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露が欧州サイバー攻撃なら米がサイバー反撃も [米国防省高官]

NATO国防相会議に合わせ露をけん制

Hutchson.jpg3日から4日にかけ行われたNATO国防相会議に先立ち、米関係者からロシアをけん制する発言が相次ぎ欧州でロシアへの脅威が深刻に意識されてる事が改めて浮き彫りになりました。

一つは担当国防次官補代理が3日に、「NATO加盟国が攻撃を受けたら、米国は攻防両面で米国のサイバー能力を投入するとマティス国防長官が発表する可能性がある」と発言した件で、もう一つは米国のNATO大使がロシアがINF全廃条約を破って欧州正面に配備している巡航ミサイルを「take out」作戦の発動を示唆するような発言をした件です

実際の国防相会議でのマティス国防相の発言ではなく、その取り巻きが下のレベルでロシアに警告を発し、国防相には直接きわどい発言はさせない「配慮」の様ですが、事態のエスカレートを避けたいマティス長官の姿勢が伺えます

先日ご紹介したように、マティス長官は対中国に関しても、トランプ大統領や副大統領が貿易問題や南シナ海での活動で中国を厳しく非難しても、冷静な対応を強調しているところであり、米メディがホワイトハウスと国防長官の「ずれ」を突っ込んでいるところです

とりあえず、米国からロシアへのコントロールされたと思われる警鐘発言をご紹介しておきます

3日付Fifthdomain記事によれば
Wheelbarger.jpg●3日、米国防省のKatie Wheelbarger国際安保問題担当次官補代理は、NATO国防相会議に先立って同行記者団に対し、ロシアのサイバー作戦が強化されていると危機感を示しつつ、マティス国防長官が会議において、NATO諸国がサイバー攻撃を受けた場合、米国はサイバー防御能力だけでなく、サイバー攻撃能力を提供して対応すると発表するだろうと述べた。
これまでサイバー攻撃使用に慎重だった姿勢からの変化と見られる。NATOは2016年のワルシャワサミットで、加盟国がサイバー空間を戦いのドメインと認識し、加盟国がサイバー攻撃を受けた場合、NATO加盟国の行動を発動すると確認したが、基本的に防御面が主で、サイバー攻撃には慎重だった

●またこのサイバーに関する防御主体の姿勢は、今年7月のNATOサミットでも確認され、加盟国が自主的に対応してネットワークを防御する事に合意していた
●3日にはNATO事務総長のJens Stoltenberg氏も言葉を選びつつも、「サイバードメインにおける攻撃作戦は、強化されたNATO諸国のサイバー防衛の一側面だ」 と発言している

●なお同事務総長は併せて、ISの資金調達やリクルートにおけるネットワーク活用を破砕するため、サイバー能力を活用することが重要だとも述べた

ロシアの条約違反ミサイルを「take out」
Hutchison2.jpg●2日、米国のNATO大使であるKay Bailey Hutchison女史は、NATO国防相会議取材の記者団に対し、米国はロシアが欧州正面に展開しているINF全廃条約違反の長射程巡航ミサイルを「take out」する可能性があると語った
一方で同日遅くになって同大使はツイートで、「私はロシアへの先制攻撃を行う可能性があると発言したのではない。ロシアに対し、INF条約違反状態を改善しないと、米国とNATOも防御のために対抗手段を保有することになると言いたかったのだ。ロシアの条約違反は容認できない」と発信し、若干発言のトーンを後退させた

●同大使は2日別の場所で、「米国は、ロシアによる条約違反のミサイル配備の証拠をつかんでおり、ロシアに提示している」、「マティス国防長官が述べているように米国はINF全廃条約の破棄を望んでおらず、米国が条約を無視することも考えてもいない。ロシアを同条約履行状態に戻す方策をNATOと協議している」とも語っている
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mattis senate2.jpgマティス長官シンパのまんぐーすとしては、マティス長官が軟弱なんではなく、やみくもに世界各所で緊張を高めてもすべてに対応できないのは自明だから、もう少し戦略的に練って、順序立てて、米国内や同盟国との間で共通認識をもって動かないとまずい・・・と考えて慎重な姿勢を貫いていると考えています

報道内容に戻ると、NATOがサイバー「攻撃」にも踏み込んで選択肢を増やす方向にあること、ロシアの条約破り巡航ミサイル配備に対し種々の対応オプションを検討していると言ことでしょう。

ロシアの巡航ミサイル配備については、米軍高官が、発射されたら米国にも欧州諸国にも防御手段はないと断言しているところです

ロシアのINF条約破り
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

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中国海軍艦艇が米軍艦艇に40mまで警告接近 [中国要人・軍事]

状況写真がリークされる別の面での「深刻な」状況も
マティス長官は慎重な姿勢ながら・・・
写真の左側が米海軍艦艇です

South China Sea2.jpg9月30日(日)朝8時30分ごろ、南シナ海の南沙諸島Spratly Islands近くの海域を「航行の自由作戦」の一環で航行していた米海軍ミサイル駆逐艦USS Decaturに対し、中国海軍のLuyang級駆逐艦が進路を妨害するように米艦艇の前方部分に40mまで接近し、米艦艇が衝突を避けるために回避動作を行った模様です

この事案の写真を米海軍は公表していませんでしたが(公開を検討していたかは不明)、webサイト上に両国海軍艦艇が接近している写真が2日に掲載され、米海軍が3日にその写真を本物だと認めました。また米海軍は公式に写真を公開するか検討しているとのことです

最初に写真を掲載したwebサイトは写真の入手先を明らかにしていませんが、1日月曜日に米太平洋海軍報道官は、中国艦艇による「不安全でプロらしくない中国艦艇の行動があった」、「中国海軍艦艇は威嚇的な行動を繰り返し、米艦艇に同エリアから立ち去るよう警告を与えてきた」と事態の発生を伝えていたようです

この件に関し、ホワイトハウスと国防長官に微妙な姿勢の違いが・・

4日付Military.com記事によれば
Pence2.jpg4日ペンス副大統領はタカ派で知られるハドソン研究所で講演し、「中国は全政府機関が一体となって、政治、経済、軍事、更にプロパガンダの手段も用い、米国に対する影響力強化を企てている」と中国の脅威を強調した
●そして、中国の貿易や軍事面でのターゲットはトランプ大統領であり、「米大統領のリーダーシップが機能しているが故に、中国はこれを恐れて異なる米大統領を求めてる」と中国を分析した

●また中国が南シナ海で人工島を設けて軍事基地化している状況にも言及し、「以前よりも積極的に米国に挑戦しようとの姿勢を見せている」と表現し、米海軍艦艇に40mまで危険な接近行動を行った中国艦艇の行為を例示した

●この事案を受けマティス長官は、近く予定していた中国訪問の中止を発表したが、その接近事案の重大性や事態拡大については否定し、沈静化を図る方向を示唆した
●そして2日同行記者団に対し、「両国関係には緊張点があるが、国連総会の場での両国協議で生まれた議論を基礎とすれば、事態が悪化するとは考えていない」と語ってる
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東シナ海上空では、米軍機や航空自衛隊機に対して過激な行動をとる中国軍機や中国軍パイロットがいますが、今回の事案の中国海軍艦長はどのような判断で行動したのでしょうか?

North Korea2.jpg最近は中国軍も統制された行動をしていると言われることが多いですが、どうでしょうか? いずれにしても、偶発的な事態が発生する確率が高まっていることは間違いないのでしょう

マティス長官とホワイトハウスの関係は気になるところです。最後の砦ですから・・・マティス長官は・・

南シナ海を巡る記事
「グレーゾーンでの戦いに備えよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11
「中国の軍事力レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
「日米陸軍がRIMPACで艦艇撃沈」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21
「中国無人艇が群れ行動」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-02

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無人機操縦者の状況改善か? [米空軍]

部隊の半数が若手というアンバランス・・・

MQ-9 4.jpg9月28日付米空軍協会web記事が、約2年前から進められている米空軍無人機操縦者の勤務体制改善計画(CPIP:The Culture and Process Improvement Plan)の成果について、断片的ながら無人機部隊関係者の発言から紹介しています

ただ記事を読んでいくと、通常の航空機運用部隊とは全く異なる作戦運用形態や訓練や人の配置に驚かされることが多く、部隊の改善を実感するというより、やっぱり「異質」な部隊なんだとの思いが強くなります

そこで勤務する人たちの「顔つき」や「部隊の雰囲気」がちょっと想像しにくく、もしかしたら、引きこもりでゲーム漬けの若者の様な兵士が多数存在するような部隊なんではないか・・・などとちょっと失礼な想像もしてしまいます。ちょっと想像しすぎだと思いますが・・・

9月28日付米空軍協会web記事によれば
MQ-9 3.jpg2015年中旬に行われた12の基地で勤務する約3300名を対象とした調査結果に基き、無人機部隊で勤務する兵士たちの士気を改善高揚し、その部隊規模を維持可能な体制で拡大しようとするCPIP計画が作成され実行されてきた
●依然として、増え続ける無人機への任務要求対応することに忙殺され、技量向上訓練や本格紛争への備えが十分行えない状態が改善されたとは言えないが、無人機部隊は少しづつ改善に向かっている

人員不足に関して言えば、CPIP開始後、無人機の操縦者はほぼ充足率100%になってきたが、下士官が配置されるセンサー等操作員のポストは充足率80%程度にとどまっており、これら下士官の継続勤務率を上昇させることが課題となっている
●兵士の継続勤務率向上に関しては、その家族から、兵士の長期海外派遣が多いことや辺鄙な勤務場所が多いことへの不満が示されており、これらへの施策が求められてる

訓練確保に関しては、無人機部隊指揮官は「(中国やロシアなどとの)本格的紛争に際して直面するような脅威下での訓練を充実することで、即応態勢を向上させたい」と語っており、2019年末までにCPIPに沿って初期の成果が出るように取り組んでいる模様である
MQ-4C4.jpg●新たな訓練時間確保手段として部隊指揮官が挙げたのは、MQ-9であれば20時間程度連続飛行する中で、攻撃や偵察を行う地点までの移動時間を訓練に活用する方法の導入である。従来は訓練飛行を別設定し、米本土上空で行っていた訓練を実戦用無人機を使って行うのである。実任務である攻撃や偵察作戦行動に入ったら有資格者が操作を行うが、それ以前や任務終了後の長時間の飛行を訓練に活用する方法である。

●無人機操作員の管理についても、世界中で無人機が活動している中、各地域独自の運用規則や交戦規程等が存在することから、運用者一人が2つの地域の専門資格を持つ管理を行い、ますます複雑化する現場の要請に的確に答えつつ、兵士の能力管理と将来管理に生かしている
1日基準8時間の勤務内では、一つの地域でのみ無人機運用を担当し、複数の地域を1日の中で担当しないことを定めてミスや過度の負担を避けることにしている

無人機部隊は若手士官と下士官で満たされており、約半数が若手兵士で、他の航空機部隊とは全く異なる。少尉が(米本土から)攻撃任務日常的にこなし、中尉になると頻繁に海外派遣を担うことになる。「少尉が日常的に攻撃任務を遂行する点で他部隊とは大きく異なっている」と無人機部隊指揮官は述べている
MQ-X2.jpg若手兵士が日常的に任務経験を積むことは他にはない利点ととらえることができ、地上部隊支援や偵察任務には習熟できるが、対空脅威が大きい環境での経験が詰めないことが大きな課題で、そのために訓練時間確保が重要と指揮官は考えている

●無人機部隊指揮官は、「本格的紛争でも我々は間違いなく作戦を行う。それが作戦初動か、作戦発動直前か、3日後かはわからないが・・・」と表現した
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士官も下士官も若手が半数を占めるアンバランスな部隊とは・・・ちょっと想像できませんが、大丈夫なんでしょうか?

5年後、10年後、部隊がどうなっていくのか、これら若手の今後の人事管理をどう考えているんでしょうか? いつまでも長時間の無人機操作を行わせるわけにはいかず、かといって突然大量のスタッフ業務が発生するわけでもなく・・・

是非米空軍幹部に伺ってみたいものです・・・

米空軍は無人機操縦者に苦しみ中
「無人機要員の削減を検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-25
「RQ-4操縦者の7割が下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13-1
「RQ-4操縦を下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-19
「問題点と処遇改善の方向性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-11

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スイスが戦闘機&SAM選定で国民投票へ!? [安全保障全般]

地方自治では直接民主主義があると聞いていましたが・・・

Swiss air3.jpg9月28日付Defense-Newsは、スイス政府が2020年を目途に、次期戦闘機と防空ミサイルシステムの選定に関しスイス独特の国民投票にかける方向にあると紹介しつつ、過去に国民投票で戦闘機機種選定が否決された過去がある事から、様々な手法が検討されていると報じています

スイスの政治制度がどのようになっているのか承知していませんが、国民投票に掛ける場合、「Air 2030」と呼ばれるスイス国防省作成の航空戦力に関する将来コンセプトと投資総額のみが国民投票の対象となり、具体的な機種の是非を問うつもりはないようです

つまりスイス政府は、大枠コンセプトと予算に関する国民の信任を得た場合、具体的な次期戦闘機と防空ミサイルシステムの選定については「白紙委任」を得られたものと判断して機種を選択するようです。

Swiss air4.jpg国民投票を行うスイスの政治風土は独立心の強いスイス独特のものですが、2014年には22機のSaab Gripen戦闘機購入を国民投票にかけて「否決」された苦い経験がありスイス政府は国民投票の是非も含めて今後広く意見を聞きながら意思決定の手法を選択するようです

9月28日付Defense-News記事によれば
●スイスは、約9000億円でFA-18とF-5戦闘機の後継機と地対空ミサイルシステムの導入を計画しており、「Air 2030」計画として承認を得たいと考えている。なお戦闘機後継が約6600億円規模と言われている

FA-18とF-5戦闘機の後継機候補には、F-35、Dassault Rafale、Saab Gripen E、F/A-18 Super Hornetが挙げられており、30~40機導入を前提とした提案要求を7月に発出してる
Swiss air.jpg地対空ミサイルシステムの候補としては、 米国製Patriot, 仏製Eurosam’s SAMP/T、そしてイスラエル製のDavid’s Slingが上がっており、9月24日に提案要求が各社に発出されている

●現時点では、「Air 2030」計画は主要な政党からの支持を得られそうな雰囲気だが、9月22日まで受け付けていたパブリックコメントには、締め切りが近づくにつれて批判的な意見が増加したことは気がかりである
●また議会内の批判派は、国民投票は批判的な意見が増える傾向にあり、「Air 2030」計画が否決される可能性が高く、そうなればスイス国防政策全体にとって大きな危機となると政府のやり方に批判的である

●更に政党によっては、国民投票を行わず、戦闘機と防空システムを分離して通常の政策と同様に議論して決定すべきとする意見もある
●スイス国防省報道官は、コンセプト案である「Air 2030」計画を国民投票にかけるのが目標であるが、国民投票で否決されるリスクが高くなれば方向を修正する可能性も否定せず、「ベストな解決法を追及するだろう」と話している
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Swiss air2.jpgどういう案件が国民投票を必要とする決まりになっているのか不明ですが、国民投票で予算を確保しておき、評判の良くないF-35を導入しようとの魂胆ではないでしょうか???

米国のF-35売り込み圧力をかわすなら、米国に恐らく批判的なスイス世論を利用し、他機種を候補に国民投票に掛ける作戦が考えられますが、あえて政府内のフリーハンドを確保するため、リスクのある国民投票を狙っているような気がしてなりません
全くの邪推ですが・・・

欧州の戦闘機検討など
「独戦闘機選定に米圧力?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「トルコが抜けたら大変」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24
「伊とイスラエルは」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26
「世界各国で暗雲」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26

「独潜水艦が全艦停止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-22
「美人大臣の増強計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12
「独と蘭が連合部隊創設へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-05

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米空軍がマルチD指揮統制演習を11月に [米空軍]

とても問題意識の高い演習でコンセプト追求!

Saltzman.jpg19日、米空軍が11月5日の週に計画するマルチドメイン指揮統制指揮所演習の担当である准将が講演し、初めの同種演習となる「Doolittle Series」演習について、米空軍協会総会で説明しました。

本演習に関するGoldfein空軍参謀総長のコメントも引用しながらの解説で、宇宙やサイバードメインを強く意識した演習であることが伺えますが、具体的な戦い方や必要技術を検証するのではなく、戦いのコンセプト確立を目的とする大きな視点の演習だそうです

この講演を取り上げたDefense-Newsの記者が、どれだけ関係者の発言を理解しているのか・・・と問いたくなる理解困難な記事ですが、空軍参謀総長が重視しする分野での初めての演習ですから、とりあえずご紹介しておきます

20日付Defense-News記事によれば
AOC3.jpg●演習を担当するChance Saltzman准将は演習の狙いを、将来の指揮統制体制が宇宙やサイバードメインへの拡張を図らねばならないと予期される中、その状況を把握するためだと説明した
●そして、その複雑な様相の中で意思決定や選択をすることは大変トリッキーな任務であること想像され、議員や軍需産業界の皆さんにお伝えするのが難しい状況だと想定している、と同准将は語った

●同准将は、昨年1年間かけて実施した「マルチドメイン指揮統制レビュー」もとに作成した「実施計画」が空軍参謀総長により最近承認されたと紹介し、同計画が3つの柱、「作戦コンセプトの確立」、「先進技術の獲得」、そして「教育訓練」で構成されていると説明した
●「Doolittle Series」演習では、複数のチームが与えられたシナリオ対応にあたり、新旧の指揮統制要領とその組み合わせで取り組みことになっており、その様子から新たな指揮統制コンセプトを探ることになるようだ

Saltzman2.jpg●演習内で想定される問いかけは、「中国が米空軍の衛星に攻撃を仕掛けた際、誰が防御を担当するか?」、「任務遂行に極めて重要な衛星の防御をだれが担当するか?」との単純な問いかけだが、現時点で答えはない
ミサイル防衛や経空脅威に対応する司令官は存在するが、宇宙への意識が薄くても何とかなっている現在では、宇宙の防御を同司令官はほとんど意識してはいないだろう

●将来誕生する宇宙軍司令官と、現在の戦略コマンド司令官役割分担はどうなるか? 協力関係はどうなるか? 地域コマンド司令官との関係はどうする? 相互に支援するのか?・・・等々の問いも残っている
ロッキードやレイセオン社が最近指揮統制関連で、航空作戦センターの将来を意識したC2デモ実験に取り組みんでいることを承知し、力強く感じているが、米空軍は現時点で、製品よりもプロセスを重視している。つまり、よりクリエイティブなアプローチを犠牲にしてるのではないかと懸念している

●同准将は、「具体的にどのセンサーとアセットを結びつけるといったことや、2040年代にどうするとかよりも、思考のプロセスの中で柔軟で機敏でコンセプト変更しながら進む構造を構築することを考えなければならない」と表現した
●また「要求値がないと言うのではない。ユーザーと提供者の間でのやり取りで洗練させていくプロセスの重要性を強調したいのだ」とも述べた

AOC4.jpg●更に「単一の指揮統制装置に解決を求めようとしているのではない。映像分析にAIを導入してマシン学習を活用するとか、データマネジメントとか、移動型の実験室(データリンクやインタフェース付き)とか、状況認識のためのツールとか、意思決定サポートとか。様々な必要技術ついて産業界にアプローチする」とも表現した
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申し訳ありません・・・・
自分で読み返しても「?」が頭の中を飛び交っているのですが、そういう記事なんです。 相当な危機感がある事だけは確かです。

軍需産業界にも要素技術あるかもしれないが、単純に企業の提案を受け入れているようではだめで、シリーズ演習である「Doolittle Series」演習などを重ねて、柔軟にコンセプトを見直しながら詰めていく必要があるとのご意見かと思いました

執筆記者が空軍参謀総長にインタビューした映像4分が記事に添付されていますので、それも併せてご参考に・・・

米空軍のMドメイン指揮統制検討
「指揮統制改革に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09
「3つの取り組み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-18
「宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「空軍に新コンセプト期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「米空軍の重視事項3つ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13

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T-38後継T-Xにボーイング製を選定 [米空軍]

T-X  Boeing2.jpg9月27日、ボーイング社は昨年12月に提案要求書RFPが示され本格化していた米空軍次期練習機の機種選定で、米空軍がボーイングとSaab共同チーム案を採用を決定したと発表しました

米空軍が50年以上使用している420機のT-38後継として、少なくとも351機とシミュレーター46台、最大で475機と120台を導入する大きなプロジェクトですが、米空軍が2.2兆円を予期していたところ、ボーイングチームは1兆円も安い額($9.2 billion)で落札したようです

T-X  Boeing3.jpgこの機種選定には、RFP発出直後に撤退を決めた「Northrop Grumman/ BAE」チームや「Raytheon, Leonardo and CAE」チームのほか、最後まで戦った「ボーイングとSaab」チーム、「Lockheed Martinと韓国KAI」チームのT-50練習機改良型、そして詳細は不明だが「Sierra NevadaとトルコのTAI」チームが参戦したいましたが、ボーイングチームのみがベース機の無い新型機を提案していました

最後の3チームの中では、ボーイング案が最も有利とみられていましたが、最近ボーイングは、初の艦載無人給油機MQ-25Aや米空軍ICBMサイト警備監視ヘリUH-1後継機も落札しており、低価格で他社を蹴散らすその猛烈な営業姿勢が注目されています。

特にUH-1N後継機では、米空軍が約4500億円を予期していたところ、約2500億円で落札したと発表されており、米空軍は競争入札の効果だと自画自賛しているところです

27日付Defense-News記事によれば
●米空軍の提案要求書によれば、ボーイング社らは、2023年に最初のシミュレーターを納入し、2024年末までに初期運用体制を確立することを求められている
T-X compe.jpg●ボーイングチームは、当該機体のベースとなる機体はないが、最新の信頼できる技術やF-16で運用実績がある脚を使用することで開発リスクは十分低減できると自信を持っている

●また、訓練生が搭乗する前席の様子を後席の教官が目で確認できる構造のコックピットになることや、維持整備費が削減できることをアピールしている
●ボーイングは、F-15やFA-18を製造しているセントルイスの工場でT-Xを製造する予定だが、仮にT-X契約を獲得できなければ、同社は小型機ビジネスから撤退し、同工場も閉鎖する方向だった

●27日、米空軍のWill Roper調達担当次官等は、あくまでも約1兆円の総経費は全てのオプションを米空軍が行使した場合だと説明し、当初2つの生産ロットは経費インセンティブ付きの契約となるが、それ以降のロットは基本的に固定経費契約にする計画だと説明した
●また、同次官らは、敗れた企業が選定結果に不服を申し立てることがないよう、選定作業開始時から意思疎通を図ってきたと力説した
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TX-Boeing.jpg依然もご紹介したように、T-Xは米空軍が取り組む調達改革の試金石とも言える調達事業です。

米空軍が掲げる「早い段階からの企業との情報共有」、「コストと性能のトレードオフを精査」等々の指針に沿い、通常より1年近く余裕をもって2015年3月に要求性能案が公開され、企業とじっくり検討した後に提案要求書(RFP)が決定、昨年12月30日に発出されたところです。

とりあえず、GAOに対する選定に対する不服申し立てがないことを祈念いたします・・・

ボーイングチームは、F-35導入国を中心とした諸外国にも高等練習機としてT-Xを売り込みたい(売り込める)と考えており、強気の価格で応札したと考えられています。

現在ボーイングは米空軍の次期空中給油機KC-46A(固定価格契約)で、3300億円以上の自社持ち出し状態にあるのですが、その強気の背景が単に企業規模なのか、どこかで挽回するのか気になるになるところです・・・

T-X関連の記事
「T-X選定から候補が続々脱落」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-02
「T-X提案要求書発出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-01
「ボーイングがT-X候補発表」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-16
「T-X要求性能の概要発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-23-1
「シミュレーターが重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-21

タグ:t-x T-38 Boeing
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米軍F-35が実戦に初参戦 [亡国のF-35]

海兵隊F-35Bが強襲揚陸艦からアフガン地上目標を
岩国配備のF-35Bが初実戦投入を担いました(たぶん)

F-35 3-type.jpg9月27日、米中央軍海軍は、中東に展開中の公海上の強襲揚陸艦Essexから発進した米海兵隊のF-35Bがアフガニスタン内の地上部隊を支援するため障害除去作戦を行い、作戦は成功したようだと声明を出しました。この作戦は現地27日朝行われ、米軍F-35による初の実戦投入になりました

初実戦投入されたF-35Bは、第13海兵派遣群の第211海兵戦闘飛行隊に所属し、日本の岩国に展開していたF-35Bが実戦投入されたということでしょう

米海兵隊のF-35Bは、2015年に空軍や海軍のF-35に先だって初期運用態勢IOC確立を宣言していましたが、3年を経過して初の実戦投入となりました。
ちなみに世界初のF-35実戦投入は、今年5月のイスラエル空軍F-35で、恐らくシリア領内の2つの目標攻撃に成功したと発表があったところです

なお、米空軍のF-35は2016年夏に初期運用体制IOC確立を宣言していますが実戦投入はまだで、米海軍のF-35Cは2019年2月にIOC体制確立を予定している段階です

27日付Militarytimes記事によれば
F-35B-2.jpg●27日午後、米中央軍海軍は、同日午前、地上部隊を支援するためアフガン国内の固定目標をF-35Bで攻撃したと発表した。同機は公海上を航行中の強襲揚陸艦Essexから発進した
●Scott Stearney中央軍海軍司令官(中将)は、「F-35Bは地域における揚陸艦や空戦能力を格段に向上させ、作戦運用の柔軟性や戦術的優位を提供してくれる」、「Essex即応グループの一翼を担い、公海上から地上作戦を支援し、地域の安定と安全を確保する海上優勢確保を可能としている」と語った

●また第13海兵派遣群のChandler Nelms司令官(大佐)は、「F-35Bの初実戦投入を実現する機会を得たが、これは海兵派遣群のアセットが戦域に投入できる能力を同盟国等に示す機会である」と表現した
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F-35B 3rd-test.jpgほとんど対空脅威がないアフガニスタンで、地上の固定目標を攻撃して成功したという初任務ですが、無人機MQ-9でも、アフガン空軍のプロペラ攻撃機でも可能な任務だったかもしれません

しかし海上の艦艇から発進し、もし艦艇に帰投していたなら、それはそれで立派な第一歩と言えましょう・・・

岩国配備の米海兵隊F-35B
「海兵隊F-35は岩国の次に中東へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03-1
「岩国配属F-35Bがホット給油&給弾訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-18-1

タグ:Essex F-35B 岩国
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