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米海兵隊司令官:対潜水艦作戦にも参画する [Joint・統合参謀本部]

既に北大西洋で対ロシア潜水艦作戦の一翼を
西太平洋での対中国潜水艦にも・・・

Proceeding.jpgDavid Berger米海兵隊司令官が米海軍協会研究所の機関誌「Proceeding」11月号に、ロシアや中国の潜水艦活動の活発化が懸念材料となる中、米海兵隊がその機動力を生かして構築する沿岸地域の拠点が、対潜水艦作戦に大きく貢献することになろうと寄稿し話題を集めているようです

ロシアの潜水艦活動は昨年あたりから急激に活発化して「冷戦後で最高レベル」に至っており、米海軍は北大西洋における対潜水艦作戦の指揮統制の専門部隊として、わざわざ特殊編成の「第2艦隊」を昨年末に立ち上げたところです

Noble Fury3.JPG中国もA2AD網を強化拡大すべく、また南シナ海を戦略原潜の「聖域」とする態勢が整いつつある中、攻撃型と戦略型両方の潜水艦部隊増強を図っており、「水中」での戦いは激化の一歩をたどっています

対潜水艦作戦について詳しくないため、Berger司令官寄稿文の一部からその重要性や位置づけを十分説明することはできませんが、北大西洋で既にある程度の成果を納め、海兵隊の存在感をアピールするだけではない実質的な「役割」もありそうですのでご紹介しておきます

6日付Military.com記事によれば
11月号の「Proceeding」でBerger海兵隊司令官は、米海兵隊は必要な装備を備えて北大西洋での対潜水艦作戦に参入し、米国の懸念となっているロシア潜水艦対処に乗り出しつつあり、同作戦の一部を海兵隊が担うべきだと述べている
Berger.jpg同司令官は、米海兵隊は沿岸地域の拠点から「ロシアの潜水艦活動を妨害したり無効化することができる」と述べ、この作戦コンセプトの中には西太平洋で対中国に使用できるものもあると記している

対潜水艦作戦への参画イメージとして同司令官は、海兵隊の少人数チームによる地上作戦拠点の一時的確保が重要な役割を果たすとし、「最前線のセンサーや攻撃能力、兵站支援の拠点として、水中作戦にも極めて大きな役割を果たすことができる」と記述している

米海兵隊は、戦車部隊の廃止などに着手し、重装備部隊から機動展開が容易な軽量装備重視や無人システムや長射程兵器重視に変革を進めつつあり、新たな装備が対潜水艦戦にも貢献すると考えている
米海兵隊は既に、前進拠点をノルウェー、アイスランド、グリーンランドに設けて「anti-submarine warfare fence」を構成し、ロシア潜水艦をノルウェー海に封じ込めて北大西洋から排除し続けることに取り組んでいる

Noble Fury.jpg同司令官は「同様のコンセプトを太平洋の第一列島線にも適応できる」、「取り囲まれた海域であれば、米海兵隊が中国の潜水艦を探知して攻撃する可能性が増えるだろう」と記している
このような海兵隊の前進拠点はまた、米海軍のP-8など対潜水艦作戦用の航空機を支援でき、周辺地域に防空や空中監視能力を提供可能となり、米海軍戦力が本格展開するまでのプレゼンス拠点ともなる
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Berger司令官のProceedingへの寄稿
https://www.usni.org/magazines/proceedings/2020/november/marines-will-help-fight-submarines

沿岸の拠点から、どのような対潜水艦作戦が可能なのか説明できませんが、「anti-submarine warfare fence」とのキーワードに今後注目したいと思います

David Berger米海兵隊司令官の変革への決意と行動力は目を見張るものがあり、大いに学びたいと思います

米海兵隊の変革
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-23
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「米空軍はアジアで米海兵隊と同じ方向へ!」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25

北大西洋でロシア潜水艦が活発化
「新設の米海軍第2艦隊はロシア潜水艦対処用」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-03
「冷静後でロシア潜水艦が最も活発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21-1
「米海軍が30年ぶりバレンツ海進出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-06

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6年前のCSBA提言:台湾新軍事戦略に学ぶ [ふと考えること]

6年前の記事ですが、参考にして日本も考えるべき!

CSBA提言の台湾新軍事戦略に学ぶ
その1:総論http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
その2:各論:海軍と空軍へhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1
その3:各論:陸軍と新分野http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-2

CSBAの台湾への提言総論
Taiwan-CSBA.jpgCSBAの情勢認識→台湾が現方針で今後国防費を増加しても通常戦で中国に勝利できない。台湾軍事戦略の中核は「時間稼ぎ」と「戦いの長期化」だ。不正規戦を追求せよ。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27 日本も真剣に考えよ!

CSBA提言の細部→ゲリラ的「海洋拒否」では、8隻の通常型潜水艦よりも、42隻のミニ潜水艦と1800発の対艦巡航ミサイルと攻撃的な機雷を装備せよと提言。安価で自国調達可で効果的http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1

台湾空軍には、最新F-16でなく、大量の地対空ミサイルと敵を欺く「隠す、見せかける」手法を提言。中国航空戦力の完全撃破する必要はなく、継続的に中国に対処のコストを担わせよと。日本も学べ!→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1

Taiwan-China.jpgCSBAによる台湾への提言→「見えざる戦い」を躊躇するな。中国軍の指揮統制、通信、ISR、戦果確認能力等を攻撃して破壊することの是非について、米軍のように悩む必要はない。国の存亡がかかっているのだからhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-2

CSBA提言の肝部分補足→現存する台湾国防予算計画額を基礎に、予算面で実現可能性のあるオプション。また自国の技術で実施可能で、米国の意向に左右されない。防御的でもあり、中国の反発も比較的少ない施策http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-2

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輸送機から長射程ミサイル投下を本格検証へ [米空軍]

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米空軍がロッキードとプロトタイプ試験契約
2021年にも射程1000㎞のJASSM-ER投下試験

palletized munitions.jpg10月30日付Military.comが、米空軍がロッキード社と契約したC-17等輸送機から長射程ミサイルを投下して攻撃に使用するプロトタイプ試験について、2021年にも射程1000㎞の長射程空対地ミサイルJASSM-ERを使用して行うとのロッキード発表を紹介しています

有事に輸送所用が激増する輸送機を有効に活用できるよう、軽易にミサイル等の兵器を投下可能なように機内仕様を変更可能で、攻撃任務に不案内な輸送機搭乗員への負担をなくすため極力データリンク情報を自動的に搭載兵器に伝え、輸送機の貨物庫から降下後も極力兵器が自律的に攻撃目標に向かうような設計が要求されており、本格検証に進むようです

palletized munitions2.jpg輸送機から兵器投下母機として使用する検討に対しては、米空軍の応援団体であるはずの米空軍協会ミッチェル研究所が「反対」するレポートを出し、大まかに、輸送機の輸送任務を阻害する、長射程兵器偏重は予算的自殺だ、防御能力のない輸送機に搭載する兵器は長射程で大型になり数量を準備できず高価になり運搬も大変、最も費用対効果の高いB-21爆撃機調達を阻害する等の理由を挙げています

そんな中でも米空軍輸送コマンド司令官Jacqueline Van Ovost大将(女性)は、淡々とオプションとして検討を進める様子のようです。本当に同司令官が必要だと感じているかは別ですが、この任務に関与することで、輸送機も全ドメイン指揮統制(JADC2)やABMS関連試験に大きく関与できるからかもしれません。個人的には「?」な印象のプロジェクトですが

10月30日付Military.com記事によれば
palletized munitions4.jpgロッキード社は「Palletized Munitions Experimentation Campaign」とのプロジェクトを受注し、射程600nm(約1000㎞)の空対地長射程ミサイルJASSM-ER(Joint Air-to-Surface Standoff Missile Extended Range)の米空軍輸送機からの投下デモ試験を2021年に実施すると発表した
「本プロジェクトは新しいものだが、大変素早くに進んでおり、迅速にプロタイプを作成して前線兵士に新兵器を提供できるように進めている」と同社担当者は述べている

2021年のデモ試験では、C-17やC-130輸送機に大きな改修や機内仕様変更なしにパレット化された兵器を搭載可能にし、搭載時にも兵器投下時にも輸送機クルーに負担をかけることなく、攻撃作戦機の補完ができることを示すことを狙っている
輸送機からの兵器投下はある程度の自動化を追求しており、米空軍の説明によれば、輸送機クルーはネットワークから得られた指示・情報に基づき「いつ・どこで」兵器を投下するかを決定するが、兵器そのものも状況に応じて搭載アルゴリズムで攻撃可能な目標を分析し、自律的に行動することが可能な仕様を目指している

Ovost3.JPG9月に空軍輸送コマンドのOvost司令官は、ABMS(Advanced Battle Management System)確認の一環として、模擬のJDAMをC-17から投下試験し、多くの兵器を信頼度高く投下できるかの確認を行ったと述べ、「今後、実物のミサイルを投下して空中でブースターに点火させ、兵器としての試験を行う予定」だと状況を語っていたところ
米空軍では、特殊作戦コマンドも年初にMC-130からパレタイズ化した兵器と投下するCLEAVER(Command's Cargo Launch Expendable Air Vehicles with Extended Range)試験に取り組んでいる

同司令官は、大型爆撃機にとって代わるものではないと前置きしつつ、爆撃機から投下された爆弾のように活用できるようコンセプトを成熟させてたいと語っている
ロッキード社責任者は、米空軍と共に、一度にパレタイズする爆弾やミサイル数をいくつにするかを、投下時の空気抵抗や機体搬入時の容易性等を要因を勘案しつつ、輸送機の飛行距離に応じてどのようの調整していくかを検討していると語っている
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palletized munitions3.jpg対中国のような本格紛争を考えると、4-6万個の攻撃目標数への対処が求められるため、高価な長射程兵器だけでは予算的に対応不可能で、また大型の長射程兵器ではその運搬への負担も大きな負担になります

そんな理由から、米空軍は陸軍や海兵隊が長射程兵器偏重に傾くことへの危機感を訴え、一方で突破型のステルス爆撃機やF-35や無人機からの安価で小型の「スタンドイン兵器」投射の重要性を主張しているところです

まぁ、地上部隊の長射程兵器重視の方向は変えようがないような中で、米空軍が輸送機の活用をどのように位置づけているのかを、Brown参謀総長あたりから聞きたいものです

輸送機からの兵器投下検討
「ミッチェル研究所は輸送機からの兵器投下に反対」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「MC-130からパレタイズ兵器投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-01

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太平洋空軍司令官:F-35はF-35らしく使用せよ [米空軍]

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米空軍はF-22を約5年間F-15のように使用し十分活用できず
日豪韓への交換パイロットを活用してくれ
新しい太平洋空軍司令官の発言を初紹介

Wilsbach3.jpg27日、Kenneth Wilsbach太平洋空軍司令官が米空軍協会ミッチェル研究所のオンラインイベントに登場し、米空軍が第5世代機F-22を導入当初、その特性や優れた能力を十分活用できず、従来使用していたF-15Cのように使用して5年間も無駄にした失敗を繰り返すなと、F-35購入同盟国に呼びかけました

またアジア太平洋戦域の広大さをカバーするため、空中給油機や足の長い航空機や兵器が必要だと述べつつ、極超音速に大きな関心を寄せているとも語っています

F-35 Japan1.jpg更に、中国の軍事脅威が一番大きく、中国の脅威対処を考えておけば、ロシアや北朝鮮やイラン対処は可能だ等々と、現在の脅威評価を語っています

空軍参謀総長にご栄転のBrown大将の後任として、8月から太平洋空軍を率いているKenneth Wilsbach大将の語り口を、極めて断片的ですが、初めての機会ですのでご紹介しておきます

27日付米空軍協会web記事より
Wilsbach太平洋空軍司令官はミッチェル研究所のデプチューラ研究部長とオンラインで対談し、アジア太平洋地域でF-35を導入した国々に対し、「米空軍のF-22導入時の教訓に学び、F-35を従来使用してきた戦闘機のように運用してはならない。F-35の潜在能力を最大限に発揮させよ」とアドバイスを送った
同司令官はF-22導入時の米空軍の反省を振り返り、「我々はF-22が実際に何が可能かを学ぶのに時間を要した。戦術が全く異なっていた」と述べ、「F-22導入後、約5年間も第5世代機のステルス性やセンサー融合能力を十分に活用することが出来なかった」と述べた

Wilsbach.jpg同司令官は地域のF-35購入同盟国に対し、米軍が豪州、日本、韓国に派遣している交換パイロットの存在を強調し、「交換パイロットを十分に活用して、各国の操縦者や作戦計画者と交流させてほしい」と述べ、「交換パイロットは全てLuke基地でF-35を学び、F-35と共に他国の関連システムにも知見がある存在として基礎を備えている」とアピールした

広大なアジア太平洋戦域で今後必要な戦力について同司令官は、空中給油機、航続距離の長い航空機や長射程ミサイルを上げ、特に極超音速兵器の重要性に触れた
●「膨大な距離を可能な限り高速でカバーする能力が不可欠だ」、「高速で敵に反応時間を与えず、敵が防御システムを使用しても迎撃は困難な代物だ」と表現した

ステルス性も引き続き重要で、「敵の防御ネットワーク内部に発見されることなく侵入し、見つかっても敵に反応時間を与えない」と表現した

F-22Hawaii2.jpgまた同司令官は中国とロシアの脅威を比較し、中国がロシアより軍事的に脅威だ(China has pushed ahead of Russia militarily)と述べ、中国脅威への対応を考えていれば、デフォルトでロシアや北朝鮮やイラン等への対処は可能だとも表現した

北極圏や周辺でロシア機の活動が活発化し、米軍機が対応する事案や要撃される事案が増加している件に関して同司令官は、アジア太平洋地域では同様の傾向はみられないと述べ、
●「毎日ではないが週に複数回、米軍機が中国やロシア近傍エリアを飛行する際に、敵戦闘機による対応行動を受ける」が、「中国にしろロシアにしろ、大部分が安全な行動で、米側はもちろん常にプロの安全な対応である」と状況を説明した
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「中国に備えておけば、ロシアや北朝鮮やイラン等への対処は可能」と発言していますが、真にそうであったとしても、司令官たる大将が口にする言葉ではないと思います

F-22-wake.jpgこの辺りが、ペンタゴン勤務経験なく大将になったWilsbach太平洋空軍司令官の「危うさ」のような気がします

F-22は、酸素供給装置の不具合で海外派遣が遅れたり、調達機数が大幅削減されたことから、作戦運用法が迷走したのかもしれませんが、軍事の現場の人間が「頭は固い」事を証明してしまった事例でもありましょう

F-22関連記事
「米会計検査院が米軍のF-22活用法を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-21-2
「F-22アフガンで初出撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-25-1
「F-22初飛行20周年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-12
「5世代機関リンクの課題に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-24
「Red-FlagでF-22リンク問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-02

「世代間リンクに対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-10
「議会がF-22再生産見積を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-20
「フィリピンにF-22を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16
「5世代と4世代機の融合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-08

ペンタゴン勤務がない異例の大将です
日本ハワイ中東アラスカ韓国をよく知る飛行5000時間の男
「Wilsbach太平洋空軍司令官の紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-16

前任のPACAF司令官が語るアジア太平洋
「主要戦闘機の稼働率8割断念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-08
「アジア認識を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-07
「Brown大将が次期空軍トップ候補に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-03
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「現空軍トップとベトナム訪問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-14
「中露空軍の連携飛行を警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-31
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「南シナ海で中国軍鎮静化?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-28
「燃料と弾薬の備蓄不足を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02-1

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極超音速兵器開発も今頃学会に技術情報収集 [米国防省高官]

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国防省が今後5年間毎年20億投資
大学を束ね技術情報収集Consortium設立へ
同兵器の推進装置や飛翔体素材に新たな知見を求め

Hypersonic3.jpg10月26日、米国防省が極超音速兵器の開発促進のため、技術を持つ約10大学からなるコンソーシアムを立ち上げ、毎年約20億円を投入して同兵器の推進装置や機体素材等に関する最新技術情報の提供を受ける仕組みを立ち上げると明らかにし、テキサスA&M大学教授にまとめ役をお願いすると発表しました

国防省の担当幹部は、文献によれば中国の極超音速兵器開発では、中国の学生が同兵器開発の風洞試験からプロトタイプ飛行試験まで、全ての段階に関与して開発を進めている点を指摘し、研究の最前線からの技術情報の迅速な製造現場や軍需産業への提供が重要だと訴えています

hypersonic5.jpg先日、米空軍が優先研究対象の一つとする「兵器や無人機の群れ制御」に関し、研究の行き詰まりから、米空軍が産業界や学会から情報提供を求める動きにかじを切ったとお伝えしましたが、国防省が陸海空軍を挙げて取り組む最優先プロジェクトである極超音速兵器においても同じ動きになりました

中国やロシアが先行すると言われ、ロシアが試験成功をプーチン大統領の誕生日に報告し、対抗するかのように米陸軍長官が「3月の試験では誤差6インチで着弾した」とアピールする極超音速兵器開発の動きをご紹介しておきます

10月27日付Defense-News記事によれば
Hypersonic4.jpg26日米国防省は、極小音速兵器の開発に関する大学との協力関係を強化するため、Texas A&M大学の航空工学教授で極超音速飛翔体研究所の所長であるRodney Bowersox教授をリーダーとする、全米約10の大学を束ねるコンソーシアムを今秋に立ち上げ、今後約5年間活動すると発表した
担当する国防省のGillian Bussey統合極超音速移行室長は、「国防省は極超音速兵器に相当の投資を行ってきた。しかし、試験の中で最新技術を対象兵器に投入する必要のある分野がありながら、新鮮な先進研究の「血」が健全に製造現場や軍需産業に流入していない」と語り、大学研究機関で生まれつつある最新技術活用の重要性を訴えている

このコンソーシアムは国防省や他の関係政府機関の直属となり、大学の研究機関と軍需産業界を結び付ける役割を果たす。Bussey室長は「コンソーシアムは、極超音速飛翔体を開発して飛ばすことが目的(The gold standard)だ」と表現している
この秋に立ち上がるコンソーシアムは、例えば海軍研究所(極超音速兵器を担当)が特定した問題に関し、極秘や管理された軍事秘密であっても関与して解決策を検討する

Hypersonic22.jpgコンソーシアムに参加する専門家(A board of experts)は以下の大学から参加する。MIT、ミネソタ大学、イリノイ大学、アリゾナ大学、テネシー大学、モルガン州立大学、カリフォルニア工科大学、ジョージア工科大学、パデュー大学
国防省は2021年度予算案で、極超音速兵器開発に3300億円を要求している
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新兵器に対する「必死さ」が伝わってくるのですが、中国の例を出してまで説明する必要があったのかは「?」です。「必死さ」より、「焦り」や「遅れ」や「壁」を感じさせるコンソーシアム設立発表です。

ロシアや中国の「出来栄え」がどれほどなのか情報を持ち合わせませんが、「なりふり構わぬ」必死さが功を奏することを祈念いたします

日本の「学術会議」の皆様に、本件に関するご所見を伺いたいところです

中国の極超音速兵器開発
「中国空軍H-6Nに空中発射極超音速兵器搭載か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14

ロシアの極超音速兵器
「露が対艦極超音速兵器試験に成功か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08
「ロシア第3の超超音速兵器3M22 Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11

米軍の極超音速兵器開発
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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中国が台湾へ武器輸出する米企業に制裁へ [安全保障全般]

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米国による台湾への大規模武器売却報道を受け
ロッキード、ボーイング、レイセオン等の軍需部門に
細部を中国外務省報道官は語らず

Lijian.jpg10月25日、Zhao Lijian中国外務省報道官が、米国が明らかにした台湾への武器売却に関連する米軍需産業(ロッキードやボーイング等)に制裁を科すと明らかにしました。ただ、制裁の細部内容や時期については言及しませんでした。

同報道官は、「中国の国益を守るため、台湾への武器売却に関与した米国企業に対する制裁を決定した」、「米国は台湾への武器売却と軍事交流を止めよ。中国は中国の主権と安全保障上の利害を守るため、引き続き必要な措置をとる」と述べていま

背景には、先週報じられた米国から台湾への約1900億円相当の武器売却(正確には21日に米国政府が同武器売却を行うことを米議会に通知した)があります

台湾に売却されると報道された武器(7種類?)には
・ ハプーン空対艦巡航ミサイル135発(射程150nm:AGM-84H SLAM-ER?)
・ 高機動ロケット砲システム(HIMARS)」11基
・ 無人偵察攻撃機MQ-9
・ 高精度対戦車ミサイル
・ 水中機雷など

Lijian3.jpgこれまでも中国は米国企業に圧力をかける姿勢を示しており、中国を民間旅客機の主要市場の一つにするボーイング等の弱点を突いて米国を揺さぶろうとしてきましたが、中国外務省報道官は今回、ロッキードやボーイングの軍需部門に対する制裁に言及しており、民需部門については触れていません

また上記2社に加え、今回の台湾への武器売却に関係したレイセオンと「関連米企業:relevant American individuals」も、対象に含まれると同報道官は発表しています


Lijian4.jpgトランプ大統領は大統領就任後、習近平主席をフロリダの別荘に招いて「知的財産に関するサイバー窃盗」や「貿易不均衡(米側の対中貿易赤字)」など経済分野での問題解決を要請し、「100日計画」なるもので改善を図ったりしましたが中国側に誠意ある対応がありませんでした

その後も、積み上げた交渉を握手直前でちゃぶ台返しするような態度を中国が執り、更にコロナ関連での中国の不誠実な対応に、トランプ大統領は「中国はディールの相手にはならない」と見切り、厳しい姿勢に出ています

Lijian5.jpg米大統領選挙はメディアの世論調査に拘わらず、オバマ元大統領やサンダース上院議員を動員する民主党の必死な状況から、激戦もしくはトランプ優位との見方も相当あり、中国との関係も結果次第ということですが、中国の様子見のような制裁発表も、トランプ大統領にプラスになることを恐れたからでしょうか

オバマ政権誕生時のこんなジョークを思い出しました。「黒人大統領を快く思わない白人勢力が、オバマ大統領を暗殺する恐れはないのか? いやその筋に問いかけてみたんだが、オバマがいなくなった後を、バイデン副大統領が引き受ける世界の方が恐ろしいから、オバマには手を出せない・・・

対中国関連の最近の記事
「海兵隊が対中国想定の「飛び石」機動演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-23
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

「Project Overmatch」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-15
「米国防長官が米海軍体制検討のさわりを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18-1
「21年初に本格無人システム演習を太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-10-1 
「潜水艦も無人化を強力推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-03
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇推進案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22

「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02

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「死に体」エスパー国防長官の後任候補は [エスパー国防長官]

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トランプ再選時とバイデン政権時の2パターン
エスパー長官の寂しき現状を踏まえ

Esper RAND2.jpg10月29日付Military.comが、人種問題暴動への米軍派遣に反対してトランプ大統領の反感を買ったエスパー国防長官は「死に体」状態にあり、大統領選挙の結果にかかわらず交代必至だとワシントンDCの「一般常識」になっていると紹介しつつ、次の国防長官は政権政党にかかわらず史上初の女性になるだろうと予想しています

白人警察官が黒人男性の首を膝で押さえつけて死亡させた事件を発端に、「BLM」運動で破壊活動を伴うデモや騒乱が全米に広がった6月、トランプ大統領が米軍正規兵部隊の暴動鎮圧への投入を示唆した際、軍人出身者として部隊現場の雰囲気を察してか、いち早く反対の姿勢を示したことでエスパー長官とトランプ大統領との亀裂は修復不可能になったと言われています

Esper5.jpegポンペイオ国務長官と陸軍士官学校同期生で、湾岸戦争に現場指揮官として参戦し、陸軍中佐で退役した現場を知る国防長官として、前職の陸軍長官時代から軍改革の先頭に立ち、国防長官としても対中国に備えた各種改革検討に着手していた優秀な実務家であるエスパー長官が好きなまんぐーすとしては残念な限りですが、これも政治任用者の悲しい現実です

ワシントンDCに居場所が無いかのように海外訪問を続け、その発言が取り上げられることも少なくなりつつあるエスパー長官ですが、その後任が女性になりそうとのこの記事は、トランプ続投の場合、男性の中に国防長官を引き受けそうな人が見当たらないし、民主党は有力候補が女性で、それ以外でも史上初の女性国防長官との話題を民主党は好むだろうとのラインで書かれています

記事が名前を挙げている人物にどれほど根拠があるのか不明で、数人の識者に予想を聞いてみた・・・程度のお話ですが、DCの雰囲気を感じていただくべくご紹介します

10月29日付Military.com記事は後任国防長官について
Esper.jpg6月の暴動鎮圧への対応を巡り大統領と国防長官の関係が冷え込んでいるとの風評に関し、8月トランプ大統領はエスパー長官との関係について、「問題なくやっている。いい奴だ、問題ない」と記者団に応えていたが、その後のアフガンやドイツからの米軍削減発表に関し、国防省が蚊帳の外に置かれていたことから、最近NYT紙などはエスパー長官を「死に体の長官がペンタゴンを歩いている」と辛らつに表現している

エスパー長官は陸軍長官としてマティス国防長官が更迭される生々しさを間近で見て教訓としており、大統領との関係に細心の注意を払い、国防省のコロナ対策や米軍のコロナ対応への派遣にもうまく対応していると評価されていたが、BLM鎮圧の件での大統領との関係は修復不可能になったと言われている

トランプ大統領が再選された場合の後任候補
●CPAのLawrence Korb氏予想(レーガン政権次官補、元軍人)
---Martha McSally上院議員(元A-10飛行隊長、現役時上官にレイプされたと議会で証言)
---Joni Ernst上院議員(元州軍中佐) この2名は、11月3日の上院議員選挙で落選した場合に国防長官候補の可能性あり
●NYT紙
--- Barbara Barrett空軍長官(宇宙飛行士資格保有者で元フィンランド大使)

●CSISのMark Cancian氏予想
---トランプ大統領に仕える難しさを嫌い、政権外部に候補者を見つけるのは難しいが、政権内ではポンペイオ国務長官(エスパー長官と陸軍士官学校同期)ぐらいしか思いつかない
●Times誌
--- Ryan McCarthy陸軍長官(元陸軍レンジャー部隊幹部)、Tom Cotton上院議員(イラク従軍経験ある元陸軍士官)、Jack Keane元陸軍大将(トランプ大統領から大統領自由勲章を受ける)

バイデン政権が誕生した場合の後任候補
下馬評No1は、Michele Flournoy女史(元政策担当国防次官、CNAS共同創設者)
●CPAのLawrence Korb氏予想
---バイデン氏は女性初の国防長官で話題を狙い、かつ実戦経験のある女性を好むだろう。Tammy Duckworth上院議員(元陸軍ヘリ操縦者でイラク従軍で両足を失う)
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Barrett.jpg国務長官には過去3名(Condoleeza Rice、Madeleine Albright、Hillary Clinton)が登用されていますが、歴代27名が務めた国防長官は全て男性だそうです
なんだかんだ言って、バイデンよりはトランプの方が良いだろうと思う今日この頃ですが、どちらの国防長官も大変だろうと思います

また、NHKをはじめ日本メディアの報道の偏り具合が異常で、こんな日常に慣れてしまってよいのかと恐ろしくなる毎日です

「エスパーとマティスのデモ鎮圧関連発言に思う」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04-1

エスパー長官関連記事18本
https://holyland.blog.ss-blog.jp/archive/c2306196525-1

フロノイ女史関連
「必要な国防政策を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-12
「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「強制削減下の国防」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-06-18-1
「ヘーゲル長官の後任を打診されたが」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-11-25
「国防次官候補者の発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-25
「フロノイ次官の退任」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-13
「フロノイのアジア政策授業」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-30

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