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初のASEANと米国の海洋演習AUMX開始 [Joint・統合参謀本部]

米+10か国参加の初の試みで中国に対抗姿勢
参加艦艇8隻で寂しい感じもしますが・・・

AUMX3.jpg2日、米国とASEAN10か国の海軍が初めて行う「Asean-US Maritime Exercise (AUMX) 」演習の開始式がタイで行われ、南シナ海を含む参加国周辺海域で5日間の演習が開始されました

「艦艇8隻と航空機4機、1000名以上の参加」とプレスリリースされていますが、参加国数より参加艦艇数が少ない点に突っ込むのは、ASEAN諸国の海軍の実態からすると野暮な話かもしれません・・・・。

南シナ海で中国が埋め立て工事を完了させ、滑走路、格納庫、弾薬庫、情報収集レーダーやアンテナ、防空ミサイルなどを整備&配備し、最近では移動式の電子妨害用車両の配備まで確認される事態となっています

AUMX2.jpgかつてエアシーバトルを打ち出して対中国軍事戦略をリードしていたシンクタンクCSBAは、この中国の迅速な動きを振り返り、「あっという間に既成事実を確立されてしまった」と反省し、第一列島戦上の中国との将来戦では「中国による迅速な既成事実化を防止する」ことを主眼とした海洋プレッシャー戦略」なるものを打ち出したところです

「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13

最近は安価なチューハイに侵されつつあるまんぐーすの頭には、「海洋プレッシャー戦略」の実行可能性があるとは思えないのですが、米国の国家安全保障戦略NSSでも、国家防衛戦略NDSでも重視され、エスパー国防長官やポンペイオ国務長官も最重要課題という中国対処の演習ですので、中身があるようには見えませんが、初のAUMXをご紹介しておきます

1日付military.com記事によれば
AUMX.jpg●1日、タイ海軍のSattahip海軍基地で、米海軍とタイ海軍が共同でリードする初めてのAUMXが開始され、参加国である米国とASEAN10か国(タイ、ベトナム、シンガポール、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、ブルネイ、カンボジア、ラオス、インドネシア)の代表が顔をそろえた
●バンコクにある米国大使館発表によれば、同演習は「東南アジアのnternational waters」で行われ、タイランド湾や南シナ海を経て、最後はシンガポールで終了する計画となっている

●同地域との海軍協力を担当するJoey Tynch米海軍少将は、「AUMXは、ASEANの海洋安全保障能力や海軍間の関係を強化し、自由で開かれたインドアジア太平洋との共通の信念を強固にするものだ」と表現した
●一方で、前週から、演習が開始された時点でも、中国の調査船がベトナム領海で活動しており、米国防省が「インドアジア太平洋地域の国際規範を犯すものだ」と中国を先週非難したところでもある

AUMX.jpg●演習には、(何者かに乗っ取られたと想定する)船舶に乗り込んで、船舶を奪い返して救出する訓練も含まれているが、これにはASEAN参加国全てが加わることになっている
●また同演習に関しては、ロヒンギャ問題で国際的に非難を浴び、米国が制裁を課しているミャンマー海軍まで参加させていることで非難する声もある。
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この記事は、フランスの通信社であるAFPの配信記事を購入したMIlitary.comが転載したものです

2日がレイバーデイの休日だったとはいえ、他の主要な米軍事メディアは、日本時間3日昼現在、この演習を報じていません。

ちょっと厳しい見方かもしれませんが、これが米軍事メディアの「AUMX演習」への評価のような気がします・・・

めっきり減った南シナ海の話題
「次期米軍トップが中国脅威を強調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14-1
「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「アジア安全保障会議2019」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1

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B-2ステルス爆撃機がアイスランドに初展開 [安全保障全般]

「グリーンランド買いたい」への忖度!?
ホット給油だけの一時的な滞在だったようですが
北極圏を巡る争いにプレゼンスを示す意図か

B-2.jpg29日米欧州コマンド空軍が、28日にアイスランド沿岸警備隊基地に1機のB-2ステルス爆撃機が初めて着陸しエンジンを停止しないまま燃料給油を行ったと発表しました

B-2が着陸したのはKeflavik航空基地と呼ばれるアイスランド沿岸警備隊基地で、数十年に渡り米軍機を受け入れてきた実績のある基地の様ですが、日本にも着陸したことのない大型爆撃機B-2をNoエンジンカットとはいえ、受け入れられるとは大したものですす

一方でエンジンを停止しないまま燃料給油は「hot-pit refueling」と呼ばれますが、他の原因も併せ、仮にB-2がトラブルで離陸できなくなったら、特別仕様の格納庫も整備機材も地上支援資材もないアイスランドでB-2を野ざらしにするリスクまで犯して対露プレゼンスを示したということでしょう

米欧州コマンド空軍は発表で・・・
B-2evening.jpg●この飛行の目的は、搭乗員に地域完熟させること、および、世界的な米軍の展開能力を示すことで、地域の同盟国等に米国の地域へのコミットメントをあきらかにすることである、としている
●またB-2爆撃機がアイスランドへ展開することで、ドイツの米空軍基地から同アイスランド沿岸警備隊基地に展開してきていたF-16と合流した、と明らかにした

米軍は2006年まで、アイスランドの同基地に「Naval Air Station Keflavik: 米海軍Keflavik航空基地」を約50年間維持してきたが、米海軍基地撤収後は、NATOが戦力をローテ-ションで派遣してきた
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米国防長官が中国を最優先課題と公言するようになる中、対ロシアの欧州正面もやりくりに苦心しつつ頑張っています。

Putin4.jpgロシアによるハイブリッドな「誘導工作」に対処するサイバー演習や情報戦演習を取り上げがちになっていますが、Baltopとかの実働演習も粛々と行われています

次はバルカン半島があぶないとか、EUにくさびを打ち込む情報戦だとか、氷が急速減少中の北極が・・・など話題には事欠きませんが、ロシアの飽くなき嫌がらせには逆に感心します

「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13

「ドキュメント誘導工作を読む」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1

北極に関する話題
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
「トランプ:空母削って砕氷艦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02

北極圏:米国防省と米軍の動き
「米軍C-17が極地能力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-02
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
「米国防省の北極戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-23-1
「米海軍が北極対応を検討中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-20

ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
「ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26

欧州・北極圏に関連する記事
「NATOが選挙妨害演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「グリーンランドに中国企業進出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「セルビアが危ない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-2
「B-1とB-52欧州展開等」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-24-1
「対露の欧州米軍予算4倍を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「欧州への派遣や訓練を増加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「F-35初海外はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15
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プーチンがトルコ大統領にSu-57Eを売り込み [安全保障全般]

ロシア航空ショー「MAKS-2019」会場で
非公式に2人は1時間以上話したとか・・・
実質、写真しかない報道ですが

Turkey Su-57.jpg27日、ロシアのZhukovsky国際空港で開催されている恒例の航空ショー「MAKS-2019」を訪れたトルコのエルドワン大統領はプーチン大統領に案内されてロシア製ステルス戦闘機(と言われている)SU-57を見学しました

米国やNATO加盟国からの度重なる忠告にもかかわらず、ロシアから高性能地対空ミサイルシステムS-400を輸入したことで米国からF-35計画からの除外され、購入予定だった約100機のF-35に代わる戦闘機が必要になるトルコに対し、ロシアがすかさずトップセールスです

エルドワン大統領は興味津々でSU-57の機体や操縦席をのぞき込み、プーチン大統領に「売ってもらえるんですか?」と尋ねたところ、プーチン大統領はすかさず「もちろん、購入できますよ」と答えたとか・・・

28日付米空軍協会web記事によれば
4世代機SU-35とステルス機SU-57を視察
SU-57.jpg●プーチン大統領に同行してトルコ大統領を案内したロシア関係者は、トルコからの要望があれば2-3年後には両機種ともトルコに提供できると述べ、トルコには単なる貿易パートナーではなく、同盟国扱いで対応すると述べた
ロシア側がステルス機と呼ぶSU-57は、従来のSUシリーズに比してレーダー反射率が多少低く抑えられている程度と西側専門家はみているが、ロシア空軍から第1段階として76機の発注を受けたばかりで運用開始していない

SU-57の輸出用はSU-57Eで、今年春にロシア政府が認可したばかりで、現時点で海外からの発注はない模様である。ロシアからの説明にトルコ側は強い関心を示したと露国営メディアは伝えているが、契約に向けた具体的な話までは進んでいない模様
●SU-57については、当初インドがロシアと共同開発を行っていたが、ロシア側がしつこくインドに更なる資金提供を要求し、逆に技術移転について消極的だったことから、2018年にインドは共同開発中止を発表している

SU-35はSU-27フランカーシリーズ最新型機の第4世代機であり、ロシア空軍に8年前から配備が始まり、現時点で約70機を保有している。中国とインドmo 同機を発注している
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Esper_dunford.jpg ちなみにエスパー国防長官は28日の会見でトルコがF-35計画に復帰するためには、S-400をトルコの倉庫に格納してF-35と並行運用しないようにする程度では不十分で、S-400をトルコ内から除去する必要があると念を押しました

また、トルコとロシア間にはシリア北西部へのロシアが支援するシリア大統領軍の進軍により、非武装地帯である同地域に所在するトルコ軍が脅かされるとの問題があり、トルコ大統領が「シリア軍が対テロとの名目で当地域の民間人も巻き添えにしている」との表現で抗議したが、プーチンは「非武装地帯は軍隊が保護され軍事作戦を開始するエリアではない」とトルコの主張に反論した模様です

「トランプ政権がトルコをF-35計画から除外」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17

米トルコ関係
「トルコの代わりに米で部品製造」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-27
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09
「6月第1週に決断か」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23
「トルコが米国内不統一を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-2
「もしトルコが抜けたら?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-21
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