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THOR:強力電磁波で大量の小型無人機を同時無効化 [Joint・統合参謀本部]

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空軍研究所がTHORイメージ映像公開
米陸軍との共同研究で既に実環境で試験に成功とか

THOR.JPG6月21日付Military.comが、米空軍研究所が最近公開した、強力なマイクロ波で同時に多数の小型無人機を無効化できる兵器THOR(Tactical High-power Operational Responder)のイメージ映像を紹介しています

このTHORは、マイクロ波による電磁パルス効果(EMP効果)で小型無人機の電子回路を破壊するもので、細部性能は不明ながら、映像のナレーションでは「long range」で小型無人機の電子回路を静かに破壊できると説明しています。

米空軍研究所は、既に数百の小型無人機を同時に無効化する実地試験に成功していると自信たっぷりに映像内で説明していますが、その技術成熟度合いからか、今年2月には米陸軍も空軍研究所と協力して開発に参加すると発表し、独自のシステム名称を「(同じTHORだが)Tactical High-power Microwave Operational Responder」と明らかにしたところです。

米空軍研究所公開のTHORイメージ映像


21日付Military.com記事による「THOR」の説明
長さ6メートルのコンテナの上に、パラボラアンテナを取り付けた形状の装置。C-130輸送機に搭載して空輸でき、2名が3時間で現場に設置可能。THORはニューメキシコ州のKirtland空軍基地で開発されている
THOR2.jpgレーザーや妨害電波による小型無人機対処兵器は、同時に1機の無人機にしか対処できないが、THORは同時に大量の無人機対処が可能。また、コスト負担が大きい防空ミサイルシステムによる対処とは対照的に、THORは安価に同時多数の小型無人機対処が可能である

米空軍では既に別に、兵士が肩に担いで、妨害電波で敵無人機を外部からの通信から遮断して無効化する「DroneDefender」を複数の海外派遣先基地に提供している
また細部は不明ながら、中東での航空作戦の拠点基地であるカタールのアル・ウデイド基地に、C-UASとのシステムを提供して運用中との米空軍の広報情報が最近公表されている
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小型無人機対処は、「兵士の命を守る」観点で極めて喫緊な課題であり、下の過去記事でも細切れに多くの取り組みを紹介してきました

THOR3.JPGマイクロ波による「同時に多数目標対処」は期待される手法ですが、海外展開先の人里離れた基地なら問題ないでしょうが、米本土内の基地で使用するとなると、電源網や通信インフラ等々への副次的被害が心配で使用は困難かもしれません

コンテナ1個の大きさだそうですが、小型無人機の来襲を探知するセンサーや、運用に必要な電力量についても気になるところです

無人機対処にレーザーや電磁波
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-20
「オプション試験中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24

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初の米海軍女性潜水艦士官が初の女性月面着陸目指す [サイバーと宇宙]

33歳のKayla Barron少佐がNASA宇宙飛行士として
2024年の月着陸めざし、今年10月末にまず国際宇宙船へ
超優秀で文武両道の女性です

Barron.jpg6月18日付Military.comが、女性初の月面着陸を目指すNASAの「Artemis計画」の候補者として、女性初の潜水艦勤務士官でもあるKayla Barron海軍少佐を紹介しています。同少佐は海軍所属のままNASAに出向中で、まず宇宙経験第1弾として、今年10月に国際宇宙ステーションでの初宇宙ミッションに挑むようで

NASAの「Artemis計画」は、人類を初めて月面に送り込んだアポロ計画と「双子」の計画とNASAは呼んでおり、2024年までに「女性と有色人種の宇宙飛行士」を月面に送り、月面での維持可能な活動(sustainable exploration)を初めて実現することを目標としているようです。

具体的なことは調べていませんが、女性と有色人種を月面に送り込んで初めて、人類として月面に降り立ったと認定するのでしょう。いかにも現代のアメリカです

NASAのKayla Barron海軍少佐紹介映像


これまでもいろんな米軍や国防省で勤務する女性をご紹介してきましたが、この33歳のKayla Barron少佐も飛びぬけて優秀な方で、米国が一つの「Role Model」として扱い育てている人物ですので、NASAの「Artemis計画」は脇に置いておいて、同少佐をご紹介したいと思います

Kayla Barron海軍少佐の経歴
Barron4.jpg1987年9月生まれで、ワシントン州育ち。2007年海軍士官学校に入学し、システム工学を専攻する傍ら、長距離走やクロスカントリーでも米海軍代表チーム入りして優秀な成績を納める
2010年海軍士官学校を1051名の同級生中5番で卒業し、優秀卒業生として、ビルゲイツ財団から英国ケンブリッジ大学大学院派遣士官に選ばれ、同大学では原子力工学を学び修士号を取得するとともに、現在の夫である、ハーバード大卒の米陸軍特殊部隊士官と出会う

また、そのリーダーとしての資質と統率力が評価され、米国防省が潜水艦への女性乗艦門戸を開くタイミングにも当たったことから、初の女性潜水艦乗艦士官候補に選ばれる
Barron2.jpg英国ケンブリッジ大学院から帰国後、2013年にオハイオ級戦略原潜Marine乗艦を命ぜられ、3回の長期作戦任務を経験する

2015年8月、母校である海軍士官学校長の副官を命ぜられ、校長のスケジュール管理や補佐官業務を行うとともに、後輩士官候補生にとっての「Role Model」として学生指導にもあたる
2017年、NASAが募集する宇宙飛行士訓練生に18000名の中から選ばれ、2年間の基礎訓練を経て、2021年10月23日打ち上げ予定のSpaceX・Crew-3要員となり、国際宇宙ステーションで「mission specialist」として活動する予定

また、NASAが構想する月面探査「Artemis計画」の宇宙飛行士候補11名に選ばれている

2010年当時のBarron少尉が生い立ちを語る
(米海軍士官のRole Modelとして海軍作成映像に登場)

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Barron3.jpg同少佐は潜水艦から宇宙への転換について、「(最初は戸惑いもあったが、)宇宙船を潜水艦と似ていると考えるようになって、宇宙空間への理解が一気に進んだ。今では潜水艦と宇宙船が同じようだと感じることが無限にある。ム時に囲まれた水中でも、真空の宇宙空間でも、潜水艦での経験が非常に役立っている」と語っています

いろんなことで女性初候補になっている自分については、「NASAの廊下には、女性初のスペースシャトル船長や国際宇宙ステーションリーダーの写真や功績が展示されており、私がそれら先輩の肩の上に乗って将来計画に挑んでいることを実感できる。素直に、シンプルに、それら先輩の後に続きたいとの思いが湧いてくる」と語っています

大きなプレッシャーでしょうが、ぜひ頑張って頂きたいと思います

NASAの「Artemis program」計画webサイト
https://www.nasa.gov/specials/artemis/

Barron海軍少佐の経歴(NASAのwebサイト)
https://www.nasa.gov/astronauts/biographies/kayla-barron/biography

安保関連の女性活躍
「米情報機関トップの女性が中国脅威を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-15
「国防副長官の女性が政策方針を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03

軍での女性を考える記事
「初の女性空母艦長誕生へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-10
「黒人女性が初めて米海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「初の米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-20
「GAO指摘:女性の活用不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「初の歩兵師団長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-10
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「3軍長官が士官学校性暴力を討議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19

「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

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映像「習近平:台湾問題解決の決心・意志・能力を示す」 [中国要人・軍事]

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China 100.jpg中国共産党100周年記念にタイミングを合わせたと推測される、中国版ツイッター上で公開された「習近平:台湾問題解決の決心・意志・能力を示す」と題された11分の映像です

習近平は、同式典で1時間を超える演説を行い、その中で台湾統一への強い意志を示したわけですが、タイミングがタイミングですので、その筋が準備したイメージ映像を考えられています

DF-17.jpg誰がどのような目的でこの映像をリリースしたかは想像の域を出ませんが、要するに台湾軍事侵攻のイメージを描いたアニメ映像で、中国が開発に力を入れている最新兵器や主力兵器が描かれていますので、ご紹介しておきます

映像で描写されているのは
中国海軍艦艇の堂々の台湾侵攻
中国空母からの攻撃機の離陸・侵攻
中国の極超音速兵器(DF-17)や短距離弾道ミサイル(DF-15C)による、移動発射機からの攻撃
中国の巡航ミサイルDH-10による攻撃

台湾は米国支援で能力向上したF-16の同時多数離陸を試みるも、離陸準備中に中国ミサイル攻撃で撃破される
台湾海軍部隊もイージス艦を中心としたミサイル防衛能力で中国ミサイルに対抗するも、中国の同時多数飽和ミサイル攻撃を受け、大損害を受ける

映像「習近平:台湾問題解決の決心・意志・能力を示す」


西側ツイッター上では、「中国による心理戦の一環」、「中国がこのようが行為に出れば、どのような反撃を受けるかを無視した宣伝映像だ」等のコメントが見られます

中国の優位性を誇示する心理戦映像か!?
「グアムの米空軍基地攻撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-23
「米空母キラーDF-21発射映像」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-01-31
「無人小型ボートの群れ行動」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-06-02

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スイスが14番目のF-35購入決定国に [亡国のF-35]

36機購入決定をスイス政府が発表
機種選定でFA-18とTyhoonとRafaleを撃破
他提案より30年コストが2000億円以上安かったと!?

F-35 Swiss.JPG6月30日、スイス政府が現有F-18(F-5も)の後継機となる次期戦闘機(air policing mission機)に、機種選定で競ったFA-18とTyhoonとRafaleを退け、F-35A型36機を選んだと発表しました。

選定結果を発表したスイス連邦評議会(Swiss Federal Council)は、「F-35はスイス空域の防御と監視に、完全に新しく著しく優れたネットワークシステム能力を備えている」とその性能を讃え、スイス政府が設定していた購入価格上限約7000億円を相当下回る、約6000億円のロッキード提案に軍配を上げました。

F-35 Swiss3.jpg更に同評議会は、「運用コスト面でも最も低い提案だった」、と信じられないコメントを出していますが、30年間のトータルコスト見積りで、F-35は他の候補機に2300億円以上のの差をつけて勝利を勝ち取ったらしいです!?

ただ、スイス政府が重要評価要素としていた「スイス軍需産業の参画」面で、F-35は最善の提案ではなかったと同評議会はコメントしているようですが、報道では、タイフーンは最終組み立て工場をスイスに建設する提案を行い、ラファールも700ページに及ぶ提案を行ったと伝えられていま

F-35 Swiss4.jpgこの面でF-35のロッキード社は、F-35用キャノピー400機分製造と同維持整備拠点のスイス設置や、「Swiss cyber center」誘致を持ち出していたようです

なおスイス政府は同時に、地対空ミサイルの機種選定結果も発表し、フランスEurosam製のSAMP/T systemを破り、米レイセオン社のパトリオット5セットを購入すると発表しています

ちなみに、FA-18 Super Hornetを提案したボーイング社
●「比類なき性能を有するFA-18 Block III Super Hornetは、スイスが保有するF-18からの機種更新が容易で、かつ維持整備インフラの6割以上そのまま活用できるライフサイクルコスト面で最も優れた提案だと信じている
スイス側からのデブリーフィングを楽しみにしている」と不気味な声明を出しています

F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(7か国とその他2国)
 豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)
 カナダは共同開発国ながら選定を延々と実施中で、今年結果発表予定
 トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された

●FMS購入国(7か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)

Lauderdale 2.jpgフィンランドも機種選定実施中で、カナダと並び来年春中に結果が明らかになるようです。ドイツもトーネード後継でF-35の臭いが・・

ロッキードは2月1日、新しいF-35担当責任者に女性のBridget Lauderdale副社長を任命してF-35体制を刷新したようですが、引き続き「亡国のF-35」との呼び名にふさわしい様相を呈する同戦闘機を、生暖かく見つめていきたいと思います

最近のF-35
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

ALISの後継システムODIN
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

F-35維持費削減は極めて困難
「国防省F-35計画室長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-03
「米空軍参謀総長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1

ドイツと次期戦闘選定
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

カナダのダラダラ戦闘機選定
「仕切り直し戦闘機機種選定RFP発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-24
「カナダ仕切り直し戦闘機選定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23

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地域戦闘コマンドにJADC2を段階展開へ [米国防省高官]

国防副長官がAIDAイニシアチブを発表
各地に専門チームを派遣し、演習等を通じ煮詰める
具体的日程や細部については非公開も

Hicks6.jpg6月22日、Kathleen Hicks国防副長官が国防省AI Symposiumで、人工知能AIやデータ融合により作戦運用&意思決定支援を狙うJADC2構想推進のため、各地域戦闘コマンドに施策促進チームを派遣し、各コマンドの演習や訓練を同構想の沿って支援し、その教訓を束ねて全米軍にフィードバックするAIDAイニシアチブ(Artificial Intelligence and Data Acceleration Initiative)を開始すると語りました

これまでJADC2(Joint All-Domain Command and Control)は、各軍種司令部が主導(陸は「Project Convergence」、海は「Project Overmatch、空は「ABMS」として)して各軍種内で取り組んできましたが、それを統合作戦組織である地域コマンドに展開する点で、ついに本丸に国防省自身が動き始めたということです

Hicks4.jpg作戦運用の根幹や最新データ技術やAI技術に関わることですので、具体的な内容には触れていませんが、最近オースチン国防長官が国防省の「JADC2戦略(非公開)」を承認したようで、同戦略に沿って動き始めたということでしょう

ただし、統合参謀本部でJADC2を担当するJ-6のDennis Crall中将は本件に関し別の場で、国防省としてJADC2実現のために「何が不足しているか」を精査するギャップ分析を開始したと語り、「全ての必要な技術要素を活用しても、我々が目指すJADC2を遂行するには、なすべきことが長いリストとなって残されている」と表現し、先行きが容易ではないことを示唆しています

22日付C4ISRnet記事によればHicks国防副長官は
Hicks7.jpgAIを活用したデータ重視のJADC2構想を迅速に前進させるため、各地域コマンドに専門チームを派遣し、大量のデータを融合し、その中から必要なものを各級指揮官から前線兵士にまで迅速に提供するネットワーク確立させるAIDAイニシアチブを推進する
派遣された専門チームは、各地域コマンドにJADC2構想実現のひな型や実施要領を提供し、各コマンドが実施する演習や訓練を通じて、データ収集や収集データのAI分析を意思決定に有効活用できるようになるまで支援でし、そこでの教訓やノウハウを収集して国防省に持ち帰る

Hicks3.jpg国防省は各地域コマンドでのJADC2実施上の教訓やノウハウを集積し、特定コマンドの教訓を他コマンドにも生かせるよう情報共有を図る
また、各コマンドのJADC2構想関連演習や訓練の状況をいち早く入手し、特定コマンドで検証できなかったJADC2構想の部分を他コマンドの演習や訓練で検証させるなど、全コマンドを巻き込む形でコンセプトの成熟に取り組む

そして、究極的には、リアルタイムでセンサー等のデータ融合が可能で、そのデータに基づいて必要な指揮統制事項が自動的に提示され、更に情報システムに必要なISR指示提案ができるようなプラットフォームを生み出したい
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Hicks.jpg事柄の性質上、AIDAイニシアチブの具体的な日程や中身は非公開とされているようですが、各軍種が進めている陸の「Project Convergence」、海の「Project Overmatch、空の「ABMS」との関係が気になります

また、J-6のDennis Crall中将が「なすべきことが長いリストとなって残されている」と発言している点に関し、文民サイドによる取り組みアピール先行に対する「チクリ」が含まれているような気がしないでもありません

しばらく様子を見守りましょう。いつもですけど・・・

全ドメイン指揮統制連接実験演習:ABMS関連
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

米海軍と海兵隊は我が道なのか
「米海軍の戦術ネットワークProject Overmatch」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-15
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「陸軍と海兵隊F-35が情報共有演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-13
「統合にデータフォーマットの壁」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-12

実は米陸軍と空軍の2年計画は画期的だった
「米陸軍と空軍がJADC2コンセプト共同開発にゆるく合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-06

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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