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中国が世界初のレールガン搭載艦 [中国要人・軍事]

RailGun.jpg1日からSNS上で、レイルガンを搭載した世界初の艦艇である中国海軍揚陸艦「黄山」の最新写真が出回っています。

米海軍もレールガンの開発に取り組んでおり、2017年中旬に米海軍研究所が12秒間隔で2発のガン発射に成功し、今年艦艇への適合に向けた試験を開始するとしていますが、中国軍は既に搭載を終え、少なくとも1回は航海に出たようです

レールガンの特徴は、弾頭(金属球や金属槍)を強力な磁界で射出することから、火薬を炸薬にするこれまでの艦砲に比較し、弾頭の扱いが簡単で大量搭載可能で安価、射出速度が速く敵の対応が困難等々です

railgun2.jpg一方で弾頭と打ち出しレールの摩擦熱対処や、大量の電力確保が課題で、実現にはまだ時間が必要と言われています。また従来砲弾に技術革新があり、射出速度や射程が改善して来ており、多額の開発費を継続投入するかの議論もあるようです

ご紹介する中国艦艇レールガンの技術成熟程度は不明ですが、相当気になるので取り上げます

1日付Defense-News記事によれば
●1日にSNS上で拡散された写真では、Type 072-III強襲揚陸艦の舳先部分にレールガンらしき砲塔が設置され、その後方に数個の箱状の物が置かれているのが確認でき、弾頭装填装置や指揮統制装置、発電機等だと想像できる
railgun3.jpg●中国海軍はType 909兵器試験艦を保有しているが、レールガン砲塔のみならず、発電機や関連装置を搭載可能なスペースがある強襲揚陸艦を選択して搭載したのではないかと推察されている

●またレールガンを搭載したType 072-III強襲揚陸艦「黄山」 には、試験観測用と思われる監視台や詳細不明のセンサーらしきものが搭載されており、また着上陸時に車両等を上陸させる舳先ドアは閉鎖されている
●今回SNS上で出回った写真がどこで撮影されたかは不明だが、もともと「黄山」は東海艦隊に所属しており、レールガンを搭載した状態で既に少なくとも1回の航海が確認されている
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先日は中国が超超音速兵器で米国よりも優位に立っているとの危機感を語る米空軍幹部をご紹介しましたが、同じく将来の「Game Changer」と言われる兵器レールガンでも中国が相当のレベルにあることが伺えます

Type 072-III.jpgトランプ大統領の一般教書演説は、中国とロシア軍事力への備えを訴えていましたが、南シナ海への対応を見ても、米国中心主義の姿勢を見ても、本当に西太平洋の安全保障に目が向いているのか疑問です。

そう遠くない将来、中国艦艇からの世界初のレールガン発射をお伝えすることになるのかもしれません・・・

レールガン関連の記事
「依然、摩擦と電力確保が課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-30
「期待の星レールガンの現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-27
「Work副長官の指摘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「Zumwalt級駆逐艦を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-22

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断交されたカタールと米が2+2実施 [マティス長官]

Qatar US 2+22.jpg1月30日、ワシントンDCで米国とカタールとの「初めての」2+2会合が開催され、マティス国防長官とティラーソン国務長官が、カタール国 防相と外相を招いて協議が行われ、駐留米軍施設の増設をはじめとする両国関係強化が合意された模様です

カタールは、イランとの親密な関係やイスラム過激派支援を批判され、米国とも比較的親密な中東の主要国サウジ、エジプト、バーレーン、UAEから、2017年6月5日に「国交断絶」を宣言された国です。

この「国交断絶」は解決解除の糸口が見えませんが、ISIS崩壊後のイラク・シリアの混乱やイエメンの崩壊、またイランからの脅威増大など、あちこちで火の手の上がる中東情勢を前に、米国も「四の五の言ってられない」状況なのでしょう

またサウジらの断交国にとっても、「四の五の言ってられない」状況なのでしょう。

1日付米空軍協会web記事によれば
Qatar US 2+23.jpg●会談後にマティス長官は、「長年にわたる」「極めて良好な軍事関係だ」と両国関係を表現した。
●そして、米中央軍と米中央軍空軍の前線展開司令部を含む約1万名の米軍兵が駐留する「Al Udeid」空軍基地を受け入れているカタールを称賛した

●更にマティス長官は、NATOがアフガニスタンで行っている作戦支援のため、1月22日の週にカタール軍が、保有する2機のC-17で物資 al-Udeid輸送を行ったことを讃えた。

1月31日付Defense-News記事によれば
Qatar.jpg●訪米中のカタール国防相は1月31日、駐留米軍兵士の生活環境改善のため、 al-Udeid空軍基地の拡張を行うと語った
●同国防相によれば、拡張されるエリアには兵士用宿舎、家族用施設、娯楽センターなどなどが建設される模様

●このようなカタールの動きは、米国との関係より緊密にして、サウジやUAEなど湾岸諸国に対するヘッジにすることを狙ったものである。
●一方でサウジなどカタールと断行した国々は、米国に対しカタールとの関係を見直すよう求めている
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カタールと縁を切ったバーレーンには、米海軍第5艦隊や米中央軍陸軍の拠点があり、米軍13500名が所在し、同じくUAEにも米海軍最大の立ち寄り港である「Jebel Ali port」や、米空軍の空中給油機やF-22や無人偵察機が大挙所在する「al-Dhafra Air Base」がある複雑さです

Qatar US 2+24.jpgカタールがサウジ等から断行された当時、トランプ大統領はカタールに批判的なニュアンスのツイートを行い、国防&国務長官との温度差が目立ったようですが、ワシントンDCで「2+2」が開催されたとなれば、風向きの変化があるのかもしれません

いや・・・安全保障について少しは見識を深めたトランプ大統領は、中国やロシアじゃない、米国ホームランドへの脅威はイスラム過激派だと、「米国民目線で」見極めたのかもしれません。

カタールが登場の記事
「断行されたカタールで大記念撮影」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-15
「米軍の弾薬を頼るな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1
「イスラエルと合意後に湾岸諸国へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
「日本の銀行がカタールの戦闘機購入に融資?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-22

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SpaceXの大型ロケットが市場を変えるか? [サイバーと宇宙]

Falcon Heavy2.jpg17日、SpaceX社が大型ロケット「Falcon Heavy rocket」の地上エンジン試験に成功し、これまでULA社の「Delta IV rocket」が独占していた大型軍事衛星打ち上げ市場に、殴り込みをかける準備が整いました。

2月に予定されている「Falcon Heavy rocket」の初打ち上げ試験では、ロケットにSpaceX社Elon Musk氏の「チェリーレッド色Tesla Roadster」 が搭載され、「火星に向かって飛行させエイリアンに遭遇させる」との遊び心でイベントの盛り上げが計画されているようです

ただ、同社「Falcon 9ロケット」を3本束ねた「Falcon Heavy rocket」は、計27個の推進エンジンで構成され、打ち上げの成否は予断を許さずない状況だそうです。でも応援したいのでご紹介します

26日付Defense-News記事によれば
Falcon Heavy3.jpg小型衛星打ち上げ用「Falcon 9ロケット」が、2015年5月に軍事衛星打ち上げ承認を米空軍から与えられ、第1段目ロケットの回収という画期的な技術を確立したSpaceX社が、大型衛星打ち上げ技術確立と軍事衛星打ち上げ承認に向け、「Falcon Heavy rocket」の初打ち上げに向け動いている

●「Falcon Heavy rocket」は、高さ約70mで5百万ポンドの推力を持っており、64トンの搭載物を低軌道に投入可能で、小型搭載物なら火星まで送り込むことができる
●現存する大型衛星打ち上げ可能なDelta IVロケットが、最大搭載28トンであることと比較すると、「Falcon Heavy rocket」の能力がわかるだろう

Elon Musk.jpg打ち上げ費用は公表されておらず、両ロケットの比較は容易ではないが、2017年8月の米会計検査院GAOレポートによればDelta IVロケットの打ち上げ費用は180~440億円で、他の資料でも米空軍が470億円で打ち上げていると記録されている。
●一方の「Falcon Heavy rocket」は、GAOレポートで100~300億円と見積もられており、成功すれば打ち上げ価格の低下が期待されてる

ただし2月の初打ち上げが成功するかはやってみなければわからず、SpaceX社CEOであるElon Musk氏も、打ち上げ後に爆発する可能性もあると語っている
●しかしElon Musk氏はいつもの前向きな姿勢で初打ち上げの準備を進めており、「チェリーレッド色Tesla Roadster」 を搭載して宇宙空間に送り込むと意気揚々と語っている
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Falcon Heavy.jpgSpaceX社の動きは本当に早いです。ついこの間まで、「Falcon 9ロケット」の第1段目回収試験の失敗を繰り返していると思っていたら、今や同技術を確立し、次々と安価に軍事衛星や商用衛星の打ち上げを成功させています

そしてついこの間まで「イメージ図」や「想像図」だった「Falcon Heavy rocket」が、現実のものとなり打ち上げまじかとは・・・。記事の数字からすると、ビジネスとしても魅力的なロケットの様ですし、ますます応援したくなりました

「SpaceX:失敗場面を集めた映像を明るく発信」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-18 

Space-X社関連の記事
「偵察衛星打上げと1段目回収」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-02
「イスラエル通信衛星失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-06
「ロケットの着陸回収に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-25

「混迷の米衛星打ち上げ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「軍事衛星打上げにSpaceX参入承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27

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