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真珠湾の戦艦アリゾナ記念碑が無期限閉鎖 [ふと考えること]

あの真珠湾の慰霊施設が無期限の閉鎖

Arizona Memorial2.jpg5月31日付Defense-Newsによれば、ハワイ真珠湾に設けられた真珠湾攻撃をしのぶ慰霊施設「戦艦アリゾナメモリアル」に亀裂が見つかったことから、訪問客の安全に配慮して対策が完了するまで施設が閉鎖されました

同メモリアル(USS Arizona Memorial)は、日本の帝国海軍による真珠湾奇襲攻撃で撃沈された戦艦アリゾナが沈んでいる場所の海上に設置され、沿岸からボートで移動した訪問者が同施設から海面下に沈んだ戦艦の姿を伺うことが出来る施設で、犠牲になった兵士の慰霊碑も設けられています

今も沈んだ同戦艦から浮き上がってくる油が確認でき、歴史を生々しく感じることが出来る施設ですが、同メモリアルに向かう岸辺のボート乗り場近くに設けられた資料館では、真珠湾攻撃に至った日米の歴史や太平洋戦争の推移が関連の品と共に展示されています。

オバマ大統領と安倍首相の歴史的訪問地にもなった資料館ですが、その展示の開戦に至る経緯の解説ぶりは日米双方に中立で、米側があまりにも厳しい要求を突き付けて日本を開戦に追い込んだ様子にもきちんと触れています。

10年ほど前にまんぐーすが訪れた際も、ボート乗り場は長蛇の列となっており、講和条約が署名された戦艦ミズーリと共に、今も多くの内外の観光客や慰霊者が途切れることのない施設です。そんな施設を襲った突然の・・・

5月31日付Defense-News記事によれば
Arizona Memorial.jpg5月6日、いつものように慰霊訪問者を乗せたボートが沖合の「戦艦アリゾナメモリアル」に近づいたとき、ボート乗務員の一人が同メモリアルの外部に亀裂を発見した
●乗員たちが応急措置を施し、当該ボートの訪問客は施設への上陸を許されたが、その措置の数時間後に再び亀裂が現れ、自他が深刻な状況にあることが明らかになった

●確認の結果、訪問者がボートを乗り降りする桟橋と同メモリアルのつなぎ目に、複数の亀裂が見つかった。
●さらに内部の構造部位まで調べてみると、同メモリアルの構造材が桟橋を十分に支えていないことが明らかになった

●建築の専門家が対策を検討しているが、現時点では、どのような対策が必要で、どのくらいの期間がかかるかは判明していない
●同メモリアルを管理する担当者は、可能な限り早急に同メモリアルを再開したいと語っている。
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Arizona Memorial3.jpg岸辺の資料館は影響なく開館しているようですが、海上に浮かぶような「戦艦アリゾナメモリアル」に到達できないとなれば、なんとも不完全燃焼感が残るため、訪問者は激減していると思われます

同メモリアルが建設されたのは1962年で、55年以上の時の流れを感じさせますが、毎年100万人以上の人々が訪れている施設ですので、是非早期再開を期待したいものです

また、あの資料館の開戦経緯の解説資料は、ぜひ日本でも活用して頂きたいものです。

「安倍オバマ真珠湾訪問」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28

日系人と442連隊
「イノウエ議員と442連隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-19
「映画公開と442部隊の魂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-03
「米軍トップが最敬礼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-04
「空軍輸送機にイノウエ議員の名を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-2

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米空軍がオンラインゲームで人材確保へ [米空軍]

オンラインゲームに参加した高校生の能力や性格を分析し、期待できる生徒に軍加入を持ちかける際どい作戦計画

Kwast3.jpg5月24日、米空軍の教育訓練コマンド司令官のSteven Kwast中将がDCで記者団に対し高校生が遊べるオンラインゲームを提供し、そのプレーぶりから高校生の能力や適性を分析し、優秀な生徒には軍入隊やボーナスや有名大学派遣のチャンスを提供したいと語りました

ゲームを行う高校生は匿名でゲームを行うことが可能で、米空軍はネット上の「IPアドレス」等の情報を頼りに、名前や素性がはっきりしない相手にお誘いのメール等を送ることになるようです。

高校生の能力を把握するためのゲーム開発は現在進行中で、夏には一案が完成するようですが、米空軍教育現場に蓄積された能力見極めや将来に能力進展につながる性格特質のデータが活用されるようです

「再び子供を戦場に送るな」のスローガンで全てが門前払いされるが日本では、とても実現しそうもない計画ですが、米国でも匿名でプレーできることでプライバシー保護等の問題を突破しようとしているようです。

5月25日付Military.com記事によれば
Kwast.jpg米空軍が将来の空軍兵士を見つけるため、オンラインゲームを活用しようとしており、教育訓練コマンドのSteven Kwast司令官は、「既存の技術であるインターネットやビッグデータ技術を活用する戦略だ」と説明した。空軍は既にゲーム開発のデータ収集を開始してる。
●「航空機を操縦することに興味を持った少年がいて、素晴らしい才能を持った高校生が居れば、IPアドレスにメッセージを送付し、少年に素晴らしい才能の持ち主だと伝えるつもりだ」と同司令官は語った

●そしてその少年に、「米空軍に入れば1千万円のボーナスを出すとか、ハーバード大学に無料で派遣するとかのオファーを出すことも考えられる」とまで言及した
最初のオンオンラインゲーム案は夏に出来上がり、試行プレイが可能になると予定を説明した司令官はまた、「幾つかのゲームのを提供することで、米空軍はプレイする高校生の能力を様々な角度から測定することが可能となる」と語った

●更に同中将は「プレイヤーが協調性がある者か、嘘つきか、プレッシャーに強いタイプか、困難を克服するタイプかを見極められる」、「プレーヤーの能力、知識、性格、特性などに関する情報をゲームは提供してくれる」と説明した
●そして「生徒の名前は必要ない。IPアドレス保有者がヘリ操縦者能力やF-35操縦に優れている事がわかればよい。採用活動をスタートできれば良い。空軍の要求にマッチする能力と熱意とタレントを見つけたいのだ」と述べた

Kwast2.jpgゲーム作成に当たっては、パイロット養成を効率化・早期化するための現場のデータ分析結果や新技術が活用されている。シュミレーション技術やAI技術もその一つである
●また、操縦者の中には、教官から説明を受けるより、自身で集中してテキストを読み込んだ方が習熟が早い者もおり、このような特性見極めも教育上重要なのだ。対象は操縦者の採用だけではない。整備員等の職域も対象である
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このオンラインゲームで分析できる能力には、サイバーや宇宙や対テロなど、新たなドメインに必要な人材を確保するのにも役立てられるのでしょう

しかし、それにしても・・・きわどい作戦ですねぇ・・・。日本でもやってみたいものです。他人ごとではないですからねぇ・・・

米空軍が必死な人材確保策
「再雇用枠を大幅拡大」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-25
「下士官パイロットの役割拡大は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3

「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10
「世も末:幕僚勤務無し管理検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-20

「トップが操縦者不足と軽攻撃機を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-17
「18年ぶり飛行手当増額」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-28
「戦闘機パイロット2割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22

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映像:中国製無人ボート56隻が南シナ海で群れ行動 [中国要人・軍事]

U-boat.jpg5月31日付Global Times(環球時報)Twitterが、中国企業が製造した無人小型ボート56隻を南シナ海に浮かべ、「群れ」として行動演技させる映像を公開しました‏。

Global Timesは中国国営メディアの英字紙であり、中国企業が南シナ海で勝手に派手なプロモーション映像を撮影できるはずもなく、5月28日の「RIMPACに中国招待せず」決定以降の米中緊張の中での中国側アピールでしょう

無人小型ボートは全長1m以下程度ですが、上空から撮影された約1分半映像は、隊列を自在に変化させ、文字を描くなど高度な「群れ」行動が可能な技術を誇示しています

(画面でなく、白い部分をクリック!)


映像の最後は「群れ」に空母甲板を描かせ、無人大型ボートが艦載機を模して離陸する様子をシュミレーションする場面ですが、米空母への脅しでしょうか???

それにしても、あっという間に「無人機の群れ」技術は世界に拡散しているようです。
単純な模型無人機でも無人ボートでも、50機以上から同時に攻撃されたら完全な防御は不可能です。恐ろしい時代になりました

無人機の群れ関連の記事
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26 
「3軍の士官学校が群れ対決」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-26
「国防省幹部:米空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1

「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
「米空軍が小型無人機20年計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-18


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中国の空母艦載機が初の夜間離発着訓練 [中国要人・軍事]

1週間以上前の話です。恐縮ですが・・・
同じ映像の繰り返し感はありますが・・・

j15-5.jpg5月25日中国国営メディアは、中国空母の1番艦である「遼寧」艦載機が、初の夜間離発着訓練を空母甲板で行ったと報じ、映像も公開された模様です。

中国空母はカタパルトを保有せず、艦載機がスキージャンプ方式で離陸する必要があることから、離陸時の機体重量が制限されて兵器や燃料搭載量が限定され戦力としては「それほどではない」との認識に変わりはないものの、その着実な努力から目をそむけるわけにはいきません

特に夜間の着艦は極めて難しい技術であり、米海軍部隊もパイロットの技量維持に心血を注いでいます。

例えば空母が入港している間は、夜間の離発着訓練を地上基地で行う必要がありますが、夜間の訓練は基地周辺住への騒音負担が大いことから、日本ではわざわざ硫黄島にまで展開して夜間離発着訓練を行っている状況です

公開された映像(繰り返しの怪しげな映像ですが)


トム・クランシーの小説に以下のような記述が合った記憶があります・・・「夜間に空母へ着陸する戦闘機の後席に従軍記者を乗せたことがあるが、着艦後にその記者は「これは拷問に使える」と真剣に話していた。そして記者仲間で嫌われ者の○○に次の搭乗チャンスを回してやろうと真剣につぶやいていた」

5月29日付Defense-News記事によれば
●中国国営メディアは、夜間の着艦が昼間と比べてはるかに難しいことを強調し、着艦訓練を行った部隊をたたえ、空母部隊の戦闘能力の大きな飛躍を示すものだと報じた
24日遅くに公開された映像によれば、艦載機のJ-15戦闘機が暗闇の中で、空母からの離陸と着艦訓練が行われており、戦闘機エンジンから噴き出す炎が鮮やかに浮き上がっていた

J15-1.jpg5月に中国は、中国で建造した空母2番艦が、5日間の海上試験を行ったと発表しており、立て続けに空母戦力の充実をアピールしている
中国政府は空母について、中国の沿岸地域と貿易ルート防衛のために必要だと説明しているが、台湾や南シナ海に対する勢力誇示のために役立てるだろうとみられている
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北朝鮮騒ぎの陰で、中国の着実な歩みは続いています。

そして既成事実が蓄積されるにつれ、過去の説明ぶりはどこへやら、南シナ海の島々の軍事化は行わないと言っておきながら、今や自国領土を防衛してどこが悪いといい始め、中国よりもはるかに巨大な戦力を展開している米国には文句を言わせない・・・泥棒に窃盗が悪いと説教されたくない・・・といわれる始末です

恐るべし中国・・・

関連の記事
「空母遼寧が香港に堂々入港」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-09
「画期的空母推進装置を開発!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-11
「西沙諸島でH-6Kが」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-1

「南シナ海埋め立て完了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17
「アジア安全保障会議2018」[→]http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-2
「RIMPACに中国招待せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-24

タグ:NLP 夜間 遼寧 J-15
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第17回アジア安全保障会議(2018年シャングリラダイアログ)特集 [安全保障全般]

最終追記は会議を振り返るIISSのまとめ映像

剛腕商人であるIISS理事長チャップマン氏が第17回アジア安全保障会議を振り返り、約2分間でまとめた映像

小野寺防衛大臣が「圧力の継続」を訴える一方で
韓国国防大臣が「変化を見極める猶予」を主張する温度差を取り上げ紹介

映像です(画面でなく、白い部分をクリック!)



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追記第4弾はドイツ女性国防相
テロ対策のパネルに登壇:プレゼンが秀逸と話題に!

Ursula von der Leyen独国防相は
2018-11.jpg●(難民政策を巡り対立が深まり、)Brexitを招いた現在の欧州は、テロの増加と難民を巡る各種の危機感から、もはや以前の欧州ではない
欧州はアジアにとって、長らく貿易と経済パートナーと見なされてきたかもしれないが、今や安全保障や国防面において真のパートナーとなっている

ネットワークを構成しているテロ組織に対抗するには、ネットワークで対応しなければならない。またハイブリッドな手法で襲ってくるテロに対しては、ハイブリッドな対応が必要とされている
●具体的には以下の5つを重視で対応
1. It takes a network to fight a network
2. Win the battle of attention, focusing on young people
3. Strengthen fragile states & regions
4. Disrupt comms & finance channels
5. Deal with the return of fighters

●女性活用の重要性
D&G3.jpg1. A need for diversed military forces
2. Pushing forward more civil-military activities to elevate the livelihood of families freed from terrorists
3. Provide education, 特に young women

ドイツは欧州の中でも特に、米国から国防費を増やせと強く迫られていますが、足元が強固なドイツですから、頑張っていただきたいものです。

ドイツの厳しい立場
「独に米圧力と機種選定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「独潜水艦が稼働ゼロに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-22

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追記第3弾は中国代表の発言
(軍事科学院副代表 He Lei陸軍中将)

2018-10.jpgマティス国防長官の講演と質疑終了後に、会場外のロビーで記者団に対し

→「南シナ海で真の軍事化を推進しているのは、航行の自由作戦を強行する自らの姿を偽り、中国を指さして非難する国だ」

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追記第2弾はマティス国防長官

2018-8.jpg講演は約17分と短めでしたが、質疑応答に45分も対応する丁寧な対応でした。
北朝鮮問題に対しては言及が僅かで、完全で検証可能で非可逆的な朝鮮半島の非核化が狙いであり、関係国と緊密にやっていくと述べるにとどめ、質問も日本の日経記者から程度で少なく講演の大半は中国に対する厳しい姿勢を示すものでした

2015年に習主席は「南シナ海を軍事化しない」と言っていたのに、現実は異なる。だから米国政府は判断を見直し、RIMPACへの中国の招待を止めたと明言しています。

全般からマティス長官の地域への深い理解が伺え、幅広い国からの多様な質問に、落ち着いてスラスラと含蓄深く答える様子は、時に会場から拍手が巻き起こるほどで米国への信頼感アップに大きく貢献した約1時間強の持ち時間でした

映像:13分30秒からマティス氏語る
(画面をクリックすると別画面で再生されます!)


マティス国防長官講演のトランスクリプト
https://www.defense.gov/News/Transcripts/Transcript-View/Article/1538599/remarks-by-secretary-mattis-at-plenary-session-of-the-2018-shangri-la-dialogue/

慶応・神保謙教授のツイートも借用し同長官講演を紹介

講演と質疑応答をまとめて紹介しています
SLDは「自由で開かれたインド太平洋」を語るにもっともふさわしい場所今年は米国の全政府的なインド太平洋政策を語るためにここにいる
●NSSに示された「原則に基づくリアリズム」により、同盟関係の重要性を強調し、ASEANのVitalな中心性を尊重し、既存の地域メカニズムに関与する。

2018-7.jpg●インド太平洋戦略は安全保障、経済にまたがる包括的戦略。地域内の「共有された原則」に基づき、自由な秩序とfree, fair and reciprocal tradeをすすめる。
●インド太平洋戦略の柱は海洋戦略とSLOCの安定、相互運用性(inter-operability)・域内の防衛協力の強化・キャパビル、民間投資とインフラ投資・コネクティビティ強化

韓国や日本との同盟を近代化し、21世紀の課題に対応できるよう同盟の変革に焦点を当て取り組む
台湾関係法に基づき、台湾の国防能力を十分なレベルに維持するための支援を継続する。台湾海峡を挟んだ両国民の意思が尊重される。一方的な現状変更に反対する

●東南アジアではフィリピン・タイとの伝統的同盟関係、シンガポールとの戦略的関係の他に、新たなパートナーとの協力を進める。ASEANの中心性を尊重するが、原則に沿った形でより「ワンボイス」となれば威嚇から自由になれる。
オセアニア諸国との関係は、共通の利害だけでなく、共通の価値観に支えられている。豪はこち氏100周年を祝う強固な同盟国の一つであり、NZとの同盟の再活性化に取り組んでいる

●インドとは世界最大に民主主義国同士として関係を強化している。特にインドのアフガンへの貢献を高く評価する
●また恒久的な利害を共有する英国、フランス、カナダとの関係も強化を図っている

中国の南シナ海での行動、南シナ海の島に対艦&対空ミサイル、電子妨害装置、大型爆撃機を展開させる等、は我々の原則に反しており中国の中長期的な目的に疑念を抱かせる。 ●2015年に習近平が約束した「軍事化をしない」という発言と矛盾している。

2018-9.jpg2ヶ月前であれば中国との協調関係を語ることができたが、米国は中国への対応を見直し、RIMPAC2018への中国の招待を止めた

米国は中国との建設的で結果重視の関係を目指している。いずれの国も米国と中国を選択することを望んでいない中国がこの地域の長期的な平和と安定を望むのであれば我々は中国を支援する用意があるマ長官は求めに応じて訪中する予定

●繰り返すが、米国はインドアジア太平洋に関与し続ける地域諸国が安全保障で依存する関係でなく、パートナーシップを提供する
トランプ大統領がダヤン(Da Nang)で述べたように諸国のどの国にも主権や知的財産の放棄を求めたりしない。また米国は支配を求めたりしない。共通の原則の下に、平和と安全と繁栄を共に創造することができると考えている

その他主要な質疑
Q 米朝首脳会談で平和協定と在韓米軍の削減は議論されるのか
A. (マティス長官)米朝交渉と在韓米軍の問題は切り離されているし、米朝間の議論とはならない(not on the table)。←神保教授「以前とずいぶんトーンが違う

Q 南シナ海での米比相互防衛条約の適用を確認する
A 特定のケースを白黒で判断することは、外交による解決の幅を狭める。米比同盟の重要性を確認することこそが大事、←神保教授「成熟した見識だと思う」

神保教授の全般印象
●マティス長官のスピーチ、質疑応答の安定感や成熟性は昨年(不安定で中身に欠けていた)とは比べ物にならない(ほど充実していた)
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追記第1弾

2018-4.jpg1日の夜、インド首相の基調講演「インド太平洋演説」で、第17回アジア安全保障会議は開幕しました。

ただ、Modi印首相の演説は、慶応大学の神保謙教授のTwitterによると
ワードカウントすると「中国」は4回、「米国」は2回、「オーストラリア」にいたっては1回しか出てこない。Quad志向でもなければ対中牽制でもない演説だった
とのことなので、中身は省略いたします

講演映像や原稿はこちらに
https://www.iiss.org/en/events/shangri-la-dialogue/resources

参加者ですが、神保謙教授によれば、550名程度とめちゃくちゃ盛況なようです。
欧州からは、ドイツ美人女性国防相の姿が見えますが、他の欧州諸国は軍人派遣の様です

中国は最近の傾向通り、今年も軍事科学院の副校長(陸軍中将)ですが、偉そうにシンガポール首相とか韓国国防相と会談しています。
2018-1.jpg2018-2.jpg








2018-5.jpg2018-3.jpg
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さぁ、今年はマティス国防長官が中身のある講演をするか?
気力があれば、追記していきます・・・
くそ野党が、小野寺防衛大臣の本会議への出席を阻止しようとしているとか・・・国賊ですね!!!

IISS Shang.jpg6月1日夕刻から3日午後まで、今年も恒例の第17回アジア安全保障会議(2017年シャングリラダイアログ:Shangri-La Dialogue)が、シンガポールのシャングリラホテルで開催されます
会議の開始は1日(金)の夕食会からで、基調講演をインド首相が行いますが、1日(金)は昼頃から、各国大臣クラスによる「バイ会談」が複数セットされるのが通例です。

特に近年は、日米韓の3か国国防省会同が開催されることが通例で、北朝鮮対応のすり合わせが期待されます

同会議は、英国の民間研究機関IISSが主催する非公式の会議ですが、アジア太平洋のほぼ全てと、欧州主要国の国防大臣が一堂に会する点で、「アジア最大の安全保障イベント」と考えられています。

IISS shang3.jpg国家間の公式行事ではないある種の気軽さと、文民高官から軍人トップクラスが一堂に会すことから、また各講演やパネル討議の後に、一般参加者から質問を受けることから、米国防長官に中国軍人が辛辣な質問を浴びせたり、といった場面も見られます

日本はここ最近防衛大臣が参加しており、2016年は安倍首相が基調講演を行って中国に対する毅然とした態度でアジア諸国から高く評価されました。

警備上の配慮か、各国の参加者は直前まで明らかにされませんがマティス国防長官が2日(土)の朝8時30分から1時間、実質討議のトップバッターを務めることは発表されています。

最近の中国代表は、海外担当の中国軍副参謀総長(大将)が多いのですが、昨年2017年は南シナ海埋め立ての件で矢面に立たされることが明白であったためか、軍事科学大学の副学長(中将)にレベルダウンしました

シャングリラ会同のアジェンダ
https://www.iiss.org/en/events/shangri-la-dialogue/agenda
(各国の登壇者名がアップされました。上記予想通り)

メインイベントはマティス長官の講演と質疑ですが、昨年は冒頭に「今回は地域の声に耳を傾けに来た」と実質的にトランプ政権のアジア政策について何も語らず、大いに落胆させられましたが、今年は北朝鮮問題のほか、RIMPACに中国を招待しないと宣言するなど、触れざるを得ない話題があり、対応が注目されます

H-6K Woody.jpgついに中国が南シナ海の人口島の埋め立て工事を完了し、今は情報収集センサー、防空及び対艦ミサイル、航空機格納庫、燃料タンク、弾薬庫などなどの施設を着実に整備しつつあり、先日は西沙諸島Woody島に大型爆撃機H-6Kが離発着する映像を公開するなど、やりたい放題状態にある中、北朝鮮だけでなく対中国の姿勢が大いに注目されます

「RIMPACに中国招待せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-24
「西沙諸島でH-6Kが」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-1
「南シナ海埋め立て完了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17

マティス長官講演の次の9時半から11時までのセッション、「北朝鮮情勢の緊張緩和」への出席者も注目されます。韓国国防相や中国代表も想定できますし、北朝鮮の立場を誰が語るのかも注目です。

2日(土)の午後からは、複数のセッションが同時進行で進められ、昨年は日本の外務事務次官や統合幕僚幹部の統幕副長などもパネリストとして登壇しています。

スポンサー企業は8社体制に
2018 Shanglira.jpg●スポンサー企業は、2014年の10社から中華系のメディア資本2社(鳳凰網とフェニックスTV)が撤退し、2015年には8社に。
●2016年は米空軍の次期爆撃機を受注して活き上がる「Northrop Grumman」が加わり9社体制

●しかし2017年は、「Northrop Grumman」と継続してスポンサーだった「三菱商事」が撤退して7社体制に。結果として、日本からは「朝日新聞社」だけがスポンサーに
2018年は、新たに「Booz/Allen/Hamilton」がスポンサーに加わり、8社体制

IISSの関連webサイト
https://www.iiss.org/en/events/shangri-la-dialogue

シャングリラ会合の過去記事
「2017年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01-3
「2016年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-30
「2015年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-28
「2014年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27
「2013年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-31
「2012年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25
「2011年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「2010年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
2018-2.jpg
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