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ベトナム戦争後初:米空母がベトナム訪問へ [安全保障全般]

Pacific Partnershipに合わせ、1975年以来のベトナム訪問へ

PP2.jpg22日付Defense-Newsは、23日から開始される環太平洋諸国の連携強化や人道支援及びその訓練を兼ねた第13回「Pacific Partnership」を紹介し、その期間中の3月上旬に空母Carl Vinsonがベトナム戦争以降初めてベトナムを訪問する計画だと報じています

この「Pacific Partnership」は、演習や訓練とは表現されない特殊な活動で、病院船と輸送艦が、多国籍の医療&歯科チームや 獣医チームや施設整備チームを載せてアジア太平洋諸国を回り、帰港国のチームと協力しながら協力関係を深めつつ能力構築を図る試みです

2004年12月にタイやインドネシアを襲った地震に伴う大津波被害対処を教訓に開始され、今回は6月までかけて米海軍の病院船Mercyと輸送艦Fall Riverに、米、カナダ、英、豪、仏、ペルー、日本のチーム計約800名が乗艦し、両艦が分かれてIndonesia, Sri Lanka, Malaysia and Vietnam、Yap, Palau, Malaysia and Thailandを回ることになっています

PPMercy.jpgベトナムへの「Pacific Partnership」枠組みでの病院船や輸送艦訪問は、5年連続であり、過去11年間で9回目の訪問となり、「Pacific Partnership」を主導する米国が地域との関係強化の鍵としてベトナムを重視していることが伺えます

記事は「空母Carl Vinsonが3月上旬にベトナムを訪問する。ベトナム戦争以降初の米空母訪問」とのみ報じ、それ以上空母の活動について言及がありませんので、その他の「Pacific Partnership」についてちょっとご紹介します

22日付Defense-News記事によれば
●「Pacific Partnership」全体の指揮官は米海軍の「Destroyer Squadron 31」司令官が務めるが、病院船の任務指揮は豪州軍人(全体の参謀長兼務)が取り、輸送艦の任務指揮は英海軍指揮官(全体の副指揮官)が行う多国籍指揮統制機構を採っている

●本イベントの全体統括を行う米海軍のDon Gabrielson少将は、「我々が直面する災害や人災は国境を超えるものであり、Pacific Partnershipを通じて培われる信頼の基盤は、地域やその周辺の人々の生活や環境を改善させる取り組みでの協力関係の基礎を強化するもとのなる」と意義を語っている
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PP.jpg防衛省の防衛白書も継続して「Pacific Partnership」への参加を紹介しており、自衛隊の医者が現地で治療する姿や施設作業を支援する様子、かつては現地の子供たちと縄跳びする姿などが紹介されていました

なんじゃこれ???・・・との印象の「Pacific Partnership」ですが、交流の第一歩との位置づけでしょう。TPPとは別の話ですので、誤解なきよう

冬季オリンピックが終わったころに、米空母のベトナム訪問が報じられるかもしれません。対中国で話題の無い米軍の貴重な動向ですのでお楽しみに

アジアを考える記事
「中国が世界初レールガン搭載艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-03
「中国が台湾にもひっそり攻勢」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-28
「中国が南シナ海埋め立て終了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17

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米空軍AWS18の基調講演テーマは「革新」 [米空軍]

新しい取り組みだけでなく、旧習の中止も革新だ
既知の問題より、未知の課題のほうが深刻
大きな革新追求なら、従来と異なる人(遺伝子)導入を

DeGraff.jpg23日、米空軍協会主催の航空戦シンポジウムに基調講演の講師として招かれたミシガン大学のJeff DeGraff教授は、冒頭に紹介したような表現で、堅くて硬直的で変化が難しい組織の典型と考えられる米空軍の幹部を前に、「革新: innovation」について語りました

まぁ・・・中身は読者の皆さんも一度は耳にされたことがあるような内容かもしれませんが、あえてこのテーマを選び、米空軍主要幹部のほか主要軍需産業関係者や研究者を前に、メインテーマとして語らせたところに米空軍の現在を見る思いがします

トランプ大統領の軍事予算拡大の大風呂敷はあるものの、老朽化して更新や近代化改修待ったなしの装備品が目白押しの中、新たな「革新」無くしては米空軍の優位性を維持できないとの深刻な危機感があります

昨日ご紹介した「各前線の単位部隊に上限300万円の革新推進資金」も、この「革新」推進や奨励の流れに沿ったものです

23日付米空軍協会web記事によれば
innovation3.jpg●ミシガン大学のJeff DeGraff教授は、新しい事に取り組むだけでなく、旧習の中止中断も革新だと語り、「革新のつもりで始めたことが、時間の経過とともに革新を妨げる要因となりえる」とも表現した
●なおWilson空軍長官はこの発言に絡め、JSTARSと同様のコンセプトの後継機には投資しないと決定したことを持ち出し、対露や対中を想定した残存性の高い戦場管理システム追求の方向に向かうと別の場で語っている
●DeGraff教授はまた、革新を追求するなら「 How much? How fast?」との2つの質問に対する答えを準備して取り組むべきだと語り、
●「多くの場合多くの人は、革新を求めて前に進めることを追求し、そして異端や本流から逸脱した考え方を除去してしまい、せいぜい変化の少ない革新に止まる結果を招いている」と喝破した

●そして同教授は、既知の問題より、「未知の課題のほうが深刻だ。もし迅速な革新を求めるなら、人の採用方を変えなければならない(hire differently)」と語り、
革新には生存のための多様性が必要だと主張し、空軍兵士が彼らと同様に行動したり関与してくれる人たちに囲まれるのではなく、異なる考え方の人たちと接するよう促した

●更に同教授は、空軍兵士は階級が上がるほど、その環境に最適化するようになり、それがゆえに増々異端を排除し、迅速な革新に必要な文化や効率性を失ってしまうと語った
innovation.jpg●そして、米空軍や空軍兵士は、将来がどうなるか予測することは不可能なのだから、「より広範な分野に、少しずつ分散して賭けておくべきではないか」と表現し、長時間を要して前線兵士に役立つかわからない大型装備の選択をやめるべきだと主張した

●まとめて同教授は、変わったやつを採用せよ、既存の能力の上に構築せよ、外の考え方からスタートせよ、異なった考え方に耳を傾けよ、そして早く(Go faster. Start hiring weirdos. Build on the capability you have. Start from the outside in,” and listen to people who think differently)と表現した
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「空軍兵士は階級が上がるほど、その環境に最適化するようになり、それがゆえに増々異端を排除し、迅速な革新に必要な文化や効率性を失ってしまう」・・・とはよく言ったもので、世界中の軍隊が共通して抱えている課題でしょう
失敗の本質.jpg
米軍はそれでも実戦で血を流し、汗をかいて教訓を得、種々の改善を行ってきたでしょうが、「専守防衛」や「憲法9条」、更には軍事に疎く議論できない国民と世論と野党に囲まれてサバイバルしてきたわが軍の現状は推して知るべしです

せめて太平洋戦争の教訓をまとめた30年以上のベストセラー「失敗の本質」を以下の過去記事で振り返り、革新の芽を摘まないよう、革新を起こす若い世代を育てようとの気概を忘れないでいたいものです

ご参考記事
「失敗の本質」から今こそ学べ!→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31
「磯田道史氏が指摘する日本軍事組織の弱点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-01
「軍隊は自己変革できない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-02
防衛研究所60周年記念軍事イノベーション議論http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-31-1
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米空軍が各編単隊に約300万円上限の革新促進資金を [米空軍]

昔の1億円ふるさと創生資金を何となく思い出す・・

Goldfein11.jpg23日、米空軍参謀総長Goldfein大将は空軍協会航空戦シンポジウムで講演し同参謀総長が就任時から必要性を訴えてきた編成単位部隊(飛行隊レベルの前線組織)の活性化のため、また米空軍の優位性確保のため、草の根レベルからのイノベーションを促す資金を提供すると発表しました

「Squadron Innovation Fund」と呼ばれる資金は、各部隊当たり100~300万円で、数週間以内に各部隊に提供されるらしく、米空軍全体では契約65億円程度になるようです。
資金の使用にあたって事前審査が必要なのか不明ですが、かつて竹下総理が行った「ふるさと創生資金1億円」のような「ばらまき型」に近いような印象を報道からは感じました

U-2 Dragon2.jpg米空軍がこの「Fund」を立ち上げたのは、昨年11月に同参謀総長が訪問したU-2偵察機飛行隊が、シリコンバレー企業等と連携し、老齢航空機を有効に活用する新しいアイディアを次々と生み出し実用化している様子を目の当たりにしたからだといわれています

「独自に企業と連携のU-2部隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10-2

23日付Military.com記事によれば
●Goldfein参謀総長は、米空軍の強さを維持するだけでなく、迅速に新たなプロジェクトを「jumpstart」したいと語り、米空軍主要幹部や軍需産業幹部や専門家を前に同ファンドの立ち上げを発表した
●同大将は「米空軍の成功は、各編成単位部隊や同レベルの組織で任務に就く兵士たちによって支えられている。各前線レベル部隊が米空軍の原動力なのだ」、「この資金で部隊レベルからの戦術面でのイノベーションをキックオフする」と表現した

Goldfein1-1.jpg●そして同参謀総長は、「各前線部隊の指揮官こそが、彼らのアイディアを如何に試して洗練させていくかを知っている。このファンドは編成単位部隊長を信頼し、そして彼らを力づける資金であり、厳しさを増す軍事環境の中で、空軍の力と即応態勢を増強して国民の負託にこたえるための革新を支えるものだ」とも語った
●参謀総長は、各部隊がトップダウンの決定ではなく、現場の問題認識や知恵を革新に結び付けたいとも語り、「学会や科学技術界、私企業とも連携することを推奨する」とも表現している

●Heather空軍長官も同Fund発表でコメントし、「我々の原点は、ライト兄弟が初飛行を目指したオハイオ州の自転車屋にある。各部隊で勤務している自転車工の様なアイディアを支援することを目指している
●「各部隊を視察する中で、現場の隊員が工具を改善したり工夫したりしていることを頻繁に目にしており、このようなイノベーションを加速するためFundを活用したい」と語っている
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F-35 luke AFB2.jpgたった65億円の予算でありながら、今後の展開が気になる「Squadron Innovation Fund」です。

とんでもない独自すぎるアイディアが飛び出したりするのが米国でしょうが、そんなアイディアを受け入れる土壌も羨ましいところです。日本では無理だろうな・・・前線部隊のアイディアを生かすのは

米空軍の前線単位部隊活性化
「独自に企業と連携のU-2部隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10-2
「任期間の重視事項3つ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13

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米国防省の宇宙を巡る動向2つ [サイバーと宇宙]

DNIの「宇宙脅威アセスメント」と国家宇宙防衛センター運用開始

space-based.jpg13日、米国の情報機関を束ねる Director of National Intelligenceが「Worldwide Threat Assessment」なるレポートを発表し中露が共に2~3年後には、米国やその同盟国が保有する宇宙アセットを妨害や無効化する兵器の運用開始態勢を整えるだろうと記述しました

また17日付米メディアは、米空軍を中心に国防省のみならず米政府機関(同盟国も)が協力して準備していた「National Space Defense Center」が、24時間体制で運用を開始したと報じています。

先週公表された2019年度国防省予算案でも、国防省として最優先分野に位置づけ、宇宙関連予算は3割以上の伸びを確保しているようで、日本が身近に感じにくい部分ですので、断片的ですがご紹介します

DNIの「宇宙脅威アセスメント」
space-based 4.jpg●同報告書は、ロシアと中国は継続的に対衛星兵器(ASAT)を追求しており」、米国の軍用及び民生衛星を妨害したり破壊する能力を、2~3年後には獲得するだろうとしている
●また「中露は、非破壊及び破壊の両方の対衛星兵器を、将来の紛争で使用可能にすることを目指している」、「仮に中露と将来紛争状態に至ったら、米国の軍事的有利を覆すため、米国やその同盟国衛生への攻撃を正当化するだろう」と報告書は記述している

●一方で米国も対応する予算措置に動いており、2019年度予算案で米空軍の宇宙関連予算は33%増加し、各種研究・開発・試験経費が計上されている
●また、訓練演習環境の整備にも取り組み、宇宙を戦いのドメインとして位置付ける態勢を空軍長官が強調している
●更に米空軍は13日の週、電子戦攻撃に強い33個の新たなGPS衛星の提案要求書を発出し、宇宙状況把握の体制強化に動き出している

国家宇宙防衛センター運用開始
●19日付「The Gazette」は、昨年から試験的な運用を開始していた国家宇宙防衛センター(National Space Defense Center、コロラド州の在Schriever空軍基地)が、24時間体制の運用を開始したと報じている
Space Fence1.jpg約230名のスタッフにより運用を開始した同センターは、基地の中でも特に厳重に管理された2重フェンスの管理地域に所在し、運用組織の細部は公開されていない

●同センター長のTodd Brost大佐によれば、「米空軍の部隊ではなく、米国防省の組織」であり、米空軍宇宙コマンドの兵士のほか、米国情報機関や契約企業からの派遣員も含まれている
●任務は、米軍事衛星や偵察衛星への脅威を探知し、米国益を守るための行動を起こすことである
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最近宇宙に関しては、米議会が米空軍から宇宙部門を独立させようとしており、米空軍が対抗措置として空軍司令部に宇宙部長を設けたりしている・・・とのドロドロ劇をお伝えしてきましたが、脅威は急速に変化しつつあるようです

DNIの「宇宙脅威アセスメント」は、イランも対衛星能力を獲得しつつあると分析しているようで、気になるところです

「サイバーと宇宙関連」記事130本
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1 

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泣きっ面に蜂:米空軍T-6が3週間飛行停止中 [米空軍]

T-6.jpg14日、米空軍副参謀総長Seve Wilson大将が上院軍事委員会で証言し米空軍パイロット養成の最初の航空機である初等練習機T-6が、低酸素症のような症状を訴える操縦者続出で3週間も飛行停止状態になっていると明らかにしました

米空軍は約2000名(うち1300名は戦闘機操縦者)のパイロット不足に悩まされており、経歴管理や給与・ボーナスの見直しなどの対策を検討推進していますが、高い給料と楽な勤務の民間操縦者への流失に歯止めがかかっていません

そんな対策の一つとして米空軍は、年間のパイロット養成数を年間約1100名から1400名に増やす体制構築を目指し、仮想的約部隊(アグレッサー)の民間委託を進めたり、幕僚勤務などデスクワーク職から操縦者を外して教官パイロットを確保しようとしていますが、パイロット養成の入り口となる機体が飛行停止で「泣きっ面に蜂」状態です

15日付米空軍協会web記事によれば
Wilson.jpg●14日Wilson大将は議会で、3週間余り飛行停止状態になっているT-6初等練習機が、いつ飛行を再開できるかわからないと証言し、1日当たり700回の飛行訓練機会を失っていると苦悩を語った
●一方で、米空軍Materiel Commandと教育訓練コマンド幹部は、連日ミーティングを行ってこの苦難にいかに対処するか話し合っているとも語った

●米空軍は、航空機搭載の酸素生成装置(On-Board Oxygen Generation system) 問題に取り組んでいる米海軍とも連絡を取り、またNASAチームとも協力し、原因究明のためあらゆる方面で可能な限りの努力を行っていると同大将は証言した
●原因について副参謀総長は、「航空機搭載機材のメンテナンスにも関連があるだろうし、パイロットが装着する装備にも関係するだろうし、訓練内容にも関連するかもしれない」と言及した

●「T-6は初級練習機としてパイロット養成に欠くことができない。我々は過去の経験を振り返り、この問題に対処するため、装備面、教育面、訓練面で何をすべきか検討し、速やかな飛行再開を目指したい」と語った

14日付米空軍協会web記事によれば
T-6 2.jpg●14日、下院軍事委員会で証言した米空軍作戦部長Chris Nowland中将は、「我々は民間航空会社が(操縦者獲得のために)何をするかコントロールできないし、どれだけ給料を支払うかを変えることはできない。我々は操縦者を最大限の努力で養成し、同時に彼らの生活の質を改善することに取り組むのみである」と語った
●そして操縦者養成と生活の質改善のため、60もの施策を決定して進めようとしていると証言し、固まった段階で(予算面での手当てのため)議会に支援要請に再びお願いに来ると説明した
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F-35  OBOGS.jpg米空軍が予算と時間と人をかけて養成したパイロットを、金と良い待遇をちらつかせた民間航空会社が引き抜いてゆく「仁義なき戦い」が、激しさを増しているようです

しかし・・・パイロットを襲う「低酸素症の様な症状」の問題は、F-22、F-35でも問題になり、F-35は原因究明できていな中で関連装置の交換を決定し、飛行再開しています。
T-45C.jpg米海軍の練習機T-45Cでも同様の問題が発生し、2017年に数か月に渡る飛行停止が発生しています

どうしてなんでしょうねぇ・・・これだけ重なると・・・関係者が全分野で必死で原因究明にあたって(full court press)いるのに・・・

時系列記録:F-35低酸素症(疑い)事案
「原因不明のまま飛行再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-31-1
「F-22事案の教訓を生かせ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-11
「原因不明でも関連装置を交換へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-19

F-22事案を振り返る
「最終的に飛行再開・原因特定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25
「不沈F-35と低酸素F-22」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-09
「F-22再度飛行停止と再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-24
「F-22操縦者に謎の症状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-31

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露のサイバー攻撃は機能不全?米大統領補佐官 [サイバーと宇宙]

McMaster4.jpg17日、ミュンヘン安全保障会議で登壇したマクマスター安保担当米大統領補佐官が、ロシアによるサイバー攻撃を厳しく非難しつつ最近ロシアが「サイバー攻撃を見直し」を始めているのは、露の同攻撃が期待した成果を上げていないからだと語りました。

ここでのサイバー攻撃とは、「operations in cyberspace」や「espionage, enabled by modern technology」や「use cyberspace, social media」等の言葉で表現され、広範な活動を指していますが、「スパイ行為」や「選挙活動への欺瞞情報流布」や「特定世論の扇動」などSNS上での活動を含むものです

会場内の露サイバー専門家からの質問に対し、「西側の民主主義を損ねる活動を活発に行ってきたロシアの専門家が、この会場にいることが驚きだ」ときつい言葉を返すなど、少し「らしからぬ」「強がり」がマクマスター補佐官からうかがえるようで気になりますが、米国内で親分が「ロシアゲート」たたきにあっている中、思わず口が滑ったのかもしれません

それでも細部がなかなか表に出ないサイバードメインに関する、米安全保障の要の人物の発言ですので、ご紹介しておきます

17日付Defense-News記事によれば同補佐官は
russia cyber.jpg●「ロシアが最新技術を利用した巧妙で洗練されたサイバースパイ行為をやめたなら、我々は喜んでこの分野に関する対話に臨むだろう」と述べ、ロシアが国際情勢や主要な選挙にサイバー介入し、サイバー攻撃を繰り返している豊富な証拠が存在すると語った
●そして、ロシアがこのような行為をやめない限り、米国はロシアのサイバー攻撃を「暴露し、対抗措置を取り続ける」と述べ、同時に2017年4月にNATO同盟国で設立した「European Centre for Countering Hybrid Threats」を例に、多国間協力でもロシアに対抗すると説明した

●「我々はこれら攻撃やスパイ行為の発信源追跡能力を日々向上させており、FBIの調査報告にあるように(ロシア関与の)証拠は議論の余地のない公開情報となっている」と語り、
russia cyber2.jpg●16日にFBIが、13名のロシア人関係者(Russia’s Internet Research Agency)を、米国人になりすまして大統領選挙に際して偽情報を流布して影響を与えた指摘したことに言及した

●一方で、ロシアが自身のサイバー攻撃を「機能していない」と評価し、その手法を再検討し始めているとの分析を披露し、「ロシアは米国社会を分断しようと試み、ファシスト集団を含む右翼を支援し、同時に左翼にも肩入れして互いの反目を扇動ししている。これらの工作は両極に作用したが、一方でロシアの干渉に対する大多数の米国民の危機感を喚起して団結を強くした」と評価した
●そして、米国議会は超党派の妥協を図ることが難しくなっているが、そんな中でも対ロシア制裁に関する決議案は、大多数の賛成を得て速やかに成立していると語った
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McMaster2.jpg日本の最近の野党の動きを見ていると、裏で半島や大陸に国に操られているのではないか・・・と思うことがしばしばですが、そんな浅はかな動きを見抜けない国民のレベルがそんな野党を生むことになっています

米大統領選挙に対する、SNS上なりすまし外国人によるフェイク情報流布が、米国では大きな話題になっているようですが、日本など「おいしいターゲット」になりそうで心配です

「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31

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米空軍の新たな爆撃機体制計画 [米空軍]

以前は、B-1とB-52を2040年まで、B-2を2058年まで使用する計画でしたが・・・

3-Bomber.jpg11日付米空軍協会web記事が、米空軍が間もなく発表するであろう爆撃機の将来計画「Bomber Vector」の計画案を入手し、その概要を報じています。

元々、昨年9月には公表する計画でしたが、核態勢見直しNPRや2019年度予算が固まるタイミングを待ち、新長距離ミサイルLRSOやB-52エンジン更新予算の目途が付くタイミングを待って発表する計画とのことです

冒頭に触れたような従来計画を見直すことになる「Bomber Vector」の大きな柱は、B-1とB-2をそれぞれ2036年と2032年までには引退させ、一番高齢のB-52をエンジン換装して2050年まで使用する方針を示したことです。

B-21 2.jpgそして現在152機体制の爆撃機部隊を、将来的には100機のB-21と、75機のB-52からなる最低175機体制に増強しようとの計画になっているようです。
ただし、100機のB-21は2020年半ばから11年かけて製造される計画で、爆撃機の交代はゆっくりと行われる計画となっています

その心は、ぶっちゃけて言うと新型ステルス爆撃機B-21を100機導入する予算を考えると、維持費のかかるB-1やB-2を保持するのは困難で、突破力は無いものの多様な搭載兵器で多様な任務が可能で、維持費も安価なB-52を残すことが好ましいとの判断です

またB-21をB-1とB-2の後継として同じ基地に配備することで、弾薬管理施設等の設備投資を抑えられ、運用要員や整備員計約1万名に影響を与えるシフトを、円滑に安価に実施でき好都合だとの考え方です。

各機体の維持費や運用費用分析を含み長い記事で、とてもすべては紹介できませんが、何時ものようにつまみ食いでご紹介します

11日付米空軍協会web記事によれば
3-bomber1.jpg●以前の予定を変え、B-1とB-2を、B-52より先に引退させることにしたのは、その稼働率の低さと維持経費の高さからである。
B-1とB-2の稼働率は40%と32%で、B-52は60%。飛行時間当たりの所要整備時間は、B-1とB-2は74時間と45時間(ステルス性維持時間は非公開)で、B-52は62時間。飛行時間当たりのコストは、B-1とB-52が700万円だが、B-2はその倍である

B-1とB-2の稼働率が低いのは、部品製造企業が次々に撤退し、部品確保が困難であることが大きな原因で、特に20機しかないB-2は部品の「共食い」で何とかしのいでいる状態で、従来の2058年まで維持など到底不可能で高コスト過ぎる。またB-2の突破力は、間もなく通用しなくなるとの見積もりも背景にはある
●また、B-1は戦略兵器削減条約の縛りで巡航ミサイルが搭載できない点でも維持するメリットが低下している

一方B-52に対しては2019年度予算からB-52エンジン換装予算が盛り込まれ、燃費を大幅に改善して航続距離や在空時間を延伸し、2050年代の退役までエンジンを取り外しての定期整備を不要とする施策が行われる方向である
B-52-UK2.jpg●またB-52には多様な兵器が搭載可能で、NPRで必要性が裏付けられた長射程スタンドオフミサイルも搭載でき、敵の対空脅威がない場合や排除されたエリアでは十分な能力発揮が低コストで可能だと評価が与えられている

●なお、B-52エンジン換装や2050年代までの維持には2兆4千億円の経費が必要と算定されているが、そのうちの1兆円強は新エンジン導入による維持費や燃料費の削減でペイできると米空軍は主張している

新爆撃機B-21の導入は、年9機程度のゆっくりしたペースで進め、製造設備や工具が高コストとなったB-2爆撃機の反省(当初132機計画が21機で中断)を生かし、時間をかけても効率性を重視した製造計画を組んでいる
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1960年代には1500機以上の爆撃機を保有した米空軍ですが、現状は157機だそうです。
この「Bomber Vector」は175機体制を目指すとしていますが、米空軍幹部は事あるごとにB-21爆撃機の現計画100機導入を、270機必要だ等々と訴えています。

B-2takeoff.jpg最後に、次期爆撃機検討の最中に、統合の観点から要求を取りまとめる統合参謀本部副議長(海兵隊大将)が、「次期爆撃機が有人機ある必要があると米空軍は主張するが、それならICBMに有人型があるのか? 私は有人機の必要性が全く理解できない」と訴え、米空軍を強烈に批判していたことをご紹介しておきます

「次期爆撃機に有人型は不要だ」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16-1

B-52関連の記事
「エンジン換装大集会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-24
「エンジン内部破損で落下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-08
「弾薬庫航空機に向け改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13

21世紀の抑止概念を目指す
「3本柱はほんとに必要か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03

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中国空軍J-20が包括戦闘能力を宣言 [中国要人・軍事]

J-20 ceremony.jpg9日付新華社通信は、同日中国空軍報道官が、J-20戦闘機が空軍の戦闘任務に就いた(have been commissioned into air force combat service)と発表したと報じ、日時や場所は不明ながらJ-20戦闘機と兵士が映る記念式典と思われる写真を掲載しています。

J-20戦闘機(中長距離戦闘機)は、中国報道では第4世代機と呼ばれる一方で、西側軍事関係者は正面方向から見てステルス性があることから第5世代機に分類される戦闘機で、その機体の大きさから長射程ミサイルで高付加価値目標をではないかとまんぐーすが想像している機体です

中国国防省報道官が昨年9月末、J-20が運用を開始した(commissioned J-20 into service)と記者会見で発表しましたが、どうやら総合的に見れば本格的に運用試験や操縦者養成が可能になった程度の意味だったと西側では解釈されていました

これまでの経緯を簡単に整理すると
---2011年に初飛行
---2016年11月、Zhuhai航空ショーで初公開
---2017年7月、人民解放軍90周年記念日に軍事パレード初参加
---2017年11月、中国空軍演習「Red Sword 2017」で重要な任務を果たす

本件を報じた14日付FoxNews記事は
J-20 cere.jpg●中国国営の新華社通信が、米空軍F-22のような形状をしたJ-20が運用態勢に入った(has entered service)と報じた
●香港の主要紙であるSouth China Morning Postは、J-20が運用態勢に入ったとはいえ、米空軍戦闘機に及ぶような能力はないと報じ、特に搭載予定だった中国製のエンジンWS-15開発がうまくいっていないと解説している

●同香港紙は、WS-15エンジンが2015年の地上試験中に爆発事故を起こし、強力なジェットエンジン製造に不可欠なタービンブレードの品質管理に問題があると指摘し、
●運用開始したといわれるJ-20は、中国製J-10やJ-11が搭載している能力が劣るWS-10Bエンジンを代替でとりあえず搭載していると報じている
●そして、WS-15エンジンが搭載可能になるまでJ-20は量産体制には入らないとし、WS-15も問題解決には約8年が必要だと報じている
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J-20-1.jpgジェットエンジン開発は、その国の工業能力を示すバロメータといわれるほど総合力が問われる難しい仕事です

将来戦の「Game Changer」といわれるような分野で、中国の猛追が多くの分野で報じられていますが、難しところは難しいのでしょう・・・依然として・・・

J-20関連の記事
「中国国防省が運用開始と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-30-1
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02

タグ:中国空軍 J-20
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米陸軍の新兵基礎訓練コース改革 [Joint・統合参謀本部]

手りゅう弾投げは卒業要件から除外とか・・・

basic-training.jpg9日付Military.com記事は、米陸軍が約27000名の各級指揮官や士官への調査を基に、新兵教育コースを卒業後に初任地に配属された新人兵士の実態を把握し、新兵教育コース(BCT:Basic Combat Training)の見直しに取り組んでいると報じています

前線指揮官による新兵評価は極めて厳しく、初任地着任時から「服装がだらしない」、「基本的な生活態度や躾がなっていない」、「権利意識ばかりが高い」、「装備品や制服を大切にしない」、「時間にルーズだ」、「指示を聞いていない」、「命令指示に反論する」、「仕事がいい加減だ」・・・との声が相次いでいるようです

BCT改革を担当するMalcolm Frost陸軍少将によれば、「最も要望が高いのが基本的躾(discipline)で、他の要素の5倍」で、「基本的生活態度が身に付き、基礎体力があり、前向きに学ぶ姿勢があり、陸軍勤務に誇りを持つ若者」が望まれているとのことです

basic-training4.jpg早ければこの夏開始の新兵教育コース(BCT)から新課程が採用され、しつけや部隊の団結、基本の教練、米陸軍に誇りを持てる歴史教育、基礎体力向上、前線で必要な基礎技術重視の演習、救急救命法、通信や意思疎通法などを重視する変革を行うようです

一方で、「手りゅう弾投げ」や「land navigation:地上航法?地図判読?」を、教育は継続するが基準レベル到達を「卒業要件」から外すことにするようです。つまり、物を投げられない若者が増え、厳格になるとBCTを卒業できないものが激増する実態があるようです

米陸軍の教育コース改革の方向はどうなのか、掻い摘んで記事からご紹介します。

9日付Military.com記事によれば新コースでは
米陸軍の歴史テキストを提供→米陸軍の価値観と兵士の心意気を共有して継承するため、独立戦争からイラク戦争までの米陸軍の戦いの歴史を学ぶ書籍を新入隊者に与える
基本教練の重視→911同時多発テロ以降、米陸軍部隊は多忙さから「drill and ceremony:基本的な教練」時間を削減する方向にあったが、部隊から「原点である基本的教練は躾(discipline)教育や陸軍の価値観を身に着けるのに極めて重要だ」との意見が多くあった

basic-training3.jpg基本を身に着け鍛える野外演習を3回計画→「the Hammer, the Anvil and the Forge:ハンマーで熱い鉄を打って鍛える」演習を3回組み込み、特に3回目の81時間連続演習では、40マイル行進と種々の状況設定で、独立戦争Valley Forgeの戦いの精神を学ぶ。夜間侵攻作戦や負傷者救助、物資補給や障害物対処等々の厳しい課題を付与して陸軍人に育てる
基礎体力面での基準アップ→体力面でのBCT卒業基準点を、体力測定3種目すべてで60点に上げる(従来は50点)。

基礎的戦闘技術訓練の時間増加→22時間化r33時間へ。また負傷者ケアなど基礎救命救助訓練の増加。ハンドシグナルを含む通信の基本通信訓練の増加
科目間の重複を精査し、他の重視科目への充当時間の確保

卒業要件から一部科目での基準到達を除外→「手りゅう弾投げ」と「land navigation」を除外。BCT期間で手りゅう弾を20~30m投げられない入隊者が急増していることが背景。ただしこれら科目の基礎訓練は引き続き実施
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basic-training2.jpg米陸軍の直面する新兵の課題は、自衛隊のみならず、日本企業の管理職が感じていることと同じではないかと思うほど「新人あるある」的な内容ですが、米陸軍が打ち出した対応にも苦しい状況が伺えます。

今時の若者に歴史のテキストブックを配布しても、多少訓練時間を増やしても、体を鍛える時間を増やしても・・・。担当するFrost陸軍少将も分かっているでしょうが・・・。

被害状況下を想定し基礎技術回帰の米軍訓練
「被害状況に備え訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-16
「基本的な防御手段を復習せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「生活習慣を改善せよ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08

「米空軍被害時の機動展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08
「RAND:台湾は戦闘機中心を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25

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トランプ氏が軍事パレードをご希望とか [マティス長官]

trump paris.jpg6日付ワシントンポスト紙は、トランプ大統領が1月18日に国防省を訪問して情勢ブリーフィングを受けた際、居並ぶ国防長官や統合参謀本部議長や4軍のトップを前に、仏独立記念日にシャンゼリゼ通りで行われるような軍事パレードを、DCのPennsylvania Aveで検討してくれないかと要請したと報じました

7日暫定予算状態の問題を訴える記者会見を行ったマティス国防長官も、大統領のこの要望を認め、大統領の米軍兵士たちを讃えたいとの気持ちから出た話で、国防省としていくつかのオプションを提案する予定だとのみ語り、米軍を取り巻く予算不足や相次ぐ海外派遣などと絡めた質問には直接回答しませんでした

またホワイトハウスの報道官は、パレードが実現するかやどのような形になるか等を語るのはまだ早いとコメントし、「大統領は単に少し異なった方法で軍隊を讃えたいと考えているのだ」と説明しているようです

思い付きのように見える大統領の検討要請に、早くも多くの反対意見がメディアを賑わしていますが、湾岸戦争終了後の1991年6月8日以来の軍事パレードになるのか・・・現在の米国を見る縮図として取り上げます

8日付Military.com記事によれば
trump parade.jpg●8日の会見で国防省報道官は、ホワイトハウスの前を通るPennsylvania Aveではない場所になる可能性があると語った。そして「大統領はシンプルにオプションを求めており、目的は兵士たちを讃えることにある」と表現した
●最終的には大統領が決めるであろうし、国防省も計画を固めたわけではないが、米陸軍が中心となって計画立案を行うことになろうとも同報道官は説明した

軍事パレードの日にちも決まっていないが、「退役軍人記念日」で、「WW1終戦100周年記念」にもあたる11月11日が一つの有力候補と言われている
●ただ、Military Timesが実施しているweb賛否投票では、8日午後の段階で約51000名が投票し、89%が「No」と回答し、予算の無駄遣いや多忙な軍の負担になるとの反対理由が上がっている

●7日には複数の民主党議員が連名でマティス長官宛の書簡を出し、パレードのかかる経費見積もりと、シリア・アフガン・イラクで戦う軍への影響を質問している同書簡では「戦時にあって兵士が命を懸けて作戦に従事している中、このような軍事パレードは不適切で浪費だ」との言葉で計画検討を非難している
●一方で共和党議員の中には、「ソ連式の軍事パレードは良くない」が、兵士を讃え、戦没者を追悼するためのパレード自体は支持するとの意見を表明している者もいる。
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Gulf war Parade.jpg昨年フランスを訪問したトランプ大統領が、仏独立記念日の軍事パレードを見たことがきっかけだといわれていますが、多分、トランプ大統領にあまり深い考えはなく、「兵士を讃えたい」「グレートな米軍と米国を示したい」とのシンプルな思い付きだと思います

湾岸戦争終了時のパレードでは、シュワルツコフ大将を先頭に、紙吹雪の舞う中のパレードだったと思います。

せめて参加した兵士の思い出に残るような、最前線の兵士の士気が上がるような演出にしてほしいと思います。

三浦瑠璃女史による話題沸騰・賛否両論のトランプ政権とK半島分析(1月31日と2月12日)
http://lullymiura.hatenadiary.jp/ 

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米軍人トップ:朝鮮半島の戦いは「汚い戦争」に [安全保障全般]

Dunford OG.JPG5日の週にダンフォード統合参謀本部議長が豪州・タイ・グアム島を歴訪したようですが、AFP通信を引用した8日付読売新聞によれば、豪州北部にローテーション派遣されている米海兵隊兵士を激励した際に、兵士の質問に答え、北朝鮮との戦いが「汚い戦争」になると語ったようです

平昌オリンピックが行われる中世の中には「米国による斬首作戦が3月にもある」という噂が流れているようですが、空爆や巡航ミサイルで片が付くようなイメージが漂う雰囲気に警鐘を鳴らした発言として注目されています

昨年10月にも米統合参謀本部が米議員からの質問に回答する中で、「地上部隊の派遣は不可避」、「化学生物兵器が使用される可能性」等々と言及し、甘い考えを持たないよう釘を刺していたところです

また本日はより戦略的な視点から、三浦瑠璃女史のブログ「山猫日記」より、北への軍事作戦が生む朝鮮半島の勢力図変化を想像すれば、安易な軍事作戦実行など考えにくいとの指摘をご紹介します

8日付読売からダンフォード議長発言を紹介
Dunford1.jpg●豪州北部ダーウィンにローテーション派遣されている米海兵隊兵士からの「北朝鮮と戦争になった際、朝鮮戦争時のような被害をどのように避けることができるか」との質問に対しダンフォード議長は、
●米軍の能力がかつてと比べて大きく向上している点に触れながらも、最終的には「海兵隊や地上部隊が参戦し、同盟国も一緒に戦うことになるだろう」と指摘しつつ、「朝鮮半島で戦うことになれば、最後は『汚い戦争』になるだろう」と回答した
●トランプ政権内は、北朝鮮への軍事的選択肢として、核関連施設への限定的空爆を検討しているとされるが、米軍内では核関連施設の完全制圧には地上部隊投入が不可避との見方が強い

昨年10月の統合参謀本部の議員へのレター紹介記事
「地上部隊投入が不可避」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-07
NK biol.jpg●議員2名からの対北作戦の死傷者見積もりを問う質問に対し、統合参謀本部は回答レターで、「あまりにも不確定な要素が大きく見積もりは容易でない」、「核、化学、生物兵器などや、対処方策については非公開の場を設けて説明する必要がある」と前提を置きつつ
●「確実に北朝鮮核開発の全てを特定して破壊する唯一の手段は、地上部隊による北朝鮮侵攻である」と明記している

●また北への侵攻に対し北朝鮮は、「生物兵器の使用をオプションとして検討するだろう」、「北朝鮮が化学兵器である神経ガス、びらん剤等を製造する能力を有しており、実際既に化学兵器を保有している可能性が高い」とも回答している
●更にそのような兵器は地上侵攻部隊に対し、火砲やミサイル等の多様な兵器に搭載して使用されるであろうとも回答している

戦略的視点で三浦瑠璃女史の山猫日記(1月31日)は
米国の斬首作戦が3月にもとの噂が流されているが、それは日韓でその後起こるであろうテロの脅威を過小評価している。また中国の影響をさらに朝鮮半島で拡大する結果を呼び起こすだけとの可能性を見ていない
MiuraR2.jpg韓国で大きな犠牲が出れば反米感情は強まるはず。しかも、北朝鮮の金正恩を斬首したところで、その後の秩序で唯一現実的なのは中国の傀儡政権を樹立すること。

中国にとって韓国における米軍のプレゼンスは本当に邪魔なもの。いま北朝鮮が南に対して行っている種々の妨害工作や浸透工作は、戦争後に減るどころかむしろ影響力を増すでしょう。
対米不信が強まった韓国が、中国の軍門に降るのは時間の問題です。なぜわざわざカネと人命を費やしてまで中国の覇権を強化したいのか理解に苦しみます。結局のところ、軍事作戦が破滅に終わらずうまくいったとして、せいぜい竹のカーテンが38度線から対馬にまで下りてくるだけのことですから
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冬季五輪が始まったとたんに、平和の視点だ、南北融和のシンボルだ・・・とのフレーズが飛び交う節操のない日本のメディアですが、足元をきちんと見つめて過ごしたいものです

China-dinner.jpgでもなぁ・・・美女軍団には目が行くよなぁ・・・

関係ないですが、オバマ政権前半で米国防長官が北京を訪問すると、このヘーゲル国防長官(当時)のような歓待を受け、誰しも「中国恐るべし」と警戒しつつ、自然と鼻の下が伸びるのです・・・男は・・・

米軍と北朝鮮の関連記事
「地上部隊投入が不可避」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-07
「国防省2トップアジア訪問と北朝鮮」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-28
「米空軍がJDAMや精密誘導兵器増産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-24
「米陸軍が対北朝鮮に緊急準備開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-12

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36年ぶりイスラエル戦闘機が撃墜される [安全保障全般]

イラン無人機がイスラエル侵入で情勢緊迫
2011年以来のイスラエル軍レバノン大規模空爆に発展
ロシア外務省が沈静化を呼びかけ

Iran UAV.jpg10日付Defense-News記事によれば、10日土曜日早朝、シリア領内から遠隔操縦された「イラン無人機」がイスラエル領内に侵入し、これを契機にイスラエル軍機がシリア領内への攻撃を行い、イスラエル空軍F-16I戦闘爆撃機がシリア軍地対空ミサイルに撃墜されました

F-16Iが撃墜されたことを受け、イスラエル軍は2011年以来の規模という「広範な規模の攻撃:broad attack」をシリア領内の目標に対して実施し、合計12個のシリア軍およびイラン軍の装備や施設への攻撃を行ったと発表しました

「イラン無人機」が発進したとされるシリア内の空域を統制しているロシアは、「全ての関係サイドに自制を求める」との声明を10日中に出し、事態の拡大防止を図る動きを見せているようです

とりあえずイスラエル側発表の事実関係をご紹介します

10日付Defense-News記事によれば
10日早朝、シリア領内のロシアが空域統制を行っているエリアから離陸した「イラン無人機」が、イスラエル領内に侵入し、イスラエル空軍のAH-64Dアパッチ攻撃ヘリにより追尾され、最終的に撃墜された
●なおこのイラン無人機」は、シリア領内に展開しているイラン軍の指揮統制装置から遠隔操縦されているものであった

F-16I down.jpg●このイラン無人機の領空侵犯を受け、イスラエル軍はダマスカス近郊に展開していたイラン軍の無人機指揮統制装置に対する攻撃を行うため、F-16I戦闘爆撃機を出撃させた
●このF-16I編隊に対し、シリア軍の地対空ミサイルSA-17やSA-5が発射され、被弾を受けたF-16は何とかイスラエル領内まで戻ったところでパイロット2名が緊急脱出した。2名はケガで手当てを受けている。被弾したF-16はイスラエル北部の集団農場近くに墜落した

●この被撃墜事案を受け、イスラエル軍は第2波のシリア領内攻撃を企て、イスラエル軍報道官が「広範な規模の攻撃:broad attack」と表現した合計12個のシリア軍およびイラン軍の装備や施設への攻撃を行った
第2波のイスラエル軍攻撃機は全機無事に帰還し、同軍報道官は「3つのシリア軍防空部隊と、4つのイラン軍シリア領内拠点を含む、計12個の目標を攻撃した」と10日に発表した

●更に同報道官は、「イランの侵略者がシリア領内に潜んでいる。イランは軍事使用のために無人機を持ち込み、イスラエル領空を犯した。イスラエル軍は全てのシナリオに準備を整えており、イランとシリアに敵対行為をやめるよう通告する」との声明を発表した

●「イラン無人機」が発進したとされるシリア内の空域を統制しているロシアの外務省は、「全ての関係サイドに自制を求め、事態の悪化を招くような行動を避けるように」との声明を出した
●そして「シリア及び周辺国の領土や主権は、無条件で尊重される必要がある」とも声明で述べた
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F-16-Israel.jpg一触即発の中東情勢を象徴するような事象ですが、1982年以来初めてイスラエル空軍機が撃墜されたとなれば、頭に血が上ったイスラエル軍がどんな行動に出るか予測できませんし、「イラン無人機」とイスラエルが主張するオマケもついていますので、今後の成り行きが懸念されます

36年ぶりの被撃墜です・・・世界最先端の電子戦能力を備えているはずのイスラエル空軍ですが、シリアの地対空ミサイルに撃墜されたとは何があったのでしょうか?

電子妨害が効かなかったのか、偶然命中したのか、目視で狙ったのか・・・それとも最新のECCM能力を備えた装備がシリアに持ち込まれていたのか・・・

今後の分析に注目いたしましょう

イスラエル関連の記事
「イスラエルに米軍防空部隊が常駐へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-19
「なぜイスラエルArrowがシリアSAMを迎撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-21
「世界初:6種類の迎撃ミサイルでBMD演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07-1

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サイバー人材集めの苦悩:米海兵隊 [サイバーと宇宙]

「ここにいる皆の中にハッカーはいるか? もしいたら、私に教えてくれ。再契約のボーナスを支給するから。冗談じゃないぞ」

Neller.jpg1月20日、Neller海兵隊司令官が恐らく中東湾岸諸国の米海兵隊展開基地で兵士たちに向け、冒頭の発言を行いました。
同司令官がこのような発言を行ったのは初めてではなく、昨年12月に世界中の米海兵隊展開基地を訪問した際にも、同様の趣旨の発言を行っているようです

米海兵隊2018年度予算に約1000名の増員を組み入れ、サイバー戦や電子戦専門要員を、他の必要とする専門家と共に増強する方向にありますが、なかなか人集めは容易でないようです
冒頭発言の際も聴衆の海兵隊員の中で手を挙げたものはいなかったようですが、海兵隊の各部隊ではサイバーの素養を持った人材の洗い出しや、特別キャリアの準備が行われているようです

しかし、当初からサイバー能力のみを基準に兵士を採用するか、サイバー能力を持つ人材を如何に引き留めるか等、どこの軍隊にも共通の悩みが、米海兵隊の悩みに凝縮されているようですのでご紹介しておきます

22日付Military.com記事によれば
Cyber-EX.jpg●冒頭の発言を海兵隊司令官が行った時、誰も手を挙げる者はいなかったが、それでもメッセージは確実に届いたはずである。当日の夜、同司令官は駐留する兵士たちと懇談する時間も設けていることも兵士たちには知らされていた
海兵隊の指導者たちは、サイバー戦部隊を構築したいとの思いを声に出してあちこちで語っており、2018年度予算案で増員が認められたサイバー要員の確保に懸命

●ただし、Neller司令官は野戦砲の火力よりサイバー妨害のほうがより重要になるだろうと考えており、2018年度予算レベルのサイバー要員増では満足していない
●昨年12月の部隊訪問で同司令官は、海兵隊内の人的資源を最大活用したいと語り、「サイバー部隊を特殊作戦軍のようにしたい」、「一度所属したら離れる必要がない職域にしたい」と表現している

●そして、他の海兵隊の職種の兵士のように、一時的に募集事務所勤務や新人教育部隊の教官になったり決してならない、専門的な要員として管理される
●同司令官は、例えば大学で関連学位を取得したような兵士がいたら、特別に契約し、他職域兵士のような経歴管理は行わない事を想定しており、「私はそうしたいのだ。必要な要件を満たし、試験を通過する人材なら、そのような処遇にしたい」と語っている

Neller3.jpg●また司令官は特殊部隊兵士の採用法と似ていると表現し、特殊部隊要員は、選抜係が部隊を見て回り、油研を満たしそうな人材を見つける方法で選ばれているが、この方式をサイバー要員にも適応したいと考えている
●一方で、サイバー要員兵士の採用を、他の一般海兵隊兵士と区別し、通常の基礎訓練を経ずにサイバー専門の要員として特殊能力を持つ人材をとして行うとの案もしばしば持ち上がっている

●しかし、同司令官はこのような特別扱い良くないと述べ、海兵隊員のシンボルである徽章の価値を低下させることにつながると語っている
もう一つの大きな問題は、サイバー能力の高い兵士を部隊に引き留めるだけの処遇をどうするかである。つまり一般社会では年収が1千万円以上となる人材をどのように引き留めるかである
●同司令官は「我々はどのように人材を確保するかだけでなく、そのように彼らを引き留めるかの問題にも直面している」と語っている
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Cyber Top3.jpg具体的に言えば、サイバー要員を確保するため、例えば入隊時の身体検査基準を緩和するか?・・・という問題です。

サイバー要員に対しては、新兵教育部隊でのランニングや銃を持っての戦闘訓練を免除するか・・・との悩みです

戦いの変化に合わせ、兵士に求める素養を変化させるか?・・・との根本的な問いでもあります。悩ましいですね・・・

民間ハッカーにチェックを依頼
「米空軍ネットをハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「発展版Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-16
「第1弾成果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1
「計画発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-04-1

サイバーと宇宙関連記事
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1 

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米国防省次官がF-35維持経費負担不能と [亡国のF-35]

調達兵站担当次官
「現状のままではF-35の維持経費を払い続けることは不可能」

Lord.jpg1月31日、米国防省の調達兵站担当次官であるEllen Lord女史が記者団に、現状ではF-35の維持経費を米国防省は捻出できなくなることから、専門家やデータ分析技術を動員してF-35計画室とともに、維持コストダウンに取り組み始めたと語りました。

F-35の維持経費については1月18日にも、次の米空軍調達担当次官であるWill Roper氏が議会で証言し、最も大きな懸念事項であり、同次官ポストに就任したらまず一番に精査して必要があれば対処すると語っていたところです

また昨年10月の米会計検査院GAO報告書でも計画よりはるかに長期間必要な部品修理、修理に必要な部品不足、F-35兵站支援システム開発の遅れ等々が厳しく指摘され、予算獲得と海外売り込みのために厚化粧した「亡国のF-35」の実態は、隠しようもない状況であることが表面化しています

1日付Defense-News記事によれば
F-35 Paris.jpg●Ellen Lord次官は記者団に、F-35戦闘機の維持経費に対し、新たな業務データ分析を試験導入し、ビックデータ分析を含む客観的手法の導入を図ると語った
●そして「現状のままではF-35の維持経費を払い続けることは不可能。我々はこれを変えなければならない」と語り、この「most significant」で「awesome aircraft」を生かす努力の重要性を語った

●また遅れている開発と最終試験スケジュールに関しては、「急激に変化する脅威に対応すべく、2025年までにすべての開発計画を完了しなければならない」と決意を述べた
既に米軍内だけで250機のF-35が部隊配備されているが、維持整備に関し米国防省は数々の困難に直面しており、GAOが指摘したように「計画よりはるかに長期間必要な部品修理、修理に必要な部品不足、F-35兵站支援システム開発の遅れ等々」の問題が山積している

●会計検査院GAOの指摘に対しF-35計画室は、GAO報告書のデータは正確だが、データ収集時点からすでに種々の対策を講じており、事態は改善されてると説明している
Lord2.jpg●しかしLord次官は、6名からなる調達専門家チームを編成し、F-35計画室と緊密に連携させ、原点に立ち返って計画を分解し、如何に維持を行うか、如何にコストダウンするかを検討させていると語っている

●同次官は「F-35計画は極めて複雑で、多くの海外顧客も関係しているが、だからこそ計画全体を知る専門家が新鮮な目で見てチェックし疑問を投げかけることが、全体の利益につながるのだ」と語っている
●また「我々はデータ重視で進めたいと考えている。概念やコンセプトばかりでは地に足の着いたアプローチはできず、率直に言って時間の浪費になる。F-35に関するすべてを俎上に載せ、データに裏付けられた分析で、よりシャープな目で臨みたいと思う」と説明した
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専門家投入やビックデータ分析で維持コスト低減が成功することを祈念いたしますが、NPRで示された核兵器維持近代化、各種通常兵器の更新等々を勘案すれば、2千機以上のF-35を導入することは絶対に不可能で、調達機数削減は不可避です

F-35 GAO.jpg現役次官がここまで率直に語るようになったとは・・・事態の深刻さを表現しています・・・

すると「負のスパイラル」、機数削減→価格上昇→海外の購入機数減少→更なる単価高騰+維持整備経費増大・・・となります。

そして日本のような国は足元を見られ、効果ない維持費を吹っ掛けられ、泣く泣く支払うことになります。日本はF-35Bなど購入している場合ではありません。脆弱で有事に使えない戦闘機への投資を絞るべきです

「次の米空軍調達幹部がF-35を一番の懸念に」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-20-1 

米会計検査院がF-35にたびたび警告
「GAOがF-35維持費に警告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-25
「再度警告:開発と製造の同時並行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-10
「F-35最終試験は1年遅れでも不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-17
「ALISにはバックアップが無い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-01

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米空軍の軽攻撃機検討の状況 [米空軍]

light attack.jpg2日、米空軍がプロペラ軽攻撃機のデモ試験について声明を発表した模様で、今年5月から6月にかけて2回目の候補機試験を2機種に絞って実施するようです。

昨年8月までの数か月で行われた1回目のデモ試験では、4つの機種「AT-6 Wolverine」「A-29 Super Tucano 」「Textron Scorpion」「AT-802L Longsword」が参加したようですが、半年以上の検討を経て前者2機種が次のラウンドに進むことになったようです

米空軍が300機とか数百機等の導入を検討している軽攻撃機ですが、対テロ作戦の対地支援など、A-10やF-16等の高度で高価な作戦機を投入する必要のない作戦を、安価に実施するツールとして検討され、併せて同盟国等にも比較的容易に導入してもらって多国籍活動に活用し、米軍の負担を減らそうとの思いもあります

AT-6 2.jpgまた同時に、練習機としての役割も期待し、深刻なパイロット流出と不足に悩む米空軍の操縦者養成にも活用したいとの思惑があります

一方で課題は、米空軍参謀総長が以前から述べているように、ネットワーク化して活用できないと意味がない点で、このレベルに引き上げられる軽攻撃機がであるかどうかが選定の重要な焦点になっているようです。
もちろん、維持整備が容易か、種々のコストがどの程度かとの基本的比較要素はありますが・・・

2日付DEfense-News記事によれば
昨年8月に第1弾のデモ試験を終了した時点では、次の「combat demonstration」をどうするかが議論になっていたが、米空軍長官の声明は「戦闘デモ試験より、2機種の企業と緊密に協議しながら、整備性、データのネットワーク化やセンサーについて確認する試験を計画する」と述べている
A-29 Afghan.jpg●そして5月から6月にかけ、アリゾナ州のDavis-Monthan空軍基地で、2つの機種「AT-6 Wolverine」「A-29 Super Tucano 」に対し試験を行うと明らかにし、声明は「迅速な調達に向けて必要なデータ収集が可能となる」と述べている

ネットワーク化やパートナー国との相互運用性がテキサスでの次回デモ試験の鍵だと声明は記述し、「輸出可能で手ごろな価格のネットワーク装備の試験も兼ねており、指揮統制アセットとともに、多国籍軍国とも意思疎通可能な装備を追及している」と述べている
●既に1回目のデモ試験では、カナダ、UAE、パラグアイ、豪州が視察しており、2回目のデモでも関係国に声をかけて招待する予定である

AT-6.jpg●また、次回デモ試験では兵站、維持整備、搭載兵器、センサー関連の確認や、操縦者養成課程等も重要な確認要素となる
●一方で2回目の試験の費用捻出元は決まっておらず、米空軍報道官も「デモ試験経費の見積もりを完了していない。関係企業と協力して行う必要がある。既存の開発試験費から流用することになる
」と語っている
//////////////////////////////////////////////////////////////

カナダ、UAE、パラグアイ、豪州は、どんな思いでデモ試験を視察したのでしょうか? 次の試験ではどの国がオブザーバーとして参加するのでしょうか・・・・気になります

UAEはともかく、カナダや豪州は、この軽攻撃機を購入して、米国の代わりにアフガンで戦ってくれ、または対テロ作戦参加を加速してくれ・・・ということでしょうか。

興味本位ですが、プロペラ軽攻撃機をどのようにネットワークに組み込み、どのようにハイテク化し、どのようなセンサーを搭載するのか等、興味津々です

軽攻撃機の関連記事
「軽攻撃機の第一弾確認終了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-07
「米空軍が300機導入に賛成!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-21
「米空軍が検討を開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07

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米軍即応態勢:影の課題2つ [Joint・統合参謀本部]

Selva-CSIS.jpg1月末、米軍No2である統合参謀本部副議長Paul Selva空軍大将が記者団と懇談し、20年近く継続する実戦と海外派遣の繰り返しの中で、米軍部隊の即応体制低下が問題視され、予算不足などの課題が話題となる中、部隊の足元に兵士の即応体制をむしばむ問題があることが明らかになってきたと吐露しています

米国防省や米軍幹部が口々に、強制削減法による暫定予算体制が装備品の維持整備や更新、更に部隊訓練を阻害していると訴え続けている中、実戦派遣に必要な健康管理面や身体能力面での基準を満たせない兵士が増加していることが、小さくない課題だと明らかにするのは恥ずかしいことだと思いますが、これが現実の様です

先進国の軍隊に同じような傾向が見られるのでは・・・と気になる部分もあり、軍隊の現実を垣間見る視点としてご紹介します

1日付米空軍協会web記事によれば
airman.jpg●Selva副議長はワシントンDCで記者団に対し、部隊の即応体制を阻害する「2つの鍵となる課題」として、兵士を取り巻く健康管理行政面での課題と、兵士の体力面での課題を説明した
●そして同大将は、「米軍は兵士レベルに注目する即応態勢検証を開始し、個々の兵士の問題に行き当たる興味深い状況を目にすることとなった」と表現した

●兵士の即応体制を阻害する第1の要因として、兵士が即応態勢に求められる健康チェックを通過できない事例が増えている点がある。最も大きいのは歯科検診を通過できないことや派遣に必要な予防接種を受けられていないケースである
●様々な理由で基地内から歯科医がいなくなり、基地外の契約歯科医に検診を依頼すると、治療や検診がスケジュール通り進めることが困難となり、所定の基準も満たすことができない兵士が増加しているのである。

●また予防接種で言えば14種類の予防接種を求められている例があるが、これに加えて航空機登場要員の多様な項目にわたる定期健康診断への対応など、極めて手間のかかる業務が滞っている実態が部隊で生じている

Selva brok.jpg第2の要因は各兵士の健康管理・体調管理レベルの問題(physical fitness)である。具体的な数字を把握していないが、確実に身体検査を通過できない兵士が増えている
●典型的な例は、体重と身長の関係である。わかりやすく言えば太りすぎで派遣基準を満たせない兵士が全軍で明らかに増加し、部隊としての即応体制に悪影響を与えているのだ

●これらの問題についてSelva副議長は、「前線部隊レベルのリーダーシップの課題であるが、組織としての取り組みも影響している」、「健康管理に必要な医療機関や設備に問題があれば、国防省として前線部隊指揮官だけに責任を負わせるわけにはいかない」と語っている
●しかし健康管理・体調管理レベルの問題(physical fitness)は部隊レベルで指導監督すべき問題である。部隊指揮官や中堅および上級下士官が指導すべき課題である。前線指揮官が「基準が決められており、これをクリアしなければならないと部隊の先頭に立って改善すべき課題である」というべきである
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Wiltsie4.jpg任務の増大や維持整備費不足から、米海軍のFA-18の実質稼働機が1/3程度しかないとお伝えしたことがありましたが、Selva副議長が明らかにした兵士レベルの問題が、どの程度悪影響を与えているのか気になるところです

基地内から歯科医が居なくなるのは、基地外で開業したほうが収入が良くなるからでしょうし、予防接種が大変なのは、派遣される地域がそれだけ辺鄙な場所に拡大しているからでしょう

しかし「肥満」に代表される個人レベルの課題は、社会全体の縮図ですからねぇ・・・。高級幹部も含め、肥満や体力チェックを通過できない兵士の給料を下げるとか、昇任審査に反映させるとか、荒療治が必要なのかもしれませんねぇ・・・

関連記事で考える
「海兵隊:生活習慣を改善せよ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08
「個人装具重量3割カット提案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-07
「米空軍兵士死因トップは自殺」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12-1

FA-18の稼働率問題
「2/3が飛行不能の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07

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