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やっぱり駄目:KC-46改善は2023年以降に [米空軍]

ボーイング新CEOが乗り出してもこの程度
空軍参謀総長が上院軍事委員会で交渉状況語る

Goldfein.jpg3日、この夏に退役するGoldfein空軍参謀総長が2021年度予算案に関する上院軍事委員会で証言し、大問題となっているKC-46A空中給油機の給油モニター操作システムRVS(Remote Vision System)の不具合改善に関するボーイング社との協議について、最後の詰めを行っているが改善開始は1年遅れて2023-2024年頃になるだろうと述べ、米議会を驚かせています

本件については、1月9日に同参謀総長がボーイングに直接書簡を送って早期対策を求め、ボーイング新CEOが1月15日に同参謀総長の下に来訪して全力対処を誓い、3月末までに改善計画をまとめて合意する予定だと同参謀総長が2月18日に語っていたところですが、やっと動き出したのに結論は1年遅れの2023年以降という情けない状況です

KC-46A 2.jpg米国防省は2021年度予算案で、統合アセットの連接強化を柱に掲げ、米空軍の老朽空中給油機等を早期退役させることで維持整備費を削減する姿勢を打ち出していますが、KC-46の更なる遅れで、20機程度のKC-135やKC-10早期退役案が流動的になっているようです

米議会がボーイングに法的な義務を負わせる動きもあるようですが、そんな中、米国務省がイスラエルの要請に応じ、8機のKC-46売却許可を出したとの報道がありました。米国からの軍事援助費を使用して購入するようで、米国政府からボーイングに資金が還流するような構図です

3日付Defense-News記事によれば
3日、Goldfein空軍参謀総長は上院軍事委員会で、ボーイング側とRVS改善計画について最終的な詰めを行っており細部を正確に説明できないが、2019年当時に想定していた2022年から改修開始ではなく、1年遅れの2023年から開始になる見込みだと証言した
●同大将は、「(1月15日にボーイングCEOとの直接会談で修復に全力を尽くすとの発言があった以降のボーイング側の動きについて、)細部をフォローしていないが、私はCEOのDave Calhoun氏に対し、きちんと改善してもらうことがもちろん重要だが、早期解決も同様に重要だと明確に伝えている」と語り、ボーイングの対応に不満を表した

KC-46A RVS.jpg米空軍は2021年度予算案で、13機のKC-135と10機のKC-10を早期退役させる計画にしているが、米輸送コマンド司令官Stephen Lyons大将が先週、国防省首脳と協議し、この早期退役案の扱いについて近く結論を得ると語っていたところである
●また米空軍輸送コマンドのMaryanne Miller大将も、「ボーイングとのRVS不具合改善の計画について合意できれば、老朽給油機の予定を決めることが容易になる」と語り、一方で日々の給油機のやりくりで23-28機の不足が常態化し、演習計画や中東での任務対応に影響が出ると語っている

Goldfein空軍参謀総長は自身がKC-46に搭乗した経験を踏まえ、太陽の位置によっては、給油相手の航空機の機体に太陽光が反射してまぶしく、現状のRVSでは相手機の位置が見にくくなり、給油操作員が危険と感じる状態が生じると議会で説明した
●同空軍参謀総長は、仮に中国やロシアと戦闘状態に至ったら、現状のRVSを搭載したKC-46でも、リスクを局限するように配慮して戦域に投入することになろうが、平時の任務時にリスクを冒すことはできないと説明した

上院軍事委員会の有力議員らから、下院軍事委員会メンバーとも協力し、ボーイング社にRVS不具合改善期間を短縮するよう働きかけるとともに、予算関連法案に何らかの施策を盛り込むよう検討べきとの声が上がっている

米国務省がイスラエルへのKC-46売却許可
Israel.jpg3日付Defense-Newsによれば、米国務省が3日、イスラエルから要請のあった8機のKC-46Aの売却について、問題ないとの意見を議会に提出した。正式には米議会が許可することが必要だが、重要な米国の同盟国の要請を断ることは考えられず、イスラエルは日本に続いてKC-46の2番目の輸出先となる模様です

イスラエル空軍は現在、旅客機B-707をイスラエル軍需産業IAIが空中給油機に改修した機体タンカーとして活用しているが、その後継機となる模様です

8機の機体と通信装置や整備関連機材、機体受け入れ準備の支援などを合わせた合計金額は2700億円と見積もられている様ですが、イスラエルは毎年米国から提供されている無償軍事援助約8000億円を使用して支払うと言われています
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米国とイスラエルの抜き差しならぬ関係については言及をしませんが、米国と日本との関係とは全く異なる意味で「KC-46」を購入する関係なのでしょう

繰り返しですが、ロッキードもボーイングも・・・・、腐ってますねぇ・・・・

日本はイスラエルと情報交換して、日本だけKC-46使用国として損しないように注意してください!!!

KC-46関連の記事
「重大不具合について3月に手打ち!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-21
「空軍トップが新CEOに改善要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ついに空中給油の民間委託検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-15
「貨物ロックに新たな重大不具合」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-12
「海外売り込みに必死なボーイング」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22-1
「米空軍2度目の受領拒否」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-1
「機体受領再開も不信感・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「米空軍がKC-46受け入れ中断」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-3
「不具合付きの初号機受領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-2
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1
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米海兵隊が対テロから海洋作戦に舵を切る [Joint・統合参謀本部]

2021年度予算案で2つの対艦ミサイルを最優先事項に
米艦隊で中国艦艇を対艦M射程内に導き(おびき寄せ)

Berger.jpg5日付Defense-Newsは、米海兵隊司令官による2021年度予算関連での上院軍事委員会証言を紹介し海兵隊が2つの長射程対艦ミサイルを予算案の最優先事項としたことを取り上げ、過去20年間の対テロ戦争における「軽快な陸軍」の位置づけから、海洋パワー投射の延伸を担う部隊に力点を転換しようとする姿勢だと紹介しています

2つの長射程対艦ミサイルとは、射程100nm以上と言われる「Naval Strike Missile」を無人走行車両に搭載した「NMESIS」(Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)と、米国のINF全廃条約脱退で導入可能になった、射程900nmと言われる巡航ミサイル「Tomahawk」の地上発射版です。

米海兵隊は、これら長射程対艦ミサイル部隊をがっちりした陣地を構築して配備するのではなく、小規模な部隊編成にして太平洋の島々に分散し、攻撃の主導権を取れるように機敏に移動して攻撃し、敵に目を突けられる前に再度移動する構想を持ち、その際米海軍艦艇と連携し、中国艦艇を海兵隊対艦ミサイル部隊の攻撃範囲に追い込む(おびき寄せる)作戦をイメージしているようです

5日付Defense-News記事によれば
NMESIS.jpg●5日、David Berger海兵隊司令官は上院軍事委員会のシーパワー小委員会で証言し、2つの移動式対艦ミサイル導入を最優先装備として位置付けていると語り、「米軍水上作戦の一環として、地上から対艦攻撃能力を提供する。地上機動部隊の高い残存性を生かして我が海上打撃能力を強化し、敵が緊要な海域を支配することを拒否する」と、対テロ戦からの転換を明確に打ち出した

一つは、海兵隊のHIMARS(High Mobility Artillery Rocket System)を、米陸軍が使用するOshkosh製のROGUE-Fires無人車両(Remotely Operated Ground Unit for Expeditionary Fires)の台車に搭載するNMESISで、射程100nm以上のノルウェー製「Naval Strike Missile」を装備する
●この「NMESIS」について同司令官は、「搭載ミサイルはLCSに搭載中の見通し線外システムと同タイプで、米海兵隊に海面を這うように飛翔して艦艇の側面から攻撃する機動性の高いミサイルを提供することになる」と説明している

Berger2.jpgまた同司令官は、2021年度予算案で48発の地上発射型Tomahawk巡航ミサイルを要求していると軍事委員会で述べ、「過去6か月間、海軍と海兵隊は融合した海洋戦力として如何に作戦すべきかを議論してきた。つまり、過去20年間海兵隊がやってこなかった制海と海洋拒否作戦を、海兵隊も担うということである」と説明した
●更に「トマホークはこの変革に必要なツールの一つであり、今後長期的に整備する艦艇や沿岸地上から、敵にリスクを与える小規模部隊で運用する長射程打撃力である」と述べた。

●なお、米海軍はレイセオンと協力し、飛翔途中で目標艦艇を自ら探知追尾するトマホーク「Maritime Strike Tomahawk」を2023年運用開始を目途に開発中で、完成すれば飛翔中に外部からの指示で目標を変更したり、指示に沿った移動目標を攻撃可能になる

米海軍との共同作戦構想
Smith.jpg昨年発表された海兵隊の作戦運用コンセプトは、過去20年間より、海兵隊が海洋パワーとして海軍と連携することを求める内容となっている。その一環として、海兵隊は小規模な部隊を太平洋の島々に分散配置し、中国艦隊の自由な活動を妨害したいと考えている

●米海兵隊の装備開発要求担当のEric Smith中将は同コンセプト発表時に、海兵隊は自らが主導的に選択する地上の場所で戦い、敵の目標になる前に再起動する作戦を目指すと説明していた ●そして同中将は、同コンセプトでは、米艦隊と協力して中国艦艇を海兵隊地上展開部隊が攻撃可能なエリアに導くと述べ、「高い脅威エリアで、海兵隊部隊は米艦隊を支援するために機動し、または米艦艇によりおびき寄せられた中国艦艇を阻止又は攻撃する」と説明していた
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海兵隊が拘る着上陸作戦能力と機動力の活用と、中国との本格紛争に関与することによる存在意義確保の両方を満たし、かつ艦隊や航空部隊の脆弱性を補完する戦闘力としての特性を生かした方向性として期待したいと思います

Tomahawk Maritime.jpgただし、太平洋の島々とは、フィリピンやインドネシア、パプアニューギニアやミクロネシア、ソロモン諸島、もしかしたら日本の南西諸島なども含むのかもしれませんが、既に中国経済圏に取り込まれつつあるこれら地域では、地域住民が中国側の情報提供者として働くことが十分に予想できることから、極めて難しい作戦と考えられます

これは陸上自衛隊にも言えることで、海上自衛隊や航空自衛隊よりも最前線に立つことを求められる、一つの大きな転換点ともいえるかもしれません

番外編のおまけ
自衛隊員と米海兵隊員の腕相撲対決!


太平洋地域で地上部隊に期待
「南シナ海で航行の自由作戦活発化?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-06
「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-13
「射程1000㎞の砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「再びハリス司令官が陸軍に要請」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
「ハリス大将も南シナ海で期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「RIMPACで日米陸軍が訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21
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リーダーたる者は(海軍士官学校卒業式で) [ゲーツ前国防長官]

まんぐーすが一番好きなスピーチです
2011年5月、ゲーツ氏が参加した最後の士官学校卒業式で
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信念は心の炎。人の心を温め、照らすもの。そして人が君たちに従おうとする力にもなる。
自信を持つリーダーは、日陰にあって他(部下が)が注目や称賛を浴びることを見つめ、他の成長を妨げる大きな陰を作らない。

gatesNavyac.jpg27日、ゲーツ長官は海軍士官学校の卒業式に臨み、この戦時にこの道を選択した士官候補生に敬意と祝意を表するとともに、卒業生にリーダーが備えるべき資質について述べました。いわば主催者側としての卒業式スピーチを、まんぐーすは初めて読んだ気がしますが、「直球ど真ん中ストレート」です。

この卒業生は、ゲーツ長官が就任後、最初に入学した学生であり、また国防大臣としての最後の士官学校卒業式でもあることから、その思いが原稿から伝わってくるような気がして目頭が・・・。30年前のCIAでの失敗から先日のビンラディン作戦成功まで・・こんな思いも抱えていたんですねぇ・・。

本当は、若者が「耳にたこ」ほど聞かされていても良い話(年寄りも)だと思いますが、最近日本であまり聞かないお話で・・ストレートにずしんと聞かせて(読ませて)いただきました。
うまくご紹介できるか自信がありませんが、挑戦する価値有りと思いますので・・・ぜひ原文で

卒業生諸君(Notre Dame大学に昨秋フットボールで勝った)へ
●2007年、イラクで死傷者が最悪になり成功への道が見えにくかった時期に入学し、海軍のリーダーとしての選択をしてくれた今回の卒業生諸君である。
gatesNavyac2.jpg●ルーズベルト大統領は言った「国家の正否は平均的な国民の働きに掛かっており、平均的な国民が良くなければならない。同時に、国家指導者のレベルが図抜けて高くなければ、その国民のレベルを高く保つことは出来ないのだ」と。君たちは平均的な国民ではない。単に平均的国民であることに満足することは許されない。全てに高いレベルの指導者でなければならない。
●私も46年前に大学を卒業して8人の大統領に仕える公務をスタートしたが、真のリーダーシップとは、希にしか出会えない貴重なものである。それは人が部分部分しか持ち合わせず、全体として発揮されることが滅多にない。

リーダーの資質(brief thoughts on those qualities)
Vision
日常やその日のことばかりでなく、将来を見通し可能性や潜在性に目を向けることである。そのためには他人がやらない又は出来ないことに目を向けることである。
深いConviction(信念)
それは心の中の炎であり、人の心を温め、照らすものである。それは人が君たちに従おうとする力にもなる。
Self-confidence(自信
世の中に広く見られるエゴや過信とは異なる。それは他人に責任と成功の両方を与えるものであり、日陰にあって他人が注目や称賛を浴びることを見つめる能力である。つまりこれを持つ指導者は他の成長を妨げる大きな陰を作らない。

gatesNavyac4.jpgCourage(勇気
単に前線で見せる肉体的な勇気だけではない。新たな道を歩む勇気であり、見栄えのすることだけでなく正しいことを行う勇気をである。最近では軍でもビジネスの世界でも、チームワークが求められ君たちも学んだろう。しかしリーダーとして君たちは必ず、一人で立ち向かい、これは間違いだ、皆さんに同意できない、こうあるべきだと言わねばならない場面に直面する。この時こそ真の勇気を発揮すべき時である。
Integrity(誠実さ
これなくして真のリーダーシップはあり得ない。最近ではこれが、奇妙な目で古めかしいもののように見られている。今日成功したと伝えられる人達の中には、この要素を感じない人が少なくない。しかし真の指導者にとって、自立心、自制心、ほこり、正直さと言ったものは絶対的な構成要素であり、基礎である。
Common Decency(上品さ・目下への誠実な態度)
君たちの周りの人、特に部下とどのように接するかである。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現し、指導者のリトマス試験紙とも言われている。

失敗や成功にどう向き合うか
●人なら誰でも、成功も失敗も経験する。しかし失敗も成功も、君たちの信義に従い、正しく誇り高くあるべきことを知っていれば最終的な成功に導かれるだろう。大事なことは、どのように受け止め対応するかである。約40年前、ガソリン運搬船でブイに突っ込みエンジンをだめにしたような海軍士官がいた。私は今彼と毎日仕事をしている。マレン統合参謀本部議長のことである。

約30年前、今も忘れない1980年4月24日の夜。私がCIA長官の上級補佐官として、計画段階から携わったテヘランの米大使館人質救出作戦の夜である。危険のある作戦だったが、正直私は成功すると信じていた。しかし違った。焼けこげたヘリの映像と乗員の遺体写真が遺体写真が世界を駆けめぐり、米国の威信を大きく傷つけた

●しかし特殊作戦に当たる者たちは、米軍もともに、反省し改善し前を向き、ひたむきに訓練し批判にも耐えてきた。そして約1ヶ月前、私はホワイトハウスで同じように緊張の午後を迎えていた。ヘリ墜落の知らせに一瞬30年前がよみがえったが、作戦は別の結果を迎えた。大量殺人者は相応しい最後を迎え、世界は米国の軍事力に驚嘆した。国は正義の実現を目にし、政府が困難なことを正しく為し得ることを知った。民主的な文明に成り代わり、最も危険な恐れを知らぬ敵に一撃を与えたのだ。

私を支えてきた思いは・
gatesNavyac3.jpg●今朝この会場を訪れて思い出した。大学の学長から国防長官に着任した当時の思いだ。Texas A&M大学では18-25歳の学生がTシャツや半ズボンで楽しくやっていた。しかし就任後最初に訪れた前線では、全く同じ年代の若者が、防弾チョッキに身を包みライフルを手に、米国民のために命をかけて戦っていた。彼らの何人かは国に戻れないだろうと思い、実際にそうであった。
●以来私は、制服を着て戦う若者を自分の息子や娘として、責任を持って責務を果たすべく毎日を過ごしてきた。君たちが誇りを胸に戦い、安全に帰還することを唯一の願いとして。君たちがこの道を選んでくれたことに忠心より感謝し、最大の敬意を持って君たちのために尽くすことを誓う。
●May you have fair winds and following seas. Congratulations.
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対ビンラディン作戦をゲーツ長官はこのような思いで見ていたんですねぇ・・・。30年の思いを込めて・・。
真の正しいリーダーとしての「自信」と「勇気」と「誠実さ・上品さ」・・いくつになっても大切にしたいです。そうだよな・・真のリーダーの自信とは・・・。

「君たちが誇りを胸に戦い、安全に帰還することを唯一の願いとして・・・」

安全保障感覚の「体幹」を鍛えるために!
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

当時のゲーツ長官関連記事
「暴露ビンラディン作戦」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03
「秘話映像イラン人質作戦準備」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07

士官候補生への講演シリーズ
「空軍士官候補生へ最終講義」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2

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射程160nm?のJDAMをボーイングが提供へ [Joint・統合参謀本部]

推進装置を持つ「Powered JDAM」と呼ぶそうです
米軍の採用は決まっていませんが・・・
巡航ミサイルより安価な長射程兵器を目指し

JDAM-P.jpg2月28日付米空軍協会web記事は、精密誘導兵器JDAM(Joint Direct Attack Munition)に推進装置を装着した「Powered JDAM」を開発中だとのボーイング関係者の話を紹介し、中国等のA2ADに対処する安価な兵器の射程延伸オプションとしてアピールする様子を紹介しています

JDAMとは、普通の500ポンドや2000ポンド自由落下爆弾にGPSやレーザー誘導が可能になる誘導装置と誘導用の羽根(フィン)のキットを取り付け、簡易な精密誘導爆弾にしたものです。

JDAM.jpg従来の高価なTV誘導爆弾や電波ホーミング爆弾と異なり、戦闘爆撃機等から一度投下したらケアする必要がない「打ちっぱなし」が可能で、安価なキット装着で簡単に精密誘導兵器化できることから、これまでに42万発が製造され、日本も導入しているベストセラー兵器(キットです

初期のJDAMは精密誘導用の羽根(フィン)を爆弾尾部に取り付け、攻撃目標に落下するよう、落下位置を数NM程度を微調整する程度でしたが、発展型の「JDAM-ER(Extended Range)」では、自由落下爆弾に追加で小型の翼(Wing)をつけて爆弾を滑空させ、40nm程度の射程距離を得ることが可能になっているようです

そして今開発されている「Powered JDAM」は、滑空用ミニWingに加え、小型の推進エンジンをJDAMキットに加えることで、ちょっとした巡航ミサイル並みの射程160nmも可能なレベルのJDAMシリーズを可能にするものです

開発終了時期や販売開始時期等の予定を記事は紹介していませんが、中国等のA2AD網に対抗するため、少しでも打撃力の射程を安価に延ばしたい米軍や西側諸国にとって、魅力のある兵器となりそうです

28日付米空軍協会web記事によれば
JDAM-P3.jpg●ボーイング関係者は、初期のJDAMにエンジンを装着し、射程距離を20倍にする「Powered JDAM」を開発中だと述べ、500ポンドの弾頭に推進エンジンや小型翼、更に誘導装置をつけても、2000ポンド爆弾程度の大きさに収めて既存攻撃機に搭載可能にすると説明した
●また、「Powered JDAM」製造に必要な各種部品には、既存の兵器で性能や信頼性が確認済みのパーツを使用して開発コストを抑え、巡航ミサイルの代替も可能なレベルの最も安価な精密誘導兵器として位置づけたいとも説明した。

「Powered JDAM」は精密誘導兵器としてだけでなく、敵の防空ミサイルや防空システムを混乱させ飽和させる「おとり:デコイ」としても使用可能で、そのほかにも軍の希望に応じ、「Mark 82自由落下爆弾」の弾頭部分に多様なセンサー、シーカー、データリンク等装備を搭載し、安価な投入兵器として活用可能である
●ボーイング社の販売担当代表は、「Powered JDAM」の狙いは、実証済みのJDAMの能力を生かし、A2ADエリアの外側から攻撃可能な射程距離を提供し、搭載母機の生存性を確保しつつ打撃力を生かすことに貢献することだと説明している
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JDAM-P2.jpgタイトルに使用した「射程160nm?」は、ネット上で「ググッた」中のスライド資料に、「JDAM-ER(Extended Range)」の射程が40nm程度可能で、「Powered JDAM」では160nmと記載があったからで、紹介した記事内に射程距離に関する具体的数値の記述は「JDAMの20倍」以外にありません

記事では、価格的には従来型JDAMよりは当然高いが、巡航ミサイルより安価・・・となっています

地上配備の長距離砲、艦艇搭載兵器の射程延伸など、完成に近づきつつある中国のA2ADに対処するため、米軍は兵器の射程延伸に知恵を絞っています。そんな一つのオプションとして・・・

JDAMなどPGM不足関連
「ソフト遅れでJDAM搭載不可F-35」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-03-1
「米陸軍が対北朝鮮に緊急準備開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-12
「米空軍がJDAMやPGM増産」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-10-24
「空軍長官代理のPGM不足発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-05
「精密誘導爆弾の不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-03
「米国の弾薬を当てにするな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1

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米海軍は5年計画で新型大型艦艇を研究開発設計へ [Joint・統合参謀本部]

老朽イージス艦の後継を検討開始
発電量やスペース確保を重視で船体を新設計
既存のイージスシステム搭載を前提にリスクを低く

LSC3.jpg2月13日付Defense-Newsは、10日に公開された国防省2021年度予算案に、米海軍が5年計画で開始する次期大型艦艇(LSC:large surface combatant)予算約50億円を計上し、2022年以降は3倍の150億円程度を計上する方向であると報じています

この次期大型艦艇LSCは2020年代後半に建造開始を予定するもので、イージスシステムは現有で最新のFlight III Arleigh Burke級のシステムをそのまま活用して開発リスクを下げ、一方で将来艦艇に求められる電子戦能力強化やエネルギー兵器搭載を見据えた発電能力強化や、より大型の攻防ミサイルを搭載するためのスペース確保を狙った新たな船体(Hul)設計に重点を置く研究開発設計を目指す方向にあるようです

大型艦艇の脆弱性が問題視され、中小型の無人艦艇導入を推奨するシンクタンク報告が出る転換点にある水上艦艇部隊ですが、それでも米海軍が2021年度予算から研究開発設計予算を計上開始したようですので、次期大型艦艇(LSC:large surface combatant)の方向性についてご紹介しておきます

13日付Defense-News記事によれば
LSC.jpg●10日に発表された国防省の2021年度予算案から、米海軍が5年計画で次世代「LSC」の「research, testing and design」を開始する事が明らかになった
●予算案の文書には、既に存在する性能が証明済みのイージスシステムを、将来装備搭載のための柔軟性や拡張性を備えた新たに設計する船体に搭載する方向で検討することが示されている

●LSCの研究開発設計には、20201年度に約50億円、次年度は約3倍の145億円、その後は約160億円が投入される予定になっており、既に2019年には、関連企業に情報提供を求めるRFIを発出している
●2021年度要求の約50億円の中には、空母フォードで完成が遅れ批判を浴びている「弾薬運搬エレベータ」を、陸上で事前に試験して艦艇に搭載しても問題がないことを確認する設計試験経費約5.5億円も含まれている

●LCSの全体計画では、2021年中旬に要求性能審査を行い、2025年後半の建造企業の意見も踏まえた設計審査を経て、2020年代後半には1番艦の建造を開始することになっている
●冒頭で触れたように、米海軍はLSC開発リスクを局限するため、Flight III Arleigh Burke級イージス駆逐艦のミサイル探知レーダーや目標情報処理ソフト「Aegis Baseline 10」を、そのまま活用しようと考えている

LSC2.jpg一方で米海軍は、将来の拡張性余地を最大限にした新しい船体設計を念頭に置いており、そこでは拡張性を支えるスペース、重量負荷容量、電力余力が求められることになる
●米海軍は具体的に、多くのより大型で飛翔速度が速く射程が長いミサイル、艦艇の全周をカバー可能なエネルギー防御兵器、電子戦装備、各種センサー、コンピュータシステム等を将来柔軟に増強したいと考えている

●このような米海軍のLSCへのアプローチは、イージスシステムを最初に導入した際、新たな船体を準備するのではなく、まず当時既存のSpruance級駆逐艦を少し改造してにAN/SPY-1レーダー等のシステムを搭載し、イージスシステムの機能動作が安定したことを確認した後にArleigh Burke級建造に着手した手法をまねたものである。
別な言い方をすれば、新たな技術の山盛り導入を試みた結果、開発が長引いて価格が天井知らずとなり、わずか2隻の建造でストップされたZumwalt級ステルス駆逐艦の反省を踏まえたアプローチを採用したともいえる

●元駆逐艦艦長で軍事コンサルタントのBryan McGrath氏は、「少しづつ確認しながら進むイージス艦方式は賢明な選択だ」、「今後の船体に必要な革新は、十分な電力量が確保できることで、電力の分配、管理、整流、貯蔵、冷却は、21世紀中盤以降の艦艇の主要課題になる」、「陸上で艦艇搭載システムを事前に十分確認しておくこともよい方向である」とコメントしている
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LSC4.jpg敵ミサイルの格好の目標となる大型艦艇中心の海軍力整備を改め、平時には有人でグレーゾーン対処にも運用し、有事には無人で運用可能な中小型艦艇を増強すべき・・・とのCSBAのレポートを以前ご紹介しましたが、米海軍としては、無人艦艇を指揮統制し、大型ミサイルの発射母体となる水上アセットが必要だと主張するのかもしれません

レーザー兵器で360度防御するといっても、レーザーの出力が現在の100kw程度から3-400kwに上がっても、超超音速兵器や弾道ミサイルへの対応は難しいとの見解を「空母フォード」関連の記事でご紹介しましたが、2020年代後半までには何らかの目途がついているとの見積もりがあるのかもしれません

いずれにしても、米海軍は厳しい予算編成を迫られています。そんな中、米議会が国防省の予算案に不満を示し、各分野で変更・差し替えを画策しています。いろんな問題点や指摘は別の機会に紹介したいと思いますが、米軍の中で最初に破たんするのは米海軍かもしれません、次に米空軍かな・・・

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次の米空軍トップは太平洋空軍司令官Brown大将 [米空軍]

初めての黒人空軍参謀総長誕生へ
他軍種を含め史上初めての黒人が軍種トップへ
トランプ大統領が推挙し、夏に交代予定

Brown4.jpg2日エスパー国防長官は、トランプ大統領が次の米空軍参謀総長候補者(第22代)として、現在太平洋空軍司令官を務めるCharles Q. Brown空軍大将を米議会に推挙したと発表しました。

米議会でこの人事が承認されれば、米空軍のみならず、陸海空軍と海兵隊の軍人トップに、初めて黒人大将が就任することになります。ちなみに統合参謀本部議長には、パウエル陸軍大将(後の国務長官)が就任したことはありますが・・

Charles Q. Brown空軍大将は1962年生まれの58-59歳で、テキサス工科大学出身のF-16パイロットです。技量優秀な操縦者が務める「Weapons School」司令官を務めたほか、B-1、B-2、B-52爆撃機、C-130など15機種で2500時間近い飛行時間を持つパイロットです

Brown3.jpg2018年7月に太平洋空軍司令官に就任するまでは、アジア経験が中尉時代に韓国KunsanでF-16パイロットとして1.5年、大佐である同基地司令官として1年間のみで、朝鮮半島情勢が不安定な中、太平洋軍や太平洋空軍司令部のあるハワイ勤務経験が無い状態でしたが、現職での2年間で、北朝鮮情勢から中国、更には極東ロシア軍情勢まで、インド・アジア太平洋地域への見識を十分すぎるほど蓄えたと言えましょう

中東地域に関しては十分すぎる経歴で、2011年から2018年7月の間に、、中央軍作戦副部長、中央軍空軍副司令官、中央軍空軍司令官、そして中央軍副司令官と、アフガンから対IS作戦を含め、アラブの春以降の困難な中東情勢を、統合の立場を含めて経験した人物です

更に欧州やアフリカに関しても、イタリアで航空団司令官を務めた後、少将として2014年から欧州&アフリカ米空軍司令部(@ドイツ)で戦略作戦部長を務めており、米軍が直面する難しい作戦地域全てに、それも最近の勤務経験がある他を持って代えがたい人物です

また、空軍大学のACSC(指揮幕僚コース)を優秀成績者として卒業した頭脳明晰な人物で、ワシントンDCでは、大尉として米空軍参謀総長の副官室勤務を、大佐として空軍長官直属の特別検討チーム長を務めた経験を持ち、早くから将来を嘱望されたパイロットであることが伺えます

3日付エアフォースタイムズ記事によれば
Brown5.jpg●エスパー国防長官は推挙発表声明で、「空軍参謀総長の職は、重要で困難なもので、今後中国やロシアなどに対抗する大国間の競争に軍事的シフトを図る複雑さが増すばかりの任務である。Brown大将は、適した才能と経験を持って、米空軍の能力と即応性を研ぎ澄ませ、同盟国等との絆を強固なものにしてくれるだろう」と期待を示している
●Barrett空軍長官は、「米空軍は不屈のCQ Brown大将によって導かれることになる。彼の比類なき戦略眼と作戦運用能力に裏打ちされたリーダーシップにより、米空軍は国家防衛戦略遂行に引き続き集中して取り組んでいく」とコメントしている

●この夏に退役する予定の現在のGoldfein空軍参謀総長は、「米空軍が生み出した最良の空軍戦士の一人である。彼の世界中をカバーする知見、アジア、中東、欧州での経験は、今後の米軍の作戦運用等を考える時、何よりも、誰よりも強力なものとなろう」と表現している

かつてBrown大将を部下に持ったことがあるCarlisle元空軍戦闘コマンド司令官(太平洋空軍司令官も経験)は、「CQとのコールサインのBrown大将は、厳しい仕事を部下に押し付けるたり、他部署に責任を押し付けることは決してしなかった。静かで内気な面も垣間見せる男だが、厳しい決断や困難な仕事から逃げることは決してなかった」、「一方で、本当に必要と思うことには徹底的にこだわり、厳しい予算審議の中でも、周到な準備を基に熱い情熱で議論に臨み、同時に最後に折り合うことにも潔かった」と述べている

Brown2.jpg●またカーライル氏は、「ジムで汗を流すことが好きで、厳しい勤務の中でも疲れた表情を見せない心身ともにたくましい男だが、同時に大変な読書家で、歴史から現代戦略までを広範に読んでおり、彼が人の前で話す内容には含蓄がある」と表現した
●更に部下からの人望の厚さも際立っていると同氏は述べ、「彼の下で働いた多くの兵士が彼の下で働くことに喜びを感じるタイプであり、部下を恐怖で従わせるタイプとは真逆である」とも評している

James元空軍長官は、ペンタゴンでの統合職勤務がないという人もいるが、難しい中東作戦遂行に際し、各軍種のみならず、米議会とのパイプ役としても精力的で信頼のおける働きぶりが印象的で、国防省の外でも評判の良い人材である、と評価している
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下にBrown太平洋空軍司令官関連の過去記事をまとめましたが、対中国正面の西太平洋地域の情勢を、率直に厳しいと公言できる司令官でした。

Brown.jpg中国のA2AD能力の急速な増強を前に「西太平洋の基地防御は困難」と語り、「太平洋戦争時に取り組んだ欺まんで、中国軍をだますことまで考えないとだめだ」と厳しい情勢認識を示し、現在の太平洋空軍アセットが集中するグアムや嘉手納や三沢基地からの戦力分散を訴えて訓練を進めるなど、決してあきらめない姿勢で部隊を引っ張っていた様子が印象的です

太平洋空軍司令官として、航空自衛隊関係者を中心として日本人とのつながりもできたでしょうから、トランプ政権による武器の押し売り圧力の中でも、日米の良好な関係の維持構築に尽力いただくことを祈念しつつ、ご紹介させていただきました

もちろん、トランプ大統領が「黒人票」を狙って「初の黒人・・」を話題にしたとの声も聞かれますが・・・

次の米空軍トップ候補:Charles Q. Brown空軍大将の公式経歴
https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/108485/major-general-charles-q-brown-jr/

Brown太平洋空軍司令官の関連
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「現空軍トップとベトナム訪問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-14
「中露空軍の連携飛行を警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-31
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「南シナ海で中国軍鎮静化?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-28
「燃料と弾薬の備蓄不足を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02-1
「新司令官初海外は日本横田総隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-14
「Brown大将の経歴などご紹介」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19
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米空軍戦闘コマンドが将来戦闘機構想モドキに言及 [米空軍]

「Fighter」でなく「Capabilities」ロードマップと呼ぶとか
戦闘機で実施してきた任務をどう成し遂げていくか
30年後には戦闘機飛行隊の減少を望む

Holmes AFA.jpg2月27日、フロリダ州オーランドで開催中の恒例の米空軍協会航空戦シンポジウムで、戦闘機族のボスである米空軍戦闘コマンド(ACC)司令官Mike Holmes大将が講演し、2018年の秋には取りまとめるはずが未だに形になっていない「fighter roadmap:戦闘機の将来構想」について、現在の戦闘機の役割をどのように受け継いでいくかを示す「capabilities roadmap」になるだろうと述べ、特に対中国正面では従来の戦闘機では任務を果たせない等と語り、同ロードマップの方向性について語りました

同司令官は「capabilities roadmap」がいつ出来上がるのかには言及せず、昨年11月に空軍司令部の戦略計画部長が「次世代の制空については様々なオプションが検討されているが、今後の技術的ブレークスルーを見極めつつ、AIやクライドやソフト開発の動向も踏まえて急がずに検討する」と説明した路線に変更はないようです

急がずに検討する」というのは、分かりやすく言えば、お金がないし優先度が低いから後回しということで、米空軍参謀総長も2月10日の2021年度予算発表前後に、老朽航空機を早期退役させるなど、スクラップ&ビルドで予算をねん出して統合レベルの「連接性」や「ネットワーク化」強化に注力すると述べ、エスパー国防長官も国防予算の方針として「連接強化重視」の議会説明を始めているところです

そんな中でHolmes司令官は、今後の期間を5年ごとに大まかに区切り、F-16の後継を考え始める時期がいつ頃で、その後にNGAD(次世代の制空:Next-Generation Air Dominance)について考える・・・・みたいな形を提示し、のらりくらり感いっぱいですが、それでも「30年後には現在55個ある戦闘機飛行隊を維持しないような方向であることを望む」と語って、変化を受け入れる良い戦闘機パイロットの姿勢をチラリと見せています

27日付米空軍協会web記事によれば
Holmes AFA2.jpg●27日、Mike Holmes米空軍戦闘コマンド司令官は、これまで想定していた「fighter roadmap:戦闘機の将来構想」とのまとめ方ではなく、現在の戦闘機の役割をどのように受け継いでいくかを示す「capabilities roadmap」になるだろうと述べ、現在戦闘機が実施している任務は、戦闘機から、無人機や使い捨て航空機を組み合わせで引き継がれることになるだろうとの考えを示した
●そして同大将は、将来における「戦闘機とは何だ?」との議論をACC内で続けており、現在の戦闘機の役割は、使い捨て航空機(attritable aircraft)や無人機ウイングマンに引き継がれたり、現在とは異なるタイプの有人機が担う可能性もあると述べ、どの戦域で使用されるかによって異なるだろうとも表現した

●更に同司令官は、「徐々に、少しずつではあろうが、今から30年後には、現在の戦闘機飛行隊55個を維持することに拘らない状況になっていることを希望する。その頃までに我々は進歩し、異なった装備が入り込んでくるだろうと考えている」とも表現した
●「capabilities roadmap」については、大まかに5年毎になすべきことを整理すると述べ、ちょうど戦闘機に関する意思決定を自然に行うタイミングと重なるからだと同司令官は説明した

第一段階では退役が進みつつあるF-15Cの後継機導入を進め、これはF-15EXとF-35導入で行うと述べ、第4世代機であるF-15EXを新たに導入することについて同司令官は、「戦闘機部隊全体の平均年齢を下げる必要があるのだ。可能な予算範囲で戦闘機部隊を維持するためだ」と語った
Holmes AFA3.jpg次の第二段階では、今後8年以内に検討する必要がある「pre-block」と呼ばれるF-16の「Block 25 and 30」の後継を決めるタイミングであると語り、「後継機に何を求めるかを定め、予算と獲得可能な能力を吟味することになる」と述べ、「低コストで使い捨て可能な機体や無人機ウイングマンなどなど、我々が今実験しているものを活用する機会でもある」と説明した

第三段階は、まだ飛行可能な「post-Block F-16」と呼ばれる「Block 40s and 50s」を考えるタイミングであり、飛行できるだけでなく、戦いに有用であり続けるために近代化改修を決断すべき時期だと述べ、延命改修を示唆した。本件についてはMateriel Command司令官も、約10年の延命措置検討を示唆している

最後の段階では、ACCとしてNGADを担う将来システムをどうすべきか決定すべきと同大将は語った。そして「今現在の戦闘機に関する考え方は、例えば航続距離、搭載兵器、展開距離などは、欧州線域ではそのまま通用するが、太平洋線域では距離の問題が克服できない」と課題の本質に触れ、「太平洋戦域では、NGAD検討において従来の戦闘機のような装備のニーズは必ずしも生まれないと思う。また距離と搭載量のトレードオフを迫るような機体は求められない可能性がある」と表現した
●同司令官は、空軍省のWill Roper調達担当次官が太平洋戦域向けの「低コスト使い捨て無人機」を検討し、長距離移動作戦の課題克服に取り組んでくれていると述べ、例えばB-21派生型の大型ミサイル搭載機とか、弾薬庫航空機構想なども候補として検討されていると説明した
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Holmes AFA4.jpg米空軍の戦闘機族のボスが、「現在の戦闘機任務は、無人機や使い捨て航空機にとってかわられる(Give way)」との表現や、「30年後には現在の55個戦闘機飛行隊を維持する方向でないことを願う」とか、「異なるタイプの有人航空機が将来のNGADを担う可能性がある」との表現で、全米の、いや世界の空軍関係者を前に語る時代が来ました

ゲーツ国防長官(当時)は2009年1・2月号のフォーリンアフェアーズ誌に「A Balanced Strategy:バランスの取れた戦略」との論文を投稿し、中国やロシアや新興脅威国の台頭を念頭に、「足の短い戦闘機の役割は小さくなる」喝破していましたが、10年以上を経て世界の空軍にも少しづつ浸透してきたということでしょう・・・

「A Balanced Strategyを振り返る」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2011-11-27

中国に近接する日本から、本来は脅威の変化を語る声が最初に上がるべきだと当時思いますが、今になっても我が空軍の戦闘機族に変化が見られないことが残念です

Holmes司令官を見習って、オフィス勤務時はフライトスーツじゃなくて、制服か戦闘服にすることから始めてはどうですか?

「脅威の変化を語らせて下さい」
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
「中国軍事脅威の本質を考えよう」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-12-30

意思決定先延ばしの次期制空機PCA
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

欧州の戦闘機関連話題
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「独の戦闘機選定:F-35除外も核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
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デタラメ結論:F-35のボルト誤用事案はそのまま放置 [亡国のF-35]

100%誤ったボルトでも問題なしと
どの機体にどれだけ誤用があるかも不明なまま
現状不明な機体をどう維持整備していくつもり?

Ulmer.jpg2月27日、ロッキード社のF-35担当Greg Ulmer副社長が記者会見し、F-35の製造現場で強度の異なる2種類のボルトが混同され、設計上使用されるべき箇所で指定された強度の強いボルトが使用されず、安価で強度が低いボルトが使用されていた恐れがあることが昨年11月に発覚した件について、調査分析の結果、全てのボルトが強度が低いボルトでも十分な強度が確保できるとして、製造済みの機体の調査やチェックを行う必要はないと語り、国防省機関の同意も得たと説明しました

F-35には約5万本のボルトが使用されており、大部分がより安価なチタン製(5ドル)ですが、800-1500本(ABC型毎に異なる)は強度の強い高価なインコネル製ボルト(20ドル)を用いる箇所が設計上決められています

Inconel bolt2.jpgしかし外見上2つボルトは見分けが困難で、現場労働者が余ったチタン製ボルトを誤ってインコネル製ボルト箱に戻したりしたことが繰り返され、混同誤用が製造現場で時期不明な過去から行われる事になっていたようです

この混同誤用は、米国テキサスの工場だけでなく、イタリアでも発生していたようですが、現場の管理がしっかりしていた名古屋の三菱重工が運用する工場(FACO)ではなかったことが確認されています。

「唖然:F-35でボルトの混同誤使用発覚」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-31

昨年11月に本件が発覚した以降に製造の機体約20機には誤用がないことが確認されていますが、発覚以前に製造済みの数百機については、今に至るも、どの機体に、どれだけ誤用があるのか把握も出来ていない(把握しようともしていない)状況なのに・・・この結論だそうです。誰が納得するのでしょうか???

27日付米空軍協会web記事によれば
Inconel bolt.jpg●27日、フロリダ州オーランドで開催中の米空軍協会航空戦シンポジウム会場で会見したUlmer副社長は、分析の結果、製造済みの全F-35を対象とする検査が必要となるような飛行安全リスクはなかったと語り、再発防止対策を含めた関連報告レポートを国防省の国防契約管理庁(Defense Contract Management Agency)に提出して了解を得たと説明した
●同副社長は分析について、問題が発覚した時点で関連工場内に存在した製造中も含めた全ての機体をチェックし、ボルト誤使用が多数見つかった機体がほとんどなかったことが明らかになった(Inspectors didn’t find very many aircraft “that had a high percentage of mis-installation)と説明し、

●この調査の結果を基にロッキード社が分析した結果、「仮に100%の誤使用があった場合」でも、設計上必要な機体強度の136%確保できることが明らかになり、100%以上を確保している点で、最悪の場合にも機体の強固さに何も問題がないとの結論に至ったと説明した
●この結果から、ロッキード社は国防省国防契約管理庁に対し、製造初期にまで立ち返って全機体を検査する必要がないと報告し同意を得た、と同副社長は語った

F-35 fuselage2.jpg再発防止策について同副社長は、インコネル製ボルトを特別なナイロン製の袋に入れて管理し、製造現場には必要数のみを配分して必要部位のみに使用され余分なボルトが生じないようすると説明し、併せて現場に2名の監督官を新たに配置して監督を強化すると述べた。また、2種類のボルトの色分けも検討すると説明した
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1機に5万本も使用されているボルトで、しかも外見上見分けが出来ない2種類のボルトを全機体で全数チェックすることは途方もない労力と時間を必要とすることから、また現状のF-35を取り巻く状況から、「問題なし。そのまま使用してOK」との結論しかなかったと邪推します。結果有りきの「出来レース」の匂いがプンプンです

100%の誤使用があった場合、136%の安全性は飛行時間を積み重ねて機体疲労が蓄積しても変わらないのか? 高価なインコネル製ボルトを引き続き使用する理由をどう説明するのか?・・・などなど、報道だけでフォローしているまんぐーすでさえ疑問に思います

機体整備や定期点検の方法にも変更が必要でしょう。不明なボルトが使用されている状態では、人工知能やデータベースを使用しても機体の状態は正確に把握できませんから・・・。

飛行前にパイロットは、機体に問題ないことを確認してサインすると思うのですが、このサインを拒否するパイロットが出てきても不思議ではありません

絶対後に尾を引くF-35の安全問題
「唖然:F-35でボルトの混同誤使用発覚」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-31

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