メディアの短い記事から、冒頭にあげた項目に関する米陸軍幹部の証言概要をご紹介します

12日付Defense-News記事によれば同長官と参謀総長は
McConville4.jpg●長射程精密攻撃が極めて重要だと訴え、ウクライナ軍が敵情に関する戦術情報を有効に活用し、カギとなるロシア軍指揮官や指揮システム及び重要装備に打撃の大きい攻撃を与えている様子を間接的に示唆しつつ、「艦艇を撃沈したり、敵の指揮所を攻撃する能力の価値を再認識させられている」と語った
●米国防省は否定しているが、NYT紙は米側がウクライナにロシア軍指揮官や指揮所に関するリアルタイム情報を提供したことが、12名以上のロシア軍将軍の戦死につながっていると報じている

ukuraine UAV.jpg●無人機の重要性は強調しても強調しきれないほどで、軍用に開発された無人機の他、市販商用品を改良した無人機が入り乱れ、双方から爆撃のリアルな映像が提供されてウクライナの状況が如実に語っている。参謀総長は「速度、レンジ、カバー範囲など、様々な要素を組み合わせて統合で前線に投入され、極めて巧みな運用が日々改良されながら行われている」と証言している
●陸軍長官は無人機対処装備の重要性にも触れ、「米陸軍も無人機対処に投資している」と証言し、その重要性を強調している

●長官と参謀総長は共に、大規模な機動展開を含む同盟国等との統合演習の重要性を強調し、「ウクライナ軍の主力旅団の75%が米軍計画の大規模な演習を経験した部隊であり、その効果を目の当たりにしている」、「このような演習をやればやるほど、同盟国、パートナー国、友好国の能力は確実に向上する」と重要性を訴えた

Javelin FMG-148.jpg●ロシア軍が歩兵部隊と戦車や装甲車両部隊の連携を怠ったことで、ウクライナの対戦車ミサイルから大打撃を受けているが、これは前線における極めて重要な戦術的教訓である。
●参謀総長は「米陸軍は最高の戦車や装甲車を装備しているが、正しく運用することの重要性を再認識する必要がある。米陸軍は対戦車兵器に対応するactive protective systems導入に取り組んでおり、ロシア軍より進んでいる」と説明した
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National Training Center.jpg先日の記事では、米陸軍が加州の「National Training Center」で実施しているウクライナの教訓を生かした6000名規模の演習をご紹介し、敵側がSNSへの迅速な画像映像投稿で印象操作を行ったり、初期段階で侵略計画が破綻した敵側が無差別都市攻撃に出る想定などを取り込んだ訓練を取り上げましたが、実戦は教訓の宝庫です

日本でいえば、まず「無人機の導入&活用」でしょう。特に航空自衛隊の戦闘機命派の皆様には、よーーーーく考えて頂きたく、ゲーツ国防長官が米空軍と戦って無人機導入を推進した約15年前の模様を語った2011年の発言をご紹介しておきます

ロバート・ゲーツ語録12
(ゲーツ語録はhttps://holylandtokyo.com/2022/03/26/2046/
gates.jpg→私がCIA長官の時、イスラエルが無人機を有効使用することを知った。そこで米空軍と共同出資で無人機の導入を働きかけたが1992年に米空軍は拒否した。そして私は3年前、今度は無人機導入のため牙をむいて4軍と立ち向かった→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07

米陸軍の話題
「ウクライナの教訓で大演習」→https://holylandtokyo.com/2022/05/12/3156/
「軽戦車MPFの選定ほぼ終了」→https://holylandtokyo.com/2022/03/29/2914/
「50KW防空レーザー装備の装甲車導入へ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/21/2623/
「Project Convergence5つの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/
「大国との本格紛争で近接戦闘も重視」→https://holylandtokyo.com/2021/11/09/2388/
「極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holylandtokyo.com/2021/10/18/2342/
「2023年から遠方攻撃兵器で変わる」→https://holylandtokyo.com/2020/09/11/478/
「射程1000nmの砲開発に慎重姿勢見せる」→https://holylandtokyo.com/2021/03/17/163/

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