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飛行隊長が語るF-35中東展開でかく戦えり [亡国のF-35]

F-35の中東派遣第2弾で昨年10月から9か月間
新米パイロットや整備員を引き連れた中佐が振り返る

F-35 Al Dhafra.jpg8月18日付米空軍協会web記事が、F-35飛行隊の第2弾として中東UAEのAl Dhafra基地に派遣された第34戦闘飛行隊長Aaron Cavazos中佐への取材記事を掲載し、命令から2週間で現地に展開し、米本土ではほとんど想定していないような任務から、不便な分散基地からの運用ACE(agile combat employment)も長期にわたり遂行した様子を紹介しています

米空軍応援団の米空軍協会のF-35紹介記事ですので、様々に評判の良くないF-35をアピールするための「よいしょ記事」の部類ですが、現場の作戦運用について最近はガードが堅い米空軍が、F-35の活躍を紹介するため、少しは現場の様子を紹介していますので取り上げます

戦闘機部隊の飛行隊長と言えば、おそらく30代半ばから40代半ばぐらいまでの中佐です。初の実戦派遣を経験する新人パイロットや整備員をも引き連れての奮闘ぶりをご紹介し、現場の頑張りに敬意を表します

18日付米空軍協会web記事によれば
Al Dhafra.jpg米空軍のF-35は、過去16か月間に渡り継続して中東に派遣されているが、そこではISISの残党を攻撃したり、米海軍部隊の護衛にあたったり、地上部隊を支援したり、また新たな戦法のテストを行ったり、様々な任務に従事し、米軍のプレゼンスを示している
ご紹介する第34戦闘飛行隊は、昨年10月から今年6月までUAEに派遣され、いくつもの「F-35初」に挑戦して成し遂げてきた部隊であるが、同飛行隊長が米空軍協会へのメッセージを寄せてくれたので紹介したい

「次に派遣される飛行隊だとは知らされていたが、それがいつになるかは知らされていなかった。ある日飛行訓練から戻る飛行中に、航空団司令官がお呼びだとの連絡を受け、誰かが負傷した場合や任務指示以外ないことなので、着陸後、心して司令官室に出向いた。そして約2週間後に、我が飛行隊は戦闘任務に従事していた
F-35 Al Dhafra2.jpg「派遣期間を通じ、我が飛行隊はF-35で何が出来るかをあらゆる側面から証明できたと思う。米中央軍からの要求は、CAS近接航空支援から防空、攻撃的任務から海上作戦支援へと、1日の中でも目まぐるしく変化した」、「だが、我々は命に応じて全てに対応し、第5世代機の能力からすると普通は期待されないCAS用の機銃掃射から、米空母戦闘群の護衛までを1日の中で遂行した

派遣期間の任務の大部分はISISへの攻撃だったが、イランとの緊張が高まる中での展開はイラン抑止を強く意識したものとなり、従来の中東への展開時とは異なり、より強い脅威を意識し、日々ATO(air tasking order)をこなす伝統的な展開任務とは一線を画す体制だった
例えばイランがイラク内の米軍基地を弾道ミサイルで攻撃した際、米国は公式に認めなかったが同飛行隊が中東に展開していた。当時、イランとロシアが6機のF-35が国境付近を飛行していると主張していたが、同F-35はかつて民間機を撃墜した防空ミサイルクルーが地上に展開していることを探知していた

また第34飛行隊は、展開兵士の1/3を非公開の設備不十分な基地に展開し、3か月間継続して後方支援の不十分な基地からの運用を遂行し、ACE(agile combat employment)を実戦環境で実施した実例となった
F-35 Gilmore.jpgF-35の維持整備は依然として大きな課題で、2019年の稼働率は62%以下となっているが、第34飛行隊は非公開の展開先での運用を含め、維持整備問題で命ぜられた飛行を断念したことは一度もなく、この面でも特筆すべき成果を上げている

同飛行隊長は「F-35操縦教育を終えたばかりの操縦者も実戦に触れ、どのように統合作戦が遂行されているかや、予測不可能なことが生起する現実を体感した。これらの経験は彼らを確実に成長させている。当然自信につながるし、帰国後の日々の訓練で何を鍛えるべきかを身にしみて感じている」、「寄せ集めのF-35部隊から、F-35ファミリーになれた」と振り返った
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「機銃掃射」に「ACE(agile combat employment)」ですか・・・・

「six U.S. F-35s were tracked flying near its borders, spooking air defense crews to the point that one crew shot down a civilian airliner by accident」の意味がよくわかりませんが、F-35の偵察能力の高さをアピールした表現だと思います

コロナの影響で派遣期間が延びた第34飛行隊ですが、部隊は大きく成長したでしょう

「作戦サイクル・ATOサイクルなど役に立つのか?」
https://crusade.blog.ss-blog.jp/2014-05-05

最近のF-35記事
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「維持費削減:F-35計画室長語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-03
「同上:米空軍参謀総長が」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02

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米空軍がF-15EX文書でF-15E後継も示唆 [米空軍]

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基本はF-15C/D型234機の後継用144機だが
後継未定のF-15E型218機の後継も見据えF-15EXか

F-15EX 2.jpg7月30日付米空軍協会web記事は、米空軍がF-15EX導入の必要性を説明した2018年3月付文書「F-15EX Justification and Approval (J&A) document」を今年7月中旬になって公開し、その中で2030年代初めから機体寿命を迎えるF-15Eストライクイーグルの後継機としての可能性に言及してると報じています

「F-15EX J&A document」自体は、これまでご紹介してきたように、老朽化が進む制空用F-15C/D型の後継としてF-15EXが最適な理由を、飛行時間当たりの維持費が高額で、かつ各飛行場の受け入れ装備や施設整備に経費が掛かるF-35を後継として導入するより、5年間で約3300億円節約できること等を上げ、

F-15EX 5.jpeg更にF-15EXが、サウジやカタールへの輸出用にしている最新F-15のSA型やF-15QAと、90%以上の部品共通性を持つことから、生産体制立ち上げや維持体制にも無理がなく、新たな機体を準備するより負担なく必要なレベルの機体が準備できる点などを説明しているようです

米空軍が語らない軍事産業政策面からの配慮を米国防省高官の発言等から推察すると、ロッキードはF-35を世界全体で3000機レベルで担当する方向で、これ以上の一極集中は避けたいし、F-22とFA-18を担当しているボーイングにもF-15EX製造を通じ、ロッキードと競争可能な戦闘機メーカーとして業界に関与し続けてほしい・・・との思惑があります

以下では話題を変えて、F-15Eの後継に米空軍がF-15EXを考えている件を、関連部分を記事よりご紹介します

7月30日付米空軍協会web記事によれば
F-15EX 3.jpg文書作成から2年半後の今年7月中旬に公になった「F-15EX J&A document」は、F-15EXは当初、老朽化が進む制空用F-15C/D型の後継として計画が始まったが、地上攻撃用のF-15Eストライクイーグル218機の後継として使用する可能性についても、「決定されたわけではないが、オプションとしてある」と表現している
米空軍報道官は本件に関し、文書が記載している通り「決定されたわけではないが、オプションとしてある」状態に変化はなく、今後米空軍として検討していくことになると述べ、F-15Eは見通しうる将来において引き続き任務を遂行していくと説明するにとどまった

●米空軍の現有作戦機と後継機の関係
--- 約230機のF-15C/D制空戦闘機とF-117ステルス攻撃機
   → 約180機のF-22戦闘機
     (当初は381機調達予定も、ゲーツ長官が計画中止)

--- 約280機のA-10攻撃機と約930機のF-16C/D戦闘爆撃機
   → 約1700機のF-35へ

--- 更に約230機のF-15C/D制空戦闘機の後継
   → 144機程度のF-15EXへ

--- 218機の戦闘爆撃機F-15Eストライクイーグル
   → 未定(F-15EXを米空軍がオプションとして検討)

F-15EX 4.jpg戦闘爆撃機F-15Eの生産は、制空用F-15C/D型に約10年遅れて開始されており、2030年代初めには機体年齢を迎えて退役を開始する見込み。ただ、C/D型と比較し、E型は多量の兵器を搭載するため機体強度を高く設計されており、今後の機体疲労状況の見極めにより寿命は変化する可能性がある
F-15EXは制空用F-15C/D型とは異なり、より「multirole aircraft」として設計されており、またF-15Eの兵器搭載量が11トンに対し、EXは13.3トン搭載可能とボーイングが発表しており、E型の後継として戦闘爆撃機としての役割を果たす素地は備えていると考えられる
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戦闘機というのは「大きな金が動く」アセットで、その導入経緯はどの国のどの機体を取り上げても単純ではありません。導入する国の安全保障を取り巻く環境の「縮図」とも言える様々なものを背負っています

F-15E-Afgan.jpgですからこそ、その選択や投資の程度は、その国の国民の安全保障に関する見識を反映するもので、健全な国民の情勢認識を普段から形成しておくことが重要になります

まもなく米空軍では、F-35導入機数が250機を超え、機種別保有数でF-16とA-10に続く第3位になるそうです。そんな折々に関係情報をご紹介し、ご参考に供したいと考えております

F-15EX関連の記事
「イヤイヤF-15EXに進む米空軍」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-30
「国防省高官もF-15EX導入を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-23-1
「統参議長がF-15EX購入を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-2

「F-15EXは空軍の選択ではない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02
「参謀総長F-15Xを強く示唆」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31-1
「今頃になってEXのエンジン機種選定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21-1

「機種別保有機数でF-35は米空軍3位へ」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07

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国防省が2020年「中国の軍事力」報告書発表 [中国要人・軍事]

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過去10年間で最も遅い時期の発表です

2020 China report.jpg1日、米国防省のChad Sbragia中国担当次官補代理がAEIで講演し、同日発表の中国軍事力に関する年次レポート(今年は昨年から33%増しの200ページ)の内容を紹介しました

私の知り限り、この重要なレポートの発表会見がペンタゴン以外で行われたことはなく、共和党系のシンクタンクAEIが場所に選ばれたのがなぜなのか不明です。「コロナ」の影響で、場所を選んだとでもいうのでしょうか?

200ページの報告書を読む気力がなく、日本時間の2日に幾つかの報道を見たのですが、中国海軍に関する記述が「艦艇数が350隻で世界一」との記述程度で、核戦力やミサイルや空軍に関する記事内容が多く、本日はとりあえず報道が取り上げた部分をご紹介します。今後中国海軍に関する部分が見つかれば追記します

1日付米空軍協会web記事等によれば
●中国の軍事費は22兆円で、昨年から6.2%増加している。中国のGDP成長率は10年前の9%から現在は7%に減速しているが、国防費は過去10年間で倍増している
Sbragia2.JPGなおかつ、米国の国防費の2/3が人件費や医療費や年金に投入されるのに対し、中国の国防費は大半が装備購入費や作戦運用費に投入され、更に米国製兵器システムが中国より高い人件費や開発費で高価な半面、中国は安価な労働力と不正な手段による技術入手による低い開発費の恩恵を受けている

中国が自身が2049年までに「世界レベルの軍隊」を持つとの目標を掲げている具体的意味は不明だが、ペンタゴンは、2035年までに中国軍の基礎的近代化を完了し、米国を今世紀半ばに凌駕するだろうと分析している。これには統合作戦能力向上や官民の軍需産業ベースの協力関係強化による国家としての「dual use」生産能力向上も含まれている

海外拠点に関し、中国はアフリカのジブチに拠点を確立しているが、その他にもMyanmar, Thailand, Singapore, Indonesia, Pakistan, Sri Lanka, United Arab Emirates, Kenya, Seychelles, Tanzania, Angola, and Tajikistanで拠点を確保すべく、「一帯一路」構想の推進に合わせ何らかの働きかけを行っている
中国海軍は「世界一の規模である」と同レポートは表現し、米国が293隻のところ、中国海軍は大型水上艦艇130隻を含む350隻を保有している点を強調している

H-6N.jpg地上発射の弾道ミサイルや巡航ミサイルに関しては、中国は500-5500㎞射程(INF全廃条約が規制していた範囲)の同兵器を1250発保有しているが、米国は300㎞以下のものしか保有していない
中国は空中発射巡航ミサイル能力にも力点を置き、H-6爆撃機改良型が搭載可能となり、無人偵察機の射出と合わせた能力向上を済ませている。またH-6N型は初の核兵器可能で空中給油能力がある機体であり、これにより中国も核の3本柱を得たことになる

関連で戦略ミサイル原潜SSBNに関し、中国海軍は094型原子力潜水艦(晋級)4隻をすでに運用し、新たに2隻が製造最終段階にあるとし、更に2030年までには開発中の096型(唐級)を合わせて8隻体制になる可能性がある
094 SSBN.jpgなお中国SSBNは射程7500キロの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪2(JL2)」を12発搭載でき、中国南部の海南島の亜竜湾海軍基地に配備されている。中国が南シナ海の支配を狙うのはSSBNの聖域を確保することが大きな理由の一つだと言われている

防空能力はロシア製S-300やS-400を配備することで世界最高レベルにあり、これに国産防空システムを加え、更にまもなく弾道ミサイル防衛能力も加わることになる。「強力でで重層配備されている」とレポートは表現している
中国海軍と空軍の戦闘機は、保有計約1500機の半分が4世代機に更新され、練習機なども含め5年程度で4世代クラスに置き換わる。他にステルス性を持つ攻撃機J-20の搭載兵器を拡大されつつ最初の部隊に増強され、ロシア製最新鋭機Su-35も20機以上購入済である

西側のF-35そっくりなFC-31/J-31は、国内用と輸出用が生産中であるステルス戦略爆撃機については国防省の評価は記載せず、外部専門家の「開発には10年以上かかるだろう」との言葉を紹介しているのみである
KJ-500.jpg無人機については多様なタイプが輸出用も含め製造されており、米軍のRQ-4やMQ-9そっくりなものも含まれるほか、米海軍が開発に取り組んだ無人ステルス艦載機X-47に似たGongji-11が昨年の軍事パレードに出現している。他に軍事パレードには、西側軍が保有しない電子戦や高速攻撃を想定した無人システムが登場していた

早期警戒管制機にも進展が見られ、従来のKJ-200やKJ-2000より処理能力や全天候性や探知距離が向上したKJ-500の導入が加速している

ロケット軍(以前の第2砲兵)は米軍の戦略軍に似た役割を持つが、2019年には中国以外の全世界の国が行った弾道ミサイルテスト数より多い発射試験を、中国ロケット軍が行っている。核搭載も可能な射程4000㎞級のDF-26などの中距離弾道ミサイル数も増えており、大陸間弾道弾も多弾頭化がさらに進んでいる
米本土を射程に収めるICBMに搭載可能な核弾頭数も、今後5年間で200発にまで増加し、「launch on warning」態勢に移行すると国防省は予測している

DF-26 4.jpg米国の民間企業SpaceXやBlue Originが軍事衛星打ち上げにも参入し、民間需要にもこたえている様子をまねるように、中国でも「Exspace」社がスタートアップとして出現し、官民両市場で頭角を現している

中国はまた、人工知能、量子コンピューター、自動化、量子情報科学、先端材料や生産技術にも大きな投資している
中国は、情報戦、心理戦、サイバー戦の融合を図り、一つのコマンド内に統合させようとしている。また、技術情報を窃盗するだけでなく、米国や西側の文化機関、メディア、企業や学会や政策研究機関にも巧みに接近し、「中国の代弁者」を確保し囲い込もうとしている。米国はこのような影響力作戦に狙われやすい
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ご興味のある方は、200ページの現物をご覧ください
https://www.airforcemag.com/app/uploads/2020/09/2020-DOD-CHINA-MILITARY-POWER-REPORT-FINAL.pdf 

米空軍トップが「米軍は急いで変わらなければ勝てない」との冊子を発表配信したように、中国の軍事力は急速し増強され、南シナ海や尖閣付近での行動に見られるように行動も過激さを増しています

中国により近い日本は、「変わらなければ、何もさせてもらえない」ぐらいの状態に置かれていると考えるべきでしょう

米国防省「中国の軍事力」レポート関連記事
「2019年版」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-06
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
「2016年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

防研の「中国安全保障レポート」紹介記事
1回:中国全般→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-19
2回:中国海軍→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-17-1
3回:軍は党の統制下か?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1
4回:中国の危機管理→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-01
5回:非伝統的軍事分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-22
6回:PLA活動範囲拡大→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-09
7回:中台関係→サボって取り上げてません
8回:米中関係→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-2
9回:一帯一路→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-11
10回:ユーラシア→サボって取り上げてません

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新米空軍トップがその方針を8ページで語る [米空軍]

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Brown 6.jpg8月31日、8月初旬に就任したばかりの米空軍参謀総長であるCharles Brown大将が、今後の米空軍の業務・任務コンセプトについて8ページの冊子「Accelerate Change or Lose」を発表し、勤務に当たっての基本姿勢を、装備品調達から人材育成まで幅広く示しました

8ページの冊子に具体的な数字や時程が含まれるわけではありませんが、タイトルが示すように「どんどん変化しなければ敗北する」との危機感に満ちており、今後数か月の間に様々な分野に関する具体的なアクションを示して行くとの「予言」とともに記述されていることから、今後の変化を予感させるものとなっています

冊子の内容は、太平洋空軍司令官時代から同大将が述べてきたことや、米空軍幹部が最近語っている内容に沿うものですが、概要の概要をつまみ食いでご紹介しておきます

8月31日付米空軍協会web記事によれば
冊子「Accelerate Change or Lose」の概要の概要は

Brown.jpg変化を直ちに始めなければ、我々の優位性や将来の戦いでの勝利は得られない。変化の範囲は、どのように兵器システムを評価し、どのように調達するか、また兵士をどのように訓練して展開させるかなど、多方面に及ぶ
ドォーエの言葉を借りれば「敵に先んじて変化を遂げた者に勝利は訪れ、変化を待って変化に対応しようと受け身であった者には訪れない」・・・である

この変化に関連するアクションプラン指示は数週間後に始まり、数か月の間続く。将来を変えるこの取り組みには、時間の必要なものもあり、国防省や議会や産業界との協力が欠かせないものも含まれる
我々は迅速に行動しなければならない。少なくとも敵対者より早く。脅威が変化したなら、すすんで変化し、敵に数歩先んじなければならない

数十年に渡り米軍が享受してきた航空優勢は、もはや保証されていない。中国などの対象国が米国の優位を脅かすため継続的に積極的に取り組んでおり、優位喪失は視野に入っている。優位を生かして次への備えに時間的余裕があった時代でもない

Brown3.jpg将来の戦いでは、局地的な航空優勢を争う事になろうが、米空軍が米軍内でこの争いの先頭に立つことには変わりはない
将来の戦いでの空軍兵士は、厳しい環境下の戦いと戦闘による大きな消耗損失、そしてWW2のように国家へのリスクを背負うことになる可能性が高い

仮に米空軍がこのようなリスクの存在を無視し、最近の我々が慣れている(テロとの戦い)戦いの意識のままでいたなら、恥ずべきである
変化に対応するため、伝統的な装備を捨て去ることにも取り組む必要がある。一般に米議会の反対を受けがちだが、先行的に利害関係者と意思疎通を図り、必要なことは敢然と推進する必要がある

我々は戦力構成に関する最も困難な意思決定を迫られる世代であろうが、決して消極的であってはならない。将来の調達では、任務全体を見据えなければならず、単一アセットのみの視点ではいけない。金額面での折り合いや相対的な能力不足が明らかになった物は、中止する態度でなければならない。過去の分析が調達時に正しくても、ニーズが変化すれば優先順位を見直す必要がある

人的戦力の面でも変化が求められている。兵士の派遣要領(休養や回復、将来に備えた訓練の全て)にも変化が求められているし、兵士皆が理解しやすく、考え方が共有されている状態にあるべきである。無論、統合戦力として機能しうる戦力であることは必須である

Brown5.jpg空軍兵士を「Empowering」することが根本的に重要で、中国やロシアとの厳しい戦いの中でも、部隊内の信頼が維持できるよう部隊を準備する必要があり、このためには、各兵士が持ち場を通じていかに組織全体に貢献しているかへの理解も重要になってくる
人的戦力強化のためには、多様性の価値を最大に活用し、家族も含めた生活の質確保も重要な視点となる

ウォーゲームやシミュレーションを通じて、米空軍が将来への適応を誤れば、任務を完遂できないことが明らかになっている。我々は国家の負託にこたえるため、迅速な行動が求められている。「極めて厳しい環境下での戦い:highly competitive environment」に向け、変化のため立ち上がる必要がある
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In the “months ahead,” beginning with action orders expected in the coming weeks, Brown said 関連するアクションプラン指示は数週間後に始まり、数か月の間続く・・・何が始まるのでしょうか?

米国防省レベルで、世界的な米軍再編案が9月末までにまとめられ、12月末までに「新しい統合作戦コンセプト」が作成される中での冊子「Accelerate Change or Lose」発表です

新しい統合作戦コンセプトは、現役のリーターたちにとっても「全くこれまでと異なる」そうですから、米空軍もその変化に先行するつもりで果敢に挑むのでしょう

「米国防省「新たな統合作戦コンセプト」を年末までに」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-18

太平洋空軍司令官時にBrown大将が語る
「米空軍は海兵隊と同じ方向を目指す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「射程1000㎞の砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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B-52が全NATO加盟30か国上空を飛行し団結示す [米空軍]

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うち20か国は各国戦闘機でB-52をエスコート
共和党大会演説でNATOに「金払わせた」と大統領が自慢の翌日

B-52.jpg8月28日、すなわちトランプ大統領が共和党大統領候補の受諾演説(27日夜)で、NATO加盟国により多くの軍事費を拠出させることに成功したとアピールした翌日に、計6機のB-52戦略爆撃機が4機と2機に分かれ、欧州と米大陸(米とカナダ)のNATO加盟全30か国の上空を飛行し、「NATOの団結した」と米欧州コマンドが同日声明を出しました

このB-52による飛行は「Allied Sky:同盟の空」作戦と名付けられ、6機すべては米本土のノースダコタ州Minot空軍基地所属のB-52が派遣されたものでした

またこのB-52爆撃機がNATO加盟国上空を飛行する際、20か国が自国の戦闘機をB-52のエスコートのために飛行させ、B-52と各国戦闘機の編隊飛行の様子(写真など)を各国駐在の米国大使がSNS上で直ちに発信するなど、米軍だけでも国防省だけでもなく、米国務省も絡んだ「作戦」だったことが伺えます

8月28日付米空軍協会web記事によれば
B-52 Check.jpg欧州に派遣された4機のB-52は、8月21日に母基地から英国のFairford英空軍基地に展開した。欧州米空軍の発表によれば、この4機は21日のうちにノルウェー空軍機と共同訓練を行った
また27日には2機のB-52が、仏空軍のミラージュ戦闘機及び英空軍のユーロファイター戦闘機と共同訓練を行い、この訓練を仏軍のKC-135空中給油機と英空軍のFairford空中給油機が支援した

欧州米軍司令官(NATO軍司令官兼務)Tod D. Wolters空軍大将は、「米国のNATOに対するコミットメントは鉄のように固い。本日の爆撃機ミッションは、北大西洋同盟のゆるぎなき即応性、日々改善される相互運用性、大西洋をまたぐ関与の提供能力を更に示すものである」との声明を出している
NATOのJens Stoltenberg事務総長は、「本日のミッションは、行動でNATOの団結を示すものである。30か国加盟国のすべてを1日で飛行し、各加盟国の戦闘機にエスコートされる様は、如何なる挑戦にも対処できる能力向上を示すもので、我が任務である侵略の抑止、紛争の予防、平和の維持の達成をより確かなものとした」とコメントしている

B-52 Poland.jpgB-52をエスコートした各国戦闘機は計80機の達し、アルファベット順に記載すると、Belgium, Bulgaria, Canada, Croatia, Czech Republic, Denmark, France, Germany, Greece, Hungary, Italy, Netherlands, Norway, Poland, Portugal, Romania, Slovakia, Spain, Turkey, and the United Kingdom軍から参加があった
なおこのB-52の飛行に対し、黒海上空でロシア軍Su-27戦闘機が接近監視飛行を行ったと、ロシア政府系のメディアが映像を放送した
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南シナ海に米空母や米駆逐艦を派遣すれば、中国から「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイルを脅しに打ち込まれ、アラスカ周辺のベーリング海ではロシア軍による演習で恐れおののいた米国漁民から悲鳴が上がる軍事情勢の中、効果のほどは「?」ながら、世界各地で飛び回るB-1やB-2爆撃機と共に、「Show of Force」に尽力する米空軍爆撃機の一端をご紹介しておきます

B-52 2.jpg共和党大会での指名受諾演説とB-52飛行の関連性は不明ですが、順序が逆でなくてよかったと思う次第です・・・

でも・・。トルコも戦闘機を出したんですねぇ・・・後でトルコ大統領からトルコ空軍が叱られたりしないのでしょうか・・・。この辺りはよくわかりませんねぇ・・

米軍大型爆撃機の活動など
「ディエゴガルシアにB-2爆撃機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-13
「CBPからDFEへの変化を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-30
「16年続いた大型爆撃機のグアム駐留CBP終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-19
「アイスランドにB-2」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-30
「18年継続の爆撃機中東派遣終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-30-1
「対イランに中東へB-52短期派遣」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-08
「アジアへの空軍戦力派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1
「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04

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